JPH10130207A - ニトロベンゼンとクロロベンゼンの同時製造方法 - Google Patents

ニトロベンゼンとクロロベンゼンの同時製造方法

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JPH10130207A
JPH10130207A JP10471997A JP10471997A JPH10130207A JP H10130207 A JPH10130207 A JP H10130207A JP 10471997 A JP10471997 A JP 10471997A JP 10471997 A JP10471997 A JP 10471997A JP H10130207 A JPH10130207 A JP H10130207A
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group
reaction
catalyst
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chlorobenzene
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JP10471997A
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Teruo Muraishi
照男 村石
Kaoru Inoue
薫 井上
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C205/00Compounds containing nitro groups bound to a carbon skeleton
    • C07C205/06Compounds containing nitro groups bound to a carbon skeleton having nitro groups bound to carbon atoms of six-membered aromatic rings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/093Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens
    • C07C17/10Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of hydrogen atoms
    • C07C17/12Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of hydrogen atoms in the ring of aromatic compounds

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に利用価値の低いパラニトロクロロベ
ンゼンを有効な物質に変換する方法を提供する。 【解決手段】 ニトロクロロベンゼンとベンゼンを加熱
下に反応させることを特徴とするニトロベンゼンとクロ
ロベンゼンの同時製造方法。この反応はパラジウム等の
遷移金属または遷移金属化合物を触媒として使用すると
促進される。更に遷移金属または遷移金属化合物に、他
の遷移金属もしくはその化合物、及び/または周期律表
における13、14、15、16族の金属もしくはその
化合物を含む触媒を使用することで反応は一層促進され
る。また触媒と共にプロトン酸等の水素陽イオン供与体
を共存させることで反応はより一層促進される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニトロクロロベンゼ
ンとベンゼンとの反応によりクロロベンゼン及びニトロ
ベンゼンを同時に製造する方法に関する。更に詳しくは
ニトロクロロベンゼンとベンゼンとの不均化反応により
クロロベンゼン及びにニトロベンゼンを製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】クロロベンゼン及びニトロベンゼンは化
学製品中間原料等として工業的に有用な化学薬品であ
る。一般的なクロロベンゼンとニトロベンゼンの工業的
製造方法として、クロロベンゼンはベンゼンを鉄粉、塩
化第二鉄、ヨウ素、塩化アルミニウムなどの触媒の存在
で塩素により塩素化し、同時に生成するジクロロベンゼ
ン類と蒸留分離する方法で製造される。一方、ニトロベ
ンゼンはベンゼンと混酸(硝酸と硫酸の混合物)でニト
ロ化する方法で製造される。
【0003】また芳香族化合物の不均化反応もしくは置
換基の移動反応としては種々の方法が知られている。例
えばアルキル基移動反応として、活性炭の存在下アルキ
