JPH10132986A - 燃料取扱い装置 - Google Patents

燃料取扱い装置

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JPH10132986A
JPH10132986A JP8287135A JP28713596A JPH10132986A JP H10132986 A JPH10132986 A JP H10132986A JP 8287135 A JP8287135 A JP 8287135A JP 28713596 A JP28713596 A JP 28713596A JP H10132986 A JPH10132986 A JP H10132986A
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JP
Japan
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fuel
mast
stage
fuel handling
telescopic mast
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Application number
JP8287135A
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English (en)
Inventor
Arata Ito
新 伊藤
Motohiko Kimura
元比古 木村
Yutaka Togasawa
裕 戸賀沢
Masaaki Kikuchi
正晃 菊池
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Carriers, Traveling Bodies, And Overhead Traveling Cranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高速での多段伸縮マストの伸縮作業を可能と
し、燃料取扱い期間を従来の方式に比べて大幅に短縮す
る。 【解決手段】オペレーションフロア8にガイドレール9
を介して水平方向に走行可能に設けられた走行台車3
と、この走行台車3の走行方向と直交する方向に横行可
能な横行台車4と、この横行台車4に伸縮可能に設けら
れた多段伸縮マスト6と、この多段伸縮マスト6の下端
に設けられた燃料掴み具とを備え、多段伸縮マスト6を
1本の伸縮操作用のワイヤーの移動で全段が同時に伸縮
可能に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽水冷却原子炉の
燃料取扱いを高速に行うための燃料取扱い装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料取扱い装置は、原子炉圧力容
器の上方に走行台車が走行可能に設置され、この走行台
車に横行台車が横行可能に搭載され、この横行台車に多
段伸縮マストが取り付けられている。
【0003】そして、軽水冷却原子炉において燃料を取
り扱うには、原子炉圧力容器の上方において横行台車を
搭載した走行台車を走行させ、多段伸縮マストを伸ばし
て燃料を掴んだ後、この多段伸縮マストを縮めて燃料の
取り出しを行い、走行台車を燃料貯蔵プールの燃料ラッ
クの所定位置上方へ移動させて多段伸縮マストを伸ばし
て燃料を貯蔵ラックへ装荷し、燃料を取り外した後、多
段伸縮マストを縮め、走行台車を原子炉圧力容器の上方
に移動させる。以下、同様の作業を繰り返して所定本数
の燃料取り出し作業を行っている。また、これとは逆の
手順で、燃料ラックに設置されている新燃料を原子炉圧
力容器へ装荷する作業を行っている。
【0004】上記多段伸縮マストは、先端の段に引上げ
用のワイヤーが取り付けられ、下の段より順次引上げて
縮め、反対に伸ばす場合には重力を利用して上の段より
順次行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の軽水
冷却原子炉の燃料取扱い装置においては、多段伸縮マス
トによる原子炉圧力容器からの燃料の昇降、原子炉圧力
容器上方から燃料ラック上方への移動、多段伸縮マスト
による燃料ラックへの燃料の昇降などのような作業を行
うため、燃料の移動距離が非常に長いものになってい
る。
【0006】その結果、燃料の取扱いに長時間かかるこ
とになり、燃料の取扱い作業は、原子炉の定期点検作業
のクリティカルパスとなっている。この定期点検期間を
短縮するには、この燃料取扱い期間を短縮する必要があ
る。
【0007】従来、この燃料取扱い期間を短縮するため
には、多段伸縮マストの高速昇降化、横行台車/走行台
車の2台化、燃料吊り本数の複数化などの手段が講じら
れているものの、これらの手段では燃料の取扱い期間を
数パーセントしか短縮することができず、原子炉の定期
点検作業のクリティカルパスから解放されるまでに至っ
ていない。
【0008】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、多段伸縮マストの全段を1本のワイヤーで同時
に伸縮させることにより、高速での多段伸縮マストの伸
縮作業を可能とし、燃料取扱い期間を従来の方式に比べ
て大幅に短縮可能な燃料取扱い装置を提供することを目
的とする。
【0009】また、本発明の他の目的とするところは、
多段伸縮マストの各段に取り付けられた滑車とワイヤー
の接触面を磁気回路の一部として構成するように永久磁
石を組込み、ワイヤーの高速動作時においても磨耗を従
来の方式に比べて低減してワイヤーの定期点検期間のイ
ンターバルを長くして定期点検作業量を削減可能な燃料
取扱い装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の請求項1は、原子炉圧力容器上方のオ
ペレーションフロアにガイドレールを介して水平方向に
走行可能に設けられた走行台車と、この走行台車に設け
られた軌道に搭載され、その走行台車の走行方向と直交
する方向に横行可能な横行台車と、この横行台車に伸縮
可能に設けられた多段伸縮マストと、この多段伸縮マス
トの下端に設けられた燃料掴み具とを備え、これら走行
台車,横行台車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相
対動作によって、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プー
ルとの間で原子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い
装置であって、前記多段伸縮マストを1本の伸縮操作用
のワイヤーの移動で全段が同時に伸縮可能に構成したこ
とを特徴とする。
【0011】請求項2は、請求項1記載の燃料取扱い装
置において、多段伸縮マストの材質をアルミニウム合金
あるいはカーボンファイバーとしたことを特徴とする。
【0012】請求項3は、請求項1記載の燃料取扱い装
置において、多段伸縮マストは最下段のマストから上段
にいくに従って順次伸縮可能な長さを長くしたことを特
徴とする。
【0013】請求項4は、請求項1記載の燃料取扱い装
置において、多段伸縮マストの先端段の伸縮状況を可視
光レーザを用いて監視するレーザ発振装置を設けたこと
を特徴とする。
【0014】請求項5は、請求項4記載の燃料取扱い装
置において、可視光レーザに青色発振半導体レーザを用
いたことを特徴とする。
【0015】請求項6は、請求項1記載の燃料取扱い装
置において、多段伸縮マストの各段の軸方向両端に電気
粘性流体あるいは電磁粘性流体を応用したダッシュポッ
トを設けたことを特徴とする。
【0016】請求項7は、請求項1記載の燃料取扱い装
置において、全段を同時に伸縮するための1本のワイヤ
ーの他に、先端段のマストに引上げ用のワイヤーを取り
付けたことを特徴とする。
【0017】請求項8は、請求項1記載の燃料取扱い装
置において、多段伸縮マストの先端段のマストと燃料掴
み具とがダンパー機構を介して結合され、前記燃料掴み
具を昇降させるワイヤーを設け、このワイヤーと多段伸
縮マストを全段同時に伸縮するワイヤーとを別体とし、
それぞれのワイヤーを駆動装置と接続したことを特徴と
する。
【0018】請求項9は、請求項8記載の燃料取扱い装
置において、燃料掴み具の昇降開始時刻と多段伸縮マス
トを全段同時に伸縮開始する時刻とを不一致にするよう
に駆動装置を制御することを特徴とする。
【0019】請求項10は、請求項8記載の燃料取扱い
装置において、ダンパー機構が電気粘性流体あるいは電
磁粘性流体を応用したダッシュポットであることを特徴
とする。
【0020】請求項11は、請求項1記載の燃料取扱い
装置において、走行台車または横行台車を浮上手段によ
ってガイドレールまたは軌道上にそれぞれ非接触な状態
で浮上可能に支持したことを特徴とする。
【0021】請求項12は、請求項11記載の燃料取扱
い装置において、走行台車の浮上手段は、その走行台車
の下面に取り付けた空気浮上手段であり、この空気浮上
手段で前記走行台車を浮上させた状態でオペレーション
フロアに敷設したガイドレールに沿って移動可能とした
ことを特徴とする。
【0022】請求項13は、請求項11記載の燃料取扱
い装置において、横行台車の浮上手段は、その横行台車
の下面に取り付けた空気浮上手段であり、この空気浮上
手段で前記横行台車を浮上させた状態で軌道に沿って移
動可能としたことを特徴とする。
【0023】請求項14は、請求項1記載の燃料取扱い
装置において、多段伸縮マストの各段のマスト軸方向両
端に滑車が取り付けられ、この滑車にワイヤーが巻き掛
けられ、前記滑車とワイヤーとの接触面が磁気回路の一
部を構成するように、この接触面近傍に永久磁石を設け
たことを特徴とする。
【0024】請求項15は、請求項1または14記載の
燃料取扱い装置において、各段のマスト軸方向両端に滑
車の他に、ワイヤーの巻取りまたは送出しを行う滑車を
設け、この滑車とワイヤーとの接触面が磁気回路の一部
を構成するように、この接触面近傍に永久磁石を設けた
ことを特徴とする。
【0025】請求項16は、請求項1記載の燃料取扱い
装置において、全段同時に伸縮する多段伸縮マストに代
えて、最上段から順次展開するとともに最下段から順次
収縮する多段伸縮マストを設け、この多段伸縮マストの
伸縮操作用のワイヤーの巻取りまたは送出しを行う滑車
および巻取ドラムを設け、これら滑車および巻取ドラム
とワイヤーとの接触面がそれぞれ磁気回路の一部を構成
するように、これらの接触面近傍に永久磁石を設けたこ
とを特徴とする。
【0026】請求項17は、原子炉圧力容器上方のオペ
レーションフロアにガイドレールを介して水平方向に走
行可能に設けられた走行台車と、この走行台車に設けら
れた軌道に搭載され、その走行台車の走行方向と直交す
る方向に横行可能な横行台車と、この横行台車に伸縮可
能に設けられた多段伸縮マストと、この多段伸縮マスト
の下端に設けられた燃料掴み具とを備え、これら走行台
車,横行台車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相対
動作によって、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プール
との間で原子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い装
置であって、前記走行台車または横行台車の車輪に接触
式ブレーキ部を取り付け、この接触式ブレーキ部が磁気
回路の一部を構成するように永久磁石を設けたことを特
徴とする。
【0027】請求項18は、請求項17記載の燃料取扱
い装置において、永久磁石が移動可能に構成され、この
永久磁石の移動にて磁気回路の構成および解除を行うこ
とを特徴とする。
【0028】請求項19は、請求項17または18記載
の燃料取扱い装置において、接触式ブレーキ部の永久磁
石が走行台車または横行台車の車輪と球体を介して接触
するように構成されたことを特徴とする。
【0029】請求項20は、請求項17または18記載
の燃料取扱い装置において、永久磁石に代えて、電磁石
を設けたことを特徴とする。
【0030】請求項21は、原子炉圧力容器上方のオペ
レーションフロアにガイドレールを介して水平方向に走
行可能に設けられた走行台車と、この走行台車に設けら
れた軌道に搭載され、その走行台車の走行方向と直交す
る方向に横行可能な横行台車と、この横行台車に伸縮可
能に設けられた多段伸縮マストと、この多段伸縮マスト
の下端に設けられた燃料掴み具とを備え、これら走行台
車,横行台車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相対
動作によって、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プール
との間で原子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い装
置であって、前記走行台車または横行台車の車輪と、こ
れらが走行するガイドレールまたは軌道との接触面が磁
気回路の一部を構成するように、前記ガイドレールまた
は軌道に永久磁石を近接させたことを特徴とする。
