JPH10110776A - 能動的除振装置 - Google Patents

能動的除振装置

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JPH10110776A
JPH10110776A JP8284589A JP28458996A JPH10110776A JP H10110776 A JPH10110776 A JP H10110776A JP 8284589 A JP8284589 A JP 8284589A JP 28458996 A JP28458996 A JP 28458996A JP H10110776 A JPH10110776 A JP H10110776A
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vibration
compensator
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air spring
vibration isolator
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    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/708Construction of apparatus, e.g. environment aspects, hygiene aspects or materials
    • G03F7/70858Environment aspects, e.g. pressure of beam-path gas, temperature
    • G03F7/709Vibration, e.g. vibration detection, compensation, suppression or isolation

Abstract

(57)【要約】 【課題】 除振台の目標位置からのずれを防止する。 【解決手段】 除振台と、該除振台に駆動力を付与する
空気バネアクチュエータと、前記除振台の振動を検出す
る振動検出手段と、前記除振台の位置を検出する位置検
出手段と、前記振動検出手段の出力によってダンピング
を与える加速度フィードバックループと、前記位置検出
手段の出力から位置偏差信号を生成して補償を掛ける位
置ループと、位置偏差信号を補償する安定化補償器とを
有する能動的除振装置において、前記安定化補償器を、
PI補償器に積分器を1個追加したPI2 補償器で構成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床振動の除振台へ
の伝播を抑制する能動的除振装置に関する。本発明は、
特に、露光用XYステージを搭載してなる半導体露光装
置の一構成ユニットとして好適に使用される能動的除振
装置であって、空気バネアクチュエータを用いた空気バ
ネ式能動的除振装置に好適に適用される。
【0002】
【従来の技術】除振台上には振動を嫌う機器群が搭載さ
れる。例えば、光学顕微鏡や露光用XYステージなどで
ある。特に、ステップアンドリピート方式の半導体露光
装置における露光用XYステージの場合、適切かつ迅速
な露光が行なわれるべく外部から伝達する振動を極力排
除した除振台上に同ステージは搭載されねばならない。
なぜならば、露光は露光用XYステージが完全停止の状
態で行なわれねばならないからである。さらに、露光用
XYステージはステップアンドリピートという間欠運動
を動作モードとして持ち、繰り返しのステップ振動を自
身が発生しこれが除振台の揺れを惹起せしめることにも
注意せねばならない。この種の振動が整定しきれないで
残留する場合にも、露光動作に入ることは不可能であ
る。したがって、除振台には、外部振動に対する除振
と、搭載機器自身の運動に起因した強制振動に対する制
振性能をバランスよく実現することが求められる。
【0003】なお、近年XYステージを完全停止させて
から同ステージ上搭載のシリコンウエハに対して露光光
を照射するステップアンドリピート方式の半導体露光装
置に代わって、XYステージなどをスキャンさせながら
露光光をシリコンウエハ上に照射するスキャン方式の半
導体露光装置も登場してきた。このような装置に使われ
る除振台に対しても、外部振動の除振と、搭載機器の運
動に起因した強制振動に対する制振性能とをバランスよ
く満たすことが求められることは同様である。
【0004】さて、周知のように除振台は受動的なもの
と能動的なものとに実現形態が分類される。除振台上の
搭載機器に求められる高精度位置決め、高精度スキャ
ン、高速移動などへの要求に応えるべく近年は能動的除
振装置を用いる傾向にある。それに用いられるアクチュ
エータとしては空気バネ、VCM(ボイスコイルモー
タ)、圧電素子などが知られている。ここでは、先ず、
空気バネをアクチュエータとした能動的除振装置を対象
にして具体的説明を行なう。
【0005】図21は、空気バネをアクチュエータとす
る従来の能動的除振装置の構成を示す。同図において、
1はXYステージなどの精密機器を搭載する除振台、2
a〜dは空気バネと動作流体の空気を給排気するサーボ
バルブ(不図示)とを含めた空気バネアクチュエータ、
3a〜dは鉛直方向の変位を計測する位置計測手段、4
a〜dは鉛直方向の振動を検出する振動検出手段であ
る。位置計測手段3a〜dとしては、渦電流式変位セン
サ、静電容量センサ、光電変換素子を応用した位置検出
センサなどが、振動検出手段4a〜dとしては加速度セ
ンサやジオフォンセンサなどが使用できる。除振台1の
4隅には、上述の空気バネアクチュエータ2a〜d、位
置計測手段3a〜dおよび振動検出手段4a〜dなどを
主たる構成要素として内蔵する空気バネ式支持脚5a〜
dを配置し除振台1とその上に搭載する機器とを支持し
ている。なお、除振台1を水平方向に支持する主構成要
素については不図示であるが、上述した鉛直方向と同様
になる。
【0006】次に、空気バネ式支持脚5a〜dに対する
フィードバック装置の構成とその動作を説明する。ま
ず、加速度センサなどの振動検出手段4a〜dの出力
は、適切な増幅度と時定数とを有するゲイン補償器6a
〜dを介して空気バネアクチュエータに含めたサーボバ
ルブ(不図示)の弁開閉用の電圧電流変換器7a〜dの
前段に負帰還している。この加速度フィードバックルー
プによりダンピングが付与され機構の安定化が図られて
いる。さらに、位置検出手段3a〜dの出力は変位増幅
器8a〜dを通って比較回路9a〜dへの入力となって
いる。ここでは、目標電圧入力端子10a〜dに設定し
た電圧との比較が行なわれて位置偏差信号(ea ,e
b ,ec ,ed )を生成する。目標電圧入力端子10a
〜dに設定する電圧は、空気バネ式支持脚5a〜dの設
置面を基準にした除振台1の平衡位置と等価なものであ
る。続いて、位置偏差信号はPI補償器11a〜dを通
り、この信号と加速度フィードバックループの負帰還信
号とを加算してなる駆動信号で電圧電流変換器7a〜d
