JPH10131851A - 往復動型圧縮機 - Google Patents

往復動型圧縮機

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JPH10131851A
JPH10131851A JP8286887A JP28688796A JPH10131851A JP H10131851 A JPH10131851 A JP H10131851A JP 8286887 A JP8286887 A JP 8286887A JP 28688796 A JP28688796 A JP 28688796A JP H10131851 A JPH10131851 A JP H10131851A
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JP
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dead volume
compression
compression chambers
compression chamber
chambers
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Application number
JP8286887A
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English (en)
Inventor
Isato Ikeda
勇人 池田
Naoto Kawamura
川村  尚登
Akira Nakamoto
昭 中本
Kazuhiro Nomura
和宏 野村
Takanori Okabe
孝徳 岡部
Naofumi Kimura
直文 木村
Hiroyuki Motonami
博之 元浪
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気筒数nに対応するトルク変動の回転n次成
分が低減されて、騒音及び振動の発生の少ない往復動型
圧縮機を提供する。 【解決手段】 一対のシリンダブロックに対向するよう
にシリンダボア33-1〜33-5を形成し、そのシリンダ
ボア33-1〜33-5には両頭ピストンを収容して圧縮室
を区画形成する。弁構成体24の透孔28a-1〜28a
-5,29a-1〜29a-5の形状をそれぞれ変化させるこ
とにより、各圧縮室のデッドボリュームを変更する。シ
リンダボア33-1〜33-5の配列方向に連続配置された
大デッドボリューム圧縮室36bの間の弁構成体24に
吐出通路50、及び外部冷媒回路からの冷媒ガスの吸入
口に最も近接した吸入通路48aを開口させる。ひとつ
の両頭ピストンの両側の圧縮室のデッドボリュームは同
一とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、車両空
調装置に使用される往復動型圧縮機に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の往復動型圧縮機では、ハウジン
グの内部に駆動シャフトが支持されていると共に、クラ
ンク室が形成されている。前記ハウジングの一部を構成
するシリンダブロックには、前記駆動シャフトを囲むよ
うに複数のシリンダボアが互いに平行に配列されてい
る。そのシリンダボア内にはピストンが往復動可能に収
容されて、圧縮室が区画形成されている。前記駆動シャ
フトにはカムプレートとしての斜板が一体回転可能に装
着され、その斜板の回転に連動して前記ピストンが往復
動されて、圧縮室内の冷媒ガスが圧縮される。
【0003】この圧縮機の運転時には、前記各ピストン
に対しその圧縮動作に伴って圧縮反力が作用する。この
圧縮反力が斜板を介して駆動シャフトに作用し、トルク
変動が発生する。このトルク変動は、駆動シャフト−ク
ラッチ系のねじり振動の加振力となる。ここで、トルク
変動の総和、言い換えれば各圧縮室で発生する圧縮反力
の総和を高速フーリエ変換(FFT)解析すると、0次
からかなり高次にわたる幅広い周波数成分が得られる。
これらの周波数成分の中で主成分となるのが、気筒数n
に対応した回転n次成分である。そして、この回転n次
成分等の周波数が、圧縮機並びにそれに接続される補機
等の固有振動数と近接している場合には、共振現象によ
る騒音が発生して、車室内の騒音レベルを上昇させる原
因となっていた。
【0004】このような問題を解決するために、例えば
実開平1−160180号公報には、揺動斜板式の可変
容量圧縮機において、構造上シリンダボアの配列が不等
となる場合に、一部のシリンダボア内の圧縮室のデッド
ボリュームを変更した構成が開示されている。なお、デ
ッドボリュームとは、ピストンが上死点に達したときに
おける圧縮室の容積のことである。この往復動型圧縮機
では、前記デッドボリュームがピストンの表面を所定長
だけ削り落すことによって形成されている。このデッド
ボリュームが拡大された圧縮室においては、その容積と
圧力との推移曲線が前記のデッドボリュームの拡大に伴
って変更される。そして、その圧縮室で発生する圧縮反
力が緩和されて、揺動斜板に作用する前記圧縮反力の総
和が常に等しくなって、ねじり振動や騒音の発生が低減
されるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記公報に
は、圧縮機のねじり振動を低減するために、単に一部の
シリンダボアのデッドボリュームを変更することが開示
されているのみである。つまり、駆動シャフトのトルク
変動を対策するための規則性は、何等開示も示唆もなさ
れていない。このため、トルク変動を十分に低減するこ
とができず、騒音及び振動の発生を十分に抑制できない
おそれがあるという問題があった。
【0006】この発明の目的は、ねじり振動の加振力で
あり、気筒数nに対応するトルク変動の回転n次成分を
低減できて、騒音及び振動の発生の少ない往復動型圧縮
機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、ハウジングの一部を構
成するシリンダブロックに駆動シャフトを囲むように複
数のシリンダボアを配列し、そのシリンダボア内にピス
トンを往復動可能に収容して圧縮室を区画形成した往復
動型圧縮機において、前記各圧縮室は各々所定のデッド
ボリュームを有してなり、前記シリンダボアの配列面内
における各圧縮室の少なくとも3室は同配列面内におけ