【0031】請求項22は、請求項21記載の燃料取扱
い装置において、永久磁石に代えて電磁石を設けたこと
を特徴とする。
【0032】請求項23は、請求項21または22記載
の燃料取扱い装置において、永久磁石または電磁石が球
体を介して前記ガイドレールまたは軌道に接触すること
を特徴とする。
【0033】請求項24は、請求項1または16記載の
記載の燃料取扱い装置において、多段伸縮マストの各段
のマストの軸方向両端に永久磁石が設けられるととも
に、各段のマストの上端に球体が取り付けられ、この球
体が前記永久磁石に接触して磁気回路を構成するダンパ
ー機構としたことを特徴とする。
【0034】請求項25は、請求項24記載の記載の燃
料取扱い装置において、多段伸縮マストの各段のマスト
の軸方向両端に設けた永久磁石の他に、各段のマストの
軸方向中間部に永久磁石を設けたことを特徴とする。
【0035】請求項26は、請求項24または25記載
の記載の燃料取扱い装置において、永久磁石に代えて電
磁石を設けたことを特徴とする。
【0036】請求項27は、請求項1または16記載の
記載の燃料取扱い装置において、多段伸縮マストの固定
段マストに電磁石による磁気ダンパーを設ける一方、他
の伸縮段マストに永久磁石による磁気ダンパーを設けた
ことを特徴とする。
【0037】請求項28は、請求項8記載の燃料取扱い
装置において、ダンパー機構は永久磁石または電磁石が
球体を介して接触して磁気回路を構成するダンパー構造
としたことを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0039】[第1実施形態] (第1実施形態の構成)図1〜図6は本発明に係る燃料
取扱い装置の第1実施形態を示し、図1(A),(B)
は第1実施形態の全体構成を示す斜視図,平面図であ
り、オペレーションフロアのガイドレール上に横行台車
を搭載した走行台車が燃料貯蔵プールから原子炉圧力容
器の上方を走行している状態を示している。
【0040】また、図2〜図5は第1実施形態における
多段伸縮マストを示し、図6は本実施形態の燃料取扱い
装置により燃料集合体を炉心から燃料貯蔵ラックへ取り
出す時にかかる時間割合を示している。
【0041】第1実施形態の燃料取扱い装置は、図1
(A),(B)に示すように原子炉圧力容器1と燃料貯
蔵プール2の上方を走行する走行台車3に横行台車4が
搭載され、この横行台車4に図2に示す1本の伸縮操作
用のワイヤー5により全段が同時に伸縮可能な多段伸縮
マスト6が取り付けられ、これらを用いて燃料集合体
(燃料)7の取扱いを行う。
【0042】すなわち、第1実施形態では、原子炉圧力
容器1の上方のオペレーションフロア8上に、互いに平
行な2本のガイドレール9を介して水平方向に走行可能
に設けられた一台の走行台車3と、この走行台車3に搭
載され走行台車3の走行方向と直交する横行方向に横行
可能な横行台車4と、この横行台車4の側面に取り付け
られ下方に伸縮可能な伸縮式吊下機構としての多段伸縮
マスト6と、この伸縮マスト6の下端に設けられ燃料集
合体7を把持する燃料掴み具10(図2に示す)とを備
えている。
【0043】これら走行台車3,横行台車4,多段伸縮
マスト6および燃料掴み具10は、それぞれの相対動作
によって燃料集合体7を、原子炉圧力容器1の炉心11
と燃料貯蔵プール2の燃料貯蔵ラック12との間で原子
炉ウエル13,カナル14を介して移動させる。
【0044】また、走行台車3はオペレーションフロア
8上に敷設した互いに平行な2本のガイドレール9に沿
って移動可能に構成される一方、横行台車4は走行台車
3上に敷設した軌道15に沿って移動可能に構成されて
いる。
【0045】図2は第1実施形態の多段伸縮マストを示
し、全段が同時に伸縮する多段伸縮マストが展開した状
態を示す断面図、図3は第1実施形態の多段伸縮マスト
の全段が同時に収縮した状態を示す断面図、図4は第1
実施形態の多段伸縮マストの全段が展開した時の滑車部
分とワイヤーとの関係を示す拡大断面図、図5は第1実
施形態の多段伸縮マストの全段が収縮した時の滑車部分
とワイヤーとの関係を示す拡大断面図である。
【0046】図2に示すように、多段伸縮マスト6は横
行台車4の側面に設置され、その最上段部のマストの上
端に駆動装置16が設置され、この駆動装置16はその
駆動軸に取り付けられた滑車17,18を介してワイヤ
ー5を牽引する。なお、図2において駆動装置16は滑
車17により隠れており、駆動用モータなどにより構成
される。
【0047】横行台車4には複数の車輪19が取り付け
られ、これらの車輪20が走行台車3に敷設された軌道
15上を回転移動することにより横行台車4が走行す
る。これらの車輪20は横行台車4に取り付けられた駆
動装置20により回転駆動される。
【0048】多段伸縮マスト6は、図2〜図5に示すよ
うに各段のマストの軸方向両端に滑車21が取り付けら
れ、燃料掴み具10が取り付けられている先端部マスト
6aの上端にワイヤー5の一端を固定し、このワイヤー
5を各段のマストに取り付けた滑車21を順次経由させ
た後、駆動装置16の駆動軸に取り付けられた滑車1
7,18を経由して各段のマスト内部を下降させて再び
先端部マスト6aの上端にワイヤー5の他端を固定し、
1本の伸縮操作用のワイヤー5を操作することにより全
段のマストが同時に伸縮可能となる。
【0049】また、多段伸縮マスト6は、図4および図
5に示すように各段のマストの軸方向上端に車輪22が
取り付けられ、多段伸縮マスト6を伸縮する際、この車
輪22が各段のマストの内面軸方向に沿って形成された
案内キー23に案内されて回転移動する。これにより、
多段伸縮マスト6を伸縮する際、各段のマストは相対的
に回転することなく確実に上下動することができる。
【0050】図6は本実施形態の燃料取扱い装置により
燃料集合体7を炉心11から燃料貯蔵プール2へ取り出
す時にかかる作業時間の概略割合を示す説明図である。
図6に示すように、炉心11から燃料集合体7を取り出
す場合、多段伸縮マスト6の先端が最大に展開して燃料
集合体7を掴む位置Aから、縮めた位置Bまでに縮む時
間は、最大で0.05Gの加速・減速を行い、最高速度
12m/min とし、1段ずつ展開して継目近傍では2.5
m/min として4段階の展開を行った場合に220秒程度
であり、原子炉圧力容器1の上方のB位置から燃料貯蔵
プール2の燃料集合体7を装荷する燃料貯蔵ラック12
の上方のC位置まで横行移動する時間は、170秒程度
であり、燃料貯蔵ラック12の上方のC位置から燃料貯
蔵ラック12に燃料集合体7を装荷するために多段伸縮
マスト6を展開した時の先端位置Dまでに展開する時間
は、最大で0.05Gの加速・減速を行い、2段階の展
開を行った場合に振れ待ち時間(30秒)を含めて18
0秒程度である。
【0051】(第1実施形態の作用)第1実施形態の作
用を説明する。
【0052】燃料交換を行う場合には、まず軽水冷却原
子炉の原子炉圧力容器1の蓋の取り外しを行い、作業者
が横行台車4の側面に多段伸縮マスト6を取り付ける。
遠隔操作室の操作員は、横行台車4に搭載した多段伸縮
マスト6の下方に炉心11において取り出したい燃料集
合体7が位置するように、走行台車3および横行台車4
を遠隔操作で移動させる。
【0053】次いで、炉心11において取り出したい燃
料集合体7が多段伸縮マスト6の下方に位置すると、図
2に示すようにワイヤー5が移動するように駆動装置1
6を駆動し、この駆動装置16の駆動軸に結合した滑車
17を回転させる。
【0054】すると、ワイヤー5の全長が一定であるた
め、多段伸縮マスト6のマスト内部を下降するワイヤー
5の長さを長くするように駆動装置16を駆動させるこ
ととなり、マスト段間のワイヤー5の長さ(L,L1)
が短縮し、その結果多段伸縮マスト6を展開する方向に
移動させ、マスト段間の短縮されたワイヤー5の長さ総
和が、マスト内部のワイヤー5が長くなった長さと同じ
になる。
【0055】そして、多段伸縮マスト6の下端に取り付
けた燃料掴み具10が所定の高さまで展開するまで駆動
装置16を駆動させる。燃料掴み具10の所定の高さま
での展開が終了すると、燃料掴み具10が燃料集合体7
を把持できる高さまで微速(1m/min 程度)で多段伸縮
マスト6の展開を行う。
【0056】多段伸縮マスト6の展開が終了すると、燃
料掴み具10で燃料集合体7を把持する制御を遠隔操作
で行う。この燃料集合体7の把持作業が終了すると、燃
料集合体7が炉心11から引き抜かれた高さ位置まで多
段伸縮マスト6の微速(1m/min 程度)動作での収納制
御を行う。
【0057】この多段伸縮マスト5の収縮動作は、図3
に示すようにマスト内部の先端部マスト6aと駆動装置
16間のワイヤー5が短くなる方向に駆動装置16を駆
動させ、その分の長さだけマスト段間(L,L1)のワ
イヤー9の長さが伸びる方向に多段伸縮マスト6の収納
の方向の動きとなる。
【0058】炉心11から燃料集合体7の引抜き作業が
終了すると、引き続きマスト伸縮用の駆動装置16を駆
動させ、多段伸縮マスト6の燃料掴み具10で把持され
た燃料集合体7の最下端が、カナル14を通過できる高
さまで多段伸縮マスト6を収縮する。燃料集合体7がカ
ナル14を通過する前に走行台車3および横行台車4の
走行および横行の移動制御を同時に行い、走行台車3が
その走行方向に移動するだけでカナル14を通過できる
ようにしておく。
【0059】そして、多段伸縮マスト6の燃料掴み具1
0で把持された燃料集合体7がカナル14を通過した
ら、燃料貯蔵プール2に設置された燃料貯蔵ラック12
の所定の平面内位置に多段伸縮マスト6の燃料掴み具1
0で把持された燃料集合体7の下端が位置するように走
行台車3および横行台車4の走行および横行の移動制御
を行うと同時に、燃料集合体7の下端が燃料貯蔵ラック
12の上で所定の高さになるように駆動装置16を駆動
させて多段伸縮マスト6の展開を自動で行う。
【0060】さらに、燃料集合体7が燃料貯蔵ラック1
2の所定の平面内位置および高さに達すると、駆動装置
16を駆動させ、燃料貯蔵ラック12に燃料集合体7が
着床するまで多段伸縮マスト6の展開のみを行う。
【0061】次に、燃料集合体7が燃料貯蔵ラック12
に着床したら、燃料掴み具10による燃料集合体7の把
持状態を解除させる。この解除作業が終了すると、前述
と同様に駆動装置16を駆動させ、多段伸縮マスト6の
燃料掴み具10の最下端が、カナル14を通過できる高
さまで多段伸縮マスト6を収縮させ、同時に多段伸縮マ
スト6および燃料掴み具10がカナル14を通過する前
に走行台車3および横行台車4の走行および横行の移動
制御を行い、走行台車3の走行方向に移動するだけでカ
ナル14を通過できるようにする。
【0062】多段伸縮マスト6および燃料掴み具10が
カナル14を通過すると、走行台車3および横行台車4
の走行および横行の移動制御および多段伸縮マスト6の
展開を行い、以下前記と同様の燃料集合体7の取出し作
業を繰り返す。
【0063】なお、燃料貯蔵ラック12から燃料集合体
7を炉心11に移送する場合には、上記の運転制御方法
において、燃料集合体7を把持している状態と、把持し
ていない状態とを逆にすればよい。
【0064】(第1実施形態の効果)このように第1実
施形態によれば、燃料集合体7の1体を炉心11の上方
および燃料貯蔵プール2の上方で昇降させるために従来
では、4段伸縮マストによる炉心11より燃料集合体7
を取り出す時に必要な昇降時間が、多段伸縮マスト6の
継目で最大0.05Gの加速度で減速する必要があり、
370秒程度(図6のAB,CDの昇降時間参照)必要
であるが、本実施形態を採用すると、1本の伸縮操作用
のワイヤー5により多段伸縮マスト6の全段が同時に伸
縮するので、炉心11および燃料貯蔵ラック12の上方
での多段伸縮マスト6の伸縮による加速・減速を1回で
行い、多段伸縮マスト6の各段間の相対加速度の最高値
を従来と同じ大きさ(0.05G)としても、燃料集合
体7の昇降速度の高速化(最高速度を12m/min から2
4m/min にする)によって240秒程度短縮することが
できる。その結果、炉心11から燃料集合体7を取り出
す作業時間を40%程度削減することができる。
【0065】[第1変形例] (第1変形例の構成)第1変形例は、前記第1実施形態
における全段が同時に伸縮する多段伸縮マスト6の材質
をアルミニウム合金のような軽量金属、カーボンファイ
バーなどの軽量構造材としたものである。
【0066】すなわち、第1変形例では、多段伸縮マス
ト6の燃料掴み具10に燃料集合体7を掴んだ状態での
燃料集合体7および燃料掴み具10の重量Xと燃料掴み
具10に燃料集合体7を掴んでいない状態の燃料掴み具
10の重量Yとの中間の重量(X+Y)/2と、多段伸
縮マスト6の伸縮部の重量とがほぼ同じになるように設
定された軽量構造材を多段伸縮マスト6に用いている。
【0067】(第1変形例の作用および効果)燃料集合
体7を多段伸縮マスト6の燃料掴み具10に掴んだ状態
での燃料集合体7および燃料掴み具10の重量Xと燃料
掴み具10に燃料集合体7を掴んでいない状態の燃料掴
み具10の重量Yとの中間の重量(X+Y)/2と、多
段伸縮マスト6の伸縮部の重量とがほぼ同じになるよう
に多段伸縮マスト6に軽量構造材を用いることにより、