をドライブする。すると、サーボバルブの弁開閉によっ
て空気バネの内圧が調整されて除振台1は目標電圧入力
端子10a〜dで設定した所望の位置に定常偏差なく保
持できる。ここで、PI補償器のPは比例を、Iは積分
動作をそれぞれ意味する。空気バネアクチュエータを有
する空気バネ式支持脚5a〜dは、大重量物を搭載する
除振台を支持する能力がある。
【0007】図22は、除振台1の上に搭載され強烈な
加減速運転を行うXYステージ12の構造を示す。同図
において、13はXステージ、14はXステージ13の
上に搭載するシリコンウエハ15を微細に位置決めする
ための微動ステージ、16はYステージ、17YRと1
7YLはともにYステージ16を駆動するリニアモータ
の可動子(Xステージ13の可動子は不図示)、18X
はXステージ13を駆動するリニアモータの固定子であ
るコイル、19YRと19YLはYステージ16を駆動
するために左右に配置したリニアモータの固定子である
コイル、20はステージ定盤、21XはX軸計測用のバ
ーミラ、21YはY軸計測用のバーミラである。
【0008】さて、空気バネ式能動的除振装置は、応答
性は悪いが荷重支持能力が高いという特徴がある。対し
て、ボイスコイルモータに代表される電磁式アクチュエ
ータを用いた能動的除振装置は、速い応答性を持つもの
の支持荷重能力は高くない。上述した空気バネ式能動的
除振装置の特徴を踏まえ図23の実験事実を観察する。
同図(A)は、除振台搭載のXYステージ12がステッ
プアンドリピート駆動したときの、空気バネ式能動的除
振装置の位置偏差信号の一例である。XYステージのス
テップ駆動に原因した過渡現象としての先鋭的な揺動
に、ステップ駆動が繰り返され且つその極性が反転する
ことに原因した低周波の大きなうねりが重畳した位置偏
差信号になっている。このような挙動は適切な数学モデ
ルを使った数値実験でも確認できる。同図(B),
(C)に数値実験の一例を示すが、実測結果と同様の傾
向が模擬できていることが分かる。
【0009】ここで、位置偏差信号の振る舞いを定性的
に解釈する。まず、XYステージ12を略一定周期で急
激に加減速する際のパルス状波形(以下、「バンバン状
の波形」と称する)によるステップ駆動によって空気バ
ネ式能動的除振装置の固有周期で過渡現象が引き起こさ
れる。この過渡現象の零への収束は時間が掛かるが、位
置偏差信号が零に収束しきれないうちに次のステップ駆
動がなされ再び過渡現象が生起される。その現象も収束
が不十分な状態となり、次々とステップ駆動を受けるの
で収束しきれない位置偏差が蓄積していき、結果として
位置偏差信号のシフトが生じる。位置偏差信号のシフト
には、上述した収束性の悪さに原因するものに加え、ス
テップアンドリピートによってXYステージ12の可動
部が移動するという移動荷重によっても引き起こされる
ことに注意したい。
【0010】さて、位置偏差信号のシフトは、もちろん
除振台を含めた本体装置が目標電圧で指定した平衡位置
からずれることを意味する。例えば、図23に示す位置
偏差信号がX方向の位置偏差信号である場合には、除振
台を含めた本体装置が初期の平衡位置から徐々にX方向
に移動してしまったことを意味する。また、その位置偏
差信号がx軸回りの回転である場合には、除振台を含め
た本体装置が初期の平衡位置から徐々にx軸回りに傾い
たことを意味する。
【0011】このような現象抑制のため、XYステージ
の駆動信号を適切に補償しそれを能動的除振装置のアク
チュエータにフィードフォワードする技術が開示されて
いる。例えば、特開平6−216003号『ステージ装
置』が挙げられる。しかし、空気バネ式能動的除振装置
の応答は緩慢でありフィードフォワードによって図23
(A)の如き位置偏差信号の揺動が抑制できるものでは
ない。また、ボイスコイルモータなどの電磁アクチュエ
ータを使用する能動的除振装置の場合、XYステージの
ステップ駆動に原因する除振台の過渡現象を抑制する能
力はあるものの、除振台のシフトを補正して平衡位置に
戻す能力は持ち合わせていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】空気バネ式能動的除振
装置における課題を整理すると以下の通りである。同能
動的除振台に搭載される機器の中でXYステージは、ス
テップアンドリピートという間欠運転を動作モードとし
て持つ。この動作は強烈な駆動反力を除振台に与える。
また、スループット(生産性)向上のため、ステップア
ンドリピートの周期は徐々に短縮化されている。このと
き、除振台の固有周波数は例えば2〜3Hzといった低
周波域にあり、それよりも格段に速い周期でXYステー
ジが駆動されること、およびXYステージの連続駆動に
よって除振台に対する荷重が移動するということとに起
因した問題が発生する。
【0013】除振台の固有周期よりもはるかに早い周期
の運転がなされると、ステップ駆動に起因した過渡現象
が減衰しきれないうちに次々とステップ駆動がなされ、
結果として位置偏差信号のマクロトレンドがシフトして
しまう。時変の移動荷重があると、その影響を抑制する
駆動力は発生するが、これも応答が間に合わず位置偏差
信号のシフトを引き起こすのである。
【0014】極低周波のシフト成分の存在は、除振台の
平衡位置からの移動、あるいは回転があることを意味す
る。ステップアンドリピート中の除振台のシフトと回転
は、除振台を含めた本体に静的動的な歪を与え、半導体
露光装置の場合には投影光学系(不図示)を歪ませるこ
とにつながり装置性能の劣化を招く。また、除振台を含
めた装置全体あるいは不図示の精密機器の設置規準を侵
害することがあった。
【0015】本発明は、上述の従来例における問題点に
鑑みてなされたもので、除振台の目標位置からのずれを
防止することを第1の目的とする。
【0016】図24は、空気バネをアクチュエータとす
る従来の他の空気バネ式防振装置の構成を示す。同図に
おいて、2は空気バネ、3は除振台1の変位を計測する
位置センサ、4は除振台1の振動を検出する振動セン
サ、41は空気バネ2へ動作流体の空気を給気および排
気するサーボバルブ、42は予圧手段、43は空気バネ
2と予圧手段42および不図示の機構全体の粘性を表現
する粘性要素である。これらの構成部品から組み合わさ
れる機構は空気バネ式支持脚5と呼ばれる。なお、位置
センサ3としては、渦電流式変位センサ、静電容量セン
サ、光電変換素子を応用した位置検出センサなどが、振
動センサ4としては加速度センサやジオフォンセンサな
どが使用できる。
【0017】次に、空気バネ式支持脚5に対するフィー
ドバック装置50の構成とその動作を説明する。まず、
加速度センサに代表される振動センサ4の出力は、適切
な増幅度と時定数とを有するフィルタ6を介してサーボ
バルブ41の弁開閉用の電圧電流変換器7の前段に負帰
還している。この加速度フィードバックループにより機
構の安定化が図られる。すなわち、ダンピングが付与さ
れる。さらに、位置センサ3の出力は変位増幅器8を通
って比較回路9への入力となっている。ここでは、空気
バネ式支持脚5の設置面に対する目標位置と等価な目標
