JPH10133362A - 印刷プルーフ用データ作成装置 - Google Patents

印刷プルーフ用データ作成装置

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JPH10133362A
JPH10133362A JP8288825A JP28882596A JPH10133362A JP H10133362 A JPH10133362 A JP H10133362A JP 8288825 A JP8288825 A JP 8288825A JP 28882596 A JP28882596 A JP 28882596A JP H10133362 A JPH10133362 A JP H10133362A
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JP8288825A
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Yoshibumi Dounomae
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低解像度のカラープリンタにより、高解像度の
印刷物上に現れるモアレ、ロゼット等の特異パターンを
予測するとともに、画像のシャープネスを失わずに画像
の色を忠実に再現するカラー印刷プルーフを作成する。 【解決手段】印刷色予測処理部301において印刷の正
確な色が予測され(Xa)、網シミュレーション部30
2において印刷の像構造がシミュレーションされる(X
b)。また、色補正LUT部303とぼけフィルタ33
1において、前記網シミュレーションを行うことによる
色ずれの補正量を得ることができる(Xc′)。これら
の出力を色修正部304において(Xd=Xa・Xb/
Xc′)と合成することで、印刷の正確な色が予測で
き、かつ色ずれの除かれた像構造シミュレーションが正
確に可能で、さらに原画の画像のシャープネスが保持さ
れる印刷プルーフCPd用のデータを作成することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、刷版が装着され
たカラー印刷機により網点画像(網画像ともいう。)に
よるカラー印刷物を作成する前に、カラープリンタ等の
画像出力装置により校正のための印刷プルーフ(印刷校
正刷りともいう。)を作成するシステムに適用して好適
な印刷プルーフ用データ作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、製品としての網点画像からな
るカラー印刷物をカラー印刷機により作成する前に、色
等の校正用のカラー印刷プルーフを、濃度階調方式(連
続階調方式ともいう。)により画素毎の画像を形成する
カラープリンタで作成していた。
【0003】カラー印刷プルーフを作成するために、カ
ラープリンタを使用するのは、カラープリンタが比較的
簡易な構成であって廉価であり、また、カラープリンタ
では、周知のように、カラー印刷機に係る製版フイルム
の作成、刷版等の作成が不要であり、短時間に複数回、
シート上に画像が形成されたハードコピーを容易に作成
できるからである。
【0004】図26は、カラープリンタを利用した従来
の技術によるカラー印刷プルーフの作成方法のフローを
示している。
【0005】まず、画像原稿2上の画像がCCDリニア
イメージセンサ等を有するカラースキャナ等の画像読取
装置によって二次元的に読み取られ、R(赤)、G
(緑)、B(青)の各色毎の階調(連続調)画像データ
Iaが作成される(ステップS1:画像読取過程)。
【0006】次に、このRGBの階調画像データIaが
色変換処理ルックアップテーブル等によりC(シア
ン)、M(マゼンタ)、Y(黄)、K(墨)の各色毎の
4版の網点面積率データ(網%データまたは原画画素網
%データともいう。)aj(j=0、1、2、3:ここ
で、数値0はC色に、数値1はM色に、数値2はY色
に、数値3はK色に、それぞれ対応するものとする。)
に変換される(ステップS2)。この変換は、後に説明
するカラー印刷機との関係により種々の変換が可能であ
り、通常、そのカラー印刷機に対応して各印刷会社それ
ぞれのノウハウになっている。
【0007】このカラー印刷機により作成される画像は
網点画像であり、そのため、実際にカラー印刷物を作成
する際には、色変換処理後の網点面積率データajをビ
ットマップデータに展開し、これを基に製版フイルム等
の作成等を行うが、自動現像機(自現機)等が必要とさ
れ、製版フイルム作成処理工程以降の工程が相当に煩雑
である。
【0008】そこで、カラー印刷プルーフを簡易に作成
するために、上述した理由により、カラープリンタ(以
下、カラーデジタルプリンタともいい、DPともい
う。)3が使用されている。DP3は、濃度階調方式に
より、例えば、3原色に対応するLED(発光ダイオー
ド)またはレーザの発光強度と時間を画素毎にデジタル
的に制御し、色材を有するドナーフイルムに画像を形成
し、これを受像シートに転写し、そのシート上に画像を
形成するものであり、刷版を作成し、これを利用して印
刷するカラー印刷機に比較して相当に廉価である。ま
た、体積も小さく、重量も軽い。
【0009】そこで、DP3を使用するために、ステッ
プS2で作成したCMYKの4版の網点面積率データa
jを、一旦、いわゆるデバイス(印刷、CRT、写真、
LED等)に依存しない(デバイス非依存の)画像デー
タ(共通色空間データとも呼ばれる。)である、例え
ば、3刺激値データX、Y、Zに変換することが必要に
なる。
【0010】このため、CMYKの4版の網点面積率デ
ータajを3刺激値データX、Y、Zに変換する画像デ
ータ処理を画像データ処理部で行う(ステップS4)。
この画像データ処理としては、従来、ノイゲバウア式を
用いる処理が採用されている。
【0011】この場合、予め、測色計により色毎の測色
値データXi、Yi、Zi(iは、CMYKの4版の場
合には、24 色=16色に対応し、i=0〜15とす
る。)を測定(測色)しておく(ステップS3)。この
測定に際しては、まず、カラー印刷機によりカラー印刷
物を作成する際の印刷紙、いわゆる本紙上に16色の各
色を予め印刷する(通常、べた刷りという。)ことで、
いわゆるカラーパッチを作成する。この16色とは、具
体的には、C色、M色、Y色、K色のそれぞれの有無に
対応しており、全部で24 色=16色になる。
【0012】すなわち、何も印刷しないときの印刷紙の
地色であるW(白)色、原色であるC、M、Yのみの各
色、K(墨)色、その他、混色であるC+M、C+Y、
C+K、M+Y、M+K、Y+K、C+M+Y、C+M
+K、C+Y+K、M+Y+K、C+M+Y+Kの各色
の合計16色(16基本色ともいう。)である。印刷紙
上に形成されたこれらの反射色を測色計、例えば、分光
計で測定して測色値データXi、Yi、Ziを得てお
く。
【0013】ノイゲバウア式を用いる処理では、次の
(1)式に示すように、この測色値データXi、Yi、
Ziのそれぞれの係数として面積率データbi(i=0
〜15)が掛けられて画像データ処理後の3刺激値デー
タX、Y、Zが作成される(ステップS4)。
【0014】 X=Σbi・Xi Y=Σbi・Yi Z=Σbi・Zi …(1) ここで、係数である16基本色の面積率データbiは、
網点面積率データajから次の(2)式に示す確率計算
により求められる。
【0015】 b0 =(1−c)(1−m)(1−y)(1−k) b1 = c ・(1−m)(1−y)(1−k) b2 =(1−c)・ m ・(1−y)(1−k) b3 = c ・ m ・(1−y)(1−k) b4 =(1−c)(1−m)・ y ・(1−k) b5 = c ・(1−m)・ y ・(1−k) b6 =(1−c)・ m ・ y ・(1−k) b7 = c ・ m ・ y ・(1−k) b8 =(1−c)(1−m)(1−y)・ k b9 = c ・(1−m)(1−y)・ k b10=(1−c)・ m ・(1−y)・ k b11= c ・ m ・(1−y)・ k b12=(1−c)(1−m)・ y ・ k b13= c ・(1−m)・ y ・ k b14=(1−c)・ m ・ y ・ k b15= c ・ m ・ y ・ k …(2) (2)式では、直感的な理解が得やすいように、網点面
積率データaj(j=0〜3)を、a0=c、a1=
m、a2=y、a3=kと置いている。この場合、c、
m、y、kは各単版の網点面積率データである。(2)
式において、例えば、b3は、C+M色の面積率である
が、これは、C版の存在する確率cと、M版の存在する
確率mと、Y版の存在しない確率(1−y)と、K版の
存在しない確率(1−k)を確率計算的に掛け合わせる
ことで求められる。したがって、(1)式に示すノイゲ
バウア式は確率論に基づく式であると解することができ
る。
【0016】(1)式に基づいて作成された画像データ
処理後の3刺激値データX、Y、ZがDP3に供給さ
れ、DP3では、この3刺激値データX、Y、Zをルッ
クアップテーブル(LUT)に基づきレーザ等に係る3
原色毎のデータ(いわゆるデバイスに依存する画像デー
タであって固有色空間データとも呼ばれる。)に変換し
た後、シート上に画像を形成したハードコピーであるカ
ラー印刷プルーフCPaを作成する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
に、ノイゲバウア式を使用してDP3用の3刺激値デー
タX、Y、Zを作成した場合には、カラー印刷機によっ
て作成されるカラー印刷物上に形成される画像の色を測
色計で測定した測色値を使用しているため、カラー印刷
物の色を前記ハードコピー上の画像に忠実に再現するこ
と、換言すれば、印刷の色予測処理としては充分である
が、カラー印刷物上に現れるモアレ、ロゼット(ロゼッ
トもモアレパターンである。)等の干渉縞に起因する特
異パターンを前記ハードコピー上の画像に再現すること
ができないという問題があった。
【0018】カラー印刷物上で、これらの特異パターン
が現れるのであれば、DP3から出力されるカラー印刷
プルーフCPa上にもその特異パターンを忠実に再現し
たいという要請に基づくものであり、特異パターンが現
れない従来の技術によるカラー印刷プルーフCPaは、
この点に関して、カラー印刷物用の正確な(忠実な)プ
ルーフであるということはできない。
【0019】なお、DP3のハードコピー上の画像に特
異パターンが現れないのは、ノイゲバウア式が上述した
ように確率論に基づく式であることを原因とするものと
考えられる。
【0020】そこで、本願発明者等は、このノイゲバウ
ア式を用いないでカラープリンタ用の入力画像データを
構成する画素データを作成すれば、カラー印刷プルーフ
上で、印刷物特有のモアレ、ロゼット等の特異パターン
を正確かつ忠実に再現することができるのではないかと
いう観点に立ち鋭意考究した結果、特開平8−1925
40号公報に開示しているように、印刷の色を忠実に再
現できるとともに、網点画像に係るモアレ、ロゼット等
の特異パターンをも再現することのできる、この発明の
前提となる技術を着想している。なお、この前提技術
は、この発明を理解するために必須の技術と考えられる
ため、後に詳しく説明する。
【0021】この発明はこのような技術に関連してなさ
れたものであり、比較的廉価で比較的低解像度のカラー
プリンタ等の画像出力装置により、高解像度のカラー印
