JPH10131844A - 斜板式アキシャルピストンポンプ・モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成にし、コンパクト化を図る。 【解決手段】 この斜板式アキシャルピストンボンプ・
モータは、斜板１２を備えたハウジング２と、回転軸１
０と、シリンダバレル１４と、シリンダバレル１４に摺
動自在に挿入された複数のピストン１６と、各ピストン
の頭部１７に嵌装され斜板１２に摺接するスリッパ２０
と、各スリッパ２０の斜板１２からの離反を防止するリ
ング状のリテーナプレート２１と、ハウジング２の内周
に形成された溝５２に係合されることでリテーナプレー
ト２１を定位置に止めるスナップリング５３とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式アキシャル
ピストンボンプ・モータに関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来の斜板式アキシャルピストン
ポンプ・モータ１の一例を示す縦断面である。このポン
プ・モータ１では、ハウジング２が、ハウジング本体３
とエンドカバー４からなり、ハウジング２の内部が、作
動油で満たされるよう液密的に密閉されている。ハウジ
ング本体３は、一端に回転軸１０を突出させる貫通孔３
ａを有し、他端開口３ｂがエンドカバー４で塞がれてい
る。

【０００３】回転軸（モータとして用いるときは出力
軸、ポンプとして用いるときは入力軸となる）１０は、
ハウジング２内に収容された軸受６、７により回転自在
に支持されており、基端部がハウジング２の内部に収容
され、先端部がハウジング２の外部に突出している。ハ
ウジング２の内部には、回転軸１０の基端方向を向きか
つ回転軸１０に対して傾斜した斜板１２が一体形成され
ている。

【０００４】回転軸１０の外周にはシリンダバレル１４
が嵌合されている。シリンダバレル１４は、スプライン
１３により軸方向移動可能でかつ一体回転するように回
転軸１０に結合されている。各シリンダバレル１４に
は、円周上に等間隔にシリンダ孔１５が複数個形成され
ており、シリンダ孔１５内には斜板１２の向かって出没
自在にピストン１６が挿入されている。各ピストン１６
の球状の頭部１７にはスリッパ２０が回動自在に嵌装さ
れており、各スリッパ２０が斜板１２上に配したスラス
トプレート２２に摺動可能に接触している。

【０００５】シリンダバレル１４を挟んで斜板１２と対
向するハウジング２の内壁には、シリンダバレル１４の
端面が回転しながら接するバルブプレート１８が取り付
けられている。バルブプレート１８は、メインポート
Ａ、Ｂと、シリンダバレル１４内のシリンダ孔１５との
連通油路を切換えるもので、ピン１９で回転止めされて
いる。

【０００６】シリンダバレル１４の内周と回転軸１０の
外周との間には円筒状隙間が確保され、その隙間には、
シリンダバレル１４をバルブプレート１８に圧接させる
ためのバレルスプリング２５が挿入されている。バレル
スプリング２５の一端は、シリンダバレル１４側に止め
られたスプリング座２７で受け止められ、他端は、回転
軸１０側に止められたスプリング座２８で受け止められ
ている。

【０００７】次に作用を説明する。

【０００８】モータとして使用した場合は、高圧油がメ
インポートＡより流入すると、その高圧油はバルブプレ
ート１８を経てシリンダバレル１４に入り、ピストン１
６の端面に作用して、ピストン１６を軸方向に運動さ
せ、スリッパ２０を斜板１２に押し付ける。そして、ス
リッパ２０の斜面１２への押し付け作用により、ピスト
ン１６の運動方向と直交する方向の分力が発生し、この
分力が回転力となって、シリンダバレル１４を回転さ
せ、回転軸１０にその回転を伝える。この動作の際に、
高圧側のピストン１６は上死点（退縮限）から下死点
（突出限）に移動し、低圧側のピストン１６は下死点か
ら上死点に移動することになり、それに伴って作動後の
低圧油はバルブプレート１８を経てメインポートＢより
流出する。

【０００９】ポンプとして使用した場合は、回転軸１０
の回転によりシリンダバレル１４が回転し、シリンダバ
レル１４の回転によりピストン１６が往復運動し、ピス
トン１６の往復運動により吸い込み行程と吐き出し行程
が順次実行される。それと同時にバルブプレート１８に
よる油路の切替えが自動的に行われ、作動油が一方のメ
インポートから吸い込まれて、他方のメインポートから
吐き出される。