電圧設定手段10の出力電圧(平衡位置目標電圧)r0
と比較されて偏差信号eとなる。この偏差信号eはPI
補償器11を通って電圧電流変換器7をドライブする。
すると、サーボバルブ41の弁開閉によって空気バネ2
内の圧力が調整されて除振台1は目標電圧設定手段10
で設定した所望の位置に定常偏差なく保持できる。ここ
で、Pは比例を、Iは積分動作をそれぞれ意味する。
【0018】空気バネ2をアクチュエータとした空気バ
ネ式支持脚5は、除振台1の上に大重量物を搭載できる
能力を持つ。しかし、空気バネ式支持脚5とフィードバ
ック装置50とからなる空気バネ式防振装置に対して高
速応答を期待することはできない。しかしながら、PI
補償器11に代えてP補償器を使用することによって、
高速応答の実現が図れることがわかっている。図25
は、P補償器とPI補償器という差異による除振台の立
ち上がり特性、すなわち設置した除振台が目標位置に収
束するまでの時間応答を示す実験結果である。PI補償
器の場合には大きなオーバシュートが発生したのち収束
するが、P補償器の場合にはオーバシュート無く収束し
ている。また、図26はPI補償器とP補償器の違いに
起因した目標値ステップ応答の実験結果である。図25
の立ち上がり特性と同様に、PI補償器の場合には振動
的応答波形が生じてから後に収束するが、P補償器の場
合にはオーバシュートおよびアンダーシュートは生じな
い。このように、PI補償器に代えてP補償器を用いる
ことによって、応答の収束性が高められる。しかしなが
ら、P補償器を用いた場合であって除振台の位置決め目
標位置を変更したり、あるいは外乱が入力されたとき、
僅かながら定常偏差が発生してしまう問題が発生する。
もちろん、PI補償器を使用した場合には定常偏差は発
生しない。
【0019】上述の実験結果を除振台の制御ブロックに
基づいて説明する。1自由度で表現した除振台の制御ブ
ロック図は図27のように表現できる。図示の記号を用
いて、除振台とそれに対して施される加速度フィードバ
ックループを含めた破線内の伝達関数は次式となる。
【0020】
【数1】 ただし、図27および上式における記号の意味は、x:
除振台の変位[m]、vd :電圧電流変換器7の入力電
圧[V]、r0 :目標電圧[V]、rs :位置検出電圧
[V]、M:質量[kg]、C:粘性摩擦係数[N・s
ec/m]、K:バネ定数[N/m]、kair :電圧電
流変換器7の入力から空気バネ2が発生する駆動力まで
の積分ゲイン[(N/V)・sec]、ka :加速度セ
ンサ4から電圧電流変換器7の入力までの変換ゲイン
[V・sec2 /m]、ks :位置検出の変換ゲイン
[V/m]、kp :PI補償器のゲイン[V/V]、
T:PI補償器の時定数[sec]、s:ラプラス演算
子である。
【0021】(3)式より、ka によってダンピングが
付与できていることが分かる。サーボバルブを駆動する
電圧電流変換器7の入力から空気バネの駆動力までの伝
達特性は図中でkair /sと表現されており、変換ゲイ
ンka の加速度フィードバックでダンピングが付与でき
ているのもこの積分特性を利用するためである。また、
(1)式より加速度フィードバックを含めた制御対象の
伝達関数には、依然として積分器が含まれており、制御
理論の教えるところによれば1形の系であるから、ゲイ
ン要素(P補償器)で位置の閉ループ系を構成しても、
定常偏差なく目標値に保持可能である。さらには、外乱
が入力しても位置偏差を零に収束させ得る筈である。実
際にも、P補償器による位置制御系で目標値に定常偏差
なく収束させるように調整できる。しかし、先にも述べ
たように目標値を変更したり、外乱が印加されると現実
には定常偏差が発生してしまうのである。これは、図2
7の中でkair /sと表現した理想的な積分特性からの
ずれに起因する。サーボバルブへの駆動入力から空気バ
ネの発生力までの特性は極低周波域では積分特性からの
ずれが在り一般的には平坦なゲイン特性になっているの
である。
【0022】以上の従来例が有する問題点をまとめると
以下のようになる。
【0023】従来、空気バネをアクチュエータとした空
気バネ式防振装置の従来のフィードバック装置内にはP
I補償器が用いられていた。制御理論の教えるところに
よれば、閉ループは1形となるので目標値入力に対して
定常偏差なく保持可能となり、また外乱が入力しても定
常偏差を零に収束させることができる。しかし、応答は
緩慢でかつオーバシュートが発生するという問題があっ
た。
【0024】本発明は、これらのオーバシュートを抑制
し且つ速応性を改善した空気バネ式防振装置を提供する
ことを第2の目的とする。
【0025】周知のように、空気バネをアクチュエータ
とする空気バネ式支持脚5は、大重量物を搭載した除振
台を支持する能力がある。しかるに、能動的除振装置に
あっては、フィードバック装置50の投入によって形成
する閉ループ系の特性が除振・制振性能を唯一に決定し
てしまうことが問題であった。そこで、閉ループが定め
る除振・制振性能を凌駕するために積極的にフィードフ
ォワード信号を閉ループ系に注入することが行なわれて
いる。公知資料としては、例えば、特開平6−2160
03『ステージ装置』がある。しかし、空気バネ式支持
脚5とフィードバック装置50とからなる能動的除振装
置にフィードフォワード信号を注入しても著しい改善は
期待できなかった。その理由は元々低い応答能力しか持
たないからである。
【0026】空気バネをアクチュエータにした能動的除
振装置は、外乱および目標入力に対する応答がともに極
めて緩慢である。既に述べたように、能動的除振装置に
は、搭載機器の運転による影響を抑圧する制振能力と、
外部から伝達してくる振動を遮断する除振能力のバラン
スある実現が求められる。その中で、特に、除振台に搭
載する精密機器、例えばXYステージのステップアンド
リピート駆動の影響を抑制する制振性能の向上が望まれ
ていた。
【0027】従来から、精密機器の加減速運転に原因す
る除振台の揺れや姿勢変化を抑制するべく同運転の信号
を閉ループ系にフィードフォワードする技術は開示され
ていた。しかし、加減速運転する搭載機器の信号を単純
にフィードフォワードするだけでは外乱の影響を速やか
に抑制することはできなかった。
【0028】本発明は除振台の平衡位置周りでの姿勢変
化を補正することを第3の目的とする。
【0029】図28を参照して空気バネをアクチュエー
タとする従来のさらに他の能動的除振装置の構成とその
動作を説明する。同図において、41は空気バネ2へ動
作流体の空気を給排気するサーボバルブ、3は除振台1
の変位を計測する位置センサ、42は予圧手段、43は
空気バネ2と予圧手段42および不図示の機構全体の粘
性を表現する粘性要素である。これらの構成部品から組
み合わされる機構は空気バネ式支持脚5と呼ばれる。
【0030】次に、空気バネ式支持脚5に対するフィー
ドバック装置50の構成とその動作を説明する。まず、
加速度センサなどの振動センサ4の出力は、適切な増幅
度と時定数とを有するフィルタ6を介してサーボバルブ
