JPH10115224A - クランク室過給式v型エンジン - Google Patents

クランク室過給式v型エンジン

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JPH10115224A
JPH10115224A JP26996396A JP26996396A JPH10115224A JP H10115224 A JPH10115224 A JP H10115224A JP 26996396 A JP26996396 A JP 26996396A JP 26996396 A JP26996396 A JP 26996396A JP H10115224 A JPH10115224 A JP H10115224A
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JP
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engine
chamber
intake
cylinders
pressurized
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JP26996396A
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English (en)
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Atsushi Tagami
淳 田上
Shunzo Fujiwara
俊三 藤原
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/16Engines characterised by number of cylinders, e.g. single-cylinder engines
    • F02B75/18Multi-cylinder engines
    • F02B75/22Multi-cylinder engines with cylinders in V, fan, or star arrangement

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のエンジンより構成部材の多いクランク
室過給式V型エンジンを船体の重量バランスに影響を及
ぼすことなく搭載したクランク室過給式V型エンジン搭
載ウォータビークルを提供すること。 【解決手段】 本発明に係るクランク室過給式V型エン
ジン搭載ウォータビークルは、複数の気筒を有し、それ
らの気筒が180゜以内の角度でV型に拡開され、前記
気筒のクランク室内において新気を加圧し、加圧した新
気を、各気筒毎に加圧吸気通路及び吸気バルブを含む加
圧吸気系手段を介して各気筒の燃焼室に導くとともに、
燃焼室から排気バルブを含む排気系手段により排気を排
出するように構成されたクランク室過給式V型エンジン
を、その出力軸が船体平面視中心軸上に位置し、かつ、
その重心が出力軸の鉛直面上に位置するように角度調整
してウォータビークルに搭載して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クランク室内の容
積変化を利用して過給するようにしたクランク室過給式
V型エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】本件出願人は、上記したクランク室過給
式エンジンとして、クランク室、クランクウェブ、及び
ピストンで囲まれたコンロッド収納室をコンロッドによ
り吸入室と圧縮室とに区分けし、前記コンロッドの揺動
によりコンロッド収納室に吸入した空気を圧縮して燃焼
室に過給するように構成したものを既に提案している
(特開平6−93869号公報参照)。このように構成
されたクランク室過給式エンジンによれば、クランク軸
が1回転する毎にコンロッドにより掃かれる容積分だけ
空気を燃焼室に圧送することができ、エンジン出力を向
上させることができるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した構成のクラン
ク室過給式エンジンは、吸気系手段と排気系手段とに加
えて、加圧空気を燃焼室に導く加圧吸気系手段を必要と
するので、通常のクランク室過給式でないエンジンと比
較すると構成部材が多く、従って、このクランク室過給
式エンジンをV型エンジンで構成する場合には、V型に
拡開された気筒毎に吸気系手段、排気系手段、及び加圧
吸気系手段が必要になるため、構成部材が多くなり、エ
ンジン自体が大きくなり、その重量が重くなってしまう
という問題があった。上記した問題は、加圧吸気系手段
や吸気系手段を小型化すればある程度解消できるが、特
に加圧吸気系手段は、その大きさや形状が加圧率に影響
を及ぼし、各気筒毎の加圧率にバラツキが生じるとエン
ジンの出力が低下してしまうため、加圧吸気系手段等の
小型化は非常に難しく、エンジンの出力性能に影響を与
えずにこれらの手段を小型化し、エンジンをコンパクト
にすることが従来からの課題になっている。本発明は、
上記した課題を解決し、エンジンの出力性能に影響を与
えることなく、小型化及び軽量化を達成することのでき
るクランク室過給式V型エンジンを提供することを目的
としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に係るクランク室過給式V型エンジン
は、一つのクランク軸と、クランク軸に対してシリンダ
軸線が垂直になるように配置された少なくとも二つの気
筒とを有し、隣接する二つの気筒が180゜以内の角度
でV字状に拡開して、それらの間にバンク空間を形成し
たV型エンジンにおいて、各気筒に対応するクランク
室、クランクウェブ、及びピストンで各気筒毎にコンロ
ッド収容室を形成し、各コンロッド収容室を、対応する
コンロッドで吸入室と圧縮室とに区分けし、前記吸入室
に吸気系手段を接続し、前記圧縮室と燃焼室の吸気孔と
を加圧吸気系手段で連通させ、前記燃焼室の排気孔に排
気系手段を接続すると共に、全ての気筒の吸気孔をバン
ク空間側に開口し、全ての気筒の加圧吸気系手段をバン
ク空間内に配置したことを特徴とするものである。ま