る他の圧縮室より前記デッドボリュームの値を大きく設
定した大デッドボリューム圧縮室のグループを構成する
と共に、前記他の圧縮室を小デッドボリューム圧縮室の
グループとして構成し、前記大デッドボリューム圧縮室
のデッドボリュームの値と前記小デッドボリューム圧縮
室のデッドボリュームの値との差を各デッドボリューム
圧縮室のグループ内におけるデッドボリュームの値の差
より大きく設定すると共に、前記大デッドボリューム圧
縮室の内少なくとも2室は前記シリンダボアの配列方向
に連続するように配列し、前記ハウジング上に外部冷媒
回路に接続される吐出口を形成すると共に、ハウジング
に各圧縮室からその吐出口に冷媒ガスを導くための吐出
通路を形成し、前記シリンダボアの配列方向に連続する
ように配列された大デッドボリューム圧縮室の間に、前
記吐出通路を開口したものである。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の往復動型圧縮機において、前記ハウジング上に外部
冷媒回路に接続される吸入口を形成すると共に、ハウジ
ングにその吸入口から各圧縮室に冷媒ガスを導くための
吸入通路を形成し、その吸入通路の内、前記吸入口に最
も近接した吸入通路を前記シリンダボアの配列方向に連
続するように配列された前記大デッドボリューム圧縮室
の間に開口したものである。
【0009】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は2に記載の往復動型圧縮機において、前記大デッドボ
リューム圧縮室のグループ内における最小デッドボリュ
ームの値は、前記小デッドボリューム圧縮室のグループ
内における最大デッドボリュームの値の2〜7倍となる
ように形成したものである。
【0010】請求項4に記載の発明では、請求項1〜3
のいずれかに記載の往復動型圧縮機において、前記各圧
縮室間における最大デッドボリュームの値と最小デッド
ボリュームの値とは、該最小デッドボリュームを有する
圧縮室の下死点時における容積の1%以上の差をもたせ
たものである。
【0011】請求項5に記載の発明では、請求項1〜4
のいずれかに記載の往復動型圧縮機において、前記各圧
縮室間における最大デッドボリュームの値と最小デッド
ボリュームの値とは、該最小デッドボリュームを有する
圧縮室の下死点時における容積の10%以下の差をもた
せたものである。
【0012】請求項6に記載の発明では、請求項1〜5
のいずれかに記載の往復動型圧縮機において、前記大デ
ッドボリューム圧縮室のグループ内におけるデッドボリ
ュームがそれぞれ異なるように形成したものである。
【0013】請求項7に記載の発明では、請求項1〜6
のいずれかに記載の往復動型圧縮機において、前記シリ
ンダボアを前後対向するように形成すると共に、前記ピ
ストンを両頭型に構成し、前後両側の各圧縮室に各々所
定のデッドボリュームを形成したものである。
【0014】請求項8に記載の発明では、請求項7に記
載の往復動型圧縮機において、ひとつの両頭型のピスト
ンに対してフロント側のデッドボリュームとリヤ側のデ
ッドボリュームとを同じ大きさに形成したものである。
【0015】請求項9に記載の発明では、請求項1〜8
のいずれかに記載の往復動型圧縮機において、前記各圧
縮室のデッドボリュームを前記シリンダブロックに対向
配置された弁構成体の一部をなす吸入弁形成板の各圧縮
室に対応する部分の形状を変更することにより形成した
ものである。
【0016】従って、上記のように構成された往復動型
圧縮機では、シリンダボアの配列面(一方のバルブプレ
ートに対応するシリンダボア群を指す)における各圧縮
室が、大デッドボリューム圧縮室と小デッドボリューム
圧縮室との2つのグループに分かれている。前記大デッ
ドボリューム圧縮室の内、少なくとも2室は前記シリン
ダボアの配列方向に連続するように配列されている。こ
のため、大デッドボリューム圧縮室と小デッドボリュー
ム圧縮室とでは、各デッドボリューム圧縮室内の容積と
圧力との推移曲線が変更される。つまり、各デッドボリ
ューム圧縮室で発生する圧縮反力に基づくトルク変動が
それぞれ異なったものとなる。そして、前記トルク変動
の総和の高速フーリエ変換解析により得られる気筒数n
に対応した回転n次成分が、各圧縮室のデッドボリュー
ムの変更を行わない場合に比べて低減される。
【0017】さて、吐出通路に近い圧縮室ほど、圧縮室
内の冷媒ガスが吐出通路を介して外部冷媒回路に速やか
に吐出されやすく、冷媒ガスの吐出抵抗が小さくなる。
そして、吐出通路との位置関係がそれぞれ異なることに
より、各圧縮室の吐出行程における容積と圧力との推移
曲線が変更される。ここで、各圧縮室から吐出された冷
媒ガスを吐出口に導く吐出通路が、前記連続配列された
大デッドボリューム圧縮室の間に開口されている。この
ため、大デッドボリューム圧縮室の吐出抵抗が低減され
て、大デッドボリューム圧縮室と小デッドボリューム圧
縮室とで、各デッドボリューム圧縮室内の吐出行程にお
ける容積と圧力との推移曲線がさらに大きく変更され
る。
【0018】一方、外部冷媒回路からの吸入口に近い吸
入通路ほど、外部冷媒回路から冷媒ガスが導入されやす
い。このため、その吸入通路に近い圧縮室ほど、外部冷
却回路から圧縮室内に冷媒ガスが吸入されやすいものと
なって、冷媒ガスの吸入抵抗が小さくなる。そして、吸
入口に最も近い吸入通路との位置関係がそれぞれ異なる
ことにより、各圧縮室の吸入行程における容積と圧力と
の推移曲線が変更される。ここで、吸入口に最も近接し
た吸入通路が、前記連続配列された大デッドボリューム
圧縮室の間に開口されている。このため、大デッドボリ
ューム圧縮室の吸入抵抗が低減されて、大デッドボリュ
ーム圧縮室と小デッドボリューム圧縮室とで、各デッド
ボリューム圧縮室内の吸入行程における容積と圧力との
推移曲線がさらに大きく変更される。
【0019】また、前記2つのグループ内においても、
各圧縮室のデッドボリュームの値がわずかずつ変更され
ている(ここでは同一のデッドボリュームを含む)。こ
のとき、大デッドボリューム圧縮室のグループ内におけ
る最小デッドボリュームは、小デッドボリューム圧縮室
のグループ内における最大のデッドボリュームの2〜7
倍となるように形成されていることが望ましい。
【0020】このため、各デッドボリューム圧縮室のグ
ループ内におけるデッドボリュームの差より大きな差を
もつ大デッドボリューム圧縮室と小デッドボリューム圧
