JPH10137569A - ゲルの混合方法及び該方法に用いるカラム振とう装置 - Google Patents

ゲルの混合方法及び該方法に用いるカラム振とう装置

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JPH10137569A
JPH10137569A JP30318396A JP30318396A JPH10137569A JP H10137569 A JPH10137569 A JP H10137569A JP 30318396 A JP30318396 A JP 30318396A JP 30318396 A JP30318396 A JP 30318396A JP H10137569 A JPH10137569 A JP H10137569A
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column
gel
mixing
shaking
rotation
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Pending
Application number
JP30318396A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Fujieda
浩 冨士枝
Masahiro Ikeda
雅裕 池田
Seiji Ito
誠二 伊東
Akinori Okada
晃典 岡田
Yoshihisa Ishikawa
善久 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Sumitomo Chemical Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Sumitomo Chemical Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲルをカラムから取り出したり攪拌すること
なく混合し、偏りや亀裂のない状態にゲルを安定化させ
るゲルの混合方法及び該方法に用いるカラム振とう装置
を提供する。 【解決手段】 ゲル11を充填したカラム10を載置す
るターンテーブル3と、ターンテーブル3を駆動してカ
ラム10を振とうさせるモータ2とを備えるカラム振と
う装置1によって、ゲル11に偏りや亀裂が発生した場
合に、カラム10を振とうさせてカラム10内のゲル1
1を混合し、偏りや亀裂を迅速かつ簡便に修復する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゲルの混合方法及
び該方法に用いるカラム振とう装置に関し、詳細には、
蛋白質の精製などに用いられるカラムを振とうすること
によって、カラム内に充填されたゲルを混合するゲルの
混合方法及び該方法に用いるカラム振とう装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、蛋白質の精製などにカラムク
ロマトグラフィーと呼ばれる技術が用いられている。カ
ラムクロマトグラフィーとは、カラムを用いて目的物質
の分離・精製を行う技術であり、一般には、固定相とな
るゲルをカラムに充填し、これに目的物質を含む溶液
(移動相)を流す方法が採られている。そして、固定相
と移動相との間の溶質の分配の差を利用して目的物質の
分離・精製を行っている。つまり、この技術では、固定
相であるゲルに吸着する度合いの相違により、目的物質
とその他の物質である不純物とを分離している。
【0003】例えば、カラムクロマトグラフィーを用い
たインターフェロン−αの精製では、目的物質であるイ
ンターフェロン−αをゲルに吸着させるために、目的物
質に対する抗体(即ち、抗インターフェロン−α抗体)
を表面に固定化したゲルをカラムに充填する。そして、
インターフェロン−αを含む溶液をカラムに通液し、抗
原−抗体間の特異性を利用してインターフェロン−αを
分離・精製する。この例のように、抗原と抗体といった
互いに特異的な相互作用を及ぼし合う物質対を用いて目
的物質を分離・精製する方法は、特にアフィニティクロ
マトグラフィーと呼ばれている。カラムクロマトグラフ
ィーには、他にも、ゲルろ過クロマトグラフィーやイオ
ン交換クロマトグラフィー等の種々の方法が知られてい
る。
【0004】ところで、カラムクロマトグラフィーで
は、カラムに通液中、ゲルに偏りや亀裂が発生すること
がある(ゲルに亀裂が発生した様子については、例えば
