JPH10113181A - シトクロムb5レダクターゼ遺伝子 - Google Patents

シトクロムb5レダクターゼ遺伝子

Info

Publication number
JPH10113181A
JPH10113181A JP8257027A JP25702796A JPH10113181A JP H10113181 A JPH10113181 A JP H10113181A JP 8257027 A JP8257027 A JP 8257027A JP 25702796 A JP25702796 A JP 25702796A JP H10113181 A JPH10113181 A JP H10113181A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cytochrome
reductase
sequence
dna
mortierella
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8257027A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Shimizu
昌 清水
Tatsuhiko Kobayashi
達彦 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suntory Ltd filed Critical Suntory Ltd
Priority to JP8257027A priority Critical patent/JPH10113181A/ja
Publication of JPH10113181A publication Critical patent/JPH10113181A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 モルティエレラ属モルティエレラ亜属に属す
る微生物由来のシトクロムb5レダクターゼをコードす
るゲノムDNAおよびcDNA、及びそれを発現させる
シトクロムb5レダクターゼの製造方法。 【効果】 ミクロソーム電子伝達系の構成成分であるシ
トクロムb5レダクターゼの遺伝子をクローニングする
ことにより、同タンパクを遺伝子工学的に発現すること
が可能となる。このシトクロムb5レダクターゼを用い
て、インビトロで電子伝達系を再構成し、デサチュラー
ゼと組み合わせることにより、ヒトの必須脂肪酸等効率
よく製造することが期待できる。また、シトクロムb5
レダクターゼを組換えDNA手法で効率良く生産でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、多くの真核細胞
のミクロソームに局在する特殊な酸化還元酵素系の構成
要素であるシトクロムb5レダクターゼをコードする遺
伝子に関し、更に詳細には、本発明はアラキドン酸を菌
体内に著量蓄積することが知られているモルティエレラ
属モルティエレラ亜属に属する微生物のシトクロムb5
レダクターゼをコードする遺伝子、及びその遺伝子を用
いるシトクロムb5レダクターゼの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シトクロムb5レダクターゼは、ミクロ
ソーム電子伝達系においてNADHあるいはNADPH
の還元力をシトクロムb5に伝達するフラビン酵素であ
り、フェリシアニドなどの非生理的電子受容体を強く還
元する活性をもっている。動物の肝細胞ミクロソームな
どから精製されており、1個のフラビンアデニンジヌク
レオチド(FAD)を含む分子量約33,000のポリ
ペプチドである。この分子は両親媒性で、C末端部の約
30残基のアミノ酸が疎水性領域を形成し、それによっ
てミクロソームやリン脂質膜に結合する。シトクロムb
5レダクターゼの機能は、ミクロソーム電子伝達系の構
成成分として、NADHあるいはNADPHからシトク
ロムb5に電子を供給し、シトクロムb5を経て、デサ
チュラーゼ(不飽和化酵素)のようなシアン感受性末端
を持つ酵素に更に電子を供給することである。この電子
を供給するシトクロムb5とシトクロムb5レダクター
ゼまたはフェリヘモプロテインレダクターゼとを電子伝
達系といい、幾つかのデサチュラーゼはこの電子伝達系
を共有していると考えられている。
【0003】一方、不飽和脂肪酸(炭素数が18〜22