た、本発明の請求項2に係るクランク室過給式V型エン
ジンは、前記圧縮室と燃焼室の吸気孔とを連通する加圧
吸気系手段が、バンク空間を挟んで相互に反対側に位置
する少なくとも二つの気筒の圧縮室と連通する加圧吸気
室を備え、前記加圧吸気室がクランクケース内に形成さ
れていることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示した一実施例
を参照して本発明に係るクランク室過給式V型エンジン
の実施の形態について説明する。始めに、図1〜図6を
参照して本発明に係るクランク室過給式V型エンジン
(以下、単にエンジンと称する。)を船外機に搭載した
例を説明する。尚、図中、矢印Fは船外機を搭載した場
合の船体(図示せず)の前進方向を示している。又以下
の説明における左右方向は前進方向Fに対する船外機の
左右方向を基準とし、上下方向は船外機の上下方向を基
準とする。図1は、クランク室過給エンジン1を搭載し
た船外機100の一部断面背面図を示している。
【0006】(船外機の説明)図1に示すようにこの船
外機100は、アッパーカウリング102、ボトムカウ
リング103、エプロン104、アッパーケース10
5、及びロアケース106によって全体が覆われてい
る。また、アッパーケース105の外面には不図示の懸
架ユニットが設けられており、船外機100はこの懸架
ユニットのクランプブラケットによって不図示の船体の
船尾板に取り付けられるよう構成されている。前記ボト
ムカウリング103、該ボトムカウリング103に対し
て着脱可能とされるアッパーカウリング102、及びア
ッパーケース105の上端に支持されたエキゾーストガ
イド107は内部にエンジン室を形成している。エンジ
ン室内にはエンジン1が収容されている。該エンジン1
は、そのクランク軸29の軸線が上下方向を向くように
エキゾーストガイド107上に固定されている。また、
ロアケース106内にはプロペラ114に連結された不
図示の駆動装置が収納されており、この駆動装置を介し
てエンジン1の出力軸126からの動力でプロペラ11
4を後方から見て前進時時計回りに、後進時反時計回り
に回転させ、前進又は後進方向の推進力を得るように構
成されている。また、船外機100のアッパーケース1
05、ロアケース106、及びプロペラボス117の内
部には、エンジン1の排気ガスが通る排気通路128が
形成されており、エンジン1の排気ガスが、この排気通
路128及びプロペラ114のプロペラボス117を通
って水中に排気される。
【0007】(エンジンの説明)以下、前記船外機10
0に搭載されたクランク室過給エンジン1の構成につい
て、詳細に説明する。図2は図1における船外機の概略
上面図、図3は図2におけるエンジンのA−A断面図、
図4は図3におけるB−B断面図、図5は図3における
C−C断面図、及び図6は図2におけるD−D断面図を
各々示している。図面に示すように、クランク室過給エ
ンジン1は、一つのクランクケース3、二つのシリンダ
ボディ5、以下各々二つのシリンダヘッド7、及びヘッ
ドカバー9を積層締結して構成され、前記シリンダボデ
ィ5、シリンダヘッド7、及びヘッドカバー9で、左右
に180゜度以内の角度でV字状に開く二つのバンク2
A及び2B(以下、2Aを右バンク、2Bを左バンクと
し、これら右バンク2A及び左バンク2Bの間に形成さ
れる空間をバンク空間Sとして説明する。)を形成した
水冷式4サイクル4気筒V型エンジンであり、その重心
Gが、船外機100の中心面Sc上、或いは、その近傍
に位置するように配置されている(図2参照)。尚、本
実施例ではV角は90゜としてエンジンの左右方向の外
形寸法を小さくしている。前記バンク2A及び2Bは各
々船外機100の中心面Lcを境に左右対称になるよう
に配置されており(図2参照)。また、各バンク2A,
2Bには、各々二つの気筒#2、#4及び#1、#3が
交互に上下に平行に形成されており、全ての気筒#1〜
#4のピストン35がコンロッド37を介してクランク
ケース3内に収容された一本のクランク軸29に連結さ
れている。尚、左バンク2Bの気筒#1,#3及び右バ
ンク2Aの気筒#2,#4の基本的な構造は同じである
ので、以下の説明では、特に説明が必要である場合を除
いて、重複する説明は省略し、同じ部材には同じ符号を
付す。
【0008】(燃焼室周辺構造について)各バンク2A
及び2Bのシリンダボディ5には気筒#1〜#4に対応
するシリンダボア11が形成されており(図3〜6参
照)、シリンダヘッド7には、各シリンダボア11に対
応する燃焼室13を形成する燃焼凹部(符号なし)が各
々上下に二つ形成されている。シリンダヘッド7の前記
燃焼凹部には吸気ポート15及び排気ポート17がそれ
ぞれ開口している。前記排気ポート17は、右バンク2
Aではシリンダヘッド7の右舷側に、左バンク2Bでは
シリンダヘッド7の左舷側に各々導出されており、ま
た、吸気ポート15は、両バンク2A及び2B共、シリ
ンダヘッド7のバンク空間S側に導出されている。ま
た、各吸気ポート15の燃焼室13側開口には吸気バル
ブ19が、各排気ポート17の燃焼室13側開口には排
気バルブ21が各開口を開閉自在に配置されている(図
4,5参照)。
【0009】(吸排気バルブ動弁機構について)前記吸
気バルブ19及び排気バルブ21は、それぞれバルブス
プリング23により閉方向に付勢されており、各バルブ
19及び21の後方には、各バルブ19及び21を前記
バルブスプリング23の力に抗して開弁させる動弁機構
が設けられている。前記動弁機構は各バルブ19及び2
1に対応するカムノーズを備えたカム軸25を有し、こ
のカム軸25の一端はスプロケット27及びチェーン2
8を介してクランク軸29に連結されている(図6参
照)。また、カム軸25の左右には、カム軸25と平行
にロッカシャフト31が配置されており、各ロッカシャ
フト31にはロッカアーム33が揺動可能に装着されて
いる。各ロッカアーム33はその一端部がカム軸25の
カムノーズに当接し、他端部が対応するバルブ19及び
21の後端部に当接している。従って、クランク軸29
の回転に応じてカム軸25が回転すると、各カムノーズ
が所定のタイミングで対応するロッカアーム33を押
し、ロッカアーム33が対応するバルブ19又は21を