多段伸縮マスト6を伸縮するためにワイヤー5を操作す
る駆動装置16の駆動力を小さくすることができる。そ
の結果、駆動装置16を小型化することができるととも
に、走行台車3および横行台車4の構造を小型化するこ
とができ、これらの製作コストを削減することが可能と
なる。
【0068】[第2変形例] (第2変形例の構成)第2変形例は、前記第1実施形態
において全段が同時に伸縮する多段伸縮マスト6がその
最下段のマストから上段のマストにいくに従って順次伸
縮可能な長さを長くしたものである。
【0069】すなわち、図2に示すように最下段のマス
トの伸縮可能な長さH1よりH1<H2<H3<H4と
するとともに、マストの両端に取り付けられた滑車21
の伸縮方向の長さL、径方向の長さL2、各段のマスト
上端部の長さH0を揃える。
【0070】(第2変形例の作用および効果)多段伸縮
マスト6の最下段のマストより順次伸縮可能な長さを長
くした構造であるため、最下段のマストより順次展開お
よび収縮が終了する。
【0071】このように第2変形例によれば、多段伸縮
マスト6の最下段のマストから順次伸縮可能な長さを長
くした構造であるため、最下段のマストより順次展開お
よび収縮が終了する。これにより、複数段のマストが同
時に伸縮が終了して衝撃が発生するのを防止することが
できる結果、緩衝機構などが不要になり多段伸縮マスト
6の構造を簡略化することができる。
【0072】[第2実施形態] (第2実施形態の構成)図7〜図11は本発明に係る燃
料取扱い装置の第2実施形態を示し、図7は第2実施形
態の燃料交換時の状態を示す構成図、図8は図7の燃料
取扱い装置の要部を示す拡大構成図、図9は図8におけ
るA−A線矢視断面図、図10は図8の平面図、図11
は跨座式の横行台車に多段伸縮マストが搭載された状態
を示す構成図である。なお、前記第1実施形態と同一の
部分には図1〜図6と同一の符号を用いて説明する。以
下の各実施形態および各変形例も同様に相互に対応する
部分には同一の符号を付してある。
【0073】第2実施形態の燃料取扱い装置は、図7に
示すように前記第1実施形態において原子炉圧力容器1
と燃料貯蔵プール2の上方を走行する走行台車3を、上
端にモノレール25を設置したトーラス構造の走行台車
26とし、このモノレール25に跨座式の横行台車27
を横行させ、この横行台車27に全段が同時に伸縮する
ように1本の伸縮操作用のワイヤー5が取り付けられた
多段伸縮マスト6を搭載している。
【0074】すなわち、第2実施形態では、原子炉圧力
容器1の上方のオペレーションフロア8上に、互いに平
行な2本のガイドレール9を介して水平方向に走行可能
に設けられた一対の走行台車26と、これらの走行台車
26にモノレール25を介して跨座状態で搭載されて、
その走行台車26の走行方向と直交する方向に横行可能
な横行台車27と、この横行台車27の下方に伸縮可能
に設けられた伸縮式吊下機構としての多段伸縮マスト6
と、この伸縮マスト5の下端に設けられ燃料集合体7を
把持する燃料掴み具10とを備えている。
【0075】これら走行台車26,横行台車27,多段
伸縮マスト6および燃料掴み具10は、それぞれの相対
動作によって燃料集合体7を、原子炉圧力容器1の炉心
11と燃料貯蔵プール2の燃料貯蔵ラック12との間で
原子炉ウエル13,カナル14を介して移動させる。
【0076】走行台車26および横行台車27は、図8
に示すように浮上手段28,29によってガイドレール
9およびモノレール25上にそれぞれ非接触な状態で浮
上可能に支持されている。これらの浮上手段28,29
は、走行台車26および横行台車27の下面に取り付け
た空気浮上手段であり、この空気浮上手段で走行台車2
6が浮上した状態でオペレーションフロア8上に敷設し
たガイドレール9に沿って移動可能に構成される一方、
横行台車27が走行台車26上に敷設したモノレール2
5に沿って移動可能に構成されている。
【0077】ここで、浮上手段28,29は、工場用エ
ア(移動式空気圧縮装置)の空気圧によってダイヤフラ
ムが膨張して圧力域が形成され、これにより制御エアが
大気に漏れてダイヤフラムとガイドレール9やモノレー
ル25との間に薄い空気膜が形成される。この空気圧に
より走行台車26および横行台車27が持ち上げられる
と、ガイドレール9やモノレール25に対して摩擦のな
い状態となり、わずかな力で移動させることができる。
【0078】図9および図10に示すように、オペレー
ションフロア8にガイドレール9として、外側ガイドレ
ール30と内側ガイドレール31とが原子炉ウエル13
から燃料貯蔵プール2までの範囲に敷設されている。外
側ガイドレール30と内側ガイドレール31の上に、走
行台車3としての大スパン走行台車32と小スパン走行
台車33とが、それぞれ走行可能に搭載されている。
【0079】外側ガイドレール30および内側ガイドレ
ール31の上には、高周波ケーブルを内蔵した構造体3
4,35が、それぞれ取り付けられている。これらの構
造体34,35に内蔵された高周波ケーブルは、走行台
車26および横行台車27に動力用電力や信号の伝送を
行うもので、これらの作用を、高周波を利用した非接触
電磁誘導で行うようになっている。
【0080】大スパン走行台車32および小スパン走行
台車33の下面には、それぞれ浮上手段28としてのエ
アスカート36が取り付けられ、その内側には図示しな
いコイル構造体が取り付けられ、各走行台車32,33
が外側ガイドレール30および内側ガイドレール31の
上にそれぞれ浮上するようになっている。各走行台車3
2,33の端部には空気圧縮機37が取り付けられ、こ
の空気圧縮機37からエアスカート36までエア配管が
敷設されている。
【0081】一対の外側ガイドレール30および内側ガ
イドレール31の少なくとも一方、例えば両端に、ワイ
ヤー駆動装置38および滑車39が取り付けられ、大ス
パン走行台車32および小スパン走行台車33とワイヤ
駆動装置38とが、滑車39を経由してワイヤー40で
結ばれている。そして、左右の各走行台車32,33の
脚部の間が大スパンモノレール41および小スパンモノ
レール42を搭載するトラスト構造で結合されている。
【0082】大スパンモノレール41および小スパンモ
ノレール42の上には、高周波ケーブルを内蔵した構造
体43,44がそれぞれ取り付けられ、横行台車27へ
の電力供給および信号伝送が行われるようになってい
る。横行台車27の台車構造部45の中央部分の下面に
横行部46が取り付けられ、この横行部46の下面に浮
上手段29としてエアスカート47が取り付けられ、横
行台車27の内側には図示しないコイル構造体が取り付
けられ、大スパンモノレール41および小スパンモノレ
ール42の上を横行台車27が横行するようになってい
る。
【0083】また、横行台車27の台車部45には空気
圧縮機48が取り付けられ、この空気圧縮機48からエ
アスカート47までエア配管が敷設されている。
【0084】さらに、大スパンモノレール41および小
スパンモノレール42の両端には、ワイヤー駆動装置4
9および滑車50が取り付けられ、台車構造部45とワ
イヤ駆動装置49とが滑車50を経由してワイヤー51
で結合されている。
【0085】台車構造部45には多段伸縮マスト6とマ
スト伸縮用駆動装置52とが搭載されるとともに、タワ
ー53が取り付けられ、このタワー53の上端には定滑
車54が取り付けられている。多段伸縮マスト6とマス
ト伸縮用駆動装置52とは、定滑車54を介してワイヤ
ー55で連結されている。マスト伸縮用駆動装置52と
台車構造部45とは、スライド機構56を介して結合さ
れ、このスライド機構56は、駆動機構57によって駆
動されるようになっている。なお、図8において、58
は滑車である。
【0086】横行台車27の台車構造部45の多段伸縮
マスト6が取り付けられている周辺には、図示しない
が、炉心11を観察するためのテレビカメラや、横行台
車27に搭載された多段伸縮マスト6の先端位置を監視
するためのテレビカメラが取り付けられている。また、
オペレーションフロア室には走行台車26および横行台
車27の動作状態を監視するテレビカメラが設置されて
いる。これにより、走行台車26、横行台車27および
多段伸縮マスト6の駆動、ならびに燃料集合体7の把持
動作などは、テレビカメラを用いて遠隔操作で全自動あ
るいは半自動的に制御されるようになっている。
【0087】(第2実施形態の作用)第2実施形態は、
前記第1実施形態と略同様の作用であるが下記の点が異
なる。すなわち、遠隔操作室の操作員が遠隔操作によっ
て、横行台車27に取り付けられている空気圧縮機48
を駆動し、エアスカート47に高圧空気を供給し、横行
台車27を大スパンモノレール41および小スパンモノ
レール42から浮上させる。
【0088】そして、モノレール41の端部に取り付け
られたワイヤー駆動装置49を駆動させ、ワイヤー51
を滑車50を介して動かし、横行台車27が大スパンモ
ノレール41および小スパンモノレール42の中央部に
くるように横行させる。
【0089】横行台車27が所定の位置に来たら、エア
スカート47内の圧力を解放し、横行台車27を大スパ
ンモノレール41および小スパンモノレール42の中央
部で停止する。
【0090】遠隔操作室の操作員が、走行台車26に取
り付けられた空気圧縮機37を遠隔操作で駆動し、走行
台車26の下面に取り付けられたエアスカート36に高
圧空気を供給し、大スパン走行台車32および小スパン
走行台車33を外側ガイドレール30および内側ガイド
レール31からそれぞれ浮上させる。そして、ガイドレ
ール9の端部に取り付けられたワイヤー駆動装置38を
駆動させ、ワイヤー40を滑車39を介して移動させ、
大スパン走行台車32および小スパン走行台車33が炉
心11の上方の所定の位置に来るように走行させる。
【0091】以下、前記第1実施形態と同様の操作を行
って燃料集合体7を炉心11から取り出して燃料貯蔵プ
ール2の燃料貯蔵ラック12に装荷したり、この逆を行
ったりする。大スパン走行台車32および小スパン走行
台車33の多段伸縮マスト6がカナル14を通過する時
には、それぞれ横行台車27を大スパンモノレール41
および小スパンモノレール42の中央部に移動させ、走
行方向に2本の多段伸縮マスト6が一列に並ぶようにす
る。
【0092】また、オペレーションフロア8側に、図示
しない地震計を設置しておき、この地震計が一定の値以
上の加速度を検出した時に、横行台車27、大スパン走
行台車32および小スパン走行台車33のワイヤー駆動
装置38,49の内部に設置されているワイヤー40,
51の把持機構(図示せず)の把持状態の解除を行うよ
うにしておくことが望ましい。そして、地震の間、エア
スカート36,47では、高圧空気が供給された状態が
継続されるようにする。
【0093】(第2実施形態の効果)このように第2実
施形態によれば、炉心11および燃料貯蔵ラック12の
上方において多段伸縮マスト6の伸縮による加速・減速
を1回で行い、マストの各段間の相対加速度の最高値を
従来と同じ大きさとすることによる燃料集合体7の昇降
速度の高速化により240秒程度短縮することができ
る。これは、燃料集合体7を炉心11から取り出す作業
時間を40%程度削減することができる。
【0094】また、走行台車26をオペレーションフロ
ア8のガイドレール9上で走行させるとともに、その走
行台車26にモノレール25を設け、このモノレール2
5上に横行台車27を搭載するものにおいて、これら走
行台車26および横行台車27をエアスカート36,4
7によって浮上させるようにしたことにより、作動が円
滑となり、燃料交換作業が迅速かつ容易に行えるように
なるとともに、構成部品の削減、重量の軽減および駆動
装置の小型化が図れ、制作費の低減も可能となる。
【0095】さらに、走行台車26および横行台車27
の下面にそれぞれエアスカート36,47を設け、地震
発生時には、これ等の駆動装置を切り離すことで免振が
可能な構造となっているため、地震に対する安全性を向
上することができるとともに、横行台車30および走行
台車29が、柔構造でも構造強度的に良くなり、物量削
減が可能となって、製作費の低減が図れる。
【0096】しかも、高周波を利用した非接触電磁誘導
で走行台車26および横行台車27に動力用電力の供給
や、信号を伝送するための電力ケーブル巻取装置などの
物量が削減できるようになり、走行台車26を柔構造と
することと併せて、物量の削減、製作費の低減が図れ
る。
【0097】さらに、オペレーションフロア9上に走行
台車26支持用のガイドレール9を2組設け、2台の走
行台車26を入れ子状に組合うようにすることにより、
横行方向に多段伸縮マスト6を並べることができ、これ
により地震時に走行台車26が転倒するのを有効的に防
止することができるとともに、燃料交換作業の運用性の
柔軟性を確保できる。そして、走行方向に脚を広くとる
構造とすることができるため、走行台車26の信頼性の
向上も図れるようになる。
【0098】[第3実施形態] (第3実施形態の構成)図12は本発明に係る燃料取扱
い装置の第3実施形態を示す構成図である。この第3実
施形態は、前記第1実施形態および第2実施形態におい
て全段が同時に伸縮する多段伸縮マスト6の内側で、先
