JPH10116571A - 投射型陰極線管装置 - Google Patents

投射型陰極線管装置

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JPH10116571A
JPH10116571A JP8270956A JP27095696A JPH10116571A JP H10116571 A JPH10116571 A JP H10116571A JP 8270956 A JP8270956 A JP 8270956A JP 27095696 A JP27095696 A JP 27095696A JP H10116571 A JPH10116571 A JP H10116571A
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JP
Japan
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ray tube
cathode ray
projection type
electromagnetic
type cathode
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JP8270956A
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English (en)
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Tetsuo Asano
哲夫 浅野
Katsuichi Wakita
勝一 脇田
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Hitachi Ltd
Hitachi Electronic Devices Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Electronic Devices Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】静電集束型電子銃のビーム電流の増大に伴うビ
ームスポット径の拡大を抑制して全電流閾値での解像度
を向上させる。 【解決手段】パネル部2aとファンネル部2bおよびネ
ック部2cからなる真空外囲器と、前記パネル部2a
の内面に形成された蛍光面4と、前記ネック部2c内に
収納されて電子ビームを発生するカソードと前記蛍光面
4に電子ビーム7を放射する静電集束レンズ系を備えた
電子銃5とを備えた投射型陰極線管装置において、前記
ネック部2cの外周で前記カソードと静電集束レンズ系
の間に前記蛍光面4上の電子ビーム7のフォーカスを制
御するための電磁集束レンズ8を形成する電磁集束コイ
ル6を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陰極線管装置に係
り、特に投射型陰極線管のパネル上に形成した画像を光
学系を介してスクリーン上に拡大投射するための投射型
陰極線管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビ映像、情報端末装置のモニター画
像、その他の各種の画像を再生する手段として陰極線管
を用いたものが広く用いられている。
【0003】特に、大サイズの画像表示画面を得る手段
として、所謂陰極線管のパネル部に形成した映像を投射
レンズ系を介してスクリーン上に拡大投射する投射型映
像表示装置が知られている。
【0004】この種の陰極線管は投射型陰極線管と称さ
れ、近年のカラー画像の再生装置では例えば赤(R)、
緑(G)、青(B)の原色の再生を担当する3本の投射
型陰極線管を備え、それぞれのパネルに形成した単色画
像を上記投射レンズ系で光学的に合成することにより、
大画面のカラー画像を得るように構成されている。
【0005】図10は投射型画像再生装置の光学系を説
明する概略構成図であって、71a,71b,71cは
3色(R,G,B)の画像をそれぞれ再生する投射型陰
極線管、72a,72b,72cは各投射型陰極線管の
パネル(の内面に塗布した蛍光面)に形成した画像を拡
大投射するための投射レンズ系、73は3色の画像を合
成してカラー画像とするスクリーンである。
【0006】なお、上記のように、各色ごとの画像を1