バルブスプリング23の力に抗して押圧して対応する吸
気ポート15又は排気ポート17を開弁する。
【0010】(ピストン及びコンロッドについて)前記
シリンダボディ5の各シリンダボア11にはピストン3
5が各々摺動自在に挿入配置されている。前記ピストン
35には、ピストンピン及び軸受け(共に符号なし)を
介してコンロッド37の小端部が連結されており、この
コンロッド37の大端部はクランク軸29のクランクピ
ン39に軸受け(符号なし)を介して連結されている
(図4〜6参照)。
【0011】(クランク軸の説明)クランク軸29は、
各々、円板状に形成された複数(各気筒に2枚、本実施
例では4気筒なので全部で8枚)のクランクウェブ41
を有する8つのクランク軸片29a〜29hから成り、
ジャーナル部45を有するクランク軸片29aへクラン
ク軸片29bのクランクピン39を圧入し、クランク軸
片29bへクランク軸片29cのジャーナル部45を圧
入し、クランク軸片29cへクランク軸片29dのクラ
ンクピン39を圧入し、クランク軸片29dへクランク
軸片29eのジャーナル部45を圧入し、クランク軸片
29eへクランク軸片29fのクランクピン39を圧入
し、クランク軸片29fへクランク軸片29gのジャー
ナル部45を圧入し、クランク軸片29gへクランク軸
片29hのクランクピン39を圧入して構成されてお
り、前記クランク軸片29a、29c、29e、29
g、及び29hのジャーナル部45は、クランクケース
3にジャーナル軸受け(符号なし)を介して支持されて
いる。ジャーナル軸受は各々シール付きの軸受で、後述
する各気筒#1〜#4毎のクランク隔室50を気密に
し、且つ各クランク隔室50への外部からの水分等の侵
入を防止している。前記クランク軸29のクランク軸片
29aのジャーナル部45は、クランクケース3から突
出して上方に伸びており、該突出部にはフライホイール
兼用の発電機47が取り付けられている(図1及び図6
参照)。また、前記クランク軸29のクランク軸片29
hのジャーナル部45は、クランクケース3から突出し
て下方に伸び、この突出部は出力軸126に連結されて
いる。これにより、エンジン1の出力が出力軸126に
伝達され、プロペラ114を回転させる。
【0012】(シリンダボディ及びクランクケースの説
明)図4〜図6を参照すると分かるように、各シリンダ
ボディ5の各気筒#1〜#4に対応する部分には、その
前端よりさらに前方に突出し、シリンダボア11の前方
部分を画定している嵌合部51がシリンダボアに一体に
形成されており、クランクケース3の後部の各バンク2
A及び2Bに対応する部分には、シリンダボディ5とク
ランクケース3とを結合した時に、前記嵌合部51が挿
入される嵌合孔52が各バンク毎に上下に平行に二つづ
つ形成されている。なお、クランクケース3は、図4〜
6において図示する通り、クランク軸29の中心を通る
面を境にして二つの部分から成り、二つの部分は互いに
脱着可能とされる。これによりジャーナル軸受を組み込
んだクランク軸29を前記二つの部分の中間部にそれぞ
れ収納した後、前記二つの部分を互いに結合することに
より、クランク軸29をクランクケース3内に組み込む
ことができる。また、前記クランクケース3内に形成さ
れたクランク軸29を収納するクランクケースは、クラ
ンク軸29と直交する向きに設けられた隔壁49によっ
て各気筒#1〜#4に対応する4つのクランク隔室50
に気密に区画されている。
【0013】(コンロッド収納室の構成)前記クランク
ケース3の後部の各バンク2A,2Bに対応する部分
と、クランクケース3の各クランク隔室50におけるク
ランク軸29と直交する内壁とのコンロッド37の移動
範囲に対応する部分には、上下方向の幅がコンロッド3
7の上下方向の厚みより僅かに大きい切欠き53が形成
され、コンロッド37が切欠き53を左右に区画しつつ
通過可能とされている。また、前記シリンダボディ5の
各嵌合部51におけるコンロッド37の移動範囲に対応
する部分にも、上下方向の幅がコンロッド37の上下方
向の厚みより僅かに大きい切欠き55が形成されコンロ
ッド37が通過可能とされている。これらの切欠き53
及び55は、それらの表面が面一になるように形成さ
れ、かつコンロッド37の移動時に対応する切欠き53
及び55の表面とコンロッド37の上下側面とが密閉的
に、即ち、加圧吸気の通過漏れを0或いはあったとして
も僅かとすべく相対するように寸法決めされている。ま
た、前記クランクケース3の各クランク隔室50の内周
壁57はクランク軸29を囲むように円弧状に形成され
ており(図4及び図5参照)、この内周壁57は、コン
ロッド37の移動時に、その表面とコンロッド37の大
端部の外周表面とが密閉的に、即ち、加圧吸気の通過漏
れを0或いはあったとしても僅かとすべく相対するよう
に寸法決めされている。さらに、クランクケース3の各
クランク隔室50におけるクランク軸29と直交する壁
面にはクランクウェブ41が収容配置される円形の収容
凹部59が形成されている。各クランクウェブ41は、
その周囲に少なくともクランクケース3より硬質の材料
で形成された密閉リング61を取り付けた状態で、前記
クランクケース3における収容凹部59に収納されてい
る。また、前記円形の収容凹部59の密閉リング61の
外面が当接する部位には、不図示の耐磨耗性のリング状
部材が鋳込まれており、クランク軸回転中に、密閉リン
グ61の外面がこの耐磨耗性リング状部材に接触摺接し
てシール作用が得られるように構成されている。また、
各気筒#1〜#4における二つのクランクウェブ41間
の寸法は、そのコンロッド側の表面とコンロッド37の
上下側面とがコンロッド移動時に密閉的に、即ち、加圧
吸気の通過漏れを0或いはあったとしても僅かとすべく
相対するように寸法決めされている。なお、密閉リング
61は必須ものではなくなくてもよい。また、図4及び
図5を参照すると分かるように、前記ピストン35の内
側には略三角形状の凹部35aが形成されており、ピス
トン35のスカート部における前記凹部35aに対応す
る部分にはコンロッド37が通過可能な切欠き35bが
形成されている。前記ピストン35の凹部35aにはコ
ンロッド37の小端部が挿入配置されており、この凹部
35aの半円筒状の内周部のピストンピン中心からの半