端部マスト6aおよび各段のマストの上端に青色発振半
導体レーザ光を照射して各段のマストの上端までの距離
を計測しながら監視して燃料集合体7の取扱いを行うの
である。
【0099】すなわち、第3実施形態は、図12に示す
ように多段伸縮マスト6の上端に青色発振半導体レーザ
光発振装置60を設置して先端部マスト6aおよび各段
のマストの上端に青色発振半導体レーザ光61を照射し
て反射した反射光を検出する。このレーザ光61の照射
と検出は、三角測量法で距離を検出するように配置する
か、またはタイムオブフライト法で距離を測定可能なよ
うに配置する。
【0100】(第3実施形態の作用)前記第1実施形態
および第2実施形態の作用に加え、青色発振半導体レー
ザ光発振装置60から多段伸縮マスト6の先端部マスト
6aの上端に青色発振半導体レーザ光61を照射し、そ
こでの反射光を測定し、最大反射光量検出角度を測定し
て三角測量法で先端部マスト6aの上端までの距離を測
定する。
【0101】また、同様に青色発振半導体レーザ光発振
装置60から各段のマストの上端に青色発振半導体レー
ザ光61を照射し、そこでの反射光を測定し、最大反射
光量検出角度を測定して三角測量法で各段のマストの上
端までの距離を測定し、各段のマストが正常に伸縮して
いるか否かを監視する。
【0102】(第3実施形態の効果)このように第3実
施形態によれば、青色発振半導体レーザ光61を用いる
ことにより水中においても減衰が少ないため、多段伸縮
マスト6の先端部マスト6aの上端の位置を正確に計測
することができる。
【0103】また、先端部マスト6aの伸縮位置を監視
しながら多段伸縮マスト6の伸縮を行うため、高速で所
定の伸縮位置に設定することができ、その結果燃料集合
体7を高速度で昇降するための運転制御の信頼性を向上
させることができる。
【0104】[第4実施形態] (第4実施形態の構成)図13は本発明に係る燃料取扱
い装置の第4実施形態の要部を示す断面図、図14は第
4実施形態における多段伸縮マストを示す横断面図であ
る。
【0105】この第4実施形態は、前記第1実施形態お
よび第2実施形態において全段が同時に伸縮する多段伸
縮マスト6の各段の両端に電気粘性流体あるいは電磁粘
性流体を応用したダッシュポット(流体緩衝器)62を
設けたものである。
【0106】すなわち、第4実施形態は、図13に示す
ように多段伸縮マスト6が完全展開し、電気粘性流体あ
るいは電磁粘性流体を応用したダッシュポット62を介
してマスト上端部63とマスト下端部64とが接触して
いる。
【0107】ダッシュポット62は、マスト胴65のマ
スト上端部63に取り付けられており、このマスト上端
部63の下面に接触する上部接触板66と、マスト下端
部64の上面に接触する下部接触板67と、両接触板6
6,67を接続する軸68と、この軸68に固定された
ピストン69と、このピストン69が上下動するピスト
ン室70と、電気粘性流体あるいは電磁粘性流体の流動
抵抗を付けるための細管71と、ピストン69の外周面
に設けられたシール部72と、軸68をシールするため
のシール部73と、全体を覆う外殻部74とから構成さ
れている。
【0108】シール部72,73は、ダッシュポット6
2がマスト上端部63とともにマスト胴65内を上下動
する時に上部接触板66および下部接触板67に作用す
る流体圧でピストン69が動かない程度の可動部抵抗を
生じる構造とする。
【0109】また、マスト上端部63には、図14に示
すようにキー溝75が設けられ、このキー溝75にマス
ト胴65に取り付けられた案内キー23が嵌合してい
る。
【0110】(第4実施形態の作用)図13は多段伸縮
マスト6が完全に展開をしているため収縮させる場合の
作用を説明する。多段伸縮マスト6が収縮する時、上部
接触板66がマスト上端部63の下面に接触すると、上
部接触板66はマスト上端部63に固定されたダッシュ
ポット62に対して下方に移動を開始する。上部接触板
66が下方に移動をすると、軸68およびこれに固定さ
れたピストン69も下方に相対移動を開始する。
【0111】ピストン69の下方への移動が開始する
と、電気粘性流体あるいは電磁粘性流体の流れが発生す
る。そして、細管71を電気粘性流体あるいは電磁粘性
流体が通過する時に流動抵抗が発生し、ピストン69の
下方への移動速度を一定値に制限する働きが生じる。
【0112】ここで、細管71の長さと流路面積を調整
することにより、電気粘性流体あるいは電磁粘性流体に
よる流動抵抗を調整する。ここで、細管71の周辺にコ
イルまたは永久磁石を配置して細管71内面に電荷を発
生させる構造として電気的な遠隔操作により流動抵抗を
調整するようにしてもよい。
【0113】(第4実施形態の効果)このように第4実
施形態によれば、多段伸縮マスト6の各段が同時に展開
および収縮しないで、不規則に伸縮することが発生して
も、多段伸縮マスト6の各段の衝撃を緩和し、完全な展
開あるいは収縮を行わせることができる。その結果、多
段伸縮マスト6を破損させるような事故の発生を未然に
防止することができる。
【0114】[第5実施形態] (第5実施形態の構成)図15は本発明に係る燃料取扱
い装置の第5実施形態を示す構成図である。この第5実
施形態は、多段伸縮マスト6の全段を同時に伸縮させる
ためのワイヤー5の他に、先端部マスト6aに引上げ用
のワイヤー76を取り付けたものである。
【0115】すなわち、第5実施形態は、マスト伸縮用
の駆動装置16に滑車17および巻取ドラム77が取り
付けられ、滑車17を介してワイヤー5を操作する長さ
と、巻取ドラム77を介してワイヤー76を操作する長
さとが等しくなるように調整されている。そして、ワイ
ヤー76は滑車78を介して巻取ドラム77と先端部マ
スト6aとを結合しており、巻取ドラム77により巻き
取られる。
【0116】(第5実施形態の作用および効果)ワイヤ
ー5を駆動装置16で操作する長さとワイヤー76を駆
動装置16で操作する長さを同じにして先端部マスト6
aおよび燃料集合体7の昇降を行う。
【0117】このように第5実施形態によれば、全段を
同時に伸縮させるためのワイヤ5の他に、先端段に引上
げ用のワイヤー76が先端部マスト6aに取り付けられ
ているため、ワイヤ5の切断事故などが発生しても、燃
料集合体7が落下するのを防ぐことができ、より安全性
の高い燃料取扱い作業を行うことができる。
【0118】[第6実施形態] (第6実施形態の構成)図16(A),(B)は本発明
に係る燃料取扱い装置の第6実施形態を示す構成図,
(A)のB部拡大断面図である。
【0119】この第6実施形態は、多段伸縮マスト6の
先端部マスト6aと燃料掴み具10とがダンパー機構
(電気粘性流体あるいは電磁粘性流体を応用したダッシ
ュポット)79を介して結合され、燃料掴み具10を昇
降させるためのワイヤー80と、多段伸縮マスト6を全
段同時に伸縮させるためのワイヤー5とを別にし、それ
ぞれのワイヤー80,5に駆動装置16,81を設けた
ものである。
【0120】すなわち、第6実施形態は、マスト伸縮用
の駆動装置16の駆動軸に滑車17が取り付けられ、こ
の滑車17を介してワイヤー5を操作する。また、駆動
装置81の巻取ドラム82と燃料掴み具10がワイヤ8
0で結合されている。
【0121】ダンパー機構79は、図16(B)に示す
ようにワイヤー80と結合される上部構造体83と、こ
の上部構造体83と燃料掴み具10を結合する軸84
と、この軸84に固定されたピストン85と、このピス
トン85が上下動するピストン室86と、電気粘性流体
あるいは電磁粘性流体の流動抵抗を付けるための細管8
7と、軸84をシールするシール部88と、ピストン8
5の外周面に設けられたシール部89と、全体を覆う外
殻部90とから構成されている。
【0122】(第6実施形態の作用)図16(A)では
多段伸縮マスト6が完全に展開をしているため収縮させ
る場合の作用を説明する。多段伸縮マスト6の収縮を開
始する前に駆動装置81を駆動させワイヤー80で燃料
掴み具10の引上げを開始する。引き続いて駆動装置1
6を作動させ多段伸縮マスト6内のワイヤー5の引上げ
を開始する。ここで、ワイヤー80とワイヤー5の引上
げ速度は同じ速度になるように制御する。
【0123】次いで、燃料掴み具10が所定の高さ位置
に吊り上げられると、ワイヤー80の引上げを停止し、
引き続いてワイヤー5の引上げを停止する。多段伸縮マ
スト6を展開する場合は、多段伸縮マスト6内のワイヤ
ー5の引き下げを最初に行い、引き続きワイヤー80の
引き下げを行うように制御する。
【0124】目標高さに多段伸縮マスト6と燃料掴み具
10が展開あるいは収縮する直前の両者の相対速度の差
による衝撃力の発生は、ダンパー機構79のピストン8
5の相対的な動きによる電気粘性流体あるいは電磁粘性
流体の流れが矢印のように発生し、その流動抵抗が発生
することによって緩和される。
【0125】そして、細管87を電気粘性流体あるいは
電磁粘性流体が通過する時に流動抵抗が発生し、ピスト
ン85の移動速度を一定値に制限する働きが生じる。細
管87の長さと流路面積を調整することにより、電気粘
性流体あるいは電磁粘性流体による流動抵抗を調整す
る。
【0126】(第6実施形態の効果)このように第6実
施形態によれば、多段伸縮マスト6の伸縮と、燃料掴み
具10の昇降に差が生じて両者の接触が生じても、その
衝撃を緩和して多段伸縮マスト6などを破損させるよう
な事故発生を未然に防止することができる。
【0127】また、多段伸縮マスト6と燃料掴み具10
(燃料集合体7を把持した場合も含む)の伸縮あるいは
昇降動作を別々に行うため、多段伸縮マスト6の全段を
同時に伸縮するためのワイヤー5にかかる荷重を減少さ
せることができ、高速での操作によるワイヤー5などの
損傷を防ぐことができるとともに、燃料集合体7を炉心
11の平面内の所定の位置に持ってくる従来の機能も具
備されている。
【0128】[第7実施形態] (第7実施形態の構成)図17〜図24は本発明に係る
燃料取扱い装置の第7実施形態を示し、図17は摩耗低
減機構を組み込んだ燃料取扱い装置を示す構成図、図1
8は完全展開した状態の多段伸縮マストを示す拡大断面
図である。
【0129】この第7実施形態は、図17および図18
に示すように多段伸縮マスト6を全段同時に伸縮するた
めに各段のマストに取り付けられた滑車21とワイヤー
5との接触面、ワイヤー5を昇降移動させるために駆動
装置16で回転駆動される滑車17とワイヤー5との接
触面が、それぞれ磁気回路の一部を構成するように永久
磁石を備えた摩耗低減機構91を設けたものである。
【0130】この摩耗低減機構91は、図19に示すよ
うに滑車92と、この滑車92に巻き掛けられるワイヤ
ー5と、このワイヤー5と滑車92と接触面近傍に配置
され永久磁石93が内面に取り付けられたカバー94と
から構成される。滑車92およびカバー94の材質をね
ずみ鋳鉄(あるいは球状黒鉛鋳鉄、オーステンパ球状黒
鉛鋳鉄)とし、ワイヤー5の材質を硬鋼線材とし、永久
磁石93とワイヤー5との間隙の寸法をδ1、滑車92
とカバー94の間隙の寸法をδ2とするとともに、これ
らの間隙の寸法δ1=δ2=1.5cmとし、永久磁石
93にフェライト磁石を用いると、永久磁石93とワイ
ヤー5間の磁束密度Bが40〜100mT程度となる。
【0131】(第7実施形態の作用)第7実施形態で
は、ワイヤー5と滑車92との間の摩耗を大幅に低減す
るために摺動面近傍の磁束密度を所定の値にする。この
値としては、以下に述べる原理により選定する。
【0132】すなわち、磁気による摩耗低減の原理を図
20を参照して説明する。摺動面に磁気を作用させる
と、気体の吸着、特に酸素の吸着が活発になり、酸化膜
が生成される。この酸化膜が摺動面に介在することによ
り、新生面同士の接触・凝着が少なくなり、摩耗粉が微
細化して摩耗が低減する現象が確認されている。その効
果は、摺動材料の化学成分あるいは磁気特性により異な
る。
【0133】つまり、材料(あるいは材料の含有化学成
分)により酸素に対する反応や温度などの環境に対する
敏感性の違いがあるので、その効果は個々の材料で異な
る。電子軌道に空孔がある遷移金属あるいは遷移金属が
主成分である強磁性材、例えば鉄鋼材料は化学的に非平
衡状態にあり、他の元素と結合しやすい状態にある。そ
のような材料からなる摺動体に磁気を作用させると、他
の元素と結合(イオン結合あるいは共有結合)作用を活
発化させ、酸素吸着が促進され、それにより摩耗が低減
すると言われている。
【0134】図21(A),(B)は硬鋼線材(SWR
H60A)からなるピン試験片の摩耗特性図(すべり距
離l(m)と摩耗量W(mg)の関係を示す図)と、球
状黒鉛鋳鉄(FCD700)からなるディスク試験片に
ついて摩耗特性図(すべり距離l(m)と摩耗量W(m
g)の関係を示す図)である。
【0135】図22は磁束密度と比摩耗量の関係を示
す。図22に示すように、磁束密度が40〜100(m
T)の間では、磁束密度が0の場合に比べて硬鋼線材
(SWRH62A)で摩耗量が1/2、球状黒鉛鋳鉄
(FCD700)で摩耗量が1/100程度になってい
る。図23はディスク試験片(FCD700)の試験後
の断面プロフィルを示す。図23に示すように、荷重が
100(N)で、磁束密度B=40〜100mTの場合
は、B=0〜20mTに比べて摩耗が小さいことがわか
