JPH10120595A - トラネキサム酸誘導体を構成成分とする薬物担体 - Google Patents

トラネキサム酸誘導体を構成成分とする薬物担体

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JPH10120595A
JPH10120595A JP8273425A JP27342596A JPH10120595A JP H10120595 A JPH10120595 A JP H10120595A JP 8273425 A JP8273425 A JP 8273425A JP 27342596 A JP27342596 A JP 27342596A JP H10120595 A JPH10120595 A JP H10120595A
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inhibitor
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drug carrier
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JP8273425A
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Masashi Isozaki
正史 磯崎
Kazumichi Koiwai
一倫 小岩井
Hideki Uchiyama
英樹 内山
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】効率良くかつ安全に遺伝物質や薬物を細胞や病
患部へ導入できる薬物担体、およびその構成成分を得
る。 【解決手段】下記に示す化合物を構成成分とする薬物担
体。 【化1】 式1中、R1、R2は同一または異なって、水素原子、炭
素数10−25のアルキル基またはアルケニル基であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラネキサム酸誘
導体およびそれを構成成分とする薬物担体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、リポソーム、エマルジョン、リピ
ッドマイクロスフェアなどの閉鎖小包を薬物担体として
ドラッグデリバリーシステム(以下、DDSと称す)に
応用しようとする研究が盛んに行われている。これら閉
鎖小包は一般的にリン脂質あるいはその誘導体、または
ステロールやリン脂質以外の脂質等を基本膜構成成分と
して調製される、しかしながら、これら基本構成成分の
みでは、閉鎖小包同士の凝集、体内における滞留性の低
下などの実際に応用していくうえでの様々な面での困難
を克服することはできなかった。さらに、実際にDDS
製剤として目的の部位に薬物を到達させることは非常に
困難であった。
【0003】そこで、薬物封入率の向上および閉鎖小包
の細胞接着性の向上を目的として、ステアリルアミン等
のカチオン化脂質を少量配合することにより、閉鎖小包
体の表面を生理的pH範囲でカチオン化する試みも行わ
れている。特にDNAを含むカチオン性のリポソームは
DNAの細胞中への移動、すなわち、トランスフェクシ
ョンを促進することが知られているが、さらに導入効
率、発現率、安全性の高いものが切望されている。しか
し、カチオン化脂質として選択できる脂質は限られてお
り、安全性が高く、高機能を発現する薬物担体用カチオ
ン化脂質の開発が強く望まれている。現在のところ、そ
のようなカチオン化脂質としては、米国特許第4897
355号、米国特許第5334761号、日本特許公報
特開平2−292246号、日本特許公報特開平4−1
08391号が報告されているが十分な効果は得られて
いない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、効率良くかつ
安全にDNAを細胞中へ導入でき、またDNAの細胞中
への移動以外の目的、例えば血管内皮損傷部位、腎炎、
腎ガン、肺炎、肺ガン、肝炎、肝ガン、膵ガン、リンパ
腫などの患部に確実に、効率良くかつ安全に薬物のター
ゲッティングが行えDDS療法に有効な薬物担体の開発
が強く望まれている。
【0005】従って本発明の目的は、核酸、ポリヌクレ
オチド、遺伝子およびその類縁体を細胞へ効率良くしか
も安全にトランスフェクションを行える薬物担体を提供
することである。また本発明の目的は薬物、ペプチドお
よびタンパク質を目的の部位に効果的に送達する薬物担
体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)下記一般式(1)で示されるトラネキサム酸誘導
体及びその塩を構成成分とする薬物担体。
【0007】
【化2】
【0008】(式1中、R1、R2は同一または異なっ
て、水素原子、炭素数10〜25のアルキル基またはア
ルケニル基である。)
【0009】(2)前記担体の内部に診断および/また
は治療するための薬物を封入してなる上記(1)に記載
の薬物担体。 (3)前記担体の径が0.02〜250μmの大きさを
有する微小粒子よりなる上記(1)乃至(2)に記載の
薬物担体。 (4)前記担体が巨大分子、微集合体、微粒子、微小
球、ナノ小球、リポソームおよびエマルジョンのうちの
少なくとも一つから構成される上記(1)乃至(3)に
記載の薬物担体。
【0010】(5)前記担体がリン脂質あるいはその誘
導体、および/またはリン脂質以外の脂質あるいはその
誘導体、および/または安定化剤、および/または酸化
防止剤、および/またはその他の表面修飾剤を含有する
上記(1)乃至(4)に記載の薬物担体。 (6)前記診断および/または治療するための薬物が、
核酸、ポリヌクレオチド、遺伝子およびその類縁体であ
る上記(1)乃至(5)に記載の薬物担体。
【0011】(7)前記診断および/または治療するた
めの薬物が、抗炎症剤、抗癌剤、酵素剤、酵素阻害剤、
抗生物質、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン
剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシ
ン受容体拮抗剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小
板凝集阻害剤、ケミカルメデイエーターの遊離抑制剤、
血管内皮細胞の増殖または抑制剤、アルドース還元酵素
