JPH1012998A - 透明導電膜付き基板 - Google Patents

透明導電膜付き基板

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JPH1012998A
JPH1012998A JP16704596A JP16704596A JPH1012998A JP H1012998 A JPH1012998 A JP H1012998A JP 16704596 A JP16704596 A JP 16704596A JP 16704596 A JP16704596 A JP 16704596A JP H1012998 A JPH1012998 A JP H1012998A
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Masayoshi Kamiyama
雅好 神山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶表示素子などの透明電極に好適に用いられ
る高キャリア密度を有する比抵抗が小さいITO透明導
電膜を提供する。 【解決の手段】錫を含有する酸化インジウム多結晶導電
膜の基板への堆積過程で、膜の内部から表面に向かって
錫含有量が大となるように結晶成長させる。膜表面から
厚み方向で5nm以内の表面層におけるIn/Sn原子
比Aを9.0%以下、前記膜表面から深さ方向で30n
m以上の内部におけるIn/Sn原子数比Bを4.2%
以上、かつA/B値を1<A/B≦1.26とすること
により、キャリア密度が大きいたITO透明導電膜とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錫を含有する酸化
インジウム(ITO)多結晶透明導電膜が被覆された基
板とその製造方法に関し、とりわけ液晶表示素子などの
透明電極に好適に用いられる比抵抗が小さいITO透明
導電膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子のキャリアを増大する方法と
して、酸化インジウム多結晶膜に錫をドープすることが
行われている。この場合透明導電膜の電気抵抗を下げる
ため、多結晶膜の結晶中へドナーとなる錫のドーピング
を有効に行うことが必要である。結晶中に錫を多く含有
させ、高導電性に必要な高キャリア密度の膜とするに
は、蒸着原料の錫濃度を大きくすることにより、電気的
に活性なドナーとして働く結晶中への錫の含有量を増加
させることが行われていたが、この場合、結晶中に取り
込まれないで結晶粒界に偏析する錫の量が多くなり、か
えってITO膜の結晶成長が阻害され結晶性が低下し、
したがって結晶粒径が小さくなってしまうという問題点
があった。蒸発された錫が有効に結晶粒内に含有されず
に、結晶粒界に偏析され、低比抵抗を有するITO膜を
得ることができなかった。
【0003】従来技術の錫ドープ酸化インジウムの透明
導電膜は、結晶性が低下したことによりキャリアを捕獲
する欠陥数が多く形成され、その欠陥にキャリアが捕獲
される結果、電気伝導度に有効に寄与するキャリア密度
が小さくなり、低比抵抗のITO膜を得ることが困難で
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の有していた前述の欠点を解決しようとするもので
あり、透明で従来に比較してより低い比抵抗を有する透
明導電膜およびその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明基板上に
錫を含有する酸化インジウム多結晶膜が被覆された透明
導電膜付き基板であって、前記多結晶膜は、その膜の基
板への被覆過程で膜の内部から表面に向かって錫含有量
が大となるように結晶成長させられており、膜表面から
5nm以内の表面層におけるIn原子数に対するSn原
子数の比Aを9.0%以下、膜表面から30nm以上の
