JPH10114162A - カード - Google Patents

カード

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JPH10114162A
JPH10114162A JP9316658A JP31665897A JPH10114162A JP H10114162 A JPH10114162 A JP H10114162A JP 9316658 A JP9316658 A JP 9316658A JP 31665897 A JP31665897 A JP 31665897A JP H10114162 A JPH10114162 A JP H10114162A
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克之 大嶋
Hideo Fujimura
秀夫 藤村
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実彦 安藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐光性に優れた画像を有するカードを提供す
ること。 【解決手段】 カード基材の少なくとも一方の面に、フ
ルカラー階調性画像と単調画像とが形成され、上記フル
カラー階調性画像が昇華型熱転写方式で形成された染料
からなる画像であり、且つ上記単調画像が熱溶融型熱転
写方式で形成された顔料インキからなる画像であること
を特徴とするカード。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカードに関し、更に
詳しくは昇華転写方式を主体として顔写真等の複雑な画
像を有するカードに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、身分証明書、運転免許証、会員証
等の多くのカードが使用され、これらのカードには所有
者の身分等を明らかにする各種情報が記録されている。
特にIDカード等においては顔写真が最も重要である。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】各種カード類に顔
写真を付与する古典的な方法は、顔写真をカード基材の
所定の部分に接着剤を用いて貼着する方法であるが、こ
の方法はその操作が非常に煩雑であると共に、カード表
面に凹凸が生じて平滑性が失われるという欠点がある。
上記の顔写真の貼着方法の欠点を解決する方法として、
昇華転写方法による画像形成方法が開発されている。
【0004】この昇華転写方法は、基材フイルムの表面
に熱によって昇華転写する染料を含む層を設けた昇華型
熱転写シートとカード基材とを重ねて、昇華転写シート
の背面からサーマルヘッドにより加熱してカード基材上
で顔写真を再現する方法であり、簡便な熱転写プリンタ
ーで実施出来るという利点がある。しかしながら、上記
昇華転写方式を用いる場合には、カード基材は昇華性染
料に対して十分な染着性を有していることが要求され
る。
【0005】これに対して従来のカード基材の大部分は
昇華性染料に対して十分な染着性を有していない為、そ
のままでは画像形成が出来ない。この様な欠点を解決す
る方法として、カード基材の表面に予め昇華性染料の染
着性の良好なポリエステル樹脂層を染料受容層として形
成しておく方法が行われているが、この様な染料受容層
の形成は煩雑であるばかりでなく、カード基材にカール
の問題や染料受容層の剥離といった問題を生じ易いとい
う欠点がある。
【0006】従って本発明の目的は、染料受容層を予め
設ける必要がなく、直ちに昇華転写方式によって顔写真
等の画像を形成することが出来、カード基材等として有
用な染料受容シート、該染料受容シートを用いるカード
の製造方法及びカードを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成された。即ち、本発明は、カード基材の少
なくとも一方の面に、フルカラー階調性画像と単調画像
とが形成され、上記フルカラー階調性画像が昇華型熱転
写方式で形成された染料からなる画像であり、且つ上記
単調画像が熱溶融型熱転写方式で形成された顔料インキ
からなる画像であることを特徴とするカードである。
【0008】ポリ塩化ビニル樹脂を主体としてなる染料
受容シートの少なくとも染料受容面を特定量の可塑剤を
含むポリ塩化ビニルによって形成することによって、何
らの染料受容層を形成することなく、そのままの状態で
昇華転写方式によって任意の画像を容易に形成すること
が出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明において染料受容シ
ートの形成に使用するポリ塩化ビニル樹脂それ自体は公
知のものでよい。本発明では、常法に従ってポリ塩化ビ
ニルからカード基材等に有用な染料受容シートを作成す
るに際して、少なくともその染料受容面にポリ塩化ビニ
ル100重量部当り0.1乃至10重量部の可塑剤を包
含させることによって、該染料受容面が昇華性染料に対
して十分な染着性を有することを見い出した。
【0010】本発明で使用する可塑剤としては、フタル
酸ジブチル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジ(2
−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸ジラ
ウリル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸ブチルベン
ジル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバチン
酸ジ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリクレジル、リ
ン酸トリ(2−エチルヘキシル)、ポリエチレングリコ
ールエステル、エポキシ脂肪酸エステル等従来公知の可
塑剤はいずれも使用出来る。
【0011】これら可塑剤の使用量は染料受容面を形成
するポリ塩化ビニル100重量部当り0.1乃至10重
量部であり、特に好ましい範囲は3乃至5重量部であ
る。可塑剤の使用量が少なすぎると昇華性染料に対する
染着性が不十分であり、一方、多すぎると染料受容面の
剛性が不足し柔らかくなり、熱転写時に熱転写シートの
染料層がそのまま転写するという異常転写が発生し、
又、保存中に印字画像に滲みが生じ、鮮明な画像が得ら
れないので好ましくない。
【0012】又、本発明の好ましい態様では、上記可塑
剤に加えて、更に染料受容面を形成するポリ塩化ビニル
100重量部当り0.1乃至5重量部の滑剤を包含させ
ることによって、可塑剤を比較的多量に、例えば、5乃
至10重量部の割合でポリ塩化ビニルに包含させても、
転写時に熱転写シートのブロッキングが無く、又、得ら
れる染料受容面の昇華性染料による染着性が更に向上す
ることを見い出した。
【0013】この様な滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸ア
ミド、ワックス、パラフィン等従来公知のいずれの滑剤
も使用することが出来る。これらの滑剤の使用量は少な
すぎると添加による効果がなく、又、多すぎると得られ
る染料受容面の表面荒を生じるので好ましくない。又、
これらの滑剤を使用することによって、昇華性染料の染
着性が向上するのみならず、昇華転写時に比較的高い温
度を用いても昇華型熱転写シートと染料受容面との融着
が少なく、より高濃度の画像を更に効率的に形成するこ
とが出来る。
【0014】以上の如き染料受容シートの染料受容面は
更に適当な軟化点、例えば、JIS K6734で70℃以下、
好ましくは50乃至70℃の軟化点を有する様に調製す
ることが好ましい。これらの軟化点は上記の可塑剤及び
滑剤の添加量によって調製することが出来る。軟化点が
70℃を越える場合には、染料の染着性が不十分で高濃
度画像が形成出来ず、エンボス処理も困難となり、又、
軟化点が低すぎるとエンボス処理は容易であるものの画
像に滲み等が生じ画像保存性が不十分となる。
【0015】本発明の染料受容シートの染料受容面の主
要成分は以上の通りであるが、勿論本発明においては、
更に着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤
等も任意に使用することが出来る。本発明の染料受容シ
ートは上記の如き必要な成分をブレンドし、このブレン
ド物をカレンダー法、押出法等の如き周知の形成方法に
よって、例えば、0.05乃至1mm程度の厚みのシート
状に成形することによって得られ、いわゆるカードサイ
ズに裁断する前のシート及びカードサイズに裁断したも
のの両方を本発明は包含する。
【0016】第1図及び第2図は本発明の好ましい染料
受容シート1の基本的形態を示すものであり、これは厚
みが約0.1乃至1mmのシート状である。この染料受容
シート1の表面に公知の昇華型熱転写シートAの染料層
2を対向して重ね、昇華型熱転写シートAの背面からサ
ーマルヘッド3等により加熱することによって、染料受
容シート1の染料受容面に所望の画像4が形成される。
勿論、この様な染料受容シートは予めその面に必要なエ
ンボス模様5や他の印刷模様6を予め形成しておいても
よいし、又、昇華転写後にこれらのエンボス5や印刷模
様6を設けてもよい。
【0017】特に本発明方法より形成される画像は従来
の貼着した写真画像とは異なり、画像面に直接エンボス
処理が可能である為、偽造防止性に一層優れる。更にこ
れらの画像の耐久性向上の為にその表面に透明保護層7
を全面又は一部に形成してもよいのは当然である。
【0018】第3図示の例は本発明の別の好ましい態様
の染料受容シート11の断面を示すものであり、この例
の染料受容シート11はポリ塩化ビニルシートを複数枚
(この例では3枚)積層したもので、白色顔料を含むセ
ンターコア12(例えば、厚み0.1乃至0.8mmの白
色硬質ポリ塩化ビニル樹脂等であって、ポリ塩化ビニル
樹脂に限定されない)の少なくとも一方の面に透明なポ
リ塩化ビニル層13,13’をラミネートしたものであ
る。
【0019】この様に複数枚のポリ塩化ビニルシートを
積層することによって、画像形成時又はその他の時の染
料受容シートのカールを良好に防止することが出来、特
に図示の様にセンターコア12の両面に透明層13.1
3’を積層することによって良好なカール防止性が得ら
れる。又、少なくとも染料受容面を透明層13とするこ
とによって、画像の深み、立体感がよく、更に顔料を含
まないことから艶がよく、ザラツキを感じさせない。
【0020】この透明層13,13’の少なくとも一方
13(染料受容面)は前述の如く特定量の可塑剤(及び
滑剤)を含有しており、染料に対して良好な染着性を有
している。この例においてはセンターコア12は必ずし
も所定量の可塑剤を含む必要はなく、又、センターコア
12と透明層13.13’との間に予め各種の印刷模様
14を形成しておくことが出来る。又、この例ではセン
タコア12が透明層13,13’によってサンドウィッ
チされているが、これらの透明層は片面のみでもよい。
【0021】以上本発明の染料受容シートの特徴部分を
説明したが、本発明の染料受容シートをカード基材とし
て使用する場合には、予め或は事後にその表面に他の記
録、例えば、磁気記録層、光メモリー、サイン、ICメ
モリー、バーコード等を設けておくことも出来る。
【0022】次に上記染料受容シートをカード基材とし