本の投射型陰極線管のパネルに形成して、これを拡大投
射する形式のカラー画像再生装置もあるが、パネル上に
形成される画像の輝度は同一パネルサイズでは上記の3
本の投射型陰極線管を用いるものに比べて原理的には1
/3であるため、高輝度画像の再生装置としては3本の
投射型陰極線管を用いる方式が多く採用されている。
【0007】3本の投射型陰極線管を用いた画像再生装
置では、その投射型陰極線管のパネルに形成される画像
の輝度・解像度特性等の表示品質が直接再生画像の画質
を左右する。
【0008】この種の投射型陰極線管における電子ビー
ムの集束制御方法として、電磁集束型と静電集束型があ
る。そして、静電集束型は、電子銃の構造によってバイ
ポテンシャル(BPF)形とユニポテンシャル(UP
F)形とに大きく分類され、それぞれ長所と短所をも
つ。
【0009】表示画像の解像度を向上するための大口径
の集束レンズを構成できる電磁集束形が有利であるが、
陰極線管の全長が長くなることから、画像再生装置全体
が大きくなり、かつ重量も重くなる。
【0010】そのため、小型・軽量かつコンパクトな映
像再生装置には静電集束型のUPF形電子銃を用いた投
射型陰極線管が多く使用されている。
【0011】なお、静電集束型電子銃の特質に関する事
項については、特公平2−53905号公報、特公平2
−70731号公報に詳述されている。
【0012】図11は従来の静電集束型電子銃を備えた
投射型陰極線管の構成例を説明する断面模式図であっ
て、74はガラスバルブ、74aはパネル部、74bは
コーン部、74cはネック部、75は陽極端子、76は
蛍光面、77は電子銃、78は電子ビームである。
【0013】この投射型陰極線管71のネック部74c
に収納される電子銃77は静電集束形UPF電子銃であ
り、パネル部74aの内面には画像を形成するための蛍
光面76が塗布されており、コーン部74bに設けた陽
極端子75に最高電圧(陽極電圧)が印加され、電子銃
77から発射された電子ビーム78が径φのスポツトを
形成する。
【0014】電子銃77は、カソードK、第1グリッド
G1、第2グリッドG2、第3グリッドG3、第4グリ
ッドG4、および第5グリッドG5とから構成される。
【0015】陽極端子75に印加される陽極電圧は図示
しないコンタクトスプリングを通して第5グリッドG5
と第3グリッドG3に印加され、第4グリッドG4には
陽極電圧より相対的に低い電圧が印加されてUPF電子
銃が形成される。
【0016】電子ビーム78はカソードKに印加される
画像信号によって強度変調され、制御電圧である第1グ
リッドG1と加速電極である第2グリッドG2で制御、
加速されながら第1陽極電極G3と第2陽極電極G5お
よび集束電極G4の電位差で形成される静電集束レンズ
により集束されて蛍光面76上に径φのスポツトを形成
して蛍光面を形成する蛍光体を励起して発光させる。
【0017】なお、コーン部74bとネック部74cの
遷移領域には図示しない偏向ヨークが装架されており、
蛍光面76の全面に電子ビームを走査することによって
二次元の広がりをもつ画像を形成する。
【0018】このようにして形成される蛍光面76上の
表示画質として、発光輝度が高いこと、解像度が高いこ
と(スポツト径φが小さい程解像度が高くなる)が要求
される。
【0019】投射型陰極線管71の蛍光面76上に形成
される表示画質は、当該蛍光面76を構成する蛍光体自
体の発光特性に起因する要因と、これを励起する電子ビ
ームを放射する電子銃77の特性に起因する要素とがあ
るが、主たる要因は電子銃の設計構造にある。
【0020】図12は従来の投射型陰極線管の特性例を
説明するためのビーム電流対ビームスポツト径特性の説
明図であって、横軸はビーム電流(相対値)を、縦軸は
ビームスポツト径(相対値)を示す。
【0021】同図横軸のビーム電流(mA)は蛍光面上
の発光輝度を代替的に示し、説明上、輝度の低い領域を
低領域、輝度の高い領域を高領域、中間輝度の領域を中
領域とし、縦軸のビームスポツト径は同じく解像度を代
替的に示す。
【0022】同図において、(II)と(III)ははそれぞ
れ異なる設計構造の電子銃の特性曲線であり、(II)の
電子銃は低領域での解像度重視設計、(III)の電子銃は
高領域での解像度重視設計である。
【0023】実際の投射型陰極線管には、要求される輝
度の全領域での解像度が実用上許容し得る同図(I)に