図3(b)参照)。このような偏りや亀裂は、カラムに
通液した際の圧力変動や偏った流れ等の物理的な要因、
若しくは、カラムに通液する液質の違いによるpHやイ
オン強度の変化によって発生するものと考えられてい
る。
【0005】上記のように、カラムに通液中ゲルに偏り
や亀裂が生じた場合には、ゲルを混合し、偏りや亀裂を
修復する必要がある。従来のゲルの混合方法では、カラ
ムからゲルを取り出し充填し直す方法や、カラム上部を
開放しその開口部から専用器具を使ってゲルを攪拌する
方法が採られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のゲルの混合方法は、以下の問題点を有している。 (1)従来の方法では、作業が煩雑であり、定常外の作業
を多大に費やしてしまうことになる。特に、ゲルを取り
出し再充填する作業では、取付位置からのカラムの脱着
及びゲルの取り出し再充填といった煩雑な作業が必要に
なる。 (2)上記のように作業が煩雑である結果、作業に伴い分
離・精製工程を停止することによる生産的損失が大き
い。 (3)従来の方法では、いずれも、作業時にゲルの無菌状
態を損なう危険性が高い。 (4)ゲルを攪拌する作業では、専用器具によっては、ゲ
ルを傷めることがある。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的は、ゲルをカラムから取り出したり攪
拌することなく混合し、偏りや亀裂のない状態にゲルを
安定化させるゲルの混合方法及び該方法に用いるカラム
振とう装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るゲ
ルの混合方法は、上記の課題を解決するために、ゲルを
充填したカラムに対し外部から動力を加え該カラムを振
とうすることにより、カラム内のゲルを混合することを
特徴としている。
【0009】上記の方法によれば、カラムに対し外部か
ら動力を加え、カラムごと振とうすることによって、カ
ラム内のゲルに慣性力を生じさせゲルを混合する。ここ
で、「振とう」とは、ゲルに慣性力を生じさせ得るカラ
ムの運動のすべてをいい、「動力」とは、カラムがその
ような運動をするのに必要な動力をいう。また、「カラ
ム」とは、カラムクロマトグラフィーに用いられ、ゲル
を収容するための形状が概ね円柱状の容器を意味し、大
きさ、容量、材質等は特に限定されるものではない。
「ゲル」とは、上記カラムに充填される固定相であり、
ゲルろ過クロマトグラフィーに使用されるゲル粒子や、
アフィニティークロマトグラフィーに使用され、酵素、
抗原、抗体、ホルモン若しくは阻害剤などと結合した支
持体を含む意味である。
【0010】上記のようにゲルを混合することで、ゲル
に生じていた偏りや亀裂を迅速かつ簡便に修復できる。
即ち、カラムからゲルを取り出し再充填したり、器具な
どでゲルを直接攪拌することを要しない。従って、作業
性が良好なものとなり、作業の効率化が図られる。併せ
て、ゲルの再充填やカラムを開放しての攪拌が不要とな
ることから、ゲルの無菌状態を損なうおそれがなくな
り、ゲルの無菌性が維持できる。
【0011】そして、カラムクロマトグラフィーを用い
て目的物質を分離・精製する工程において、ゲルに偏り
や亀裂が発生した場合に、上記のように迅速かつ簡便に
ゲルを混合し、工程中ゲルを偏りや亀裂のない状態に安
定化させることができるので、目的物質の分離を安定化
できると共に、目的物質の回収率を安定化できる。つま
り、上記の方法により、目的物質の分離及び回収率の良
好な恒常性が達成される。
【0012】請求項2の発明に係るゲルの混合方法は、
上記の課題を解決するために、請求項1の方法におい
て、上記カラムに往復運動または回転を伴う往復運動を
させるように動力を加え、カラムを振とうすることを特
徴としている。
【0013】上記の方法によれば、より効率的にゲルが
混合される。特に、カラムに回転を伴う往復運動をさせ
るように動力を加えることで、短時間で良好なゲルの混
合が可能になることが後述の実験結果から認められた。
回転を伴う往復運動とは、カラムの軌跡が円弧を描く往
復運動のことをいい、回転の中心はいずれにあってもよ
い。例えば、カラムが自らの中心軸を中心に回転するよ
うな往復運動であってもよいし、カラムの中心軸と運動
の回転軸とが異なるように偏心させた往復運動であって
もよい。
【0014】請求項3の発明に係るカラム振とう装置
は、上記の課題を解決するために、ゲルを充填したカラ
