JPH10120625A - 2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体、その製造方法及び、農園芸用殺菌剤 - Google Patents
2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体、その製造方法及び、農園芸用殺菌剤Info
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- JPH10120625A JPH10120625A JP29731096A JP29731096A JPH10120625A JP H10120625 A JPH10120625 A JP H10120625A JP 29731096 A JP29731096 A JP 29731096A JP 29731096 A JP29731096 A JP 29731096A JP H10120625 A JPH10120625 A JP H10120625A
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Abstract
酸誘導体及び、その塩を製造し、それらの殺菌性を明ら
かにすることを課題とする。 【解決手段】 化1の式(I・II)の2−ベンジルオキシ
−6−アルコキシ安息香酸誘導体及び、その塩は、農園
芸用殺菌剤の有効成分として利用できることを見いだし
た。(式中、X は、低級アルキル基、低級アルコキシ
基、ハロゲン原子または、低級ハロアルキル基を表す。
Y は、低級アルキル基、低級アルコキシ基または、ハロ
ゲン原子を表す。n は、0 から5 の整数を表す。n が、
2 以上の時には、X は、同一もしくは異なっていてもよ
い。m は、0 から3 の整数を表す。m が、2 以上の時に
は、Y は、同一もしくは異なっていてもよい。R1は、水
素原子または、低級アルキル基を表わす。R2は、低級ア
ルキル基、低級ハロアルキル基または、無置換もしくは
置換ベンジル基を表わす) 【化1】
Description
シ−6−アルコキシ安息香酸誘導体、その製造方法及
び、2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導
体を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関する。
は、2,6−ジベンジルオキシ安息香酸、2,6−ジベ
ンジルオキシ安息香酸メチルエステルが記載されてい
る。Chem.Pharm.Bull., 27(6), 1468-72(1979). には、
2−ベンジルオキシ−6−メトキシ安息香酸、2−ベン
ジルオキシ−6−メトキシ安息香酸メチルエステルが記
載されている。しかしながら、これらの文献には、殺菌
活性については何等記載されていない。
対する毒性が低く取り扱い上での安全性が高く、且つ広
汎な植物病害に対して優れた防除効果を示す農園芸用殺
菌剤を開発するために、化4の式(I・II)の2−ベン
ジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体及び、その
塩を製造し、それらの殺菌性を明らかにすることを課題
としてなされたものである。したがって、本発明の目的
は、2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導
体及びその塩、それらの製造方法及び、農園芸用殺菌剤
を提供することにある。(式中、X は、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子または、低級ハロ
アルキル基を表す。Y は、低級アルキル基、低級アルコ
キシ基または、ハロゲン原子を表す。n は、0 から5 の
整数を表す。n が、2 以上の時には、X は、同一もしく
は異なっていてもよい。m は、0 から3 の整数を表す。
m が、2 以上の時には、Y は、同一もしくは異なってい
てもよい。R1は、水素原子または、低級アルキル基を表
す。R2は、低級アルキル基、低級ハロアルキル基また
は、無置換もしくは置換ベンジル基を表す)
徴を有する。第1の発明は、化5の式(I・II)の2−ベ
ンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体または、
その塩を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関す
る。(式中、X は、低級アルキル基、低級アルコキシ
基、ハロゲン原子または、低級ハロアルキル基を表す。
Y は、低級アルキル基、低級アルコキシ基または、ハロ
ゲン原子を表す。n は、0 から5 の整数を表す。n が、
2 以上の時には、X は、同一もしくは異なっていてもよ
い。m は、0 から3 の整数を表す。m が、2 以上の時に
は、Y は、同一もしくは異なっていてもよい。R1は、水
素原子または、低級アルキル基を表す。R2は、低級アル
キル基、低級ハロアルキル基または、無置換もしくは置
