JPH10119510A - 雪氷路走行用の空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】雪氷路における走行性能を高める。 【解決手段】トレッド面２に、周方向溝３と横溝４とを
設けたブロックパターンを形成し、タイヤの接地面Ｓ
は、周方向長さｂが、タイヤ赤道Ｃからタイヤ軸方向の
接地端Ｅに向かって増加し最長部Ｍをへて前記接地端に
向かって漸減する蝶形の接地面形状を有し、前記最長部
の前記接地端からのタイヤ軸方向の距離ｌは、タイヤ赤
道と前記接地端との距離である接地半巾（ＴＷ／２）の
０．２５〜０．５５倍であり、前記最長部の周方向長さ
ｂは、タイヤ赤道での周方向長さａの１．０５〜１．２
５倍であるとともに、前記最長部に最も近接して配され
る周方向溝３Ｂは、その溝方向中心線ｍの最長部からの
距離ｚが前記接地半巾（ＴＷ／２）の０〜０．１倍とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、雪氷路における走
行性能を高めた雪氷路走行用の空気入りタイヤに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】雪氷路走行用のタイヤは、積雪路面上、
氷盤路面上を走行するため、高いグリップ力を必要と
し、ブロックパターンが主として採用される。又、接地
面Ｓの形状についても、接地圧の均等化を図り、耐摩耗
性を高めかつ操縦性を保持するため、例えば実開平１−
８７００３号に開示されかつ、図３（Ｂ）に示すように
矩形状をなすいわゆるＤ型が好ましい形状とされ、図３
（Ａ）に示すような輪郭が蝶状の形状をなすいわゆるＥ
型の使用は接地圧が不均等となる理由から回避の方向に
あり、タイヤ赤道での周方向長さａに対する最長部の周
方向長さｂの比ｂ／ａを１．０１〜１．０２の範囲に抑
制していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、氷雪路走行に
おいて、ショルダ部に配される周方向溝が雪氷路の走行
において大きく影響することが判明し、又この周方向溝
を設けることによって接地圧の不均等が高まり雪氷路走
行を阻害することを知り得たのである。

【０００４】本発明は、接地面の形状を前記周方向溝の
近傍で意識的に突出させて、従来は回避の方向にあった
Ｅ型の接地面の形状、しかもその突出代を大巾に増大さ
せることを基本として、雪氷路走行性能を大巾に向上し
うる雪氷路走行用の空気入りタイヤの提供を目的として
いる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、トレッド面
に、複数の周方向溝と横溝とを設けたブロックパターン
の雪氷路走行用の空気入りタイヤであって、正規リムに
リム組みし、規格最大内圧を充填しかつ規格最大荷重を
負荷した標準状態におけるタイヤの接地面は、この接地
面の周方向長さが、タイヤ赤道から接地面のタイヤ軸方
向の接地端に向かって増加し最大の周長さとなる最長部
をへて前記接地端に向かって漸減する蝶形の接地面形状
を有し、前記最長部の前記接地端からのタイヤ軸方向の
距離ｌは、タイヤ赤道と前記接地端とのタイヤ軸方向の
距離である接地半巾（ＴＷ／２）の０．２５倍以上かつ
０．５５倍以下であり、前記最長部の周方向長さｂは、
タイヤ赤道での周方向長さａの１．０５倍以上かつ１．
２５倍以下であるとともに、前記最長部に最も近接して
配される周方向溝は、その溝方向中心線ｍの前記最長部
からのタイヤ軸方向の距離ｚが前記接地半巾（ＴＷ／
２）の０以上かつ０．１倍以下であることを特徴とする
雪氷路走行用の空気入りタイヤである。

【０００６】本発明において、前記した如く、接地面と
タイヤ軸方向中間位置において、接地面の周方向長さが
最大となる最長部を形成するとともに、最長部に最も近
接する周方向溝をこの最長部に近接させて配している。
これによって周方向溝を配設することによって、従来接
地圧の不均等を招いていたサイドウォール領域におい
て、接地圧の均等化が図られ、耐摩耗性、操縦安定性が
高まるのみならず、雪氷路における制動性、乾燥路面に
おける旋回性能の向上を図ることが出来、雪氷路走行用
のタイヤとして、その性能を向上する。