ムを載置する載置手段と、上記カラム内のゲルを混合す
るべく、上記載置手段を駆動して上記カラムを振とうさ
せる駆動手段とを備えることを特徴としている。
【0015】上記の構成によれば、カラム内のゲルに偏
りや亀裂が生じた場合その他必要な場合に、載置手段を
駆動してゲルを充填したカラムを振とうさせる。これに
より、カラム内のゲルに慣性力が生じゲルが混合され
る。
【0016】上記のようにゲルを混合することで、ゲル
に生じていた偏りや亀裂を迅速かつ簡便に修復できる。
即ち、カラムからゲルを取り出し再充填したり、器具な
どでゲルを直接攪拌することを要しない。従って、作業
性が良好なものとなり、作業の効率化が図られる。併せ
て、ゲルの再充填やカラムを開放しての攪拌が不要とな
ることから、ゲルの無菌状態を損なうおそれがなくな
り、ゲルの無菌性が維持できる。
【0017】そして、カラムクロマトグラフィーを用い
て目的物質を分離・精製する工程において、ゲルに偏り
や亀裂が発生した場合に、上記のように迅速かつ簡便に
ゲルを混合し、工程中ゲルを偏りや亀裂のない状態に安
定化させることができるので、目的物質の分離を安定化
できると共に、目的物質の回収率を安定化できる。つま
り、上記の装置により、目的物質の分離及び回収率の良
好な恒常性が達成される。
【0018】尚、本請求項における各用語の意味につい
ては、請求項1と同様である。
【0019】請求項4の発明に係るカラム振とう装置
は、上記の課題を解決するために、請求項3の構成にお
いて、上記駆動手段は、上記カラムに往復運動または回
転を伴う往復運動をさせるように、上記載置手段を駆動
することを特徴としている。
【0020】上記の構成によれば、より効率的にゲルが
混合される。特に、カラムに回転を伴う往復運動をさせ
るように載置手段を駆動することで、短時間で良好なゲ
ルの混合が可能になることが後述の実験結果から認めら
れた。
【0021】回転を伴う往復運動とは、カラムの軌跡が
円弧を描く往復運動のことをいい、カラムにそのような
往復運動をさせるには、例えば、次のように載置手段を
駆動すればよい。即ち、カラムの載置面(部)がある1
つの軸を回転軸として回転するように載置手段を設け、
この回転軸が所定の角度内で連続的に往復回転されるよ
うに、駆動手段から回転軸に回転駆動力を伝達する構成
とする。カラムの中心軸がこの回転軸と一致するように
カラムを載置した上で往復運動をさせてもよいし、カラ
ムの中心軸と回転軸とが異なるようにカラムを載置した
上で往復運動をさせてもよい。但し、大容量のカラムを
回転軸からずらして載置する場合には、装置の高い剛性
が必要となることから、装置の剛性を高くすることが好
ましい。
【0022】上記の構成に加えて、カラムの往復運動の
運動距離(片道距離)を調整するための距離調整手段を
設けることは好ましい。例えば、載置手段を上記の構成
とし駆動手段を電動モータとし、このモータの出力軸と
載置手段の回転軸との間に設けるロッドやアームの長さ
を調節できる構成とすれば、この長さを調節することに
より、簡単に運動距離を調整できる。また、カラムの往
復運動の運動速度を調整するための速度調整手段を設け
ることも好ましい。例えば、駆動手段が電動モータの場
合、このモータに供給される電流の周波数をインバータ
を用いて変化させることで、簡単に運動速度を調整でき
る。このように、運動距離及び運動速度を簡単に調整で
きる構成とすることで、カラムの大きさ・容量やゲルの
種類が変わっても、簡単に最適な混合条件に調整できる
という効果がある。
【0023】さらに、上記の構成に加えて、動作設定タ
イマーを設けて、タイマーにより設定された所定時間カ
ラムに上記の往復運動をさせる構成とすることは好まし
い。同一のカラム及びゲルに対して、カラムが所定条件
の往復運動をどの程度の時間行えばゲルが混合できるか
は実験的または経験的に見出されるので、ゲルの混合に
必要な時間をタイマーにて設定し、その時間カラムに往
復運動をさせることにより、ゲルをより簡便かつ確実に
混合できる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1〜図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0025】図1は、本実施形態のカラム振とう装置1
の外観を概略的に示す側面図であり、図2は、図1のA
−A線に沿った断面図である。
【0026】本カラム振とう装置1は、モータ2及びタ
ーンテーブル3を備えている。ターンテーブル3は、そ