換ベンジル基を表す)
)の2−ベンジルオキシ−6−ヒドロキシ安息香酸エ
ステルと、式(IV)のアルキル化剤とを反応させて、式
(II)の2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸
エステルを製造し、ついで、エステル部分を加水分解す
ることを特徴とする、式(I )の2−ベンジルオキシ−
6−アルコキシ安息香酸の製造方法に関する。(式中、
X は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原
子または、低級ハロアルキル基を表す。Y は、低級アル
キル基、低級アルコキシ基または、ハロゲン原子を表
す。n は、0 から5 の整数を表す。n が、2 以上の時に
は、X は、同一もしくは異なっていてもよい。m は、0
から3 の整数を表す。m が、2 以上の時には、Y は、同
一もしくは異なっていてもよい。R は、低級アルキル基
を表す。R2は、低級アルキル基、低級ハロアルキル基ま
たは、無置換もしくは置換ベンジル基を表す。Z1は、ハ
ロゲン原子、無置換もしくは置換ベンゼンスルホニルオ
キシ基、低級アルカンスルホニルオキシ基、低級アルコ
キシスルホニルオキシ基を表す)
ンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体または、
その塩に関する。(式中、X 、Y 、n 、m 、R1及び、R2
は上記と同じ定義内容を示す。ただし、2,6−ジベン
ジルオキシ安息香酸、2,6−ジベンジルオキシ安息香
酸メチルエステル、2−ベンジルオキシ−6−メトキシ
安息香酸及び、2−ベンジルオキシ−6−メトキシ安息
香酸メチルエステルは除く)
2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体
(I・II)の置換基中、上位概念で示した置換基には、次
のような好ましい置換基を包含する。X の低級アルキル
基では、メチル基、低級アルコキシ基では、メトキシ
基、ハロゲン原子では、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子、低級ハロアルキル基ではトリフルオロ
メチル基。Y の低級アルキル基では、メチル基、低級ア
ルコキシ基では、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原
子では、塩素原子。整数n の好ましい範囲は、0 から2
。整数mの好ましい範囲は、0 から1 。R1及び、R の
低級アルキル基では、メチル基、エチル基、1−メチル
エチル基。R2の低級アルキル基では、メチル基、エチル
基、1−メチルエチル基、低級ハロアルキル基ではトリ
フルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、置換
ベンジル基では、Xnの結合しているベンジル基のXnの好
ましい組み合わせと同じであり、3-クロロベンジル基、
4-クロロベンジル基、3-メチルベンジル基等である。2
−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸(I )[化
合物(I・II)のR1が水素原子の場合に同じ]の塩では、
ナトリウム、カリウム、銅または、1−メチルエチルア
ミンを含む塩。また、低級アルキル基、低級アルコキシ
基、低級ハロアルキル基において、炭素数1から4個が
好ましい。低級ハロアルキル基とは、低級アルキル基の
1個以上の水素原子がハロゲン原子、好ましくはフッ素
原子で、置換していることを示す。
シ安息香酸誘導体(I・II)の具体例を表1の第1表に示
す。
は、下記のものを例示し得る。水。蟻酸、酢酸、プロピ
オン酸等の有機酸。ベンゼン、トルエン、キシレン、石
油エーテル、ペンタン、ヘプタン等の炭化水素類。メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノー
ル等のアルコール類。ジエチルエーテル、ジメトキシエ
タン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジグリム、ジオキサン等のエーテル類。その他、二硫化
炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、無水酢
酸、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスル
ホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド等。
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩。炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩。酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム
等のアルカリ金属のカルボン酸塩。水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物。酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化
物。リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属。ナトリウム
メトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブト
キシド等のアルカリ金属のアルコキシド。水素化ナトリ
ウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物。メチ
ルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フ
ェニルリチウム等のアルカリ金属の有機金属化合物。メ
チルマグネシウムイオジド、エチルマグネシウムブロミ
ド、n−ブチルマグネシウムブロミド等の有機グリニャ
ール試薬。アルカリ金属の有機金属化合物や、グリニャ
ール試薬と銅(I)塩から調製できる有機銅化合物。リ
チウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド。
アンモニア水、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウ
ム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化アンモ
ニウム類。メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミ
ン、1−メチルエチルアミン、ベンジルアミン、エタノ
ールアミン、ジメチルアミン、ベンジルメチルアミン、
ジベンジルアミン、トリエチルアミン、トリエタノール
アミン、ピリジン等の有機アミン類。
香酸(I )の金属錯塩の製造時に使用する、第1遷移元
素の塩として、酢酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、(後
の3種類の塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩を使用するとき
には、アルカリ金属の酢酸塩、炭酸塩または、水酸化物
を同時に使用するのが有利である)。また、酸として
は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硝
酸、硫酸等の無機酸ならびに蟻酸、酢酸、p−トルエン
スルホン酸等の有機酸等を例示し得る。
香酸(I )の前駆体、2−ベンジルオキシ−6−アルコ
キシ安息香酸エステル(II)は、2−ベンジルオキシ−
6−ヒドロキシ安息香酸エステル(III )とアルキル化
剤(IV)とを塩基の存在下、希釈剤中で有利に製造でき
る。アルキル化剤(IV)における好ましいR2は、2−ベ
ンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体(I・II)
において、好ましいR2を誘導できるR2に同じである。Z1
のハロゲン原子では、塩素原子、臭素原子、沃素原子、
置換ベンゼンスルホニルオキシ基では、ベンゼンスルホ
ニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、低級
アルカンスルホニルオキシ基では、メタンスルホニルオ
キシ基、低級アルコキシスルホニルオキシ基では、メト
キシスルホニルオキシ基、エトキシスルホニルオキシ基
を好ましいZ1として包含している。したがって、好まし
いR2Z1[化合物(IV)]は、上記の好ましいR2と、好ま
しいZ1との結合している化合物である。本発明の製造方
法を実施するには、例えば、2−ベンジルオキシ−6−
ヒドロキシ安息香酸エステル(III )を前掲の希釈剤に
溶かしたものに、必要に応じ、上掲の塩基の存在下に、
アルキル化剤(IV)を0.5 〜1.5 当量加えるか、もしく
は逆にアルキル化剤(IV)を希釈剤に溶かしたものに、
2−ベンジルオキシ−6−ヒドロキシ安息香酸エステル
(III )と塩基とを反応させるとよい。この際の反応温
度は溶媒としての上記希釈剤の凝固点から沸点までの任
意の温度を適用し得るが、実際上は0 〜100 ℃の範囲の
温度で反応を行なうことが望ましい。上記反応の終了
後、反応により得られた反応混合物を冷却した後、酢酸
エチル、クロロホルム、ベンゼン等の有機溶剤により抽
出して有機層を分離し、次いで該有機層を水洗して乾燥
した後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣を精製処
理することにより、2−ベンジルオキシ−6−アルコキ
シ安息香酸エステル(II)を得ることができる。なお、
精製処理は、再結晶又はシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー等に付すことにより行ない得る。
香酸エステル(II)のエステル部分の加水分解は、次の