径は、コンロッド37の小端部の外周のピストンピン中
心からの半径よりごく僅か大きくされており、かつ、凹
部35a及び切欠き35bの上下方向の内幅は、コンロ
ッド37の上下方向の厚みよりごく僅か大きくされてい
る。これにより、コンロッドの移動時に、ピストン35
部においても、コンロッド37の左右の空間が互いにコ
ンロッド37によって密閉的に、即ち、加圧吸気の通過
漏れを0或いはあったとしても僅かとするように区画さ
れる。
【0014】(コンロッド収納室の作用)上記した構成
により、各クランク隔室50、各クランクウェブ41、
及び各ピストン35で囲まれたコンロッド収容室60
が、シリンダボア11毎に形成される。これにより、コ
ンロッド37の移動中、即ちエンジン駆動中は、コンロ
ッド37の表面が、ピストン内の凹部35aの上下方向
両内面及び半径方向内面、ピストンのスカート部の切欠
き35bの内面、シリンダボディ5の嵌合部51におけ
る切欠き55の上下方向両内面、クランクケース3にお
ける切欠き53の上下方向両内面、クランクウェブ41
のコンロッド側の表面、又はクランクケース3の各クラ
ンク隔室50の円弧状に形成された内周壁57と密閉的
に相対するので、ピストン35が上死点付近に位置する
場合を除くクランク角度において、各コンロッド収納空
間はコンロッドによって二つの室(吸入室Aと圧縮室
B)とに区画されることになる。以上説明した構成によ
り、ピストン35が上死点に位置する状態から、図4及
び図5に示すように、クランク軸29が時計方向に回転
するに伴い、各気筒#1〜#4のコンロッド37の大端
部の外周がクランクケース3の内周壁57に近接し、こ
の時点でコンロッド収容室60が吸入室Aと圧縮室Bと
に区画され、さらにクランク軸29の回転に伴い一方の
室Aに空気が吸入されると共に、他方の室B内の前行程
で吸入された空気が圧縮される容積型過給機構が構成さ
れる。なお、係る容積型過給機構の構成は、上述の特開
平6−93869号公報に詳細に記載されている。
【0015】(吸気系手段の説明)クランクケース3に
おける各気筒#1〜#4の吸入室A側の部分、即ち、ク
ランクケース3における中心面Scを境に右バンク側の
部分には、各気筒#1〜#4の吸入室Aと連通する一つ
の吸気室Dが形成されている。この吸気室Dは、図4に
示すように左バンク2B側の気筒#1及び#3に対応す
る部分は、前記気筒#1及び#3の吸入室Aに沿うよう
な形状に形成され、また、図5に示すように右バンク2
A側の気筒#2及び#4に対応する部分は、前記気筒#
2及び#4の吸入室Aと隣接する部分から気筒#1及び
#3の吸気室と重なる位置まで伸びるような形状に形成
され、この重なる位置で全ての気筒#1〜#4に対応す
る吸気室が連通するようにクランクケース3内に形成さ
れている。クランクケース3における前記吸気室Dと各
気筒#1〜#4の吸入室Aとを仕切る壁には、吸入室A
と吸気室Dとを連通する開口が各気筒#1〜#4毎に形
成されており、各開口には吸入室Aの圧力が吸気室Dの
圧力より低くなると開弁するリード弁手段87が設けら
れている(図4及び図5参照)。また、図2に示すよう
に、クランクケース3には、前記吸気室Dと連通する一
本の吸気管77が接続されており、この吸気管77はエ
ンジン1の前方に向かって伸び、気化器79を介してエ
アクリーナ81に接続されている。上記した構成によ
り、一つのエアクリーナ81から新気を取り入れ、一つ
の気化器79で燃料を霧化混合し、一つの吸気室Dに混
合気を取り入れ、吸気室Dで各気筒#1〜#4に対応す
るリード弁手段87を介して各気筒の吸入室A内に混合
気が吸引される。
【0016】(加圧吸気系手段の説明)クランクケース
3における各気筒#1〜#4の圧縮室B側の部分、即
ち、クランクケース3における中心面Scを境に左バン
ク側の部分には、各気筒#1〜#4の圧縮室Bと連通す
る一つの加圧吸気室Cが形成されている。この加圧吸気
室CDは、図5に示すように右バンク2A側の気筒#2
及び#4に対応する部分は、前記気筒#2及び#4の圧
縮室Bに沿うような形状に形成され、また、図4に示す
ように左バンク2B側の気筒#1及び#3に対応する部
分は、前記気筒#1及び#3の圧縮室Bと隣接する部分
から気筒#2及び#4の加圧吸気室と重なる位置まで伸
びるような形状に形成され、この重なる位置で全ての気
筒#1〜#4に対応する吸気室が連通するようにクラン
クケース3内に形成されている。クランクケース3にお
ける前記加圧吸気室Cと各気筒#1〜#4の圧縮室Bと
を仕切る壁には、圧縮室Bと加圧吸気室Cとを連通する
開口が各気筒#1〜#4毎に形成されており、各開口に
は加圧吸気室Cの圧力が圧縮室Bの圧力より低くなると
開弁するリード弁手段71が設けられている(図4及び
図5参照)。また、図4及び図5に示すように、クラン
クケース3のバンク空間S側には、前記加圧吸気室Cに
連通する4本の加圧吸気管65が接続されており、これ
ら4本の加圧吸気管65は各々対応する気筒#1〜#4
の吸気ポート15に連結されている。上記した構成によ
り、各気筒#1〜#4毎の圧縮室Bでコンロッド37に
よって圧縮された混合気は、一つの加圧吸気室Cに吐出
され、そこから各加圧吸気管65及び各吸気ポート15
を介して各燃焼室13に吐出される。また、前記クラン
クケース3には、加圧吸気室Cの周囲を囲むようにウォ
ータジャケット64が形成されており(図4参照)、こ
れにより、コンロッド37で圧縮されて昇温する混合気
を加圧吸気室D内で冷却し、燃焼室13への混合気を充
填効率の低下を防止し、エンジンの出力性能を高く維持
することができるようにしている。尚、このウォータジ
ャケット64は、シリンダボディ5のウォータジャケッ
ト(符号なし)と連通している。従って、この加圧吸気
系手段におけるウォータジャケット64内にはシリンダ
ボディ5及びシリンダヘッド7を冷却する冷却水が流れ
るため、ポンプ等を別個に設ける必要がなく、また、前
記ウォータジャケット64を、クランクケース3を介し
てシリンダボディ5のウォータジャケットに連通させて
いるので、別個に連結パイプ等を設ける必要もない。ま
た、各加圧吸気管65には、各々アクセルグリップ(図
示せず)の操作に連動して開閉するバタフライ型スロッ
トル弁67が設けられている。このバタフライ型スロッ