41の弁開閉用の電力増幅器7の前段に負帰還してい
る。この加速度フィードバックループにより機構の安定
化が図られる。すなわち、ダンピングが付与される。さ
らに、位置センサ3の出力は変位増幅器8を通って比較
回路9への入力となっている。ここでは、空気バネ式支
持脚5の設置面に対する目標位置と等価な目標電圧r0
を発生する目標電圧設定手段10の出力電圧と比較され
て偏差信号eとなる。この偏差信号eはPI補償器11
を通って電力増幅器7を駆動する。すると、サーボバル
ブ41の弁開閉によって空気バネ2内の圧力が調整され
て除振台1は目標電圧設定手段10で設定した所望の位
置に定常偏差なく保持できる。ここで、Pは比例を、I
は積分動作をそれぞれ意味する。空気バネ2をアクチュ
エータとした空気バネ式支持脚5は、除振台1の上に大
重量物を搭載できる能力を持つ。
【0031】空気バネ式支持脚5のより詳細な構造を図
29に示す。同図において、2V,2Hは空気バネ、3
V,3Hは位置センサ、4V,4Hは加速度センサ、4
1V,41Hはサーボバルブであり、番号末尾に付けた
VとHは各々鉛直方向および水平方向を意味する。同図
を参照しながら、能動的除振装置における問題を述べ
る。まず、支持脚内に存在する機構部材等の局所振動の
発生が挙げられる。また、支持脚内での機構部材の占有
空間が大きいという問題も指摘できる。前者の問題は除
振台の特性向上を阻害する。何故なれば、検出部位に支
持構造物の変位や加速度と無関係な局所振動が存在した
場合、それら振動もフィードバックループに取り込ま
れ、所謂スピルオーバを引き起こすからである。後者の
問題は、除振および制振にとって絶対的に必要な物理寸
法を持つアクチュエータの組み込みを阻害する場合が発
生する。支持脚に課される物理形状および寸法の制約を
遵守するために能力不足のアクチュエータを組み込まね
ばならない場合であって、例えばこれが空気バネであり
且つ支持脚上に搭載される機器が加減速運動による反力
を抑制する制振動作を要求されるときには、アクチュエ
ータの飽和を招いてしまう。結果として制振特性のみな
らず除振性能をも劣化させる。図30に位置センサ3V
の取り付け例を示す。ケーシング70に対して渦電流型
の位置センサ3Vのターゲット71が取り付けられ、位
置センサ3V自身も支持脚設置側の部材に設けた取り付
け治具72に各々取り付けられている。したがって、各
取り付け治具の局所振動が容易に発生しやすい構造であ
り、かつ検出系が占める物理空間が大になることが了解
される。
【0032】このような能動的除振装置における支持脚
の課題は以下の通りである。能動的な除振および制振を
行なわせるため、支持脚内にはアクチュエータと共に位
置センサや加速度センサを備える。これらセンサは、所
定の機能を果たし且つ機械調整可能なように取り付け治
具を用いて装着される。しかし、支持脚上構造物の運動
とは無関係な取り付け治具自身の振動が誘発され易い問
題がある。この局所振動は各センサの出力信号となって
フィードバックループ内に取り込まれるため制御系はス
ピルオーバになる。すなわち、除振および制振特性の調
整限界を生じさせてしまい、それらの特性の向上を阻害
する。以って、除振台上に搭載される例えば位置決め機
構の特性向上も阻害していた。また、取り付け治具を含
めた各センサの占有空間は大きく、支持脚のコンパクト
な機構設計を妨げていた。
【0033】本発明は、支持脚機構をコンパクトに設計
でき、除振および制振特性の調整限界が高い能動的除振
装置を提供することを第4の目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段および作用】上記第1の目
的を達成するため、本発明の第1の局面では、除振台
と、除振台に駆動力を付与する空気バネアクチュエータ
と、除振台の振動を検出する振動検出手段と、除振台の
位置を検出する位置検出手段と、振動検出手段の出力に
よってダンピングを与える加速度フィードバックループ
と、位置検出手段の出力から位置偏差信号を生成して補
償を掛ける位置ループとを有し、位置ループの中の安定
化補償器にはPI補償器に積分器を1個追加したPI2
補償器を備えている。
【0035】この第1の局面の好ましい実施例におい
て、加速度フィードバックループと位置ループは、除振
台の並進や回転という運動モードに基づく。より具体的
には、加速度フィードバックループには振動検出手段の
出力から除振台の並進や回転という運動モードを演算す
る加速度に関する運動モード抽出手段を備え、位置ルー
プには位置偏差信号から除振台の並進や回転という運動
モードを演算する位置に関する運動モード抽出手段と、
この出力を補償する運動モードごとの安定化補償器を備
え、安定化補償器は少なくとも一つ以上の運動モードに
対する補償がPI2 補償器である。さらに、安定化補償
器の出力と加速度フィードバックの出力とを換算した信
号は、運動モード分配手段に導かれている。運動モード
分配手段は、除振台を支持する複数個の空気バネアクチ
ュエータが発生すべき駆動力の割合を決めている。な
お、PI2 補償器は位相進み補償などの位相回復手段が
組み込まれた補償器が好適であり、振動検出手段として
は加速度センサが好適に使用できる。
【0036】閉ループの中に積分器1個を含む1形のサ
ーボ系は、ステップ入力に対して定常偏差なく目標値に
追従する能力を持つ。さらに積分器を1個追加した2形
のサーボ系は、ランプ入力に対して定常偏差なく目標値
に追従できる。この原理を、XYステージのステップア
ンドリピート駆動によって発生するオフセット抑制のた
めに適用する。本発明の実施例1では、並進や回転とい
った運動モードに基づいて制御ループが構成されてお
り、位置偏差信号にオフセットが発生する特定の運動モ
ードの位置ループに対してのみPI2 補償器を挿入して
いる。したがって、安定性に多大の影響を与えることな
く、しかも問題としているオフセットを除去するように
作用する。本発明の好ましい実施例では、全運動モード
の位置ループにPI2 補償器を挿入するが、安定性を確
保すべく位相進み補償等に代表される位相回復手段を同
時に補償器として組み込むので、安定化を図りつつしか
も位置偏差信号のオフセットを除去するように作用す
る。
【0037】本発明の第2の局面では、除振台と、除振
台に駆動力を付与する空気バネアクチュエータと、除振
台の振動を検出する振動検出手段と、除振台の位置を検
出する位置検出手段と、振動検出手段の出力によってダ
ンピングを与える加速度フィードバックループと、位置
検出手段の出力から位置偏差信号を生成して補償を掛け
る位置ループとを有する能動的除振装置であって、除振
台を位置決めする平衡位置と等価な電圧を印加する目標
電圧入力端子に除振台に搭載するXYステージのステッ
プアンドリピート駆動によって生じるオフセットを修正
する補正電圧のパターンを重畳している。
【0038】この第2の局面では、ステップアンドリピ
ート駆動で発生する位置偏差信号のオフセットの様子が
特徴的であることを利用している。連続するバンバン状
のステップ駆動の極性が反転するごとに、概ね一定なオ