て使用する本発明のカード製造方法を説明する。本発明
方法は基本的には、第1乃至3図を参照して説明した通
りであるが、昇華性熱転写シートで、カードを作成する
場合、顔写真や風景等の階調性画像の形成は容易であり
且つ美麗であるが、文字やバーコード等の記号等の画像
は濃度及びシャープさが不足し、赤外線で読み取り可能
なOCR文字やバーコード等が形成出来ないという問題
がある。
【0023】本発明ではこの様な欠点を、昇華タイプの
熱転写シートに加えて溶融インキ転写タイプの熱転写シ
ートを併用することによって解決することが出来る。昇
華タイプの熱転写シート及び溶融タイプの熱転写シート
の構成は、夫々後述する好ましい態様の複合熱転写シー
トの昇華タイプの熱転写シートの部分及び溶融タイプの
熱転写シートの部分と同様であるのでここでは説明は省
略する。
【0024】上記2種の熱転写シートは夫々別のものを
使用してもよいが、この方法では操作が煩雑であるとい
う問題がある為、連続した1枚の基材フイルム上に、昇
華タイプの熱転写層と溶融インキ転写タイプの熱転写層
とを面順次に設けた熱転写シートを使用することが好ま
しい。この様な複合熱転写シートによれば、顔写真等の
階調画像と文字や記号等の単調画像が同時に良好に形成
することが可能となる。この複合熱転写シートの構成も
後述の保護層を含む複合熱転写シートの構成と同様であ
るので詳細は省略する。
【0025】又、上記複合タイプの熱転写シートを使用
したとしても、例えば、IDカードの如く各種の耐久
性、特に耐摩擦性が要求される用途では、画像の耐久性
が不足するという問題があり、本発明では、この様な問
題は第2図示の如く画像の表面に透明保護層を積層する
ことによって解決することが出来る。保護層の積層は透
明塗料の塗布及び乾燥、透明フイルムのラミネート、更
には保護層熱転写シートを使用することによって行うこ
とが出来る。保護層熱転写シートの構成も後述の複合熱
転写シートの保護層部分と同様であるのでここでは説明
は省略する。
【0026】本発明の好ましい実施態様では、基材フイ
ルム上に、少なくとも1色の昇華性染料層、少なくとも
1色の熱溶融性インキ層及び剥離保護層を面順次に設け
てなる熱転写シートを使用することによって、階調性画
像、単調性画像及び透明保護層を同一の熱転写シートで
形成することが出来る。
【0027】次に特に好ましい実施態様を添付図面を参
照して更に具体的に説明する。第4図は好ましい1実施
例の複合熱転写シートの断面を図解的に示す図であり、
第6図はその平面図である。この実施例の複合熱転写シ
ートは、基材フイルム1上にイエロー、マゼンタ及びシ
アンの各色相領域からなる昇華性染料層2Y、2M及び
2C、黒色の熱溶融性インキ層3及び剥離保護層4が面
順次に形成されている。
【0028】共通部分について先ず説明すると、複合熱
転写シートの基材フイルム1としては、従来の熱転写シ
ートに使用されていると同じ基材フイルムがそのまま用
いることが出来ると共に、その他のものも使用すること
が出来、特に制限されない。好ましい基材フイルム1の
具体例としては、例えば、グラシン紙、コンデンサ紙、
パラフィン紙等の薄葉紙が有用であり、その他に、例え
ば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカ
ーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩
化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチック或いはこ
れらと前該紙とを複合した基材フイルム等が挙げられ
る。この基材フイルム1の厚さは、その強度及び耐熱性
等が適切になる様に、材料に応じて適宜変更することが
出来るが、その厚さは、好ましくは、3乃至100μm
である。
【0029】又、6は背面層であり、プリンターのサー
マルヘッドの粘着を防止する作用を有している。この層
6も基材フイルム1の耐熱性やスリップ性が良好である
場合には不要である。又、7は接着改良層であって、基
材フイルム1に対する昇華性染料層2及び剥離層5の密
着性を良好にする作用を有する。又、接着改良層7は、
剥離保護層4と基材フイルム1との接着性を改良して剥
離保護層4の箔切れを良くする作用を有する。この層7
を設けずに基材フイルム1と剥離保護層4との接着性が
悪いと、熱転写の際に加熱部分以外の保護層4が加熱部
分の保護層4とともに剥離してしまい、箔切れが悪くな
る。
【0030】接着改良層7としては、基材フイルム1と
染料層2、剥離層5及び剥離保護層4との接着をより強
固にするものであればよく、例えば、ポリウレタン樹
脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル
共重合体等を単独若しくは混合して塗布乾燥して形成す
る。又、必要に応じてポリイソシアネート等の反応性硬
化剤を添加してもよく、更にチタネート及びシラン系の
カップリング剤を使用してもよい。更に必要に応じて2
層以上積層してもよい。
【0031】又、8,8’は感熱接着剤層を示し、熱溶
融性インキ層3及び/又は剥離保護層4の染料受容シー
トへの転写性を容易にする作用を有する。この感熱接着
剤層8,8’は、染料受容シートがポリ塩化ビニル製で
あることから、塩化ビニル樹脂と接着性のよい感熱接着
剤、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニ
ル/酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル/塩化ビニル/酢
酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂
等の如く、熱時接着性の良好な樹脂の溶液を塗布及び乾
燥することによって、好ましくは0.5乃至10μm程
度の厚みに形成する。これらの樹脂の中では特に塩化ビ
ニル樹脂との接着性が良好で、箔切れが良いものは塩化
ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリル/塩化ビニル/
酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂で
ある。
【0032】次に各熱転写層について説明する。染料層
2は、昇華性染料を任意のバインダー樹脂で上記基材フ
イルム1(接着改良層7)上に担持させた層である。使
用する染料としては、従来公知の昇華タイプの熱転写シ
ートに使用される染料はいずれも本発明に有効に使用可
能であり、特に限定されない。例えば、幾つかの好まし
い染料としては、赤色染料として、MS Red G、Macrolex
Red Violet R 、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、SK
ルビンSEGL等が挙げられ、又、黄色の染料としては、ホ
ロンブリリアントイエロー S-6GL 、PTY-52、マクロレ
ックスイエローS-6G等が挙げられ、又、青色染料として
は、カヤセットブルー714 、ワクソリンブルーAP-FW 、
ホロンブリリアントブルーS-R 、MSブルー100 、ダイト
ーブルーNo.1等が挙げられる。
【0033】上記の如き染料を担持する為のバインダー
としては、従来公知のものがいずれも使用出来、好まし
いものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セル
ロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリ
ビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、
ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂等が挙げられる
が、特にポリビニルアセタールやポリビニルブチラール
等が耐熱性や染料の熱移行性等の点から好ましいもので
ある。染料層2は基本的には上記の材料から形成される
が、その他必要に応じて従来公知の各種の添加剤も包含
することが出来る。
【0034】この様な染料層2は、好ましくは適当な溶
剤中に前記の染料、バインダー樹脂、その他の任意成分
を加えて各成分を溶解又は分散させて染料層形成用イン
キを調製し、これをグラビア印刷法等により上記の基材
フイルム1上に印刷及び乾燥させて形成する。勿論、こ
の印刷に際しては単色印刷でもよいが、本発明の目的に
はカラー画像が形成出来る様にイエロー、マゼンタ及び
シアンの3色又はブラックを加えた4色の多色印刷が好
ましい。
【0035】この様にして形成する染料層2は、0.2
乃至5.0μm、好ましくは0.4乃至2.0μm程度
の厚さであり、又、染料層2中の染料は、染料層の重量
の5乃至90重量%、好ましくは10乃至70重量%の
量で存在するのが好適である。上記染料層2に隣接して
熱溶融性インキ層3を必要な材料を配合したインキから
形成する。この熱溶融性インキ層形成用のインキは、着
色剤とビヒクルとからなり、更に必要に応じて種々の添
加剤を加えたものでもよい。上記着色剤としては、有機
又は無機の顔料若しくは染料のうち、記録材料として良
好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有
し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好まし
い。着色剤としては、シアン、マゼンタ、イエロー等も
使用出来るが、本発明の目的には高濃度で明瞭な文字や
記号を印字出来るブラックの着色剤が好ましい。
【0036】ビヒクルとしては、ワックスを主成分と
し、その他ワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロース
及びゴムの誘導体等との混合物が用いられる。ワックス
の代表例としては、マイクロクリスタリンワックス、カ
ルナウバワックス、パラフィンワックス等がある。更
に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポ
リエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、
羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、
ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、
脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。
【0037】しかしながら、ポリ塩化ビニル製の染料受
容シートへの接着性、耐スクラッチ性の観点から、以下
の樹脂バインダーを使用することがより好ましい。 アクリル樹脂 アクリル樹脂+塩化ゴム アクリル樹脂+塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 アクリル樹脂+セルロース系樹脂 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂
【0038】基材フイルム1上又はその上に予め設けた
剥離層5上に熱溶融性インキ層3を形成する方法として
は、ホットメルトコートの外、ホットラッカーコート、
グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコー
トその他多くの手段で上記インキを塗布する方法等が挙