刷物上に現れるモアレ、ロゼット等の特異パターンを、
より一層忠実に再現することを可能とするとともに、必
要に応じて、特異パターンをより強調して再現すること
を可能とし、さらに、原稿画像上の画像のシャープネス
感を維持することを可能とする印刷プルーフ用データ作
成装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明は、例えば、図
25に示すように、原画の画像データajに基づいて印
刷機により作成される網点画像を有する印刷物12の印
刷プルーフCPdを出力し、かつ前記印刷機の解像度よ
りも低い解像度を有する画像出力装置3用の入力データ
を作成する印刷プルーフ用データ装置において、予め前
記印刷機により印刷した複数のカラーパッチから得た測
色値と、前記原画の画像データとに基づいて、前記原画
の画像データの色を予測する印刷色予測処理部301
と、前記原画の画像データに基づいて前記網点画像の像
構造をシミュレーションする網シミュレーション部30
2と、基準となる画像データに基づいて前記網シミュレ
ーション部による処理を行った後のデータに基づいて、
前記画像出力装置により予備的にカラーパッチを出力
し、このカラーパッチを測色して、前記基準となる画像
データと前記測色値との変換関係を予め記憶する色補正
変換部303と、この色補正変換部の出力側に接続され
るぼけフィルタ部331と、前記印刷色予測処理部と前
記網シミュレーション部と前記ぼけフィルタ部の各々出
力側に接続される色修正部304とを有し、前記印刷色
予測処理部と前記網シミュレーション部と前記色補正変
換部の入力側に、前記原画の画像データが各々供給され
たときに、前記印刷色予測処理部から出力される画像デ
ータをXa、前記網シミュレーション部から出力される
画像データをXb、前記ぼけフィルタ部から出力される
画像データをXc′とし、前記色修正部により処理され
て出力される画像データをXdとしたとき、前記色修正
部の処理を Xd=Xa・Xb/Xc′ または Xd=Xa+(X
b−Xc′) の関係式で行い、結果として得られる画像データXdを
前記画像出力装置の入力データである印刷プルーフ用デ
ータとすることを特徴とする。
【0023】この発明によれば、印刷色予測処理部にお
いて印刷の正確な色が予測され、網シミュレーション部
において印刷の像構造がシミュレーションされ、色補正
変換部とぼけフィルタ部において前記網シミュレーショ
ンを行うことによる色ずれの補正量を得ることができ
る。したがって、これらの出力を色修正部において合成
することで、印刷の正確な色が予測でき、かつ色ずれの
除かれた像構造シミュレーションが正確に可能で、さら
に原画の画像のシャープネスが保持される印刷プルーフ
用データを作成することができる。
【0024】なお、色修正処理を強調することにより、
網点のロゼット等の像構造をより強調して表現すること
ができる。
【0025】また、網シミュレーション部では、いわゆ
る微視的な色予測を行うとともに、画像出力装置の解像
度を原因とするビートの発生を予め除去するために画像
出力装置の解像度の1画素よりも大きい範囲でアンチエ
リアジングフィルタ処理を行うようにしているが、この
ため、出力画像にぼけが生じる。前記ぼけフィルタ部で
は、前記色補正変換部より出力される画像データに対し
て、前記アンチエリアジングフィルタ処理と同等のアン
チエリアジングフィルタ処理を行うようにすることで、
前記色修正処理部における処理により前記出力画像のぼ
けを相殺することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態に
ついて図面を参照して説明する。なお、以下に参照する
図面において、上記図26に示したものと対応するもの
には同一の符号を付け、その説明は適宜省略する。
【0027】また、以下の説明は、 A.一般的にカラー印刷機によりカラー印刷物を作成す
るカラー印刷システムの説明 B.特開平8−192540号公報に開示されたこの発
明の前提となる技術(第1の前提技術)の説明 C.特願平8−179122号明細書に記載されたこの
発明の前提となる技術 (第2の前提技術)の説明 D.この発明の実施の形態の説明の順序で行う。
【0028】A.一般的にカラー印刷機によりカラー印
刷物を作成するカラー印刷システムの説明 図1において、符号11は、一般的なカラー印刷システ
ムの構成を示している。一般的なカラー印刷システム1
1では、画像原稿2上の画像がCCDリニアイメージセ
ンサ等を有するカラースキャナ等の画像読取装置によっ
て2次元的に読み取られ、R(赤)、G(緑)、B
(青)の各色毎の階調画像データIaが作成される(ス
テップS1:画像読取過程)。この場合、CCDリニア
イメージセンサ等のイメージセンサの解像度(第1の解
像度)Re1としては、例えば、Re1=400DPI
(Dot Per Inch)程度が選択される。ここ
でいう、1dot(ドット)は、1画素に対応し、25
6等の階調を有する濃度階調方式による画素を意味して
いる。
【0029】次に、このRGBの階調画像データIaを
構成する各画素データが色変換ルックアップテーブル等
を用いてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄)、K
(墨)の各色毎の4版の網点面積率データ(上述したよ
うに、網%データまたは原画画素網%データともい
う。)ajに変換される(ステップS2:色変換過
程)。この変換は、後に説明するカラー印刷機との関係
により種々の変換が可能であるので、通常、そのカラー
印刷機に対応して各印刷会社それぞれのノウハウになっ
ている。なお、UCR(under−color re
moval)処理を行なわない場合には、RGBの階調
画像データIaをC、M、Yの3版の網点面積率データ
ajに変換すればよい。また、カラー印刷物12上に、
例えば、Y色が存在しない場合には、C、Mの2版の網
点面積率データajに変換すればよいことはもちろんで
ある。
【0030】次いで、画素単位で作成されたCMYK4
版分の網点面積率データajに対して、解像度(第2の
解像度)Re2がRe2=2000DPI程度(ここで
は、理解を容易にするためにRe2=1600DPIと
する。)でCMYK4版のそれぞれに対して所定の網角
度を有する4つの印刷用の閾値マトリクス(閾値テンプ
レートまたは網点テンプレートともいう。)14を参照
し、閾値マトリクス14の各要素中の各閾値と網点面積
率データajの値とを図示していない比較部により比較
して、値「0」または値「1」をとる2値データ、すな
わちビットマップデータbjに変換する(ステップS
5:比較過程)。なお、通常、網角度は、例えば、Y版
用の閾値マトリクス14とM版用の閾値マトリクス14
とでは45°等の角度差を有しており、実際上、網角度
は、例えば、CMYKの4版では、基準に対し、それぞ
れ、75°、45°、0°、15°等の角度差を有して
いる。
【0031】図2は、このステップS5の比較過程(ビ
ットマップ展開過程)について詳しく説明するために閾
値マトリクス14等を模式的に描いた線図である。
【0032】図2において、最上段の左右に描いた2つ
の線図は、400DPIの網点面積率データajの1ド
ットが、1600DPIのビットマップデータbjの1
6ドットに変換されることを表している。
【0033】網点面積率データajの1ドットが、例え
ば、C版であって、網点面積率データajが256階調
で表され、その値がaj=77(%表示では30%に相
当するが、比較処理を行う場合には、通常、77等、階
調値で表される。)であるとすると、これと、C版用の
閾値マトリクス14とが参照される。閾値マトリクス1
4は、例えば、図2に示すような閾値Tがマトリクスの
要素中に適当な順序で配されている。なお、この発明と
は直接的に関係ないので、詳しく説明しないが、この閾
値マトリクス14は仮想的に設定したものであり、例え
ば、0、1、2…254、255の8ビット階調の閾値
Tが中心から渦巻き状に配された1個の網点に対応する
閾値、または、いわゆるスーパーセル(例えば、9個の
網点に対応する1個の閾値)のそれぞれ相当する一部分
を抽出して再構成したものである。
【0034】図2において、ビットマップデータbjへ
の展開、すなわち、2値データ化は、周知のように、次
の(3)式、(4)式に示すように行われる。
【0035】 aj≧T → 1(黒化) …(3) aj<T → 0(非黒化) …(4) このようにして図2の最下段に示すC版の当該1画素
(網点面積率データajがaj=30%の画素)に対す
るビットマップデータbjが作成される。なお、上述の
ように、C版用の閾値マトリクス14に対してM、Y、
K版用の閾値マトリクス14は選択可能な所定の網角度
を有している。
【0036】次に、このようにして作成したビットマッ
プデータbjに基づき、写植機、自動現像機等による各
処理を行い(ステップS6:版作成過程)、版下として
の網点画像を有する4版の製版フイルム16、PS版
(刷版ともいう。)17を作成する。
【0037】最後に、この刷版17を用いて輪転機等を
有するカラー印刷機により網点画像で形成されたカラー
印刷物12を作成する(ステップS7:印刷過程)。
【0038】このカラー印刷物12上の網点画像には、
網角度の異なる閾値マトリクス14を用いたことによっ
て発生するモアレ、ロゼット等の特異パターンが現れ
る。
【0039】以上の説明が、A.一般的にカラー印刷機
によりカラー印刷物を作成するカラー印刷システムの説
明である。
【0040】B.特開平8−192540号公報に開示
されたこの発明の前提となる技術(第1の前提技術)の
説明 この特開平8−192540号公報で開示された発明
は、カラー印刷物12のモアレ、ロゼット等の特異パタ
ーンに係る像構造を予め確認するための印刷プルーフ
を、印刷機ではなく、簡易にDP3により作成する技術
に関するものである。この技術の理解の容易化のため
に、まず、図1中、アンチエリアジングフィルタ処理過
程(ステップS14)について説明する。
【0041】このアンチエリアジングフィルタ処理過程
は、DP3の解像度(第3の解像度または出力解像度と
もいう。)Re3(この実施の形態では、Re3=40
0DPI)でカラー印刷プルーフCPbを作成しようと
するとき、このDP3の解像度Re3を原因とするエリ
アジング雑音(折り返し雑音)の発生を予め回避するた
めに挿入した過程である。アンチエリアジングフィルタ
処理を有効に行うためには、アンチエリアジングフィル
タがかけられる原信号である画像データの解像度(第5
の解像度)Re5がDP3の解像度Re3=400DP
Iより高い解像度になっていることが必要である。この
実施の形態では、その解像度(中間解像度ともいう。)
Re5をRe5=1600DPIとする。
【0042】アンチエリアジングフィルタのマトリクス
(ここでは、要素数がn×nの正方マトリクスを考え
る。)の構成について考える。
【0043】解像度1600DPI(=Re5)の画像
データを解像度400DPI(=Re3)の画像データ
に変換する場合、400DPIの1ドット(1画素)が
1600DPIの16ドット(4画素×4画素)に対応
することからアンチエリアジングの効果を考えない場合
のフィルタの最小限の要素数は4×4である。
【0044】そして、エリアジング雑音をできるだけ小
さくするためには、アンチエリアジングフィルタの要素
数は大きければ大きいほど望ましいが、演算速度、ハー
ドウエア等との関係で限界がある。