フセットの極性も反転する。そこでステップ駆動の極性
反転を周期とする一定電圧の補正電圧を、除振台を位置
決めする目標電圧に重畳させている。したがって、補正
分圧の印加により、オフセットをキャンセルするように
作用する。
【0039】前記第2の目的を達成するため本発明の第
3の局面では、除振台、該除振台を支持する空気バネと
前記空気バネの圧力を調整するサーボバルブと前記除振
台の位置を検出する位置センサと前記除振台の振動を検
出する振動センサと前記除振台に予圧を付与する予圧手
段と前記除振台に働く粘性要素とからなる空気バネ式支
持脚、および前記位置センサの出力を電気信号に変換す
る変位増幅器と目標位置を指定する目標電圧設定手段と
前記変位増幅器の出力と前記目標電圧設定手段の出力と
を比較する比較回路と前記比較回路の出力信号に対して
補償を施す補償器と前記振動センサの出力を電気信号に
変換し且つ適切なフィルタリングを行なうフィルタと前
記補償器の出力と前記フィルタの出力とを加算した信号
に基づいて前記サーボバルブを駆動する電圧電流変換器
とからなるフィードバック装置を具備している。そし
て、目標電圧設定手段で定められる目標位置の手前の位
置を指定するいき値設定手段と変位増幅器の出力信号と
を入力とするヒステリシスコンパレータとを備え、前記
補償器はヒステリシスコンパレータの出力に応動してP
補償器とPI補償器とに切り換えられる可変補償器であ
ることを特徴とする。
【0040】本発明の第4の局面では、前記いき値設定
手段の代わりに、前記目標電圧設定手段によって定めら
れる目標位置の前後にいき値を設定する上限いき値設定
手段と下限いき値設定手段とを設け、前記ヒステリシス
コンパレータの代わりに、これらのいき値設定手段によ
って前記変位増幅器の出力範囲を判定するウインドコン
パレータを設け、このウインドコンパレータの出力で前
記可変補償器を切り換えるようにしている。
【0041】極低周波域を除き概ね積分特性を有する空
気バネに対して、フィードバックループ内にPI補償器
を持つ位置制御を掛けると、オーバシュートが発生する
しかつ緩慢な応答しか得られない。そこで、除振台の設
定位置から目標位置の近傍手前まではP補償器による高
速な位置決めを行ない、その後はPI補償器へ切り替え
ることによってオーバシュートを抑制した上で目標位置
に定常偏差なく位置決めされるように作用する。すなわ
ち、総合的にはオーバシュートなくかつ位置決め時間が
短縮された位置決めが行なわれるように作用する。同様
に、外乱によって目標位置を挟むバンド外に除振台の現
在位置が推移したときには、P補償器によって目標位置
近傍への急速な復帰を図り、目標位置を挟んだバンド内
に現在位置が入ったときにはPI補償器に切り替えられ
るので定常偏差なく除振台の目標位置への収束が行なわ
れるように作用する。
【0042】上記第3の目的を達成するため、本発明の
第5の局面では、目標値フィードフォワード補償器を新
たに設け、この目標値フィードフォワード補償器を介し
て位置に関するフィードフォワード信号を能動的除振装
置におけるフィードバック装置に注入し、以って位置決
めの応答性を高めている。
【0043】この第5の局面における好ましい実施例に
おいては、除振台の平衡位置を指定する平衡位置目標電
圧の入力端子と、PI補償器の後段にすなわちアクチュ
エータを駆動する電圧電流変換器の前段に設けた加算端
子とにそれぞれフィードフォワードパスを設ける。両者
のフィードフォワードパスの前段には望みの応答を指定
する参照モデルを配置する。
【0044】より具体的には、除振台は、変位を計測す
る位置センサと、振動を検出する振動センサと、駆動力
を与える空気バネを備えた複数個の空気バネ式支持脚に
よって支持されている。各空気バネ式支持脚は加速度フ
ィードバックと位置フィードバックとからなるフィード
バック装置を具備しており、新たに設けた目標値フィー
ドフォワード補償器を介して位置の目標値をフィードバ
ック装置内に注入する。
【0045】ここで、目標値フィードフォワード補償器
は、望ましい応答を示す参照モデルと、この出力を入力
としてフィードバック装置内の平衡位置目標電圧の印加
端子に加算する第1のフィードフォワードパスと、参照
モデルの出力を入力としてフィードバック装置内のPI
補償器後段、すなわち空気バネに駆動力を発生させる電
圧電流変換器の前段に加算する第2のフィードフォワー
ドパスとからなる。さらに、第1および第2のフィード
フォワードパスの伝達関数は、系全体の目標値応答が参
照モデルKm (s)そのものの応答になるように決定す
ることができる。すなわち、第1のフィードフォワード
パスNp (s)の伝達関数は1であり、第2のフィード
フォワードパスDp (s)の伝達関数は加速度フィード
バックを含めた制御対象の伝達関数の分母多項式であ
る。参照モデルKm (s)の伝達関数は、一個の実根と
複素根とからなり且つ負の実根が互いに等しい3次遅れ
系であることが望ましい。
【0046】能動的除振装置の閉ループとしての応答性
は鈍い。本局面によれば、位置決めの加算目標電圧rad
は参照モデルKm (s)と第1のフィードフォワードパ
スNp (s)とを介して位置に関する平衡位置目標電圧
の入力端子に、また参照モデルKm (s)と第2のフィ
ードフォワードパスDp (s)とを介して空気バネのア
クチュエータを駆動する電圧電流変換器の前段にそれぞ
れフィードフォワードしている。加算目標電圧radが参
照モデルと第2のフィードフォワードパスを介して従来
のフィードバック装置に注入されることによって、高域
での応答性を補うように作用する。一方、加算目標電圧
adを参照モデルと第1のフィードフォワードパスを介
して従来のフィードバック装置における平衡位置目標電
圧の入力端子にフィードフォワードすることによって、
指定したradに追従するように動作する。
【0047】上記第4の目的を達成するため、本発明の
第6の局面に係る能動的除振装置は、除振台と、それを
受動的に支持する予圧手段および粘性要素と、除振台に
駆動力を付勢するためのアクチュエータと、除振台の振
動を検出する振動センサと、除振台の姿勢を検出する2
次元光位置検出手段と、振動センサの出力をフィルタリ
ングする適切な時定数を持つフィルタと、2次元光位置
検出手段の出力を電気信号に変換するための電気信号変
換手段と、その電気信号変換手段の出力を補償するPI
補償器と、フィルタとPI補償器の出力とを加算して前
記アクチュエータを駆動する電力増幅器とを具備する。
【0048】この第6の局面に係る好ましい実施例にお
いて、前記2次元光位置検出手段は、発光素子と4分割
フォトダイオードの対であることを特徴とする。あるい
は、2次元光位置検出手段は、発光素子とPSDの対で
あっても構わない。また、上述の2次元光位置検出手段
の出力を電気信号として取り出すために、電流電圧変換
部と演算部とを有し、さらにその電気信号のノイズ耐性
を向上させるために、発光素子は発振器で駆動される発
光素子駆動回路によって駆動され、その同一の発振器の
出力と演算部の電気出力とを乗算する乗算器およびその