トル弁67は、気化器79に設けられたスロットル弁
(図示せず)と連動して動くように構成されており、こ
れにより、気化器79が吸気ポート15から離れている
ことによる応答性の遅れが防止される。
【0017】(加圧吸気系と吸気系とを連結するバイパ
ス通路の説明)上記した加圧吸気室Cと吸気室Dとは、
小径のバイパス通路88で連通されている。このバイパ
ス通路88の途中の加圧吸気室Cに近い位置にはバタフ
ライ弁88aが配置されている。このバタフライ弁88
aはアクセル操作に連動して開閉し、低負荷時(スロッ
トル弁67の開度が小さい時)に開となり、中・高負荷
時に閉となる。なお、加えて、急減速時に先行して閉か
ら開へ動作するようにしてもよい。バタフライ式スロッ
トル弁67の開度が小の時には過給新気量が少なくてよ
いので、バタフライ弁88aを開として加圧吸気室Cの
圧力を下げ、コンロッド37のポンプ仕事量を減らし、
これによりロス馬力が小さくできる。また、急減速時
に、加圧吸気室Cの出口側でバタフライ式スロットル弁
67が急閉されて加圧吸気室C内の圧力が急上昇し、ロ
ス馬力が急上昇したり、エンジンストールが発生したり
する場合には、急減速時バタフライ弁88aをスロット
ル弁67の急閉動作に先行して開とするとよい。尚、加
圧吸気室Cを各気筒毎に独立して設ける場合には、各気
筒毎の加圧吸気室Cから気筒数のバイパス通路上流管が
導かれ、途中で合体し一本のバイパス通路下流管とされ
て吸気室Dに連通するようにする。そして、前記バタフ
ライ弁88aは、各バイパス通路上流管毎か、又は合体
後のバイパス下流管に配置される。バタフライ弁88a
をバイパス通路下流管に設ける場合には、一つの弁でよ
い。この場合には、各バイパス通路の上流管の途中に逆
止弁を設ける。これにより、各加圧吸気室Cは、少なく
ともバタフライ弁88aが開となる時、互いに連通する
ことがなくなる。
【0018】(排気系手段の説明)シリンダヘッド7に
おけるバンク空間Sの反対側には排気系手段が設けられ
ている。この排気系手段は各気筒の排気ポート17に連
結された4つの排気管89と、各バンク2A,2B毎に
一つづつ設けられた排気集合管90と、上流側が2本に
分岐し、下流が合流して一本にされている排気尾管91
とから成る。各バンク2A,2B毎の上下の排気管89
は各々対応する排気集合管90に連結している。前記排
気尾管91の2つに分岐した上流部分は、各排気集合管
90に連結され、エキゾーストガイド107を貫通して
船外機100に形成された排気通路128内まで伸び、
該排気通路128内で合流して、排気通路128内の膨
張室に開口する。これにより、前述のように、各気筒か
らの排気ガスは排気系手段及び前記排気通路128を介
してプロペラボス117の排気通路開口端から水中に排
気される(図1参照)。
【0019】(オイル関係の説明)以上説明したように
構成されたエンジン1におけるクランク軸29及びピス
トン35には、エンジン前方に設けられたオイルタンク
93内のオイルが、不図示のオイルポンプによって不図
示の供給パイプを介して、各気筒のピストン35とシリ
ンダボア11との間の摺動部、クランク軸29のジャー
ナル軸受部、及び各気筒のコンロッド37の大端軸受部
にそれぞれ供給される。また、吸気バルブ19及び排気
バルブ21の動弁機構には、ヘッドカバー9に設けられ
たオイル供給孔95から入れられ、不図示のオイル溜ま
りにためられた4サイクルオイルが、不図示のオイルポ
ンプにより循環供給される。
【0020】(第一実施例特有の効果)以上説明したよ
うに、この第一の実施例に係るエンジン1は、船外機1
00の中心面Scを境にほぼ左右対称になるように左右
のバンク2A,2B及びその他の構成部材を配置し、さ
らに左右バンク2A,2B間のバンク空間Sに各気筒の
加圧吸気管を配置して、重量物である加圧吸気系手段が
船外機100のほぼ中心面Sc上に位置するようにして
いるので、エンジン1自体の重量バランスが非常によ
く、その結果、このエンジン1を搭載した船外機を取り
付けた船体を方向転換する時の船外機100にかかる慣
性力を、同じ重量のエンジンを搭載した船外機と比較し
て極めて小さくでき、転舵操作が非常に楽になるという
効果を奏する。また、本第1実施例のエンジンは、クラ
ンクケース3内に加圧吸気室C及び吸気室Dを形成して
いるので、これらの室C及びDを形成するために別個の
ハウジング等を設ける必要がない。従って、エンジン1
の構成部品を減らすことができ、その結果、エンジン1
の小型化及び軽量化が達成でき、また、製造が簡単にな
るので価格も安価に抑えることができるという効果を奏
する。また、本第1実施例のエンジンは、各バンク2
A,2Bの排気系手段を各バンク2A,2Bの外側に配
置しているので、排気系手段の熱がカウリング102及
び103内のエンジン室に篭もることがない。また、両
バンク2A,2Bの加圧吸気管をバンク空間Sに集中配
置し、かつ各バンク2A,2Bの排気系手段をバンク空
間Sの反対側に配置しているので、加圧吸気系手段を通
過する加圧混合気が排気熱、特にふく射熱の影響を受け
にくく、充填効率の低下をきたすことがない。また、本
実施例では、各バンクに対するエアクリーナ81を共に
エンジン室の前方に配置し、排気系手段をエンジン室の
後方に配置しているので、走行風によって排気系手段の
熱を後方に逃がすことができ、エアクリーナ81で吸引
する新気が排気系手段の熱影響を受けることはない。さ
らに、本実施例では、各バンク2A,2Bの構成部材が
中心面Scを境にほぼ左右対称になるようにエンジン1
を配置しているので、各バンク2A,2Bにおける温度
条件をほぼ同じ条件に保つことができる。
【0021】(第2実施例の説明)次に図7及び図8を
参照して本発明に係るクランク室過給式V型エンジンを
ウォータビークルに搭載した例について説明する。尚、
この第2実施例におけるエンジンの構成は上記した第1
実施例のエンジン1の構成と同じであるので、エンジン
1に関しては第1実施例と同じ符号を付して重複する説
明は省略する。図7は、ウォータビークルの船体後方か
ら見た、船体とエンジンとの位置関係を表す図、図8
は、図7のウォータビークルの概略上面図を各々示して
いる。図中、符号150はウォータビークルを、又、符
号152はウォータビークル150の船体を各々示して
