JPH10115814A - 電気光学素子及び光源 - Google Patents

電気光学素子及び光源

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JPH10115814A
JPH10115814A JP28938796A JP28938796A JPH10115814A JP H10115814 A JPH10115814 A JP H10115814A JP 28938796 A JP28938796 A JP 28938796A JP 28938796 A JP28938796 A JP 28938796A JP H10115814 A JPH10115814 A JP H10115814A
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light beam
light
polarization
electro
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JP28938796A
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English (en)
Inventor
Takeshi Ogawa
剛 小川
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 複数の波長をもつ光ビームの偏光状態を独立
に高速で正確に制御でき、又、この光ビームを所定の強
度で所定の偏光状態に移行できる電気光学素子、電気光
学効果を利用してフルカラーを出力するカラー光源を提
供する。 【解決手段】 複数の素子部(例えば、3つの素子部3
1a、31b、31c)が、複数の波長を有する光ビー
ム51の進行方向に沿って配され、この複数の素子部の
それぞれにおいて、分極反転ドメイン2のドメイン壁2
a及び2bの少なくとも一つが強誘電性基板1の主面7
に対して垂直若しくはほぼ垂直であり、光ビーム51が
ドメイン壁を2a及び2bのように少なくとも二つ通過
するように構成され、かつ、強誘電性基板1の側面4、
5に電極41a、41b、41c、42a、42b、4
2cが設けられており、複数の素子部のドメイン壁2a
及び2bが光ビーム51の進行方向に沿って互いに異な
る周期で積層されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気光学素子、特
に電気光学効果を利用して光ビームの偏光状態を制御す
る電気光学素子(例えば、光強度変調器、光フィルタ
等)、及び光源、特に電気光学効果を利用したカラー光
源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、強誘電体の電気光学効果を利用し
たさまざまな光の制御が盛んに行われている。電気光学
効果は、その応答速度が高速であるため、その特性を用
いて光の高速な強度変調器や位相変調器などが作製され
ている。
【0003】光の偏光状態を制御する素子としては、異
方性結晶等を用いたλ/2、λ/4などの位相板があ
る。
【0004】しかし、これらの位相板により光ビームの
偏光状態を制御するためには、その位相板自体を回転さ
せ、入射光の偏波面に対してその結晶軸を調整している
が、機械的な動作となってしまうため、その制御速度は
遅く、偏光状態の制御性が不十分となることがある。
【0005】また、特定の偏光状態の光ビームを取り出
す偏光器として、偏光子と検光子とを組み合わせて構成
した装置等がある。偏光子によって取り出された光ビー
ムは、理想的には、偏光状態が一定した完全偏光である
ことが望ましいが、実際には他の偏光成分を含んでいる
ため、これをカットする検光子と組み合わせて用いてい
る。
【0006】しかし、このように偏光子と検光子とを組
み合わせても、光ビームの強度(パワー)移行率が十分
でなく、光ビームの強度(パワー)を調節することも容
易でない。
【0007】更に、近年、光ビームのスイッチングを行
う素子(光スイッチ)として液晶デバイスが盛んに研
究、開発されている。しかし、液晶を用いた光スイッチ
は応答速度が遅く、また、ディスプレイ等における色再
現は、色の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色
(B)の各カラーフィルタを用いて各々の光ビームを並
列にスイッチングすることにより行っているため、画像
解像度はあまり良くない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電気
光学効果を利用して、複数の波長を有する光ビームの各
波長光の偏光状態をそれぞれ独立に高速かつ正確に制御
でき、かつ、この光ビームを独立に所定の強度で所定の
偏光状態に移行できる電気光学素子を提供することにあ
る。
【0009】本発明の他の目的は、電気光学効果を利用
して、上記した各波長光の偏光状態をそれぞれ独立に高
速かつ正確に制御できる色再現用又は色可変用の光源、
特にフルカラーを出力できるカラー光源を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、複数の
波長を有する光ビームの進行方向に沿って複数の素子部
が配され、前記複数の素子部のそれぞれが、強誘電性基
体と、この強誘電性基体中に所定形状に形成された分極
反転ドメインとを有し、前記分極反転ドメインのドメイ
ン壁の少なくとも一つが前記強誘電性基体の主面に対し
て垂直若しくはほぼ垂直であり、前記光ビームの進行方
向に沿う、前記主面とは異なる前記強誘電性基体の側面
に電極が設けられており、前記ドメイン壁が前記複数の
素子部の相互間において、前記光ビームの進行方向に沿
って互いに異なる周期で積層されている、電気光学素子
(以下、本発明の電気光学素子と称する。)に係るもの
である。
【0011】ここで、上記の「複数の素子部」とは、例
えば図1に示す三つの素子部31a、31b、31cで
あって、光ビーム51の進行方向に沿って順次配されて
おり、各素子部は、強誘電性基体1と、この強誘電性基
体1中に所定形状に形成された分極反転ドメイン2とを
有し、この分極反転ドメイン2のドメイン壁2a、2b
の少なくとも一つが強誘電性基体1の主面3、4に対し
て垂直若しくはほぼ垂直であり、実際には、複数の波長
を有する光ビーム51が分極反転ドメイン一つ当たりド
メイン壁を少なくとも二つ通過するように構成されてい
る(以下、同様)。
【0012】また、強誘電性基体の上記の「側面」と
は、例えば図1において、光ビーム51の伝搬方向を