示す特性の静電集束型UPF形電子銃が採用される。
【0024】なお、BPF形電子銃については、特に図
示しないが、ビーム電流とビームスポツト径の関係は図
12に示した傾向と同様であり、画面輝度を高くすると
ビームスポツト径は大きくなり、その結果として解像度
が低下する傾向の現象は回避できない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の投射型
陰極線管を用いて軽量・コンパクト、かつ鮮明な画像再
生特性をもつ投射型画像表示装置を実現するためには、
パネル部すなわち蛍光面に形成される画像の輝度、解像
度等の画質を改善し、その特性向上を行うことが必要条
件である。
【0026】一例として、スクリーン上に拡大投射した
再生画像の輝度特性Bを考えると、輝度特性をBと投射
型陰極線管の表示画面輝度B0 の輝度との関係は、 B=(B0 ×T×G)/{4f2 (M+1)2 } 但し、B:スクリーン上の輝度 B0 :投射型陰極線管の蛍光面輝度 G:スクリーンの利得 T:投射光学系の透過率 f:投射光学系のfナンバー M:再生画像の拡大率 となる。
【0027】上記の関係式から明らかなように、再生画
像の拡大率Mと投射型陰極線管の蛍光面の輝度B0 が支
配的であることが分かる。例えば、M=6での概算値で
はスクリーン上の輝度は1/35程度となり、期待され
ている輝度(少なくとも、1,000cd/m2 程度)
に対しては更に改善を必要としていることを示してい
る。
【0028】投射型陰極線管の蛍光面の輝度を高める手
法としては、陽極端子から印加する陽極電圧を高くする
方法もあるが、その場合、X線の発生が増大するため、
これを防護する対策を施す必要がある。
【0029】また、他の手法として、ビーム電流(前記
した電子ビーム量の代替特性)を増加する方法もある
が、ビーム電流を増加するとビームスポツト径が大きく
なり、解像度が大きく低下するという問題をもたらす。
【0030】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解消し、小型・軽量かつコンパクトで鮮明な再生画像を
得ることのできる投射型陰極線管装置を提供することに
ある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の投射型陰極線管に用いる静電集束型UPF形電子銃と
して、本発明は、基本的には、前記図12に示した(I
I) の特性の低領域の解像度重視の設計構造を採用し、
高領域では電子銃のビーム発生領域の近傍に電磁コイル
を設けて、その電磁コイルによる電磁集束レンズでビー
ムの発散量を制御する静電集束と電磁集束とを併用した
複合型電子銃としたことを特徴とする。
【0032】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、パネル部とファンネル部およびネック部からなる真
空外囲器と、前記パネル部の内面に形成された蛍光面
と、前記ネック部内に収納されて電子ビームを発生する
カソードと前記蛍光面に電子ビームを放射する静電集束
レンズ系を備えた電子銃とを備えた投射型陰極線管装置
において、前記ネック部の外周で前記カソードと静電集
束レンズ系の間に前記蛍光面上の電子ビームのフォーカ
スを制御するための電磁集束レンズを形成する電磁集束
コイルを備えたことを特徴とする。
【0033】また、請求項2に記載の第2の発明は、パ
ネル部とファンネル部およびネック部からなる真空外囲
器と、前記パネル部の内面に形成された蛍光面と、前記
ネック部内に収納されて前記蛍光面に電子ビームを放射
する静電集束レンズ系を備えた電子銃とを備えた投射型
陰極線管装置において、前記電磁集束コイルに、前記電
子銃に供給される画像信号レベルに応じて変化するフォ
ーカス電流または電圧を印加するフォーカス制御手段を
備えたことを特徴とする。
【0034】そして、請求項3に記載の第3の発明は、
第2の発明における前記フォーカス制御手段を、画像信
号回路からカソードドライブ回路に出力されるビデオ信
号の大きさに応じた電流または電圧を前記電磁集束コイ
ルに供給する電磁コイルドライブ回路から構成したこと
を特徴とする。
【0035】図13は本発明による投射型陰極線管の作
用を説明するためのビーム電流対ビームスポツト径特性
の説明図であって、横軸はビーム電流(相対値)を、縦
軸はビームスポツト径(相対値)を示す。