る。
【0136】図24は磁気と摩擦力の特性図を示す。図
24に示すように、磁束密度が大きくなると摩擦力が増
加するので、滑りがより少なくなる。なお、磁界発生手
段として上記のように永久磁石93を使用した場合も、
電磁石を使用した場合も同様な効果を得ることができ
る。
【0137】(第7実施形態の効果)このように第7実
施形態によれば、ワイヤー5と滑車92の摺動面近傍の
磁束密度を所定の値になるようにすることで、両者の摩
耗を大幅に低減することができる。その結果、ワイヤー
5の交換は約15年に1回程度となり、滑車92はほと
んど交換を必要としなくなり、定期点検作業回数を削減
するとともに、定期点検期間を短縮することが同時に達
成することができる。
【0138】[変形例] (変形例の構成)図25〜図28は本発明に係る燃料取
扱い装置の第7実施形態の変形例を示し、図25は摩耗
低減機構を組み込んだ燃料取扱い装置を示す構成図、図
26は摩耗低減機構を組み込んだ別の燃料取扱い装置を
示す構成図、図27(A),(B)は図25および図2
6における滑車と巻取ドラムを示す平面図,側面図、図
28(A),(B)は摩耗低減機構を取り付けた巻取ド
ラムと滑車を示す断面図である。
【0139】この第7実施形態の変形例は、図25およ
び図26に示すように全段同時に伸縮する多段伸縮マス
ト6の代わりに、最下段より順次展開・収縮する多段伸
縮マスト95を用いたものである。
【0140】図25に示す変形例は、走行台車3上に設
置された軌道15の上を横行する横行台車4に最下段か
ら順次展開・収縮する多段伸縮マスト95を搭載し、こ
の多段伸縮マスト95を順次展開・収縮するためにワイ
ヤー5を巻き取ったり、送り出したりする巻取ドラム9
6および滑車92に摩耗低減機構91が取り付けられて
いる。
【0141】図26に示す変形例は、走行台車26のモ
ノレール25の上を横行する跨座式の横行台車27に最
下段から順次展開・収縮する多段伸縮マスト95を搭載
し、この多段伸縮マスト95を順次展開・収縮するため
にワイヤー5を巻き取ったり、送り出したりする巻取ド
ラム96および2つの滑車92,92に摩耗低減機構9
1が取り付けられている。
【0142】また、図27(A),(B)および図28
(A),(B)に示すように、巻取ドラム96には、永
久磁石97およびカバー98により構成される摩耗低減
機構91が取り付けられており、滑車92には永久磁石
93およびカバー94により構成される摩耗低減機構9
1が取り付けられている。ここで、永久磁石93とワイ
ヤー5との間隙の寸法、カバー98と巻取ドラム96と
の間隙の寸法を1.5cm程度に設定する。
【0143】(変形例の作用および効果)第7実施形態
の変形例では、多段伸縮マスト95を最上段から順次展
開し、最下段から順次収縮するためのワイヤー5を巻き
取ったり、送り出したりする巻取ドラム96および滑車
92に摩耗低減機構91を取り付けたことにより、第7
実施形態と同様の作用および効果が得られる。
【0144】[第8実施形態] (第8実施形態の構成)図29は本発明に係る燃料取扱
い装置の第8実施形態を示す部分断面構成図である。
【0145】この第8実施形態は、走行台車2,29、
横行台車19,30の車輪100のような回転体のブレ
ーキとして球体と車輪100との接触点が磁気回路の一
部を構成するように永久磁石を組み込んだ接触式ブレー
キ装置付きの横行台車、走行台車を用いたものである。
【0146】すなわち、第8実施形態は、図29に示す
ように前述した走行台車2,29、横行台車19,30
の車体99に車輪100が取り付けられ、この車輪10
0が回転駆動することで車体99が軌道101上を走行
する。ブレーキ装置102は、その球体103が車輪1
00と接触結合するように車体99と車輪100の軸1
04を結合する支持構造体105に取り付けられてい
る。
【0147】また、ブレーキ装置102は、球体103
と、この球体103を保持する球体保持部106と、こ
の球体保持部106に一端が固定された永久磁石製軸1
07と、この永久磁石製軸107の他端が固定されたピ
ストン108と、このピストン108を収納したピスト
ン室109とから構成されている。そして、支持構造体
105は、ベアリング110を介して軸104と結合し
ている。このようにして球体103と車輪100の接触
点、ベアリング110などを含む磁気回路が構成され
る。ピストン108はピストン室109に接合されたニ
ューマチック系で制御される構成である。
【0148】(第8実施形態の作用)第8実施形態で
は、走行台車3,26、横行台車4,27の車輪部にブ
レーキ装置102が取り付けられている。走行台車3,
26、横行台車4,27が走行および横行をする時には
ブレーキ装置102のピストン108を移動させて球体
103を車輪100との接触を解除し、一方ブレーキを
働かす場合には、ピストン108を逆方向に移動させ、
球体103と車輪100を接触状態にする。
【0149】球体103と車輪100が接触状態になる
と、この接触点を通って車輪100、軸104,ベアリ
ング110,支持構造体105,永久磁石製軸107を
含む磁気回路が構成される。このように磁気回路が構成
されると、球体103の接触点、ベアリング110のボ
ールの接触点で摩擦力が磁気回路の形成されない場合に
比べ1桁程度大きくなる。また、図21および図22に
示すように摩耗量が1桁から2桁程度小さくなる。
【0150】(第8実施形態の効果)このように第8実
施形態によれば、走行台車3,26、横行台車4,27
のブレーキ装置102が磁気回路の一部を構成するよう
にしたので、ブレーキ部分の摩耗を削減することが可能
となり、点検作業を削減することができる。
【0151】なお、第8実施形態では、走行台車3,2
6、横行台車4,27以外に、一般の走行車に対しても
適用可能である。
【0152】[第1変形例] (第1変形例の構成)図30は本発明に係る燃料取扱い
装置の第8実施形態の第1変形例を示す部分断面構成図
である。
【0153】第8実施形態の第1変形例は、横行台車、
走行台車の車輪の軸部のベアリング部のボールの接触点
が磁気回路の一部を構成するように永久磁石を組み込ん
でブレーキ装置としたものである。
【0154】すなわち、第1変形例は、図30に示すよ
うに走行台車2,29、横行台車19,30の車体99
に車輪100が取り付けられ、この車輪100が回転駆
動することで車体99が軌道101上を走行する。2つ
の車輪100は軸104により連結され、この軸104
はベアリング110を介して支持構造体111と結合さ
れ、この支持構造体111は車体99に取り付けられて
いる。
【0155】ブレーキ装置112は、ベアリング11
0,リング状永久磁石113,ピストン機構114によ
り構成され、リング状永久磁石113が2つのベアリン
グ110間にピストン機構114で挿入される。このピ
ストン機構114は、ピストン室115と、このピスト
ン室115内を摺動するピストン116と、このピスト
ン116に一端が固定され他端がリング状永久磁石11
3に固定される軸117とから構成されている。
【0156】ピストン室115内には、ピストン116
を駆動するために図示しない高圧空気系または油圧系か
ら高圧空気または油が供給される。そして、ピストン1
16を駆動してリング状永久磁石113を2つのベアリ
ング110間に同心位置になるように挿入すると、リン
グ状永久磁石113,ベアリング110のボールの接触
点,軸104により磁気回路が構成される。
【0157】(第1変形例の作用および効果)図30は
ブレーキ装置112を作動させた状態を示し、この状態
では2つのベアリング110、軸104およびリング状
永久磁石113により磁気回路が構成され、ベアリング
110の球体部の接触抵抗が増大して軸104を介して
2つの車輪100の回転移動を制動している。
【0158】この制動状態を解放するには、ピストン室
115内に高圧空気などを供給してピストン116を図
30において上方に移動させ、軸117を介してリング
状永久磁石113をベアリング110との同心位置から
上方にずらして磁気回路の形成を解除し、ベアリング1
10の球体部の接触抵抗を減少させる。
【0159】このように第1変形例によれば、横行台
車、走行台車の車輪100の軸104のベアリング11
0のボールの接触点が磁気回路の一部を構成するように
リング状永久磁石113を組み込んでブレーキ装置11
2としたので、第8実施形態と同様の効果が得られる。
【0160】[第2変形例] (第2変形例の構成)図31は本発明に係る燃料取扱い
装置の第8実施形態の第2変形例を示す部分断面構成図
である。この第8実施形態の第2変形例は、接触式のブ
レーキ装置の磁石に電磁石を用いたものである。
【0161】すなわち、第2変形例は、図31に示すよ
うに車体99に車輪100が取り付けられ、この車輪1
00が回転駆動することで車体99が軌道101上を走
行する。ブレーキ装置118は、その球体103が車輪
100と接触結合するように車体99と車輪100の軸
104を結合する支持構造体105に取り付けられてい
る。
【0162】また、ブレーキ装置118は、球体103
と、この球体103を保持する球体保持部106と、こ
の球体保持部106に一端が固定された軸107と、こ
の軸107の他端が固定されたピストン108と、この
ピストン108を収納したピストン室109と、このピ
ストン室109と支持構造体105とを連結する軸11
9と、この軸119に巻回された電磁コイル120とか
ら構成されている。
【0163】そして、支持構造体105は、ベアリング
110を介して軸104と結合している。電磁コイル1
20に電流を流すことにより軸119が着磁されて電磁
石になるため、球体103と車輪100の接触点、ベア
リング110などを含む磁気回路が構成される。
【0164】(第2変形例の作用)第2変形例では、走
行台車2,29、横行台車19,30の車輪100に電
磁コイル120を組み込んだブレーキ装置118が取り
付けられている。走行台車2,29、横行台車19,3
0が走行および横行をする時には、ブレーキ装置118
のピストン108を図示しない高圧空気、油圧などによ
り移動させて球体103を車輪100との接触を解除す
るし、一方ブレーキを働かす場合には、ピストン108
を逆方向に働かせ、球体103と車輪100を接触状態
にする。
【0165】球体103と車輪100が接触状態になる
と、電磁コイル120に通電して軸119を磁化するこ
とで、球体103と車輪100との接触点を通って車輪
100,軸104,ベアリング110,支持構造体10
5,磁化された軸119を含む磁気回路が構成される。
このように磁気回路が構成されると、球体103の接触
点、ベアリング110のボールの接触点で摩擦力が磁気
回路の形成されない場合に比べ1桁程度大きくなる。ま
た、図21および図22に示すように摩耗量が1桁から
2桁程度小さくなる。
【0166】(第2変形例の効果)このように第2変形
例によれば、接触式のブレーキ装置118の磁石に電磁
石を用いたことにより、第8実施形態の効果に加え、制
動力の制御が容易に可能となる。
【0167】[第9実施形態] (第9実施形態の構成)図32(A),(B)は本発明
に係る燃料取扱い装置の第9実施形態における走行台車
または横行台車の車輪を示す正面図,側面図である。
【0168】第9実施形態は、図32(A),(B)に
示すように走行台車3,26、横行台車4,27の車輪
100と軌道101との接触点が磁気回路の一部を構成
するように永久磁石を含む近接部材121を軌道101
に近接させるものである。
【0169】この近接部材121は、車輪100の軸1
04に回転可能に取り付けられ、この軸104との間に
セラミックス製のボールベアリング123が装着される
とともに、下部に永久磁石122を有し、重力により軌
道101に近接するように垂下している。したがって、
永久磁石122を有する近接部材121を軌道101に
近接させることで、車輪100と軌道101の接触点が
磁気回路の一部を構成する。
【0170】(第9実施形態の作用および効果)永久磁
石122を有する近接部材121が走行台車3,26、
横行台車4,27の車輪100の軸104から垂下し、
車輪100,軌道101および近接部材121で磁気回
路を構成し、車輪100と軌道101との接触点の摩耗
を低減させることができる。
【0171】このように第9実施形態によれば、走行台
車3,26、横行台車4,27の車輪100と軌道10
1の摩耗が削減できるため、車輪100および軌道10
1の点検作業、補修作業を削減することができる。
【0172】[第1変形例] (第1変形例の構成)第9実施形態の第1変形例は、走
行台車3,26、横行台車4,27の車輪100と軌道
101との接触点が磁気回路の一部を構成するように電
磁石を含む近接部材121を軌道101に近接させるも
のである。すなわち、第1変形例は、第9実施形態のよ
うに近接部材121に永久磁石122を設けるのではな
く、近接部材121に電磁石を組み込んだものである。
【0173】(第1変形例の作用および効果)このよう
に第1変形例では、近接部材121に電磁石を組み込ん
だことにより、第9実施形態と同様の作用および効果が
得られる。