【０００７】なお最長部に最も近接して配される周方向
溝がジグザグ溝である場合には、その溝中心線ｍは、ジ
グザグの振巾の中央点を通る周方向─とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づき説明する。図において雪氷路走行用空気
入りタイヤ１（以下空気入りタイヤ１という）は、トレ
ッド面２に複数本の周方向溝３…と、横溝４…とを設け
たブロックパターンを形成している。

【０００９】この空気入りタイヤ１は、外周面が前記ト
レッド面２をなすトレッド部１２と、その両端からタイ
ヤ半径方向内方に向かってのびるサイドウォール部１
３、１３と、これらのサイドウォール部１３、１３の半
径方向内方にそれぞれ位置する一対のビード部１４、１
４を有する中空のトロイド状をなす。

【００１０】又、空気入りタイヤ１は、前記トレッド部
１２からサイドウォール部１３を通りビード部１４に至
る本体部にビードコア１５でタイヤ軸方向内側から外側
に向かって折返して巻上げる巻上げ部を有するラジアル
配列のカーカスプライを、単数枚又は複数枚、本例では
２枚重ね合わせたカーカス１６と、トレッド部１２の内
部かつ前記カーカス１６の半径方向外側に配されるベル
ト層１７とを具える。

【００１１】又、ビード部１２には、ビードコア５の半
径方向外方かつカーカス１６の本体部と巻上げ部との間
で立上がり硬質のゴムからなる断面三角形状のビードエ
ーペックス１８が設けられる。

【００１２】前記カーカス１６は、ナイロン、レーヨ
ン、芳香族ポリアミドなどの有機繊維からなるカーカス
コードをタイヤ赤道Ｃに対して７０〜９０°の角度で傾
けた２枚のカーカスプライからなり、かつカーカスプラ
イ間で前記カーカスコードが互いに交差する向きに配し
ている。

【００１３】ベルト層１７は、ナイロン、レーヨン、芳
香族ポリアミドなどの有機繊維、又はスチールコードを
タイヤ赤道Ｃに対して１０〜４０度の角度で傾けて配し
た複数枚、本例では３枚のベルトプライからなる。

【００１４】前記トレッド面２には、本例ではタイヤ赤
道Ｃ上に中央の周方向溝３Ａが、又タイヤ赤道Ｃとトレ
ッド縁Ｅとの間のショルダ領域に一対の側の周方向溝３
Ｂ、３Ｂが配されている。これらの中央、側の周方向溝
３Ａ、３Ｂは、本例では何れもジグザグ溝として形成さ
れる。

【００１５】又、前記中央の周方向溝３Ａと側の周方向
溝３Ｂとの間、及び側の周方向溝３Ｂとトレッド縁Ｅと
の間には、それぞれの周方向溝３と交わる向きにのびる
複数の横溝４…が配され、これらの周方向溝３、横溝４
とによってトレッド面２に多数のブロックＢ…が形成さ
れ、これらのブロックＢ…によってトレッド面２にブロ
ックパターンが形成される。

【００１６】前記周方向溝３及び横溝４は、その溝巾Ｇ
Ｗがトレッド巾Ｗの０．０６〜０．１２倍、又溝深さＧ
Ｈを前記トレッド巾Ｗの０．０８〜０．１６倍の範囲に
設定される。

【００１７】なお本例では、中央の周方向溝３Ａと、側
の周方向溝３Ｂとの間に小巾かつ直線溝からなる縦細溝
２１、２１が配される一方、前記ブロックＢにはタイヤ
軸方向にのびるサイピング２２が施される。