で、二重結合が2以上の脂肪酸)の中でもアラキドン酸
(ARA)、ジホモーγーリノレン酸(DGLA)、エ
イコサペンタエン酸(EPA)は種々の生理作用をもつ
生理活性物質(プロスタグランジンおよびトロンボキサ
ン)の前駆体であり、例えばEPAは血栓防止作用ある
いは脂質低下作用に基づいて健康食品や医薬品として市
販されている。また近年、ARA及びドコヘキサエン酸
(DHA)は母乳中に含まれており、乳児の発育に役立
つとの報告がある("Advances in Polyunsaturated Fat
ty Acid Research" Elsevier Science Publishers, 199
3, pp.261-264)。さらに、胎児の身長や脳の発育におけ
る重要性が報告されている(Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA,90, 1073-1077(1993), Lancet, 344, 1319-1322(199
4))。
【0004】そこで、母乳と調製粉乳の脂肪酸組成の大
きな違いであるARA及びDHAを調製粉乳に添加しよ
うとする動きがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題及びその解決手段】近
年、調製粉乳にDHAを添加する目的で魚油が使用され
ている。しかしながら、魚油は構成脂肪酸として多種類
の脂肪酸を含む混合グリセリドであって、各成分を単離
することは困難であるため、例えば魚油添加調製粉乳で
はDHAと共にEPAが多量に存在し、EPAの作用に
より、リノール酸からARAへの変換が抑制され、生体
内のARAが減少してしまうという問題が指摘されてい
る。このような問題を解決するため、最近はクロレラ、
藻類、かび(糸状菌)、バクテリア等の微生物を利用し
て不要な脂肪酸を含まず、目的とする不飽和脂肪酸を多
量に生産する方法が注目されている。
【0006】本発明者等は、糸状菌であるモルティエレ
ラ属のモルティエレラ亜属に属するモルティエレラ・ア
ルピナ(Mortierella alpina)が、菌体内に著量の油脂
を蓄積し、特にARAの生産性が非常に高いことに着目
し、モルティエレラ・アルピナ由来のシトクロムb5レ
ダクターゼをコードする遺伝子をクローニングし、これ
を不飽和脂肪酸生産能を有する微生物に導入し、微生物
による不飽和脂肪酸の生産性向上に利用することを検討
した。
【0007】本発明においては、配列表の配列番号1及
び2のプライマーから作成したプローブを用いてモルテ
ィエレラ・アルピナ(遺伝子源微生物)からシトクロム
b5レダクターゼをコードするゲノム遺伝子及びcDN
Aのクローニングを行うことに成功した。
【0008】本発明の遺伝子をミクロソーム電子伝達系
を有する真核細胞に導入することにより、電子伝達系が
増強され、シアン感受性末端の酵素(CSF)により多
くの電子が供給されることになり、CSFによる反応を
効率よく行わせることが可能になる。また他の電子伝達
系の酵素やCSFをコードする遺伝子と組み合わせて導
入することによって、CSFによる反応を強化すること
が期待できる。特に本発明の遺伝子を単独で又は他の電
子伝達系の酵素やデサチュラーゼをコードする遺伝子と
組み合わせて導入することによって、不飽和脂肪酸の生
産性を向上させることが期待できる。
【0009】本発明の遺伝子は、遺伝子組み換え技術に
より適当な発現ベクターを構築し、これによって不飽和
脂肪酸生産能を有する宿主細胞を形質転換し、培養する
ことにより、目的の不飽和脂肪酸を発現させることがで
きる。また形質転換により不飽和脂肪酸生産能が付与さ
れた大腸菌や枯草菌、酵母等を宿主細胞として使用する
こともできる。さらに大豆、ひまわり、アブラナ、ごま
等の高等植物に本発明の遺伝子を導入することにより、
目的の不飽和脂肪酸の生産を向上させることが期待でき
る。
【0010】本発明は、モルティエレラ属モルティエレ
ラ亜属に属する微生物由来のシトクロムb5レダクター
ゼをコードする遺伝子を提供する。この遺伝子はmRN
AからのcDNA、ゲノムDNA、化学合成DNAのい
ずれであってもよい。また、シトクロムb5レダクター
ゼ活性を保持しかつシトクロムb5レダクターゼのアミ
ノ酸配列の1又は2以上のアミノ酸を欠失し、置換し、
又は他のアミノ酸を1又は2以上を付加した修飾ポリペ
プチドをコードする遺伝子も本発明に含まれる。