【００１０】上記の動作の際に、ある行程（吸い込み行
程）においてピストン１６にはシリンダ孔１５側への引
き込み力が作用する。その引き込み力によりスリッパ２
０が斜面１２より離れると、次の行程でスリッパ２０が
斜面に叩き付けられることになってしまう。そのため、
一般的には、スリッパ２０が斜板１２より離反しないよ
うに、スリッパ２０をリテーナプレート２１で保持して
いる。

【００１１】即ち、各ピストン１６の頭部１７にそれぞ
れ嵌装されたスリッパ２０は、一枚のリング状のリテー
ナプレート２１によって保持されている。このリテーナ
プレート２１を押さえるため、図２に示す従来例では、
リテーナプレート２１に対する摺動球面を有したガイド
ボール２３を回転軸１０の外周に配置している。ガイド
ボール２３には、スプリング座２８及びピン２９を介し
てバレルスプリング２５の力が伝達されており、この力
でガイドボール２３の摺動球面がリテーナプレート２１
の内周を斜板１２側に押圧し、それによりスリッパ２１
の斜面１２からの離反を防止している。

【００１２】一方、図３は他の従来例の斜板式アキシャ
ルピストンポンプ・モータ３１を示す。このポンプ・モ
ータ３１では、リテーナプレート２１を定位置に保持し
ておく手段として、ガイドボール２３やピン２９（いず
れも図２参照）を用いずに、ボルト３３で固定した保持
部材３２を用いている。即ち、リテーナプレート２１の
外周側にリテーナプレート２１の外周縁を押さえるため
の保持部材３２を配置し、この保持部材３２をボルト３
３で斜板１２に固定することにより、リテーナプレート
２１を定位置に保持している。その際、斜板１２と保持
部材３２との間にスペーサ３４を挟むことで、リテーナ
プレート２１の動く隙間を確保しており、それによりス
リッパ２０を、斜板１２から離れないように保持しなが
ら、回転自在に支持している。

【００１３】図４は更に別の従来例を示す。図３のもの
では、リテーナプレート２１の外周側にボルト３３で保
持部材３２を固定していたが、図４の例では、リテーナ
プレート２１の内周側に保持部材４２を配し、ボルト４
３とスペーサ４４で保持部材４４を固定することによ
り、リテーナプレート２１を支持している。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図２のガイ
ドボール２３を用いてリテーナプレート２１を定位置に
支持する構造では、ガイドボール２３自体や、バレルス
プリング２５の力をガイドボール２３に伝えるピン２９
等の部品を必要とするので、構造が複雑となり、製作費
が高くなると同時に、それらの部品を設置するスペース
をリテーナプレート２１の内周側に確保しなくてはなら
ず、ポンプ・モータ１の外径が大きくなるという問題が
あった。

【００１５】また、図３、図４に示すような、ボルト３
３、４３と保持部材３２、４２とスペーサ３４、４４を
用いてリテーナプレート２１を支持する構造では、部品
点数が多い上、組み立て時にボルト３３、４３の締め込
みが必要であり、更にリテーナプレート２１の外周側あ
るいは内周側にボルト３３、４３の締め込みのためのス
ペースを確保する必要があるので、ボンプ・モータ３
１、４１の外径が大きくなるという問題があった。

【００１６】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、簡単な構成でコストダウンが可
能であると共に、ハウジングの外径の縮小によるコンパ
クト化が可能な斜板式アキシャルピストンボンプ・モー
タを提供することを目的とする。

【００１７】

【課題を解決するための手段】本発明の斜板式アキシャ
ルピストンボンプ・モータは、内部に斜板を備えたハウ
ジングと、該ハウジングに回転自在に支持された回転軸
と、該回転軸の外周に一体回転するよう設けられたシリ
ンダバレルと、該シリンダバレルに摺動自在に挿入され
た複数のピストンと、該各ピストンの頭部に嵌装され前
記斜板に摺接するスリッパと、を備えた斜板式ピストン
ポンプ・モータにおいて、前記スリッパの斜板からの離
反を防止するためにピストン本数と同数の貫通孔を備え
たリテーナプレートと、前記ハウジングの内周に、前記
斜板から一定の距離をもって一周する環状の溝と、該溝
に係合されることで、前記リテーナプレートを回転自在
に定位置に止める止め輪と、を備えたことにより、上記
課題を解決したものである。

【００１８】本発明の斜板式アキシャルピストンボンプ
・モータにおいては、ハウジングの内周に形成した溝に
止め輪を係合させることで、リテーナプレートを定位置
に止めることができ、該リテーナプレートによりスリッ
パを斜板から離れないように支持することができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。