【0174】[第2変形例] (第2変形例の構成)図33は本発明に係る燃料取扱い
装置の第9実施形態の第2変形例における走行台車また
は横行台車の車輪を示す側面図である。
【0175】第9実施形態の第2変形例は、図33に示
すように走行台車3,26、横行台車4,27の車輪1
00と軌道101との接触点が磁気回路の一部を構成す
るように永久磁石(または電磁石)122を含む近接部
材124の先端に球体125を取り付けたものである。
【0176】この近接部材124は、車輪100の軸1
04に回転可能に取り付けられ、この軸104との間に
セラミックス製のボールベアリング123が装着される
とともに、下部に永久磁石122を有し、重力により軌
道101に近接するように垂下し、その先端に球体12
5を取り付け、この球体125が軌道101に接触する
ように構成している。したがって、永久磁石122を有
する近接部材124の球体125を軌道101に接触さ
せることで、車輪100と軌道101の接触点が磁気回
路の一部を構成する。
【0177】(第2変形例の作用および効果)このよう
に第2変形例では、車輪100と軌道101との接触点
が磁気回路の一部を構成するように永久磁石(または電
磁石)122を含む近接部材124の先端に球体125
を取り付けたことにより、第9実施形態と同様の作用お
よび効果が得られる。
【0178】[第10実施形態] (第10実施形態の構成)図34は本発明に係る燃料取
扱い装置の第10実施形態における多段伸縮マストを示
す拡大断面図である。
【0179】第10実施形態は、図34に示すように多
段伸縮マストの各段の軸方向上下両端内面に永久磁石1
26,127を取り付けるとともに、各段の軸方向上端
外面に球体126を取り付け、永久磁石126,127
に球体128を接触させて磁気回路を構成し、これによ
りダンパー機構129としたものである。
【0180】すなわち、第10実施形態は、多段伸縮マ
ストの各段のマスト胴65内面において、マスト上端部
63およびマスト下端部64に永久磁石126,127
が取り付けられるとともに、マスト上端部63外面に球
体128が取り付けられ、この球体128がマスト胴6
5内面に接触するように構成されている。そして、球体
128が永久磁石126,127に接触することで磁気
回路が構成されてダンパー機構129となる。
【0181】なお、図34において、多段伸縮マストで
上段に配置されたマスト胴を65bとし、下段に配置さ
れたマスト胴を65aとする。また、そのマスト上端部
63も上段に配置されたものを63bとし、下段に配置
されたものを63aとする。さらに、マスト下端部64
も上段に配置されたものを64bとし、下段に配置され
たものを64aとする。
【0182】(第10実施形態の作用)図34は多段伸
縮マストが完全に展開した状態を示し、この状態から収
縮する場合の作用を説明する。マスト胴65aの引き上
げが開始されると、永久磁石126とマスト上端部63
aに取り付けられた球体128との間で磁気回路が構成
され、球体128の接触面において磁気抵抗が発生する
ものの、それ以上の力で引き上げを行う。そして、球体
128が永久磁石126との接触する位置以上に引き上
げられると、磁気回路が解除され磁気抵抗のない状態で
引上げを続行する。
【0183】次いで、球体128が永久磁石127に接
するようになると、再び磁気抵抗が発生し、マスト胴6
5aの引上げに対するダンパー機能が生ずる。マスト胴
65aのマスト上端部63aがマスト胴65bのマスト
上端部63bに接近する時には、マスト胴65bのマス
ト上端部63bもさらに上段のマスト上端部に接近して
いて永久磁石と球体128とによる磁気ダンパー効果が
同時に作用する。
【0184】(第10実施形態の効果)多段伸縮マスト
の全開、全閉直前の減速作用が磁気ダンパー効果を用い
て行うことができるため、多段伸縮マスト運用上の信頼
性が向上する。
【0185】[第1変形例] (第1変形例の構成)第10実施形態の第1変形例は、
第10実施形態の磁気回路を構成する永久磁石126,
127をそれぞれ電磁石に代えてダンパー機構としたも
のである。
【0186】(第1変形例の作用および効果)このよう
に第1変形例では、電磁石へ流す電流を制御することに
より、磁気ダンパー機能を有するとともに、ブレーキ機
能を有する。したがって、磁気回路を構成する永久磁石
を電磁石に代えてダンパー機構としたことにより、ダン
パー力が制御可能となり、任意な加速度で伸縮の制御を
行うことができ、運転制御機能を高めることができる。
【0187】[第2変形例] (第2変形例の構成)第10実施形態の第2変形例は、
図34においてマスト胴65の中間部にも永久磁石13
0を取り付け、この永久磁石130に球体128を接触
させて磁気回路を構成するダンパー機構129としたも
のである。そして、永久磁石130の取付位置は、多段
伸縮マストの全段が同時に伸縮する場合、途中の伸縮位
置で伸縮を停止する位置に対応して設定される。
【0188】(第2変形例の作用)第2変形例は、マス
ト上端部63aの引上げが続き、球体128が永久磁石
130に接触するようになると、球体128と永久磁石
130との間に磁気回路が構成され、球体128の接触
面において磁気抵抗が発生し、多段伸縮マストの伸縮中
間位置で磁気ダンパー効果が作用し、多段伸縮マストの
全開、全閉直前の減速作用の他に中間の位置においても
減速作用を生じさせることができる。
【0189】(第2変形例の効果)このように第2変形
例によれば、多段伸縮マストの中間の位置においても磁
気ダンパー機能による減速が行えるため、多段伸縮マス
トの全展開の複数の展開位置においてもダンパー機能を
容易に発生させることができる。その結果、多段伸縮マ
ストの運用が容易になり、信頼性を向上させることがで
きる。
【0190】[第3変形例] (第3変形例の構成)第3変形例は、第2変形例におい
て磁気回路を構成する永久磁石130を電磁石に代えて
ダンパー機構としたものである。
【0191】(第3変形例の作用および効果)このよう
に第3変形例では、第2変形例の作用および効果に加
え、電磁石へ流す電流を制御することにより、磁気力を
制御することができるため、ブレーキ機能を有すること
とになる。したがって、磁気回路を構成する永久磁石を
電磁石に代えてダンパー機構としたことにより、ダンパ
ー力が制御可能となり、任意な加速度で伸縮の制御を行
うことができ、運転制御機能を高めることができる。
【0192】[第4変形例] (第4変形例の構成)第4変形例は、伸縮段のマストの
各段の両端に球体を設け、この球体を永久磁石に接触す
る構成として磁気回路を構成するダンパー機構とすると
ともに、横行台車に固定される固定段のマストに球体を
介して電磁石が接触するようにして磁気回路を構成する
ダンパー機構としたものである。
【0193】すなわち、第4変形例は、最終段のマスト
上端部63直下、マスト下端部64直上、マスト中間部
のマスト胴65に電磁石が取り付けられるとともに、そ
の他の段のマスト胴65に永久磁石が取り付けられてい
る。
【0194】(第4変形例の作用)横行台車4,27に
固定される最終段のマスト上端部63直下、マスト下端
部64直上、マスト中間部のマスト胴65に電磁石を取
り付け、この電磁石に電流を流して磁気力の制御を行
い、多段伸縮マストの伸縮時のダンパー機能およびブレ
ーキ機能を制御する。
【0195】(第4変形例の効果)固定段のみが電磁石
を用いた磁気ダンパーでダンパー力の制御を行い、多段
伸縮マストの伸縮部の他のマストの磁気ダンパーは永久
磁石で行うようにすることで、伸縮部で異常が発生した
場合でも一定割合の磁気ダンパー力が発生して機械的に
停止させ、全段が同時に伸縮する多段伸縮マストの伸縮
動作を確実に行うことができる。また、電気系統が固定
段のみであるため、電気配線が容易になり、多段伸縮マ
ストの構造を簡素化することができる。
【0196】[第11実施形態] (第11実施形態の構成)図35は本発明に係る燃料取
扱い装置の第11実施形態における先端部マストを示す
拡大断面図である。
【0197】第11実施形態は、ダンパー機構131を
球体と永久磁石(あるいは電磁石)とから構成した磁気
ダンパーとしたものである。
【0198】すなわち、第11実施形態は、図35に示
すように先端部マスト6aと燃料掴み具10とがダンパ
ー機構131を介して結合されており、このダンパー機
構131は上部構造体132と、その外周面に取り付け
られた球体保持部133と、この球体保持部133によ
り保持された球体134と、上部構造体132と一体に
形成された軸135と、先端部マスト6aの下端に取り
付けられた永久磁石(または電磁石)136と、この永
久磁石136の内周面に取り付けられ球体134を保持
する球体保持部137とから構成されている。
【0199】そして、球体保持部133,137にそれ
ぞれ保持された球体134は、それぞれ先端部マスト6
aの内周面、軸135の外周面と接触している。
【0200】(第11実施形態の作用)多段伸縮マスト
を展開する場合は、図35に示すようにダンパー機構1
31の球体保持部133と先端部マスト6aの永久磁石
136とが接した状態で燃料掴み具10(燃料集合体7
を掴んでいる時には燃料集合体7を含む。)の重量が多
段伸縮マストを展開する方向に作用するようにワイヤー
80の張力を零にする。
【0201】一方、多段伸縮マストを収縮する場合は、
ワイヤー80に張力をかけ、ダンパー機構131の球体
保持部133と先端部マスト6aの永久磁石136との
接触を解除した状態で引上げを行う。
【0202】そして、多段伸縮マストの伸縮動作開始お
よび停止時に先端部マスト6aと燃料掴み具10とが衝
突を起こすことが生じた場合、球体134と永久磁石1
36との間に磁気回路が構成されることとなり、球体1
34の接触面に磁気ダンパー力が作用する。
【0203】(第11実施形態の効果)このように第1
1実施形態によれば、先端部マスト6aと燃料掴み具1
0とがダンパー機構131を介して結合されているの
で、多段伸縮マストの伸縮動作開始および停止時に先端
部マスト6aと燃料掴み具10との衝撃を緩和して燃料
掴み具10の破損を防止することができる。
【0204】また、ダンパー機構131は球体134と
永久磁石136とから構成した磁気ダンパーであるた
め、構造が簡素化されて取扱いが容易になる。
【0205】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る燃料取
扱い装置の請求項1によれば、原子炉圧力容器上方のオ
ペレーションフロアにガイドレールを介して水平方向に
走行可能に設けられた走行台車と、この走行台車に設け
られた軌道に搭載され、その走行台車の走行方向と直交
する方向に横行可能な横行台車と、この横行台車に伸縮
可能に設けられた多段伸縮マストと、この多段伸縮マス
トの下端に設けられた燃料掴み具とを備え、これら走行
台車,横行台車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相
対動作によって、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プー
ルとの間で原子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い
装置であって、多段伸縮マストを1本の伸縮操作用のワ
イヤーの移動で全段が同時に伸縮可能に構成したから、
従来のように順次各段を伸縮する時の加速・減速をシリ
ーズに行うのを同時に並行して行うようにすることによ
り、伸縮動作時における低速での動作期間を削減し、伸
縮に要する時間を削減可能となる。また、マスト間の最
大相対加速度を従来通りにし、各段のマストを伸縮する
ための速度を従来に比較して高速にし、伸縮に要する時
間を短縮することができる。
【0206】したがって、各段が順次完全に伸縮する前
の減速あるいは加速が不要となり、高速でのマストの伸
縮作業が可能となり、原子力プラントの定期点検作業に
おける主要なクリティカルパスを構成する燃料取扱い作
業期間を短縮することができる。
【0207】請求項2によれば、請求項1記載の燃料取
扱い装置において、多段伸縮マストの材質をアルミニウ
ム合金あるいはカーボンファイバーとしたことにより、
ワイヤーを昇降動作させるための駆動装置の駆動力を小
さくすることができ、走行台車,横行台車の構造を小型
化することができる。
【0208】請求項3によれば、請求項1記載の燃料取
扱い装置において、多段伸縮マストは最下段のマストか
ら上段にいくに従って順次伸縮可能な長さを長くしたこ
とにより、最下段のマストから順次展開および収縮が終
了するため、複数段のマストが同時に伸縮が終了して衝
撃が発生するを防止することができるとともに、この衝
撃を緩衝するための緩衝装置を不要にすることができ
る。
【0209】請求項4によれば、請求項1記載の燃料取
扱い装置において、多段伸縮マストの先端段の伸縮状況
を可視光レーザを用いて監視するレーザ発振装置を設け
たことにより、多段伸縮マストの先端段を高速で所定の
伸縮位置に設定することができ、燃料を高速度で昇降す
る運転制御の信頼性を向上させることができる。
【0210】請求項5によれば、請求項4記載の燃料取
