JPH10119000A - トリミング型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 刃受け材の交換作業が容易で、かつ切刃と刃
受け材の接触具合を再現する調整作業の手間を大幅に軽
減し、三次元の変化のあるトリミング形状でも刃受け材
が簡単に施工できるトリミング型を提供すること。 【解決手段】 成形品Ｗを切断通過した切刃４を受け止
める刃受け材３がゴム硬度９０〜９７の弾力をもった材
質から成り、かつ断面形状がＵ字型になっており、該刃
受け材３が成形品Ｗのトリミングラインに沿って下型１
に設けた溝２に嵌め込まれている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車内装材をはじ
めとする樹脂成形品の製品形状を整えるトリミング型に
関するものであり、更に詳しくは該トリミング型におい
て成形品を切断し通過してきた切刃を受け止める刃受け
部分の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に樹脂成形品の製造工程内では、成
形後に不要部を切り取って製品形状を整える、いわゆる
トリミング作業が行われている。該トリミング作業は主
にプレス装置にトリミング型を備えた設備により実施さ
れている。以下その一例を簡単に説明する。プレス装置
の上テーブルにトリミング型の上型を取付ける。該上型
には切刃が備えられており、該切刃を成形品のトリミン
グラインに押し当て、プレス装置の押圧力により下型に
載置した成形品を切断する。切断の後、切刃は成形品を
通過して、下型に備えられている刃受け材に受け止めら
れる。該刃受け材は金属やプラスチックの板材から成
り、成形品のトリミングラインに沿った形で下型に貼り
付け、または埋め込むかたちで施工していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、繰り返しト
リミングを行い、切刃を受け止めることにより刃受け材
は消耗するので、定期的に交換する必要がある。しか
し、通常刃受け材は下型にボルトや接着剤等でしっかり
と固定してあり、そのため消耗した刃受け材を取り外し
たり、また新しい刃受け材を取り付けたりする作業が煩
雑であった。また、刃受け材を交換すると切刃と刃受け
材の接触具合が微妙に変わってしまい、成形品の切れ具
合に影響を及ぼし、切断不良の原因にもなっていた。そ
のため交換後は切刃と刃受け材の接触具合を交換前の良
好な切断状態を再現する調整作業が不可欠であったが、
この作業は多大の時間と労力を要していた。さらに、成
形品によってはトリミングラインの形状が三次元で変化
していることがあり、そのような場合にトリミングライ
ンに沿って金属やプラスチックの板材から成る刃受け材
を下型に施工することは大変困難であった。本発明は上
記の問題を解決するために成されたものであり、刃受け
材の交換作業が容易で、かつ切刃と刃受け材の接触具合
を再現する調整作業の手間を大幅に軽減し、三次元の変
化のあるトリミング形状でも刃受け材が簡単に施工でき
るトリミング型を提供することを目的とするものであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明におけるトリミング型は、成形品を切断通過し
た切刃を受け止める刃受け材がゴム硬度９０〜９７の弾
力をもった材質から成り、かつ断面形状がＵ字型になっ
ており、該刃受け材が成形品のトリミングラインに沿っ
て下型に設けた溝に嵌め込まれていることを特徴として
いる。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１に基づ
いて詳しく説明する。１はトリミング型の下型であり、
上部に成形品Ｗが載置してある。下型１には成形品Ｗの
トリミングラインに沿った個所に、Ｒ４のボールエンド
ミルで深さ１５ミリのＵ溝となるように溝加工を施し、
溝２が設けてある。該溝２に刃受け材３として、高さ１
５×幅８．２ミリのＵ字型のウレタンゴムの長尺物を嵌
め込んである。該ウレタンゴムのゴム硬度は９２であ
る。なお、４は切刃、５は刃付け台で、図示しない上型
に取り付けられている。上記のように構成したトリミン
グ型においても、成形品Ｗの切断方法は従来と同じで、
図２のように上型に備えた切刃４を成形品Ｗのトリミン
グラインに押し当て、プレス装置の圧力を利用して切断
する。切断後、成形品Ｗを通過した切刃４を刃受け材３
が受け止める。このとき、刃受け材３に切刃４の先端が
部分的に多少くい込んで切り口が出来ても、刃受け材３
には弾性があるので小さな切り口は復元してふさがって
しまう。そのため切刃４と刃受け材３の細かな接触具合
の調整が必要でなくなる。