内部におけるIn原子数に対するSn原子数の比Bを
4.2%以上、かつA/Bの値を1<A/B≦1.26
としたことを特徴とする透明導電膜付き基板である。
【0006】本発明の透明導電膜の表面層および膜内部
のそれぞれについてのIn原子数に対する錫原子数の比
は、ESCA(エレクトロン スペクトロスコピー オ
ブケミカルアナリシス)法(測定は、10KV、30m
AのMgKαを用いる)により定量分析(In 3d積
分強度/Sn 3d積分強度、いずれも感度係数補正済
み)して求められる。膜内部の上記原子数の比は、膜表
面から約30nmまたはそれ以上の厚みの膜を除去して
測定される。また、表面層の原子数の比Aは、膜表面そ
のものまたは表面から5nm以内の厚みを除去して測定
される。前記表面層のIn原子数に対する錫原子数の比
Aを前記内部のIn原子数に対する錫原子数の比Bで割
った値は、錫原子の膜表面への、膜が被覆堆積される過
程での拡散度合い(A/Bが大きい程、膜内部から表面
層へ錫がより多く拡散しながら膜の被覆堆積が行われ
る)と推測できる。したがって、この値が大きい程、結
晶粒の表面を形成している結晶粒界目指して錫がより多
く拡散していると考えることができる。本発明者は、結
晶粒界への錫の偏析現象と錫の表面からの深さ方向の含
有量との関係を鋭意調べた結果、結晶粒内に錫をドープ
するに際し、できるだけ結晶粒界に入り込む膜の電気抵
抗に悪影響を及ぼす錫量を少なくするためには、膜が基
板上に堆積するときの結晶成長過程で、膜の表面である
結晶粒界への錫の拡散を適度に制御することが必要であ
ることをつきとめ、それには膜の堆積が完了した時点に
おける膜表面のSn濃度と膜内部の錫濃度を特定の値に
制御することが重要であることを見いだしたのである。
【0007】すなわち、膜表面層のIn原子数に対する
Sn原子数比Aを前記内部のIn原子数に対するSn原
子数比Bで割った値が1より大きく1.26以下とする
ことが必要であること、表面層のIn原子数に対するS
nの原子数比が9.0%を越えると結晶中の電子に対す
る不純物散乱が強まり、キャリア(電子)易動度が低下
し、抵抗が大きくなるので好ましくないこと、膜内部の
錫の含有量が4.0%より少ないとドナーとして作用す
るSn原子数が少なくなるため、キャリア密度が少なく
なり、抵抗が大きくなることを見い出したのである。
【0008】結晶粒界は錫の過度の偏析や格子欠陥によ
る歪が、ある限界に達したときにできる。よって、結晶
粒界では欠陥が多いため、その部分ではキャリアは捕獲
され易くなる。本発明の多結晶膜においては、電気的に
活性なドナーとなるSnの多結晶粒内への含有量を多く
なるようにされる。すなわち膜が基板上で被覆堆積する
過程で、その結晶成長が阻害される錫の結晶粒界への偏
析量が少なくなるようにされる。したがって、キャリア
密度が大きく、かつ、キャリアが捕獲される確率が少な
いため、低抵抗のITO膜とすることができる。
【0009】本発明の第2は、減圧した雰囲気が調整で
きる真空容器内で、錫を含有する酸化インジウムの蒸着
原料を、前記蒸着原料を陽極にして形成したアーク放電
プラズマにより蒸発させて、透明基板上に酸化インジウ
ム多結晶膜を被覆する透明導電膜付き基板の製造方法で
あって、前記蒸着原料に4〜7重量%の酸化錫を含有す
る酸化インジウムを用い、前記アーク放電プラズマの電
圧を80〜100Vとして、膜の内部から表面に向かっ
て錫含有量が大となるように結晶成長させながら被覆す
ることを特徴とする透明導電膜付き基板の製造方法であ
る。本発明の第2の実施により得られるITO透明導電
膜は、酸化錫を4〜7重量%含有する酸化インジウム焼
結体を蒸着原料とするのが好ましく、アーク放電電圧は
80〜100V、さらに好ましくは、80〜85V、成
膜中の全圧力1.5〜3.5×10-3Torr、酸素分
圧0.6〜1.2×10-4Torrがドナーとして作用
するSn原子数を結晶粒子中で増加せしめ、結晶粒界へ
のSnの偏析を少なくし、低比抵抗のITO膜を得る上