【0011】本発明は、更にシトクロムb5レダクター
ゼをコードする遺伝子を用いた組換えDNA手法によ
り、完全長シトクロムb5レダクターゼ、及びシトクロ
ムb5レダクターゼ活性を保持しかつシトクロムb5レ
ダクターゼのアミノ酸配列の1又は2以上のアミノ酸を
欠失し、置換し、又は他のアミノ酸を1又は2以上を付
加した修飾ポリペプチドの生産方法を提供する。
【0012】本発明のシトクロムb5レダクターゼ遺伝
子は次の方法でクローニングできる。
【0013】(遺伝子源)本発明においては遺伝子源と
して使用できる微生物は、モルティエレラ属モルティエ
レラ亜属であれば、特に種や株を限定するものではな
く、例えば、モルティエレラ(Mortierella)属に属す
るアルピナ(alpina)、バイニエリ(bainier i)、エロ
ンガタ(elongata)、エキシグア(exigua)、ミネッテ
ィシマ(minut issima)、バーティシラタ(verticillat
a)、フィグロフィラ(hygrophila)、ポリセファラ(p
olycephala)種等を挙げることができ、またモルティエ
レラ・アルピナ種に属する菌株を下記の寄託番号によ
り、所定の寄託機関から入手できる。
【0014】モルティエレラ・アルピナ(ATCC89
79、ATCC16266、ATCC32221、AT
CC32222、ATCC32223、ATCC369
65、ATCC42430、CBS219.35、CB
S224.37、CBS250.53、CBS343.
66、CBS527.72、CBS529.72、CB
S608.70、CBS754.68、IFO856
8、IFO32281等)。
【0015】本発明では、電子伝達系を有する生物を形
質転換することにより、CSF(シアン感受性末端の酵
素)への電子伝達が強化された生物を人為的に創製する
ことができる。特に不飽和脂肪酸生産能を有する生物を
形質転換することにより、デサチュラーゼへの電子の供
給が強化されて不飽和脂肪酸高生産生物を人為的に創製
することができる。
【0016】このような生物としてオメガ3系不飽和脂
肪酸生産能を有する微生物である海洋性クロレラ、微細
紅藻、微細藻類が挙げられ、例えば有色藻門に属するク
リプセコディミウム(Crypthecodimium)属、イソクリ
シス(Isochrysis)属、ナノクロロプシス(Nannochlor
opsis)属、カエトセロス(Chaetoceros)属、ファエオ
ダクチルム(Phaeodactylum)属、アンフィディニウム
Amphidinium)属、ゴニアウラクス(Gonyaulax)属、
ペリディミウム(Peridimium)属、クロオモナス(Chro
omonas)属、クリプトモナス(Cryptomonas)属、ヘミ
セルミス(Hemis elmis)属、キロモナス(Chilomonas
属、緑藻門に属するクロレラ(Chlorella)属、さらに
ヒスチオブランクス(Histiobranchus)属及びコリファ
エノイデス(Coryphaenoides)属に属する微生物を挙げ
ることができる。クリプセコディミウム属では例えば、
クリプセコディミウム・コーニー(Crypthecodimium co
hnii)ATCC30021を挙げることができる。この
菌株はアメリカン タイプ カルチャー コレクションか
ら何らの制限もなく入手することができる。さらに、エ
イコサペンタエン酸の含有率の高い油脂を生産するサバ
の腸内から単離された海洋細菌(Shewanella 属、例え
Shewanella putrefaciens)を挙げることができる。
【0017】またオメガ6系不飽和脂肪酸生産能を有す
る微生物としてγ−リノレン酸生産能を有する微生物や
アラキドン酸生産能を有する微生物が挙げられ、アラキ
ドン酸生産能を有する微生物としては、例えばモルティ
エレラ(Mortierella)属に属するアルピナ(alpin
a)、バイニエリ(bainieri)、エロンガタ(elongat
a)、エキシグア(exigua)、ミネッティシマ(minutis
sima)、バーティシラタ(v erticillata)、フィグロフ
ィラ(hygrophila)、ポリセファラ(polycephala
種、コニディオボラス(Conidiobolus)属、フィチウム
Phythium)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、ペ