いる。このウォータビークル150は、乗員が船体15
2上に設けられたシート(図示せず)に跨って座り、こ
のシートの前方に設けられた走航ハンドル(図示せず)
を掴んで走航するように構成されている。また、船体1
52の後方にはジェットポンプ式推進装置158が設け
られている。前記ジェットポンプ式推進装置158は、
流路形成管160、ディフレクタノズル162、及びイ
ンペラ164から構成されており、流路形成管160
は、その一端が船体152の底面に開口し、そこから船
体152の後方に向かって湾曲しながら船体152の後
部まで伸びている。この流路形成管160の後端部に
は、不図示のハンドルの操作に応じて左右に回動し、不
図示のレバーにより上下に回動するディフレクタノズル
162が連結されており、また、流路形成管160の内
部にはインペラ164が配置されている。このインペラ
164は、エンジン1のクランク軸29に連結された出
力軸166に固定されている。上記した構成により、エ
ンジン1が駆動すると、出力軸166がインペラ164
を回転させて流路形成管160内に、その船底側開口か
ら吸い込まれ、後部開口から噴射されるジェット水流を
作り出す。前記ジェット水流は、ハンドルの操作に応じ
てディフレクタノズル162によって適当な方向に噴射
される。
【0022】エンジン1は、上記ウォータビークル15
0の船体152の内部に搭載されている。エンジン1
は、そのクランク軸29が船体152の中心線Lc上に
位置し、船体152の前後方向を向くようにエンジンマ
ウント1aを介して船体152に搭載されている。ま
た、エンジン1の左右のバンク2B及び2Aが船体15
2の中心線Lcを境に左右対称になるように配置され、
これにより、船体152の左右バランスを向上させてい
る。また、エンジン1の吸気管77は船体152の前方
に向かってのび、気化器79を介して船体前方に設けら
れたエアクリーナ81に接続されている。エンジン1の
各気筒毎の排気管89は、船体後方に向かってのび、各
バンク毎に排気集合管90により集合され、さらに、こ
れらこれら二つの排気集合管90は一本の集合管92で
集合されている。前記集合管92は船体後方に設けられ
た消音器94に接続さる。この消音器94には、排気尾
管91によって、ジェットポンプ推進装置158のポン
プ室172と連通され、これにより、エンジン1からの
排気ガスはポンプ室172を介して水中に排気される。
【0023】(第2実施例効果)上記したエンジン1
は、その中心面Scを境に左右のバンク2B,2A、各
バンクに対応する排気系手段及び加圧吸気管が対称にな
るように構成されているので、上記した第2実施例のよ
うに、船体152の左右バランスを崩すことなく、エン
ジン1のクランク軸29と船体152のインペラ164
を回転駆動する駆動軸166を、船体152の中心線L
c上に一直線上に配置することが可能になる。また、エ
ンジン1は、各気筒の排気ポート17を各バンク2A,
2Bにおけるバンク空間Sの反対側に導出しているの
で、上記した第2実施例のように、エンジン1を船体1
52に、そのクランク軸29が前後方向を向くように搭
載した場合に、排気管89をエンジン1の両外側、且つ
船体152内壁に近い位置に配置することできる。これ
により、排気管89からの輻射熱は、直近の船体152
内壁に伝えられ、そこから外気中に放散するので、排気
熱が船体152内に篭もりずらくすることができるとい
う効果を奏する。また、ウォータービークルは大きくロ
ーリング(時には横転)する。この時船体152内のビ
ルジ水が船体152内壁び沿って流れるので、船体15
2内壁に近い位置に配置する排気管89にビルジ水がか
かり、排気管89が冷却される効果がある。また、気筒
毎の排気管89、排気集合管90、消音器94そして排
気尾管91を、左右バンク毎に独立に配置することによ
り、全運転回転数域において左右バンク両バンクにおけ
る排気脈動を同等に利用することができる。これより、
より高いエンジン性能を導くことが可能となる。また、
加圧吸気管65、65を船体152の中央部に配置する
ことにより、加圧吸気管65、65を吸気管89から隔
離し、充填効率を低下しないようにすることができる。
さらに、吸気管77を前方に延ばし、エンジン1前方に
配置した気化器79に連結している。これにより、ビル
ジ水の溜まり易いエンジン1と船体152の船底部との
間の空間を避けて、且つ船底部より離間して気化器79
を配置可能となる。スロットル等可動部を有する気化器
79の塩付きによる作動不良を避けることができる。本
実施例においては、吸気管77を前方に延ばしたが、後
方に延ばして気化器79を配置しても良い。左右バンク
2a、2bとも共通の気化器79及び吸気管77を介し
て新気を吸入するようにしているが、各バンク独立に気
化器79及び吸気管77を配置するようにしても良い。
【0024】(第3実施例の説明)次に図9及び図10
を参照して本発明に係るクランク室過給式V型エンジン
をスノーモービルに搭載した例について説明する。尚、
この第3実施例におけるエンジンの構成は上記した第1
実施例のエンジン1の構成と同じであるので、エンジン
1に関しては第1実施例と同じ符号を付して重複する説
明は省略する。図9はスノーモービルの一部断面概略側
面図を、図10は図9のスノーモービルの概略上面図を
各々示している。図中200は雪上車両を示している。
この雪上車両200は、後部にシート202が設けら
れ、前記シート202の下方に無端ベルトから成る走行
用トラック204を備えている。このトラック204
は、その前部に設けられた駆動輪206を介してエンジ
ン1によって回転駆動される。前記エンジン1は、車体
前側を覆うシュラウド208内において、図9に示すよ
うに、防振マウント1aを介して車体フレーム209に
載置されており、また、車体前側の下方には左右一対の
走行板210が設けられている。これら走行板210
は、ハンドル212の操作によって操舵されるように構
成されている。前記シュラウド208の前方及びシート
202の両側に対応する位置には空気取入孔228及び
空気排出孔230が形成されている。これにより、走行
中に空気取入孔228から吸気排出孔230に流れる走
行冷却風Wでエンジン1が冷却され、かつ暖気がシュラ
ウド208内に溜まらないようにしている。前記エンジ