扱い装置において、可視光レーザに青色発振半導体レー
ザを用いたことにより、水中においても減衰が少なく、
先端段の位置を正確に計測することができる。
【0211】請求項6によれば、請求項1記載の燃料取
扱い装置において、多段伸縮マストの各段の軸方向両端
に電気粘性流体あるいは電磁粘性流体を応用したダッシ
ュポットを設けたことにより、多段伸縮マストの各段が
同時に展開または収縮せずに不規則に収縮しても衝撃を
緩和することができ、多段伸縮マストを破損するような
事故を未然に防止することができる。
【0212】請求項7によれば、請求項1記載の燃料取
扱い装置において、全段を同時に伸縮するための1本の
ワイヤーの他に、先端段のマストに引上げ用のワイヤー
を取り付けたことにより、ワイヤーの切断事後が発生し
ても燃料の落下を防止することができる。
【0213】請求項8によれば、請求項1記載の燃料取
扱い装置において、多段伸縮マストの先端段のマストと
燃料掴み具とがダンパー機構を介して結合され、燃料掴
み具を昇降させるワイヤーを設け、このワイヤーと多段
伸縮マストを全段同時に伸縮するワイヤーとを別体と
し、それぞれのワイヤーを駆動装置と接続したことによ
り、多段伸縮マストの収縮と燃料掴み具の昇降に差が生
じて両者が接触しても、その衝撃を緩和して多段伸縮マ
ストなどの破損させるような事故を未然に防止すること
ができる。
【0214】請求項9によれば、請求項8記載の燃料取
扱い装置において、燃料掴み具の昇降開始時刻と多段伸
縮マストを全段同時に伸縮開始する時刻とを不一致にす
るように駆動装置を制御することにより、多段伸縮マス
トの収縮と燃料掴み具の昇降を別々に行い、全段同時に
伸縮するためのワイヤーにかかる荷重を低減させること
ができ、高速での昇降操作によるワイヤーなどの損傷を
防止することができる。
【0215】請求項10によれば、請求項8記載の燃料
取扱い装置において、ダンパー機構が電気粘性流体ある
いは電磁粘性流体を応用したダッシュポットであること
により、請求項8と同様の効果が得られる。
【0216】請求項11によれば、請求項1記載の燃料
取扱い装置において、走行台車または横行台車を浮上手
段によってガイドレールまたは軌道上にそれぞれ非接触
な状態で浮上可能に支持したことにより、走行台車また
は横行台車の作動状態が円滑になり、燃料取扱い作業が
迅速かつ容易に行うことができ、駆動装置の容量を小さ
くすることが可能となる。
【0217】請求項12によれば、請求項11記載の燃
料取扱い装置において、走行台車の浮上手段は、その走
行台車の下面に取り付けた空気浮上手段であり、この空
気浮上手段で走行台車を浮上させた状態でオペレーショ
ンフロアに敷設したガイドレールに沿って移動可能とし
たことにより、請求項11と同様の効果が得られる。
【0218】請求項13によれば、請求項11記載の燃
料取扱い装置において、横行台車の浮上手段は、その横
行台車の下面に取り付けた空気浮上手段であり、この空
気浮上手段で横行台車を浮上させた状態で軌道に沿って
移動可能としたことにより、請求項11と同様の効果が
得られる。
【0219】請求項14によれば、請求項1記載の燃料
取扱い装置において、多段伸縮マストの各段のマスト軸
方向両端に滑車が取り付けられ、この滑車にワイヤーが
巻き掛けられ、滑車とワイヤーとの接触面が磁気回路の
一部を構成するように、この接触面近傍に永久磁石を設
けたことにより、ワイヤーの高速動作時においても磨耗
量を低減することができ、ワイヤーの定期点検のインタ
ーバルを長くすることができ、その結果定期点検作業量
を削減することができる。
【0220】請求項15によれば、請求項1または14
記載の燃料取扱い装置において、各段のマスト軸方向両
端に滑車の他に、ワイヤーの巻取りまたは送出しを行う
滑車を設け、この滑車とワイヤーとの接触面が磁気回路
の一部を構成するように、この接触面近傍に永久磁石を
設けたことにより、請求項14と同様の効果が得られ
る。
【0221】請求項16によれば、請求項1記載の燃料
取扱い装置において、全段同時に伸縮する多段伸縮マス
トに代えて、最上段から順次展開するとともに最下段か
ら順次収縮する多段伸縮マストを設け、この多段伸縮マ
ストの伸縮操作用のワイヤーの巻取りまたは送出しを行
う滑車および巻取ドラムを設け、これら滑車および巻取
ドラムとワイヤーとの接触面がそれぞれ磁気回路の一部
を構成するように、これらの接触面近傍に永久磁石を設
けたことにより、請求項14と同様の効果が得られる。
【0222】請求項17によれば、走行台車または横行
台車の車輪に接触式ブレーキ部を取り付け、この接触式
ブレーキ部が磁気回路の一部を構成するように永久磁石
を設けたことにより、走行台車または横行台車のブレー
キ部分の摩耗を低減することができるとともに、ブレー
キ部分の点検作業のインターバルを長くすることができ
る。
【0223】請求項18によれば、請求項17記載の燃
料取扱い装置において、永久磁石が移動可能に構成さ
れ、この永久磁石の移動にて磁気回路の構成および解除
を行うことにより、請求項17と同様の効果が得られ
る。
【0224】請求項19によれば、請求項17または1
8記載の燃料取扱い装置において、接触式ブレーキ部の
永久磁石が走行台車または横行台車の車輪と球体を介し
て接触するように構成されたことにより、請求項17と
同様の効果が得られる。
【0225】請求項20によれば、請求項17または1
8記載の燃料取扱い装置において、永久磁石に代えて、
電磁石を設けたことにより、ブレーキ力の制御が容易に
可能となる。
【0226】請求項21によれば、走行台車または横行
台車の車輪と、これらが走行するガイドレールまたは軌
道との接触面が磁気回路の一部を構成するように、ガイ
ドレールまたは軌道に永久磁石を近接させたことによ
り、走行台車または横行台車が走行するガイドレールま
たは軌道の摩耗を低減することができるとともに、ブレ
ーキ部分の点検作業および補修作業のインターバルを長
くすることができる。
【0227】請求項22によれば、請求項21記載の燃
料取扱い装置において、永久磁石に代えて電磁石を設け
たことにより、ブレーキ力の制御が容易に可能となる。
【0228】請求項23によれば、請求項21または2
2記載の燃料取扱い装置において、永久磁石または電磁
石が球体を介してガイドレールまたは軌道に接触するこ
とにより、請求項21と同様の効果が得られる。
【0229】請求項24によれば、請求項1または16
記載の記載の燃料取扱い装置において、多段伸縮マスト
の各段のマストの軸方向両端に永久磁石が設けられると
ともに、各段のマストの上端に球体が取り付けられ、こ
の球体が永久磁石に接触して磁気回路を構成するダンパ
ー機構としたことにより、多段伸縮マストの全開、全閉
直前の減速作用が磁気ダンパー効果を用いて行え、伸縮
動作の信頼性を高めることができる。
【0230】請求項25によれば、請求項24記載の記
載の燃料取扱い装置において、多段伸縮マストの各段の
マストの軸方向両端に設けた永久磁石の他に、各段のマ
ストの軸方向中間部に永久磁石を設けたことにより、複
数の展開位置においても磁気ダンパー効果を容易に発生
させることができる。
【0231】請求項26によれば、請求項24または2
5記載の記載の燃料取扱い装置において、永久磁石に代
えて電磁石を設けたことにより、磁気ダンパー力の制御
が可能となり、任意に加速度により伸縮の制御を行うこ
とができ、運転制御性を向上させることができる。
【0232】請求項27によれば、請求項1または16
記載の記載の燃料取扱い装置において、多段伸縮マスト
の固定段マストに電磁石による磁気ダンパーを設ける一
方、他の伸縮段マストに永久磁石による磁気ダンパーを
設けたことにより、伸縮段マストに異常が発生した場合
でも一定の磁気ダンパー力が発生して機械的に停止さ
せ、多段伸縮マストの伸縮動作を所定通り確実に行うこ
とができる。また、電気系統が固定段のみであるため、
電気配線が容易になる。
【0233】請求項28によれば、請求項8記載の燃料
取扱い装置において、ダンパー機構は永久磁石または電
磁石が球体を介して接触して磁気回路を構成するダンパ
ー構造としたことにより、ダッシュポットと比較し、構
造を簡素化するとともに、取扱い性を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は本発明に係る燃料取扱い装置
の第1実施形態の全体構成を示す斜視図,平面図。
【図2】図1の多段伸縮マストの全段が展開した状態を
示す断面図。
【図3】図1の多段伸縮マストの全段が同時に収縮した
状態を示す断面図。
【図4】図1の多段伸縮マストの全段が展開した時の滑
車部分とワイヤーとの関係を示す拡大断面図。
【図5】図1の多段伸縮マストの全段が収縮した時の滑
車部分とワイヤーとの関係を示す拡大断面図。
【図6】第1実施形態において燃料を炉心から燃料貯蔵
プールへ取出す時にかかる作業時間の概略割合を示す説
明図。
【図7】本発明に係る燃料取扱い装置の第2実施形態に
おける燃料交換時の状態を示す構成図。
【図8】図7の燃料取扱い装置の要部を示す拡大構成
図。
【図9】図8におけるA−A線矢視断面図。
【図10】図8の平面図。
【図11】第2実施形態において跨座式の横行台車に多
段伸縮マストが搭載された状態を示す構成図。
【図12】本発明に係る燃料取扱い装置の第3実施形態
を示す構成図。
【図13】本発明に係る燃料取扱い装置の第4実施形態
の要部を示す断面図。
【図14】第4実施形態における多段伸縮マストを示す
横断面図。
【図15】本発明に係る燃料取扱い装置の第5実施形態
を示す構成図。
【図16】(A)は本発明に係る燃料取扱い装置の第6
実施形態を示す構成図,(B)は(A)のB部拡大断面
図。
【図17】本発明に係る燃料取扱い装置の第7実施形態
を示す構成図。
【図18】図17において完全展開した状態の多段伸縮
マストを示す拡大断面図。
【図19】第7実施形態において摩耗低減機構を組み込
んだ滑車を示す断面図。
【図20】磁気による摩耗低減の原理を示す図。
【図21】(A),(B)は滑り距離と摩耗量との関係
を示す特性図。
【図22】磁束密度と比摩耗量との関係を示す図。
【図23】ディスク試験片の試験後の断面プロフィルを
示す図。
【図24】磁気と摩擦力との関係を示す特性図。
【図25】本発明に係る燃料取扱い装置の第7実施形態
の変形例を示す構成図。
【図26】本発明に係る燃料取扱い装置の第7実施形態
の別の変形例を示す構成図。
【図27】(A),(B)は図25および図26におけ
る滑車と巻取ドラムを示す平面図,側面図。
【図28】(A),(B)は摩耗低減機構を取り付けた
巻取ドラムと滑車を示す断面図。
【図29】本発明に係る燃料取扱い装置の第8実施形態
を示す部分断面構成図。
【図30】本発明に係る燃料取扱い装置の第8実施形態
の第1変形例を示す部分断面構成図。
【図31】本発明に係る燃料取扱い装置の第8実施形態
の第2変形例を示す部分断面構成図。
【図32】(A),(B)は本発明に係る燃料取扱い装
置の第9実施形態における走行台車または横行台車の車
輪を示す正面図,側面図。
【図33】本発明に係る燃料取扱い装置の第9実施形態
の第2変形例における走行台車または横行台車の車輪を
示す側面図。
【図34】本発明に係る燃料取扱い装置の第10実施形
態における多段伸縮マストを示す拡大断面図。
【図35】本発明に係る燃料取扱い装置の第11実施形
態における先端部マストを示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 原子炉圧力容器 2 燃料貯蔵プール 3 走行台車 4 横行台車 5 ワイヤー 6 多段伸縮マスト 6a 先端部マスト 7 燃料集合体 8 オペレーションフロア 9 ガイドレール 10 燃料掴み具 11 炉心 12 燃料貯蔵ラック 13 原子炉ウエル 14 カナル 15 軌道 16 駆動装置 17 滑車 18 滑車 19 車輪 20 駆動装置 21 滑車 22 車輪 23 案内キー 25 モノレール 26 走行台車 27 横行台車 28 浮上手段 29 浮上手段 30 外側ガイドレール 31 内側ガイドレール 32 大スパン走行台車 33 小スパン走行台車 34 構造体 35 構造体 36 エアスカート 37 空気圧縮機 38 ワイヤー駆動装置 39 滑車 40 ワイヤー 41 大スパンモノレール 42 小スパンモノレール 43 構造体 44 構造体 45 台車構造部 46 横行部 47 エアスカート 48 空気圧縮機 49 ワイヤー駆動装置 50 滑車 51 ワイヤー 52 マスト伸縮用駆動装置 53 タワー 54 定滑車 55 ワイヤー 56 スライド機構 57 駆動機構 60 青色発振半導体レーザ光発振装置 61 青色発振半導体レーザ光 62 ダッシュポット 63 マスト上端部 64 マスト下端部 65 マスト胴 66 上部接触板 67 下部接触板 68 軸 69 ピストン 70 ピストン室 71 細管 72 シール部 73 シール部 74 外殻部 75 キー溝 76 ワイヤー 77 巻取ドラム 78 滑車 79 ダンパー機構 80 ワイヤー 81 駆動装置 82 巻取ドラム 83 上部構造体 84 軸 85 ピストン 86 ピストン室 87 細管 88 シール部 89 シール部 90 外殻部 91 摩耗低減機構 92 滑車 93 永久磁石 94 カバー 95 多段伸縮マスト 96 巻取ドラム 97 永久磁石 98 カバー 99 車体 100 車輪 101 軌道 102 ブレーキ装置 103 球体 104 軸 105 支持構造体 106 球体保持部 107 永久磁石製軸 108 ピストン 109 ピストン室 110 ベアリング 111 支持構造体 112 ブレーキ装置 113 リング状永久磁石 114 ピストン機構 115 ピストン室 116 ピストン 117 軸 118 ブレーキ装置 119 軸 120 電磁コイル 121 近接部材 122 永久磁石 123 ボールベアリング 124 近接部材 125 球体 126 永久磁石 127 永久磁石 128 球体 129 タンパー機構 130 永久磁石 131 タンパー機構 132 上部構造体 133 球体保持部 134 球体 135 軸 136 永久磁石 137 球体保持部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 正晃 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉圧力容器上方のオペレーションフ