【０００６】このようにトリミングを繰り返して古くな
った刃受け材３を交換する工程を以下説明する。まずド
ライバー等で溝２から古い刃受け材３を引っ張り出して
取り外す。そして溝２に新しい刃受け材３の丸い方を溝
２の底へ向けて木ハンマー等で打ち込む。刃受け材３を
溝２に固定するための特別な施工は必要なく、ウレタン
ゴムの弾性のみで溝２の壁に固定される。成形品Ｗのト
リミングラインが三次元形状を成していても、図３のよ
うに溝２はボールエンドミルにより正確に設けられ、そ
こに嵌め込む刃受け材３はウレタンゴム即ち形状に合わ
せて手曲げ可能な弾力があるので、従来困難であった三
次元形状の施工でも簡単に行うことが出来る。本実施の
形態では刃受け材３にウレタンゴムを使用したが、ゴム
硬度９０〜９７の弾力をもつ材質であれば、ウレタンゴ
ムに限定するものではない。刃受け材３の材質の弾力を
ゴム硬度９０〜９７に限定した理由は、ゴム硬度９０よ
り小さい即ち軟らかすぎると、成形品Ｗが切刃４の圧力
を受けても下の刃受け材３が逃げてしまい、成形品Ｗに
切断力がかからず切断できないからである。また、ゴム
硬度が９７より大きい即ち硬すぎると、成形品Ｗを切断
貫通してきた切刃４を受け止めたとき刃受け材３に出来
る切り口が復元せずふさがらないので、その後の切断不
良の原因になるからである。同時にその場合刃受け材３
の消耗が早いことも要因にあげられる。

【０００７】

【発明の効果】本発明によるトリミング型は上記の説明
から明らかなように、刃受け材をゴム硬度９０〜９７の
弾性のある材質のものとし、さらに断面形状をＵ字型に
したことにより、ハンマー等で打ち込むだけで嵌め込む
ことができる。また、ボルトや接着剤等を使用せずに固
定できるので、取り外しも簡単に行うことができる。よ
って、刃受け材の交換作業が著しく容易になる。また、
刃受け材に弾性があることで切断時に切刃の先端が刃受
け材に多少くい込んでも構わないので、切刃と刃受け材
の接触具合の微調整が不要になる。さらに、下型の溝は
ボールエンドミルにより正確に設けられ、そこに嵌め込
む刃受け材は形状に合わせて手曲げ可能な弾力があるの
で、従来困難であった三次元形状のトリミングラインの
刃受け材の施工でも簡単に行うことが出来る。以上のよ
うに本発明のトリミング型は、従来の問題点を解決し作
業効率の向上に大いに役立つ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す、トリミング型の要
部縦断面図である。

【図２】本発明のトリミング型による成形品切断時の要
部縦断面図である。

【図３】本発明のトリミング型の下型の要部斜め俯瞰図
である。

【符号の説明】

１ 下型 ２ 溝 ３ 刃受け材 ４ 切刃 Ｗ 成形品

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂成形品をトリミングするトリミング
   型において、成形品Ｗを切断通過した切刃４を受け止め
   る刃受け材３がゴム硬度９０〜９７の弾力をもった材質
   から成り、かつ断面形状がＵ字型になっており、該刃受
   け材３が成形品Ｗのトリミングラインに沿って下型１に
   設けた溝２に嵌め込まれていることを特徴とするトリミ
   ング型。