ル化芳香族第一級アミン類の不均化反応による方法(米
国特許4,801,751号、米国特許4,935,5
45号)や、1、4−ジアルキルベンゼン類の選択的脱
アルキル反応において触媒としてゼオライトを使用する
方法(米国特許4,642,409号)、N,N−ジア
ルキルアニリンの脱アルキル反応において貴金属触媒を
用いる方法(触媒,32(6),404-7)などが知られている。
【0004】また、芳香族塩素化物のトランス塩素化反
応に関しては、例えば特開平1−311032号に記載
の芳香族ポリ塩化物のトランス塩素化方法が知られてい
る。該特許では、活性炭に塩化パラジウムと希土類金属
塩化物を担持した触媒を用い、芳香族ポリ塩化物とベン
ゼンを気相流通反応条件下でモノクロロベンゼンを製造
している。しかしながらニトロ基を有するハロゲン化芳
香族化合物の塩素移動等を伴う無置換芳香族化合物との
不均化反応に関しては未だ知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ニトロクロロベンゼン
は一般にクロロベンゼンを混酸(硝酸と硫酸の混合物)
でニトロ化する方法で工業的に製造される。しかし、こ
の方法の生成物はオルト、メタ、パラの異性体の混合物
として得られる。異性体のうちでオルト体は農医薬、顔
料、ゴム薬原料等として利用価値が高いが、多量に生成
するパラ体は染料原料等に使われるもののオルト体に比
べて利用価値は少ない。
【0006】ここにおいてオルト体を選択的に製造する
方法が試みられている。例えば、特開平7−33716
においてはハロゲン化ベンゼンのニトロ化反応を窒素酸
化物とオゾン含有酸素もしくは空気との反応により実施
している。この方法により、パラニトロクロロベンゼン
とオルトニトロクロロベンゼンとの生成比はほぼ1とな
りパラニトロクロロベンゼンの生成が抑制される。しか
しながら、依然としてパラニトロクロロベンゼンの生成
は多量であり、ほぼ完全に生成を抑制することは現状の
技術では不可能となっている。
【0007】また、パラニトロクロロベンゼンの工業的
な利用価値の低い問題点を解決する方法としては、パラ
ニトロクロロベンゼンを他の工業的に利用価値の高い化
学物質に変換する方法が挙げられる。例えば、パラニト
ロクロロベンゼンを触媒存在下に水素と反応させること
でアニリンと塩化水素に変換できることは、還元脱塩素
化反応として古くから知られている。しかしながらこの
方法では工業的に利用価値の高いアニリンが得られる
が、塩素は塩化水素として消費されることから、高価な
塩素の利用が不完全となり、必ずしも有効な方法とは言
い難い。
【0008】そこで、パラニトロクロロベンゼンが、不
均化反応等によりクロロベンゼンとニトロベンゼンに変
換できれば、生成したクロロベンゼンは再度ニトロ化の
原料として有効に再利用可能であり、再利用することに
より見かけ上、オルトニトロクロロベンゼンが選択的に
生成することにもなる。更に、もう一方の生成物である
ニトロベンゼンもアニリン等の原料として有効に利用さ
れる。しかしながら、前記したようにニトロクロロベン
ゼン類からのベンゼンとの不均化反応等によるクロロベ
ンゼン及びニトロベンゼンの製造法は未だ知られていな
い。
【0009】従って、ニトロクロロベンゼンをベンゼン
との反応によりクロロベンゼン及びニトロベンゼンに変
換することは、極めて有効なニトロクロロベンゼン、と
りわけオルトニトロクロロベンゼンの選択的製造方法と
なりうる。また、その逆にパラニトロクロロベンゼンの
選択的製造方法ともなりうる。本発明の目的とするとこ
ろは、利用価値の低いニトロクロロベンゼンを利用価値
の高いクロロベンゼン及びニトロベンゼンに変換する方
法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的に
利用価値の低いパラニトロクロロベンゼンの生成を抑制
する、またはパラもしくはオルトニトロクロロベンゼン
の選択的製造方法を達成するに際して、上記したクロロ
ベンゼンとニトロベンゼンの同時製造法が極めて有効な
手段であることに着目し鋭意検討した結果、クロロベン
ゼンのニトロ化により生成したオルトニトロクロロベン
ゼン及びパラニトロクロロベンゼンのいずれかをベンゼ
ンと反応させることにより、クロロベンゼンとニトロベ
ンゼンが同時に生成することを見出し本発明を完成する
に至った。即ち本発明は、ニトロクロロベンゼンとベン
ゼンを加熱下に反応させることを特徴とするニトロベン
ゼンとクロロベンゼンの同時製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
ニトロクロロベンゼンは、異性体としてオルトニトロク
ロロベンゼン、パラニトロクロロベンゼン及びメタニト
ロクロロベンゼンが存在するが本発明においてはこれら