げられる。形成されるインキ層の厚さは、必要な濃度と
熱感度との調和がとれる様に決定すべきであって、例え
ば、通常はインキ層の厚みが約0.2乃至10μmの範
囲が好ましい。
【0039】上記熱溶融性インキ層の形成に先立って、
該インキ層の剥離を容易にする為に、基材フイルム1の
接着改良層7の面に剥離層5を形成することが好まし
い。かかる剥離層5は前記の如きワックス類、シリコー
ンワックス、シリコーン樹脂、弗素樹脂、アクリル樹
脂、セルロース樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹
脂、硝化綿樹脂等の剥離剤から形成する。形成方法は前
記昇華性染料層や熱溶融性インキ層の形成方法と同様で
よく、その厚みは0.1乃至5μm程度で十分である。
又、転写後に艶消し印字や艶消し保護層が望ましい場合
には、剥離層5中に各種の粒子を包含させて、表面マッ
ト状にすることが出来る。尚、前記層5乃至8は、本発
明において必須ではないが、接着改良層7を設ける場合
には剥離層5を設けることが好ましい。
【0040】又、接着改良層7上にワックス含有透明樹
脂層よりなる剥離保護層4及び感熱接着剤層8’を剥離
可能に設ける。接着改良層7上に設ける剥離保護層4は
透明樹脂とワックスとの混合物から形成するのが好まし
い。透明樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、変性セルロース
樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シリコーン樹脂、弗
素樹脂等が挙げられ、特に好ましいものは、アクリル樹
脂、シリコーン樹脂、弗素樹脂である。これらの樹脂は
透明性に優れており、比較的強靭な被膜を形成する。
又、転写時における膜切れも十分である。しかしなが
ら、滑性が不十分であるので表面摩擦によって傷が付き
易い。本発明ではこれらの透明樹脂にワックスを混合す
ることによって保護層4の滑性が良好になる。
【0041】本発明で使用するワックスの代表例として
は、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワック
ス、パラフィンワックス等がある。更にフィッシャート
ロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロ
ウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラッ
クワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、
一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等の
種々のワックスが用いられる。
【0042】上記ワックスの使用量は、前記透明樹脂1
00重量部当り0.5乃至20重量部の範囲が好まし
く、ワックスの使用量が少なすぎると、保護層4の耐摩
耗性が不十分となり、一方、多すぎると、保護層4の耐
久性、透明性が不十分になるので好ましくない。
【0043】上記透明樹脂とワックスとの混合方法は、
両者を溶融混合する方法や、両者を溶解する適当な有機
溶剤中に溶解して混合する方法等、その混合方法は特に
限定されない。特に好ましくは、透明樹脂を分散液(又
は乳化液)として使用し、一方、ワックスを溶液又は分
散液(乳化液)として使用し、両者を混合することが好
ましい。この様な分散液(乳化液)を使用し、基材フイ
ルムに塗工した後、これらの樹脂粒子の少なくとも一部
が残る様に、比較的低温で乾燥して成膜する。この様に
形成された被膜は樹脂粒子が残っているので表面が粗
く、一部白濁しているが、熱転写時に熱及び圧力によっ
て表面が平滑になり透明被膜として転写させることが出
来る。
【0044】剥離保護層4を形成する方法としては、グ
ラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート
その他多くの手段で上記樹脂とワックスとからなるイン
キを塗布及び乾燥する方法等が挙げられる。剥離保護層
4を樹脂とワックスとの混合分散液から形成する場合に
は、塗工後の乾燥は樹脂粒子の溶融点以下の温度、例え
ば、50乃至100℃程度の比較的低温で行うことが好
ましい。この様な温度で乾燥することによって、樹脂粒
子が残ったまま成膜されるので、熱転写時の保護層4の
膜切れが著しく向上し、保護層の滑性が保持される。
【0045】又、剥離保護層4には実質的に透明な無機
又は有機の微粒子を混合させることが出来る。この様な
微粒子を混合させることによって、剥離保護層の箔切
れ、耐摩耗性等を更に向上させることが出来る。又、保
護層4の表面光沢を抑え、マットな表面を得ることがで
きる。この様な微粒子の好ましい例としては、シリカ、
テフロンパウダー、ナイロンパウダー等の比較的透明性
の高いものが挙げられる。これら微粒子の添加量は保護
層4の樹脂に対して1乃至30重量%であることが好ま
しい。添加量が多すぎると保護層の透明性及び耐久性が
低下する。又、上記剥離保護層4及び/又は感熱接着剤
層8’には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、又は蛍光増白
剤等の添加剤を含有させることによって、被覆される各
種画像の光沢、耐光性、耐候性、白色度等を向上させる
ことが出来る。
【0046】上記の如き保護層を含む熱転写シートを用
いて保護する画像は、前記染料受容シート上に形成され
た昇華型熱転写方法による階調画像又は溶融インク型熱
転写方法による文字やバーコード等の記号等の単調画像
が好ましいが、これらの画像に限定されない。特に昇華
転写画像に適用する場合には、該画像の保護層が形成さ