の載置面上にゲル11を充填したカラム10を載置・固
定する載置手段であり、モータ2は、ゲル11に偏りや
亀裂が生じた場合などに、カラム10内のゲル11を混
合するべく、ターンテーブル3を駆動してカラム10を
振とうさせる駆動手段である。
【0027】モータ2は、図示していない電源から供給
される電力によりその出力軸2aを回転させるサイクロ
減速機付きの電動モータであり、インバータを用いて周
波数を可変し出力軸2aの回転速度を制御することがで
きる。前記インバータは制御盤9によって制御され、従
って、インバータにより周波数をどの程度変化させるか
を制御盤9を介して制御することで、モータ2の回転速
度が簡単に変更・調整できる。
【0028】ターンテーブル3は、その円周部下面に配
された突部3bが溝部によって摺動可能に支持されると
共に、中央部において回転軸3aに固着されており、回
転軸3aを中心に回転可能な構成となっている。回転軸
3aには、アーム4が取付けられており、アーム4は、
ピン7を介してロッド6の一端に係止されている。一
方、モータ2の出力軸2aには、アーム5が取付けられ
ており、アーム5は、ピン8を介してロッド6の他端に
係止されている。
【0029】即ち、アーム4とアーム5とはロッド6に
よって連結されており、モータ2の出力軸2aの回転に
よって、ターンテーブル3は、図2に示すように、ロッ
ド6の長さ等の条件により定まる所定角度θ内を、回転
軸3aを中心に連続的に往復回転することになる。つま
り、モータ2が一回転すると、ターンテーブル3が所定
の回転角度θ内を一往復するように回転駆動されること
になる。これにより、ターンテーブル3上のカラム10
も回転を伴った往復運動を行うことになり、カラム10
内のゲル11に慣性力が生じてゲル11が混合され、ゲ
ル11に生じていた偏りや亀裂を迅速かつ簡便に修復す
ることができる。
【0030】また、上記のロッド6は、周知の態様に従
いその長さを変更・調節できるようになっている。ロッ
ド6の長さを変更することで、ターンテーブル3の回転
角度θが変更される。換言すれば、ロッド6の長さを変
更することで、ターンテーブル3並びにその上に載置さ
れるカラム10の往復運動の片道距離dが変更される。
従って、ロッド6の長さを調節することにより、カラム
10の大きさやゲル11の種類等に合わせて、簡単にカ
ラム10の往復運動の片道距離dを調整できる。
【0031】さらに、上記のように、インバータを用い
て電流の周波数を可変し出力軸2aの回転速度を制御で
きるので、カラム10の大きさやゲル11の種類等に合
わせて、カラム10の運動速度を簡単に変更・調整でき
る。
【0032】加えて、動作設定タイマーを設けて、タイ
マーにより設定された所定時間カラム10に上記の往復
運動をさせる構成とすれば、ゲル11の混合をより簡便
かつ確実に行うことができる。つまり、同一のカラム1
0及びゲル11に対して、カラム10が所定条件の往復
運動をどの程度の時間行えばゲル11が混合できるかは
実験的または経験的に見出されるので、ゲル11の混合
に必要な時間をタイマーにて設定し、その時間カラム1
0に往復運動をさせればよい。これにより、ゲル11の
混合が十分でないままカラムクロマトグラフィーによる
精製工程を再開してしまう等の不所望の事態を回避でき
る。
【0033】上記の方法によりゲル11を混合する際に
は、カラム10の中心軸が回転軸3aと一致するように
カラム10を載置した上で往復運動をさせてもよいし、
カラム10の中心軸と回転軸3aとが異なるようにカラ
ム10を載置した上で往復運動をさせてもよい。但し、
大容量のカラム10を回転軸3aからずらして載置する
場合には、カラム振とう装置1の剛性を高くする必要が
ある。
【0034】上記のカラム10は、蛋白質の精製などに
用いられるカラムクロマトグラフィーに使用されるカラ
ムであり、固定相であるゲル11を内部に充填する円柱
状の容器である。上記のようにカラム振とう装置1の剛
性を高くすることで、大容量のカラム10に対してもカ
ラム振とう装置1を用いて上記のゲル11の混合方法を
行うことができる。カラム10に充填されるゲル11
は、ゲルろ過クロマトグラフィーに用いられるゲル粒子
でもよいし、アフィニティークロマトグラフィーに用い
られる抗体などと結合した支持体でもよい。
【0035】次に、インターフェロン−α(以下、「I
FN」と略称する)を精製するための一工程であるカラ
ムクロマトグラフィーの工程において用いられるカラム
及びゲルに対し、カラム振とう装置1を適用した例につ