ようにして行なうことができる。含水アルコールに、2
−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸エステル
(II)とアルカリ金属水酸化物を加えて、20〜100 ℃も
しくは、20℃〜溶媒の還流点で、1 〜20時間還流する。
反応後、反応混合物を酸性にし、析出物を濾取するか、
溶媒を留去して、残渣に水を加えて良くかき混ぜてか
ら、不溶分を濾取する。ついで、濾物を再結晶して、2
−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸(I )を得
ることができる。
シ−6−アルコキシ安息香酸(I )は酸性プロトンを有
するので、水素原子が適当な陽イオンで置換された塩を
形成しうる。これらの塩は、一般に、金属塩、特にアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩または、銅を含む第一
遷移元素との錯塩、または場合によっては、アンモニウ
ム塩、アルキル化アンモニウム塩または有機のアミン塩
であり、そして好ましくは、例えば水、メタノールまた
はアセトンのような溶媒中で20〜100 ℃の温度において
製造できる。
香酸エステル(II)は、また、化7の反応式中、式(V
)の2−ヒドロキシ−6−アルコキシ安息香酸エステ
ルの水酸基を、式(VI)のベンジル化剤で、ベンジル化
によりエーテル結合にして、製造することもできる。こ
のベンジル化の反応条件には、概ね、2−ベンジルオキ
シ−6−ヒドロキシ安息香酸エステル(III )のアルキ
ル化剤(IV)によるアルキル化の反応条件を用い得る。
(式中、X 、Y 、n 、m 、R 及び、R2は上記と同じ定義
内容を示す。Z2は、ハロゲン原子、無置換もしくは置換
ベンゼンスルホニルオキシ基、低級アルカンスルホニル
オキシ基を示す) Z2のハロゲン原子では、塩素原子、臭素原子、沃素原
子、置換ベンゼンスルホニルオキシ基では、ベンゼンス
ルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、
低級アルカンスルホニルオキシ基では、メタンスルホニ
ルオキシ基を好ましいZ2として包含している。
ドロキシ安息香酸エステルの製造は、化8の反応式に示
すように、式(VII )の2,6−ジヒドロキシ安息香酸
エステルの一方の水酸基を式(VI)のベンジル化剤で、
ベンジル化して製造することができる。このベンジル化
の反応条件には、概ね、2−ベンジルオキシ−6−ヒド
ロキシ安息香酸エステル(III )のアルキル化剤(IV)
によるアルキル化の反応条件を用い得る。(式中、X 、
Y 、n 、m 、R 、Z2は、上記と同じ定義内容を示す)
シ安息香酸エステルの製造は、化9の反応式に示すよう
に、式(VII )の2,6−ジヒドロキシ安息香酸エステ
ルの一方の水酸基を式(IV)のアルキル化剤で、アルキ
ル化して製造することができる。このアルキル化の反応
条件には、概ね、2−ベンジルオキシ−6−ヒドロキシ
安息香酸エステル(III )のアルキル化剤(IV)による
アルキル化の反応条件を用い得る。(式中、X 、Y 、n
、m 、R2、Z1は、上記と同じ定義内容を示す)
アルコキシ安息香酸エステル(II)は、次の2工程(ベ
ンジル化、ついで、アルキル化の順の反応の組み合わ
せ)により製造することができる。 2,6−ジヒドロキシ安息香酸エステル(VII )の一
方の水酸基をベンジル化剤(VI)で、ベンジル化して、
2−ベンジルオキシ−6−ヒドロキシ安息香酸エステル
(III )を製造する。 2−ベンジルオキシ−6−ヒドロキシ安息香酸エステ
ル(III )と、アルキル化剤(IV)とを反応させて、2
−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸エステル
(II)を製造する。 さらに、次の2工程(アルキル化、ついで、ベンジル化
の順の反応の組み合わせ)によっても製造することがで
きる。 2,6−ジヒドロキシ安息香酸エステル(VII )の一
方の水酸基をアルキル化剤(IV)で、アルキル化して、
2−ヒドロキシ−6−アルコキシ安息香酸エステル(V
)を製造する。 2−ヒドロキシ−6−アルコキシ安息香酸エステル
(V )の水酸基を、ベンジル化剤(VI)で、ベンジル化
によりエーテル結合にして、2−ベンジルオキシ−6−
アルコキシ安息香酸エステル(II)を製造する。 2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸エステル
(II)は、また、アルキル化剤(IV)とベンジル化剤
(VI)との混合物と、2,6−ジヒドロキシ安息香酸エ
ステル(VII )との反応により製造することもできる。
このアルキル化及び、ベンジル化の反応条件には、概
ね、2−ベンジルオキシ−6−ヒドロキシ安息香酸エス
テル(III )のアルキル化剤(IV)によるアルキル化の
反応条件を用い得る。この製造方法において、アルキル
化剤(IV)とベンジル化剤(VI)とで、R2と、Xnの結合