【００１８】この空気入りタイヤ１を正規リムＪにリム
組みし、規格最大内圧を充填しかつ規格最大荷重を負荷
したときに該タイヤが接地する接地面Ｓが形成される。
この接地面Ｓの形状は、タイヤ赤道から接地面Ｓのタイ
ヤ軸方向接地端Ｆに向かって周方向長さが増加し、最大
の周長さとなる最長部Ｍを経て、前記接地端に向かって
漸減する蝶形状をなすいわゆるＥ型の接地面形状をな
す。このような接地面形状は、トレッド面２のタイヤ軸
方向の断面形状を規制することによって随意に形成しう
る。

【００１９】この最長部Ｍの前記接地端Ｆからのタイヤ
軸方向の距離ｌは、タイヤ赤道Ｃと接地端Ｆとのタイヤ
軸方向の距離である接地半巾（ＴＷ／２）の０．２５倍
以上かつ０．５５倍以下に設定される。

【００２０】０．２５倍未満では、接地端Ｆ付近で接地
圧が上がりすぎて乾燥路面における旋回走行時に旋回外
側に位置する接地端Ｆが踏ん張りすぎて限界を越えたと
きに急にタイヤが横すべりすることとなり旋回性能が低
下する。又０．５５をこえて大となると雪氷路における
走行性能は向上しない。

【００２１】又、前記最長部Ｍにおける周方向長さｂ
は、タイヤ赤道Ｃでの周方向長さａの１．０５倍以上か
つ１．２５倍以下としている。比ｂ／ａが１．０５未満
では、接地面の形状が図５（Ｂ）に示すようなＤ形に近
い形状となり、雪氷路における走行性能の向上は達成で
きない。好ましくは前記比ｂ／ａを１．１以上とするこ
とである。

【００２２】又前記比ｂ／ａが１．２５をこえて大とし
ても雪氷路における走行性能は向上せず、逆に雪氷路制
動性能に対して大きく関与するタイヤ赤道Ｃ近傍におけ
る接地周方向長さが減少することによる雪氷路性能の劣
化が出やすくなる。好ましくは比ｂ／ａを１．２以下と
することである。

【００２３】又、前記最長部Ｍに最も近接して配される
周方向溝３、本例では側の周方向溝３Ｂは、その溝方向
中心線ｍの前記最長部Ｍからのタイヤ軸方向の距離ｚが
前記接地半巾（ＴＷ／２）に対して０以上かつ０．１倍
以下としている。

【００２４】なお本例では、前記側の周方向溝３Ｂは、
タイヤ軸方向に振れるジグザグ溝であり、このようなジ
グザグ溝における溝方向中心線Ｍは、ジグザグの振巾ｎ
の中央点を通る周方向線としている。このような周方向
溝３をジグザグ溝として形成することにより、接地面Ｓ
の中央部分で接地周方向長さが減少することに起因した
雪氷路における制動性の低下を補うことが出来る。

【００２５】前記距離ｚが接地半巾（ＴＷ／２）の０．
１倍をこえて大となれば側の周方向溝３Ｂ部分の接地周
長さが充分ではなく雪氷路性能向上が達成できない。

【００２６】前記側の周方向溝３Ｂにおいて、ジグザグ
部分が最長部Ｍを通る周方向線と交差するよう溝方向中
心線ｍを位置づけることによって、さらに雪氷路性能を
高めうる。

【００２７】さらに前記側の周方向溝において、タイヤ
軸方向最内側に位置する溝壁上端部の最長部Ｍからの距
離ｆ１と、タイヤ軸方向最外側に位置する溝壁上端部の
前記最長部Ｍからの距離ｆ２との和（ｆ１＋ｆ２）を前
記トレッド半巾ＴＷ／２の０．１５倍以上かつ０．５０
倍以下にすることによって、雪氷路性能を一層高めう
る。より好ましくは０．３倍以上とすることである。

【００２８】なお本発明において、周方向溝は直線溝と
して形成することも出来、又接地面内に周方向溝を２本
又は４本以上配設してもよく、本発明は種々な態様のも
のに変形できる。