ン1は、そのクランク軸29の軸線が車両200の進行
方向Fに直交し、かつ車両200の水平面Rに対して平
行になり、さらに、バンク空間Sが車両前方を向くよう
に配置されている。また、エンジン1のクランク軸29
のクランクケース3から突出した部分には駆動プーリ2
14が設けられている。この駆動プーリ214は、クラ
ンク軸29に固定された固定半体214aと、軸方向に
摺動可能に、かつ回転方向には固定して設けられた可動
半体214bとから成る。前記可動半体214bの外側
には、エンジン1の回転数が上がり、かつ、クランク軸
29の回転速度が高くなるに比例して可動半体214b
を固定半体214a側に押圧し、クランク軸29の回転
速度が遅くなるに比例して可動半体214bを固定半体
214aから離れる方向に戻すように遠心重り(図示せ
ず)及びスプリング(図示せず)等が配置されており、
その外側がカバーで覆われている。前記エンジン1の後
方にはクランク軸29と平行に従動軸218が配置され
ており、この従動軸218の、前記駆動プーリ214に
対応する側の端部には、従動プーリ220が設けられて
いる。この従動プーリ220は、従動軸218に一体に
固定された固定半体220aと、軸方向に摺動可能に、
かつ回転方向には固定された可動半体220bとから構
成されている。尚、前記従動プーリ220における可動
半体220bは、図示していない付勢装置によって、固
定半体220a側に付勢されている。上記した駆動プー
リ214と従動プーリ220との間にはVベルト226
が巻回され、また、従動プーリ220と駆動輪206と
の間にはチェーン222が巻回されている。これによ
り、クランク軸29からのエンジン出力が駆動プーリ2
14及び従動プーリ220を介して、駆動輪206に伝
達され、走行用トラック204を回転駆動させて車両2
00を走行させる。
【0025】前記したエンジン1の吸気管77は、車体
前方に向かってのび、シュラウド208の前方に配置さ
れたエアクリーナ81に気化器79を介して接続されて
いる。また、エンジン1の各気筒毎の排気管89は、車
体右側に向かってのび、各バンク毎に排気集合管90に
よって集合され、これら二つの排気集合管90は、シュ
ラウド208の右側に配置された消音器94に接続され
る。消音器94には、シュラウド208の外側まで延出
する排気尾管91が設けられており、エンジン1からの
排気ガスは、この排気尾管91を介して車外に排気され
る。
【0026】(第3実施例)上記したエンジン1は、全
ての気筒の加圧吸気管65をバンク空間Sに集中配置し
ているので、バンク空間Sが車体前方に向くようにエン
ジン1を搭載するだけで、全ての加圧吸気管65に走行
風wを均等に当てることが可能になり、各気筒に対する
加圧吸気管65の冷却条件を均一にすることができると
いう効果を奏する。また、V型複数エンジンとすること
により、直列複数気筒に比べエンジンの全長、すなわち
車両の横幅を小さくできる。
【0027】(その他)上記した本実施例のエンジン1
は全ての気筒#1〜#4に対して共通の一つの加圧吸気
室Cを備えているが、加圧吸気室Cの構成は本実施例に
限定されることなく、少なくともバンク2Aの気筒#2
又は#4に対応する加圧吸気室の一方とバンク2Bの気
筒#1又は#3に対応する加圧吸気室の一方とを連通し
て、クランクケース3のバンク空間S側に加圧吸気管を
連結できるように構成されていれば、任意の構成でよ
く、例えば図11(a)に示すように、気筒#1及び気
筒#2の加圧吸気室を共通にし、かつ、気筒#3と気筒
#4の加圧吸気室を共通にしてもよく、また、図11
(b)に示すように、気筒#1及び気筒#4の加圧吸気
室を共通にし、かつ気筒#2及び#3の加圧吸気室を共
通にしてもよい。なお、全ての気筒#1〜#4に対して
共通の一つの加圧吸気室Cを備え且つ各気筒間にクラン
ク各位相差がある場合、いずれかの気筒が吸入行程にあ
る時、他の気筒のコンロッドが過給状態にあることにな
り、加圧吸気室Cの圧力変動が少ない。すなわち、小さ
な加圧吸気室Cであっても、安定した加圧吸気圧の吸気
を各気筒に供給することができるようになる。また、本
実施例では、吸気系手段に気化器を設け、加圧吸気管の
吸気ポートの近くに、前記気化器とは別のスロットル弁
を設け、この別のスロットル弁によってスロットル操作
に対するエンジン出力の応答遅れを防止しているが、気
化器を設ける位置は本実施例に限定されるものではな
く、例えば、加圧吸気管の吸気ポートの近くに設けても
よい。このように気化器を加圧吸気管の吸気ポートの近
くに設けた場合は、スロットル弁を気化器とは別に設け
る必要はないが、加圧吸気管からの圧力漏れがないよう
に、加圧吸気管における気化器を設けた部分を十分にシ
ールする必要がある。また、気化器を加圧吸気管に設け
る場合は、気化器内の圧力を加圧吸気管における気化器
より下流側の圧力より高くしなければならないので、何
らかの手段で気化器内のフロート室を圧力を高くする必
要がある。また、本実施例では、気化器を使用して混合
気を作るエンジンを例に挙げて本発明に係るクランク室
過給式多気筒エンジンを説明しているが、燃料供給方法
は本実施例に限定されることなく、燃料噴射装置を用い
てもよいことはもちろんである。上記した実施例におけ
るクランク室過給式V型エンジンは、コンロッド37の
移動により加圧過給するクランク軸2回転に一回各気筒
において燃焼爆発する4サイクルエンジンであるが、コ
ンロッド37の移動により加圧される吸気をシリンダ側
壁に開口する掃気口に導く、クランク軸一回転毎に一回
燃焼爆発する2サイクルエンジンであってもよい。ま
た、クランク室過給式V型エンジンは、4サイクルエン
ジンであれば、ピストン35の移動によりクランク室内
の吸気を加圧するものであってもよい。また、本実施例
では、本発明に係るエンジンを4気筒のエンジンを例に
挙げて説明しているが、エンジンの気筒数は本実施例に
限定されることなく任意の気筒数でよい。本実施例で
は、エンジン1を船外機、ウォータビークル、及びスノ
ーモービルに搭載した例について説明しているが、これ
は本発明に係るエンジンの適用対象を限定するものでは
なく、本発明に係るエンジンは、発電機や自動二輪車、
及び自動車等、任意の対象物に適用できる。さらに、実