【0045】一方、色情報はノイゲバウア式によって再
現できることからも類推されるように、直流成分を含む
比較的低周波の成分を通過させる必要性から、直流成分
の近傍ではできるだけ挿入損失が発生しないような周波
数特性にする必要がある。したがって、マトリクスの中
心の応答が0dBになることが理想である。
【0046】また、モアレ等の干渉縞成分{網周波数
(スクリーン線数)成分の1/2以下の成分}はアンチ
エリアジングフィルタ処理を行ってもすべて残すように
したい。
【0047】さらに、アンチエリアジングフィルタの減
衰特性が急峻であると、このアンチエリアジングフィル
タ処理を行うことによる新たな特異パターンが現れてし
まうことも考慮しなければならない。
【0048】図3は、このような観点を総合して作成し
た要素数が9×9のアンチエリアジングフィルタAFの
構成を示している。なお、各要素をdijで表すとき、
各要素dijの値(フィルタ係数ともいう。)は全部加
えて1.0にする必要性があることから、各要素dij
の実際の値は各要素dijの総和(Σdij)で割って
おく。このように構成したアンチエリアジングフィルタ
AFのフィルタ係数の配置は、図3から分かるように、
その中央部分から外方に向かうにしたがってほぼ釣り鐘
状的に単調減少的に減衰する周波数特性になっている。
【0049】図4は、このアンチエリアジングフィルタ
AFの周波数特性を示している。図4において、横軸は
解像度を示し、DP3の解像度Re3=400DPIを
値1.0に規格化している。したがって、網周波数であ
るスクリーン線数(175線)は、値0.44(175
/400)に規格化される。縦軸は応答を示し、図3
中、中央の要素d55=121を値1.0に規格してい
る。
【0050】図3例では、図4から分かるように、解像
度1.0において、応答は約0.23であり、解像度
0.44において、応答は、約0.77である。
【0051】なお、種々の例を検討した結果、解像度が
網周波数(スクリーン線数に相当する。)のときに応答
が0.5(50%)以上で、解像度がカラーデジタルプ
リンタであるDP3の解像度1.0であるときに応答が
0.3(30%)以下であれば、カラー印刷物12に現
れるモアレ等の特異パターンをカラー印刷プルーフCP
bで再現できることが分かり、かつエリアジング雑音を
視認できない程度にできることが分かった。
【0052】以上の説明がアンチエリアジングフィルタ
AFのマトリクス{ここでは、要素数がn×n(9×
9)の正方マトリクスとする。}の構成の説明である。
【0053】ステップS14のアンチエリアジングフィ
ルタ処理過程後に得られる画像データは、解像度が40
0DPI(=Re3)である共通色空間上の画像データ
(デバイス非依存の画像データ)、例えば、3刺激値デ
ータ(第2の3刺激値データという。)X′、Y′、
Z′になる。
【0054】アンチエリアジングフィルタAFによる処
理がかけられる画像データ(第1の3刺激値データX、
Y、Z)の解像度は1600DPIに選択しているが、
この画像データの1ドットは、2値データではなく、共
通色空間上の画像データ、例えば、3刺激値データX、
Y、Zである。
【0055】この第1の3刺激値データX、Y、Zをノ
イゲバウア式を用いないで作成するため、ステップS2
の色変換処理過程で得られた網点面積率データajと閾
値マトリクス(これも、閾値テンプレートまたは網点テ
ンプレートともいう。)24を構成する各閾値とを図示
していない比較器で比較して、印刷のビットマップデー
タbj(=1600DPI)より高い解像度の2値デー
タであるビットマップデータb′jに変換する(ステッ
プS10)。
【0056】この場合、閾値マトリクス24に係るスク
リーン線数は印刷の場合と同じスクリーン線数であるこ
とがモアレ等を再現するために必須である。ここでは、
スクリーン線数は175線とする。一方、解像度を上げ
るために、網点を作成するための閾値マトリクス24と
して要素数256×256=65536の閾値マトリク
ス24を用いる。なお、各要素中の閾値Tとしては、例
えば、値0〜255をとるようにする。
【0057】このようにして作成したCMYK4版分の
ビットマップデータb′jの解像度(第4の解像度)R
e4はRe4=44800(256×175)DPIで
ある。
【0058】44800DPIのビットマップデータ
b′jを解像度Re5=1600DPIの第1の3刺激
値データX、Y、Zに変換するためには、ビットマップ
データb′jの28×28ドットを第1の3刺激値デー
タX、Y、Zの1ドットに変換すればよい(ステップS
11)。
【0059】このステップS11を分かり易く説明する
ために、C版のビットマップデータb′jの28×28
ドット分を図5Aに示し、M版のビットマップデータ
b′jの28×28ドット分を図5Bに示す。図5A、
図5B中、図示していない要素の値は全て値「0」であ
ると仮定する。また、残りのY版、K版のビットマップ
データb′jの各要素もすべて値「0」であると仮定す
る。
【0060】そこで、28×28ドットについて、CM
YK4版分のビットマップデータb′j(ここでは、C
版とM版の2版分のビットマップデータb′jでよいこ
とはいうまでもない。)を同時に参照して、色毎(版数
が4版であるので24 色の各色毎)の面積率ciを数え
上げ部27で数え上げる処理を行う(ステップS12:
数え上げ過程)。
【0061】図5A、図5B例の画素(28×28ドッ
ト対応)において、色毎の面積率ciは、次のように算
出される。
【0062】C色:ci=cC =3/784(面積率c
C はC版とM版とを重ねて透過的に見た場合、C色のみ
が存在している部分を表し、C色とM色の重複している
部分はC+M=B色の面積率cC+M とする。) C+M色:cC+M =2/784 W色:cW =779/784(C版とM版とを重ねて透
過的に見た場合、C色とM色のいずれの色も存在しない
部分) 残りの色(Y色、K色等の13色分)についての面積率
ciはゼロ値である。このようにして1600DPIの
第1の3刺激値データX、Y、Zを作成する。
【0063】次に、従来の技術の項で詳しく説明したス
テップS3の処理(カラー印刷物12上に印刷された1
6色のべた色を測色計により測色する処理)により予め
測色しておいた色毎の測色値データXi、Yi、Zi
(iは、CMYKの4版の場合には、24 色=16色)
に対してステップS12で数え上げた色毎の面積率ci
を重み係数として加重平均部23により平均測色値デー
タである第1の3刺激値データX、Y、Zを(5)式に
示すように求める(ステップS13)。言い換えれば、
測色値データXi、Yi、Ziを色毎の面積率ciで加
重平均して第1の3刺激値データX、Y、Zを求める。
【0064】 X=Σci・Xi =(3/784)XC +(2/784)XC+M +(779/784)XW Y=Σci・Yi =(3/784)YC +(2/784)YC+M +(779/784)YW Z=Σci・Zi =(3/784)ZC +(2/784)ZC+M +(779/784)ZW …(5) 784(28×28)ドット毎の数え上げ処理(ステッ
プS12)と加重平均処理(ステップS13)を448
00DPIのビットマップデータb′jの全範囲で行う
ことにより、1600DPIの第1の3刺激値データ
X、Y、Zが得られる。
【0065】次に、このようにして得られた1600D
PIの第1の3刺激値データX、Y、Zに上述のアンチ
エリアジングフィルタAFを使用したアンチエリアジン
グフィルタ処理を行い、アンチエリアジングフィルタ処
理後のDP3の解像度に等しい400DPIの第2の3
刺激値データX′、Y′、Z′を作成する(ステップS
14)。
【0066】図6は、このアンチエリアジングフィルタ
処理の詳細な説明に供される線図である。図6Aに示す
ように、1600DPIの第1の3刺激値データX、
Y、Zの左上の9×9ドット分に対して図3に示した要
素がdijで表される9×9のアンチエリアジングフィ
ルタAFを対応させ、対応する各要素を掛け算して、そ
れらの総和を求めてアンチエリアジングフィルタ処理を
行う。すなわち、第1の3刺激値データX、Y、Zの各
要素をeij(X、Y、Zのそれぞれ)と表すとき、第
1の3刺激値X、Y、Zのそれぞれに対してΣ(dij
×eij)を求め、それぞれの値を解像度400DPI
の第2の3刺激値データX′、Y′、Z′とする。な
お、上述したようにアンチエリアジングフィルタAFの
総和はΣdij=1に規格化しているが、小数を含む掛
け算は時間がかかるので、アンチエリアジングフィルタ
AFの各要素の値は図3に示した値をそのまま用いて、
d′ijとするとき、Σ(d′ij×eij)/Σd′
ijとしてアンチエリアジングフィルタ処理後の値を求
めてもよい。
【0067】この場合、アンチエリアジングフィルタ処
理では、解像度1600DPIの第1の3刺激値データ
X、Y、Zを解像度400DPIの第2の3刺激値デー
タX′、Y′、Z′に変換するのであるから、第1の3
刺激値データX、Y、Zに対する2回目のアンチエリア
ジングフィルタ処理は、図6Bに示すように、アンチエ
リアジングフィルタAFを第1の3刺激値データX、
Y、Zの4ドット分を、例えば、右側にずらして行えば
よい。以下、同様にして4ドット分ずつずらしてアンチ
エリアジングフィルタ処理を行い、アンチエリアジング
フィルタAFの右端が第1の3刺激値データX、Y、Z
の右端に等しい位置でアンチエリアジングフィルタ処理
を行った後には、図6Bに示す上から5番目の要素e51
にアンチエリアジングフィルタAFの要素d11を対応さ
せて行い、以下同様にして要素e16 001600と要素d99
が対応するまで4ドット分ずつずらしてアンチエリアジ
ングフィルタ処理を行うことで、1600DPIの第1
の3刺激値データX、Y、Zの解像度を低下させて40
0DPIの第2の3刺激値データX′、Y′、Z′を得
ることができる。
【0068】このようにして作成された数え上げ処理お
よびアンチエリアジングフィルタ処理後の第2の3刺激
値データX′、Y′、Z′がDP3に供給され、DP3
では、この新たな3刺激値データX′、Y′、Z′、言
い換えれば、共通色空間データを前記LED等に係る3
原色毎の画素データ、言い換えれば、固有色空間データ
にルックアップテーブル(LUT)等で変換した後、シ
ート上に画像を形成したハードコピーであるカラー印刷
プルーフCPbを作成する。なお、共通色空間データを
固有色空間データに変換する変換手段(変換テーブル)
であるLUTは、DP3の外部に配してもよいことはい
うまでもない。
【0069】このように、以上説明した第1の前提技術
によれば、図7に総括的に示すように、画像原稿2から
作成され、3原色を含む少なくとも3版分の解像度が4
00DPIの網点面積率データajのそれぞれに対して
網点画像が形成されるカラー印刷物12の解像度160
0DPIよりも高い解像度44800DPIを有する閾
値マトリクス24を参照し、それぞれビットマップデー
タb′jに変換する。次に、それぞれのビットマップデ
ータb′jを同時に参照して、色毎(前記版数がn版で
あるとき2n 色の各色毎)の面積率ciをビットマップ
データb′jの一定範囲(28×28ドット)毎に数え
上げる。次いで、予め求めておいた色毎の測色値データ
Xi、Yi、Ziに対して数え上げた面積率ciを重み
係数として平均測色値データである解像度が400DP
Iの第1の3刺激値データX、Y、Zを計算する。計算
