JPH10127054A - 高絶縁形多出力ｄｃ−ｄｃコンバータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】直流電源と直流出力との間の絶縁耐電圧を大き
く取れ、かつ複数の各直流出力電圧の精度を確保するこ
とにある。 【解決手段】高絶縁耐圧を有する変圧器を主変圧器と
し、これの２次巻線は出力容量の最大であるものに関す
る巻線のみとし、これを高絶縁耐電圧を有する絶縁電線
を直接巻き、この出力を整流・平滑し直流出力の１つを
得る。残りの直流出力を得るために１次、２次間の絶縁
耐圧を余り必要としない補助変圧器を設け、この補助変
圧器の１次を前記主変圧器の２次に接続し、２次巻線の
出力を整流・平滑するよう構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は直流を電源として電
力変換を行い直流電源とは直流的に絶縁された複数の直
流を出力するＤＣ−ＤＣコンバータに関するものであ
り、特に直流電源と直流出力との間の絶縁耐電圧が数千
Ｖ以上要求される用途に適用される高絶縁形多出力ＤＣ
−ＤＣコンバータに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は基本的な絶縁形多出力ＤＣ−ＤＣ
コンバータの一例を示す回路図であり、これは変換器と
して最も簡単なフライバック方式の２つの直流出力を有
した従来例である。１は直流電源、２は変圧器、３はス
イッチング素子、４は制御回路、２１は変圧器２の１次
巻線、２２，２３は変圧器２の２次巻線、５１，５２は
ダイオードおよび６１，６２は平滑コンデンサである。
この回路の動作を簡単に説明する。

【０００３】スイッチング素子３を制御回路４により、
オン・オフ比コントロールし直流出力電圧Ｖｄ１，Ｖｄ
２を制御する。つまりスイッチ素子３がオンすると１次
巻線２１に直流電源電圧が印加され、１次巻線の励磁イ
ンダクタンスに磁気エネルギーが蓄えられて行き、スイ
ッチ３をオフすると磁気エネルギーは２次巻線２２，２
３に誘起され、それぞれダイオード５１，５２で整流
し、平滑コンデンサ６１，６２に静電エネルギーとして
蓄積し直流出力とする。この出力電圧の制御方法は各種
方式があるが、本特許には直接関係がないので説明は省
略する。

【０００４】ここで、直流電源１と直流出力Ｖｄ１，Ｖ
ｄ２との間に非常に高い絶縁耐電圧が要求されるような
場合には、変圧器の１次、２次の巻線間で絶縁する方法
しかなく、従来は巻線自身には余り絶縁性が高くないエ
ナメル電線等を使用し、１次、２次巻線の間に高耐電圧
の絶縁物を介在させて絶縁耐電圧を持たせている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この絶縁処理
作業は人為的なものであり、作業者に熟練を要求され、
それでもバラツキによる絶縁不良の不安が少なからず有
る。特に巻線の端末と口出し線との接続点での絶縁不良
の危険度が大きい。この問題を解決するための従来方法
として、巻線自身に高絶縁耐電圧特性を有したテフロン
電線等を使用する例がある。しかしこの方法では導体の
絶縁被覆が厚く、特に導体の電流容量が小さく、細い導
体で済むような場合でも巻線の仕上がり外径が大きくな
り、従って巻線の占積量が大きく変圧器の大形化を来す
ばかりではなく、絶縁被覆が厚いために巻線間の磁気結
合度が低下し、多出力の直流電圧の値の差が大きかった
り、出力容量の差が大きいと各直流出力電圧を全て精度
よく制御することが困難となる。本発明は上述した点に
鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、こ
れらの欠点を解決し、直流電源と直流出力との間の絶縁
耐電圧を大きく取れ、かつ複数の各直流出力電圧の精度
を確保できる高絶縁形多出力ＤＣ−ＤＣコンバータを提
供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】つまり、その目的を達成
するための手段は、高絶縁耐圧を有する変圧器を主変圧
器とし、これの２次巻線は出力容量の最大であるものに
関する巻線のみとし、これを高絶縁耐電圧を有する絶縁
電線を直接巻き、この出力を整流・平滑し直流出力の１
つを得る。残りの直流出力を得るために１次、２次間の
絶縁耐圧を余り必要としない補助変圧器を設け、この補
助変圧器の１次を前記主変圧器の２次に接続し、２次巻
線の出力を整流・平滑するよう構成したものである。