縮室との2つのグループにおいて、それらの圧縮室内の
容積と圧力との推移曲線が大きく変更される。
【0021】ところで、圧縮機を構成する各部品の製造
誤差はそれぞれ異なっており、全ての製品において組み
付け公差を同じにすることは困難である。これに対し
て、上記のように構成された往復動型圧縮機では、最大
デッドボリュームの値と最小デッドボリュームの値との
間には、最小デッドボリュームを有する圧縮室の下死点
時における容積(以下、基準吸入容積とする)の1%以
上で10%以下の範囲内に相当する差が存在している。
このデッドボリュームの拡大量は、各部品の加工精度か
ら最大限に見積った組み付け公差によるデッドボリュー
ムの変動量を十分上回ると共に、圧縮機の圧縮効率を極
端に低下させないものとなっている。このため、各部品
の製造誤差に関わらず前記デッドボリュームの変更が確
保されると共に、前記デッドボリュームの変更による圧
縮機の圧縮性能の低下を低く抑えることができる。
【0022】さらに、上記のように構成された両頭ピス
トン式圧縮機では、前記のようなデッドボリュームの変
更に加えて、同一の両頭ピストンに対しては、そのフロ
ント側のデッドボリュームとリヤ側のデッドボリューム
とが同じ大きさとなるように形成されている。この両頭
ピストン式圧縮機における圧縮反力の位相は、フロント
側の総和とリヤ側の総和との間で180゜のずれが存在
している。ここで、ねじり振動の加振力となるトルク変
動の気筒数nに対応した回転n次成分は、両頭ピストン
式圧縮機では偶数次成分となる。この偶数次成分は、そ
の位相が駆動シャフトの1回転に相当する時間内に同一
変位を偶数回繰り返すものとなっている。このため、回
転n次成分のフロント側の総和とリヤ側の総和とは、位
相が一致して重畳される。
【0023】しかし、前記のようにデッドボリュームの
変更を行うことによって、回転n次成分のフロント側の
総和及びリヤ側の総和がそれぞれ低減される。そして、
そのフロント側の総和とリヤ側の総和とが重畳された圧
縮機全体の回転n次成分も低減される。しかも、回転n
/2次成分が奇数次成分となっても、その奇数次成分は
駆動シャフトの1回転に相当する時間内に同一変位を奇
数回繰り返すものであり、フロント側とリヤ側とでその
波形が互いに反転した状態となる。このため、その回転
n/2次成分は同一のピストンのフロント側とリヤ側と
で互いに打ち消し合って消滅する。
【0024】しかも、上記のように構成された両頭ピス
トン式圧縮機では、各圧縮室のデッドボリュームの設定
が、弁構成体の一部をなす吸入弁形成板の各圧縮室に対
応する部分の形状を変更することによって行われてい
る。このため、吸入弁形成体を変更するのみで、圧縮機
のねじり振動系を変更することができる。そして、搭載
車両の車種ごとに異なる共振周波数に対して、圧縮機の
全体構成を大きく変更することなく、容易に対応するこ
とができる。
【0025】
【発明の実施の形態】 (第1の実施形態)以下に、この発明を10気筒タイプ
の両頭ピストン式圧縮機に具体化した第1の実施形態に
ついて、図1〜図12に基づいて説明する。
【0026】図1に示すように、フロント側のシリンダ
ブロック21とリヤ側のシリンダブロック22とは、中
央部において接合されている。シリンダブロック21の
フロント側端面には弁構成体23を介してフロントハウ
ジング25が、シリンダブロック22のリヤ側端面には
弁構成体24を介してリヤハウジング26が、それぞれ
接合されている。前記シリンダブロック21,22、フ
ロントハウジング25、リヤハウジング26及び弁構成
体23,24は複数の通しボルト27により互いに締付
固定され、これらによって圧縮機のハウジングが形成さ
れている。
【0027】図1〜図4に示すように、前記各弁構成体
23,24は、ガスケット28と、吸入弁形成板29
と、バルブプレート30と、吐出弁形成板31と、リテ
ーナプレート兼用のガスケット32とを順に接合して形
成されている。バルブプレート30には、各5個の吸入
ポート30a及び吐出ポート30bがそれぞれ所定間隔
おきに形成されている。ガスケット28には、バルブプ
レート30の各吸入ポート30a及び各吐出ポート30
bと対応するように、5個の透孔28a-1,28a-2,
28a-3,28a-4,28a-5が形成されている。
【0028】前記吸入弁形成板29には、ガスケット2
8の各透孔28a-1〜28a-5と対応するように、5個
の透孔29a-1,29a-2,29a-3,29a-4,29
a-5が形成されている。各透孔29a-1〜29a-5内に
は、バルブプレート30の各吸入ポート30aを開閉す
るように、吸入弁29b-1,29b-2,29b-3,29
b-4,29b-5が突出形成されている。
【0029】前記吐出弁形成板31には、バルブプレー
ト30の各吐出ポート30bを開閉するように、5個の
吐出弁31a-1,31a-2,31a-3,31a-4,31
a-5が形成されている。リテーナプレート兼用のガスケ
ット32には、各吐出弁31a-1〜31a-5の最大開口
量を規制するように、5個のリテーナ32aが形成され
ている。
【0030】前記シリンダブロック21、22には、複
数のシリンダボア33-1,33-2,33-3,33-4,3
3-5が互いに平行をなすように貫通形成されている。各
シリンダボア33-1〜33-5の内部には両頭型のピスト
ン34が往復動可能に収容されている。これらのピスト
ン34の両端と前記弁構成体23,24との間におい
て、各シリンダボア33-1〜33-5内には、前後一対の
圧縮室35,36が形成される。
【0031】前記フロントハウジング25及びリヤハウ
ジング26内には、環状の隔壁37が形成され、この隔
壁37により、各ハウジング25,26内の外周側には
吸入室38,39が区画形成されると共に、中心側には
吐出室40,41が区画形成されている。そして、各吸
入室38、39は、弁構成体23,24のバルブプレー
ト30に形成された吸入ポート30aを介して圧縮室3
5,36に連通されている。また、各吐出室40,41
は、弁構成体23,24のバルブプレート30に形成さ
れた吐出ポート30bを介して圧縮室35,36に連通
されている。
【0032】前記両シリンダブロック21,22の中央
部には、クランク室42が形成されている。両シリンダ
ブロック21,22の軸孔21a,22aには、駆動シ
ャフト43が一対のラジアル軸受44を介して回転可能