した第1の3刺激値データX、Y、Zに対して、DP3
の画素より大きい範囲である9×9ドットの大きさのア
ンチエリアジングフィルタAFを4ドット分ずつずらし
て処理を行い、解像度が400DPIのDP3の画素に
対応する第2の3刺激値データX′、Y′、Z′に変換
する。この第2の3刺激値データX′、Y′、Z′をD
P3の固有色空間データであるRGB画像データにLU
T等で変換する。これをDP3用の画素データとする。
【0070】このようにして作成した画素データを基に
DP3で作成したハードコピー上の画像、すなわち、カ
ラー印刷プルーフCPbは、カラー印刷物12と色が一
致するのはもちろんのこと、網点画像に現れる特異パタ
ーンも再現し得る。すなわち、カラー印刷プルーフCP
b上には、カラー印刷物12上に現れるのとほぼ等しい
モアレ、ロゼット等の特異パターンも忠実に再現され
る。
【0071】この場合、DP3の解像度が400DPI
と比較的に低い値であるのにもかかわらず、2000D
PI(この実施の形態では1600DPIと仮定してい
る。)の解像度を有するカラー印刷機で作成されたカラ
ー印刷物12上に現れるとのほぼ等しいモアレ、ロゼッ
ト等の特異パターンをカラー印刷プルーフCPb上に再
現することができる。また、アンチエリアジングフィル
タ処理をかけているので、DP3の解像度を原因として
発生するエリアジング雑音(画像上ではビートによる特
異パターンとも呼ばれる。)、言い換えれば、DP3を
使用することによる網周期とプリンタの解像度(DP3
の解像度)との干渉に基づく偽の像構造をも取り除くこ
とができる。
【0072】したがって、この図1例によれば、カラー
印刷物12上に現れる特異パターンに忠実なカラー印刷
プルーフCPbを簡易な構成で廉価に作成することがで
きる。また、色の再現性については測色値データXi、
Yi、Ziを用いているのでカラー印刷物12上の色を
忠実に再現できる。
【0073】なお、上述の例においては、測色値データ
Xi、Yi、Ziを用いて平均測色値データである第1
および第2の3刺激値データX、Y、Z、X′、Y′、
Z′を作成しているが、これに代替して色度値データま
たは濃度値データ等を用いて平均測色値データを作成し
てもよい。要は、デバイスに依存しない色空間(共通色
空間)上で測定したデータを用いて共通色空間上の平均
測色値データを作成するようにすればよい。
【0074】また、閾値マトリクス14、24の配列と
しては、網点の配列がランダムな、いわゆるFMスクリ
ーンを用いた場合でも、本発明を適用してカラー印刷プ
ルーフを作成することができる。
【0075】実際にノイゲバウア式を用いてDP3(本
実施の形態では、DP3として、富士写真フイルム株式
会社製の型式「ピクトログラフィ3000」を用い
た。)で作成したカラー印刷プルーフCPb上の画像
と、実際にカラー印刷機を用いて作成した印刷紙上の画
像と、この実施の形態に基づいて上記DP3で実際に作
成したカラー印刷プルーフCPb上の画像とを比較した
ところ、本第1の前提技術に基づいてDP3で実際に作
成したカラー印刷プルーフCPb上の画像では、カラー
印刷機を用いて作成したカラー印刷物12上の画像に現
れるモアレ、ロゼット等の特異パターンを忠実に再現で
き、その他、ざらつき感、ジャンプ感についても、ノイ
ゲバウア式を用いてDP3で作成したカラー印刷プルー
フCpa上の画像に比較して、カラー印刷機で作成した
印刷紙上の画像により近い感じの画像を作成することが
できた。なお、この比較時のカラー印刷物12のスクリ
ーン線数は175線であり、CMYK4版の網角度は、
上述したようにそれぞれ75°、45°、0°、15°
である。
【0076】以上の説明が、B.特開平8−19254
0号公報に開示された、この発明の前提となる第1の技
術の説明である。
【0077】C.特願平8−179122号明細書に記
載されたこの発明の前提となる技術 (第2の前提技術)の説明 図1を参照して説明したステップS10におけるビット
マップデータb′jへの展開処理(網展開処理ともい
う。)と、これに続くステップS11のデータ処理を、
併せて微視的色予測処理と呼ぶ。この微視的色予測処理
は、DP3の解像度Re3=400DPIの解像度画素
(解像度画素は解像度1画素ともいう。)の大きさ{6
3.5(25400μm/400DPI)μm×63.
5μm}の数分の1の大きさ{例えば、15.9(25
400μm/1600DPI)μm×15・9μm}を
持つ中間解像度(Re5=1600DPI)画素(中間
解像度1画素ともいう。)の第1の3刺激値データX、
Y、Zを求める処理であるといえる。
【0078】すなわち、第1の3刺激値データX、Y、
Zを求める場合には、まず、中間解像度1画素をもっと
小さい微小エリア[上述の解像度Re4=44800D
PIの1ドット{ドットの大きさは、0.567(25
400μm/44800DPI)μm×0.567μ
m}]で構成される28ドット×28ドット(図5A、
図5B参照)に分け、その微小エリアの各々が16原色
のどの色であるかを調べる。そして、調べた16原色の
点の数を中間解像度画素毎に集計し(上述のステップS
12の数え上げ処理)、その点の数の重みで予め測定し
てある16原色の3刺激値データXi、Yi、Ziを重
み付け平均することで中間解像度1画素の第1の3刺激
値データX、Y、Zを求める。この場合、16原色の色
毎の面積率ci、すなわち、存在確率をPiとすると、
上述の(5)式に対応した次の(6)式により第1の3
刺激値データX、Y、Zを求めることができる。
【0079】 X=Σ(Pi×Xi)、(i=1〜16)、Y、Zも同様 …(6) ところで、この微小エリアの各点が何色であるかは、ス
テップS10の比較処理として説明したように、閾値マ
トリクス24の閾値TとCMYKの網点面積率データa
jの値(網%:網点面積率)を比較することで簡単に求
めることができるが、中間解像度画素の色の精度を確保
するには、微小エリアの数を28×28ドット等、非常
に多くしなければならないため計算に長時間を要してい
る。そこで、本願発明者等は、これを解消するために、
累積ヒストグラムを用いる簡便な手法を考案した。
【0080】この簡便な手法は、中間解像度画素毎に存
在確率(網存在確率ともいう。)Piを、例えば、上述
したノイゲバウア式のような確率的な近似法で求める。
すなわち、次の(7)式により存在確率Pi(i=1〜
16)を求める。
【0081】 P1 =(1−Pc)(1−Pm)(1−Py)(1−Pk) P2 = Pc ・(1−Pm)(1−Py)(1−Pk) P3 =(1−Pc)・ Pm ・(1−Py)(1−Pk) P4 = Pc ・ Pm ・(1−Py)(1−Pk) P5 =(1−Pc)(1−Pm)・ Py ・(1−Pk) P6 = Pc ・(1−Pm)・ Py ・(1−Pk) P7 =(1−Pc)・ Pm ・ Py ・(1−Pk) P8 = Pc ・ Pm ・ Py ・(1−Pk) P9 =(1−Pc)(1−Pm)(1−Py)・ Pk P10= Pc ・(1−Pm)(1−Py)・ Pk P11=(1−Pc)・ Pm ・(1−Py)・ Pk P12= Pc ・ Pm ・(1−Py)・ Pk P13=(1−Pc)(1−Pm)・ Py ・ Pk P14= Pc ・(1−Pm)・ Py ・ Pk P15=(1−Pc)・ Pm ・ Py ・ Pk P16= Pc ・ Pm ・ Py ・ Pk …(7) このとき用いるC、M、Y、K各色の存在確率Pc、P
m、Py、Pkは、地道な方法では、網点面積率データ
ajと閾値マトリクス24の各閾値Tと比較して求める
のであるが、この比較if(aj>T:ajがTよりも
大であるならばの意、ajは、C、M、Y、K、したが
って、aj>Tは、C>T、M>T、Y>T、K>Tの
各比較を意味する。ここで、C、M、Y、Kは網%値、
Tは閾値である。)の際の値C(M、YまたはK)は、
中間解像度レベルでは同じ値であるが、閾値Tは微小エ
リアの位置によって変わる。そこで、ステップS10に
おける比較if(aj>T)を中間解像度毎にまとめて
処理することで処理を高速化する。そのためには、中間
解像度1画素分の微小エリアの数、すなわち、28ドッ
ト×28ドット(28閾値×28閾値)毎の閾値Tの累
積ヒストグラムを作成すればよい。累積ヒストグラムの
縦軸は累積度数であるが、この累積度数は存在確率Pi
に対応する。
【0082】この場合、上述の比較if(aj>T)
{「網点面積率ajが閾値Tより大きい場合の微小エリ
アの数は、」と解釈する。}を中間解像度1画素を構成
する全微小エリアに施した結果は、ヒストグラムhis
t[T]において、閾値Tが網点面積率aj以下の微小
エリアの合計値であるΣhist[T](Tはaj以
下)に等しいことが理解される。
【0083】したがって、各中間解像度1画素分のエリ
ア毎に計算したヒストグラムhist[T]から累積ヒ
ストグラムruihist[T]を作成しておくことに
より、例えば、C色の存在確率Pcは、次の(8)式で
求めることができる。
【0084】 Pc=ruihist[C色のaj値]=Σhist[T] (TはC色のajの値以下の値) …(8) 同様にして、累積ヒストグラムruihist[M色の
aj値]、ruihist[Y色のaj値]、ruih
ist[K色のaj値]を作成しておくことにより、存
在確率Pm、Py、Pkを短時間で簡単に求めることが
できる。
【0085】したがって、この結果として、中間解像度
画素毎に、上述の(7)式により存在確率Pi(i=1
〜16)を求めることができ、上述の(6)式により第
1の3刺激値データX、Y、Zを求めることができる。
【0086】図8は、累積ヒストグラムを用いる第2の
前提技術の構成を示している。
【0087】なお、この第2の前提技術において、実際
には、後述する累積ヒストグラム強調処理(ステップS
20:図8参照)を行うことから、累積ヒストグラム作
成処理(ステップS19)の前処理として、閾値マトリ
クス24に対しての低域通過フィルタ処理(一種のアン
チエリアジング処理:ステップS18)を行うが、理解
の容易化のために、まず、累積ヒストグラム作成処理
(ステップS19)について説明する。
【0088】この累積ヒストグラムを作成する場合に
は、図9に模式的に示すように、まず、175LPI
(Line Per Inch)の1ドットの大きさ
{145(25400μm/175LPI)μm×14
5μm}、言い換えれば、網点1個の大きさの閾値マト
リクス24を準備する。この閾値マトリクス24は、4
4800DPIの解像度で作成されているので、要素数
(微小エリア32の数)は、256(14.5μm÷0
0567μm)×256個になっている。閾値マトリク
ス24中の閾値Tの配列は、例えば、中央部の閾値Tが
T=0となっており、その中央部から周辺に向かって渦
巻き状に閾値Tが増加し、4隅(4頂点)の閾値TはT
=255になっている。各辺の中点で、閾値Tの値はT
=128程度である。256×256個の閾値Tは、閾
値TがT=0、1、2、……、255の各256個であ
る。なお、実際上は、複数の閾値マトリクス24が並べ
て配される。そして、この複数の閾値マトリクス24が
並べられた空間上に原画画素網%データajからなる画
素が並列的に敷き詰められた原画(原画画素データ)が
仮想的に重ねられて後述するように原画を構成する各画
素の網位置(網上の位置)が決定される。
【0089】累積ヒストグラムは、引数を2つとるもの