【0036】本発明では、低領域(2mA以下)でのビ
ームスポツト径(解像度)を重視した設計構造の電子銃
を基本とする。その特性は、同図にa点−d点−b点で
結んだ曲線(II) で表され、ビーム電流がd点(2.5
mA)近傍から増加する領域で、電子銃構造で決まる電
子ビームの発散現象に起因する特性によるビームスポツ
ト径の拡大が著しい。
【0037】このビームスポツト径が拡大する領域(中
領域から高領域)での電子ビームに対して、ネック部に
電磁コイルを設置して電磁集束レンズを形成し、図中
で示した上記の発散領域の電子ビームを電磁的に集束す
る。
【0038】この電磁集束コイルによる集束レンズの強
さを電子ビームの電流量に連動させることで同図にa点
−d点−c点を結んだ曲線(IV)に示した特性が得られ
る。
【0039】電磁コイルによる集束レンズの強さを電子
ビームの電流量に連動させる手段としては、電子銃に供
給される画像信号レベルに応じて変化するフォーカス電
流または電圧を電磁集束コイルに印加するフォーカス制
御手段を備える。
【0040】そして、フォーカス制御手段としては、投
射型画像表示装置の映像信号回路からカソードドライブ
回路に出力される画像信号の大きさに応じた電流または
電圧を前記電磁集束コイルに供給する電磁コイルドライ
ブ回路を設ける。
【0041】これにより、小型・軽量、かつコンパクト
でビーム電流の大きさに係わらずに常に高解像度を有す
る投射型陰極線管が得られる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図示した実施例を参照して詳細に説明する。
【0043】図1は本発明による投射型陰極線管装置の
1実施例を説明する断面模式図であって、1は投射型陰
極線管、2はガラスバルブ、2aはパネル部、2bはコ
ーン部、2cはネック部、3は陽極端子、4は蛍光面、
5は電子銃、6は電磁集束コイル、7は電子ビーム、8
は電磁集束レンズである。
【0044】この実施例は、前記した静電集束・電磁集
束を併用した複合径投射型陰極線管装置であり、電子銃
5はUPF形である。
【0045】同図において、投射型陰極線管1は、パネ
ル部2aとコーン部2bおよびネック部2cからなる真
空外囲器(ガラスバルブ2)の上記パネル部2の内面に
蛍光面4が塗布され、ネック部2c内に電子銃5は収納
されている。
【0046】コーン部2bには陽極端子3が設けてあ
り、コーン部2bとネック部2cの遷移領域には図示し
ない偏向ヨークが外装されている。
【0047】そして、ネック部2cの第1陽極G3の近
傍外周に電磁集束コイル6が設置されている。
【0048】電子ビーム7は、カソードKから発生さ
れ、制御電極である第1グリッドG1、加速電極である
第2グリッドG2で加速されて第1陽極である第3グリ
ッドG3と第2陽極である第5グリッドG5および集束
電極である第4グリッドG4で構成される主レンズを通
過する。
【0049】第3グリッドG3と第5グリッドG5には
陽極端子3から陽極電圧が供給され、第4グリッドG4
には陽極電圧より相対的に低い電圧が印加されて、所謂
UPF形主レンズを形成している。
【0050】電磁集束コイル6には、カソードKに印加
される画像信号の大きさに応じて変化するフォーカス制
御電圧が印加される構成となっている。
【0051】すなわち、電子ビーム7の電流値が低領域
にある低輝度画像の場合は電磁集束コイルには殆ど電流
が供給されず、当該電子銃の特性である低領域での解像
度は良好な状態を保つ。
【0052】一方、電子ビームの電流値が中領域に移
り、さらに高領域に変化する高輝度画像の場合は、カソ
ードKに印加される画像信号レベル(主として、輝度信
号)に応じた電流が電磁集束コイル6に供給され、電子
ビームを集束してスクリーン上のスポツト径φを小さく
させる。
【0053】図2は本発明による投射型陰極線管装置の
電子銃の構成と動作を説明する断面模式図であって、a
はビーム形成領域、bは集束レンズ形成領域、9は静電
集束レンズ、9aは第1静電集束レンズ、9bは第2静
電集束レンズ、図1と同一符号は同一部分に対応する。
【0054】この電子銃の機能は、電子ビーム7を形成
するビーム形成領域aと電子ビーム7を蛍光面4に集束
する集束レンズ形成領域bとからなり、ビーム形成領域
aではカソードKで発生した電子を制御電極である第1