に支持されている。この駆動シャフト43は、図示しな
いクラッチを介して車両エンジン等の外部駆動源により
回転される。
【0033】前記駆動シャフト43の中間外周部には、
カムプレートとしての斜板45が嵌合固定されている。
この斜板45には、前記ピストン34がシュー46を介
して係留され、斜板45の回転によりピストン34がシ
リンダボア33-1〜33-5内で往復動される。なお、斜
板45のボス部45aは一対のスラスト軸受47を介し
て、クランク室42を形成するシリンダブロック21,
22の前後両側壁面に支持されている。
【0034】前記クランク室42は、シリンダブロック
21,22及び弁構成体23,24に形成した吸入通路
48を介して前記吸入室38,39と連通されている。
クランク室42は、シリンダブロック22に形成した吸
入口49を介して図示しない外部冷媒回路に接続されて
いる。さらに、前記吐出室40,41は、弁構成体2
3,24及びシリンダブロック21,22に形成した吐
出通路50及びシリンダブロック22に形成した吐出口
51を介して外部冷媒回路に接続されている。
【0035】前記各シリンダボア33-1〜33-5は、い
ずれもその内径が同一に形成されている。また、各弁構
成体23,24において、ガスケット28及び吸入弁形
成板29は、その各透孔28a-1〜28a-5,29a-1
〜29a-5の形状が変更されて、それらの開口量が異な
ったものとなっている。しかも、各透孔28a-1〜28
a-5,29a-1〜29a-5の形状は、ピストン34を挟
んで、フロント側の弁構成体23とリヤ側の弁構成体2
4とにおいて同一になるように形成されている。
【0036】そして、図2、図3、図5及び図6に示す
ように、各ピストン34が上死点位置に達したときに、
ピストン34の頭部端面とバルブプレート30との間に
おいて、各シリンダボア33-1〜33-5、ガスケット2
8の各透孔28a-1〜28a-5、及び吸入弁形成板29
の各透孔29a-1〜29a-5により形成される空間の容
積が異なったものとなる。これにより、各圧縮室35,
36内のデッドボリュームがそれぞれ異なった値となる
ように設定されている。なお、デッドボリュームとは、
ピストン34が上死点位置に達したときにおける圧縮室
35,36の容積のことである。
【0037】図3及び図7に示すように、前記吸入口4
9は、シリンダボア33-1〜33-5の配列方向に連続す
るように配列された2つのシリンダボア33-2、33-3
の間に向かって開口されている。そして、この2つのシ
リンダボア33-2、33-3の間に形成された吸入通路4
8が、吸入口49に最も近接した吸入通路としての最近
接吸入通路48aとなっている。また、前記吐出口51
は、シリンダボア33-1〜33-5の配列方向に連続する
ように配列された2つのシリンダボア33-1、33-2の
間に形成された吐出通路50に連通されている。
【0038】ここで、リヤ側の各圧縮室36のデッドボ
リュームについて詳細に説明する。図2、図3、及び、
図5〜図7に示すように、シリンダボア33-4,33-5
に対応する透孔28a-4,28a-5,29a-4,29a
-5については、開口量が小さくなっており、圧縮室36
のデッドボリュームが小さくなっている。つまり、シリ
ンダボア33-4,33-5内には、デッドボリュームの値
が小さく設定された小デッドボリューム圧縮室36a
(他の圧縮室)が形成されている。
【0039】一方、シリンダボア33-1〜33-3に対応
する透孔28a-1〜28a-3,29a-1〜29a-3に
ついては、開口量が大きくなっており、圧縮室36のデ
ッドボリュームが大きくなっている。つまり、シリンダ
ボア33-1〜33-3内には、デッドボリュームの値が大
きく設定された大デッドボリューム圧縮室36bが形成
されている。そして、この大デッドボリューム圧縮室3
6bは、シリンダボア33-1〜33-5の配列方向に連続
するように配列されている。
【0040】このように、各シリンダボア33-1〜33
-5内の圧縮室36が、大デッドボリューム圧縮室36b
のグループと、小デッドボリューム圧縮室36aのグル
ープとに、区分される。
【0041】この大デッドボリューム圧縮室36bの内
2室(ここではシリンダボア33-2、33-3内の圧縮室
36)の間に向かって、吸入口49を介して外部冷媒回
路からクランク室42に冷媒ガスが流入するようになっ
ている。そして、この吸入口49に最も近接した最近接
吸入通路48aの吸入室39側は、互いに隣接する2つ
の大デッドボリューム圧縮室36bの間に開口されてい
る。また、この大デッドボリューム圧縮室36bの内2
室(ここではシリンダボア33-1、33-2内の圧縮室3
6)の間には、吐出通路50が形成されており、この吐
出通路50と前記吐出口51とが連通されている。つま
り、この吐出通路50の吐出室41側は、互いに隣接す
る2つの大デッドボリューム圧縮室36bの間に開口さ
れているさらに、前記各ピストン34を挟んで、フロン
ト側の弁構成体23とリヤ側の弁構成体24とにおい
て、各透孔28a-1〜28a-5,29a-1〜29a-5の
形状が同一となるように形成されている。このため、ひ
とつのピストン34に対して、そのフロント側の圧縮室
35のデッドボリュームとリヤ側の圧縮室36のデッド
ボリュームとが、同じ大きさとなっている。言い換える
と、ピストン34を挟んで、駆動シャフト43の軸線方
向に対向するフロント側のシリンダボア33-1内の圧縮
室35と、リヤ側のシリンダボア33-1内の圧縮室36
とは、同一のデッドボリュームに設定されている。
【0042】同様に、シリンダボア33-2,33-3,3
3-4,33-5についても、それぞれフロント側とリヤ側
において、圧縮室35と圧縮室36とのデッドボリュー
ムが同一となっている。従って、フロント側の各圧縮室
35のデッドボリュームの大小の配置と、リヤ側の各圧
縮室36のデッドボリュームの大小の配置とが、駆動シ
ャフト43の回転方向において同じになるように形成さ
れている。
【0043】また、前記大デッドボリューム圧縮室36
bのデッドボリュームの値と、小デッドボリューム圧縮
室36aのデッドボリュームの値との差は、各グループ
内におけるデッドボリュームの値の差より大きくなるよ
うに設定されている。この実施形態では、大デッドボリ
ューム圧縮室36bのデッドボリューム間には差がな
く、同様に小デッドボリューム圧縮室36aのデッドボ