しているベンジル基の構造が同じ場合には、1工程で、
上述の2工程を経て得られる2−ベンジルオキシ−6−
アルコキシ安息香酸エステル(II)と同様の化合物が得
られる。アルキル化剤(IV)とベンジル化剤(VI)と
で、R2と、Xnの結合しているベンジル基の構造が異なっ
ている場合には、2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ
安息香酸エステル(II)の混合物が得られる。したがっ
て、目的に応じて、これら3種類の製造方法の使い分け
が可能である。
ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体の農園
芸用殺菌剤の活性成分としての有用性について説明す
る。本発明の2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息
香酸誘導体(I・II)は下記に示す広汎な植物病害に対し
て防除効果を呈する。 イネいもち病菌(Pyricularia oryzae) イネごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus ) イネばか苗病菌(Gibberella fujikuroi) イネ小黒菌核病菌(Helminthosporium sigmoideum ) イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani) 種々の作物を犯す灰色かび病菌(Botrytis cinerea) 菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum) スイカつる割病菌(Fusarium oxysporum f.sp.niveum) キュウリつる割病菌(Fusarium oxysporum f.sp.cucume
rinum ) ウリ類炭そ病菌(Colletotrichum lagenarium ) テンサイ褐斑病菌(Cercospora beticola ) ダイズ紫斑病菌(Cercospora kikuchii ) モモ灰星病菌(Sclerotinia cinerea ) リンゴ斑点落葉病菌(Alternaria alternata(mali)) ナシ黒斑病菌(Alternaria alternata(kikuchiana)) ブドウ晩腐病菌(Glomerella cingulata) キュウリべと病菌(Pseudoperonosora cubensis ) トマト疫病菌(Phytophthora infestans) キュウリ灰色疫病菌(Phytophthora capsici) イネ苗立枯病菌(Pythium aphanidermatum)
香酸誘導体(I・II)を上述のごとき農園芸用殺菌剤とし
て適用するには、化合物をそのまま使用することもでき
るが、通常は製剤補助剤とともに、粉剤、水和剤、粒
剤、乳剤などの種々の形態に製剤して使用する。このと
き製剤中に、1種または2種以上の2−ベンジルオキシ
−6−アルコキシ安息香酸誘導体(I・II)が、0.1 〜95
重量%、好ましくは、0.5 〜90重量%、より好ましくは
2 〜70重量%含まれるように製剤する。製剤補助剤とし
て使用する坦体、希釈剤、界面活性剤を例示すれば、固
体坦体として、タルク、カオリン、ベンナイト、珪藻
土、ホワイトカーボン、クレーなど。液体希釈剤とし
て、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロ
ヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、
ジメチルホルムアミド、アルコールなど。界面活性剤
は、その効果により使い分けるのがよく、乳化剤とし
て、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレートなど。分散
剤として、リグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリン
スルホン酸塩など、湿潤剤として、アルキルスルホン酸
塩、アルキルフェニルスルホン酸塩など、をあげること
ができる。上記製剤には、そのまま使用するものと水等
の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。
希釈して使用する時の本発明化合物の濃度は、0.001 〜
1.0 %の範囲が望ましい。また、本発明化合物の使用量
は、畑、田、果樹園、温室などの農芸園地1haあたり、2
0〜5000g 、より好ましくは、50〜1000g である。これ
らの使用濃度及び使用量は剤形、使用時期、使用方法、
使用場所、対象作物等によっても異なるため、上記の範
囲にこだわることなく増減することは勿論可能である。
さらに、本発明化合物は他の有効成分、例えば、殺菌
剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせて使用する
こともできる。因みに、本発明化合物はカルボキシル基