阻害剤、メサンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナー
ゼ阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤ある
いはラジカルスカベンチャーである上記(1)乃至
(5)に記載の薬物担体。
【0012】(8)前記診断および/または治療するた
めの薬物が、グリコサミノグリカンおよびその誘導体で
ある上記(1)乃至(5)に記載の薬物担体。 (9)前記診断および/または治療するための薬物が、
オリゴおよび/または多糖、およびそれらの誘導体であ
る上記(1)乃至(5)に記載の薬物担体。
【0013】(10)前記診断および/または治療する
ための薬物が、タンパク質またはペプチドである上記
(1)乃至(5)に記載の薬物担体。 (11)前記診断および/または治療するための薬物
が、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断薬、核
磁気共鳴診断用診断薬等の各種体内診断薬である上記
(1)乃至(5)に記載の薬物担体。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係るトラネキサム酸誘導
体及びその塩は、公知の方法(J.Med.Chem.,15,247(197
2)等)により容易に製造することができる。すなわち、
トラネキサム酸またはその反応性誘導体に該アミン誘導
体と反応させることによって製造することができる。ト
ラネキサム酸とカルボン酸活性化剤との反応において、
カルボン酸活性化剤としては、例えば塩化チオニル、五
塩化リン、クロロギ酸エステル(クロロギ酸メチル、ク
ロロギ酸エチル)、塩化オキサリル、カルボジイミド類
(例えば、N、N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド
(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミド(WSC))、ベンゾトリアゾ
ール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)−
ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)
などがあげられるが、カルボジイミド類とN−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール、4−ジメチルアミノピリジンま
たはヒドロキシコハク酸イミドを併用してもよい。この
反応は通常、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどの
ハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン(TH
F)、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
またはこれらの混合溶媒などの存在下に行われる。反応
温度は通常−10〜50℃である。
【0015】この反応において、カルボン酸活性化剤と
して、塩化チオニル、塩化オキサリルまたは五塩化リン
を用いた場合は反応性誘導体として酸ハロゲン化物が得
られ、カルボン酸活性化剤としてクロロギ酸エステルを
用いた場合には反応性誘導体とした混合酸無水物が得ら
れ、またカルボン酸活性化剤としてカルボジイミド類を
用いた場合には反応性誘導体として活性エステルが得ら
れる。トラネキサム酸のカルボキシル基における反応性
誘導体と該アミンとの反応は、該反応性誘導体が酸ハロ
ゲン化物である場合は例えば塩化メチレン、テトラヒド
ロフラン、アセトンなどの溶媒中、脱酸剤(ピリジン、
トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、
炭酸水素ナトリウムなど)の存在下に無水または含水条
件下に行なわれる。反応温度は−50〜100℃、好ま
しくは−10〜30℃である。該反応性誘導体が活性エ
ステルまたは混合酸無水物である場合はトラネキサム酸
のカルボン酸活性化剤との反応で用いた溶媒と同様な溶
媒中で行うことができる。この場合の反応温度は通常0
〜30℃で反応時間は通常1〜5時間である。
【0016】また、トラネキサム酸のアミノ基を適当な
保護基(例えばベンジルオキシカルボニル基など)で保
護しておきアミド化後に該保護基を脱保護してもよい。
このように製造されるトラネキサム酸誘導体及びその塩
は、自体公知の分離、精製手段(例えば、クロマトグラ
フィー、再結晶)などにより単離採取することができ
る。
【0017】本発明の担体は、粒径が0.02〜250
μm、とりわけ0.05〜0.4μmの大きさが好まし
い。また、構造としては様々な形態が考えられ、限定す
る必要はないが、特にその内部に薬物を高濃度封入する
ことのできる潜在的機能を有する、巨大分子、微集合
体、微粒子、微小球、ナノ小球、リポソームおよびエマ
ルジョンのうちより少なくとも一つ以上からなることが
最も望ましい。
【0018】本発明において、薬物担体の構成成分とし
ては、上記の形態を形成できるものであれば特にその配
合に限定する必要はないが、その安全性や、生体内にお
いて安定性を考慮すると、リン脂質あるいはその誘導
体、リン脂質以外の脂質あるいはその誘導体、または安
定化剤、酸化防止剤、その他の表面修飾剤の配合が望ま
しい。リン脂質としては、ホスファチジルコリン(=レ
シチン)、ホスファジルグリセロール、ホスファチジン
酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノール
アミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシ
トール、スフィンゴミエリン、カルジオリビン等の天然
あるいは合成のリン脂質、またはこれらを常法にしたが
って水素添加したもの等を挙げることができる。
【0019】安定化剤としては、膜流動性を低下させる
コレステロールなどのステロール、あるいはグリセロー
ル、シュクロースなどの糖類が挙げられる。酸化防止剤
としては、トコフェロール同族体すなわちビタミンEな
どが挙げられる。トコフェロールには、α、β、γ、δ
の4個の異性体が存在するが本発明においてはいずれも
使用できる。その他の表面修飾剤としては、親水性高分
子やグルクロン酸、シアル酸、デキストランなどの水溶
性多糖類の誘導体が挙げられる。