いて説明する。
【0036】抗IFN抗体を有するゲル11が充填され
たカラム10をターンテーブル3上に載置・固定した
後、カラムクロマトグラフィーの工程を行う。まず、I
FNを含む溶液をカラム10に通液して、IFNをゲル
11に吸着させる。
【0037】次いで、ゲル11に吸着したIFN以外の
異種蛋白等の不純物をカラム10内から取り除くため
に、所定濃度のバッファー溶液をカラム10に通液し
洗浄する。洗浄後、所定濃度のバッファー溶液をカラ
ム10に通液して、ゲル11に吸着したIFNを溶出し
回収する。
【0038】ところが、上記の工程中にゲル11の偏り
や亀裂が生じた場合には、IFNと不純物との分離が不
十分になったり、IFNの回収率が低下してしまうおそ
れがある。
【0039】即ち、IFNを含む溶液をカラム10に通
液する工程では、ゲル11に偏りや亀裂がある場合、そ
の溶液の流れがバイパスされ、ゲル11へのIFNの吸
着率が低下する。
【0040】また、バッファー溶液にて洗浄する工程
では、ゲル11に偏りや亀裂がある場合、異種蛋白等の
不純物を十分に除去することができず、IFNの純度が
低下する。
【0041】さらに、バッファー溶液でIFNを溶出
する工程では、ゲル11に偏りや亀裂がある場合、IF
Nの回収率が低下する。
【0042】本実施形態では、各工程中にゲル11の偏
りや亀裂が生じた場合、カラム振とう装置1を使用し
て、カラム10に外的な力を加え、カラム10を所定の
回転角度θ内で往復回転させる。これにより、カラム1
0内のゲル11に慣性力を生じさせてゲル11を混合
し、ゲル11の偏りや亀裂を修復している。
【0043】例えば、図3(a)に示す通液中、つま
り、カラム10に通液しているいずれかの工程中に、図
3(b)に示すようなゲル11の亀裂15が発生した場
合には、まず、通液を停止する。次いで、モータ2の出
力軸2aを回転させ、ロッド6を介してターンテーブル
3に駆動力を伝達する。これにより、ターンテーブル3
上に載置されたカラム10が、図3(c)に示すよう
に、回転を伴った往復運動を行う。このとき、カラム1
0内に充填されたゲル11に慣性力が作用しゲル11が
混合されるため、ゲル11に発生した亀裂15が修復さ
れることになる。修復後は、図3(d)に示すように、
通液を再開することができる。
【0044】次に、カラム振とう装置1を用いて、イン
バータにより周波数を可変し、異なる運動速度の条件に
てそれぞれゲル11を混合した実験結果を表1に示す。
尚、カラム10の回転角度θは60度とした。また、ゲ
ル11の表面とカラム10の上部メッシュとの間隔を2
0mmとし、シール水にてゲル11の表面を覆った。そ
して、カラム10をターンテーブル3の中心に載置した
場合と中心から50mm偏心させて載置した場合との2
通りについて実験を行った。
【0045】
【表1】
【0046】表1の最右欄の「評価」欄では、ゲル混合
の効果がなく、従って偏りや亀裂が修復されないものに
は「×」を、ゲル混合の効果はあるが低いものには
「△」を、ゲル混合の効果が大きく、偏りや亀裂が修復
されたものには「○」を付している。尚、今回のゲル混
合効果の確認方法は、熟練者の目視によるものである。
【0047】実験結果より、偏心幅0mmのものも50
mmのものも共に短時間でゲルを混合できることが確認
された。また、偏心幅50mmのほうが比較的ゲル混合
の効果が大きいことが認められた。インバータを制御し
て運動速度を高くする程、つまり、単位時間当たりの往
復数(スイング数)を大きくする程、効率良くゲルを混
合できた。
【0048】以上のように、カラム振とう装置1では、
カラム10内のゲル11に偏りや亀裂が生じた場合その
他必要な場合に、ターンテーブル3を駆動してゲル11
を充填したカラム10を振とうさせることによってゲル
11を混合する。これにより、カラム10からゲル11
を取り出し再充填したり、器具などでゲル11を直接攪
拌したりすることなく、ゲル11に生じていた偏りや亀
裂を迅速かつ簡便に修復できる。併せて、ゲル11の再
充填やカラム10を開放しての攪拌が不要となるため、
ゲル11の無菌性が維持できる。
【0049】また、カラムクロマトグラフィーを用いて
例えばIFNを精製する工程において、ゲル11に偏り
や亀裂が発生した場合に、上記のようにカラム振とう装
置1を用いて迅速かつ簡便にゲルを混合し、工程中ゲル
11を偏りや亀裂のない状態に安定化させることができ
るので、IFNの分離及び回収率の良好な恒常性が達成
される。