で好ましい。また、本発明においては、その目的を達成
するために、膜を被覆するときの基板を加熱することが
好ましい。加熱温度としては150℃以上が好ましい。
【0010】
【発明の実施の態様】
【実施例1】図1は、本発明のITOを成膜するのに用
いた成膜装置の断面図である。アーク放電プラズマは、
アーク放電プラズマ発生源2と底部に永久磁石8を有し
アノードとして作用する蒸着材料をその中に入れたハー
ス7との間で、プラズマ発生用直流電源5によってアー
ク放電を行うことで生成される。かかるアーク放電プラ
ズマ発生源2としては、複合陰極型プラズマ発生装置、
又は圧力勾配型プラズマ発生装置、又は両者を組み合わ
せたプラズマ発生装置が好ましい。このようなプラズマ
発生装置については、真空第25巻第10号(1982
年)に記載されている。例えば、図2のような装置が挙
げられる。複合陰極型プラズマ発生装置は、熱容量の小
さい補助陰極17と、ホウ化ランタン(LaB6)から
なる主陰極18とを有し、該補助陰極に初期放電を集中
させ、それを利用して主陰極を加熱し、主陰極が最終陰
極としてアーク放電を行うようにしたプラズマ発生装置
である。補助陰極としてはW,Ta,Mo等の高融点金
属のパイプ状のものが挙げられる。主陰極18は、円筒
19に接して設けられ、補助陰極17は円板状熱シール
ド22を介して保持されている。円筒19の先端には、
タングステンWからなる円板23が設けられている。水
冷機構が設けられた陰極支持台20の中心部に設けられ
た放電ガス導入口21からプラズマ発生用のガスが導入
され、そのガスは円板23の開口部を通過して成膜室6
内に導かれ、排気口9を経て成膜室6外に排気ポンプに
より排気される。また、圧力勾配型プラズマ発生装置と
は、陰極と陽極との間に中間電極を介在させ、陰極領域
を1torr程度に、陽極領域を10-4Torr以上に
保って放電を行うものであり、陽極領域からのイオンの
逆流による陰極の損傷がない上に、中間電極のない放電
形式のものと比較して、放電電子流をつくり出すための
キャリアガスのガス効率が飛躍的に高く、大電流放電が
可能であるという利点を有している。複合陰極型プラズ
マ発生装置と、圧力勾配型プラズマ発生装置とは、それ
ぞれ上記のような利点を有しており、両者を組み合わせ
たプラズマ発生装置、即ち、陰極として複合陰極を用い
るとともに中間電極も配したプラズマ発生装置は、上記
利点を同時に得ることが出来るので本発明で用いるアー
ク放電プラズマ発生源として好ましい。
【0011】図1に示すように、放電陰極としてのプラ
ズマ発生源2、永久磁石3を内蔵した第1中間電極1
1、磁気コイル4を内蔵した第2中間電極12、大口径
磁気コイル14を成膜室6の側壁に設置し、成膜室の底
部に永久磁石8を下部に設けたハース7を設け、これら
を蒸着手段とした。ハース7は放電プラズマ13の陽極
として、プラズマ発生源2は陰極として作用する。磁気
コイル4により形成された水平磁場によって成膜室6に
引き出された放電プラズマ流13を蒸着原料が充填され
たハース内に導くために、ハース7の底部に設けた永久
磁石8の垂直磁場により、成膜室6内で下方に約90゜
に曲げられ、蒸着原料を加熱蒸発する。基体15の背面
に基体加熱機構16が設けられている。プラズマ発生用
ガスはガス導入パイプ1から導入される。図3(a)は
本発明の透明導電膜付き基板51の断面図で、透明基板
52の表面に錫を含有する酸化インジウム多結晶膜53
が被覆されている。図3(b)は、本発明により得られ
る多結晶膜の一実施例の結晶状態を示す図で、結晶粒子
は結晶粒界によって連結されたように位置している。
【0012】成膜室6内を真空排気ポンプによって2×
10-5Torr以下の圧力に排気した後、カラーフィル
ター付きガラス基板15を200℃に加熱した状態で、
放電ガス導入パイプ1から放電ガスとしてアルゴン(A
r)ガスを約30sccmを導入し、プラズマ発生装置