ニシリューム(Penicillium)属、クロドスポリューム
(Cladosporium)属、ムコール(Mucor)属、フザリュー
ム(Fusarium)属、アスペルギルス(Aspergillus
属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、エントモフトラ
Entomophthora)属、エキノスポランジウム(Echinos
porangium)属、サプロレグニア(Saprolegnia)属に属
する微生物を挙げることができ、γ−リノレン酸生産能
を有する微生物としては、モルティエレラ属に属するイ
サベリナ(isabellina)、ビナセア(vinacea)、ラマニ
アナ(ramaniana)、ラマニアナ・アングリスポラ(rama
niana anglispora)、ナナ(nana)種、アビシディア
Absidia)属、ムコール属、リゾプス(Rizopus)属、
シンセファラストラム(Sy ncephalastrum)属、コアネ
フォラ(Choanephora)属に属する微生物を挙げること
ができる。モルティエレラ属では例えば、モルティエレ
ラ・エロンガタ(Mort ierella elengata)IFO857
0、モルティエレラ・エキシグア(Mortierell a exigu
a)IFO8571、モルティエレラ・フィグロフィラ
Mortierella hy grophila)IFO5941、モルティ
エレラ・アルピナ(Mortierella alpina)ATCC89
79、ATCC16266、ATCC32221、AT
CC32222、ATCC32223、ATCC369
65、ATCC42430、CBS219.35、CB
S224.37、CBS250.53、CBS343.
66、CBS527.72、CBS529.72、CB
S608.70、CBS754.68、IFO856
8、IFO32281等を挙げることができる。これら
の菌株はいずれも、財団法人発酵研究所からなんら制限
なく入手することができる。また、本発明らが土壌から
分離した菌株モルティエレラ・エロンガタSAM021
9(微工研菌寄第8703号)(微工研条寄第1239
号)を使用することもできる。
【0018】(シトクロムb5ゲノムDNAのクローニ
ング) モルティエレラ・アルピナのゲノムDNA抽出及び
コスミドライブラリーの作製 培養、集菌したモルティエレラ・アルピナ種の菌体を破
砕し、常法により染色体DNAを遠心分離し、沈殿し、
RNAを分解除去し、除タンパク操作を行って、DNA
成分を精製する。これらの操作については、「植物バイ
オテクノロジー実験マニュアル:農村文化社、第252
頁」を参照されたい。
【0019】市販のコスミドベクターキットを用い、そ
の指示書にしたがって上記ゲノムDNAをインサートD
NAとしてコスミドベクターに挿入する。得られた組換
えベクターを、市販のパッケージングキットの細菌抽出
液を用いてパッケージングし、宿主細菌に感染させ、増
殖させてコスミドライブラリーを作製する。
【0020】プローブの作製 現在、知られているシトクロムb5レダクターゼのう
ち、推定されるアミノ酸配列がお互いに比較的高い相同
性を示すウシ及び酵母のシトクロムb5レダクターゼc
DNAの配列を基にセンスプライマーとアンチセンスプ
ライマーを作製し、このプライマーを用い、モルティエ
レラ属モルティエレラ亜属に属する微生物のゲノムDN
Aを鋳型としてPCRを行う。その結果、得られる増幅
DNA断片をシークエンスし、アミノ酸配列に変換して
他生物由来のシトクロムb5レダクターゼとの相同性お
よび上記内部ペプチドの部分アミノ酸配列と相同な配列
を含むことを確認し、アイソトープで標識化しプローブ
としてその後の実験に使用する。
【0021】コスミドライブラリーからのクローニン
グ コスミドライブラリーに対し、上記のプローブを用いて
コロニーハイブリダイゼーションを行う。得られるポジ
ティブクローンのコスミドを例えばアルカリ法で調製
し、適当な制限酵素でサザンハイブリダイゼーションを
行い、ポジティブバンドとして得られるDNA断片をシ
ークエンスして目的ゲノムDNAをクローニングする。
【0022】(シトクロムb5レダクターゼ cDNA
のクローニング) mRNAの調製及びcDNAライブラリーの作製 培養し、集菌したモルティエレラ・アルピナ種の菌体を