を作成する。引数の1つは網%データ(単に網%ともい
う。)ajであって、もう1つの引数は、閾値マトリク
ス24上の、換言すれば、網空間上の位置である。この
網空間上の位置は、以下に説明するように閾値Tで代用
される。なお、以下、網空間上の位置を代用する閾値T
は、閾値(中心閾値)thとして説明する。
【0090】すなわち、網空間上での位置は、本来は、
1600DPI網空間(x,y)で表される2次元座標
であるが、これを使用して累積ヒストグラムを作成した
場合、累積ヒストグラムは、座標(x,y,aj)で表
される3次元の関数となり取り扱いが繁雑である。そこ
で、1600DPI網空間上の座標(x,y)、すなわ
ち網位置の代わりに、閾値マトリクス24上の閾値th
で代用する。
【0091】1600DPI網空間(x,y)座標か
ら、閾値マトリクス24上の閾値thへの対応は一意に
決定される。したがって、原画画素網%データajに係
る1600DPI網空間上の座標(x,y)を4480
0DPIの閾値マトリクス24上の座標(x′,y′)
に変換し、この座標(x′,y′)をインデックスとし
て閾値マトリクス24上の閾値thの値を調べればよ
い。
【0092】例えば、1600DPI空間(上述したよ
うに、解像度を400DPIから1600DPIに変換
処理後の原画上の空間)での位置が、座標(x″,
y″)にあり、網%ajがaj=c=10である画素
(原画画素)の網存在確率Pcを求める場合には、ま
ず、座標(x″,y″)に基づいて1600DPI空間
上の閾値thを求める。
【0093】座標(x″,y″)を閾値マトリクス24
の空間(AmiTempとする。)での座標(x,y)
に変換する場合には、印刷する線数をLPI(ここで
は、LPI=175)、網角度をθとするとき、次の
(9)式に示す簡単な座標変換によって得られる。
【0094】 x=(x″cosθ+y″sinθ)・1600.0/175.0 y=(x″sinθ−y″cosθ)・1600.0/175.0 …(9) このようにして得られた座標(x,y)から次の(1
0)式により閾値マトリクス24上の位置が確定し、そ
の位置の閾値thを読み出せばよい。
【0095】 AmiTemp〔{(int)(x・256)}%256,{(int)( y・256)}%256〕=th …(10) (10)式中、「(int)」は小数部を切り捨てて整
数化する演算を、「%」は剰余演算を意味し、したがっ
て、「{(int)(x・256)}%256」は、
「{(int)(x・256)}」を256で割った剰
余を意味する。
【0096】このようにして求めた中心閾値th(例え
ば、175)と網%aj=c=10とを各々引数、すな
わちインデックスとして累積ヒストグラムを引き、いわ
ゆる網存在確率Pcを求めることができる。
【0097】したがって、Pc=ruihist[t
h][aj]であり、例えば、P10=ruihist
[175][10]である。
【0098】累積ヒストグラムruihist[th]
[aj]は、閾値マトリクス24上の閾値thがth=
0〜255(網空間上の位置)の値毎に、その値を中心
として、閾値マトリクス24上の28×28個の閾値T
からヒストグラムhist[th]を作成し、次にこの
ヒストグラムhist[th]から累積ヒストグラムr
uihist[th]を作成する。
【0099】この場合、ヒストグラムhist[th]
と累積ヒストグラムruihist[th]は、図9に
示すように、閾値Tが各々1個割り当てられている微小
エリア32の数256×256個の閾値マトリクス(網
点テンプレート)24中、正方形で示す中間解像度1画
素分のエリア31、すなわち、微小エリア32の28×
28個分で隣りの画素(隣接画素)とオーバラップしな
い(重ならない)ように区切って、CMYK各色に対し
て各中間解像度1画素分のエリア31毎に、閾値T(2
8×28個)の度数を計算してヒストグラムhist
[th](th=T=0、1、2、……、255)を作
成し、このヒストグラムhist[th]から累積ヒス
トグラムruihist[th]を作成する。
【0100】図10において、図10(a)〜図10
(c)は、各々閾値マトリクス24の頂点付近の閾値t
hがth=255の近傍で作成したヒストグラムhis
t[255]、閾値マトリクス24の辺の中心付近の閾
値thがth=128の近傍で作成したヒストグラムh
ist[128]、および閾値マトリクス24の中心付
近の閾値thがth=0の近傍で作成したヒストグラム
hist[0]の例を示し、図10(d)〜図10
(f)の実線で示す特性(符号を前としている)は、各
々図10(a)〜図10(c)のヒストグラムhist
[255]、ヒストグラムhist[128]、ヒスト
グラムhist[0]に対応した累積ヒストグラムru
ihist[255]、累積ヒストグラムruihis
t[128]、累積ヒストグラムruihist[0]
の模式的な形状を示している。なお、累積ヒストグラム
ruihist[255]、累積ヒストグラムruih
ist[128]、累積ヒストグラムruihist
[0]の縦軸は、累積度数であるが、その値は、存在確
率(網の存在確率)と考えることができ、T=255の
とき、存在確率=1である。また、横軸は、閾値Tであ
るが、この閾値Tは、引数としての網%ajの値にも対
応する。
【0101】このようにして累積ヒストグラムを作成す
ることができるが(ステップS19)、ロゼットパター
ンのコントラストを忠実に再現するために、次のステッ
プS20による累積ヒストグラムの強調処理を行うと、
その副作用として、中間解像度1画素の大きさに対応し
た特異パターンがビートとして現れてしまう場合がある
ので、累積ヒストグラムの作成処理(ステップS19)
の前に、ガウシャンフィルタ等の低域通過フィルタによ
り、中間解像度1画素よりも大きい範囲で閾値マトリク
ス24を構成する各閾値Tに対してフィルタをかけてお
くようにしている(ステップS18:図8参照)。
【0102】すなわち、上記の説明では、累積ヒストグ
ラムruihist[th]を作成するいわゆる積分エ
リアとして、中間解像度1画素分のエリア31とし、図
9に示すように、隣接する中間解像度1画素のエリア3
1とはオーバーラップしないようなエリアとしていた
が、隣り合う中間解像度1画素のエリア31と重なる
(重複する。オーバーラップする。)エリアの範囲で以
下に説明する低域通過フィルタ処理を行った後、中間解
像度1画素分のエリア31で累積ヒストグラムruih
ist′[th]を作成する。
【0103】例えば、図11に示すように、中間解像度
1画素分を含むエリア35として、正方形の中間解像度
1画素分のエリア31(図9参照)の対角線の長さ+α
が直径の長さとなる円形等の中間解像度1画素分を含む
エリア35で低域通過フィルタ処理を行う。
【0104】低域通過フィルタ処理の例として、図1
2、図13に示すような大きさ(エリア)を有するガウ
シャンフィルタ36を使用する。なお、図13は、図1
2に示すガウシャンフィルタ36全体のうち、ハッチン
グを施した左上部分36aに配される係数(値99〜値
0)の構成を示している。左下部分36bの構成は、左
上部分36aの係数(要素)を上下逆にすればよく、同
様に右上部分36cの構成は左右逆に、右下部分36d
の構成は上下左右とも逆の構成とすればよい。結局、ガ
ウシャンフィルタ36は、中心36eから外側に向かっ
て、値(重み)がガウシャン関数形状に応じて小さくな
るフィルタである。なお、各係数の実際の値は、ガウシ
ャンフィルタ36を構成する全係数の和が1.00に規
格されるように、全係数の和で各係数を割った値を使用
する。
【0105】この例のガウシャンフィルタ36の大きさ
は44800DPI空間{175線の1個の網を256
×256の格子(微小エリア)に分解した空間}上で5
6×56個である。したがって、1600DPI1画素
(256×175線/1600DPI=28)のちょう
ど縦横各2倍のサイズになる。
【0106】ステップS18のフィルタ処理過程では、
閾値th(0〜255)の各位置毎にこのガウシャンフ
ィルタ36の中心を合致させて対応する要素の閾値Tの
値とガウシャンフィルタ36の係数とを掛けて閾値Tを
変換する。そして、変換した閾値Tについて、その56
×56個のエリアの中央の28×28個のエリアで、上
述したように、最終的に存在確率Piに変換した累積ヒ
ストグラムruihist[th]を作成する(ステッ
プS19)。したがって、この累積ヒストグラムrui
hist[th]の数も256個になる。なお、この実
施の形態では、繁雑さを避けるためにガウシャンフィル
タ36による処理後の累積ヒストグラムrihist
[th]の例を図10(d)〜図10(f)の実線の特
性で示したものとする。
【0107】次に、ステップS20の累積ヒストグラム
の強調処理を行う。この場合、図10に一部(th=
0、th=128、th=255の3個)を示した25
6個の累積ヒストグラムruihist[0]〜[25
5]を閾値thの順に束ねて模式的に描いたものを図1
4に示す。図14において、X軸、Y軸、Z軸はそれぞ
れ閾値T(網%aj)、中心閾値th、存在確率Piに
対応している。
【0108】次に、図15は、図14において、X軸と
Y軸を交換して累積ヒストグラムruihist[0]
〜[255]の束を描いた図である。この図15におい
て、例として、閾値T(網%ai)がT=aj=5での
断面とT=aj=200での断面を描いている。
【0109】累積ヒストグラムの強調処理は、256個
の累積ヒストグラム[0]〜[255]の全てに適用す
るものであるが、例として、閾値T(網%aj)がT=
aj=200での断面の包絡線、すなわち、強調処理前
の累積ヒストグラムruihistP[200](図1
5も参照)と強調処理後の累積ヒストグラムruihi
stQ[200]を図16に示す。なお、図16におい
て、一点鎖線で示す網%ajがaj=200の断面での
平均累積度数(平均存在確率)Mrui[200]は、
次の(11)式で計算される。
【0110】 Mrui[200]=(1/256)ΣruihistP[200] …(11) (11)式において、Σは、th=0〜255について
の総和を意味する。
【0111】この実施の形態では、図16に示す平均累
積度数Mrui[200]から強調処理前累積ヒストグ
ラムruihistP[200]までの間隔をaとし、
強調処理前累積ヒストグラムruihistP[20
0]から強調処理後累積ヒストグラムruihistQ
[200]までの間隔をbとしたとき、強調処理後の累
積ヒストグラムruihistQ[200]を、次の
(12)式で求めている。
【0112】 ruihistQ[200]=〔{ruihistP[200]−Mrui [200]}×(a+b)/a〕+Mrui[200] …(12) 図16からも理解されるように、強調後累積ヒストグラ
ムruihistQ[200]は、平均累積度数Mru
i[200]を基準線と考えたとき、その基準線からの
差が強調前累積ヒストグラムruihistP[20
0]に比較して広がるようにされたものである。
【0113】(12)式において、増幅度(強調度とも
いう。)(a+b)/bは、1より大きな値であって、
DP3で使用されるビームの広がり等を考慮して実験的
に定めることができる。
【0114】図17は、図15に示した強調前累積ヒス
トグラムruihistP[200]、ruihist
P[5]に対して強調後累積ヒストグラムruihis