リューム間にも差がない。そして、大デッドボリューム
圧縮室36bのグループ内における最小デッドボリュー
ム(3つとも同じ)は、小デッドボリューム圧縮室36
aの最大デッドボリューム(2つとも同じ)の2〜7
倍、好ましくは2.5〜6倍、さらに好ましくは3〜
5.5倍となるように設定されている。
【0044】さらに、前記各圧縮室36間において、最
大デッドボリュームの値と最小デッドボリュームの値と
の間には、最小デッドボリュームを有する圧縮室36の
下死点時における容積(以下、基準吸入容積とする)を
基準として、1%以上で10%以下の範囲内に相当する
差が存在するように設定される。なお、この設定値は3
〜7%の範囲内が好ましく、3.5〜5.5%の範囲内
がさらに好ましい。この実施形態の圧縮機では、前記基
準吸入容積を例えば20ccとして、大デッドボリュー
ム圧縮室36bにおいては、小デッドボリューム圧縮室
36aに比べて、デッドボリュームが例えば0.8cc
拡大されている。このデッドボリュームの変更量は、前
記基準吸入容積の4%に相当する。
【0045】なお、この実施形態の圧縮機では、最小の
デッドボリュームの値は、前記基準吸入容積に対して、
少なくとも2%以上となるように設定されている。つま
り、前記と同様に、基準吸入容積を例えば20ccとし
た場合、いずれの圧縮室36においても、デッドボリュ
ームの値は少なくとも0.4ccとなるように設定され
ている。
【0046】次に、前記のように構成した往復動型圧縮
機について動作について説明する。車両エンジン等の外
部駆動源により駆動シャフト43が回転されると、クラ
ンク室42内の斜板45が回転され、シュー46を介し
て複数のピストン34がシリンダボア33-1〜33-5内
で往復動される。このピストン34の運動により、図示
しない外部冷媒回路から吸入口49を経てクランク室4
2に導かれた冷媒ガスは、クランク室42から吸入通路
48を経て吸入室38、39に導かれる。ピストン34
が上死点から下死点に向かう再膨張・吸入行程において
は、圧縮室35、36の圧力低下に伴い吸入弁29b-1
〜29b-5が開放され、吸入室38、39内の冷媒ガス
は、吸入ポート30aを通って圧縮室35、36内に吸
入される。
【0047】次に、ピストン34が下死点から上死点に
向かう圧縮・吐出行程においては、圧縮室35、36内
の冷媒ガスは圧縮される。そして、冷媒ガスが所定の圧
力に達すると、高圧の圧縮冷媒ガスが吐出弁31a-1〜
31a-5を押し退けて、吐出ポート30bを経て吐出室
40、41に吐出される。さらに、吐出室40、41内
の圧縮冷媒ガスは、吐出通路50及び吐出口51を経て
外部冷媒回路をなす凝縮器、膨張弁、蒸発器に供給さ
れ、車両室内の空調に供される。
【0048】さて、図12に示すように、デッドボリュ
ームが均一の10気筒タイプの両頭ピストン式圧縮機に
おいては、各圧縮室35、36の圧縮反力の位相は、フ
ロント側の総和とリヤ側の総和とで180゜ずれたもの
となる。ここで、各圧縮室35、36の圧縮反力の総和
の高速フーリエ変換解析によって得られる回転n次成分
としての回転10次成分は、駆動シャフト43の1回転
分の時間において同一変位を10回つまり偶数回繰り返
す規則正しい波形を有している。このため、回転10次
成分のフロント側の総和の位相とリヤ側の総和の位相と
が一致し、各圧縮室の圧縮反力に由来するトルク変動の
回転10次成分は完全に重畳されて、駆動シャフト43
と図示しないクラッチとの間のねじり振動の加振力の主
成分となる。
【0049】この場合、回転n/2次成分としての回転
5次成分は、駆動シャフト43の1回転分の時間におい
て同一変位を5回つまり奇数回繰り返すものとなってい
る。この回転5次成分は、フロント側の総和とリヤ側の
総和との間に180゜の位相のずれがあり、互いに打ち
消し合っている。
【0050】ここで、前記回転10次成分を低減するた
めに、ピストン34のフロント側とリヤ側とでデッドボ
リュームを異ならせた場合には、図11に示すように、
回転10次成分は、フロント側の総和とリヤ側の総和と
で位相にずれが生じて低減される。ところが、回転5次
成分も回転10次成分と同様にフロント側とリヤ側とで
位相のずれが生じて、新たに重畳部分が発生する。この
ため、トルク変動の回転5次成分が新たな騒音の発生要
因となることがある。
【0051】これに対して、この実施形態の圧縮機で
は、フロント側及びリヤ側において、各圧縮室35、3
6のデッドボリュームの値が大きく2つのグループをな
すように変更されている。そして、前述のように、各シ
リンダボア33-1〜33-5の配列面内において、大デッ
ドボリューム圧縮室35b、36bと小デッドボリュー
ム圧縮室35a、36aとが配列されている。この各圧
縮室35、36のデッドボリュームの変更に伴って、そ
れらの圧縮室35、36の容積と圧力との推移の曲線が
それぞれ大きく異なったものとなる。すなわち、図8に
示すように、デッドボリュームが小さいものと、デッド
ボリュームが大きいものとの間では、再膨張行程及び圧
縮行程において、圧縮室35、36内の圧力変化のタイ
ミングに差が生じる。また、圧縮行程における過圧縮時
の圧力についても差が生じる。
【0052】しかも、この大デッドボリューム圧縮室3
5b、36bの間には、吸入室38、39内において、
吸入口49に対する最近接吸入通路48aが開口されて
いる。このため、この最近接吸入通路48aの両隣の大
デッドボリューム圧縮室35b、36bは、外部冷却回
路からその圧縮室35b、36b内に冷媒ガスが吸入さ
れやすく、冷媒ガスの吸入抵抗が小さくなる。そして、
大デッドボリューム圧縮室35b、36bと小デッドボ
リューム圧縮室35a、36aとで、各デッドボリュー
ム圧縮室35、36内の吸入行程における容積と圧力と
の推移曲線がさらに大きく変更される。
【0053】さらに、この大デッドボリューム圧縮室3
5b、36bの間には、吐出室40、41内において、
吐出通路50が開口されている。このため、この吐出通
路50の両隣の大デッドボリューム圧縮室35b、36
bは、その圧縮室35b、36b内の冷媒ガスが吐出通
路50を介して外部冷媒回路に速やかに吐出されやす
く、冷媒ガスの吐出抵抗が小さくなる。そして、大デッ
ドボリューム圧縮室35b、36bと小デッドボリュー
ム圧縮室35a、36aとで、各デッドボリューム圧縮
室35、36内の吐出行程における容積と圧力との推移