破砕し、AGPC法に従って全RNAを抽出し、ここか
ら適当な方法、例えばオリゴdTセルロースカラムを用
いてmRNAを精製する。
【0023】得られるmRNAを鋳型としてcDNAを
合成し、これを市販のファージベクターに挿入し、さら
に常法によりパッケージングする。
【0024】 シトクロムb5レダクターゼ cDN
Aのクローニング 宿主細菌に上記パッケージングしたcDNAライブラリ
ーを感染させ、プラークハイブリダイゼーションにより
ポジティブプラークを得る。得られるクローンをシーク
エンスし、アミノ酸配列に変換し検討することにより、
モルティエレラ・アルピナのシトクロムb5レダクター
ゼ遺伝子全長がクローニングされることが確認できる。
【0025】 シトクロムb5レダクターゼの発現 続いて、クローニングしたシトクロムb5レダクターゼ
cDNAを用いて、シトクロムb5レダクターゼの発
現を行う。このシトクロムb5レダクターゼの発現は、
適当なプラスミドにシトクロムb5レダクターゼ cD
NAを挿入し、大腸菌を宿主として形質転換し、これを
培養する公知の組換えDNAの手法によって実施でき
る。例えば、T7プロモーターをもつpETシステムに
目的cDNAを挿入し、この発現用プラスミドで大腸菌
BL21(DE3)株を形質転換する。次いで、形質転
換された大腸菌を適当な培地で培養し、集菌し、菌体を
破砕し、シトクロムb5レダクターゼタンパクを分離、
精製する。
【0026】
【実施例】本発明を以下の実施例により、更に詳細に説
明する。
【0027】[実施例1] ゲノムDNAの作製 (1)モルティエレラ・アルピナ1S−4のゲノムDN
A抽出法 対数増殖期後期の菌体を減圧ろ過で集菌した。液体窒素
中に細かくちぎった菌体を入れ、ホモゲナイザー(ワー
リングブレンダー)で細かく破砕した。ある程度細かく
なった菌体を乳鉢に移し液体窒素を加えながら乳鉢中で
すり潰した。70℃に保温した2xCTAB液で懸濁
し、65℃で3〜4時間インキュベートした。遠心分離
した上清を順次、フェノール、フェノール/クロロホル
ム、クロロホルムで処理し、等容のイソプロパノールで
DNAを沈殿させた。70%エタノールで洗浄し、風乾
後、TE緩衝液に溶解した。リボヌクレアーゼAおよび
リボヌクレアーゼT1でRNAを分解し、フェノール、
フェノール/クロロホルム、クロロホルムで順次処理し
て除タンパク操作を行った。等容のイソプロパノールで
DNAを沈殿させた。70%エタノールで洗浄し、風乾
後、TE緩衝液に溶解しゲノムDNA標品を得た。
【0028】(2)プローブの作製 現在、知られているシトクロムb5レダクターゼのう
ち、推定されるアミノ酸配列がお互いに比較的高い相同
性を示すウシ及び酵母のシトクロムb5レダクターゼc
DNAの配列を基にセンスプライマーとアンチセンスプ
ライマーを作製し、モルティエレラ・アルピナ1S−4
のゲノムDNAを鋳型として下記の条件でPCRを行っ
た。
【0029】 PCRの実施条件 染色体DNA 5μg センスプライマー 200pmol アンチセンスプライマー 200pmol dNTP(2mM) 10μl Tth ポリメラーゼ緩衝液(x10) 10μl Tth DNAポリメラーゼ 4ユニット2 合計 100μl [94℃−1分、55℃−1分、72℃−2分:35サイクル] その結果、得られた増幅した約250bpのDNA断片
をクローン化し、塩基配列を決定したところ、その推定
されるアミノ酸配列は酵母のシトクロムb5レダクター
ゼと60%以上の高い相同性を示した。よって、モルテ
ィエレラ・アルピナ1S−4のシトクロムb5レダクタ
ーゼゲノム遺伝子の一部を含む本断片をα−32P−dC
TPで標識し、プローブとしてcDNAのクローニング
に使用した。
【0030】作製した合成オリゴヌクレオチドプライマ
ーは次の通りであった。
【化1】
【化2】 (尚、上記式中Iはイノシンを表す。)
【0031】[実施例2] cDNAの作製 (1)mRNAの調製 菌体は対数増殖期前期に集菌し、直ちに液体窒素で凍結
後破砕し、AGPC法に従って全RNAを抽出した。得
られた全RNAをオリゴdT-セルロースカラムにかけ
ることにより精製した(mRNA Purification kit; P
harmacia Biotech)。
【0032】(2)cDNAライブラリーの作製 得られたmRNAを鋳型として、cDNAラピッドアダ