    ロアにガイドレールを介して水平方向に走行可能に設け
    られた走行台車と、この走行台車に設けられた軌道に搭
    載され、その走行台車の走行方向と直交する方向に横行
    可能な横行台車と、この横行台車に伸縮可能に設けられ
    た多段伸縮マストと、この多段伸縮マストの下端に設け
    られた燃料掴み具とを備え、これら走行台車,横行台
    車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相対動作によっ
    て、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プールとの間で原
    子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い装置であっ
    て、前記多段伸縮マストを1本の伸縮操作用のワイヤー
    の移動で全段が同時に伸縮可能に構成したことを特徴と
    する燃料取扱い装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、多段伸縮マストの材質をアルミニウム合金あるいは
    カーボンファイバーとしたことを特徴とする燃料取扱い
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、多段伸縮マストは最下段のマストから上段にいくに
    従って順次伸縮可能な長さを長くしたことを特徴とする
    燃料取扱い装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、多段伸縮マストの先端段の伸縮状況を可視光レーザ
    を用いて監視するレーザ発振装置を設けたことを特徴と
    する燃料取扱い装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の燃料取扱い装置におい
    て、可視光レーザに青色発振半導体レーザを用いたこと
    を特徴とする燃料取扱い装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、多段伸縮マストの各段の軸方向両端に電気粘性流体
    あるいは電磁粘性流体を応用したダッシュポットを設け
    たことを特徴とする燃料取扱い装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、全段を同時に伸縮するための1本のワイヤーの他
    に、先端段のマストに引上げ用のワイヤーを取り付けた
    ことを特徴とする燃料取扱い装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、多段伸縮マストの先端段のマストと燃料掴み具とが
    ダンパー機構を介して結合され、前記燃料掴み具を昇降
    させるワイヤーを設け、このワイヤーと多段伸縮マスト
    を全段同時に伸縮するワイヤーとを別体とし、それぞれ
    のワイヤーを駆動装置と接続したことを特徴とする燃料
    取扱い装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の燃料取扱い装置におい
    て、燃料掴み具の昇降開始時刻と多段伸縮マストを全段
    同時に伸縮開始する時刻とを不一致にするように駆動装
    置を制御することを特徴とする燃料取扱い装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の燃料取扱い装置におい
    て、ダンパー機構が電気粘性流体あるいは電磁粘性流体
    を応用したダッシュポットであることを特徴とする燃料
    取扱い装置。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、走行台車または横行台車を浮上手段によってガイド
    レールまたは軌道上にそれぞれ非接触な状態で浮上可能
    に支持したことを特徴とする燃料取扱い装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の燃料取扱い装置にお
    いて、走行台車の浮上手段は、その走行台車の下面に取
    り付けた空気浮上手段であり、この空気浮上手段で前記
    走行台車を浮上させた状態でオペレーションフロアに敷
    設したガイドレールに沿って移動可能としたことを特徴
    とする燃料取扱い装置。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の燃料取扱い装置にお
    いて、横行台車の浮上手段は、その横行台車の下面に取
    り付けた空気浮上手段であり、この空気浮上手段で前記
    横行台車を浮上させた状態で軌道に沿って移動可能とし
    たことを特徴とする燃料取扱い装置。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、多段伸縮マストの各段のマスト軸方向両端に滑車が
    取り付けられ、この滑車にワイヤーが巻き掛けられ、前
    記滑車とワイヤーとの接触面が磁気回路の一部を構成す
    るように、この接触面近傍に永久磁石を設けたことを特
    徴とする燃料取扱い装置。
  15. 【請求項15】 請求項1または14記載の燃料取扱い
    装置において、各段のマスト軸方向両端に滑車の他に、
    ワイヤーの巻取りまたは送出しを行う滑車を設け、この
    滑車とワイヤーとの接触面が磁気回路の一部を構成する
    ように、この接触面近傍に永久磁石を設けたことを特徴
    とする燃料取扱い装置。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の燃料取扱い装置におい
    て、全段同時に伸縮する多段伸縮マストに代えて、最上
    段から順次展開するとともに最下段から順次収縮する多
    段伸縮マストを設け、この多段伸縮マストの伸縮操作用
    のワイヤーの巻取りまたは送出しを行う滑車および巻取
    ドラムを設け、これら滑車および巻取ドラムとワイヤー
    との接触面がそれぞれ磁気回路の一部を構成するよう
    に、これらの接触面近傍に永久磁石を設けたことを特徴
    とする燃料取扱い装置。
  17. 【請求項17】 原子炉圧力容器上方のオペレーション
    フロアにガイドレールを介して水平方向に走行可能に設
    けられた走行台車と、この走行台車に設けられた軌道に
    搭載され、その走行台車の走行方向と直交する方向に横
    行可能な横行台車と、この横行台車に伸縮可能に設けら
    れた多段伸縮マストと、この多段伸縮マストの下端に設
    けられた燃料掴み具とを備え、これら走行台車,横行台
    車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相対動作によっ
    て、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プールとの間で原
    子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い装置であっ
    て、前記走行台車または横行台車の車輪に接触式ブレー
    キ部を取り付け、この接触式ブレーキ部が磁気回路の一
    部を構成するように永久磁石を設けたことを特徴とする
    燃料取扱い装置。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の燃料取扱い装置にお
    いて、永久磁石が移動可能に構成され、この永久磁石の
    移動にて磁気回路の構成および解除を行うことを特徴と
    する燃料取扱い装置。
  19. 【請求項19】 請求項17または18記載の燃料取扱
    い装置において、接触式ブレーキ部の永久磁石が走行台
    車または横行台車の車輪と球体を介して接触するように
    構成されたことを特徴とする燃料取扱い装置。
  20. 【請求項20】 請求項17または18記載の燃料取扱
    い装置において、永久磁石に代えて、電磁石を設けたこ
    とを特徴とする燃料取扱い装置。
  21. 【請求項21】 原子炉圧力容器上方のオペレーション
    フロアにガイドレールを介して水平方向に走行可能に設
    けられた走行台車と、この走行台車に設けられた軌道に
    搭載され、その走行台車の走行方向と直交する方向に横
    行可能な横行台車と、この横行台車に伸縮可能に設けら
    れた多段伸縮マストと、この多段伸縮マストの下端に設
    けられた燃料掴み具とを備え、これら走行台車,横行台
    車,多段伸縮マストおよび燃料掴み具の相対動作によっ
    て、燃料を原子炉圧力容器と燃料貯蔵プールとの間で原
    子炉ウエルを介して移動させる燃料取扱い装置であっ
    て、前記走行台車または横行台車の車輪と、これらが走
    行するガイドレールまたは軌道との接触面が磁気回路の
    一部を構成するように、前記ガイドレールまたは軌道に
    永久磁石を近接させたことを特徴とする燃料取扱い装
    置。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の燃料取扱い装置にお
    いて、永久磁石に代えて電磁石を設けたことを特徴とす
    る燃料取扱い装置。
  23. 【請求項23】 請求項21または22記載の燃料取扱
    い装置において、永久磁石または電磁石が球体を介して
    前記ガイドレールまたは軌道に接触することを特徴とす
    る燃料取扱い装置。
  24. 【請求項24】 請求項1または16記載の記載の燃料
    取扱い装置において、多段伸縮マストの各段のマストの
    軸方向両端に永久磁石が設けられるとともに、各段のマ
    ストの上端に球体が取り付けられ、この球体が前記永久
    磁石に接触して磁気回路を構成するダンパー機構とした
    ことを特徴とする燃料取扱い装置。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の記載の燃料取扱い装
    置において、多段伸縮マストの各段のマストの軸方向両
    端に設けた永久磁石の他に、各段のマストの軸方向中間
    部に永久磁石を設けたことを特徴とする燃料取扱い装
    置。
  26. 【請求項26】 請求項24または25記載の記載の燃
    料取扱い装置において、永久磁石に代えて電磁石を設け
    たことを特徴とする燃料取扱い装置。
  27. 【請求項27】 請求項1または16記載の記載の燃料
    取扱い装置において、多段伸縮マストの固定段マストに
    電磁石による磁気ダンパーを設ける一方、他の伸縮段マ
    ストに永久磁石による磁気ダンパーを設けたことを特徴
    とする燃料取扱い装置。
  28. 【請求項28】 請求項8記載の燃料取扱い装置におい
    て、ダンパー機構は永久磁石または電磁石が球体を介し
    て接触して磁気回路を構成するダンパー構造としたこと
    を特徴とする燃料取扱い装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007271511A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Toshiba Corp 原子炉燃料取替装置
JP2009031036A (ja) * 2007-07-25 2009-02-12 Toshiba Corp 原子炉内構造物取替装置
JP2010101667A (ja) * 2008-10-22 2010-05-06 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 燃料交換機

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