を有しているので、無機塩類、有機塩類もしくは金属錯
塩等の形態でも使用し得る。
を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はそ
の要旨を越えない限り以下の製造例、製剤例及び試験例
に限定されるものではない。 製造例1 2−(3−クロロベンジルオキシ)−6−メトキシ安息
香酸(I-1 )の製造 2−(3−クロロベンジルオキシ)−6−メトキシ安
息香酸メチルエステル(II-1)の製造 無水ジメチルホルムアミド100mlに、水素化ナトリ
ウム(60%油性水素化ナトリウムを無水ヘキサンで洗
浄したもの)480mgを窒素雰囲気下で攪拌しながら
添加し、次いで、2,6−ジヒドロキシ安息香酸メチル
エステル3.36gを加え、発泡が止まるまで氷冷下に
攪拌した。得られた溶液に、3−クロロベンジルブロミ
ド3.86gを無水ジメチルホルムアミド30mlに溶
かした溶液を滴下し、この混合物を温度40℃で6時間
攪拌した。得られた反応混合液を放冷後、氷水中に注
ぎ、酢酸エチルで抽出して有機層を得、該有機層を水洗
した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで減圧下に
溶媒を留去して、2−(3−クロロベンジルオキシ)−
6−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(III-1 )を含
有する反応生成物を得た。得られた化合物(III-1 )を
未精製のまま次の工程に使用した。化合物(III-1 )を
水素化ナトリウム(60%油性水素化ナトリウムを無水
ヘキサンで洗浄したもの)480mgの無水ジメチルホ
ルムアミド100mlに窒素雰囲気下で攪拌しながら添
加し、発泡終了後、ヨウ化メチル2.8gの無水ジメチ
ルホルムアミド30ml溶液を滴下し、この混合物を温
度40℃で6時間撹拌した。得られた反応混合液を放冷
後、氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出して有機層を得、
該有機層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
次いで減圧下に溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーに付して精製し、2−(3−クロロベン
ジルオキシ)−6−メトキシ安息香酸メチルエステル
(II-1)を3.6g得た。
−メトキシ安息香酸(I-1 )の製造 得られた2−(3−クロロベンジルオキシ)−6−メト
キシ安息香酸エステル(II-1)をエタノール30mlに溶
かし、水20ml、水酸化ナトリウム3.0gを加えて3
時間加熱還流を行った。反応終了後、反応液を酸性にし
た後、析出した固体を濾取し、クロロホルム−ヘキサン
で再結晶して、表題化合物2.8gを得た。この化合物
の物性を測定した結果、下記に示すとおりであった。な
お、NMR スペクトルはTMS を内部標準にして測定し、下
記の記号で示した(以下同様)。 (1)融点:82〜84℃ (2)IR(KBr 法、ν、cm-1):3024, 2900, 1700, 15
92, 1480, 1376, 1092 (3)NMR(CDCl3、δ、ppm ):3.73(3H,s), 4.97(2H,
s),6.4 〜6.6(2H,m),7.0 〜7.5(5H,m), 10.8(1H,bs) s :一重線、d :二重線、t :三重線、m :多重線、b
:ブロードライン
(I-6 )の製造 2,6−ビス(3−クロロベンジルオキシ)安息香酸
メチルエステル(II-6)の製造 無水アセトン100mlに、2,6−ジヒドロキシ安息
香酸メチルエステル1.68を溶解し、炭酸カリウム
2.76g、3−クロロベンジルブロミド4.41gを
加え、7時間加熱還流を行った。反応終了後、反応液に
水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩
水、水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次
いで減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、2,6−
ビス(3−クロロベンジルオキシ)安息香酸メチルエス
テル(II-6)を3.32g得た。
シ)安息香酸(I-6 )の製造 得られた2,6−ビス(3−クロロベンジルオキシ)安
息香酸メチルエステル(II-6)をエタノール50mlに溶
かし、水30ml、水酸化ナトリウム3.4gを加えて1
2時間加熱還流を行った。反応終了後、反応液を酸性に
した後、析出した固体を濾取し、クロロホルム−ヘキサ
ンで再結晶して、2,6−ビス(3−クロロベンジルオ
キシ)安息香酸(I-6 )2.32gを得た。 (1)融点:139〜140℃ (2)IR(KBr 法、ν、cm-1):3036, 1710, 1602, 14
74, 1316, 1116 (3)NMR(CDCl3、δ、ppm ):5.10(4H,s), 6.3 〜6.