【0020】前記親水性高分子としては、ポリエチレン
グリコール、デキストラン、プルラン、フィコール、ポ
リビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共
重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合
体、合成ポリアミノ酸、アミロース、アミロペクチン、
キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、
カラギーナンなどが挙げられる。その中でもポリエチレ
ングリコールは血中滞留性を向上させる効果が顕著であ
る。
【0021】また前記親水性高分子は、長鎖脂肪族アル
コール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、
またはグリセリン脂肪酸エステル等の疎水性化合物と結
合させた誘導体を用いることによって、疎水性化合物部
位を薬物担体(例えばリポソーム)の膜へ安定に挿入す
ることができる。そのことにより、薬物担体表面に親水
性高分子を存在させることができる。本発明において具
体的に用いることができる親水性高分子誘導体として
は、ポリエチレングリコール−フォスファチジルエタノ
ールアミン等が挙げられる。
【0022】本発明において、薬物担体に封入する薬剤
としては、診断および/または治療の目的に応じて薬学
的に許容し得る薬理的活性物質、生理的活性物質または
診断用物質を用いることができる。封入する薬剤の性質
としては、基本的にはどの物質においても問題ないが、
担体の表面が陽電荷を持つ特徴から、電気的に中性ある
いはアニオン性である物質の方が高封入率が期待でき
る。
【0023】封入する治療するための薬剤の種類として
は、薬物担体の形成を損ねないがぎり特に限定されるも
のではない。具体的には、核酸、ポリヌクレオチド、遺
伝子およびその類縁体、抗炎症剤、抗癌剤、酵素剤、抗
生物質、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、
アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受
容体拮抗剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝
集阻害剤、ケミカルメデイエーターの遊離阻害剤、血管
内皮細胞の増殖促進または抑制剤、アルドース還元酵素
阻害剤、メサンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナー
ゼ阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤、ラ
ジカルスカベンチャー、タンパク質、ペプチド等が挙げ
られる。
【0024】また、封入する診断するための薬剤の種類
としては、薬物担体の形成を損ねないがぎり特に限定さ
れるものではない。具体的には、X線造影剤、放射性同
位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等が
挙げられる
【0025】本発明の薬物担体は常法によって容易に得
ることができるが、その一例を以下に示す。フラスコ内
に一般式(1)で示されるトラネキサム酸誘導体および
リン脂質等の他の担体構成成分を、クロロホルム等の有
機溶媒により混合し、有機溶媒を留去後真空乾燥するこ
とによりフラスコ内壁に薄膜を形成させる。次に、当該
フラスコ内に薬物を加え、激しく攪拌することにより、
リポソーム分散液を得る。得られたリポソーム分散液を
遠心分離し、上清をデカンテーションし封入されなかっ
た薬物を除去することにより、薬物担体を分散液として
得ることができる。また、上記の各構成成分を混合し、
高圧吐出型乳化機により高圧吐出させることにより得る
こともできる。
【0026】
【実施例】次に実施例、試験例を挙げて本発明をさらに
詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例、試験例に
限定されるべきものではない。 (実施例1) N,N−ジオクタデシル-トランス−4−(アミノメチ
ル)シクロヘキサンカルボキサミドの合成 (1−1)トランス−4−(N−(ベンジルオキシカル
ボニル)−アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸5
83mg、ジオクタデシルアミン1.04gとベンゾト
リアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミ
ノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート973
mgのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(10
ml)−塩化メチレン(10ml)溶液に、トリエチル
アミン253mgを加え、室温で一夜攪拌した。水を加
え酢酸エチルで抽出し、有機層を順に希酸、水、希アル
カリ、水で洗い、無水硫酸マグネウムで乾燥し、減圧下
に濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付
し、クロロホルム溶出画分よりN,N−ジオクタデシル
−トランス−4−(N′−(ベンジルオキシカルボニ
ル)−アミノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド
1.3gを得た(収率82%)。
【0027】(1−2)水素雰囲気下、N,N−ジオク
タデシル−トランス−4−(N′−(ベンジルオキシカ
ルボニル)−アミノメチル)シクロヘキサンカルボキサ
ミド1.3g、10%パラジウム炭素260mgのエタ
ノ−ル(10ml)懸濁液を一夜攪拌した。触媒を濾過
後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグ
ラフィーに付し、5%メタノール−クロロホルム溶出画
分よりN,N−ジオクタデシル−トランス−4−(アミ
ノメチル)シクロヘキサンカルボキサミド430mgを
得た(収率40%、無色結晶、融点105−106
℃)。このものの機器分析データは、下記の式(2)の
構造を支持する。
【0028】1H-NMR(CDCl3)δ(ppm):3.27-3.16(4H,m),
2.87-2.82(2H,m),2.42-2.32(1H,m),2.05-1.97(2H,m),1.