曲線がさらに大きく変更される。
【0054】これにより、図9に示すように、デッドボ
リュームが小さいものと、デッドボリュームが大きいも
のとの間では、1つの圧縮室35、36あたりの圧縮ト
ルクの推移曲線において、トルクのピーク位置に差が生
じる。このため、図10に示すように、10個分の圧縮
室35、36の圧縮トルクを重畳した圧縮機全体の圧縮
トルクについては、デッドボリュームを変更しない場合
に比べて、デッドボリュームを変更した場合には、トル
ク変動の曲線の規則性が失われる。従って、図11に示
すように、圧縮反力の総和の高速フーリエ変換解析によ
り得られる気筒数に対応したトルク変動の回転10次成
分が低減される。
【0055】ところで、一般に圧縮機を構成する各部品
の製造誤差はそれぞれ異なっており、全ての製品におい
て組み付け公差を同じくすることは困難である。この組
み付け公差によるデッドボリュームの変動量は、各部品
の加工精度から最大に見積ったとしても、前記基準吸入
容積に対して1%に満たない程度のものである。これに
対して、この実施形態の圧縮機では、前記最大デッドボ
リュームの値と最小デッドボリュームの値との間に、基
準吸入容積の4%に相当する差が存在している。このた
め、前記の組み付け公差を考慮しても、前記デッドボリ
ュームの変更が確保される。また、この程度のデッドボ
リュームの拡大量は、圧縮機の圧縮効率を極端に低下さ
せないものである。
【0056】さらに、ひとつのピストン34のフロント
側の圧縮室35とリヤ側の圧縮室36とのデッドボリュ
ームが同一となるように形成されている。このため、回
転5次成分は、そのフロント側の総和とリヤ側の総和と
の間に180゜の位相のずれが保たれたままとなって、
互いに打ち消し合って消滅する。
【0057】以上のように構成されたこの実施形態によ
れば、以下の優れた効果を奏する。 (a) フロント側及びリヤ側において、それぞれ各圧
縮室35、36のデッドボリュームの値が、大きく2つ
のグループをなすように変更されている。大デッドボリ
ューム圧縮室35b、36bは、シリンダボア33-1〜
33-5の配列方向に連続するように配置されている。そ
して、互いに隣接する大デッドボリューム圧縮室35
b、36bの間には、吸入口49に対する最近接吸入通
路48a及び吐出通路50が開口されている。これによ
って、10気筒タイプの両頭ピストン式圧縮機におい
て、ねじり振動の加振力となるトルク変動の主成分であ
る回転10次成分が低減される。従って、前記ねじり振
動によって、圧縮機並びにそれに接続される補機等の共
振現象による騒音の発生が低減されて、車室内の騒音レ
ベルが低下される。
【0058】(b) 大デッドボリューム圧縮室35
b、36bのデッドボリュームの値と、小デッドボリュ
ーム圧縮室35a、36aのデッドボリュームの値との
差が、各デッドボリューム圧縮室のグループ内における
デッドボリュームの値の差より大きくなるように設定さ
れている。そして、大デッドボリューム圧縮室35b、
36bのデッドボリュームは、小デッドボリューム圧縮
室35a、36aのデッドボリュームの2〜7倍、好ま
しくは2.5〜6倍、さらに好ましくは3〜5.5倍と
なるように形成されている。さらに、最大デッドボリュ
ームの値と最小デッドボリュームの値との差が、最小デ
ッドボリュームを有する小デッドボリューム圧縮室35
a、36aにおける基準吸入容積の4%に相当するよう
に形成されている。従って、この実施形態の圧縮機で
は、組み付け公差を考慮しても、各圧縮室35、36の
デッドボリュームの変更が確保されると共に、そのデッ
ドボリュームの変更による圧縮機の圧縮性能の低下を低
く抑えることができる。
【0059】(c) ひとつのピストン34のフロント
側の圧縮室35とリヤ側の圧縮室36とのデッドボリュ
ームが同一となるように形成されている。このため、回
転5次成分は、そのフロント側の総和とリヤ側の総和と
が互いに打ち消し合って、消滅する。従って、前記
(a)項及び(b)項の効果とあいまって、トルク変動
の回転10次成分を低減しつつ、回転5次成分の発生を
抑制することができる。
【0060】(d) 各圧縮室35、36のデッドボリ
ュームの設定が、弁構成体23、24の一部をなす吸入
弁形成板29の透孔29a-1〜29a-5及びガスケット
28の透孔28a-1〜28a-5の形状を変更することに
より行われている。このため、吸入弁形成体29あるい
はガスケット28を変更するのみで、圧縮機のねじり振
動系を変更することができる。そして、搭載車両の車種
ごとに異なる共振周波数に対して、圧縮機の全体構成を
大きく変更することなく、容易に対応することができ
る。
【0061】(第2の実施形態)次に、この発明を12
気筒タイプの両頭ピストン式圧縮機に具体化した第2の
実施形態について、図13に基づいて前記第1の実施形
態と異なる部分を中心に説明する。なお、リヤ側のシリ
ンダボア33-1〜33-5内の圧縮室36についてのみ説
明する。ここで、フロント側の各圧縮室35は、駆動シ
ャフト43の回転方向に対してリヤ側の各圧縮室36の
配置と同様になっている。
【0062】この第2の実施形態においては、シリンダ
ボア33-1、33-4内には、デッドボリュームの値が小
さく設定された小デッドボリューム圧縮室36aが形成
されている。また、シリンダボア33-2、33-3、33
-5、33-6には、デッドボリュームの値が大きく設定さ
れた大デッドボリューム圧縮室36bが形成されてい
る。つまり、前記大デッドボリューム圧縮室36bが2
室ずつが、シリンダボア33-1〜33-6の配列方向に連
続するように配列されている。ここでは、シリンダボア
33-2、33-3内の圧縮室36bが第1の大デッドボリ
ューム圧縮室36b1のグループ、シリンダボア33-
5、33-6内の圧縮室36bが第2の大デッドボリュー
ム圧縮室36b2のグループをなしている。
【0063】また、前記連続配列された第1の大デッド
ボリューム圧縮室36b1の間に向かって、吸入口49
を介して外部冷媒回路からクランク室42に冷媒ガスが
流入するようになっている。そして、吸入口49に対す
る最近接吸入通路48aが、第1の大デッドボリューム
圧縮室36b1の間に開口されている。
【0064】さらに、前記連続配列された第2の大デッ
ドボリューム圧縮室36b2の間に吐出通路50が形成
されており、その吐出通路50が吐出口51を介して外
部冷媒回路に接続されている。