異性体のいずれを使用しても差し支えない。また上記ニ
トロクロロベンゼン異性体の2種以上の混合物として使
用しても差し支えない。例えば、ニトロクロロベンゼン
としてパラニトロクロロベンゼン及びオルトニトロクロ
ロベンゼンよりなる群から選ばれた少なくとも1種を使
用する事が出来る。またこれらの純度は特に限定される
ことはなく、通常の試薬純度であっても、さらには、工
業的に使用される純度であっても差し支えない。同様
に、本発明方法において使用するベンゼンの純度等も特
に限定されず、通常の試薬純度であっても、さらには、
工業的に使用される純度であっても差し支えない。
【0012】本発明方法により上記した、ニトロクロロ
ベンゼンとベンゼンとの加熱下で反応させることにより
クロロベンゼンとニトロベンゼンが製造されるが、この
反応に際し、更に触媒を添加することで本発明における
反応が促進される。
【0013】本発明方法において使用される触媒として
は特に限定されないが、国際純正及び応用化学連合無機
化学命名法(1989年)における周期律表における3
族ないし12族の金属、すなわち遷移金属もしくは遷移
金属化合物であることが好ましい。さらには7族、8
族、9族、10族及び11族の金属もしくはその金属化
合物であることがより好ましい。特に、8、9及び10
族金属及びこれらの金属化合物よりなる群から選ばれた
少なくとも1種が好ましい。これらの中では、パラジウ
ム、ルテニウム、ロジウム及び白金よりなる群から選ば
れた少なくとも1種が更に好ましく、特にパラジウムで
あることが推奨される。
【0014】さらには、触媒として、遷移金属及び遷移
金属化合物よりなる群から選ばれた1種と、他の遷移金
属、他の遷移金属化合物、周期律表における13、1
4、15、16族の金属及び周期律表における13、1
4、15、16族の金属化合物よりなる群から選ばれた
1種以上のものを使用することができる。
【0015】特に、他の遷移金属、他の遷移金属化合
物、周期律表における13、14、15、16族の金属
及び周期律表における13、14、15、16族の金属
化合物よりなる群から選ばれた1種以上のものが、アル
ミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、鉄、マンガ
ン、クロム、バナジウム、チタン、イットリウム、ラン
タンおよびセリウムよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属及びその金属化合物よりなる群から選ばれた
1種以上のものであることが好ましい。
【0016】また、遷移金属及び遷移金属化合物よりな
る群から選ばれた1種と、他の遷移金属、他の遷移金属
化合物、周期律表における13、14、15、16族の
金属及び周期律表における13、14、15、16族の
金属化合物よりなる群から選ばれた1種以上のものの金
属元素の原子比が1:1000ないし1000:1であることが好ま
しく、より好ましくは1:100ないし100:1である。
【0017】またこれらの金属化合物の形態としては特
に限定されることはないが、実施しやすい化合物として
はこれら金属の酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、リン酸
塩、硫酸塩、カルボン酸塩等が例示される。本発明方法
においてはこれらの金属及び金属化合物よりなる群から
選ばれた少なくとも1種を触媒として使用することで反
応が促進される。また、これらの金属及び金属化合物よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種を触媒として用い
る場合には、これら金属及び金属化合物よりなる群から
選ばれた少なくとも1種を担体に担持して使用すること
も好ましい方法として推奨される。
【0018】ここにおいて、これら金属及び金属化合物
よりなる群から選ばれた少なくとも1種を担持する際に
使用する担体は、本発明方法においては特に限定される
ことはなく、通常担体として用いるものであればいかな
るものを使用しても差し支えないが、実施しやすい方法
として具体的に例示すれば、シリカ、シリカ−アルミ
ナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、活
性炭等が好ましい担体として例示される。特に有機親和
性及び表面積の大きさの観点から活性炭が推奨される。
無論本発明方法においてはこれら担体のみに限定されな
い。
【0019】また、本発明を実施するに際して、反応系
内に触媒と共に更に水素陽イオン供与体を添加すること
で反応はより一層促進される。本発明における水素陽イ
オン供与体とは、本発明方法による反応を実施するに際
して、反応系内において水素陽イオン(プロトン)を供