x、強誘電性基体1の自発分極の方向をzとしたときの
(x,y,z)直交座標系において、強誘電性基体1の
y軸方向の面5、6を意味する(以下、同様)。
【0013】本発明の電気光学素子によれば、複数の素
子部のドメイン壁が複数の素子部の相互間において、複
数の波長を有する光ビームの進行方向に沿って互いに異
なる周期で積層されているので、この積層周期に対応し
て、複数の素子部の各々の強誘電性基体の側面に設けら
れた電極に所定の電圧を印加することによって、複数の
波長を有する光ビームを各々の波長ごとに独立に高速か
つ正確にその偏光状態を制御することが可能であり、ま
た、前記光ビームの各々の波長ごとに独立に所定の強度
でパワー移行できる。
【0014】また、ドメイン壁が強誘電性基体の主面に
対して垂直若しくはほぼ垂直であるから、複数の素子部
において複数の波長を有する光ビームの伝搬方向が常に
主面に平行になり、前記光ビームを安定して伝搬するこ
とができる。
【0015】本発明はまた、複数の波長を有する光ビー
ムの進行方向に沿って複数の素子部が配され、前記複数
の素子部のそれぞれが、強誘電性基体と、この強誘電性
基体中に所定形状に形成された分極反転ドメインとを有
し、前記分極反転ドメインのドメイン壁の少なくとも一
つが前記強誘電性基体の主面に対して垂直若しくはほぼ
垂直であり、前記光ビームの進行方向に沿う、前記主面
とは異なる前記強誘電性基体の側面に電極が設けられて
おり、前記ドメイン壁が前記複数の素子部間において、
前記光ビームの進行方向に沿って互いに異なる周期で積
層されており、前記光ビームの入射側に、前記強誘電性
基体の主面とほぼ平行若しくはほぼ垂直な偏光方向を有
する偏波光のみを通過させる第1の偏光子が配され、前
記光ビームの出射側に、前記第1の偏光子を通過する偏
波光の偏光方向とほぼ垂直な偏光方向を有する偏波光の
みを通過させる第2の偏光子が配されている、光源(以
下、本発明の光源と称する。)にも係るものである。
【0016】ここで、上記の光ビームは、その波長光成
分が約380nm〜約780nmの可視領域の波長範囲
にあることが望ましい。
【0017】本発明の光源によれば、複数の波長を有す
る光ビームの進行方向に沿って、上述した本発明の電気
光学素子と同様の複数の素子部を配し、前記光ビームの
入射側に、前記強誘電性基体の主面とほぼ平行若しくは
ほぼ垂直な偏光方向を有する偏波光のみを通過させる第
1の偏光子を配し、かつ、前記光ビームの出射側に、前
記第1の偏光子を通過する偏波光の偏光方向とほぼ垂直
な偏光方向を有する偏波光のみを通過させる第2の偏光
子を配し、複数の素子部のドメイン壁を互いに異なる周
期で積層しているので、この積層周期に対応して、複数
の素子部の各々に設けられた電極に所定の電圧を印加す
ることによって、第1の偏光子を通過伝搬する可視領域
の複数の波長を有する光ビームの偏光状態を、ドメイン
壁の周期に対応する波長ごとに独立に高速かつ正確に制
御して、第2の偏光子を通過伝搬できる光ビームに偏光
することが可能であり、また、前記光ビームの各々の波
長ごとに独立に所定の強度でパワー移行できる。
【0018】特に、本発明の光源において、入射光とし
て例えば白色光等の可視領域にある複数の波長を有する
光ビームを用いると、色可変の出力光を高速で生成でき
る色可変光源(カラー光源)となる。
【0019】また、ドメイン壁が強誘電性基体の主面に
対して垂直若しくはほぼ垂直であるから、複数の素子部
において複数の波長を有する光ビームの伝搬方向が常に
主面に平行になり、前記光ビームを安定して伝搬するこ
とができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の電気光学素子及び本発明
の光源においては、複数の素子部のそれぞれにおいて、
光ビームがドメイン壁に対し所定の入射角で入射し、強
誘電性基体の対向した両側面にそれぞれ設けられた電極
間に電圧を印加することによって、出射される光ビーム
の偏光状態を変化させることができる。例えば、強誘電
性基体の対向した両側面のほぼ全域に亘って電極がそれ
ぞれ設けられ、これらの電極間に印加する電圧に応じ
て、出射される光ビームの偏光状態を変化させることが
できる。
【0021】この場合、複数の波長(特に可視領域にあ
る複数の波長)を有する光ビームの入射側に、強誘電性
基体の主面とほぼ平行若しくはほぼ垂直な偏光方向を有
する偏波光のみを通過させる第1の偏光子を配し、か
つ、光ビームの出射側に、前記第1の偏光子を通過する
偏波光の偏光方向とほぼ垂直な偏光方向を有する偏波光
のみを通過させる第2の偏光子を配することにより、強
誘電性基体の主面とほぼ平行若しくはほぼ垂直な偏光方
向を有する偏波光のみを入射し、前記第1の偏光子を通
過する偏波光の偏光方向とほぼ垂直な偏光方向を有する
偏波光のみを出射させることができる。
【0022】即ち、複数の波長を有し、第1の偏光子を
通過伝搬する光ビームのうち、各々の素子部のドメイン
壁の積層周期に対応する波長を有する光ビームのみが、
素子部中で第2の偏光子を通過伝搬できる光ビームに偏
光される。
【0023】本発明の光源においては、少なくとも三つ
の素子部を一組として配置することができる。
【0024】光の色の合成原理である加法混色法によれ
ば、3原色である赤色、緑色、青色の波長光の少なくと
も二つを重ね合わせることにより様々な色の光を作るこ
とができるので、例えば三つの素子部の各々のドメイン
壁が、赤色、緑色、青色のそれぞれの波長に対応する周
期で積層されていれば、本発明の光源において、様々な
色の光を作ることができる。
【0025】つまり、三つの素子部を有し、例えば、第
1の素子部のドメイン壁を赤色、第2の素子部のドメイ
ン壁を緑色、第3の素子部のドメイン壁を青色のよう
に、各々の波長に対応する周期で各々の素子部のドメイ
ン壁を積層しておけば、少なくとも3原色の波長をそれ
ぞれ有する光ビームを、対応する素子部で偏光及び強度
変調して、赤色、緑色、青色の各々の波長を任意の強度
で出射できので、様々な色の光を出射することができ
る。
【0026】また、本発明の電気光学素子及び本発明の
光源においては、複数の素子部のそれぞれの電極に、別
々に電圧が印加されることが好ましい。
【0027】この場合、複数の素子部に互いに異なる電
圧を印加することもできる。
【0028】詳しくは後述するが、本発明の電気光学素
子及び本発明の光源においては、一素子部のドメイン壁
の周期を光ビームのある一定の波長に対応するように積
層し、この一素子部に印加する電圧を変化させることに
よって、この光ビームの偏光状態、特に強度(パワー)