tQ[200]、ruihistQ[5]を点線で表し
たものを示している。なお、理解の容易化のために、強
調前累積ヒストグラムruihistP[200]、r
uihistP[5]、強調後累積ヒストグラムrui
histQ[200]、ruihistQ[5]の間に
存在する強調前後の累積ヒストグラムruihistP
[ ]をも示している。
【0115】この図17の強調後累積ヒストグラムru
ihistQ[ ]を再び図14に示すように並べ変え
る(座標を変換する)ことで、強調前累積ヒストグラム
ruihist[th][aj]に対応する強調後累積
ヒストグラムruihist′[th][aj]を得る
ことができる。
【0116】図10(d)〜図10(f)に示す点線の
グラフは各々強調後累積ヒストグラムruihist′
[255][T](ruihist′[255][a
j]とも記す。)、ruihist′[128]
[T]、ruihist′[0][T]を模式的に描い
た図である。
【0117】一般的にコントラスト強調後の累積ヒスト
グラムをruihist′[th][aj]=ruih
ist′[th][aj]と表したとき、ajは、原画
についての網点面積率データであり、thは、網空間上
の位置、すなわち、累積ヒストグラムを作成する(積分
する)際の中心位置を表している。
【0118】累積ヒストグラムruihist′[t
h][aj]は、閾値thという値を中心とした160
0dpi1画素(中間解像度1画素)のエリア内にどの
ような閾値Tが存在しているのかということを表してい
る。
【0119】そして、閾値Tと原画の網点面積率ajと
の比較(ステップS11)でaj>Tの微小エリア32
は印刷時に色が付けられる(塗りつぶされる)。結局、
累積ヒストグラムruihist′[th][aj]
は、網点面積率ajより小さい閾値Tの微小エリア32
の数を示す割合であるので、網の存在確率Piを意味す
ることとなる。
【0120】ステップS10の比較処理により、C、
M、Y、K各色の存在確率Pc、Pm、Py、Pkが求
められる。
【0121】次に、ステップS13における加重平均処
理では、測色計等で測色した16原色の測色値データX
i、Yi、Ziに対してステップS10で求めた存在確
率Piを重み係数として、デバイス非依存のデータであ
る3刺激値データ(以下、単に色ともいう。)X、Y、
Zを上述の(6)式で求める。(6)式を再度掲載す
る。
【0122】 X=Σ(Pi×Xi)、(i=1〜16)、Y、Zも同様 …(6) 次にステップS21に示す強調処理を行う。この強調処
理は重ね合わせた網テンプレートに係るロゼットパター
ンのコントラスト(網点コントラストという。)を上げ
る処理である。なお、この強調処置は、色XYZのいず
れの色についても同様に行うことができるので、以下の
説明において、色Xを代表として説明し、残りの色YZ
については、必要な場合に適宜説明する。
【0123】この場合、(6)式で得られる左辺のXY
Z値を、便宜上、色Xk′Yk′Zk′とする。図18
に示すように、白丸で示す色Xk′Yk′Zk′は、X
YZ空間では、網%がc、m、y、kであるときの黒丸
で示す平均的な色XmYmZmの周りに均等に散らばる
ことになる。この散らばる範囲を散布界40と呼ぶ。な
お、符号41で示す領域はDP3の色再現域を示してい
る。
【0124】そこで、この散布界40の大きさを次の
(13)式に基づいて計算的に拡張する。この拡張によ
りロゼットパターンのコントラストを上げることができ
ることを確認している。
【0125】 Xk′={(Xk/Xmean)^γ}・Xmean …(13) (13)式において、γは、ロゼットコントラスト強調
定数であって、その値は1.0〜3.0の間に選択す
る。^は累乗を表す。なお、色Xmeanは、網%が
c、m、y、kであって、その存在確率がPc、Pm、
Py、Pkとしてノイゲバウア式に代入した値を使って
求めた色である。
【0126】このようにして散布界40の大きさを散布
界42に広げた模式的な図を図19に示す。このように
すれば、散布界42は色再現域41に近くなり、画像上
彩度の高くなった画像が得られ、ロゼットパターンを明
瞭に(コントラストを高く)視認することができるよう
になる。
【0127】この散布界42を広げるときに用いる平均
の色Xmeanは、単に、ノイゲバウア式により求めた
色Xmeanを用いるよりも、実際に用いる(13)式
によるγ処理後のXk′、Yk′、Zk′を平均して再
度求めた値を用いるほうが色の精度が良くなる。
【0128】具体的に説明すると、まず、1600DP
I直交空間上の座標(x,y)において、XYZ値を計
算しようとする画素の座標が(x0,y0)であるとす
ると、その近傍5×5の座標(x0−2,y0−2)〜
(x0+2,y0+2)点の画素について5×5=25
個の色XkYkZkを求める。これらの色XkYkZk
と(13)式から色Xk′Yk′Zk′をそれぞれ25
個求める。
【0129】色Xk′の25個を次の(14)式に基づ
いて平均した値を色aveXk′とする。
【0130】 aveXk′=(1/25)・(X1′+X2′+…+X25′) …(14) このようにして求めたaveXk′と前記最初の平均の
色Xmeanを次の(15)式により平均して新たな平
均の色Xmean′を暫定的に求める。
【0131】 Xmean′=(aveXk′+Xmean)/2 …(15) 次に、この暫定的に求めた平均の色Xmean′と前記
5×5=25個の色XkYkZkから(13)式により
新たな色Xk′を25個求める。
【0132】そして、この新たに求めた25個の色X
k′を(14)により平均して再度新たな平均色ave
Xk′を求める。
【0133】そしてこの新たな平均色aveXk′と前
記暫定的に求めた平均の色Xmean′から、この平均
の色Xmean′を色Xmeanとして再度(15)式
を用いて最終的な(実際には3回目の)平均的な色Xm
ean′を求める。このようにして求めた平均的な色X
mean′を散布界40を散布界42に広げる場合の
(13)式の平均的な色Xmeanとして使用すること
で、色の精度を向上させることができる。以上の説明
が、特願平8−179122号明細書に記載された、こ
の発明の前提となる第2の技術の説明である。
【0134】次に、D.この発明の実施の形態について
説明する。
【0135】D.この発明の実施の形態の説明 以上説明した図8中、ステップS21の網点コントラス
トの強調処理後の画像データである3刺激値データXY
Zに対して上述したステップS14のアンチエリアジン
グフィルタ処理が施され、このアンチエリアジングフィ
ルタ処理後の3刺激値データXYZに対してDP3用の
RGB画像データに変換される。このRGB画像データ
に基づいてDP3によりカラー印刷プルーフCPbが作
成される。
【0136】このカラー印刷プルーフCPbは、印刷機
によるカラー印刷物12上の網点構造に係るモアレ、ロ
ゼット等の特異パターンを忠実に再現できるとともに、
印刷の色についても相当程度忠実に再現することができ
る。
【0137】ところで、このカラー印刷プルーフCPb
をカラー印刷物12と一層詳細に比較検討した結果、第
1に、カラー印刷物12上に再現されている色とカラー
印刷プルーフCPb上に再現されている色とが僅かに異
なることが見い出された。第2に、カラー印刷物12に
は正確に再現されている画像原稿2中の画像のシャープ
ネス(これは、網点の像構造に対比して画像の像構造と
も呼ばれる。)が、印刷プルーフCPb上では僅かに劣
化していることが見い出された。
【0138】第1の問題に係る色ずれ量は、像構造シミ
ュレーション(以下、画像の像構造と区別する場合に
は、網点シミュレーションまたは網シミュレーションと
もいう。)を実施したことによる色ずれと、画像出力装
置としてDP3を使用したことによる色ずれとが原因で
あるものと推定される。
【0139】そこで、DP3に供給する前の画像データ
に対して、この色ずれを修正する工程を挿入することと
した。
【0140】図20は、色修正工程に係る色修正部30
4を含む、印刷網構造色再現システム300の構成を示
している。
【0141】まず、印刷網構造色再現システム300の
全体的な構成について概略的に説明する。画像原稿2
(図8参照)上の原画の網点面積率データ(原画データ
ともいう。)aj(図8参照)が入力ポート311を介
して、印刷色予測処理部301、網シミュレーション部
302および網シミュレーション色補正LUT部303
に供給される。印刷色予測処理後のデバイス非依存の測
色値データである3刺激値データ(A画像データともい
う。)XaYaZaと、網シミュレーション後の3刺激
値データ(B画像データともいう。)XbYbZbと、
網シミュレーション色補正LUT処理後の3刺激値デー
タ(C画像データともいう。)XcYcZcとが色修正
部304に供給される。色修正部304では、次の(1
6)式に基づく演算を行い、色修正後の3刺激値データ
(D画像データともいう。)XdYdZdを出力する。
【0142】 Xd=Xa・Xb/Xc または Xd=Xa+Xb−Xc Yd=Ya・Yb/Yc または Yd=Ya+Yb−Yc Zd=Za・Zb/Zc または Zd=Za+Zb−Zc …(16) このD画像データXdYdZdを画像出力機であるDP
3に固有のRGBデータに変換して、DP3に供給す
る。DP3では、このRGBデータに基づきカラー印刷
プルーフCPcを作成する。このカラー印刷プルーフC
Pc上では、カラー印刷物12の画像上の色と遜色のな
い色再現を実現することができる。しかし、画像のシャ
ープネス感の劣化は、図8例によるカラー印刷プルーフ
CPbと同等である。
【0143】B画像データXbYbZbを作成する網シ
ミュレーション部302は、上述した、ビットマップデ
ータb′jに展開する網展開処理を含む微視的色予測処
理と網点コントラスト強調処理およびアンチエリアジン
グフィルタ処理工程までを含む処理を行う。
【0144】詳しく説明すると、網展開処理を含む微視
的色予測処理とは、図1例では、閾値マトリクス24を
使用した比較処理(ステップS10)と数え上げ処理
(ステップS12)と測色値Xi、Yi、Ziを利用し
て加重平均を行って(ステップS13)第1の3刺激値
データX、Y、Zを得るまでの処理であり、図8例で
は、閾値マトリクス24のフィルタ処理(ステップS1
8)、累積ヒストグラムの作成処理(ステップS1
9)、累積ヒストグラムの強調処理(ステップS2
0)、比較処理(ステップS10)および測色値を利用
した加重平均処理(ステップS13)までの処理をい
う。
【0145】これら網展開処理を含む微視的色予測処理
後の3刺激値データに対して網点コントラスト強調処理
(ステップS21)が行われた後、アンチエリアジング
フィルタ処理(ステップS14)が行われて、B画像デ
ータXbYbZbが作成される。このB画像データXb
YbZbをDP3に固有のRGBデータに変換するXY
ZRGB変換部305によりRGBデータに変換し、こ
のRGBデータによりDP3でカラー印刷プルーフCP
bを作成する。既に何度か説明しているように、このカ
ラー印刷プルーフCPbによれば、換言すれば、B画像
データXbYbZbによれば、モアレ、ロゼット等の特
異パターンに係る網の像構造を忠実に表すことができる
が、この網シミュレーション処理を原因とする色ずれが
発生する。この色ずれは、カラー印刷プルーフCPbを
広いアパーチャー、例えば、径が3〜10mmで測色計