れるとともに、転写時の熱によって画像を形成している
染料が再発色処理されるので、画像が一層鮮明になると
いう効果がある。
【0047】以上の如くして複合熱転写シートが提供さ
れるが、形成方法はこれらの方法に限定されず、昇華性
染料層、熱溶融性インキ層、剥離保護層等の形成順序は
特に限定されない。又、昇華性染料層、熱溶融性インキ
層、剥離保護層は夫々被転写材の転写画像を形成すべき
箇所に対応する基材フイルムの特定位置にパターン状に
設けてもよく、例えば、第7図示の様に、被転写材の転
写画像を形成すべき箇所に対応して昇華性染料層2、熱
溶融性インキ層3及び剥離保護層4を特定位置に塗り分
ることも出来る。この様にすれば、染料受容シートの地
汚れが防止出来ると共に、これらの層の使用されない部
分を除くことが出来、経済的である。
【0048】上記複合熱転写シートを用いるカードの製
造例を第5図を参照して説明する。先ず、カード基材9
の表面に、熱転写シートの染料層2Yを重ね、色分解信
号に従って作動するサーマルプリンターによりイエロー
画像2Yを転写する。同様に同一領域にマゼンタ画像2
M及びシアン画像2Cを転写して所望のカラー画像10
を形成する。
【0049】次に熱溶融性インキ層3を用いて同様に所
望の文字、記号等3を印字する。更に転写保護層4を用
いて上記カラー画像10及び/又は文字等の画像3上に
保護層4を転写して保護層4を形成する。この様にして
所望のカードが得られる。上記の転写に際しては、サー
マルプリンターは、昇華転写用、熱溶融性インキ転写
用、保護層転写用と別々に(好ましくは連続して)設定
してもよいし、又、これらの転写は、共通のプリンター
で夫々印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。
以上本発明を複合熱転写シートを用いる好ましい態様に
よって説明したが、本発明はこの例に限定されず、階調
性画像、単調性画像及び保護層は夫々別々に形成しても
よいのは当然である。
【0050】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に
断りのない限り重量基準である。 実施例1乃至7及び比較例1乃至3 下記第1表の組成により本発明及び比較例の染料受容シ
ート(白色のカード基材)(厚み0.2mm、サイズ10
×20cm)を作成した。
【0051】表1 PVA:安定剤等の添加剤を約10%含有するポリ塩化
ビニル(重合度 800)コンパウンド 顔料:酸化チタン 可塑剤:DOP 滑剤:ステアリン酸アミド
【0052】下記組成の3色の昇華性染料を夫々含む3
色のインキを調製した。イエローインキ 分散染料(Macrolex Yellow 6G、 バイエル社製、C.I.Disperse Yellow 201) 5.5部 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX-1、 積水化学製) 4.5部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 89.0部マゼンタインキ 染料としてマゼンタ分散染料(C.I.Disperse Red 60)
を使用した他はイエローインキと同様。シアンインキ 染料としてシアン分散染料(C.I.Solvent Blue 63)を使
用した他はイエローインキと同様。
【0053】上記インキ組成物をグラビアコート方法に
より、背面に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、
且つ表面にポリウレタン系樹脂からなる接着改良層(厚
み0.5μm)を形成してある厚さ4.5μmのポリエ
ステルフイルムの表面に、塗布量が約3g/m2になる
様に、夫々イエロー、マゼンタ及びシアンの順に面順次
に幅15cmに繰返し塗布及び乾燥して3色の昇華性染
料層を含む熱転写シートを形成した。
【0054】前記のカード基材の面に上記昇華熱転写シ
ートを重ね、顔写真を色分解して得た電気信号に連結し
たサーマルヘッドで熱エネルギーを付与し、シアン、マ
ゼンタ及びイエローの順に昇華転写を行い、フルカラー
の顔写真を形成した。次に上記と同様のポリエステルフ
イルムの表面に下記の組成の剥離層用インキを固形分基
準で1g/m2の割合でグラビアコート方法により塗布
及び乾燥して剥離層を形成した。
【0055】剥離層用インキ アクリル系樹脂 20部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 次に、上記剥離層の表面に塗布量が約3g/m2になる
様にグラビアコート法により下記インキを塗布及び乾燥
して熱溶融性インキ層を形成し、熱溶融型の熱転写シー
トを作成した。
【0056】熱溶融性インキ アクリル/塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系樹脂 20部 カーボンブラック 10部 トルエン 35部 メチルエチルケトン 35部
【0057】前記の顔写真を形成したカードの画像余白
部分に上記昇華熱転写シートを重ね、数字、漢字等の文
字及びバーコード等の記号画像を形成した。上記で得ら
れた本発明及び比較例のカードの顔写真の発色濃度、鮮
明性及び昇華転写時の転写シートのブロッキングの状態
を調べ下記第2表の結果を得た。
【0058】表2
【0059】*1;熱転写シートの染料層がそのまま部
分的に転移し解像度が著しく不良。 *2;画像に滲みが生じ、解像度が不良。 発色濃度は肉眼で比較し、最も高濃度のものを◎、中程
度のものを○、劣るものを×で表した。 鮮明性は肉眼で比較し、最も鮮明なものを◎、中程度の
ものを○、劣るものを×で表した。 耐ブロッキング性は、昇華転写後転写シートの剥離が容