を制御することができる。即ち、複数の素子部のそれぞ
れの電極に同一の電圧を印加する場合もあるが、複数の
素子部のそれぞれの電極に別々に電圧を印加し、また、
異なる電圧を印加することができる。
【0029】本発明の電気光学素子及び本発明の光源に
おいて、複数の素子部が、ドメイン壁に対して所定の角
度で入射した光ビームの進行方向に沿って直列に配置さ
れていてよい。この場合、一つの素子端面から、素子部
の数に対応する数の光ビーム(但し、この場合の光ビー
ムとは、ある一定の波長を有する光ビームである。)が
合成され、出射される。
【0030】また、複数の素子部が、ドメイン壁に対し
て所定の角度で入射した光ビームの進行方向に沿って並
列に配置されていてもよい。この場合、各々の素子部ご
とに、各々の波長の光強度変調器又は光透過型波長フィ
ルタとして動作する。
【0031】更に、本発明の電気光学素子及び本発明の
光源において、前記強誘電性基体がLiNbX Ta1-X
3 (但し、0≦x≦1)の結晶からなり、ドメイン壁
の辺の方向が前記結晶のミラー面と平行であると、ドメ
イン壁の平面度を向上させ、偏光を良好に行わせること
ができる。
【0032】この強誘電性基体は、LiNbX Ta1-X
3 (但し、0≦x≦1)の結晶であるニオブ酸リチウ
ム(LiNbO3 )、タンタル酸リチウム(LiTaO
3 )が使用可能であり、或いはKTP(KTiOP
4 )等の結晶を用いることができる。
【0033】また、前記分極反転ドメインの形成に際し
ては、例えば、前記複数の素子部の各々の強誘電性基体
の対向した両主面に電極をそれぞれ設け、少なくとも一
方の主面には所定形状の電極が設けられ、前記両主面間
に電圧を印加することによってそれぞれの分極反転ドメ
インが所定形状に形成される(所望の形状に分極が反転
する)。
【0034】或いは、複数の素子部の各々の強誘電性基
体に対して自発分極の負側の面に、電子線又は負電荷を
有する荷電粒子を照射することによってそれぞれの分極
反転ドメインが所定形状に形成される(所望の形状に分
極が反転する)。
【0035】或いは、複数の素子部の各々の強誘電性基
体に対して自発分極の正側の面に、正電荷を有する荷電
粒子を照射することによってそれぞれの分極反転ドメイ
ンが形成される(所望の形状に分極が反転する)。
【0036】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0037】まず、本実施例による電気光学素子又はカ
ラー光源を構成する素子部において、光の偏光状態を制
御するときの原理について述べる。
【0038】図2に示すように、本実施例による電気光
学素子又はカラー光源を構成する素子部31は、基本的
には、強誘電性基板(以下、基板と称することがあ
る。)1と、この基板中に作製されかつ光ビームの伝搬
方向に沿って周期的に配置された直方体状の分極反転ド
メイン2と、基板1の主面3、4に垂直であって光ビー
ムの伝搬方向に対して平行な両側面5、6の全面に設け
られた矩形状の電極41、42と、これらの電極間に電
圧を印加するための電気信号源21(図2では、交流電
源を図示したが、直流電源でも構わない:以下、同様)
とから構成されている。
【0039】基板1の結晶の方向(図中の上向き矢印で
示す自発分極の方向)と分極反転ドメイン2の結晶の方
向(図中の下向き矢印で示す自発分極の方向)とは、互
いに180度反転している。そして、ドメイン2のドメ
イン壁2a、2bは強誘電体基板1の主面3、4に対し
てほぼ垂直であり、光ビーム51はこれらのドメイン壁
を2a、2b、2a、2b・・・と繰り返し通過する。
【0040】光ビーム51は、素子端面7から入射し、
基板1とドメイン2とを交互に通過しながら、反対側の
端面8から出射する。
【0041】ここで、基板1は一軸性の異方性結晶、例
えばニオブ酸リチウム(LiNbO3 )で形成されてい
る。
【0042】基板1の光学軸方向が図2のz軸方向であ
るとすると、x軸及びy軸方向の屈折率はno (即ち、
常光線の屈折率)、z軸方向の屈折率はne (即ち、異
常光線の屈折率)となり、異なった屈折率を有する。
【0043】入射される光ビーム51において、y軸方
向に偏光している光(y軸方向に偏波面又は偏光方向を
有する光)、即ち常光線は、x軸及びy軸方向の屈折率
oを感じ、z軸方向に偏光している光(z軸方向に偏
波面又は偏光方向を有する光)、即ち異常光線は、z軸
方向の屈折率ne を感じることとなる。即ち、両者は素
子中を伝搬する際、伝搬速度が異なり、両者に位相差が
生じることになる。
【0044】この位相差はそのままでは後述する偏光状
態の変化を得ることはできないため、両光線の位相を合
わせること(位相整合)が必要となる。
【0045】そこで、素子部31の電極41及び42に
電圧が印加されたとき、素子内部にはy軸方向において
素子全体にわたって均一に電界Ey が生じる(Ex =E
z =0、Ey ≠0)。
【0046】この電界Ey により、図3及び図4に示す
ように、電気光学効果により基板1の屈折率楕円体の主
軸方向がy−z面内で回転するようになり、この回転角
θは公知の次式で与えられる。 θ=(1/2)tan-1{2r51Ey/(ne -2−no -2)}・・・(1) (但し、r51は、物質の結晶の方向によって異なる電気
光学定数である。)
【0047】また、図4は、上記回転角θで回転したと
きの屈折率変化をベクトルを用いて概略的に示したもの
である。
【0048】即ち、印加電界Eyによって、この屈折率
楕円体の主軸が回転することにより、偏波面が直交する
(即ち、y軸方向とz軸方向)二つの光波が結合するよ
うになり、その結合係数κは近似的に以下の式で表され
る。 κ=(π/λ)×n3 ×r51×Ey・・・(2) (ここで、λは伝搬光ビームの波長である。)
【0049】しかし、この主軸回転はわずかであり、偏
波面が直交する両光波は、素子中の伝搬定数が異なるた
め、両者の結合はわずかでしかない。
【0050】そこで、基板1とドメイン2とでは、両者
の結晶軸が反転しているため、図3の電界印加による主
軸の回転方向は互いに反対になり、この回転による主軸
のy軸方向成分は相加的に結合される。
【0051】そして、基板1とドメイン2とを図2の如
くに交互に繰り返して光ビームの伝搬方向に配すること
により、その繰り返し周期をグレーティングとして利用
し、これによって、y軸方向に偏波面を有する偏波光と
z軸方向に偏波面を有する偏波光との位相を整合させる
ことのできるグレーティングとし、このグレーティング
により両偏波光は100%の結合が可能となる。