グリッドG1の電圧(EG1)とカソードKの電圧
(EK )との差と加速電圧である第2グリッドG2の電
圧(EG2)によりビーム状となし、第2グリッドG2と
第3グリッドG3の間にクロスオーバー7Aを作る。な
お、同図では第1グリッドG1を制御電極としたが、第
2グリッドG2を制御電極とする場合もある。
【0055】集束レンズ形成領域bでは、第1陽極電極
である第3グリッドG3と第2陽極電極である第5グリ
ッドG5に印加される陽極電圧(Eb )に対して集束電
極である第4グリッドG4の電圧(EG4)の電位差(通
常、EG4/Eb が0.2〜0.3)で形成される静電集
束レンズ9(9a,9b)によってクロスオーバー7A
から発散する電子ビーム7を蛍光面4上に集束する。
【0056】図3は図2に示した電子銃の要部における
特性の説明図であって、(a)はビーム電流−表示輝度
特性、(b)はカソード電圧−ビーム電流特性、(c)
はビーム電流−ビーム発散量特性、(d)はビーム発散
量−ビームスポツト特性、(e)は集束電圧−ビームス
ポツト径特性、(f)は電磁集束強度−ビーム発散量特
性を示す。
【0057】ビーム形成領域aでは、同図(a)に示す
ように、ビーム電流が増大すると表示輝度は高くなり、
カソード電圧が高くなるとビーム電流は減少する
(b)。一方、ビーム電流が増大すると、(c)に示し
たように図2のクロスオーバー7Aから発散する電子ビ
ームの発散角が大きくなる(ビーム発散量が増大す
る)。すなわち、ビーム電流が増加すると、ビームの発
散角θがθ1 からθ2 に変化する。このような現象は電
子銃がもつ宿命である。
【0058】また、集束レンズ形成領域bでは、同図
(d)に示したように、ビーム発散量が大となると蛍光
面上でのビームスポツト径(φ)は大きくなる。また、
同図(e)に示したように、集束電圧の変化に対して
は、特定の集束電圧にビームスポツト径の最小極限値が
存在する。さらに、電磁集束強度が大きくなるとビーム
発散量は小さくなる(f)。
【0059】静電集束型の電子銃では、電子ビームの特
性、例えばビームスポツト径はその電子銃の設計条件と
構造によって決まる。また、蛍光面の表示輝度を高くす
る手法として、ビーム電流を大きくする方法があり、ビ
ーム電流と表示輝度の関係(同図(a))では、ビーム
電流に比例して表示輝度が高くなることから、表示輝度
をビーム電流で調整できるが、ビーム電流を増大するこ
とによる弊害として同図(c)に示したようにビーム発
散量が増加する。そして、ビーム発散量が増加すると同
図(d)に示したようにビームスポツト径が大きくなっ
てしまい、解像度が低下する。
【0060】このように、ビームの発散角θが大きくな
ると、集束レンズ9の球面収差による影響が大きくな
り、ビーム電流の増大に伴って蛍光面上でのビームスポ
ツト径が加速度的に大きくなり、解像度が低下すること
になる。
【0061】特に、投射型陰極線管には広範囲の輝度特
性が要求されるものであることから、輝度を大きくする
ためのビーム電流の増加は画像品質を大幅に劣化させる
ことになる。
【0062】本実施例では、電子銃の集束レンズ形成領
域bに電磁集束コイル6を設置し、この電磁集束コイル
6にカソードKに印加する駆動電流(画像信号)の増大
に連動して増大する電流または電圧を印加することによ
って、同図(f)に示したようにビーム発散量を抑制す
る。
【0063】図4は画像信号入力と表示画像の状態との
関連の説明図であって、(a)は投射型陰極線管の画面
状態、(b)は入力する画像信号を示す。
【0064】表示画面は(b)に示すE0 はカソードド
ライブ動作範囲の電圧であり、カソードドライブ回路で
増幅された電圧信号である画像信号a1 , 2 , 3 ,
4,・・・an が時間t1,2,3,4 ,・・・tn
でカソードに印加される。
【0065】カソードドライブ動作範囲の電圧E0 と画
像信号a1 , 2 , 3 , 4 ,・・・an の電圧の差
(E0 −a1 )=E1,(E0 −a2 )=E2,(E0 −a
3 )=E3,(E0 −a4 )=E4 ,・・・(E0
n )=En がカソード電圧(相対値)となり、この電
圧に応じて(a)に示したようにビーム電流(相対値)
が変化し、蛍光面の発光輝度が変化する。
【0066】本実施例では、上記したカソードドライブ
電圧に連動した電流あるいは電圧を電磁集束コイル6に
供給することにより、ビーム電流が大きい場合は当該ビ