乗算器の出力に対してフィルタリングを施すためのロー
パスフィルタを具備してなる電気信号変換手段によって
同期検波される。
【0049】4分割フォトダイオード受光面における光
スポット照射位置の変化を捉えることにより、2次元位
置センサとして機能させることができる。従来の能動的
除振装置における支持脚には鉛直および水平方向に各1
個の位置センサと加速度センサを備えていたが、発光素
子と4分割フォトダイオードの一対で構成する2次元位
置センサで、支持脚内に装備していた位置センサ2個と
置き換えができる。また、従来の位置センサは円柱状で
その物理寸法も大であったが、2次元位置センサはその
形状が偏平であり、剛な取り付けができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0051】図23(A)の実測結果および同図
(B),(C)の数値実験結果を参照して明らかなよう
に、ステップアンドリピート中の位置偏差信号を観察す
ると、ステップ駆動に起因する過渡現象波形と、その連
続駆動および移動荷重に原因したシフトが重畳したもの
になっている。実施例1では、後者の現象を位置フィー
ドバックの補償器を変えることによって抑制する装置構
成を与える。
【0052】実施例1 図1に本発明の第1の実施例に係る空気バネ式能動的除
振装置の構成を示す。図1の装置では、ステップアンド
リピート駆動を受けたとき、オフセットが生じやすい運
動モードを選択し、この運動モード偏差信号の補償を行
なう補償器を従来のPI補償器からPI2 補償器に変更
している。ここで、PI補償器のPは比例を、Iは積分
動作をそれぞれ意味することは周知のことであり、一般
的に次式の伝達関数を持つ補償器である。
【0053】
【数2】 ただし、k1 は比例ゲイン、k2 は積分ゲインである。
【0054】また、ここでPI2 と呼称する補償器は次
式のように(1)式に対して積分器を1個追加した伝達
関数を持つ補償器である。
【0055】
【数3】 実験事実によれば、オフセットは、特にX軸およびY軸
回りの回転の運動モード偏差信号に重畳する。その理由
は、ステップアンドリピート駆動時には除振台1上のX
Yステージ12の位置決め場所が逐次移動するので、こ
れが除振台1を傾かせるよう支配的に作用するからであ
る。
【0056】以下、図1を参照しながら動作説明をす
る。まず、位置検出手段3a〜dの出力は変位増幅器8
a〜dによって電気信号に変換され、比較器9a〜dへ
の入力となっている。目標電圧入力端子10a〜dに加
える電圧と変位増幅器8a〜dの出力とを比較して位置
偏差信号(ea ,eb ,ec ,ed )を得る。次いで、
これら位置偏差信号は除振台1の並進や回転といった運
動モードを表わす運動モード偏差信号(Sz ,Sθx
Sθy )を抽出する運動モード抽出手段22に導かれ
る。ここで、Sz はZ軸方向の並進運動を、Sθx はX
軸回りの回転運動を、Sθy はY軸回りの回転運動を示
す運動モード偏差信号である。運動モード偏差信号(S
z ,Sθx ,Sθy )は位置ループに対する安定化補償
器23に入力されている。より具体的には、Sz に対し
てはPI補償器24Zが、Sθx とSθy に対してはP
2 補償器24X,24Yが準備されており、補償信号
(Cz,Cθx ,Cθy )を生成している。一方、振動
検出手段4a〜dの出力である電気信号は、加速度に関
する運動モード信号を抽出する運動モード抽出手段25
に導かれ(az ,aθx ,aθy )を演算出力する。こ
こで、az はZ軸方向の並進を、aθx はX軸回りの回
転を、aθx はY軸回りの回転を示す加速度に関するそ
れぞれの運動モード信号である。(az ,aθx ,aθ
y )はゲインとフィルタリング機能を併せ持つゲイン補
償器26Z,26X,26Yに導かれ、運動モード別の
負帰還信号(Az ,Aθx ,Aθy )を生成する。(A
z ,Aθx,Aθy )は補償信号(Cz ,Cθx ,Cθy
)と合成され運動モード別の駆動信号Dz ,Dθx
Dθy )となる。(Dz ,Dθx ,Dθy )は、空間的
に配置された各空気バネ式支持脚内の空気バネアクチュ
エータ2a〜dのドライブ信号を生成する運動モード分
配手段27への入力となり、運動モード分配手段27の
出力は電圧電流変換器7a〜dを介して空気バネアクチ
ュエータ2a〜dに印加される。
【0057】さて、空気バネ式能動的除振装置に対して
は、除振と制振の両性能を満たすパラメータ調整がなさ
れている。位置フィードバックループの補償器をPIか
らPI2 へ単純に変更することは従来のパラメータ調整
状態を崩す。何故ならば、制御ループに積分器を1個追
加という単純な行為ではあるが、その安定性に及ぼす影
響は大きいからである。すなわち、運動モード別のフィ
ードバックループを有する図1の能動的除振装置におい
て、運動モードに対する位置の補償器全部をPIからP
2 へと置換することは、従来装置での除振制振性能を
対象にしたパラメータ調整の状態を崩すので再調整の必
要がある。しかし、ステップアンドリピート駆動におい
て位置偏差信号にオフセットが生じる運動モードは、X
軸回りおよびY軸回りの回転運動モードのみであり、Z
軸方向の並進運動にはほとんど生じていない。したがっ
て、本実施例のようにPI補償器からPI2 補償器への
変更は問題とするオフセットが生じている運動モードに
のみ挿入することでパラメータ再調整は軽微となる。あ
るいは、選択的にPI2 補償器を挿入したので、従来の
パラメータ調整における性能からのずれは僅少であり、
ほとんど無調整で済ますこともできる。
【0058】実施例1の有効性を示す数値実験は図2に
与える。同図(A)はステップアンドリピート駆動信号
を、(B)は位置偏差信号をそれぞれ示す。(B)の中
で、一点鎖線は、補償器24X,24YをPI補償器と
した場合の応答を、実線は従来のPI補償器に代えPI
2 補償器を使用した場合の応答をそれぞれ示す。連続す
る5回のバンバン状波形によるステップ駆動の後に、極
性が反転したステップ駆動が5回入力する。後者の駆動
で、すなわちステップアンドリピートの駆動が進行する
にしたがって位置偏差信号のオフセットが除去されてバ
イポーラな信号に漸近することが分かる。したがって、
これが回転運動モードの位置偏差信号である場合、ステ
ップアンドリピート駆動の進行に応じて本体装置の傾き
が修正されて平衡位置に漸近することが分かる。したが
って、これが回転運動モードの位置偏差信号である場
合、ステップアンドリピート駆動の進行に応じて本体装
置の傾きが修正されて平衡位置に漸近することを示すの
である。
【0059】実施例2 図1の装置では、X軸およびY軸回りの運動モード偏差
信号に対してのみPI2 補償器を使用した。勿論、Z軸
並進運動に対してもPI2 補償器を使用し、結局のとこ
ろ全運動モードに対してPI補償器に代えてPI2 補償
器を使用することも本発明の範囲に属する。また、図1
では位置および加速度の信号は並進や回転といった運動
モードに基づいて制御ループが構成されているが、一般