にそれぞれ150Aの電流を供給し、ハ−ス7と永久磁
石8により構成された2つの電極との間でアーク放電プ
ラズマを生起させた。図1に示すように、プラズマビー
ムはハースであるアノード電極の真上でハース下に取り
付けられた永久磁石により90゜下方に曲げられ蒸着原
料を加熱蒸発させる。なお、成膜中は酸素ガスを反応性
ガス導入口10より約50sccm導入し、成膜中圧力
3.0×10-3Torr、酸素分圧3.0×10-4To
rrとした。放電電圧は90Vであった。そして200
℃に加熱した基板を一定速度で移動させ、ITO膜を膜
厚280nmまで成膜した。蒸発源としてはSn濃度が
4.0wt.%であるITO焼結体を用いた。
【0013】成膜されたITO膜の電気特性を表1に示
す。キャリア密度が大きく、低比抵抗を有していた。本
実施例で得られた透明導電膜の結晶粒径は700nmと
大きかった。表1にESCAによる測定結果を示す。表
面層にはIn原子数に対して錫の原子数比が5.1%含
有され、表面層から30nm削った内部にはIn原子数
に対して錫の原子数比が4.2%含有され、かつ、表面
層のIn原子数に対する錫原子数比Aを内部のIn原子
数に対する錫原子数比Bで割った値が1.21であっ
た。結晶粒界に偏析したSn濃度が少ないため、結晶成
長が阻害されず、結晶粒径は大きくなったと思われる。
また、結晶中のドナーとして働くSnが多いため、キャ
リア密度は高く、1.15×10-4Ω・cmと低比抵抗
のITO膜を得ることができた。
【0014】
【実施例2】蒸着原料をSn濃度が5.0wt.%であ
るITO焼結体に変えた以外は、実施例1と同じように
して、膜厚280nmの透明導電膜を成膜した。成膜さ
れたITO膜の電気特性を表1に示す。キャリア密度が
大きく、低抵抗率を有していた。本実施例で得られた透
明導電膜の結晶粒径は650nmと大きかった。表1に
ESCAによる測定結果を示す。前記表面層にはIn原
子数に対して錫の原子数比が6.4%含有され、表面層
から30nm削った内部にはIn原子数に対して錫の原
子数比が5.3%含有され、かつ、表面層のIn原子数
に対する錫原子数比Aを前記内部のIn原子数に対する
錫原子数比Bで割った値が1.21であった。結晶粒界
に偏析したSn濃度が少ないため、結晶成長が阻害され
ず、結晶粒径は大きくなったと思われる。また、結晶中
のドナーとして働くSnが多いため、キャリア密度は高
く、1.05×10-4Ω・cmと低比抵抗のITO膜を
得ることができた。
【0015】
【実施例3】蒸着原料をSn濃度が5.5wt.%であ
るITO焼結体に変えた以外は、実施例1と同じように
して膜厚280nmの透明導電膜を成膜した。成膜され
たITO膜の電気特性を表1に示す。キャリア密度が大
きく、低抵抗率を有していた。本実施例で得られた透明
導電膜の結晶粒径は600nmと大きかった。表1にE
SCAによる測定結果を示す。表面層にはIn原子数に
対して錫の原子数比が7.1%含有され、前記表面層か
ら30nm削った内部にはIn原子数に対して錫の原子
数比が5.8%含有され、かつ、表面層のIn原子数に
対する錫原子数比Aを前記内部のIn原子数に対する錫
原子数比Bで割った値が1.22であった。結晶粒界に
偏析したSn濃度が少ないため、結晶成長が阻害され
ず、結晶粒径は大きくなったと思われる。また、結晶中
のドナーとして働くSnが多いため、キャリア密度は高
く、1.15×10-4Ω・cmと低比抵抗のITO膜を
得ることができた。
【0016】
【実施例4】実施例1と同様に蒸着原料をSn濃度が
6.0wt.%であるITO焼結体に変えて膜厚280
nm成膜した。成膜されたITO膜の電気特性を表1に
示す。キャリア密度が大きく、低抵抗率を有していた。
本実施例で得られた透明導電膜の結晶粒径は590nm
と大きかった。表1にESCAによる測定結果を示す。
表面層にはIn原子数に対して錫の原子数比が7.7%
含有され、表面層から30nm削った内部にはIn原子