易であるものを◎、やや困難なものを○、剥離困難で染
料層自体がカード基材に転移するものを×とした。
【0060】実施例8乃至14及び比較例4乃至6 下記の組成により白色のカード基材コア(厚み0.2m
m、サイズ30×30cm)を作成した。 安定剤等の添加剤を約10%含有するポリ塩化ビニル(重合度 800)コンパウ ンド 100部 白色顔料(酸化チタン) 15部 次に下記第3表の組成により透明シート(厚み0.15
mm)を作成し、上記白色コアの両面に熱圧着させて実施
例及び比較例のカード基材を作成した。
【0061】表3 上記のカード基材の面に実施例1と同様にして階調画像
及び単調転写画像を形成し同様な性能を調べたところ、
第2表と同様な結果が得られた。
【0062】実施例15乃至19及び比較例7乃至8 下記の組成により白色のカード基材コア(厚み670μ
m、サイズ30×30cm)を作成した。 安定剤等の添加剤を約10%含有するポリ塩化ビニル(重合度 800)コンパウ ンド 100部 白色顔料(酸化チタン) 15部
【0063】次に下記第4表の軟化温度(JIS K 6734)を
有する透明シート(厚み60μm)を作成し、上記白色
コアの両面に熱圧着させて実施例及び比較例のカード基
材を作成し、夫々のカード基材の面に実施例1と同様に
して階調及び単調画像を形成し、同様に性能を調べたと
ころ、下記第4表の結果が得られた。
【0064】表4 I:軟化温度 II:異常転写 III:染料染着性 IV:印字後の画像の滲み V:エンボス適性
【0065】実施例20 背面に耐熱スリップ層を形成し、且つ表面にポリエステ
ル系樹脂からなる接着改良層(厚み0.1μm)を形成
してある厚さ4.5μmのポリエステルフイルムの表面
に、下記組成の剥離保護層用インキを用いて固形分基準
で4g/m2の割合でグラビアコート方法により塗布及
び乾燥して剥離保護層を形成した。剥離保護層用インキ アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、BR−83) 20部 ポリエチレンワックス 1部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 50部 次に上記剥離保護層の表面に、下記組成の接着剤層用イ
ンキを固形分基準で1g/m2の割合で塗工及び乾燥し
て接着剤層を形成し、保護層熱転写シートを形成した。
【0066】接着剤層用インキ アクリル/塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(昭和インク(株)製、HS− 32G) 20部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 次に上記保護層熱転写シートを用いて実施例1で得られ
たカードの画像の表面に熱転写方式で保護層を転写し
た。
【0067】実施例21 実施例20の剥離保護層及び接着剤層に代えて下記イン
キを夫々使用して保護層熱転写シートを作成し、同様に
実施例1で得られたカードの画像の表面に熱転写方式で
保護層を転写した。剥離保護層用インキ (乾燥時塗布量2g/m2) アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、BR−85) 20部 ポリエチレンワックス 1部 微粒子シリカ(日本エアロジル(株)製、R−972) 1部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 接着剤層用インキ (乾燥時塗布量1g/m2) ナイロン樹脂(東亜合成化学(株)製、FS175) 20部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0068】比較例9 実施例20の剥離保護層に代えて下記インキを使用して
保護層を形成し、接着剤層を形成することなく比較例の
保護層熱転写シートを作成し、同様に実施例1で得られ
たカードの画像の表面に熱転写方式で保護層を転写し
た。剥離保護層用インキ (乾燥時塗布量4g/m2) ポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製、エスレックBX−1)20部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 50部
【0069】比較例10 実施例20の剥離保護層及び接着剤層に代えて下記イン
キを夫々使用して保護層及び接着剤層を形成し比較例の
保護層熱転写シートを作成し、同様に実施例1で得られ
たカードの画像の表面に熱転写方式で保護層を転写し
た。剥離保護層用インキ (乾燥時塗布量4g/m2) ポリスチレン樹脂(電気化学工業(株)製、TP−SX301) 20部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 50部
【0070】接着剤層用インキ (乾燥時塗布量1g/m2) エチレン/エチルアクリレート樹脂(三井デュポンポリケミカル(株)製、 A−704) 20部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0071】比較例11 保護層を設けない実施例1のカード。以上の実施例20
乃至21及び比較例9乃至11における保護層の転写
性、得られた画像の耐摩擦性を評価して下記第5表の結
果を得た。 表5
【0072】保護層転写性: ◎:カード表面に対し良好な接着性を示し、保護層の箔
切れがシャープである。 △:カード表面に対し良好な接着性を示すが、保護層の
箔切れが悪くエッジが乱れている。 ×:カード表面に対し接着性が劣り転写不良である。
【0073】耐摩耗性:ゲート適性試験機(立石電気
(株)製:NAW2)にて1000回及び3000回ゲ