88-1.40(9H,m),1,36-1.18(62H,m),1.12-1.00(2H,m)0.88
(6H,t,J=6.80)
【0029】
【化3】
【0030】(実施例2)実施例1で合成したN,N−
ジオクタデシル−トランス−4−(アミノメチル)シク
ロヘキサンカルボキサミドを膜構成成分として含有する
リポソームを下記の通りに調製した。実施例1で合成し
たN,N−ジオクタデシル−トランス−4−(アミノメ
チル)シクロヘキサンカルボキサミドを3μM、ジパル
ミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)を21μ
M、コレステロールを6μMを、容量10mlのナス型フ
ラスコに秤りとり、1mlのクロロホルムにて完全に溶解
する。エバポレータによりクロロホルムを減圧留去しフ
ラスコ内壁に脂質薄膜を形成する。次いで0.5μMの
カルセインを含む10mMTris−HCl緩衝液1m
Mをフラスコに加え、激しく振とう攪拌することによ
り、リポソーム(MLV)分散液を得た。
【0031】(試験例1) カルセインの封入率の測定 カルセインのリポソームへの封入率は、次のように求め
た。50倍に希釈したリポソーム懸濁液40μlを2.
0mlの10mMTris−HCl緩衝液に添加し、蛍
光強度を測定する(励起波長490mM,蛍光波長53
0nm)。この時の蛍光強度をFtとする。つぎに10
mMCoCl2水溶液を20μl添加しリポソームに封入
されなかったカルセインを消光させ、リポソームの内部
に封入されたカルセインの蛍光を測定する。この時の蛍
光強度をFinとする。さらに20%TritonX−
100溶液を20μl添加することにより、リポソーム
を破壊し、すべてのカルセインをCo2+と結合させ消光
させる。この時の蛍光強度を、Fqとする。リポソーム
の保持効率は以下の式にて計算される。
【0032】保持効率(%)=(Fin−Fq×r)/
(Ft−Fq×r)×100
【0033】式中のrは、リポソーム懸濁液および薬物
の添加に伴う反応液の体積変化を補正した値で本実験で
はr=(2.0+0.04+0.02+0.02)/2.0
=1.04である。結果、実施例2で調製したリポソ−
ム分散液の封入率(%)は、45.47であった。
【0034】(実施例3)実施例1で合成したN,N−
ジオクタデシル−トランス−4−(アミノメチル)シク
ロヘキサンカルボキサミドを膜構成成分として含有する
リポソームを下記の通りに調製した。N,N−ジオクタ
デシル−トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキサ
ンカルボキサミドを10μM、ジラウロイルホスファチ
ジルコリン(DLPC)を20μM、ジオレオイルホス
ファチジルエタノールアミン(DOPE)を2μM秤り
とり、1mlのクロロホルム溶液Aとする。0
【0035】クロロホルム溶液Aの20μlを容量10
mlのナス型フラスコに取りさらに1mlのクロロホル
ムを加えた。エバポレータによりクロロホルムを減圧留
去しフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。次いで、β−
galactosodaseの遺伝子を組み込んだプラスミドpcD
NA/Amp(Invitrogen社)20μgを溶解した水溶
液1mlをフラスコ内に加え、激しく振とう攪拌するこ
とによりDNA封入リポソームを得た。
【0036】(試験例2) 細胞の調製とトランスフェクション 細胞:大日本製薬株式会社より購入したCos−1細胞
(ATCC No. CRL-1650)を10%牛胎児血清(FCS)
を含むIscove's modified Dulbecco's medium(IMD
M)を用いて5%CO2,95%O2,37℃のインキュ
ベータ中で継代培養した。
【0037】トランスフェクション:10%FCS I
MDM培地(1ml)を添加した6穴マルチウェルプレ
ートに約2×104のCos−1細胞を加え細胞培養を
行った。約24時間培養後FCSを含まない新鮮培地と
交換し、0.2μgのDNAを含むリポソーム懸濁液を
加える。16時間培養後、10%FCS IMDM培地
にて培地交換し、さらに48時間培養した。細胞をホル
ムアルデヒドで固定し、β−galactosidaseの基質であ
る、5-bromo-4chloro-3-indolyl-β-galactopyranoside
(X-gal)を加え、β−galactosidaseを発現した細胞を
同定した。発色した細胞の全体に対する割合は、画像処
理により測定した。結果、実施例3で調製したリポソー
ムの導入細胞比率は14.6であった。また、比較とし