的である各軸独立の制御ループを持つ従来の空気バネ式
能動的除振装置に対し、PI補償器に代えてPI2 補償
器を使用することも本発明の範囲に属する。この各軸独
立の制御ループを持つ装置構成は図3に示す。図21の
PI補償器11a〜dは、図3の安定化補償器23に置
換されており、その中身はPI2 補償器23a〜dであ
る。
【0060】なお、PI補償器に積分器を1個追加して
PI2 補償器とした場合、安定性確保のため必要に応じ
位相進み補償などの位相回復手段をPI2 補償器の中に
同時に組み込むことは妨げられない。
【0061】実施例3 実施例3は、駆動パターンの時系列が極性反転する周期
で概ね一定なオフセットの極性も反転することに注目し
たものであり、目標電圧入力端子10a〜dに加える電
圧を操作した装置構成を与える。すなわち、除振台1を
所望の位置に位置決めする目標の電圧に、ステップアン
ドリピート駆動中に発生する位置偏差信号のオフセット
を修正するための補正電圧を重畳する。例えば、Yステ
ージ16がY軸方向にステップアンドリピートする場合
を考える。図4を参照して紙面手前側に連続ステップ駆
動がなされたとき、除振台1にX軸回りの回転が生じ
る。位置検出手段3aと3bは除振台1の接近(沈み込
み)を、3cと3dはその逆(浮き)を検出する。しか
も、バンバン状のステップ駆動が連続する期間の低周波
成分としての回転量は概ね一定なので、空気バネアクチ
ュエータ2a,2bにはより大きな駆動力を付与し、逆
に空気バネアクチュエータ3c,3dの駆動力は抜く操
作を行なえば、位置偏差信号のオフセットがキャンセル
できるのである。
【0062】より具体的に、図4を参照しながら説明す
る。図中、先に説明した他の図と同一符号をつけた箇所
の説明は省略する。図4において、28はXYステージ
12のY軸方向の位置計測用のレーザ干渉計であり、出
射する光線をY軸計測用のバーミラ21Yに当てYステ
ージ16の移動量が計測される。この信号は位置検出手
段29を通って位置信号となり、Yステージ16への位
置目標端子30の値と比較して位置偏差信号となる。位
置偏差信号は、PID補償器に代表される補償器31に
導かれ、その出力信号でYステージ16を位置決め駆動
するリニアモータの固定子19YR,19YLに電流を
通電する電力アンプ32をドライブする。Xステージ1
3に対する制御系もYステージ16に対する上述した制
御系と同様の構成である。さて、位置目標端子30に印
加するYステージ16へのステップアンドリピート指令
はプロファイラ33から供給されている。このステップ
アンドリピートの駆動パターン34は予め既知であるこ
とに注意したい。本実施例では既知の駆動パターン34
から、バンバン状のステップ駆動が連続する期間を半周
期とする補正電圧のパターン35を生成している。補正
電圧のパターン35は分配器36に導かれ、その出力は
目標電圧設定手段37a〜dの電圧を印加する目標電圧
入力端子10a〜dに加算されている。分配器36では
各軸にとって適切な振幅と極性を有する補正電圧を生成
している。
【0063】上述したように、除振台1に対するXYス
テージ12の駆動方向によって、空気バネ式能動的除振
装置における位置偏差信号に重畳するオフセットの極性
は一意に定まり、その大きさもほぼ一定している。そこ
で、極性同一のバンバン状のステップ駆動信号の時系列
が入力されている期間だけ目標電圧入力端子10a〜d
に、除振台1を所望位置に位置決めする目標電圧の他
に、オフセットを除去するに足る一定電圧の補正電圧を
重畳することにしたのである。なお、実施例3の場合、
安定化補償器23は必ずしもPI2 補償器である必要は
なく、従来通りPI補償器でよい。
【0064】実施例3の有効性を示す数値実験を図5に
与える。図中、(A)はステップアンドリピート駆動信
号を、(B)は補正電圧とその印加タイミングを、
(C)は補正電圧の有無による位置偏差信号を示す。
(C)の中で一点鎖線は補正電圧なしの場合を、実線は
目標電圧入力端子10a〜dに補正電圧を重畳した場合
の応答を示す。補正電圧の印加により、位置偏差信号の
大きなうねりが平坦化されていることが分かる。すなわ
ち、この位置偏差信号が除振台1の回転運動のものであ
る場合、傾斜に偏りを発生させることなく、常に目標電
圧で指定した平衡姿勢の周りに除振台を位置させること
ができているのである。
【0065】実施例4 図6に本発明の第4の実施例に係る空気バネ式防振装置
の構成を示す。図中、図24のものと同一の要素には同
一番号を付け、図24に対比して新規な要素のみ説明す
る。図6において、46はPI補償器からP補償器へま
たその逆の切り替えが可能な可変補償器、47はいき値
設定手段48で設定した電圧を基準にして電子スイッチ
49の開閉を司る制御信号CNTを発生するヒステリシ
スコンパレータであり、従来のフィードバック装置50
の構成要素と併せてフィードバック装置50Aを構成し
ている。
【0066】まず、可変補償器46の入出力特性を明ら
かにしておく。図中記載の記号を使って、CNTによっ
て制御される電子スイッチ49がオフの場合、次式のよ
うにPI補償器となる。
【0067】
【数4】 また、CNTによって制御される電子スイッチ49がオ
ンの場合、次式のようにP補償器となる。
【0068】
【数5】 ここで、電子スイッチ49の開閉はヒステリシスコンパ
レータ47によって制御されている。ヒステリシスコン
パレータ47への入力は、変位増幅器8の出力電圧とい
き値設定手段48が設定する電圧の両者である。立ち上
げ初期位置から目標電圧設定手段10で決められる最終
目標位置の手前であっていき値設定手段48が定める目
標位置までの区間内に変位増幅器8の出力信号が存在す
る場合には電子スイッチ49をオンしてP補償器とな
し、それ以外の領域に変位増幅器8の出力が存在する場
合には電子スイッチ49をオフしてPI補償器となすよ
うに動作させる。
【0069】上述の構成によれば、除振台1の設置面か
ら最終の目標位置手前まではP補償器によって位置制御
系が動作し、そこから最終目標位置まではPI補償器に
よって位置制御系が動作する。つまり、除振台の設置面
から最終の目標位置手前までは急速に除振台を立ち上
げ、目標位置近傍ではPI補償器が動作して定常偏差を
零にするのである。
【0070】本発明の有効性を示す数値実験結果は図7
に示す。図中の一点鎖線は図24に示す従来の制御構成
のとき、実線は本実施例において立ち上がり時間を短縮
するパラメータ設定を行なったときの応答波形を示す。
本実施例によればオーバシュートのピーク値がほぼ不変
で立ち上がり時間のみ速い応答にすることができる。次
に、本発明の有効性を示す第2の数値実験結果を図8に
与える。図中の一点鎖線は図24の制御構成のとき、実
線は本実施例において立ち上がり時間の短縮を図るとと
もにピーク値を抑制するパラメータ設定を行なったとき
の応答波形をそれぞれ示す。本実施例によればオーバシ
ュートのピーク量を従来に比べて抑制し、同時に立ち上
がり時間も速くできている。オーバシュート量の抑制は