により測色して、カラー印刷物12のそのアパーチャー
での測色値と比較することで量的にも確認することがで
きる。
【0146】図21は、C画像データXcYcZcを作
成する網シミュレーション色補正LUT部303に設定
されるLUTの作成手順を示している。
【0147】この場合、1枚のシート(画像出力装置で
あるDP3の出力シート)上に種々の色パッチを形成す
るための400DPIの基準CMYKデータrは、CM
YK各色をN段階調で表現するとき、これらのすべての
組み合わせでできる色を表すNの4乗個のデジタルデー
タであり、段数(階調)Nは、N=6〜8段に選択され
る。これは、CMYK各値を均等に配分した値で、例え
ば0〜255階調を6段に分割する場合には、各々、
0、51、102、153、204、255というよう
に分割する。この場合には、N4 =64 =1296個の
デジタルデータが網シミュレーション部302に供給さ
れる。網シミュレーション部302では、上述の網展開
処理を含む微視的色予測処理、網点コントラスト強調処
理およびアンチエリアジングフィルタ処理が行われる。
網シミュレーション部302による処理後にXYZRG
B変換部305によりRGBデータに変換し、DP3に
よりNの4乗個の色パッチ307が形成されたシート
(色パッチシートという。)308を出力する。なお、
色パッチ307の格子間隔は、測色計310のアパーチ
ャー(計測する領域の大きさ)に依存するが、通常の場
合、8mm間隔であり、この実施の形態でも同じ8mm
間隔にしている。また、色パッチシート308は、Nの
4乗個の個数を満たすまで何枚かに分けて出力してもよ
い。
【0148】この色パッチシート308の各色パッチ3
07を測色し、3刺激値データXYZを得る。この各色
パッチ307の3刺激値データXYZとこれに対応する
基準CMYKデータrとを対比して、基準CMYKデー
タrの3刺激値値データXYZへの変換テーブル、すな
わち、網シミュレーション色補正LUT部303を作成
することができる。
【0149】この網シミュレーション色補正LUT部3
03によれば、、広いアパーチャーでの測定結果を元に
しているので、網点の細かい構造は無視され、広い領域
で見たときの色特性を得ることができる。
【0150】なお、実際上、網シミュレーション色補正
LUT部303は、0〜256階調(あるいは、これを
0、1、…、100%に変換した網%階調)の基準CM
YKデータrに対する変換テーブルであるので、前記N
段階調の間の値は、測色値である3刺激値データXYZ
を補間処理して得た値を使用している。なお、LUTに
代替して、いわゆる、関数近似した補正関数(写像関
数)としてもよい。
【0151】そこで、図20に示すように、カラー印刷
物12を作成するための画像原稿2に係る網点面積率デ
ータajを、この網シミュレーション色補正LUT部3
03を通すことにより得られるC画像データXcYcZ
cは、網シミュレーション部302による処理後の網点
構造の入らない色ずれ量のみを表すデータとして得られ
ることが分かる。
【0152】同様に網点構造の入らないデータである印
刷仕上がり色を予測する印刷色予測処理部301は、例
えば、上述したノイゲバウア方程式を用いる処理または
以下に説明するような処理を行う。
【0153】この場合においても、図22に示すよう
に、1枚の本紙(カラー印刷物12の印刷用紙)上に種
々の色パッチを形成するための400DPIの上述の基
準CMYKデータrを用いる。この基準CMYKデータ
rに対して印刷用処理部322でPS版17まで作成す
る。換言すれば、印刷用処理部322では、図8に示し
たように、基準CMYKデータrを閾値マトリクス14
と比較処理(ステップS5)することにより網展開し、
写植自動現像機処理(ステップS6)を経て製版フィル
ム16を作成し、PS版17を作成する。作成されたP
S版17が印刷機324に装着され、このPS版17が
装着された印刷機324により本紙上にインキを転移さ
せて印刷し(ステップS7:図8参照)、上述の階調N
の4乗個のカラーパッチ(色パッチ)325が形成され
たカラー印刷物(色パッチ印刷物ともいう)326を得
る。この色パッチ325の格子間隔も8mmとし、3〜
8mmのアパーチャーの測色計310で各色パッチ32
5の色を測色して測色値データである3刺激値データX
YZを得る。この各色パッチ325の3刺激値データX
YZとこれに対応する基準CMYKデータrとを対比し
て、基準CMYKデータrの3刺激値データXYZへの
変換テーブル、すなわち、印刷色予測処理部301用の
色予測LUT部301aを作成することができる。
【0154】なお、この色予測LUT部301aも、前
記N段階調の間の値については、測色値である3刺激値
データXYZを補間処理して得た値を使用する。もちろ
ん、色予測LUT部301aに代替して、いわゆる、関
数近似した補正関数(写像関数)としてもよい。
【0155】次に、図20中の色修正部304の処理を
簡潔に分かり易く、例えば、3刺激値データXYZ中、
刺激値データX(Xa、Xb、Xc、Xd)を例として
説明する。残りの刺激値データYZも同様である。
【0156】図20において、画像原稿2に係る原画デ
ータである網点面積率データajを印刷色予測処理部3
01を通すことにより得られるA画像データXaは、網
点構造を含まないカラー印刷物12の印刷仕上がり色を
忠実に予測するデータである。
【0157】また、網点面積率データajを網シミュレ
ーション部302を通すことにより得られるB画像デー
タXbは、カラー印刷物12に現れる網点構造を忠実に
予測するデータXαと、網シミュレーション部302を
使用することを原因とする、極端に言えば、色予測性の
正確でない色予測データ(不正確色予測データとい
う。)Xβが含まれたデータ(Xα+Xβ)である。
【0158】さらに、網点面積率データajを網シミュ
レーション色補正LUT部303を通すことにより得ら
れるC画像データXcは、極端に言えば、色予測性の正
確でない色予測データ(不正確色予測データ)Xβのみ
からなるデータである。
【0159】したがって、色修正部304で、単純に、
400DPIの画素毎に、B画像データXbからC画像
データXcを引いた値(Xb−Xc)は、網点を忠実に
予測するデータXα(Xb−Xc=Xα+Xβ−Xβ=
Xα)のみからなるデータになる。したがって、(1
6)式で示したように、この網点を忠実に予測するデー
タXαにA画像データXaを加算することで、色予測が
正確で、網点構造の予測の正確なD画像データXd(=
Xa+Xb−Xc)=Xa+Xαを得ることができる。
【0160】なお、経験上、XYZ空間での演算は、加
減算Xd=Xa+Xb−Xcよりも、乗除算Xd=Xa
・Xb/Xcで行った方が精度が良くなるので、好まし
くは、乗除算を用いる。乗除算を用いる場合の簡略化し
た考え方を示すと、B画像データXbは、網点構造忠実
予測データXαと不正確色予測データXβを含むデータ
(Xα・Xβ)であるとし、C画像データXcは、不正
確色予測データXβであるので、乗除算後のD画像デー
タXdは、Xd=Xa・Xb/Xc=Xa・Xα・Xβ
/Xβ=Xa・Xαとなり、色予測が正確で、網点構造
予測の正確なデータのみからなるデータXd=Xa・X
αになる。
【0161】このようにして、上述した第1の問題に係
る色ずれ量、すなわち、カラー印刷物12上に再現され
ている色とカラー印刷プルーフCPb上に再現されてい
る色とがわずかに異なる色ずれ量を解消することができ
る。
【0162】次に、上述した第2の問題に係る印刷プル
ーフCPb上での画像のシャープネスの僅かな劣化は、
ステップS14のアンチエリアジングフィルタ処理を原
因として発生することを見い出した。すなわち、上述し
たように、アンチエリアジング処理では、1600DP
Iの9×9ドットの画素データ(3刺激値データXY
Z)を400DPIの1ドットの画素データ(3刺激値
データX′Y′Z′)に変換するのであるから、9×9
ドットの画素データの中央に位置する1個の画素データ
を考えた場合、この1個の画素データに対して(9×9
−1)個の画素データが使用されて混ざり込むことにな
り、いわゆる画像全体に対しては、ぼけフィルタをかけ
た状態になることが原因であることが分かった。
【0163】この場合、図8例のシステムに図20例の
システムを組み合わせた結果発生する画像のシャープネ
スの僅かな劣化、換言すれば画像のぼけは、網シミュレ
ーション部302による網シミュレーション結果の画像
データであるB画像データXbのみに存在することが理
解される。
【0164】実際上、図21に示すように、C画像デー
タXcを得る際に、網シミュレーション部302による
網シミュレーション処理を行っているので、このC画像
データXcにおいても、画像のぼけが発生するのである
が、測色計310により色パッチシート308を測色す
るときに、この画像のぼけの効果が400DPIの画素
データの大きさ(上述したように、63.5μm×6
3.5μm)に比較して、きわめて大きなアパーチャー
(上述した例えば、数mmφ)で測定しているために、
全く無視できる。
【0165】図23は、画像のぼけを補償する印刷網構
造色再現システム330の構成を示している。すなわ
ち、この図23例のものは、図20例のものに対して、
網シミュレーション補正LUT部303と色修正部30
4との間にぼけフィルタ331を挿入する構成としてい
る。
【0166】このようにすれば、色修正の式を(16)
式のXd=Xa・Xb/Xc(YZも同様)を使用する
ことを考えて、画像のシャープネスの低下が発生してい
る画像データXbに対してこれと同様な画像のシャープ
ネスの低下を画像データXcで発生させることで、除算
Xb/Xcにより両画像データに係る画像のシャープネ
スの低下が相殺されて、画像のシャープネスが回復する
ことになる。
【0167】つまり、網シミュレーション部302で使
用したアンチエリアジングフィルタAF(図3参照)と
同等のぼけフィルタ331をC画像データXcに作用さ
せてC′画像データXc′を得ることで、色修正部30
4の色修正処理Xd=Xa・Xb/Xc′によりB画像
データXbに存在するアンチエリアジングフィルタの効
果が相殺されることが理解される。
【0168】なお、この場合、ぼけフィルタ331がか
けられるC画像データXcの解像度は、画像出力機であ
るDP3の解像度、すなわち出力解像度Re3=400
DPIであるので、フィルタサイズは、図3に示す9×
9ではなく、3×3のアンチエリアジングフィルタAF
a(図24参照)を用いる。このアンチエリアジングフ
ィルタAFaは、図3に示すアンチエリアジングフィル
タAFの係数を3×3個ずつまとめて合計して作成した
ものである。
【0169】C画像データXcの3×3個に対してアン
チエリアジングフィルタAFaを1画素ずつずらしなが
ら、C画像データXcの全体に作用させることで、アン
チエリアジングフィルタAFaの掛けられた400DP
IのC′画像データXc′を得ることができる。
【0170】図25は、図8例のシステムに図23例の
色再現システム330を組み込んだシステムの構成を示
している。
【0171】この図25例のシステムにより作成したカ
ラー印刷プルーフCPdによれば、カラー印刷物12の
網構造を忠実に再現できるとともに、忠実な色再現が図
れ、さらに、画像原稿2のシャープ感を損なうことがな
いという効果が得られる。
【0172】なお、ぼけフィルタ331をアンチエリア
ジングフィルタAFaよりも強力なぼけフィルタ(図2