7(2H,m),7.0 〜7.5(9H,m), 10.2(1H,bs)
した化合物の融点及び、NMR データを表2の第2表に示
す。第2表には、化合物(I-1 )、化合物(I-6 )、化
合物(II-1)及び、化合物(II-6 )も含めてある。
式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とする。
1.2葉期の幼苗キュウリ(品種:相模半白節成、1本
/1鉢、3鉢/処理区使用)に、所定濃度に調製した薬
液をスプレーガンで、1000 l/ha 相当を散布した。散布
葉風乾後、罹病葉より採取したキュウリべと病菌遊走子
のう懸濁液を噴霧接種し、20〜23℃高湿度条件下に
一晩保った。その後ガラス温室内で管理し、接種から6
〜8日後に下記の調査基準により、発病度を一試験区あ
たり3本調査し、一本あたりの平均発病度から下記計算
式により防除価(%)を算出した。 (調査基準) 発病度 発病面積率(%) 0 0 1 〜10未満 2 10〜20未満 3 20〜30未満 4 30〜70未満 5 70以上 防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)x10
0 結果を表3の第3表に示す。
時のインゲン葉(品種:本金時)に、所定濃度に調製し
た薬液をスプレーガンで1000 l/ha 相当を散布し
た。散布葉風乾後、予め砂糖加用馬鈴薯煎汁寒天培地を
用いて20℃で3日間培養した灰色かび病菌の含菌寒天
の円形切片(径4mm)を一葉につき2個を葉の中央部に
直接付着させ、20〜23℃高湿度条件下に保った。接
種後3日目に下記の調査基準により、発病度を一試験区
あたり4点調査し、一本あたりの平均発病度から下記式
により防除価を算出した。無処理区の病斑面積と比較
し、次の調査基準により罹病度を調査し、下記計算式に
より防除価(%)を算出した。 (調査基準) 発病度 発病面積率(%) 0 0 1 〜10未満 2 10〜20未満 3 20〜30未満 4 30〜70未満 5 70以上 防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)x10
0 結果を表4の第4表に示す。
しくは4葉期のイネ幼苗(品種:ササニシキ、16本/
1鉢、3鉢/処理区使用)に、所定濃度に調製した薬液
をスプレーガンで1000 l/ha 相当を散布した。散布
葉風乾後、米糠含有寒天培地上で形成させたイネいもち
病菌胞子懸濁液を噴霧接種し、25〜28℃高湿度条件
下に一日保った。その後ガラス温室内で管理し、接種か
ら6〜8日後に下記の調査基準(中国農試 葉いもち調
査基準)により、発病度を一試験区あたり全苗について
調査し、一本あたりの平均発病度から下記計算式により
防除価(%)を算出した。 (調査基準) 発病度 発病面積比(%) 0 0 1 〜0.5未満 2 0.5〜1未満 3 1〜2未満 4 2〜5未満 5 5〜10未満 6 10〜25未満 7 25〜50未満 8 50〜80未満 9 80〜100未満 10 枯死 防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)x10
0 結果を表5の第5表に示す。
アルコキシ安息香酸誘導体及び、その塩は農園芸用殺菌
剤の有効成分として利用できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 化1の式(I・II)の2−ベンジルオキシ
−6−アルコキシ安息香酸誘導体または、その塩を有効
成分として含有する農園芸用殺菌剤。(式中、X は、低
級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子また
は、低級ハロアルキル基を表す。Y は、低級アルキル
基、低級アルコキシ基または、ハロゲン原子を表す。n
は、0 から5 の整数を表す。n が、2 以上の時には、X
は、同一もしくは異なっていてもよい。m は、0 から3
の整数を表す。m が、2 以上の時には、Y は、同一もし
くは異なっていてもよい。R1は、水素原子または、低級
アルキル基を表す。R2は、低級アルキル基、低級ハロア
ルキル基または、無置換もしくは置換ベンジル基を表
す) 【化1】 - 【請求項2】 化2の式(III )の2−ベンジルオキシ
−6−ヒドロキシ安息香酸エステルと、式(IV)のアル
キル化剤とを反応させて、式(II)の2−ベンジルオキ
シ−6−アルコキシ安息香酸エステルを製造し、つい
で、エステル部分を加水分解することを特徴とする、式
(I )の2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸
の製造方法。(式中、X は、低級アルキル基、低級アル
コキシ基、ハロゲン原子または、低級ハロアルキル基を
表す。Y は、低級アルキル基、低級アルコキシ基また
は、ハロゲン原子を表す。n は、0 から5 の整数を表
す。n が、2 以上の時には、X は、同一もしくは異なっ
ていてもよい。m は、0 から3 の整数を表す。m が、2
