JPH10125548A - 接地形計器用変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】高圧コイル接地線に加わった外力が高圧コイル
の巻始め部に伝達されないようにすることにより、高圧
コイルの組立作業が簡便になり、信頼性の向上を図るこ
とにある。 【解決手段】閉磁路点に巻回された低圧コイル２と、巻
型上に多層にわたって巻回され、前記低圧コイルと同軸
上に配置された高圧コイル３を備えた電圧変成部を容器
内に絶縁媒体と共に収納した接地形計器用変圧器におい
て、高圧コイル３の巻型２０を１ターン回路防止のため
の絶縁部を有する金属または導電性の筒状とし、高圧コ
イル３の巻始め端部２２及び一端を接地する接地線２３
の他端を巻型２０上に電気的に接続する構成とし、接地
線２３を容器外部に引出して接地する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は巻線形の接地形計器
用変圧器において、特に高圧コイルの接地側部分を改良
した接地形計器用変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】送電線の電圧計測や、送電系統の保護用
として一般に巻線形の計器用変圧器が使用されている。
特に近年普及しているガス絶縁開閉装置に装着される計
器用変圧器にも巻線形の接地形計器用変圧器が使用され
ている。

【０００３】このような従来のガス絶縁接地形計器用変
圧器の構成例を図８に、ガス絶縁接地形計器用変圧器の
高圧コイルの巻初め部及び巻型の例を図９に示す。図８
に示すように、矩形状の閉磁路を成す鉄心１の脚１ａに
低圧コイル２を巻回し、その外側に巻型１１上に巻かれ
た高圧コイル３を低圧コイル２と同軸状に配置し、さら
に高圧コイル３の外側には高圧シールド９を同軸状に配
置して電圧変成部を構成している。

【０００４】このような電圧変成部をベース６上に設け
られた金属容器５内に収納し、高圧コイル３の巻始めを
高圧コイル接地線１２を介し金属容器の内外を貫通させ
て設けられた高圧接地形端子８に接続すると共に、容器
外部に引出して接地ボス１０に接地され、さらに金属容
器５の上部開口部を絶縁スペーサ４で閉塞すると共に容
器内部にＳＦ₆ などの絶縁媒体７を封入し密封して接地
形計器用変圧器を構成している。

【０００５】ところで、かかる構成の接地形計器用変圧
器の高圧コイルは、通常筒状の絶縁材料で構成される巻
型に巻回されている。即ち、図９に示すように高圧コイ
ルの巻型１１上に高圧コイル接地線１２を配置し、その
外周に絶縁シート１３を巻き付けて所定の絶縁を施した
後、高圧コイル接地線１２の一端にコイル端部を電気的
に接続したもので、高圧コイル銅線１４と高圧コイル接
地線１２は電気的に接続されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の接
地形計器用変圧器においては、次に示すような問題点が
あった。高圧コイルは、通常外径が数百μｍの銅線が使
用されており、高圧コイル接地線１２が受けるコイル成
形時の引張力及び組立時における外力は、直接高圧コイ
ル銅線１４に伝わるため、高圧コイル銅線１４は外力に
よる伸びや断線等の生じないように高圧コイル銅線１４
と高圧コイル接地線１２の接続部近傍を巻型１１に固定
して高圧コイル銅線１４が外力を受けないように細心の
注意を払う必要があった。

【０００７】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たもので、その目的はコイル巻き作業に費やす時間を短
縮すると共に、信頼性の高い高圧コイル部となし得る接
地形計器用変圧器を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１に対応する発明
は、高圧コイルの巻型を低圧コイル及び接地構造物と所
定の電気的な絶縁距離を保つ筒状とし、金属または導電
性の材料で構成し、鉄心脚を取囲む１ターン回路が形成
されないように軸方向全長にわたり電気的に絶縁した部
分を有する巻型に高圧コイルの銅線の巻始めを電気的、
機械的に固定すると共に、高圧コイル接地線も共に電気
的、機械的に接続したものである。