施例で説明した船外機、ウォータビークル、及びスノー
モービルにおけるエンジン配置は、単なる実施例でり、
自由に変更できることはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】以上説明した本発明に係るクランク室過
給式V型エンジンは、全ての気筒の吸気孔をバンク空間
側に開口し、全ての気筒の加圧吸気系手段を気筒間に形
成されたバンク空間内に配置しているので、各気筒の加
圧吸気系手段の条件を極端に変えることなく、かさばる
加圧吸気系手段を比較的無駄な空間であるバンク空間に
一カ所に集中配置することができ、その結果、エンジン
の出力性能に影響を及ぼすことなくエンジンを小型化で
きるという効果を奏する。また、本発明の請求項2に係
るクランク室過給式V型エンジンは、前記圧縮室と燃焼
室の吸気孔とを連通する加圧吸気系手段を構成する加圧
吸気室を、バンク空間を挟んで相互に反対側に位置する
少なくとも二つの気筒の圧縮室と連通させて、クランク
ケースに形成しているので、加圧吸気室を形成するため
に別途ハウジング等を設ける必要がなく、エンジンの構
成部品を少なくでき、その結果、エンジンを小型化及び
軽量化でき、また、製造を容易にできるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クランク室過給エンジン1を搭載した船外機
100の一部断面背面図である。
【図2】 図1における船外機の概略上面図である。
【図3】 図2におけるエンジンのA−A断面図であ
る。
【図4】 図3におけるB−B断面図である。
【図5】 図3におけるC−C断面図である。
【図6】 図5におけるD−D断面図である。
【図7】 ウォータビークルの船体後方から見た、船体
とエンジンとの位置関係を表す図である。
【図8】 図7のウォータビークルの概略上面図であ
る。
【図9】 スノーモービルの一部断面概略側面図であ
る。
【図10】 図9のスノーモービルの概略上面図であ
る。
【図11】 (a),(b)は共にエンジンの他の実施
例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 エンジン 1a エンジンマウント 2A 右バンク 2B 左バンク 3 クランクケース 5 シリンダボディ 7 シリンダヘッド 9 ヘッドカバー 11 シリンダボア 13 燃焼室 15 吸気ポート 17 排気ポート 19 吸気バルブ 21 排気バルブ 23 バルブスプリング 25 カム軸 27 スプロケット 28 チェーン 29 クランク軸 31 ロッカシャフト 33 ロッカアーム 35 ピストン 35a 凹部 35b 切欠き 37 コンロッド 39 クランクピン 41 クランクウェブ 45 ジャーナル部 47 フライホイール兼用発電機 49 隔壁 50 クランク隔室 51 嵌合部 52 嵌合孔 53 切欠き 55 切欠き 57 内周壁 59 収容凹部 60 コンロッド収容室 61 密閉リング 64 ウォータジャケット 65 加圧吸気管 67 スロットル弁 71 リード弁手段 77 吸気管 79 気化器 81 エアクリーナ 87 リード弁手段 88 バイパス通路 88a バタフライ弁 89 排気管 90 排気集合管 91 排気尾管 92 集合管 93 オイルタンク 94 消音器(第2及び第3実施例) 95 オイル供給孔 100 船外機 102 アッパーカウリング 103 ボトムカウリング 104 エプロン 105 アッパーケース 106 ロアケース 107 エキゾーストガイド 114 プロペラ 117 プロペラボス 126 出力軸 128 排気通路 A 吸入室 B 圧縮室 C 加圧吸気室 D 吸気室 S バンク空間 G 重心 Sc 中心面 (第2実施例) 150 ウォータビークル 152 船体 154 シート 156 ハンドル 158 ジェットポンプ式推進装置 160 流路形成管 162 ディフレクタノズル 164 インペラ 166 出力軸 172 ポンプ室 (第3実施例) 200 雪上車両 202 シート 204 走行用トラック 206 駆動輪 208 シュラウド 209 車体フレーム 210 走行板 212 ハンドル 214 駆動プーリ 214a 固定半体 214b 可動半体 218 従動軸 220 従動プーリ 220a 固定半体 220b 可動半体 222 チェーン 228 空気取入孔 230 空気排出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02M 35/116 F02M 35/10 102J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つのクランク軸と、 クランク軸に対してシリンダ軸線が垂直になるように配
    置された少なくとも二つの気筒とを有し、 隣接する二つの気筒が180゜以内の角度でV字状に拡
    開して、それらの間にバンク空間を形成したV型エンジ
    ンにおいて、 各気筒に対応するクランク室、クランクウェブ、及びピ
    ストンで各気筒毎にコンロッド収容室を形成し、 各コンロッド収容室を、対応するコンロッドで吸入室と
    圧縮室とに区分けし、 前記吸入室に吸気系手段を接続し、 前記圧縮室と燃焼室の吸気孔とを加圧吸気系手段で連通
    させ、 前記燃焼室の排気孔に排気系手段を接続すると共に、 全ての気筒の吸気孔をバンク空間側に開口し、全ての気
    筒の加圧吸気系手段をバンク空間内に配置したことをを
    特徴とするクランク室過給式V型エンジン。
  2. 【請求項2】 前記圧縮室と燃焼室の吸気孔とを連通す
    る加圧吸気系手段が、 バンク空間を挟んで相互に反対側に位置する少なくとも
    二つの気筒の圧縮室と連通する加圧吸気室を備え、前記
    加圧吸気室がクランクケース内に形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載のクランク室過給式V型エン
    ジン。
JP26996396A 1996-10-11 1996-10-11 クランク室過給式v型エンジン Pending JPH10115224A (ja)

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