ートを通し、肉眼観察で評価した。 ◎:摩擦による染料画像の滲みも保護層の曇りもない。 ○:摩擦による染料画像の滲みはなかったが、傷により
保護層がやや曇る。 △:摩擦により染料画像が滲み、又、スリップ性が不足
して傷による保護層の曇りが激しく画像が観察しづら
い。 ×:摩擦により染料画像が滲み、観察不能となった。
【0074】実施例22 実施例1で使用したと同じ昇華性染料を含む3色のイン
キを調製し、このインキ組成物をグラビアコート方法に
より、背面に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、
且つ表面にポリウレタン系樹脂からなる接着改良層(厚
み0.5μm)を形成してある厚さ6.0μmのポリエ
ステルフイルム(商品名「ルミラー」東レ(株)製)
(この代わりに予め易接着処理してあるポリエステルフ
イルムを用いてもよい)の表面に、塗布量が約3g/m
2になる様に、夫々イエロー、マゼンタ及びシアンの順
に面順次に幅15cmに繰返し塗布及び乾燥して3色の
昇華性染料層を形成した。尚、上記3色を1セットと
し、夫々のセット間は30cmの間隔を空けておいた。
【0075】次に、上記1セットの染料層に隣接して1
5cmの幅で、塗布量が約0.5g/m2になる様にグ
ラビアコート法により実施例1で使用したと同様の熱溶
融性インキを塗布及び乾燥して熱溶融性インキ層を形成
した。次に上記基材フイルムの未塗布部分(幅15c
m)に下記インキを固形分基準で1g/m2の割合で塗
工及び乾燥して転写性保護層を形成した。
【0076】剥離保護層インキ アクリル樹脂 20部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 50部 ポリエチレンワックス 1部 次に上記熱溶融性インキ層及び転写性保護層の表面に、
下記組成のインキを固形分基準で3g/m2の割合で塗
工及び乾燥して接着剤層を形成して、昇華染料層、溶融
性インキ層及び保護層を含む複合熱転写シートを得た。
【0077】接着剤層用インキ 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 10部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0078】安定剤等の添加剤を約10%含有するポリ
塩化ビニル(重合度 800)コンパウンド100部、白色
顔料(酸化チタン)10部及び可塑剤(DOP)0.5
部からなるカード基材の面に、上記複合熱転写フイルム
の昇華性染料層を重ね、顔写真を色分解して得た電気信
号に連結したサーマルヘッドで熱エネルギーを付与して
フルカラー顔写真を形成し、次に熱溶融性インキ層を用
いて文字及び記号を転写形成し、更に保護層を用いて各
画像部分に転写性保護層を転写させ、顔写真と各種必要
情報を有するカードを得た。上記カードの表面をイソプ
ロピルアルコールを含浸させたガーゼで100回擦った
ところ、ガーゼは全く汚染しなかった。これに対して保
護層を転写させなかった場合には、ガーゼが黒褐色に著
しく汚染された。
【0079】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、ポリ塩化ビ
ニル製染料受容シートの染料受容面にに特定量の可塑剤
(及び滑剤)を包含させておくことによって、その表面
に何ら特別の染料受容層を形成する必要無く、昇華転写
方式によって任意の画像を形成出来るので、顔写真の貼
着や染料受容層形成の煩雑性が解消された。又、好まし
い実施態様では、染料受容シートを積層タイプとするこ
とによって、優れた画像が形成できる共に、カールを有
効に防止することができる。又、本発明の方法によれ
ば、簡便にカードが提供できる共に、階調性画像と短調
性画像が同時に形成でき、更にこれらの画像に容易に透
明保護層を付与することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の染料受容シートの断面及び画像形成
後の断面を図解的に説明する図。
【図2】 本発明の染料受容シートの断面及び画像形成
後の断面を図解的に説明する図。
【図3】 本発明の染料受容シートの断面及び画像形成
後の断面を図解的に説明する図。
【図4】 本発明で使用する複合熱転写フイルムの断面
を図解的に説明する図。
【図5】 本発明で作成したカードの断面を図解的に説
明する図。
【図6】 図1の平面図。
【図7】 他の例の複合熱転写フイルムの平面図。この
図7は被転写材の転写画像を形成すべき箇所に対応して
昇華性染料層2、熱溶融性インキ層3及び転写性保護層
を特定位置に塗り分けた例を示す。
【符号の説明】図1乃至図3 : A:昇華熱転写シート 1:染料受容シート(カード基材) 2:染料層 3:サーマルヘッド 4:転写画像 5:エンボス模様 6:印刷模様 7:透明保護層 11:染料受容シート(カード基材) 12:センターコア 13,13’:透明層図4乃至図7 : 1:基材フイルム 2:昇華性染料層 3:熱溶融性インキ層 4:保護層 5:剥離層 6:背面層 7:接着改良層 8:感熱接着剤層 9:カード基材 10:カラー画像

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カード基材の少なくとも一方の面に、フ
    ルカラー階調性画像と単調画像とが形成され、上記フル
    カラー階調性画像が昇華型熱転写方式で形成された染料
    からなる画像であり、且つ上記単調画像が熱溶融型熱転
    写方式で形成された顔料インキからなる画像であること
    を特徴とするカード。
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