数に対して錫の原子数比が6.4%含有され、かつ、表
面層のIn原子数に対する錫原子数比Aを内部のIn原
子数に対する錫原子数比Bで割った値が1.20であっ
た。結晶粒界に偏析したSn濃度が少ないため、結晶成
長が阻害されず、結晶粒径は大きくなったと思われる。
また、結晶中のドナーとして働くSnが多いため、キャ
リア密度は高く、1.25×10-4Ω・cmと低比抵抗
のITO膜を得ることができた。
【0017】
【実施例5】蒸着原料をSn濃度が7.0wt.%であ
るITO焼結体に変えた以外は、実施例1と同じように
して膜厚280nmの透明導電膜を成膜した。成膜され
たITO膜の電気特性を表1に示す。キャリア密度が大
きく、低抵抗率を有していた。本実施例で得られた透明
導電膜の結晶粒径は550nmと大きかった。表1にE
SCAによる測定結果を示す。表面層にはIn原子数に
対して錫の原子数比が8.9%含有され、表面層から3
0nm削った内部にはIn原子数に対して錫の原子数比
が7.1%含有され、かつ、表面層のIn原子数に対す
る錫原子数比Aを内部のIn原子数に対する錫原子数比
Bで割った値が1.26であった。結晶粒界に偏析した
Sn濃度が少ないため、結晶成長が阻害されず、結晶粒
径は大きくなったと思われる。また、結晶中のドナーと
して働くSnが多いため、キャリア密度は高く、1.3
0×10-4Ω・cmと低比抵抗のITO膜を得ることが
できた。
【0018】
【実施例6】実施例2と同様に蒸着原料をSn濃度が
5.0wt.%であるITO焼結体を用いて、成膜中の
圧力1.5×10-3Torr、酸素分圧0.6×10-3
Torrに変えて膜厚280nm成膜した。この時の放
電電圧は80Vであった。成膜されたITO膜の電気特
性を表1に示す。キャリア密度が大きく、低抵抗率を有
していた。本実施例で得られた透明導電膜の結晶粒径は
540nmと大きかった。表1にESCAによる測定結
果を示す。表面層にはIn原子数に対して錫の原子数比
が5.5%含有され、表面層から30nm削った内部に
はIn原子数に対して錫の原子数比が4.4%含有さ
れ、かつ、表面層のIn原子数に対する錫原子数比Aを
内部のIn原子数に対する錫原子数比Bで割った値が
1.25であった。結晶粒界に偏析したSn濃度が少な
いため、結晶成長が阻害されず、結晶粒径は大きくなっ
たと思われる。また、結晶中のドナーとして働くSnが
多いため、キャリア密度は高く、1.22×10-4Ω・
cmと低比抵抗のITO膜を得ることができた。
【0019】
【実施例7】実施例2と同様に蒸着原料をSn濃度が
5.0wt.%であるITO焼結体を用い、成膜中の圧
力3.5×10-3Torr、酸素分圧1.2×10-3
orrに変えて膜厚280nm成膜した。この時の放電
電圧は100Vであった。成膜されたITO膜の電気特
性を表1に示す。キャリア密度が大きく、低抵抗率を有
していた。本実施例で得られた透明導電膜の結晶粒径は
600nmと大きかった。表1にESCAによる測定結
果を示す。表面層にはIn原子数に対して錫の原子数比
が6.0%含有され、表面層から30nm削った内部に
はIn原子数に対して錫の原子数比が4.8%含有さ
れ、かつ、表面層のIn原子数に対する錫原子数比Aを
内部のIn原子数に対する錫原子数比Bで割った値が
1.24であった。結晶粒界に偏析したSn濃度が少な
いため、結晶成長が阻害されず、結晶粒径は大きくなっ
たと思われる。また、結晶中のドナーとして働くSnが
多いため、キャリア密度は高く、1.22×10-4Ω・c
mと低比抵抗のITO膜を得ることができた。
【0020】
【比較例1】蒸着原料をSn濃度が2.5wt.%であ
るITO焼結体に変えた以外は、実施例1と同様にして
膜厚280nmの透明導電膜を成膜した。成膜されたI
TO膜の電気特性を表1に示す。キャリア密度は小さ
く、低抵抗率を有していなかった。本比較例で得られた
透明導電膜の結晶粒径は800nmと大きかった。しか
し、表面層にはIn原子数に対して錫の原子数比が3.