【0065】このように構成しても、前記第1の実施形
態とほぼ同様な作用及び効果が得られる。なお、この発
明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0066】(1) 各圧縮室35、36のデッドボリ
ュームの変更を、ピストン34の頭部を所定量削り取っ
て行うこと。 (2) 各圧縮室35、36のデッドボリュームの変更
を、ピストン34の頭部に凹部を設けて行うこと。
【0067】(3) 各圧縮室35、36のデッドボリ
ュームの変更を、ピストン34の頭部に溝を設けて行う
こと。 (4) 各圧縮室35、36のデッドボリュームの変更
を、シリンダボア33-1〜33-6の内周面に切欠部を設
けて行うこと。
【0068】(5) 各圧縮室35、36のデッドボリ
ュームの変更を、シリンダボア33-1〜33-6の長さを
それぞれ変更して行うこと。以上の(1)〜(5)のよ
うに構成しても、簡単な構成で各圧縮室35、36のデ
ッドボリュームを変更できる。
【0069】(6) バルブプレート30のシリンダボ
ア33-1〜33-6側面に凹部を設けること。このように
構成した場合、各圧縮室35、36間のデッドボリュー
ムの変更量を大きく設定することができる。
【0070】(7) この発明を前記実施形態に記載以
外の気筒数、例えば8気筒の両頭ピストン式圧縮機にお
いて具体化すること。 (8) フロント側及びリヤ側において、大デッドボリ
ューム圧縮室35b、36bのデッドボリュームの値
を、複数種類に変更して、あるいは、それぞれ異なるよ
うに形成すること。なお、このデッドボリュームの変更
は、任意に設定されたものであっても、ピストン34他
の各部品の製作公差によって自動的に設定されたもので
あってもよい。
【0071】(9) デッドボリュームの最小値と最大
値の差を、基準吸入容積の1%を下限とすると共に10
%を上限として変更すること。 (10) 前記基準吸入容積を、前記各実施形態に記載
以外の値に設定すること。
【0072】以上の(7)〜(10)のように構成して
も、気筒数nに対応する回転n次成分を低減しつつ、回
転n/2次成分が奇数次成分である場合その発生を抑制
することができる。
【0073】(11) 2種類以上のデッドボリューム
の変更を、フロント側の各圧縮室35あるいはリヤ側の
各圧縮室36のどちらか一方のみにおいて行うこと。 (12) この発明を片頭ピストン式圧縮機において具
体化すること。
【0074】以上の(11)及び(12)のように構成
しても、気筒数nに対応する回転n次成分を低減するこ
とができる。 (13) この発明をウェーブカムプレートタイプの往
復動型圧縮機において具体化すること。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
以下の優れた効果を奏する。シリンダボアの配列面内に
おける各圧縮室のデッドボリュームが、大きく2つのグ
ループをなすように変更されている。大デッドボリュー
ム圧縮室の内少なくとも2室は、前記シリンダボアの配
列方向に連続するように配列されている。そして、ハウ
ジングのシリンダボアの配列方向に互いに隣接する大デ
ッドボリューム圧縮室の間には、吐出通路が開口されて
いる。また、ハウジングのシリンダボアの配列方向に互
いに隣接する大デッドボリューム圧縮室の間には、吸入
口に対して最も近接した吸入通路が開口されている。こ
のため、各圧縮室の容積と圧力との推移の曲線がそれぞ
れ大きく異なったものとなる。従って、気筒数nに対応
したトルク変動の回転n次成分が大きく低減されて、駆
動シャフト−クラッチ系のねじり振動の加振力が抑制さ
れる。そして、圧縮機並びにそれに接続される補機にお
いて、前記ねじり振動によって励起される共振現象が低
減されて、車室内の騒音レベルを低下させることができ
る。
【0076】また、大デッドボリューム圧縮室のグルー
プ内における最小デッドボリュームの値は、小デッドボ
リューム圧縮室のグループ内における最大のデッドボリ
ュームの値の2〜7倍に形成されている。しかも、各圧
縮室の最大デッドボリュームの値と最小デッドボリュー
ムの値とは、基準吸入容積に対して1%以上で10%以
下の範囲内の差が存在している。このため、組み付け公
差を考慮しても、前記デッドボリュームの変更を確保す
ることができる。
【0077】さらに、両頭ピストン式圧縮機において
は、ひとつのピストンに対してフロント側のデッドボリ
ュームとリヤ側のデッドボリュームとは、同じ大きさと
なるように構成されている。このため、気筒数がnであ
る場合の回転n/2次成分は、ひとつのピストンのフロ
ント側とリヤ側とで互いに打ち消し合って消滅する。従
って、前記の発明の効果とあいまって、気筒数nに対応
する回転n次成分を低減しつつ、回転n/2次成分の発
生を抑制することができる。そして、回転n次成分対策
による新たな振動発生要因の発生が防止される。
【0078】しかも、大デッドボリューム圧縮室のデッ
ドボリュームの設定が、弁構成体の一部をなす吸入弁形
成板の各圧縮室に対応する部分の形状を変更することに
よって行われている。従って、搭載車両の車種ごとに異
なる共振周波数に対して、圧縮機の全体構成を大きく変
更することなく、吸入弁形成体を変更するのみで容易に
対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の往復動型圧縮機を示す断面
図。
【図2】 リヤ側の弁構成体及びその関連構成を分解し
て示す斜視図。
【図3】 図1の3−3線における断面図。
【図4】 図1の4−4線における断面図。
【図5】 図3の5−5線における断面図。
【図6】 図3の6−6線における断面図。
【図7】 (a)はフロント側、(b)はリヤ側の各圧
縮室のデッドボリュームの変更に関する説明図。
【図8】 シャフト回転角とボア内圧力との関係を示す
説明図。
【図9】 シャフト回転角と1圧縮室あたりの圧縮トル
クとの関係を示す説明図。
【図10】 シャフト回転角と10圧縮室重畳した圧縮
機全体の圧縮トルクとの関係を示す説明図。
【図11】 回転10次成分の低減と回転5次成分の変
化を示す説明図。
【図12】 (a)は回転5次成分の、(b)は回転1
0次成分のフロント側の総和とリヤ側の総和との重畳現
象に関する説明図。
【図13】 第2の実施形態の往復動型圧縮機の各圧縮
室のデッドボリュームの変更に関する説明図。
【符号の説明】
21、22…ハウジングの一部を構成するシリンダブロ