プターライゲーションモジュール(cDNA rapid adaptor
ligation module code RPN1712)(アマシャム社)を
用いてcDNAを合成した。次に、このcDNAラピッ
ドクローニングモジュール-λgt10(cDNA rapid cl
oning module-λgt10 code RPN1713)(アマシャム社)
を用いてλgt10に連結した。このλgt10-cD
NAライブラリーをλDNAインビトロパッケージング
モジュール(λDNA invitro packaging module code RP
N1717)(アマシャム社)を用いてパッケージングし
た。
【0033】(3)シトクロムb5レダクターゼcDN
Aのクローニング cDNAライブラリーに対して、先のプローブを用いた
プラークハイブリダイゼーションを行った結果、数個の
陽性プラークが得られた。その内の1つの陽性プラーク
を用いλファージを調製し、pBluescript II にサブク
ローニングし、その塩基配列を決定した。得られたcD
NAは1092個のヌクレオチドで構成されており、本
シトクロムb5レダクターゼは298個のアミノ酸から
成り分子量約3万2千であると推定された。得られたc
DNAを図1に示した。また、このcDNAから推定さ
れるシトクロムb5のアミノ酸配列を図2に示した。さ
らに、上記cDNAと上記推定アミノ酸配列との対応を
図3に示した。
【0034】モルティエレラ・アルピナATCC424
30又はモルティエレラ・アルピナIFO8568を用
いて、実施例1及び2と同様の方法で、目的とするゲノ
ムDNA及びcDNAをクローニングすることができ
る。
【0035】(4)シトクロムb5レダクターゼの発現 得られたシトクロムb5レダクターゼcDNAで大腸菌
を形質転換し、シトクロムb5レダクターゼの発現を確
認した。
【0036】[実施例3] モルティエレラ・アルピナ1S−4のゲノム遺伝子のク
ローニング (1)ゲノムDNAの作製 実施例1の(1)と同様な方法によりDNA標品を得
た。
【0037】(2)コスミドライブラリーの作製 コスミドはSTRATAGENE社のSUPERCOS
1 COSMIDVECTOR KITを用いた。コス
ミドライブラリー作製法はそのプロトコールに従った。
コスミドをXbaIで制限酵素処理し、CIP(TAK
ARA)で脱リン酸化し、BamHIで制限酵素処理す
ることでコスミドアームを調製した。インサートDNA
は制限酵素Sau3AIで部分消化することで得た。コ
スミドアームと部分消化インサートDNAとをライゲー
ションし、次のパッケージング操作へ進んだ。パッケー
ジングはSTRATAGENE社のGIGAPACKII
PACKAGING EXTRACTを用いた。宿主大
腸菌はXL1-Blue MRを用いた。
【0038】(3)プローブの作製 実施例2で得たモルティエレラ・アルピナ1S−4のシ
トクロムb5レダクターゼcDNAをα−32P−dCT
Pで標識しプローブとして、モルティエレラ・アルピナ
1S−4のシトクロムb5レダクターゼゲノム遺伝子の
クローニングに使用した。
【0039】(4)モルティエレラ・アルピナ1S−4
のシトクロムb5レダクターゼゲノム遺伝子のクローニ
ング コスミドライブラリーに対して、先のプローブを用いた
コロニーハイブリダイゼーションを行った結果、数個の
陽性クローンが得られた。その内の一つの陽性クローン
のコスミドをアルカリ法で調製し、サザンハイブリダイ
ゼーションを行った。ポジティブバンドとして得られた
約3.3 kbのSphI断片の塩基配列を決定したとこ
ろ、シトクロムb5レダクターゼ遺伝子全体を含んでい
ることが判明した。本シトクロムb5レダクターゼ遺伝
子は、四つのイントロンを含む五つのエクソンから成る
ことが明らかとなった。解析されたゲノム遺伝子の全塩
基配列及びそれにコードされるアミノ酸配列を図4〜図
6に示す。
【0040】
【発明の効果】本発明により、ARAを菌体内に著量蓄
積するモルティエレラ・アルピナ由来のシトクロムb5
レダクターゼをコードするゲノムDNAおよびcDNA
が与えられる。この遺伝子のクローニングにより、シト
クロムb5レダクターゼタンパクを遺伝子工学的に生産
できる。また、この遺伝子を用いることにより、デサチ
ュラーゼのようなシアン感受性末端酵素に電子を供給す
る電子伝達系の構築またはその系を増強し、それによっ