【０００７】次にその作用について説明する。高絶縁耐
電圧性能は主変圧器の２次の絶縁電線により確保され、
この巻線の出力を整流・平滑した直流電圧は１つだけで
あるから、この値を所定の値に制御する事は容易にでき
る。１次、２次間の耐電圧を必要としない補助変圧器を
使用しているため、１次、２次間の磁気結合度が容易に
高く取れる。この結果、１次の電圧に巻線比に応じた電
圧を正確に２次に伝達するので、残りの直流出力電圧も
精度よく得ることができる。以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳述する。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施例を示す回
路図であり、従来例である図４と同一符号を付したもの
は同じ構成，機能を有する部分である。図１において、
７は主変圧器でありエナメル線等の通常の絶縁耐電圧の
高くないものを巻回した１次巻線７１と、高絶縁耐電圧
性能を有するテフロン電線のような絶縁電線を直接、巻
回した２次巻線７２である。この２次巻線出力をダイオ
ード５１，コンデンサ６１で整流・平滑し、直流出力Ｖ
ｄ１を得る。８は補助変圧器であり、１次、２次巻線８
１，８２とも通常のエナメル線等の絶縁耐電圧の高くな
いものを用い、１次・２次間の磁気結合度を最良となる
ように構成したものである。この補助変圧器の２次巻線
８２の出力をダイオード５２，コンデンサ６２により整
流・平滑し直流出力Ｖｄ２を得る。

【０００９】図２は本発明の第２の実施例を示す回路図
であり、補助変圧器８の２次巻線を複数個８２〜８ｎ
（ｎは自然数）有し、それぞれの出力を整流・平滑して
複数の直流出力Ｖｄ２〜〜Ｖｄｎを得るようにしたもの
である。図３は２つの直流出力同士を絶縁する必要がな
い場合についての本発明の第３の実施例を示す回路図で
あり、この場合、補助変圧器８は単巻変圧器でよく、さ
らに簡単な構造の変圧器でもよく、装置全体の小型化に
寄与する。

【００１０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、図
１と図４を比較すると本発明の方が回路が複雑に見える
が、機能的に従来例より優れていることは前述した通り
である。つまり １．直流電源と直流出力間の高絶縁耐電圧特性を主変圧
器の２次巻線自身に持たせ、かつ２次巻線を出力容量の
最も大きいものに関する１巻線とし、この出力を整流・
平滑した直流出力電圧を所定の値となるように制御す
る。 ２．この第１の直流出力との間の耐電圧をそれほど必要
としない他の直流出力は１次，２次に通常の絶縁耐電圧
に低い巻線を用い、１次，２次間の磁気結合を出来るだ
け良くした小形の補助変圧器を用い、１次電圧に巻線比
に応じた正確な２次電圧を整流・平滑するため他の直流
出力電圧の値も精度良く出力することができる。 このことにより、信頼性の極めて高い絶縁耐電圧性能を
有し、それぞれの直流出力電圧の値を精度良く出力する
ことができ、実用上、極めて有用性の高いものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明を説明するための回路図である。

【図２】図２は本発明の第２の実施例で３つ以上の直流
出力を有した場合の回路図である。

【図３】図３は本発明の第３の実施例で互いに絶縁を必
要としない２つの直流出力を有した場合の回路図であ
る。

【図４】図４は従来の一例を説明するために示した回路
図である。

【符号の説明】

１ 直流電源 ２ 変圧器 ２１ １次巻線 ２２ ２次巻線 ２３ ２次巻線 ３ スイッチング素子 ４ 制御回路 ５１ 整流ダイオード ５２ 整流ダイオード ６１ 平滑コンデンサ ６２ 平滑コンデンサ ７ 主変圧器 ７１ １次巻線 ７２ ２次巻線 ８ 補助変圧器 ８１ １次巻線 ８２ ２次巻線 ８ｎ ２次巻線

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 直流電源を交流に変換し変圧器にて絶縁
   し、２次側で複数の互いに絶縁耐電圧の低い直流に変換
   し直流電力を得る絶縁形多出力ＤＣ−ＤＣコンバータ
   で、直流電源と直流出力との間で高い絶縁耐電圧が要求
   されるＤＣ−ＤＣコンバータにおいて、前記変圧器を主
   変圧器と補助変圧器に分割し、この主変圧器の２次巻線
   は直流出力のうち最も出力容量の大きい巻線のみとし、
   この巻線に高絶縁耐圧を有する絶縁被覆電線を直接巻回
   し、この出力を整流、平滑して直流出力を得、この直流
   との間の絶縁耐圧を余り必要としない他の直流出力は前
   記主変圧器の２次巻線出力に１次巻線が接続されるよう
   に補助変圧器を設け、この補助変圧器の２次巻線の出力
   を整流、平滑して直流出力が得られるよう構成したこと
   を特徴とする高絶縁形多出力ＤＣ−ＤＣコンバータ。