4例のアンチエリアジングフィルタAFaにおいて、中
央の値961を小さくして、周りの値を大きくする。)
とすることにより、逆に原画以上のシャープネスを印刷
プルーフCPd上で実現することもできる。
【0173】特に、DP3のような連続調プリンタと、
網点プリンタ{例えば、1600DPIのビットマップ
データbjに基づいて、網点やスクリーン線数やスクリ
ーン角度を直接本紙に網点画像として印刷してシミュレ
ーションすることのできるフイルムの現像処理が不要な
プリンタであって、ダイレクトデジタルカラー校正(D
DCP)用プリンタともいわれる。}における表現の違
いから同じ画像をプリントした場合に連続調プリンタの
方がシャープネスが低く見える場合などにこの効果を利
用して、同じように見えるようにすることができる。
【0174】また、(16)式に示した色修正式を次の
(17)式とすることにより、上述の網点コントラスト
を強調することができることを確認している。
【0175】 Xd=Xa・{(Xb/Xc)^δ} …(17) ここで、累乗係数(網コントラスト強調度)δの値は、
δ=1.0〜3.0に設定する。目的用途に応じて累乗
係数δの値を可変にしてもよい。
【0176】この方法を採用することにより、上述した
累積ヒストグラムの強調処理(ステップS20)および
網点コントラストの強調処理(ステップS21)を省略
することも可能となる。ただし、この(17)式を用い
る処理は、簡便ではあるがその反面、累乗係数δを大き
くすると、色のずれ量が大きくなるという副作用があ
る。このような場合には、用途目的に応じて(17)式
による処理とステップS20、S21の処理を組み合わ
せて用いると効果的である。
【0177】なお、この発明は上述の実施の形態に限ら
ず、例えば、DP3に限らず、画像出力装置としてディ
スプレイモニタを使用する等、この発明の要旨を逸脱す
ることなく種々の構成を採り得ることはもちろんであ
る。
【0178】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、原稿画像の色を忠実に再現するとともに、原稿画像
に含まれる画像のシャープネス感を維持したまま、印刷
物に現れる網点のモアレ、ロゼット等の像構造をも画像
出力装置の出力により再現することのできる印刷用プル
ーフデータを作成することができるという効果が達成さ
れる。
【0179】この印刷用プルーフデータに基づいて画像
出力装置により作成した画像により、印刷物の校正刷り
を作成することなく、印刷物の校正刷りにきわめて近似
した校正処理をきわめてローコストかつ短時間に、した
がって簡易に行うことができるという派生的な効果が達
成される。ここでいう校正処理とは、印刷物に現れる像
構造を実際の印刷物を作成する前に、像構造の現れない
各版の網角度を決定する予測処理、印刷画像の色の予測
処理(印刷の前の確認処理)、印刷画像のシャープ感の
予測処理等の処理である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の前提となる技術の処理フローを含
み、全体としては、カラー印刷物に対応するカラー印刷
プルーフを作成するシステムの説明に供されるフロー図
である。
【図2】図1の処理フロー中、カラー印刷物を作成する
場合の一般的なビットマップデータを作成する際の説明
に供される線図である。
【図3】アンチエリアジングフィルタの構成例を示す線
図である。
【図4】アンチエリアジングフィルタの周波数応答を示
す線図である。
【図5】図1の処理フロー中、カラー印刷プルーフを作
成する際の比較的高解像度のビットマップデータから平
均測色値データを作成する際の説明に供される線図であ
って、図5Aは28×28ドット分のC版のビットマッ
プデータを示す線図であり、図5Bは28×28ドット
分のM版のビットマップデータを示す線図である。
【図6】平均測色値データに対してアンチエリアジング
フィルタをかける際の説明に供される線図であって、図
6Aはその最初の処理過程に係る線図であり、図6Bは
次の処理過程に係る線図である。
【図7】この発明の前提となる技術の解像度の変換等の
説明に供される線図である。
【図8】この発明の一実施の形態の処理フローを含み、
全体としては、カラー印刷物に対応するカラー印刷プル
ーフを作成するシステムの説明に供されるフロー図であ
る。
【図9】閾値マトリクスから累積ヒストグラムを作成す
る際の説明に供される線図である。
【図10】図10(a)〜図10(c)は、それぞれ、
ヒストグラムの例を示す線図、図10(d)〜図10
(f)は、それぞれ、図10(a)〜図10(c)に示
したヒストグラムから作成した累積ヒストグラムを示す
線図である。
【図11】フィルタ処理後の閾値マトリクスから累積ヒ
ストグラムを作成する際の説明に供される線図である。
【図12】フィルタ処理に用いられるガウシャンフィル
タの全体構成を示す線図である。
【図13】図12に示すガウシャンフィルタの左上部分
を占める係数を示す線図である。
【図14】中心閾値毎の累積ヒストグラムを束ねて表し
た線図である。
【図15】図14のX軸とY軸を入れ替えて描いた中心
閾値毎の累積ヒストグラムを束ねて表した線図である。
【図16】累積ヒストグラムの強調処理の説明に供され
る線図である。
【図17】強調処理前後の累積ヒストグラムを合わせて
描いた線図である。
【図18】ロゼットパターンのコントラスト強調処理前
の散布界の説明に供される線図である。
【図19】ロゼットパターンのコントラスト強調処理後
の散布界の説明に供される線図である。
【図20】印刷網構造色再現システムの構成を示すブロ
ック図である。
【図21】図20中、網シミュレーション色補正LUT
部の説明に供される線図である。
【図22】図20中、印刷色予測処理部の説明に供され
る線図である。
【図23】印刷網構造色再現システムの構成を示すブロ
ック図である。
【図24】図23中、ぼけフィルタ部で使用されるアン
チエリアジングフィルタの構成例を示す線図である。
【図25】この発明の一実施の形態が組み込まれ、全体
としては、カラー印刷物に対応するカラー印刷プルーフ
を作成するシステムの説明に供されるフロー図である。
【図26】従来の技術の説明に供されるフロー図であ
る。
【符号の説明】
2…画像原稿 3…カラープリンタ 12…カラー印刷物 14、24…閾値マ
トリクス 301…印刷色予測処理部 302…網シミュレ
ーション部 303…網シミュレーション色補正LUT部 304…色修正部 330…印刷網構造
色再現システム 331…ぼけフィルタ aj…網点面積率データ bj…ビットマップ
データ ci…面積率 CPb、CPc、CPd…カラー印刷プルーフ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原画の画像データに基づいて印刷機により
    作成される網点画像を有する印刷物の印刷プルーフを出
    力し、かつ前記印刷機の解像度よりも低い解像度を有す
    る画像出力装置用の入力データを作成する印刷プルーフ
    用データ装置において、 予め前記印刷機により印刷した複数のカラーパッチから
    得た測色値と、前記原画の画像データとに基づいて、前
    記原画の画像データの色を予測する印刷色予測処理部
    と、 前記原画の画像データに基づいて前記網点画像の像構造
    をシミュレーションする網シミュレーション部と、 基準となる画像データに基づいて前記網シミュレーショ
    ン部による処理を行った後のデータに基づいて、前記画
    像出力装置により予備的にカラーパッチを出力し、この
    カラーパッチを測色して、前記基準となる画像データと
    前記測色値との変換関係を予め記憶する色補正変換部
    と、 この色補正変換部の出力側に接続されるぼけフィルタ部
    と、 前記印刷色予測処理部と前記網シミュレーション部と前
    記ぼけフィルタ部の各々出力側に接続される色修正部と
    を有し、 前記印刷色予測処理部と前記網シミュレーション部と前
    記色補正変換部の入力側に、前記原画の画像データが各
    々供給されたときに、前記印刷色予測処理部から出力さ
    れる画像データをXa、前記網シミュレーション部から
    出力される画像データをXb、前記ぼけフィルタ部から
    出力される画像データをXc′とし、前記色修正部によ
    り処理されて出力される画像データをXdとしたとき、
    前記色修正部の処理を Xd=Xa・Xb/Xc′ または Xd=Xa+(X
    b−Xc′) の関係式で行い、結果として得られる画像データXdを
    前記画像出力装置の入力データである印刷プルーフ用デ
    ータとすることを特徴とする印刷プルーフ用データ作成
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の印刷プルーフ用データ作成
    装置において、 前記印刷プルーフ用データXdを、累乗係数をδ(δ=
    1.0〜3.0)とするとき、 Xd=Xa・(Xb/Xc′)^δ の関係で得られる画像データXdを前記画像出力装置の
    入力データである印刷プルーフ用データとすることを特
    徴とする印刷プルーフ用データ作成装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の印刷プルーフ用デ
    ータ作成装置において、 前記網シミュレーション部は、CMY各版またはCMY
    K各版の原画の画像データのそれぞれに対して閾値マト
    リクスを参照し、前記各版(n版とする。)に係る2n
    色毎の存在確率である面積率を前記画像出力装置の出力
    解像度画素よりも小さい中間解像度画素毎に求める処理
    と、予め求めておいた前記2n 色毎の測色値データに対
    して前記2n 色毎の面積率を重み係数として前記中間解
    像度画素毎に平均し平均測色値データを計算する処理
    と、この平均測色値データに対して、前記出力解像度画
    素より大きい範囲でアンチエリアジングフィルタ処理を
    順次行う処理とを行い、 前記ぼけフィルタ部は、前記色補正変換部より出力され
    る画像データに対して、前記アンチエリアジングフィル
    タ処理と同等のアンチエリアジングフィルタ処理を行う
    ことを特徴とする印刷プルーフ用データ作成装置。
JP8288825A 1996-10-30 1996-10-30 印刷プルーフ用データ作成装置 Pending JPH10133362A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8289578B2 (en) 2006-01-19 2012-10-16 Samsung Electronics Co., Ltd. Apparatus and method for compensating output image

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8289578B2 (en) 2006-01-19 2012-10-16 Samsung Electronics Co., Ltd. Apparatus and method for compensating output image

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