【００２０】図１は実施形態の斜板式アキシャルピスト
ンポンプモータ５１の縦断面を示している。このポンプ
・モータ５１は、図２に示したポンプ・モータ１と基本
的な構成が同じであり、同一構成要素には同一符号を付
して説明を省略し、異なる点のみ説明する。

【００２１】このポンプ・モータ５１では、リテーナプ
レート２１を止めるためのガイドボール２３やピン２９
（図２参照）を削除している。又、ボルトやスペーサも
用いていない。そして、それらの代わりに、ハウジング
２の内部の斜板１２の近傍の内周に、斜板１２に対して
直交する円筒面５５を形成し、その円筒面５５に、斜板
１２から「一定の距離」をもって一周する環状の溝５２
を形成し、その溝５２に、内径がリテーナプレート２１
の外径よりも小さなスナップリング（止め輪）５３を係
合させることで、スナップリング５３と斜板１２との間
にリテーナプレート２１を回転自在に保持している。前
記「一定の距離」は「リテーナプレート２１の厚さに相
当した距離」とされ、スナップリング５３が斜板１２と
の間に丁度リテーナプレート２１及びスリッパ２０の大
径部を挾むことができるようになっている。

【００２２】即ち、各ピストン１６の頭部１７にそれぞ
れ嵌装されたスリッパ２０は、一枚のリング状のリテー
ナプレート２１によって保持されている。リテーナプレ
ート２１は回転軸１０の外周に配され、円周上にピスト
ン１６及びスリッパ２０を挿入するための（ピストン１
６の本数と同数の）貫通孔２１Ａを有している。そし
て、各貫通孔２１Ａの周縁でスリッパ２０の肩部を抜け
止めすることにより、該スリッパ２０の斜板１２に対す
る摺動を許しつつ、スリッパ２０の斜板１２からの離反
を防止しているものである。

【００２３】従って、ガイドボールやボルトによってリ
テーナプレート２１を押さえる場合と比べて、構造を簡
単にすることができると共に、リテーナプレート２１の
内周側あるいは外周側に、ガイドボールを設置したり、
ボルトを締め込んだりする特別なスペースを確保してお
く必要がなく、その分余分なスペースを削減することが
できる。このため、コストダウンが図れると共に、ポン
プ・モータ５２の外径の縮小が可能となり、コンパクト
化が図れる。

【００２４】なお、本発明は、上記実施形態のように、
斜板１２がハウジング２に一体形成されているものに
も、斜板１２がハウジング２と別体に形成されているも
のにも同じように適用することができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の斜板式ア
キシャルピストンボンプ・モータによれば、スリッパを
保持するためのリテーナプレートを、ハウジングの内周
の溝に係合させた止め輪で止めているので、ガイドボー
ルやボルトによってリテーナプレートを押さえておく必
要がなく、それらの場合と比べて構造を簡単にすること
ができ、コストの低減が図れる。

【００２６】又、ハウジングの内周に溝を加工し、その
溝に止め輪を嵌めるだけの構成であるから、ボルトで止
める場合やガイドボールで押さえる場合と違って、特別
なスペースをリテーナプレートの内周側や外周側に確保
しておく必要がなく、その分余分なスペースを削減でき
て、ハウジングの外径の縮小によるコンパクト化が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す縦断面図

【図２】従来例の縦断面図

【図３】別の従来例の縦断面図

【図４】更に別の縦断面図

【符号の説明】

２…ハウジング １０…回転軸 １２…斜板 １４…シリンダバレル １６…ピストン １７…ピストンの頭部 ２０…スリッパ ２１…リテーナプレート ５１…斜板式アキシャルピストンボンプ・モータ ５２…溝 ５３…スナップリング（止め輪）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に斜板を備えたハウジングと、該ハウ
   ジングに回転自在に支持された回転軸と、該回転軸の外
   周に一体回転するよう設けられたシリンダバレルと、該
   シリンダバレルに摺動自在に挿入された複数のピストン
   と、該各ピストンの頭部に嵌装され前記斜板に摺接する
   スリッパと、を備えた斜板式ピストンポンプ・モータに
   おいて、 前記スリッパの斜板からの離反を防止するためにピスト
   ン本数と同数の貫通孔を備えたリテーナプレートと、 前記ハウジングの内周に、前記斜板から一定の距離をも
   って一周する環状の溝と、 該溝に係合されることで、前記リテーナプレートを回転
   自在に定位置に止める止め輪と、 を備えたことを特徴とする斜板式アキシャルピストンボ
   ンプ・モータ。