【0052】上記グレーティングによる両偏波光の間の
パワー移行率η(位相整合する割合)は公知の次式によ
り表される。 η=sin2{(|κ|2 +△2 1/2 ×L}/{1+(△2 /κ2 )} ・・・(3) ここで、 △=π(no −ne )/λ−(π/Λ)・・・(4) であり、Λはグレーティング周期である。
【0053】式(3)、式(4)より、波長λにおいて
Δ=0のとき、100%のパワー移行がなされ、そのと
きの波長λpは、 λp=Λ(no −ne )・・・(5) となる。
【0054】即ち、この両偏波光の間のパワー移行は、
図5に示すように、入射光の波長に対しては波長λpを
中心とした波長帯域を有し、波長λpのときのみ100
%のパワー移行が可能である。
【0055】これにより、波長λpであれば、光ビーム
が素子中を伝搬していくと、両偏波光がお互いにパワー
移行するようになり、その時の完全結合長Lpは、 Lp=π/2|κ|・・・(6) となり、この長さを伝搬すると、完全な強度(パワー)
移行(位相整合)が起こる。
【0056】即ち、例えば光ビームがz軸方向に偏波面
を有する直線偏光であった場合、入射光波長がλpであ
れば(式(5)を満たしていれば)、電界Eyがないと
きには、そのままz軸方向の直線偏波光が出射される
が、電界Eyが大きくなると、やがて出射光は両直交偏
波光が次第に結合するようになり、z軸方向の偏波から
直線偏波を保ったままy軸の方へ回転し始め、電界Ey
が式(6)を満たす条件になると、出射光はy軸方向の
偏波面を有する直線偏光へと変換され、100%結合
(位相整合)する。なお、図2では、出射光52として
偏波方向が入射光51とは異なった光ビームが得られる
状態を示しているが、上記の説明に従えば、出射光52
の偏波方向がy軸方向となるように設定できる。
【0057】このようにして、単一波長の光ビーム(例
えばレーザ光)に対して、偏波面を回転させることがで
き、印加電圧に応じて電気光学効果により高速に偏波面
の回転又は制御を行うことができる。
【0058】また、上記の入射光の偏波方向はy軸方向
としてもよく、その場合の出射光はz軸方向偏波の直線
偏波へと変換される。
【0059】なお、上述した光ビームの位相整合等の偏
光の原理は、文献:「光集積回路」(西原浩等、昭和6
0年2月発行)のP67〜P143を参照した。
【0060】次に、複数の波長(波長光成分)を有する
光ビームを入射光とし、各々の波長の光の偏波面を各々
独立に制御する原理を説明する。
【0061】図1に示すように、電気光学素子10は、
例えば三つの素子部31a、31b、31cを光ビーム
の伝搬方向に直列に有していて、強誘電性基板1と、こ
の基板1中に作製された光ビームの伝搬方向に沿って、
周期的に配置されたドメイン2と、各素子部において基
板1の主面7に垂直であって光の伝搬方向に対し平行な
両側面5及び6に設けられた電極41a、41b、41
c及び42a、42b、42cと、これらの電極間に各
々電圧を印加するための電気信号源21a、21b、2
1cとから構成される。素子部31a−31b間、31
b−31c間は互いに一定の間隔を置いて配置されてよ
いが、互いに接し合っていてもよい。
【0062】また、素子部31a、31b、31cにつ
いてそれぞれ、互いに異なるグレーティング周期Λ1、
Λ2、Λ3を示すように、各素子部でのドメイン2は異
なる周期で配置され、上述の位相整合波長(100%の
パワー移行する波長)は、式(5)を満たすそれぞれλ
1、λ2、λ3である。
【0063】そこで入射端面7から、例えばすべてz軸
方向に偏波面を有する3種類の波長λ1、λ2、λ3の
各波長成分を有する光ビーム51を入射させるものとす
る。
【0064】このとき、各々の素子部の上記した電極を
通じて電圧を印加すると、上述の原理により、各々の素
子部のドメイン周期に対応する波長光のみについて、そ
の素子部の印加電圧に応じて偏波面が回転する。
【0065】例えば、上述の図5の波長特性より、波長
λ2を有する光ビームは、素子部31a及び素子部31
cには、ほとんど影響を受けず、素子部31bに印加さ
れる電気信号源21bによる印加電圧のみに応じて偏波
面が回転する。波長λ1および波長λ3の各波長光も同
様に、それぞれ電気信号源21aおよび21cの印加電
圧のみに応じて偏波面が回転する。
【0066】図1では入射光の偏波方向をz軸方向と
し、y軸方向への偏波面回転としたが、入射光の偏波方
向をy軸方向とし、z軸方向への偏波面回転としてもよ
い。
【0067】即ち、入射光の複数の波長光の各々が独立
に、それぞれに対応する周期で積層されたドメインを有
する素子部への印加電圧値に応じた回転度で偏波面を回
転できる。
【0068】ここで、図1は、同一の基体1に複数の素
子部31a、31b、31cを設けた構造であるが、図
6の電気光学素子50のように、これらの複数の素子部
を分割された各基板1に設けてもよい。この場合、素子
部と素子部との間には、ガラス等の光透過性物質を配置
してもよい。
【0069】また、本実施例において、電極に印加する
電圧による漏洩電磁気が存在する場合、素子部と素子部
との間をある程度離したり、素子部と素子部との間に電
磁気を遮蔽するシールドを設けてもよい。
【0070】次に、本実施例による電気光学素子又はカ
ラー光源における素子部31の作製方法の例について説
明する(但し、以下の作製方法は図6の素子でも同様で
ある)。
【0071】素子部の作製手順としては、まず、ドメイ
ン2の形成、次に電極41、42の形成、更に端面7、
8の光学研磨と無反射コートの被着であるが、以下に各
工程について詳細に説明する。
【0072】ドメイン2の形成方法として、第1の方法
によれば、例えば図7にニオブ酸リチウム(LiNbO
3 )基板1への電界印加方向を概念的に示すように、ニ
オブ酸リチウムのz板1の+z面(+c面)上に形成す
るドメインの形状の電極43を導電膜(例えばアルミニ
ウム膜の被着と通常のリソグラフィ技術によるもの)で
形成すると共に、z板1の−z面(−c面)上に平面電
極44を形成し、+z面上(即ち、基板の自発分極が正
側の面上)の電極43が−z面上の電極44より高電位
になるように、電源61によって例えば20kV/mm
以上の電界を室温中で印加する。
【0073】これによって、電極43の直下には、分極
反転された複数のドメイン2を電極43とほぼ同一パタ
ーンに形成し、図2に示した如き素子部31を作製す
る。この場合、電極43及び44は除去してもよいし、
そのまま残してもよい。
【0074】電極43及び44をそのまま残す場合は、
電極除去の際のドメインに与えるダメージが全くなく、