【００２９】

【実施例】タイヤサイズが２２５／６０Ｒ１７．５であ
り、かつ図１、２に示す構成を有するタイヤについて表
１に示す仕様で試作する（実施例１〜４、１１〜１２及
び２１、２２）とともに、その性能についてテストを行
った。なお本願構成以外のタイヤ（比較例１、２、１
１、１２及び２１、２２）についても併せてテストを行
いその性能の比較を行った。なおタイヤの主構成は実施
例、比較例とも同じであり表２に示す。

【００３０】テスト方法は次の通り。テストに際して、
テストタイヤを６．７５×１７．５のリムに装着し、
６．０kgｆ／cm² の内圧を付加するとともに、３．５to
n 積の小型トラックの全車輪に装着し、走行テストを行
った。

【００３１】１）氷上旋回性 氷盤路を走行しドライバーの官能により評価するととも
に、１００点法により比較例１を１００とする指数で評
価した。数値が大きいほど良好であり１１０以上が合格
値であることを示す。

【００３２】２）氷上制動性 氷盤路を走行し速度４０km／ｈから全車輪にブレーキを
かけ全車輪をロックさせて制動距離を測定するととも
に、比較例１を１００とする指数で表示した。数値が大
きいほど制動距離が短く良好であり、又９８以上が合格
値であることを示す。テスト結果を表１に示す。

【００３３】

【表１】

【００３４】

【表２】

【００３５】テストの結果、実施例のものは比較例のも
のに比しドライ旋回性を保持しつつ氷上旋回性、氷上制
動性などの雪氷路性能が向上したことが確認出来た。

【００３６】

【発明の効果】叙上の如く、本発明の空気入りタイヤ
は、前記構成を具えることにより、雪氷路走行性能を向
上しうる。

【００３７】又、周方向溝をジグザグ溝とすることによ
って、前記雪氷路における走行性能を一層向上しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の態様の一例を示すタイヤ軸方向
断面図である。

【図２】その接地面におけるトレッドパターンを示す平
面図である。

【図３】接地面の輪郭を示し、（Ａ）は本願、（Ｂ）は
従来例を示す平面図である。

【符号の説明】

２ トレッド面 ３、３Ａ、３Ｂ 周方向溝 ４ 横溝 Ｃ タイヤ赤道 Ｆ 接地端 Ｊ リム Ｍ 最長部 Ｓ 接地面 ＴＷ／２ 接地半巾

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トレッド面に、複数の周方向溝と横溝とを
   設けたブロックパターンの雪氷路走行用の空気入りタイ
   ヤであって、 正規リムにリム組みし、規格最大内圧を充填しかつ規格
   最大荷重を負荷した標準状態におけるタイヤの接地面
   は、この接地面の周方向長さが、タイヤ赤道から接地面
   のタイヤ軸方向の接地端に向かって増加し最大の周長さ
   となる最長部をへて前記接地端に向かって漸減する蝶形
   の接地面形状を有し、 前記最長部の前記接地端からのタイヤ軸方向の距離ｌ
   は、タイヤ赤道と前記接地端とのタイヤ軸方向の距離で
   ある接地半巾（ＴＷ／２）の０．２５倍以上かつ０．５
   ５倍以下であり、前記最長部の周方向長さｂは、タイヤ
   赤道での周方向長さａの１．０５倍以上かつ１．２５倍
   以下であるとともに、 前記最長部に最も近接して配される周方向溝は、その溝
   方向中心線ｍの前記最長部からのタイヤ軸方向の距離ｚ
   が前記接地半巾（ＴＷ／２）の０以上かつ０．１倍以下
   であることを特徴とする雪氷路走行用の空気入りタイ
   ヤ。
2. 【請求項２】前記最長部に最も近接して配される周方向
   溝は周方向にのびるジグザグ溝であり、その前記溝中心
   線ｍは、ジグザグの振巾の中央点を通ることを特徴とす
   る請求項１記載の雪氷路走行用の空気入りタイヤ。