て不飽和脂肪酸の生産性の向上が期待できる。
【0041】
【配列表】
【0042】配列番号:1 配列の長さ:23 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:PCR用プライマーDNA 配列:
【0043】配列番号:2 配列の長さ:33 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:PCR用プライマーDNA 配列:
【0044】配列番号:3 配列の長さ:1092 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列:
【0045】配列番号:4 配列の長さ:299 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ポリペプチド 配列:
【0046】配列番号:5 配列の長さ:3284 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomicDNA 配列:
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のモルティエレラ・アルピナ1S−4
由来のシトクロムb5レダクターゼをコードするcDN
Aである。
【図2】 本発明のモルティエレラ・アルピナ1S−4
由来のシトクロムb5レダクターゼをコードするcDN
Aから推定されたアミノ酸配列である。
【図3】 本発明のモルティエレラ・アルピナ1S−4
由来のシトクロムb5レダクターゼをコードするcDN
Aと、それから推定されるアミノ酸配列との対応を示
す。
【図4】 本発明のモルティエレラ・アルピナ1S−4
由来のシトクロムb5レダクターゼをコードするゲノム
DNAと、それによってコードされるアミノ酸配列との
対応を示す。
【図5】 図4の続きである。
【図6】 図5の続きである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 9/06 C12R 1:19)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モルティエレラ属モルティエレラ亜属に
    属する微生物由来のシトクロムb5レダクターゼをコー
    ドするDNA配列。
  2. 【請求項2】 請求項1の核酸でコードされたアミノ酸
    配列をコードするDNA配列。
  3. 【請求項3】 配列番号:4のアミノ酸配列からなるポ
    リペプチド、又はシトクロムb5レダクターゼの活性を
    保持しかつ配列番号:4のアミノ酸配列の1又は2以上
    のアミノ酸を欠失し、置換し、又は他のアミノ酸を1又
    は2以上付加した修飾ポリペプチドをコードするDNA
    配列。
  4. 【請求項4】 配列番号:4のアミノ酸配列をコードす
    るDNA配列。
  5. 【請求項5】 配列番号:3のヌクレオチド配列、又は
    そのヌクレオチド配列の1又は2以上のヌクレオチドを
    欠失し、置換し、又は他のヌクレオチドを1又は2以上
    を付加した修飾ヌクレオチド配列でありかつその配列に
    よってコードされるポリペプチドがシトクロムb5レダ
    クターゼ活性を持つヌクレオチド配列からなるDNA配
    列。
  6. 【請求項6】 配列番号:3のヌクレオチド配列からな
    るDNA配列。
  7. 【請求項7】 配列番号:5のヌクレオチド配列、又は
    そのヌクレオチド配列の1又は2以上のヌクレオチドを
    欠失し、置換し、又は他のヌクレオチドを1又は2以上
    を付加した修飾ヌクレオチド配列でありかつその配列に
    よってコードされるポリペプチドがシトクロムb5レダ
    クターゼ活性を持つことを特徴とするヌクレオチド配列
    からなるDNA配列。
  8. 【請求項8】 配列番号5:のヌクレオチド配列からな
    るDNA配列。
JP8257027A 1996-08-22 1996-09-27 シトクロムb5レダクターゼ遺伝子 Pending JPH10113181A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8257027A JPH10113181A (ja) 1996-08-22 1996-09-27 シトクロムb5レダクターゼ遺伝子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22110696 1996-08-22