ームの発散量を抑制して蛍光面上でのビームスポット径
φを小さくするように構成したものである。
【0067】図5は本発明による投射型陰極線管のフォ
ーカス制御手段の構成例の説明図であって、81は画像
信号回路、82はカソードドライブ回路、83は電磁集
束コイルドライブ回路、図1と同一符号は同一部分に対
応する。
【0068】また、図6は図5の構成の動作説明図であ
って、(a)はカソード電圧−ビームスポット径の関係
図、(b)はカソード電圧−電磁集束コイル電流の関係
図である。
【0069】図5において、画像信号回路81は色分離
後の各色の画像信号を処理してカソードドライブ回路8
2に与える。カソードドライブ回路82は画像信号回路
81から入力した画像信号に所定の電力増幅を施して投
射型陰極線管のカソード5に供給する。これと同時
に、カソードドライブ回路82はカソード5に供給する
画像信号に比例した信号を電磁集束コイルドライブ回路
83に与える。電磁集束コイルドライブ回路83は画像
信号に比例した信号に基づいた大きさの電流を電磁集束
コイル6に供給し、カソード5から発射された電子ビー
ム7の発散量を制御することによって、蛍光面4上に形
成されるビームスポット径の拡大を抑制する。
【0070】カソード電圧の大きさによるビームスポッ
ト径の拡大は、図6の(a)に示したように、aの点か
ら大きくなり、これが解像度の劣化をもたらす。なお、
(a)のカソード電圧はカソードドライブ範囲の電圧E
0 と画像信号電圧an の差(E0 −an )であるので、
画像信号電圧の増大はカソード電圧の減少となる。
【0071】図6の(b)には電磁集束コイルドイライ
ブ回路83から電磁集束コイル6に供給される制御電流
の一例を示す。
【0072】この例では、電磁集束コイル6に流す電流
値を前記(a)のa点からE0 までを4分割した電圧値
に対応させた電流を作成し、これを電磁集束コイル6に
供給する構成としている。
【0073】図7は本実施例による投射型陰極線管のビ
ーム電流−ビームスポット径の特性の説明図であって、
横軸にビーム電流の相対値(mA)を、縦軸に蛍光面上
でのビームスポット径の相対比を取って示す。
【0074】本実施例の投射型陰極線管は、静電集束型
UPF形電子銃を基本とした低領域解像度特性を重視し
た設計構造をもち、(I)は比較のために示す従来の静
電集束型UPF形電子銃を備えた投射型陰極線管の平均
的特性を、 (II) は本実施例に用いた静電集束型UPF
形電子銃を備えた投射型陰極線管の特性を、 (III)は電
磁集束コイルを装架した本実施例の静電集束型UPF形
電子銃を備えた投射型陰極線管装置の特性を示す。
【0075】同図において、本実施例の投射型陰極線管
装置の特性 (III)は、従来の静電集束型UPF形電子銃
を備えた投射型陰極線管特性(I)に較べて、低領域
(例えば、ビーム電流が1mAのa点)でのビームスポ
ット径、および高領域(例えば、ビーム電流が7mAの
b点)でのビームスポット径共、優れた解像度が得られ
る。
【0076】すなわち、静電集束型電子銃の弱点であっ
た高領域でのビームスポット径をネック部に外装した電
磁集束コイルで発生させる電磁レンズで抑制することに
より、従来の性(I)に較べて22%、電磁集束コイル
を用いない (II) に対しては27%も改善されている。
【0077】ビーム電流は表示画面の輝度を、またビー
ムスポット径は表示画像の解像度を示す代替特性である
ことから、本実施例によれば、小型・軽量、かつコンパ
クトな投射型画像表示装置を提供できる。
【0078】図8は本発明の投射型陰極線管装置を用い
た背面投射型テレビ受像機の概略正面図、図9は図8を
側面から見た概略断面図である。
【0079】同各図において、投射型テレビ受像機のセ
ットの下方に設置された投射型陰極線管71のネック部
に外装した電磁集束コイル6を有する投射型陰極線管装
置のパネルにはカップラー70を介して投射レンズ72
が取付けられており、この陰極線管装置のパネルに形成
された画像を投射レンズ72で拡大し、背面に設置され
たミラー79で前面に設置されたスクリーン73上に投
射される。
【0080】受像機セット内に設置された画像処理回路
80には、通常の画像信号処理回路に加えて、前記図5
で説明した電磁集束コイルドライブ回路83が備えられ
おり、カソード電圧に連動した集束補正電流が電磁集束