ック、23,24…弁構成体、25…ハウジングの一部
を構成するフロントハウジング、26…ハウジングの一
部を構成するリヤハウジング、28…ガスケット、29
…吸入弁形成板、30…バルブプレート、31…吐出弁
形成板、32…リテーナプレート兼用のガスケット、3
3-1〜33-5…シリンダボア、34…ピストン、35,
36…圧縮室、35a、36a…小デッドボリューム圧
縮室、35b、36b…大デッドボリューム圧縮室、3
5b1、36b1…大デッドボリューム圧縮室としての
第1の大デッドボリューム圧縮室、35b2、36b2
…大デッドボリューム圧縮室としての第2の大デッドボ
リューム圧縮室、42…クランク室、43…駆動シャフ
ト、45…カムプレートとしての斜板、48…吸入通
路、48a…吸入口に最も近接した吸入通路としての最
近接吸入通路、49…吸入口、50…吐出通路、51…
吐出口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 和宏 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 岡部 孝徳 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 木村 直文 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 元浪 博之 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングの内部に駆動シャフトを支持
    すると共に、クランク室を形成し、前記ハウジングの一
    部を構成するシリンダブロックには前記駆動シャフトを
    囲むように複数のシリンダボアを配列し、そのシリンダ
    ボア内にピストンを往復動可能に収容して圧縮室を区画
    形成し、前記駆動シャフトにはカムプレートを一体回転
    可能に装着し、そのカムプレートの回転に連動して前記
    ピストンを往復動させて、冷媒ガスを圧縮するようにし
    た往復動型圧縮機において、 前記各圧縮室は各々所定のデッドボリュームを有してな
    り、前記シリンダボアの配列面内における各圧縮室の少
    なくとも3室は同配列面内における他の圧縮室より前記
    デッドボリュームの値を大きく設定した大デッドボリュ
    ーム圧縮室のグループを構成すると共に、前記他の圧縮
    室を小デッドボリューム圧縮室のグループとして構成
    し、前記大デッドボリューム圧縮室のデッドボリューム
    の値と前記小デッドボリューム圧縮室のデッドボリュー
    ムの値との差を各デッドボリューム圧縮室のグループ内
    におけるデッドボリュームの値の差より大きく設定する
    と共に、前記大デッドボリューム圧縮室の内少なくとも
    2室は前記シリンダボアの配列方向に連続するように配
    列し、前記ハウジング上に外部冷媒回路に接続される吐
    出口を形成すると共に、ハウジングに各圧縮室からその
    吐出口に冷媒ガスを導くための吐出通路を形成し、前記
    シリンダボアの配列方向に連続するように配列された大
    デッドボリューム圧縮室の間に、前記吐出通路を開口し
    たことを特徴とする往復動型圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記ハウジング上に外部冷媒回路に接続
    される吸入口を形成すると共に、ハウジングにその吸入
    口から各圧縮室に冷媒ガスを導くための吸入通路を形成
    し、その吸入通路の内、前記吸入口に最も近接した吸入
    通路を前記シリンダボアの配列方向に連続するように配
    列された前記大デッドボリューム圧縮室の間に開口した
    ことを特徴とする請求項1に記載の往復動型圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記大デッドボリューム圧縮室のグルー
    プ内における最小デッドボリュームの値は、前記小デッ
    ドボリューム圧縮室のグループ内における最大デッドボ
    リュームの値の2〜7倍となるように形成したことを特
    徴とする請求項1または2に記載の往復動型圧縮機。
  4. 【請求項4】 前記各圧縮室間における最大デッドボリ
    ュームの値と最小デッドボリュームの値とは、該最小デ
    ッドボリュームを有する圧縮室の下死点時における容積
    の1%以上の差をもたせたことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の往復動型圧縮機。
  5. 【請求項5】 前記各圧縮室間における最大デッドボリ
    ュームの値と最小デッドボリュームの値とは、該最小デ
    ッドボリュームを有する圧縮室の下死点時における容積
    の10%以下の差をもたせたことを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の往復動型圧縮機。
  6. 【請求項6】 前記大デッドボリューム圧縮室のグルー
    プ内におけるデッドボリュームがそれぞれ異なるように
    形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の往復動型圧縮機。
  7. 【請求項7】 前記シリンダボアを前後対向するように
    形成すると共に、前記ピストンを両頭型に構成し、前後
    両側の各圧縮室に各々所定のデッドボリュームを形成し
    たことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の往
    復動型圧縮機。
  8. 【請求項8】 ひとつの両頭型のピストンに対してフロ
    ント側のデッドボリュームとリヤ側のデッドボリューム
    とを同じ大きさに形成したことを特徴とする請求項7に
    記載の往復動型圧縮機。
  9. 【請求項9】 前記各圧縮室のデッドボリュームを前記
    シリンダブロックに対向配置された弁構成体の一部をな
    す吸入弁形成板の各圧縮室に対応する部分の形状を変更
    することにより形成したことを特徴とする請求項1〜8
    のいずれかに記載の往復動型圧縮機。
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