0%含有され、表面層から30nm削った内部にはIn
原子数に対して錫の原子数比が2.6%含有され、か
つ、表面層のIn原子数に対する錫原子数比Aを内部の
In原子数に対する錫原子数比Bで割った値が1.15
であって、結晶粒界に偏析したSn濃度が少ないため、
結晶成長が阻害されず結晶粒径は大きいが、結晶中のド
ナーとして働くSnが少ないため、キャリア密度は低
く、1.60×10-4Ω・cmと低比抵抗のITO膜を
得ることができなかった。
【0021】
【比較例2】実施例1と同様な方法で、蒸着原料をSn
濃度が8.0wt.%であるITO焼結体に変えて膜厚
280nm成膜した。成膜されたITO膜の電気特性を
表1に示す。キャリア密度は小さく、低抵抗率を有して
いなかった。本比較例で得られた透明導電膜の結晶粒径
は300nmと小さかった。表1にESCAによる測定
結果を示す。表面層にはIn原子数に対して錫の原子数
比が10.0%含有され、表面層から30nm削った内
部にはIn原子数に対して錫の原子数比が8.2%含有
され、表面層のIn原子数に対する錫原子数比Aを内部
のIn原子数に対する錫原子数比Bで割った値が1.2
6であった。結晶中のドナーとして働くSnが多いた
め、電子の不純物散乱が大きく易動度が小さいため、
1.60×10-4Ω・cmと低比抵抗のITO膜を得る
ことができなかった。
【0022】
【比較例3】直流スパッタリング法を用いて、ITO膜
の成膜を行った。真空槽内を1.0×10-5Torrに
排気し、蒸着原料上に設置したカラーフィルター付きガ
ラス基板をヒーターにより200℃に加熱保持した。そ
の後、真空槽内にアルゴンガスと酸素ガスを99:1の
割合で導入し、成膜中の圧力3.0×10-3Torrで
膜厚280nmを成膜した。蒸着原料としてはSn濃度
が10.0wt.%であるITO焼結体ターゲットを用
いた。成膜されたITO膜の電気特性を表1に示す。キ
ャリア密度は小さく低抵抗率を有していないことが分か
る。本比較例で得られた透明導電膜の結晶粒径は400
nmと小さかった。表1にESCAによる測定結果を示
す。表面層には、In原子数に対して錫の原子数比が1
2.8%含有され、表面層から30nm削った内部には
In原子数に対して錫の原子数比が6.7%含有され、
かつ、表面層のIn原子数に対する錫原子数比Aを内部
のIn原子数に対する錫原子数比Bで割った値が1.9
1であった。結晶粒界でのSnの偏析が多いため、結晶
成長が阻害され、結晶粒径は小さくなったと思われる。
そのため結晶性が阻害され、キャリアの捕獲される確率
が高くなり、そこにキャリアが捕獲されるためキャリア
密度は少なく、1.70×10-4Ω・cmと低比抵抗の
ITO膜を得ることができなかった。
【0023】
【比較例4】実施例2と同様の方法で、蒸着原料をSn
濃度が5.0wt.%であるITO焼結体を用いて、成
膜中の圧力1.2×10-3Torr、酸素分圧1.0×
10-3Torrに変えて膜厚280nmまで成膜した。
この時の放電電圧は110Vであった。成膜されたIT
O膜の電気特性を表1に示す。キャリア密度は小さく、
低抵抗率を有していなかった。本比較例で得られた透明
導電膜の結晶粒径は350nmと小さかった。表1にE
SCAによる測定結果を示す。表面層には、In原子数
に対して錫の原子数比が10.1%含有され、表面層か
ら30nm削った内部にはIn原子数に対して錫の原子
数比が6.4%含有され、かつ、表面層のIn原子数に
対する錫原子数比Aを内部のIn原子数に対する錫原子
数比Bで割った値が1.60であった。結晶粒界でのS
nの偏析が多いため、結晶成長が阻害され、結晶粒径は
小さくなったと思われる。そのため、結晶粒界へのSn
の偏析が多くなり、結晶性が阻害され、キャリアの捕獲
される確率が高くなり、そこにキャリアが捕獲されるた
め、キャリア密度は少なく、1.62×10-4Ω・cm
と低比抵抗のITO膜を得ることができなかった。
【0024】
【比較例5】実施例2と同様な方法で、蒸着原料をSn
濃度が5.0wt.%であるITO焼結体を用いて、成
膜中の圧力3.7×10-3Torr、酸素分圧1.0×
10-3Torrに変えて膜厚280nm成膜した。この
時の放電電圧は69Vであった。成膜されたITO膜の
電気特性を表1に示す。キャリア密度は小さく、低抵抗
率を有していなかった。本比較例で得られた透明導電膜
の結晶粒径は400nmと小さかった。表1にESCA
による測定結果を示す。表面層には、In原子数に対し
て錫の原子数比が9.0%含有され、表面層から30n
m削った内部にはIn原子数に対して錫の原子数比が
6.0%含有され、かつ、表面層のIn原子数に対する
錫原子数比Aを内部のIn原子数に対する錫原子数比B
で割った値が1.50であった。結晶粒界でのSnの偏
析が多いため、結晶成長が阻害され、結晶粒径は小さく
なったと思われる。そのため、結晶粒界へのSnの偏析
が多くなり、結晶性が阻害され、キャリアの捕獲される
確率が高くなり、そこにキャリアが捕獲されるため、キ
ャリア密度は少なく、1.61×10-4Ω・cmと低比