また電極除去の手間を省くことになる。
【0075】なお、図7に示した外部電界印加によるド
メイン形成方法と類似の方法が、文献(山田正裕等、”
疑似位相整合導波路型SHG素子”、電子情報通信学会
論文誌 C-I 、Vol. J77-C-I、No.5、pp. 206-213(199
4))にも述べられている。但し、この公知の方法はSH
G素子についてのものであるから、ドメイン形成後に分
極反転用の電極も含めてすべての電極を除去しなけれ
ば、電極の領域で光が減衰してしまう。従って、このよ
うなSHG素子に比べ、本実施例の素子部31では、ド
メイン形成方法は同様であっても、電気光学効果を用い
るものであるために必ず電極が必要であることが著しく
相違している。
【0076】ドメイン2の形成方法として、第2の方法
によれば、図8にニオブ酸リチウム(LiNbO3 )基
板1への電子線照射による方法を概念的に示すように、
ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )のz板1の+z面
(+c面)上に平面電極45を例えばアルミニウム膜の
被着により形成し、これを接地した状態で−z面(−c
面)(即ち、基板の自発分極が負側の面)上のドメイン
2を形成したい部分に、20kV(加速電圧)×t
(t:基板1の厚さt(mm))以上の電子線62を室
温中で走査して照射する。
【0077】これによって、基板1中には分極反転され
た複数のドメイン2(但し、分極方向は図7のものとは
逆)を所定のパターンに形成する。この後は、基板の両
側面に上述した電極41、42を設けるが、上記の平面
電極45はそのまま残して用いてもよい。
【0078】なお、図8に示した電子線照射によるドメ
イン形成方法と類似の方法が、文献(M.Yamada and K.K
ishima、“Fabrication of periodically reversed dom
einstructure for SHG in LiNbO3 by direct beam lith
ography at room temperature”、Electron. lett. 、V
ol. 27, No.10, pp. 828-829(1991))にも述べられてい
る。但し、この公知の方法もSHG素子を対象としてい
る。
【0079】上記した2種類のドメイン形成方法は、L
iNbx Ta1-x 3 (但し、0≦x≦1)やKTP
(KTiOPO4 )などの強誘電体材料に対して有効な
方法である。
【0080】上記のようにしてドメイン2を形成した基
板1では、その形成工程中に蓄積した歪応力により発生
した電界や、注入された電荷による電界の存在が、基板
1の屈折率を不均一に変化させたり、信号電界をかかり
難くすることがある。これを防ぐために、基板1を次工
程に進める前に、ニオブ酸リチウムでは例えば150℃
以上、700℃以下の温度で、タンタル酸リチウムでは
キュリー点以下の温度で、それぞれ数十分から数時間、
できれば酸素雰囲気中又は空気中でアニール(熱処理)
することが望ましい。
【0081】次いで、基板1を所定の形状、つまり所定
の長さ及び幅に切断し、切断された両側面5、6には、
例えばアルミニウム等の導電性の膜を蒸着法やスパッタ
リング法等で被着することによって、電極41、42を
形成するが、これらの両電極が短絡されないようにする
必要がある。両側面5、6は予め平面研磨することが望
ましい。
【0082】次いで、基板1の端面7、8に光学研磨を
施し、最後に両端面7、8に、使用するビームに対して
無反射になるように例えば誘電体多層膜等を蒸着法など
で被着して、素子部31を完成する。
【0083】このようにして、複数の波長を有する光ビ
ームの偏光状態を各波長ごとにそれぞれ独立に高速かつ
正確に制御でき、しかも光ビームを十分な強度でパワー
移行できる素子部31a〜31cを同時に、簡便かつ高
精度に作製でき、光ビームの伝搬方向に沿ってこの素子
部を複数箇所に直列に配置することによって、本実施例
の電気光学素子10又は50を作製することができる。
【0084】次に、この電気光学素子の具体例について
述べる。
【0085】例1 図9(A)に示す電気光学素子10を、上述の図1の素
子を用い、図7の方法で作製した。
【0086】この電気光学素子10は、三つの素子部3
1a、31b、31cを直列に有し、z板タンタル酸リ
チウムを基板1に用いたものである。素子部31aは、
長さ10mm、基板厚0.3mm、幅0.3mm、基板
1とドメイン2とのグレーティング周期192μmであ
り、位相整合波長λ1(815nm)でz軸方向に偏波
面を有する偏波光をy軸方向に偏波面を有する偏波光に
偏光でき、同様に、素子部31bは、長さ10mm、基
板厚0.3mm、幅0.3mm、基板1とドメイン2と
のグレーティング周期200μmであり、位相整合波長
λ2(850nm)でz軸方向に偏波面を有する偏波光
をy軸方向に偏波面を有する偏波光に偏光でき、また素
子部31cは、長さ10mm、基板厚0.3mm、幅
0.3mm、基板1とドメイン2とのグレーティング周
期208μmであり、位相整合波長λ3(884nm)
でz軸方向に偏波面を有する偏波光をy軸方向に偏波面
を有する偏波光に偏光できるものとした。
【0087】また、素子部31aと素子部31bとの間
隔は0.5mm、素子部31bと素子部31cとの間隔
は0.5mmである。電極41a〜41c及び42a〜
42cの材料には、アルミニウムを用いている。光ビー
ム51(入射光)の入射面には、図中のz軸方向に偏波
面を有する偏波光のみを通過伝搬させる偏光子71を設
け、また光ビーム52(出射光)の出射面には、図中の
y軸方向に偏波面を有する偏波光のみを通過伝搬させる
偏光子72を設けた。
【0088】更に、それぞれの素子部に印加する電圧
は、電気信号源(交流電源:以下、同様)21aで24
0V、100kHz、電気信号源21bで240V、1
00kHz、電気信号源21cで240V、100kH
zとした。
【0089】図9(B)は、素子部31aにおいて、電
気信号源21aによって様々な電圧を印加したときの時
間による波長λ1を有する偏波光52の出力強度を測定
したグラフである。これによれば、印加電圧に応じた光
ビームの出力強度が得られた。但し、出力強度の測定
は、浜松ホトニクス社製のフォトダイオードを用いて測
定し、図9(B)の(1)は電圧240V、周波数10
0kHz、(2)は電圧240V、周波数100kH
z、(3)は電圧240V、周波数100kHzであ
る。
【0090】これにより、入射側から電気光学素子10
