JPH10137004A - ステッチタイプ靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】アッパ−皮の釣込み作業に困難性がなく、した
がって製造が容易であり、また釣込代が不要で材料を節
約でき、かつ前記隙間がほとんどできることがなくて足
にフィットする履き心地の良好な、かつ体裁がすぐれて
ファッション性に富むステッチタイプの靴を提供する。 【解決手段】アッパー皮１の周側部における外向折曲部
のない下側部と、靴底２の上面周辺部との両者に当てた
共通の細皮４の上半部４ｂと折曲下半部４ａとをアッパ
ー皮１の下側部と靴底２の上面周辺部とへ一体に縫い付
けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はステッチタイプの靴
に関する。

【０００２】

【従来の技術】靴にはステッチ・ダウンタイプのものが
ある。このステッチ・ダウンタイプの靴は、図４〜６の
ように、アッパ−皮の下部周辺部を外方に曲げ、曲げら
れた外向折曲部の上にウエルトと称するテ−プ状押さえ
皮を当て、ウエルトとアッパ−皮の外向折曲部を中底や
本底へ糸にて縫い合わせた構造をしている。

【０００３】このステッチ・ダウンタイプの靴は、アッ
パ−皮周辺部を外方へ曲げるのに、釣込みと称して木型
にアッパ−皮をかぶせ、アッパー皮の周縁を引っ張って
行うが、釣込み作業には高度の技術を要し、熟練者でな
いとなかなか行えない。

【０００４】また、アッパ−皮周辺部における屈曲部内
面のアールの部分と中底や本底の上面との間にどうして
も隙間ａができ、この隙間が足へのフィット性を良好で
ないものにしている。この隙間ａはアッパ−皮が厚いほ
ど大きくなり、特に踵まわりの下部では大きくなる。

【０００５】すなわち、アッパ−皮の踵まわりは腰皮の
ほかに月型芯や市皮があって、複層構造となっているの
で、肉厚の大なるものとなっており、したがって図６の
ように前記隙間ａも大きく、足へのフィット性を著しく
損なわしめている。しかも厚肉であるため釣込作業が容
易でなく、手間が掛り、かつ熟練した技術を要する。

【０００６】

【発明の目的】本発明は、アッパ−皮の釣込み作業に困
難性がなく、したがって製造が容易であり、また釣込代
が不要で材料を節約でき、かつ前記隙間がほとんどでき
ることがなくて足にフィットする履き心地の良好な、か
つ体裁がすぐれてファッション性に富むステッチタイプ
の靴を提供できるようにした。

【０００７】

【手段】上記目的を達成するために、本発明に係るステ
ッチタイプ靴は、アッパー皮の周側部における外向折曲
部のない下側部と、靴底の上面周辺部との両者に当てた
共通の細皮の上半部と折曲下半部とをアッパー皮の下側
部と靴底の上面周辺部とへ一体に縫い付けたものとして
ある。

【０００８】

【実施例】以下本発明を図１〜３に示す中底を有する実
施例に基づいて説明する。同図において符号１はアッパ
ー皮、２は中底、３は本底を示す。アッパー皮は釣込み
により成形されているが、周側部の下部には外向折曲部
が形成されておらず、下縁が中底２の上面に接するよう
になっている。

【０００９】４はアッパー皮の周側の下部と中底の周辺
部２ａの上面とに巻回した細皮で、テープ状の皮材で構
成してあり、この細皮の上半部４ｂを特殊ミシンにより
縫い糸５ｂでアッパー皮周側の下部へ縫い付け、また、
細皮４の下半部を外側に曲げて、その曲げられた折曲下
半部４ａをステッチャーにより縫い糸５ａで中底２へ縫
い付けて、縫合された細皮によりアッパー皮の下部を中
底へ一体に取り付けてあり、中底には本底３を接着剤６
にて接合してある。

【００１０】この実施例のものではアッパー皮の下部周
辺に従来のものの外向折曲部が形成されてなく、アッパ
ー皮の周側下縁が中底の上面へ接するようになっている
ので、外向折曲部がある従来のものの前記隙間ａができ
ることはなく、特に図３のように踵まわりの内側下部に
も従来のような隙間ができることはなく、すぐれて足に
フィットする靴となっている。

【００１１】しかもアッパー皮には縫い糸用の多数の孔
があり、これらの孔が通気孔の役目をするので、アッパ
ー皮は通気性があって足蒸れすることの少ない靴となっ
ている。

【００１２】また、本発明の靴においてはアッパー皮の
釣込作業時にアッパー皮の下部周辺に外向折曲部を無理
に成形する必要がないので、釣込作業が楽で、熟練した
技術は余り要せず、能率よく容易に、特に複層となって
いる踵まわりでも容易に製造できる。さらに、アッパー
皮には外向折曲部代が不要なため材料を節約でき、かつ
材料ロスも殆ど生ぜず、製品コストを低減できる。

【００１３】また、中底の周辺上面とアッパー皮周側下
部に細皮が巻かれていることと、細皮に各種の色のもの
を使用すること、及び縫い糸が２列になっていること等
から体裁がすぐれ、ファッション性に富んだ付加価値の
高い靴とすることができる。

【００１４】上記実施例では靴底は本底の上に中底のあ
る例を示したが、中底は必ずしも必要ではなく、このば
あいには細皮の下半部を本底へ縫い付ける。したがっ
て、本発明における靴底とは、本底と中底とよりなるも
のと、中底のない本底だけのものの両者を示す。なお、
図中の符号７は腰皮、８は市皮、９は月型芯、１０は裏
皮、１１は踵の化粧皮を示す。

【００１５】

【発明の効果】以上、本発明によればアッパー皮の下部
と靴底上面との間に隙間のできることのない、したがっ
て足にフィットする履き心地の良好な、またアッパー皮
の糸通し孔により通気性があって足蒸れの少ない、しか
もファッション性にすぐれ、かつ製造が容易な靴を提供
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る靴の実施例を一部破断して示す斜
視図。

【図２】本発明に係る靴のアッパー皮と靴底の接合部を
示す縦断面図。

【図３】本発明に係る靴の踵まわりを拡大して示す縦断
面図。

【図４】従来の靴の一例を示す一部破断斜視図。

【図５】従来の靴のアッパー皮と靴底の接合部を拡大し
て示す縦断面図。

【図６】従来の靴の踵まわりを拡大して示す縦断面図。

【符号の説明】

１ アッパー皮 ２ 中底 ２ａ 周辺部 ３ 本底 ４ 細皮 ４ａ 折曲下半部 ４ｂ 上半部 ５ａ、５ｂ 縫い糸 ６ 接着剤 ７ 腰皮 ８ 市皮 ９ 月型芯 １０ 裏皮 １１ 踵の化粧皮

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アッパー皮の周側部における外向折曲部の
   ない下側部と、靴底の上面周辺部との両者に当てた共通
   の細皮の上半部と折曲下半部とをアッパー皮の下側部と
   靴底の上面周辺部とへ一体に縫い付けてなるステッチタ
   イプ靴。