給もしくは生成しうる物質であり、無機もしくは有機の
酸が例示される。
【0020】これらの酸としては、ルイス酸もしくはプ
ロトン酸のいずれであっても差し支えないが、ルイス酸
を使用する際には、水、または水酸基(OH基)もしく
はチオール基(SH基)を有する化合物またはハロゲン
化水素等を共存させることが好ましい。ルイス酸として
は、通常のルイス酸であればいかなるルイス酸であって
も差し支えないが、具体的にはアンチモン、ジルコニウ
ム、チタン、錫、鉄、ホウ素、アルミニウム、ベリリウ
ム、亜鉛等のハロゲン化物、アルコラート、酸化物等が
例示される。また水酸基を有する化合物としては、アル
コール、フェノール、カルボン酸等が、SH基を有する
化合物としては、硫化水素、有機メルカプタン等が例示
される。
【0021】また、プロトン酸としては通常の無機及び
有機酸であればいかなるプロトン酸を使用しても差し支
えないが、具体的に例示すれば、ハロゲン化水素酸、硫
酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、硫酸水素塩、炭酸水素塩、
リン酸水素塩等の部分中和酸、ヘテロポリ酸等が無機酸
として挙げられ、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族
カルボン酸、または安息香酸等の芳香族カルボン酸など
のカルボン酸、フェノール類等が有機酸として挙げられ
る。さらには、その他の水素陽イオン供与体として活性
メチレン化合物、アルコール類、メルカプタン化合物等
も同様に例示される。無論、本発明における水素陽イオ
ン供与体はこれらの物質のみに限定されることはない。
【0022】本発明においては、これらの水素陽イオン
供与体の少なくとも1種を触媒と共に使用することで反
応は更に促進される。本発明で使用する反応原料は前記
したように、ニトロクロロベンゼン及びベンゼンであ
る。反応に供するニトロクロロベンゼンとベンゼンの比
率は特に限定されることはないが、通常ニトロクロロベ
ンゼン/ベンゼンのモル比で0.001〜10、好まし
くは0.005〜2、更に好ましくは0.01〜1の範
囲で実施することが推奨される。あまりにニトロクロロ
ベンゼンに対してベンゼンの使用量が少なければ、ニト
ロクロロベンゼンの転化率が極めて低い値となり、また
あまりにベンゼンの使用量が多すぎれば、高いニトロク
ロロベンゼンの転化率は達成されるが、ベンゼンの転化
率が極端に低下し、いずれの場合にも効率的な製造法と
は言い難い恐れが生じる。
【0023】また、本発明においては更に触媒、または
触媒及び水素陽イオン供与体を使用することで反応は促
進される。ここにおいて、使用する触媒量は特に限定さ
れることはないが、例えば金属もしくは金属化合物を触
媒として使用する際には、その金属重量換算で、好まし
くは使用するニトロクロロベンゼンに対する重量パーセ
ントで0.1〜100重量パーセント、好ましくは0.
5〜50重量パーセントであり更に好ましくは1〜30
重量パーセントである。あまりに少量の使用であれば反
応を促進する効果は顕著に認められなく、あまりに大量
に使用することは、反応促進効果は顕著となるが、反応
実施上のプロセス的なトラブルを生じる恐れがある。
【0024】また、これら金属もしくは金属化合物を担
体に担持して使用する際の担持量は特に限定されること
はないが、実施しやすい担持量として例示すれば、担体
に対する重量パーセントで0.01〜50重量パーセン
ト、好ましくは0.1〜30重量パーセントであり、更
に好ましくは0.5〜10重量パーセントである。
【0025】本発明においてはこれら金属、金属化合物
を担持してもしくは無担持で触媒として用いることで反
応は促進される。あまりに少量の担持量では、触媒効果
を発揮するためには、極めて大量の担持触媒を使用する
こととなり、効率的に問題を生じる恐れがあり、あまり
に大量の担持量は実質的に担持することが困難となり、
触媒金属等そのものを使用した場合と変わらない恐れが
生じる。
【0026】また、反応に使用する水素陽イオン供与体
の量についても特に限定されることはないが、例えば通
常のプロトン酸を使用する場合には、反応に供するニト
ロクロロベンゼン1グラムモルあたり、0.001〜1
0グラム原子のプロトン量、好ましくは0.005〜5
グラム原子のプロトン量、更に好ましくは0.01〜2
グラム原子のプロトン量となる水素陽イオン供与体量で
あることが推奨される。あまりに少ない使用量では、水
素陽イオン供与体の添加効果は顕著には認められなく、
またあまりに大量の使用では、好ましからざる反応の助
長もしくは、反応実施上のプロセス的なトラブルを生じ
る恐れがある。
【0027】反応形態に関して本発明方法は特に限定さ