に入射された複数の波長を有する光ビーム51は、上述
の電気光学効果により、偏波面が回転した光ビーム52
のみが出力側から出射されるので、複数の波長のうち、
素子の各々の領域31a、31b、31cで位相整合し
た光のみが偏波回転して出力され、その位相整合した波
長光のみがその対応する領域の信号のみに応答して光強
度が変化するので、各々の波長光を各々独立に高速に光
強度変調できた。
【0091】従って、この例1の電気光学素子を用い、
フィルタ作用のある高速の光強度変調器を実現できる。
これは、コピー機やプリンター等の画像再生装置の色分
解フィルタ、その他の様々な光デバイス、例えば、光偏
光器、光フィルタ、光分波器等にも適用できる。
【0092】例2 図10に示す電気光学素子は、カラー光源55として、
上述の図7に示す方法で作製した。
【0093】このカラー光源55は、三つの素子部31
a’、31b’、31c’を直列に有し、z板ニオブ酸
リチウムを基板1に用いたものであって、色の3原色で
ある赤、緑、青の各々に対応するグレーティング周期の
ドメイン2を有している。素子部31a’は、長さ6m
m、基板厚0.3mm、幅0.3mm、基板1とドメイ
ン2のグレーティング周期140μmであり、位相整合
波長λ1’(620nm:赤色の波長)でz軸方向に偏
波面を有する偏波光をy軸方向に偏波面を有する偏波光
に偏光でき、同様に、素子部31b’は、長さ6mm、
基板厚0.3mm、幅0.3mm、基板1とドメイン2
のグレーティング周期120μmであり、位相整合波長
λ2’(540nm:緑色の波長)でz軸方向に偏波面
を有する偏波光をy軸方向に偏波面を有する偏波光に偏
光でき、また素子部31c’は、長さ6mm、基板厚
0.3mm、幅0.3mm、基板1とドメイン2のグレ
ーティング周期108μmであり、位相整合波長λ3’
(470nm:青色の波長)でz軸方向に偏波面を有す
る偏波光をy軸方向に偏波面を有する偏波光に偏光でき
るものとした。
【0094】また、素子部31a’と素子部31b’と
の間隔は0.5mm、素子部31b’と素子部31c’
との間隔は0.5mmである。電極41a’〜41c’
及び42a’〜42c’の材料には、アルミニウムを用
い、図示しないが、電極41a’と電極41b’との
間、電極42a’と電極42b’との間、電極41b’
と電極41c’との間、電極42b’と電極42c’と
の間には、漏れ電界を防止するための電磁気シールドを
設けてある(これは図9の例でも同様であってよい)。
【0095】白色光81の入射面には、図中のz軸方向
に偏波面を有する偏波光のみを通過伝搬させる偏光子7
1を設け、また色可変出力光82の出射面には、図中の
y軸方向に偏波面を有する偏波光のみを通過伝搬させる
偏光子72を設けた。
【0096】更に、光源は白色光81であり、色可変出
力光82は、各々の素子部31a’、31b’、31
c’に印加する電圧に応じて様々な着色光として得られ
た。例えば、電気信号源21a’で0〜200V、電気
信号源21b’で0〜180V、電気信号源21c’で
0〜150Vの電圧を印加したときは、印加電圧に応じ
てフルカラーの出力光が得られた。
【0097】即ち、この例2によれば、入射光である白
色光81から入射側の偏光子71により通過した直線偏
波光は波長が赤、緑、青の各々の光を含むが、これらの
光は、それぞれ対応する各々の素子部31a’、31
b’、31c’で電気光学効果により印加信号に応じて
偏波面が回転して出力されることから、各々の素子部の
電気信号に応じて、これら三つの光が各々独立に光強度
変調され、出力光としてフルカラーの色可変光82を出
力できた。従って、白色光を入射光源とした高速のフル
カラーの色フィルタを実現できる。
【0098】例3 図11及び図12には、例2のカラー光源を一つの画素
(ピクセル)として、例2のカラー光源を2次元アレイ
状に、従って光ビームの伝搬方向に沿って並列に形成し
たフルカラーのディスプレイを示す。但し、図12は、
図11の色可変出力光側から見たときのディスプレイの
画素のレイアウトであり、各画素をPXm-n (但し、
m、nは任意の自然数である。)で示す。
【0099】但し、図11において、入射する白色光8
1A、81B、81Cは、一つの光源から発せられたも
のであってもよいし、それぞれの画素(ピクセル)ごと
に入射させるものでもよい。また、偏光子71A、71
B、71C及び72A、72B、72Cは、それぞれの
画素(ピクセル)ごとに配置してもよいし、入射側及び
出射側の全面に一つの偏光板として配置してもよい。更
に、各々の画素ごとに、他の画素の影響を受けないよう
に絶縁膜(電磁気シールド)を設けてもよい。
【0100】この例3においては、各々の素子部には独
立に電気信号を印加できる信号電源を接続しているの
で、各電源を個別に駆動すれば、赤、緑、青の合成又は
組み合わせにより、フルカラーで画像解像度に優れ、高
速表示が可能な薄型のディスプレイを実現できる。
【0101】例4 図13及び図14には、例2のカラー光源の各々の素子
部を光ビームの伝搬方向に沿って並列に構成した場合の
フルカラーのディスプレイを示す。但し、図14は、図
13の色可変出力光側から見たときのディスプレイの画
素のレイアウトであり、R、G、Bは、それぞれ赤色発
光画素、緑色発光画素、青色発光画素を示す。
【0102】また、例3と同様に、図13において、入
射する白色光101A、101B、101Cは、一つの
光源から発せられたものであってもよいし、それぞれの
画素(ピクセル)ごとに入射させるものでもよい。ま
た、偏光子91A、91B、91C及び92A、92
B、92Cは、それぞれの画素(ピクセル)ごとに配置
してもよいし、入射側及び出射側の全面に一つの偏光板
を配置してもよい。更に、各々の画素ごとに、他の画素
の影響を受けないように絶縁膜(電磁気シールド)を設
けてもよい。
【0103】この例2は、素子部31a’、31b’、
31c’を光ビームの進行方向に対して並列に2次元ア
レイ状に配置したものである。即ち、例2、3では、赤
色、緑色、青色に対応する三つの素子部を光ビームの進
行方向(伝搬方向)に対して直列に配置し、色可変出力
光を得ているのに対して、例4では、赤色、緑色、青色
に対応する三つの素子部を光ビームの進行方向(伝搬方
向)に対して並列に配置し、それぞれの出力光を合成し
て色可変光を得ている。
【0104】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が
可能である。
【0105】例えば、ドメイン2は直方体以外の例えば
三角柱等の形状としたり、ドメイン形成時の電極43の