【０００９】従って、請求項１に対応する発明の接地形
計器用変圧器にあっては、巻型を金属または導電性の筒
状とすることにより、高圧コイルの巻始めと、高圧コイ
ル接地線とが電気的に接続されているが、機械的には巻
型を介しているため、高圧コイル接地線に加わった外力
が高圧コイル巻始めの高圧コイル銅線に伝搬することが
ない。

【００１０】請求項２に対応する発明は、請求項１に対
応する発明において、巻型の外周面のみ金属または導電
性の筒状とし、内周側は電気的な絶縁を有する部材で構
成したものである。

【００１１】従って、請求項２に対応する発明の接地形
計器用変圧器にあっては、巻型と鉄心及び他の接地電位
の構造物との絶縁を容易に得ることができる。請求項３
に対応する発明は、請求項１に対応する発明において、
巻型を絶縁部材で構成し、その外周面に１ターン回路を
防止するように構成した金属または導電性のシートを巻
回したものである。

【００１２】従って、請求項３に対応する発明の接地形
計器用変圧器にあっては、巻型とは別の金属性または導
電性を有するシートを絶縁物のシートと重ねて巻回する
ことにより、巻型自体の１ターン回路防止が容易とな
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。図１は本発明による接地形計器用変
圧器の第１の実施の形態における高圧コイル部の構成を
示す斜視図、図２及び図３は同じく電圧変成部の構成を
示す平面図及び側面図で、図８及び図９と同一部品には
同一符号を付して示す。

【００１４】図１に示すように、金属または導電性を有
する中空の筒状に構成され、その軸方向に挿入された絶
縁スペーサ２１により半径方向に１ターン回路防止の絶
縁が施された巻型２０の外周にコイル巻始め端部２２を
電気的に接続し、絶縁シート２４を巻回する。この絶縁
シート上に高圧コイル銅線１４を巻回し、さらに絶縁シ
ートを介して高圧コイルを数段にわたって必要回数だけ
巻回して高圧コイル部を構成する。

【００１５】一方、巻型２０の他端には高圧コイル接地
線２３が電気的に接続され、コイル巻始め端部２２と巻
型２０を介して同電位になるように配置される。このよ
うに成形された高圧コイル３ａは図２及び図３に示すよ
うに鉄心脚１ａ上に巻回された低圧コイル２と所定の絶
縁距離を存して同軸状になるように絶縁スペーサ３１を
介して鉄心脚１ａに固定される。

【００１６】この場合、巻型２０は鉄心脚１ａと鉄心構
造物３２に対して所定の絶縁距離を保ち、且つ左右対象
に設けられた絶縁スペーサ３３を配置して電気的に絶縁
される。

【００１７】このような構成の電圧変成部とすれば、金
属または導電性を有する巻型２０は高圧コイルの接地線
２３が外部で接地されて接地電位を得ることになり、高
圧コイルの巻始め端部２２と同電位になるように形成で
きる。また、高圧コイル巻始め端部２２と高圧コイル接
地線２３は電気的に接続されていながら、高圧コイル接
地線２３に加わる外力を高圧コイル銅線１４に伝達され
ない構成となっているので、接続時に高圧コイル接地線
２３に作用する外力により高圧コイル３ａがダメージを
受けることがない。

【００１８】図４は本発明による接地形計器用変圧器の
第２の実施の形態における高圧コイル部の構成を示す斜
視図、図５は同じく巻型の構成を示す断面図、図６は同
じく電圧変成部の構成を示す平面図で、図１乃至図３と
同一部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここ
では異なる点についてのみ述べる。

【００１９】図４において、図１と異なる点は巻型４０
の内周側及び両端部を電気的に絶縁された部材４０ａに
て構成し、両端部を除く外周面を金属または導電性の材
料４０ｂを固着して構成したもので、それ以外は図１と
同様に構成される。