れず、気相または液相等いずれの形態でも実施すること
も可能であるが、好ましくはベンゼン及びニトロクロロ
ベンゼンを液相として反応することが好ましい。またベ
ンゼンを加圧下、超臨界状態として反応を実施すること
も推奨される。また、本発明における反応は連続流通反
応、バッチ反応のいずれの反応形式においても実施する
ことが可能である。
【0028】本発明において反応を実施する際の反応温
度(加熱温度)は特に限定されないが、ニトロクロロベ
ンゼンもしくはベンゼンが液体状態を保つ温度で実施す
ることが好ましく、40〜500℃、好ましくは100
〜400℃、さらに好ましくは150〜350℃の温度
範囲で実施することが推奨される。あまりに低温で実施
すれば反応速度が低下し、長時間の反応を必要とする恐
れがあり、あまりに高温であれば原料、生成物の分解等
により選択率、収率等の低下をもたらす恐れがあるから
である。反応圧力に関しても本発明では特に限定されな
く、常圧、加圧、減圧のいずれの圧力下で実施すること
も可能であるが、好ましくは加熱状態でベンゼンを液体
に保つに必要な圧力又はベンゼンの臨界温度以上での実
施に際しては、臨界圧力以上で実施することが好まし
く、加圧状態での実施が推奨される。
【0029】本発明において反応時間は特に限定される
ことはないが、例えばバッチ反応で実施する際には、
0.1〜100時間、好ましくは0.5〜50時間、更
に好ましくは1〜30時間の反応時間で実施することが
推奨される。あまりに短い反応時間で実施しようとすれ
ば、極めて大量の触媒の使用や、極めて高温で反応させ
ることが必要となる恐れがある。またあまりに長い反応
時間で実施すれば、反応は良く進行するが、生成物の選
択率等を低下させる恐れが生じる。
【0030】反応生成物は、反応終了後、反応混合物を
通常の蒸留等の分離方法により分離取得することが出来
る。また未反応のベンゼン、ニトロクロロベンゼンも同
様に通常の分離手段により分離され回収される。また回
収された未反応原料は再度反応にリサイクル使用するこ
とも可能である。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明方法をより詳細に
説明する。尚、反応結果に掲げた収率は総て仕込んだニ
トロクロロベンゼン基準で算出した値である。 実施例1 200mlの耐圧反応器に、ベンゼン、78.1g
(1.0モル)、パラニトロクロロベンゼン7.9g
(0.05モル)を入れた後、室温でアルゴンをゲージ
圧力で10Kg/cm2となるように圧入し、これを撹
拌しながら280℃に加熱昇温し、280℃で8時間加
熱、撹拌を行った後、室温に冷却後反応液を回収し、ガ
スクロマトグラフ法により分析した。結果は表1に掲げ
たようにクロロベンゼン及びニトロベンゼンの生成が認
められた。
【0032】実施例2 実施例1において活性炭5g(CENTAUR,カルゴン社製)
を更に加えた以外は総て実施例1と同一の条件で反応操
作を実施した。回収した反応生成液から触媒を濾過分離
し、更に濾別触媒をベンゼン10mlで4回洗浄し反応
濾液及び触媒洗浄液を合わせた後、ガスクロマトグラフ
法により分析した。結果は表1に示したように、クロロ
ベンゼン及びニトロベンゼンの収率が増加し、活性炭の
触媒効果が認められた。
【0033】実施例3 実施例2において活性炭(CENTAUR,カルゴン社製)に塩
化パラジウム10重量%及び塩化セリウム7水塩21重
量%を含浸担持したもの5gを触媒として更に加えた以
外は総て実施例2と同一の条件で反応操作及び分析操作
を実施した。結果は表1に示したように、クロロベンゼ
ン及びニトロベンゼンの収率が更に向上し、触媒効果が
認められた。
【0034】
【表1】 表1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 収率(%) CB NB p−CA BP ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 0.7 1.3 UD UD 2 2.2 1.5 UD UD 3 21.6 2.2 4.3 7.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注 CB:クロロベンゼン NB:ニトロベンゼン p−CA:パラクロロアニリン BP:ビフェニル UD :未検出
【0035】実施例4〜7 触媒を5%パラジウム担持カーボン(NE−ケムキャッ
ト社製)、5%白金担持カーボン(NE−ケムキャット
社製)、5%ルテニウム担持カーボン(NE−ケムキャ
ット社製)または5%ロジウム担持カーボン(NE−ケ
ムキャット社製)おのおの5gに代えた以外は総て実施
例3と同一の条件で反応操作及び分析操作を実施した。
結果は表2に示したように、それぞれの触媒でクロロベ