抵抗のITO膜を得ることができなかった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明の多結晶膜は、成膜過程で膜内部
から表面へ向かうに従って、膜中のSn含有量が多くな
るように制御して成膜されているので、Snの粒界偏析
量が少なく結晶性が良い。したがってキャリアをトラッ
プする欠陥が減少するので、高キャリア密度、高易動度
を併わせ有する。したがって低抵抗率の透明導電膜とな
る。また本発明の透明導電膜の被覆方法によれば、結晶
粒界へのSn偏析量を抑制し、ドナーとして作用するS
n原子数を増加させた低比抵抗のITO膜を基板上に被
覆することができる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いたアーク放電プラズマ蒸着
装置の断面図である。
【図2】本発明の実施に用いた複合陰極型プラズマ発生
源の詳細断面図である。
【図3】本発明の透明導電膜付き基板の断面図および透
明導電膜の詳細図である。
【0028】
【符号の説明】
1・・ガス導入パイプ、2・・アーク放電プラズマ発生
源、3・・永久磁石 4・・磁気コイル、5・・プラズマ発生用直流電源、6
・・成膜室、7・・ハース、8・・永久磁石、9・・排
気口、10・・雰囲気調整用ガス導入口、11・・第1
中間電極、12・・第2中間電極、13・・放電プラズ
マ流、14・・大口径磁気コイル、15・・基板、16
・・基板加熱ヒータ、17・・補助陰極、18・・主陰
極、19・・円筒、20・・陰極支持台、21・・放電
ガス導入口、22・・円板状熱シールド、23・・円
板、24・・遮蔽物、51・・透明導電膜付き基板、5
2・・透明基板、53・・錫を含有する酸化インジウム
多結晶導電膜、54・・結晶粒子、55・・結晶粒界

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に錫を含有する酸化インジウム
    多結晶膜が被覆された透明導電膜付き基板であって、前
    記多結晶膜は、その膜の基板への被覆過程で膜の内部か
    ら表面に向かって錫含有量が大となるように結晶成長さ
    せられており、膜表面から5nm以内の表面層における
    In原子数に対するSn原子数の比Aを9.0%以下、
    膜表面から30nm以上の内部におけるIn原子数に対
    するSn原子数の比Bを4.2%以上、かつA/Bの値
    を1<A/B≦1.26としたことを特徴とする透明導
    電膜付き基板。
  2. 【請求項2】前記多結晶膜のキャリアの易動度が30c
    2/V・S以上、キャリア密度が1.5×1021cm-3
    以上である請求項1に記載の透明導電膜付き基板。
  3. 【請求項3】前記多結晶膜の厚みが70nm以上である
    請求項1または2に記載の透明導電膜付き基板。
  4. 【請求項4】減圧した雰囲気が調整できる真空容器内
    で、錫を含有する酸化インジウムの蒸着原料を、前記蒸
    着原料を陽極にして形成したアーク放電プラズマにより
    蒸発させ、透明基板上に酸化インジウム多結晶膜を被覆
    する透明導電膜付き基板の製造方法において、前記蒸着
    原料として4〜7重量%の酸化錫を含有する酸化インジ
    ウムを用い、前記アーク放電プラズマの電圧を80〜1
    00Vとして、膜の内部から表面に向かって錫含有量が
    大となるように結晶成長させながら被覆することを特徴
    とする透明導電膜付き基板の製造方法。
  5. 【請求項5】前記雰囲気を、1.5×10-3〜3.5×
    10-3Torrの範囲内の不活性ガスまたは不活性ガス
    と酸素との混合ガスとする請求項4に記載の透明導電膜
    付き基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001069311A1 (fr) * 2000-03-13 2001-09-20 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Affichage a cristaux liquides et son procede de fabrication, procede d'excitation d'affichage a cristaux liquides

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WO2001069311A1 (fr) * 2000-03-13 2001-09-20 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Affichage a cristaux liquides et son procede de fabrication, procede d'excitation d'affichage a cristaux liquides

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