【0050】さらに、カラム振とう装置1では、ロッド
6の長さの調整により運動距離を変更したり、インバー
タによるモータ2の回転数の変更により運動速度を簡単
に調整できるため、カラム10の大きさ・容量やゲル1
1の種類が変わっても、最適な混合条件に調整できる。
【0051】ところで、カラム振とう装置1では、上記
のように、カラム10に回転を伴う往復運動をさせるよ
うにモータ2からターンテーブル3に駆動力を伝え、カ
ラム10を振とうさせているが、これ以外の振とう運動
によってもゲルが混合できるか否か、即ち、カラム振と
う運動の違いによるゲルの混合状態の違いを確認するた
めに、さらに以下の実験を行った。
【0052】カラム振とう運動が、図4の(a)〜
(d)にそれぞれ示すパターンA〜Dの4通りについて
複数回ずつ行われた。パターンAは、回転を伴う往復運
動であり、回転角度が30度60度90度の3通
りについて行った。パターンBは、直線往復運動であ
り、直線距離が10cm50cm100cmの3
通りについて行った。パターンCは、いわゆる8の字運
動であり、直径50cmの2円上を運動する場合と
直径100cmの2円上を運動する場合との2通りにつ
いて行った。パターンDは、角のある8の字運動であ
り、30*45cmの対角線上を運動する場合と5
0*75cmの対角線上を運動する場合との2通りにつ
いて行った。
【0053】各実験には、ゲルを約15リットル充填し
た直径350mmのアクリル製カラムを使用した。そし
て、カラム振とう装置1を使用せずに、人力によるカラ
ム振とう運動を行い、ゲルを混合できるか確認した。ま
た、このようにカラム振とう運動を人力で行うことか
ら、実験結果の誤差を極力少なくするため床にマーキン
グを施し、マーキングの線に沿ってカラム振とう運動を
行った。
【0054】また、各実験では、カラム振とう運動時間
を1分間とし、運動開始後ゲルが浮き上がるまでの時間
を測定すると共に、運動終了後ゲルが約何%混合できて
いるかを調べ、それぞれのゲル混合の効果を上記と同様
に評価した。パターンA〜Dの各カラム振とう運動の実
験結果を、それぞれ表2〜表5に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】上記の結果より、カラム振とう運動が回転
を伴う往復運動の場合にゲル混合の効果が最も大きいこ
とが確認された。対照的に、8の字運動の場合には、ゲ
ル混合の効果は殆ど認められなかった。直線往復運動の
場合にもゲル混合の効果はあまり認められなかったが、
振とう速度を高め、機械的にカラムを振とうさせること
により、直線往復運動の場合であっても偏りや亀裂を修
復できる程度にゲルを混合できる可能性がある。例え
ば、カラム振とう装置1におけるターンテーブル3の代
わりにスライドテーブルを設け、さらにアーム及びロッ
ド等の組み合わせによってカラム10を水平方向に直線
往復運動させる構成とすることで、ゲルに慣性力を生じ
させ、偏りや亀裂を修復できる程度にゲルを混合するこ
とが可能である。同様に、カラム10を垂直方向に直線
往復運動させる構成とすることでも、偏りや亀裂を修復
できる程度にゲルを混合することが可能と考えられる。
【0060】
【発明の効果】請求項1の発明に係るゲルの混合方法
は、以上のように、ゲルを充填したカラムに対し外部か
ら動力を加え該カラムを振とうすることにより、カラム
内のゲルを混合する方法である。
【0061】これにより、ゲルに生じていた偏りや亀裂
を迅速かつ簡便に修復できるという効果を奏する。即
ち、カラムからゲルを取り出し再充填したり、器具など
でゲルを直接攪拌することを要しないので、作業性が良
好なものとなり、作業の効率化が図られる。併せて、ゲ
ルの無菌状態を損なうおそれがなくなり、ゲルの無菌性
が維持できる。
【0062】そして、カラムクロマトグラフィーを用い
て目的物質を分離・精製する工程において、ゲルに偏り
や亀裂が発生した場合に、上記のように迅速かつ簡便に
ゲルを混合し、工程中ゲルを偏りや亀裂のない状態に安
定化させることができるので、目的物質の分離及び回収
率の良好な恒常性が達成される。
【0063】請求項2の発明に係るゲルの混合方法は、
以上のように、請求項1の方法において、上記カラムに
往復運動または回転を伴う往復運動をさせるように動力
を加え、カラムを振とうする方法である。
【0064】これにより、より効率的にゲルを混合でき
る。特に、カラムに回転を伴う往復運動をさせるように
動力を加えることで、短時間で良好なゲルの混合が可能
になる。