形状を矩形以外の形状にすることができるし、他方の電
極44も同様に変形してよい。ドメイン壁の形状や個数
も上述したものに限定されない。
【0106】また、上述した電子線以外の負電荷を有す
る荷電粒子を照射したり、或いは、基板の自発分極の正
側の面に、正電荷を有する荷電粒子(例えば陽子)を照
射することによってそれぞれのドメインを形成すること
ができる。
【0107】さらに、光ビーム入射側及び出射側に偏光
子を配置したものが好ましいが、いずれか一方のみを配
置した場合でも、電気光学素子の動作は可能である。
【0108】また、各素子部の内、一つの素子部のみを
動作させて、この素子部の周期に対応する光ビームのみ
を出射させることもできる。二つの素子部を動作させる
ことも勿論可能である。各素子部のドメインの積層周期
(グレーティング周期)によって、所定の光強度を示す
波長を制御することができる。また、素子部は二つを直
列又は並列に配置してもよい。
【0109】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、複数の波長
を有する光ビームの進行方向に沿って配された複数の素
子部のそれぞれが、強誘電性基体中に所定形状に形成さ
れた分極反転ドメインを有し、この分極反転ドメインの
ドメイン壁の少なくとも一つが前記強誘電性基体の主面
に対して垂直若しくはほぼ垂直であり、前記強誘電性基
体の側面に電極が設けられており、かつ、前記ドメイン
壁が前記複数の素子部の相互間において前記光ビームの
進行方向に沿って互いに異なる周期で積層されているの
で、この積層周期に対応して、複数の素子部の各々の側
面に設けられた電極に所定の電圧を印加することによっ
て、複数の波長を有する光ビームを各々の波長ごとに独
立に高速かつ正確にその偏光状態を制御することが可能
であり、また、前記光ビームの各々の波長ごとに独立に
所定の強度でパワー移行できる。
【0110】また、ドメイン壁が強誘電性基体の主面に
対して垂直若しくはほぼ垂直であるから、複数の素子部
中の複数の波長を有する光ビームの伝搬方向が常に主面
に平行になり、前記光ビームを安定して伝搬することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による電気光学素子又はカラー
光源の概略斜視図である。
【図2】同、電気光学素子又はカラー光源の素子部の概
略斜視図である。
【図3】同、電気光学素子又はカラー光源の動作を説明
するための原理図である。
【図4】同、電気光学素子又はカラー光源の動作を説明
するための原理図(拡大図)である。
【図5】同、電気光学素子又はカラー光源の偏波回転の
波長特性を示す、波長によるパワー移行率のグラフであ
る。
【図6】本発明の他の実施例による電気光学素子又はカ
ラー光源の概略斜視図である。
【図7】本発明の実施例による電気光学素子又はカラー
光源のドメインの形成方法を示す概略斜視図である。
【図8】同、電気光学素子又はカラー光源のドメインの
他の形成方法を示す概略斜視図である。
【図9】同、電気光学素子の概略斜視図(A)、電気信
号源の時間による印加電圧及び時間による光出力強度の
変化を示すグラフ(B)である。
【図10】同、カラー光源の概略斜視図である。
【図11】同、カラー光源を一画素としたフルカラーの
ディスプレイの概略斜視図である。
【図12】図11の概略側面図である。
【図13】同、カラー光源を一画素とした他のフルカラ
ーのディスプレイの概略斜視図である。
【図14】図13の概略側面図である。
【符号の説明】
1…強誘電性基板、2…分極反転ドメイン、2a、2b
…ドメイン壁、3、4、7、8…主面、5、6…側面、
10、50…電気光学素子、21、21a、21b、2
1c、21a’、21b’、21c’、81…電気信号
源、31、31a、31b、31c、31a’、31
b’、31c’…素子部、41、41a、41b、41
c、42、42a、42b、42c、41a’、41
b’、41c’、42a’、42b’、42c’、4
3、44、45…電極、51…入射光ビーム、52…出
射光ビーム、55…カラー光源、60…フルカラーディ
スプレイ、61…電源、62…電子線、71、71A、
71B、71C、72、72A、72B、72C、91
A、91B、91C、92A、92B、92C…偏光
子、81、81A、81B、81C、101A、101
B、101C…白色光 82、82A、82B、82C、102A、102B、
102C…色可変出力光、θ…結晶主軸回転角、Ey…
電圧、λ1、λ2、λ3…波長、PX…画素

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の波長を有する光ビームの進行方向に
    沿って複数の素子部が配され、 前記複数の素子部のそれぞれが、強誘電性基体と、この
    強誘電性基体中に所定形状に形成された分極反転ドメイ
    ンとを有し、 前記分極反転ドメインのドメイン壁の少なくとも一つが
    前記強誘電性基体の主面に対して垂直若しくはほぼ垂直
    であり、 前記光ビームの進行方向に沿う、前記主面とは異なる前
    記強誘電性基体の側面に電極が設けられており、 前記ドメイン壁が前記複数の素子部の相互間において、
    前記光ビームの進行方向に沿って互いに異なる周期で積
    層されている、電気光学素子。
  2. 【請求項2】 光ビームが複数の波長を有し、この光ビ
    ームが分極反転ドメイン一つ当たりドメイン壁を少なく
    とも二つ通過する、請求項1に記載した電気光学素子。
  3. 【請求項3】 複数の素子部のそれぞれの電極に、別々
    に電圧が印加される、請求項1に記載した電気光学素
    子。
  4. 【請求項4】 複数の素子部に互いに異なる電圧が印加
    される、請求項3に記載した電気光学素子。
  5. 【請求項5】 複数の素子部が、ドメイン壁に対して所
    定の角度で入射した光ビームの進行方向に沿って直列に
    配置されている、請求項1に記載した電気光学素子。
  6. 【請求項6】 複数の素子部が、ドメイン壁に対して所
    定の角度で入射した光ビームの進行方向に沿って並列に
    配置されている、請求項1に記載した電気光学素子。
  7. 【請求項7】 複数の素子部のそれぞれにおいて、光ビ
    ームがドメイン壁に対し所定の入射角で入射し、強誘電
    性基体の対向した両側面にそれぞれ設けられた電極間に
    電圧を印加することによって、出射される光ビームの偏
    光状態を変化させる、請求項1に記載した電気光学素
    子。