ンゼン及びニトロベンゼンの生成が認められた。
【0036】実施例8 触媒調製 塩化パラジウムの0.1規定塩酸水溶液により、活性炭
(CENTAUR,カルゴン社製)にパラジウムとして5重量%
となるように含浸担持し、乾燥後これを水素−窒素(5
0/50容量%)気流中300℃、4時間の還元処理し
てこれをパラジウム担持触媒とした。 反応及び分析 触媒を上記触媒調製法により調製した触媒5gに代えた
以外は総て実施例4と同一の条件で反応操作及び分析操
作を実施した。結果は表2に示したように、クロロベン
ゼン及びニトロベンゼンの収率が更に向上した。
【0037】
【表2】 表2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 収率(%) 触媒 CB NB p−CA BP ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4 5%-Pd/カーホ゛ン 5.6 4.1 6.8 1.4 5 5%-Pt/カーホ゛ン 3.1 2.1 3.9 2.0 6 5%-Ru/カーホ゛ン 3.0 2.0 7.9 7.2 7 5%-Rh/カーホ゛ン 5.2 3.7 3.7 1.1 8 5%-Pd/活性炭(CENTAUR) 12.7 11.9 6.5 2.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注 CB:クロロベンゼン NB:ニトロベンゼン p−CA:パラクロロアニリン BP:ビフェニル
【0038】実施例9 反応温度を300℃とした以外は総て実施例8と同一の
条件で反応操作及び分析操作を実施した。反応結果は表
3に示したようにクロロベンゼン及びニトロベンゼンの
収率が更に向上した。
【0039】実施例10 反応時間を16時間とした以外は総て実施例8と同一の
条件で反応操作及び分析操作を実施した。反応結果は表
3に示したようにクロロベンゼン及びニトロベンゼンの
収率が更に向上した。
【0040】実施例11 触媒の使用量を15gとした以外は総て実施例10と同
一の条件で反応操作及び分析操作を実施した。反応結果
は表3に示したようにクロロベンゼン及びニトロベンゼ
ンの収率の向上が認められた。
【0041】実施例12 実施例11で使用した触媒を分離回収し、再度触媒とし
て用いた以外は総て実施例11と同一の条件で反応操作
及び分析操作を実施した。反応結果は表3に示したよう
に実施例11の結果と比較して殆ど反応成績の低下は認
められなかった。
【0042】
【表3】 表3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 収率(%) CB NB p−CA BP ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9 23.2 18.9 9.3 3.9 10 25.6 24.3 6.2 3.7 11 42.7 41.4 8.3 9.5 12 40.1 39.7 7.7 8.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注 CB:クロロベンゼン NB:ニトロベンゼン p−CA:パラクロロアニリン BP:ビフェニル
【0043】実施例13 パラニトロクロロベンゼンをオルトニトロクロロベンゼ
ン7.9g(0.05モル)に代えた以外は総て実施例
5と同一の条件で反応操作及び分析操作を実施した。こ
の結果、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、オルトクロ
ロアニリンの収率はそれぞれ11.6%、10.7%及
び6.8%であった。このことからオルトニトロクロロ
ベンゼンからも同様にクロロベンゼン及びニトロベンゼ
ンが生成することがわかる。
【0044】実施例14 触媒調製 塩化パラジウムの0.1規定塩酸水溶液により、活性炭
(CENTAUR,カルゴン社製)にパラジウムとして2.5重
量%となるように含浸担持し、これを水素−窒素(50
/50容量%)気流中300℃、4時間の還元処理して
これをパラジウム担持触媒とした。 反応及び分析 触媒を上記触媒調製法により調製した触媒5gに代えた
以外は総て実施例8と同一の条件で反応操作及び分析操
作を実施した。結果は表4に示す。
【0045】実施例15〜27 触媒調製 アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、鉄、マ
ンガン、クロム、バナジウム、チタン、イットリウム、
ランタンまたはセリウムの塩化物を、担持パラジウム1
00に対して金属元素の原子比(割合)で5となる量を
0.02規定塩酸水溶液に溶解し、実施例14と同様に
還元処理して調製した2.5重量%のパラジウム担持触