【0065】請求項3の発明に係るカラム振とう装置
は、以上のように、ゲルを充填したカラムを載置する載
置手段と、上記カラム内のゲルを混合するべく、上記載
置手段を駆動して上記カラムを振とうさせる駆動手段と
を備える構成である。
【0066】これにより、ゲルに生じていた偏りや亀裂
を迅速かつ簡便に修復できるという効果を奏する。即
ち、カラムからゲルを取り出し再充填したり、器具など
でゲルを直接攪拌することを要しないので、作業性が良
好なものとなり、作業の効率化が図られる。併せて、ゲ
ルの無菌状態を損なうおそれがなくなり、ゲルの無菌性
が維持できる。
【0067】そして、カラムクロマトグラフィーを用い
て目的物質を分離・精製する工程において、ゲルに偏り
や亀裂が発生した場合に、上記のように迅速かつ簡便に
ゲルを混合し、工程中ゲルを偏りや亀裂のない状態に安
定化させることができるので、目的物質の分離及び回収
率の良好な恒常性が達成される。
【0068】請求項4の発明に係るカラム振とう装置
は、以上のように、請求項3の構成において、上記駆動
手段は、上記カラムに往復運動または回転を伴う往復運
動をさせるように、上記載置手段を駆動する構成であ
る。
【0069】これにより、より効率的にゲルを混合でき
る。特に、カラムに回転を伴う往復運動をさせるように
載置手段を駆動することで、短時間で良好なゲルの混合
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るカラム振とう装置
の外観を概略的に示す側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】カラム内のゲルに亀裂が発生した場合に、この
亀裂の修復の手順を示す説明図である。
【図4】実験において行われたカラム振とう運動の各運
動パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1 カラム振とう装置 2 モータ(駆動手段) 3 ターンテーブル(載置手段) 4・5 アーム 6 ロッド 7・8 ピン 9 制御盤 10 カラム 11 ゲル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 誠二 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友製薬 株式会社内 (72)発明者 岡田 晃典 愛媛県新居浜市新田町3丁目1番39号 住 友ケミカルエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 石川 善久 愛媛県新居浜市新田町3丁目1番39号 住 友ケミカルエンジニアリング株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゲルを充填したカラムに対し外部から動力
    を加え該カラムを振とうすることにより、カラム内のゲ
    ルを混合することを特徴とするゲルの混合方法。
  2. 【請求項2】上記カラムに往復運動または回転を伴う往
    復運動をさせるように動力を加え、カラムを振とうする
    ことを特徴とする請求項1記載のゲルの混合方法。
  3. 【請求項3】ゲルを充填したカラムを載置する載置手段
    と、 上記カラム内のゲルを混合するべく、上記載置手段を駆
    動して上記カラムを振とうさせる駆動手段とを備えるこ
    とを特徴とするカラム振とう装置。
  4. 【請求項4】上記駆動手段は、上記カラムに往復運動ま
    たは回転を伴う往復運動をさせるように、上記載置手段
    を駆動することを特徴とする請求項3記載のカラム振と
    う装置。
JP30318396A 1996-11-14 1996-11-14 ゲルの混合方法及び該方法に用いるカラム振とう装置 Pending JPH10137569A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113509874A (zh) * 2021-05-11 2021-10-19 陈杨 一种道路桥梁施工用原料混合装置
JP2023516916A (ja) * 2020-02-24 2023-04-21 シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド 試料を輸送および混合するためのシステム

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