JP8-221106 1996-08-22
JP8257027A JPH10113181A (ja) 1996-08-22 1996-09-27 シトクロムb5レダクターゼ遺伝子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10113181A true JPH10113181A (ja) 1998-05-06

Family

ID=26524088

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8257027A Pending JPH10113181A (ja) 1996-08-22 1996-09-27 シトクロムb5レダクターゼ遺伝子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10113181A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5762291B2 (ja) 変異δ5デサチュラーゼと、多価不飽和脂肪酸の製造におけるそれらの使用
JP5193216B2 (ja) Δ17デサチュラーゼおよび多価不飽和脂肪酸の製造におけるその使用
JP4718477B2 (ja) 油性酵母中において多価不飽和脂肪酸レベルを変更するのに適したδ12デサチュラーゼ
JP5769374B2 (ja) 標的を定めた変異誘発によって改変された変異δ8デサチュラーゼ遺伝子及び多価不飽和脂肪酸の製造におけるそれらの使用
DK1620543T3 (en) PREPARATION OF POLYUM Saturated FAT ACIDS IN OIL Yeast
JP5501952B2 (ja) Δ8デサチュラーゼ、および多価不飽和脂肪酸の作成におけるそれらの使用
JP5711968B2 (ja) 高エイコサペンタエン酸を生成するためのヤロウィア・リポリティカ(YarrowiaLipolytica)の最適化株
JP5501954B2 (ja) Δ9エロンガーゼおよび多価不飽和脂肪酸の作成におけるそれらの使用
US7465564B2 (en) Production of γ-linolenic acid in oleaginous yeast
EP2140006B1 (en) Delta-5 desaturases and their use in making polyunsaturated fatty acids
JP5572620B2 (ja) Δ4デサチュラーゼ、および多価不飽和脂肪酸の製造におけるその使用
KR20060018833A (ko) 유지성 효모에서 다가불포화 지방산을 생성하기 위한코돈-최적화 유전자
JP2013535987A (ja) 高レベルのエイコサペンタエン酸生産のための組換え微生物宿主細胞
JP2009534032A (ja) Δ17デサチュラーゼおよび多価不飽和脂肪酸の製造におけるそれらの使用
JP3980074B2 (ja) △9−デサチュラーゼ遺伝子
EP2198005B1 (en) Peroxisome biogenesis factor protein (pex) disruptions for altering the content of polyunsaturated fatty acids and the total lipid content in oleaginous eukaryotic organisms
JPH10113181A (ja) シトクロムb5レダクターゼ遺伝子
US8148121B2 (en) Δ6 desaturases and their use in making polyunsaturated fatty acids
JPH09121873A (ja) シトクロムb5遺伝子

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051027

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051226

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060124