【００２０】このような構成の巻型とすれば、図５及び
図６に示すように高圧コイル３ａは鉄心脚１ａ上に巻回
された低圧コイルとの間に巻型の電気的絶縁部４０ａが
介在することで、必要な所定の絶縁が確保でき、低圧コ
イルと巻型４０の絶縁距離を縮小化できるため、巻型径
を小径化でき、ひいては高圧コイル自体を縮小化でき
る。

【００２１】また、鉄心への固定部材に対して１ターン
回路防止用の絶縁物が不要となるので、部品の削減と組
立てが容易になるという利点がある。図７は本発明によ
る接地形計器用変圧器の第３の実施の形態における高圧
コイル部の構成を示す斜視図で、図１と同一部品には同
一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点に
ついてのみ述べる。

【００２２】図７において、図１と異なる点は巻型５０
を電気的に絶縁された部材にて構成し、その外周面をシ
ート状の金属または導電性の材料５０ａを巻回して構成
したもので、それ以外は図１と同様に構成される。この
ような構成の巻型とすれば、巻型の金属または導電性の
部分と絶縁部分とを固着成形する必要がないので、従来
の絶縁筒巻型をそのまま使用できる。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、巻型
を金属または導電性の筒状とし、高圧コイルの巻始めと
高圧コイル接地線を電気的に接続すると共に、機械的に
は巻型を介して接続することにより、高圧コイル接地線
に加わった外力が高圧コイルの巻始め部に伝達されない
ので、高圧コイルの組立作業が簡便になり、信頼性の高
い接地形計器用変圧器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による接地形計器用変圧器の第１の実施
の形態における高圧コイル部を示す斜視図。

【図２】同実施の形態における電圧変成部を示す正面
図。

【図３】同じく電圧変成部の側面図。

【図４】本発明の第２の実施の形態における高圧コイル
部を示す斜視図。

【図５】同じく巻型の構成を示す断面図。

【図６】同じく電圧変成部の構成を示す平面図。

【図７】本発明の第２の実施の形態における高圧コイル
部を示す斜視図。

【図８】従来の接地形計器用変圧器の構成例を示す断面
図。

【図９】従来の電圧変成部における高圧コイル部を示す
斜視図。

【符号の説明】

１……鉄心 １ａ……鉄心脚 ２……低圧コイル ３……高圧コイル ４……絶縁スペーサ ６……ベース ７……絶縁媒体 ８……高圧接地側端子 ９……高圧シールド １０……接地ボス ２０，４０，５０……巻型 ２１，３１……絶縁スペーサ ２２……コイル巻始め端部 ２３……高圧コイル接地線 ３２……鉄心構造物 ３３……スペーサ ４０ａ……導電性材料 ４０ｂ……絶縁材料 ５０ａ……絶縁シート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 閉磁路鉄心に巻回された低圧コイルと、
   巻型上に多層にわたって巻回され、前記低圧コイルと同
   軸上に配置された高圧コイルを備えた電圧変成部を容器
   内に絶縁媒体と共に収納した接地形計器用変圧器におい
   て、 前記高圧コイルの巻型を低圧コイル及び接地構造物と所
   定の電気的な絶縁距離が保たれるように金属または導電
   性の材料で筒状に構成し、且つ鉄心脚を取囲む１ターン
   回路が形成されないように軸方向全長にわたり電気的に
   絶縁する絶縁部を有する巻型とし、この巻型上に前記高
   圧コイルの巻始め端部及び一端を接地する接地線の他端
   を電気的に接続すると共に、前記接地線を容器外部に引
   出して接地するようにしたことを特徴とする接地形計器
   用変圧器。
2. 【請求項２】 前記筒状の巻型は外周側を金属、または
   導電性を有するものとし、内周側を絶縁物で構成したこ
   とを特徴とする請求項１記載の接地形計器用変圧器。
3. 【請求項３】 前記筒状の巻型は絶縁物で構成され、そ
   の外周に金属又は導電性のシートを巻回したことを特徴
   とする請求項１記載の接地形計器用変圧器。