てリポフェクチン(ライフテクノロジー社製)を用いて
同様な試験をしたところ、導入細胞比率は5.9であっ
た。
【0038】(急性毒性)ICR系雄性マウス(5週
齢)を用いて経口および静脈内投与により急性毒性試験
を行った結果、本発明の化合物のLD50は、いずれも3
20mg/kg以上であり有効性に比べて高い安全性が
確認された。
【0039】
【発明の効果】上述した通り、本発明のトラネキサム酸
誘導体を構成成分とする薬物担体は、試験例に示される
ように、従来の薬物担体に比べ細胞への導入効率が高い
ことが明らかとなった。このような特徴から、薬学的に
許容し得る薬理的活性物質、生理的活性物質または診断
用物質を封入させた本発明の薬物担体は、治療および診
断という目的に対して非常に効果的である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で示されるトラネキサム
    酸誘導体を構成成分とする薬物担体。 【化1】 (式1中、R1、R2は同一または異なって、水素原子、
    炭素数10〜25のアルキル基またはアルケニル基であ
    る。)
  2. 【請求項2】前記担体の内部に診断および/または治療
    するための薬物を封入してなる請求項1記載の薬物担
    体。
  3. 【請求項3】前記担体の径が0.02〜250μmの大
    きさを有する微小粒子よりなる請求項1乃至請求項2に
    記載の薬物担体。
  4. 【請求項4】前記担体が巨大分子、微集合体、微粒子、
    微小球、ナノ小球、リポソームおよびエマルジョンのう
    ちの少なくとも一つから構成される請求項1乃至請求項
    3に記載の薬物担体。
  5. 【請求項5】前記担体がリン脂質あるいはその誘導体、
    および/またはリン脂質以外の脂質あるいはその誘導
    体、および/または安定化剤、および/または酸化防止
    剤、および/またはその他の表面修飾剤を含有する請求
    項1乃至請求項4に記載の薬物担体。
  6. 【請求項6】前記診断および/または治療するための薬
    物が、核酸、ポリヌクレオチド、遺伝子およびその類縁
    体である請求項1乃至請求項5に記載の薬物担体。
  7. 【請求項7】前記診断および/または治療するための薬
    物が、抗炎症剤、抗癌剤、酵素剤、酵素阻害剤、抗生物
    質、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、アン
    ジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体
    拮抗剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻
    害剤、ケミカルメデイエーターの遊離抑制剤、血管内皮
    細胞の増殖または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、
    メサンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害
    剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤あるいはラ
    ジカルスカベンチャーである請求項1乃至請求項5に記
    載の薬物担体。
  8. 【請求項8】前記診断および/または治療するための薬
    物が、グリコサミノグリカンおよびその誘導体である請
    求項1乃至請求項5に記載の薬物担体。
  9. 【請求項9】前記診断および/または治療するための薬
    物が、オリゴおよび/または多糖、およびそれらの誘導
    体である請求項1乃至請求項5に記載の薬物担体。
  10. 【請求項10】前記診断および/または治療するための
    薬物が、タンパク質またはペプチドである請求項1乃至
    5に記載の薬物担体。
  11. 【請求項11】前記診断および/または治療するための
    薬物が、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断
    薬、核磁気共鳴診断用診断薬等の各種体内診断薬である
    請求項1乃至請求項5に記載の薬物担体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001000174A1 (fr) * 1999-06-25 2001-01-04 Terumo Kabushiki Kaisha Liposomes

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