媒に含浸担持した。濾過、乾燥後これを水素−窒素(5
0/50容量%)気流中300℃、2時間の還元処理し
てこれを触媒とした。 反応及び分析 触媒を上記触媒調製法により調製した触媒5gに代えた
以外は総て実施例8と同一の条件で反応操作及び分析操
作を実施した。反応結果は表4に示したようにクロロベ
ンゼン及びニトロベンゼンの収率が更に向上した。
【0046】
【表4】 表4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 収率(%) 触媒 CB NB p−CA BP ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 14 Pd 10.0 9.4 5.0 1.7 15 Pd+Al 16.9 16.4 8.5 2.9 16 Pd+Zn 15.5 15.6 7.8 2.6 17 Pd+Cu 14.9 14.0 7.5 2.5 18 Pd+Ni 16.2 15.7 8.1 2.7 19 Pd+Co 16.7 16.2 8.4 2.8 20 Pd+Fe 11.6 11.3 6.0 2.0 21 Pd+Mn 16.8 16.3 8.4 2.9 22 Pd+Cr 17.4 16.9 8.7 3.0 23 Pd+V 12.0 11.6 6.0 2.0 24 Pd+Ti 16.0 15.5 8.0 2.7 25 Pd+Y 17.4 16.8 8.9 2.9 26 Pd+La 17.8 17.3 8.9 3.0 27 Pd+Ce 15.8 15.3 7.9 2.7 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注 CB:クロロベンゼン NB:ニトロベンゼン p−CA:パラクロロアニリン BP:ビフェニル
【0047】実施例28〜30 反応系内に更に酢酸を0.5g、1.0gまたは5.0
g添加した以外は総て実施例8と同一の条件で反応操作
及び分析操作を実施した。この結果、実施例8に比較
し、反応は更に促進され、クロロベンゼン及びニトロベ
ンゼンの収率の増大が認められた。結果を表5に示し
た。
【0048】
【表5】 表5 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 酢酸添加量 収率(%) (g) CB NB p−CA BP ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 28 0.5 22.3 20.5 11.6 2.9 29 1.0 23.6 20.1 12.2 3.0 30 5.0 19.7 15.4 18.4 2.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注 CB:クロロベンゼン NB:ニトロベンゼン p−CA:パラクロロアニリン BP:ビフェニル
【0049】実施例31 触媒調製 アルミニウムの塩化物を、担持パラジウム100に対し
て金属元素の原子比(割合)で2.5となる量を0.0
2規定塩酸水溶液に溶解し、実施例8と同様に還元処理
して調製した5重量%パラジウム担持触媒に含浸担持し
た。濾過、乾燥後これを水素−窒素(50/50容量
%)気流中300℃、2時間の還元処理してこれを触媒
とし、実施例8と同一の条件で反応操作及び分析操作を
実施した。結果を表6に示した。
【0050】実施例32 反応系内に更に酢酸を1.0g添加した以外は総て実施
例31と同一の条件で反応操作及び分析操作を実施し
た。この結果、実施例31に比較し、反応は更に促進さ
れ、クロロベンゼン及びニトロベンゼンの収率の増大が
認められた。結果を表6に示した。
【0051】
【表6】 表6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 酢酸添加量 収率(%) (g) CB NB p−CA BP ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 31 0 21.6 20.5 10.8 2.9 32 1.0 40.0 34.6 20.2 4.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注 CB:クロロベンゼン NB:ニトロベンゼン p−CA:パラクロロアニリン BP:ビフェニル
【0052】
【発明の効果】ニトロクロロベンゼンとベンゼンを加熱
下に反応させることにより、ニトロベンゼンとクロロベ
ンゼンを製造することが出来た。本発明方法を実施する
ことにより、工業的に利用価値の低いパラニトロクロロ
ベンゼンを工業的に利用価値の高いクロロベンゼン及び
ニトロベンゼンに変換する方法を見出したことで以下の
利点及び優位性が得られる。 (1)オルトニトロクロロベンゼンの製造において、副