コイル6に供給される構成となっている。
【0081】なお、図9では投射型陰極線管は1個のみ
示してあるが、カラー画像の表示のために、前記図10
で説明したように3個の投射型陰極線管が設置されてお
り、それぞれの投射型陰極線管について、上記図5で説
明した構成を備えている。
【0082】また、上記実施例では、電磁集束コイルに
画像信号レベルに応じて変化する電流を供給するものと
して説明したが、これに代えて画像信号レベルに応じて
変化する電圧を印加する構成とすることもできる。
【0083】上記構成とした投射型テレビ受像機によれ
ば、ビーム電流の増加による解像度の劣化が要請され、
小型・軽量、かつコンパクトな投射型画像再生装置を得
ることができる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
静電集束型電子銃の利点である低領域での良好な解像度
特性を利用し、高領域では電子銃中で電子ビームの発散
量を制御する外付けの電磁集束コイルによる電磁集束を
用いることで、全電流領域で高解像度を実現でき、常に
高品質の画像表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投射型陰極線管装置の1実施例を
説明する断面模式図である。
【図2】本発明による投射型陰極線管装置の電子銃の構
成と動作を説明する断面模式図である。
【図3】図2に示した電子銃の要部における特性の説明
図である。
【図4】画像信号入力と表示画像の状態との関連の説明
図である。
【図5】本発明による投射型陰極線管のフォーカス制御
手段の構成例の説明図である。
【図6】図5の構成の動作説明図である。
【図7】本発明による投射型陰極線管の実施例のビーム
電流−ビームスポット径の特性の説明図である。
【図8】本発明の投射型陰極線管装置を用いた背面投射
型テレビ受像機の概略正面図である。
【図9】図8を側面から見た概略断面図である。
【図10】投射型画像再生装置の光学系を説明する概略
構成図である。
【図11】従来の静電集束型電子銃を備えた投射型陰極
線管の構成例を説明する断面模式図である。
【図12】従来の投射型陰極線管の特性例を説明するた
めのビーム電流対ビームスポツト径特性の説明図であ
る。
【図13】本発明による投射型陰極線管の作用を説明す
るためのビーム電流対ビームスポツト径特性の説明図で
ある。
【符号の説明】
1 投射型陰極線管 2 ガラスバルブ 2a パネル部 2b コーン部 2c ネック部 3 陽極端子 4 蛍光面 5 電子銃 6 電磁集束コイル 7 電子ビーム 8 電磁集束レンズ。
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パネル部とファンネル部およびネック部か
    らなる真空外囲器と、前記パネル部の内面に形成された
    蛍光面と、前記ネック部内に収納されて電子ビームを発
    生するカソードと前記蛍光面に電子ビームを放射する静
    電集束レンズ系を備えた電子銃とを備えた投射型陰極線
    管装置において、 前記ネック部の外周で前記カソードと静電集束レンズ系
    の間に前記蛍光面上の電子ビームのフォーカスを制御す
    るための電磁集束レンズを形成する電磁集束コイルを備
    えたことを特徴とする投射型陰極線管装置。
  2. 【請求項2】パネル部とファンネル部およびネック部か
    らなる真空外囲器と、前記パネル部の内面に形成された
    蛍光面と、前記ネック部内に収納されて前記蛍光面に電
    子ビームを放射する静電集束レンズ系を備えた電子銃と
    を備えた投射型陰極線管装置において、 前記電磁集束コイルに前記電子銃に供給される画像信号
    レベルに応じて変化するフォーカス電流または電圧を印
    加するフォーカス制御手段を備えたことを特徴とする投
    射型陰極線管装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記フォーカス制御手
    段が画像信号回路からカソードドライブ回路に出力され
    る画像信号の大きさに応じた電流または電圧を前記電磁
    集束コイルに供給する電磁コイルドライブ回路から構成
    したことを特徴とする投射型陰極線管装置。
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