  8. 【請求項8】 強誘電性基体の対向した両側面のほぼ全
    域に亘って電極がそれぞれ設けられ、これらの電極間に
    印加する電圧に応じて、出射される光ビームの偏光状態
    を変化させる、請求項7に記載した電気光学素子。
  9. 【請求項9】 光ビームの入射側に、強誘電性基体の主
    面とほぼ平行若しくはほぼ垂直な偏光方向を有する偏波
    光のみを通過させる第1の偏光子が配され、かつ、光ビ
    ームの出射側に、前記第1の偏光子を通過する偏波光の
    偏光方向とほぼ垂直な偏光方向を有する偏波光のみを通
    過させる第2の偏光子が配されている、請求項7に記載
    した電気光学素子。
  10. 【請求項10】 強誘電性基体がLiNbx Ta1-x
    3 (但し、0≦x≦1)の結晶からなり、ドメイン壁の
    辺の方向が前記結晶のミラー面と平行である、請求項1
    に記載した電気光学素子。
  11. 【請求項11】 複数の素子部の各々の強誘電性基体の
    対向した両主面に電極をそれぞれ設け、少なくとも一方
    の主面には所定形状の電極が設けられ、前記両主面間に
    電圧を印加することによってそれぞれの分極反転ドメイ
    ンが形成される、請求項1に記載した電気光学素子。
  12. 【請求項12】 複数の素子部の各々の強誘電性基体に
    対して自発分極の負側の面に、電子線又は負電荷を有す
    る荷電粒子を照射することによってそれぞれの分極反転
    ドメインが形成される、請求項1に記載した電気光学素
    子。
  13. 【請求項13】 複数の素子部の各々の強誘電性基体に
    対して自発分極の正側の面に、正電荷を有する荷電粒子
    を照射することによってそれぞれの分極反転ドメインが
    形成される、請求項1に記載した電気光学素子。
  14. 【請求項14】複数の波長を有する光ビームの進行方向
    に沿って複数の素子部が配され、 前記複数の素子部のそれぞれが、強誘電性基体と、この
    強誘電性基体中に所定形状に形成された分極反転ドメイ
    ンとを有し、 前記分極反転ドメインのドメイン壁の少なくとも一つが
    前記強誘電性基体の主面に対して垂直若しくはほぼ垂直
    であり、 前記光ビームの進行方向に沿う、前記主面とは異なる前
    記強誘電性基体の側面に電極が設けられており、 前記ドメイン壁が前記複数の素子部の相互間において、
    前記光ビームの進行方向に沿って互いに異なる周期で積
    層されており、 前記光ビームの入射側に、前記強誘電性基体の主面とほ
    ぼ平行若しくはほぼ垂直な偏光方向を有する偏波光のみ
    を通過させる第1の偏光子が配され、 前記光ビームの出射側に、前記第1の偏光子を通過する
    偏波光の偏光方向とほぼ垂直な偏光方向を有する偏波光
    のみを通過させる第2の偏光子が配されている、光源。
  15. 【請求項15】 複数の素子部のそれぞれにおいて、光
    ビームがドメイン壁に対し所定の入射角で入射し、強誘
    電性基体の対向した両側面にそれぞれ設けられた電極間
    に電圧を印加することによって、出射される光ビームの
    偏光状態を変化させる、請求項14に記載した光源。
  16. 【請求項16】 強誘電性基体の対向した両側面のほぼ
    全域に亘って電極がそれぞれ設けられ、これらの電極間
    に印加する電圧に応じて、出射される光ビームの偏光状
    態を変化させる、請求項14に記載した光源。
  17. 【請求項17】 光ビームが可視領域にある複数の波長
    を有し、この光ビームが分極反転ドメイン一つ当たりド
    メイン壁を少なくとも二つ通過する、請求項14に記載
    した光源。
  18. 【請求項18】 少なくとも三つの素子部が一組として
    配置されている、請求項14に記載した光源。
  19. 【請求項19】 少なくとも三つの素子部の各々のドメ
    イン壁が、赤色、緑色、青色のそれぞれの波長に対応す
    る周期で積層されている、請求項18に記載した光源。
  20. 【請求項20】 複数の素子部のそれぞれの電極に、別
    々に電圧が印加される、請求項14に記載した光源。
  21. 【請求項21】 複数の素子部に互いに異なる電圧が印
    加される、請求項20に記載した光源。
  22. 【請求項22】 複数の素子部が、ドメイン壁に対して
    所定の角度で入射した光ビームの進行方向に沿って直列
    に配置されている、請求項14に記載した光源。
  23. 【請求項23】 複数の素子部が、ドメイン壁に対して
    所定の角度で入射した光ビームの進行方向に沿って並列
    に配置されている、請求項14に記載した光源。
  24. 【請求項24】 強誘電性基体がLiNbx Ta1-x
    3 (但し、0≦x≦1)の結晶からなり、ドメイン壁の
    辺の方向が前記結晶のミラー面と平行である、請求項1
    4に記載した光源。
  25. 【請求項25】 複数の素子部の各々の強誘電性基体の
    対向した両主面に電極をそれぞれ設け、少なくとも一方
    の主面には所定形状の電極が設けられ、前記両主面間に
    電圧を印加することによってそれぞれの分極反転ドメイ
    ンが形成される、請求項14に記載した光源。
  26. 【請求項26】 複数の素子部の各々の強誘電性基体に
    対して自発分極の負側の面に、電子線又は負電荷を有す
    る荷電粒子を照射することによってそれぞれの分極反転
    ドメインが形成される、請求項14に記載した光源。
  27. 【請求項27】 複数の素子部の各々の強誘電性基体に
    対して自発分極の正側の面に、正電荷を有する荷電粒子
    を照射することによってそれぞれの分極反転ドメインが
    形成される、請求項14に記載した光源。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101044473B1 (ko) 2004-09-30 2011-06-27 엘지디스플레이 주식회사 편광조사장치
CN103676218A (zh) * 2013-12-11 2014-03-26 中国科学院武汉物理与数学研究所 一种电光调制器
CN111855585A (zh) * 2020-07-07 2020-10-30 上海交通大学 一种非中心对称晶体的晶畴空间分布及晶格取向的确定方法

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