生するパラニトロクロロベンゼンをクロロベンゼンに変
換することが出来ることから、生成したクロロベンゼン
をニトロ化することによるオルトクロロベンゼンの製造
原料として再使用することが可能となり、極めて高い選
択率でオルトニトロクロロベンゼンを製造することも可
能となり、工業的にも経済的にも高い優位性を有するオ
ルトニトロクロロベンゼンの製造方法を提供することが
出来る。 (2)工業的に利用価値の低いニトロ化合物から硝酸−
硫酸等を用いることなく工業的に利用価値の高いニトロ
化合物を製造することが可能となる。 (3)オルトニトロクロロベンゼンからも同様にクロロ
ベンゼン及びニトロベンゼンを製造することが可能であ
ることから、経済情勢、立地条件等により、オルトニト
ロクロロベンゼンの利用価値が低い場合にも、同様にパ
ラニトロクロロベンゼンの高選択的製造方法を可能とす
る。 以上のように本発明方法を実施することで得られる利点
及び優位性は工業的に極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニトロクロロベンゼンとベンゼンを加熱
    下に反応させることを特徴とするニトロベンゼンとクロ
    ロベンゼンの同時製造方法。
  2. 【請求項2】 ニトロクロロベンゼンが、パラニトロク
    ロロベンゼン及びオルトニトロクロロベンゼンよりなる
    群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 反応を、触媒の存在下で行う請求項1ま
    たは2記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応を、触媒及び水素陽イオン供与体の
    存在下で行う請求項1または2記載の方法。
  5. 【請求項5】 触媒が、遷移金属及び遷移金属化合物よ
    りなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項3ま
    たは4記載の方法。
  6. 【請求項6】 触媒が、遷移金属及び遷移金属化合物よ
    りなる群から選ばれた1種と、他の遷移金属、他の遷移
    金属化合物、周期律表における13、14、15、16
    族の金属及び周期律表における13、14、15、16
    族の金属化合物よりなる群から選ばれた1種以上のもの
    である請求項3または4記載の方法。
  7. 【請求項7】 遷移金属及び遷移金属化合物よりなる群
    から選ばれた1種が、周期律表における8、9及び10
    族金属及びこれらの金属化合物よりなる群から選ばれた
    少なくとも1種である請求項5または6記載の方法。
  8. 【請求項8】 周期律表における8、9及び10族金属
    がパラジウム、ルテニウム、ロジウム及び白金よりなる
    群から選ばれた1種である請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の、他の遷移金属、他の遷
    移金属化合物、周期律表における13、14、15、1
    6族の金属及び周期律表における13、14、15、1
    6族の金属化合物よりなる群から選ばれた1種以上のも
    のが、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、
    鉄、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、イットリ
    ウム、ランタンおよびセリウムよりなる群から選ばれた
    少なくとも1種の金属及びその金属化合物よりなる群か
    ら選ばれた1種以上のものである請求項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 遷移金属及び遷移金属化合物よりなる
    群から選ばれた1種と、他の遷移金属、他の遷移金属化
    合物、周期律表における13、14、15、16族の金
    属及び周期律表における13、14、15、16族の金
    属化合物よりなる群から選ばれた1種以上のものの金属
    元素の原子比が1:1000ないし1000:1である請求項6記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 水素陽イオン供与体がプロトン酸であ
    る請求項4記載の方法。
  12. 【請求項12】 プロトン酸がカルボン酸である請求項
    11記載の方法。
  13. 【請求項13】 カルボン酸が酢酸である請求項12記
    載の方法。
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