以上の時には、Y は、同一もしくは異なっていてもよ
い。R は、低級アルキル基を表す。R2は、低級アルキル
基、低級ハロアルキル基または、無置換もしくは置換ベ
ンジル基を表す。Z1は、ハロゲン原子、無置換もしくは
置換ベンゼンスルホニルオキシ基、低級アルカンスルホ
ニルオキシ基、低級アルコキシスルホニルオキシ基を表
す) 【化2】 - 【請求項3】 化3の式(I・II)の2−ベンジルオキシ
−6−アルコキシ安息香酸誘導体または、その塩。(式
中、X は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲ
ン原子または、低級ハロアルキル基を表す。Y は、低級
アルキル基、低級アルコキシ基または、ハロゲン原子を
表す。n は、0 から5 の整数を表す。n が、2 以上の時
には、X は、同一もしくは異なっていてもよい。m は、
0 から3 の整数を表す。m が、2 以上の時には、Y は、
同一もしくは異なっていてもよい。R1は、水素原子また
は、低級アルキル基を表す。R2は、低級アルキル基、低
級ハロアルキル基または、無置換もしくは置換ベンジル
基を表す。ただし、2,6−ジベンジルオキシ安息香
酸、2,6−ジベンジルオキシ安息香酸メチルエステ
ル、2−ベンジルオキシ−6−メトキシ安息香酸及び、
2−ベンジルオキシ−6−メトキシ安息香酸メチルエス
テル、は除く) 【化3】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29731096A JP3981771B2 (ja) | 1996-10-19 | 1996-10-19 | 2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体、その製造方法及び、農園芸用殺菌剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29731096A JP3981771B2 (ja) | 1996-10-19 | 1996-10-19 | 2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体、その製造方法及び、農園芸用殺菌剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10120625A true JPH10120625A (ja) | 1998-05-12 |
JP3981771B2 JP3981771B2 (ja) | 2007-09-26 |
Family
ID=17844863
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29731096A Expired - Lifetime JP3981771B2 (ja) | 1996-10-19 | 1996-10-19 | 2−ベンジルオキシ−6−アルコキシ安息香酸誘導体、その製造方法及び、農園芸用殺菌剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3981771B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7932290B2 (en) | 2003-02-13 | 2011-04-26 | Wellstat Biologics Corporation | Method for the treatment of metabolic disorders |
CN103588638A (zh) * | 2013-11-08 | 2014-02-19 | 台州市华鼎化工有限公司 | 一种4-(苯丁氧基)苯甲酸的合成方法 |
US10085957B2 (en) | 2010-09-08 | 2018-10-02 | Wellstat Therapeutics Corporation | Benzoic acid compounds for reducing uric acid |
-
1996
- 1996-10-19 JP JP29731096A patent/JP3981771B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10085957B2 (en) | 2010-09-08 | 2018-10-02 | Wellstat Therapeutics Corporation | Benzoic acid compounds for reducing uric acid |
CN103588638A (zh) * | 2013-11-08 | 2014-02-19 | 台州市华鼎化工有限公司 | 一种4-(苯丁氧基)苯甲酸的合成方法 |
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---|---|
JP3981771B2 (ja) | 2007-09-26 |
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