除振台1に搭載される不図示の構造物に対して求められ
る性能確保の観点からあるいは機械的な衝突回避のため
に重要である。その場合、最大変位量が規定されている
場合が多くそれ以下に変位を抑制した除振台の位置決め
ができる、という効果がある。
【0071】実施例5 図6では、除振台の立ち上がり特性を改善するために、
すなわち高速な位置決めのために立ち上げの初期位置か
ら最終目標位置の手前に設けたいき値までの区間は電子
スイッチ49をオンして可変補償器46をP補償器とし
て動作させた。それ以外の区間は可変補償器46をPI
補償器として動作させ定常偏差なく最終の目標位置への
収束を図った。
【0072】しかしながら、外乱入力に対する速応性も
向上させるべく、目標位置を挟み上限と下限の範囲内に
位置検出信号が入った場合には可変補償器46をPI補
償器として作用させ、それ以外の領域に位置検出信号が
存在する場合には可変補償器46をP補償器として動作
させることも考えられる。目標位置近傍では定常偏差を
零にもっていく作用を重視し、それ以外に位置信号が存
在するときには速応性を重視する、という立場のフィー
ドバックである。そこで、この実施例5の防振装置は図
9のように構成した。同図において、51は上限いき値
設定手段、52は下限いき値設定手段、53はウインド
コンパレータである。いき値設定手段51と52とで決
められる範囲内に変位増幅器8の出力が存在する場合、
ウインドコンパレータ53の出力は電子スイッチ49を
オフとなすように動作し、その範囲外に変位増幅器8の
出力が存在する場合、電子スイッチ49をオンするよう
に動作しており、従来のフィードバック装置50の構成
要素と併せてフィードバック装置50Bを構成してい
る。
【0073】なお、簡便な説明のために、図6および図
9における空気バネ式支持脚5は鉛直方向1軸について
図示した。しかし、水平方向に対しても同様の装置構成
になる。また、空気バネ式支持脚5を鉛直および水平方
向に複数個配置し、各除振台の上に平板状の定盤などを
設置してなる装置構成も本発明の範囲に属することは言
うまでもない。また、図6および図9の実施例ではアナ
ログ演算回路で制御系を実現しているが、この内の一部
もしくは全部を電子計算機のようなディジタル演算装置
で置き換えても構わない。
【0074】実施例6 図10は本発明の第6の実施例に係る能動的除振装置の
構成を示す。図24に示す従来の能動的除振装置に対し
て新規に目標値フィードフォワード補償器を備えている
ことが特徴である。
【0075】図10において、66は位置に関する平衡
位置目標電圧ro の入力端子に加算するよう接続した第
1のフィードフォワードパス、67は電圧電流変換器7
の前段に加算するよう接続した第2のフィードフォワー
ドパス、68は第1および第2フィードフォワードパス
の両者に接続されており加算目標値radを入力とする参
照モデルであり、66〜68を以って目標値フィードフ
ォワード補償器69を構成している。ここで、平衡位置
目標電圧ro は文字通り除振台1が動作すべき平衡位置
を指定する電圧であり、加算目標電圧radはro で指定
した平衡位置の周りに除振台1を位置決めするための指
令電圧である。
【0076】まず、能動的除振装置の位置決め閉ループ
のブロック線図を参照しながら本発明の原理を順を追っ
て説明する。予め記号の定義をしておく。以下におい
て、M:除振台の質量[kg]、C:粘性摩擦係数[N
・sec/m]、K:バネ定数[N/m]、kair :電
圧電流変換器7の入力からサーボバルブを介して空気バ
ネ2が発生する力までの積分特性としての変換ゲイン
[N/V・sec]、ka:加速度フィードバックゲイ
ン[V・sec2 /m]、ks :位置検出ゲイン[V/
m]、kp :PI補償器の位置ゲイン[−]、ki :P
I補償器の積分ゲイン[1/sec]、x:除振台の変
位[m]、ro :平衡位置目標電圧[V]、Np
(s):第1のフィードフォワードパスの伝達関数
[−]、Dp (s):第2のフィードフォワードパスの
伝達関数[−]、Km (s):参照モデルの伝達関数
[−]、rad:加算目標電圧[V]、s:ラプラス演算
子である。
【0077】図11(A)は図10に示す空気バネ式能
動的除振装置の1軸の制御ブロック図である。サーボバ
ルブ1を駆動する電圧電流変換器7の入力から除振台1
の変位xまでの伝達関数G(s)は(6)式のようにな
る。
【0078】
【数6】 既に説明したように、加速度フィードバックの物理的意
味は、制御対象にダンピングを付与することにある。簡
単な計算から、加速度フィードバックを含む制御対象の
伝達関数Gp'(s)、すなわち図11(A)で破線で囲
む部位の伝達関数は(7)式となり、図11(B)を得
る。
【0079】
【数7】 さて、本発明では、平衡位置目標電圧ro の入力端子お
よびPI補償器後段にフィードフォワード信号を注入す
る。より具体的には、図12に示す如くro の入力端子
には第1のフィードフォワードパスNp (s)の出力
が、PI補償器後段には第2のフィードフォワードパス
p (s)の出力が加算されており、Np(s)とDp
(s)は共に加算目標電圧radを入力とする参照モデル
m (s)の出力が接続されている。このとき、rad
らxまでの関係は簡単な計算から次式のように求められ
る。
【0080】
【数8】 ただし、PI補償器11の伝達関数を(9)式とおい
た。
【0081】
【数9】 このときDp(s)とN(s)をそれぞれ(10)式
と(11)式のように選ぶ。
【数10】 すると、radからxまでの伝達関数は次式となる。
【0082】
【数11】 すなわち、ks は位置検出ゲインであることに注意し
て、radからの応答は参照モデルの伝達関数Km (s)
によって指定できることが分かる。ここで、Km(s)
の望ましい一つの形は一個の実根と一対の複素根からな
る3次遅れ系である。応答にオーバシュートが発生しな
い極配置は図13のようになる。図中×印は極の位置を
示す。図示のように、負実根3個を等しく配置するとオ
ーバシュートは発生しない。図示の記号を使って、この
ときの伝達関数は(13)式のようになる。
【0083】
【数12】 なお、目標値フィードフォワード補償器69の実現に当
たっては、参照モデルKm (s)68を第1のフィード
フォワードパスNp (s)66と第2のフィードフォワ
ードパスDp (s)67の中に繰込む。すなわち、実用
的にはNp (s)Km (s)で第1のフィードフォワー
ドパスを、Dp (s)Km (s)で第2のフィードフォ
ワードパスを実現する。
【0084】本実施例の有効性を示す数値実験結果を図
14に与える。図中、一点鎖線は目標値フィードフォワ
ード補償器69を備えておらず、ro にステップ状の目
標値を印加した場合の応答を、実線は目標値フィードフ
ォワード補償器69を備えてradから同じ目標値を印加
した場合の応答を示す。応答曲線の比較から、目標値フ
ィードフォワード補償器69を挿入した方が素早い応答
を呈していることがわかる。しかも、その応答にはオー
バシュートが発生していない。これは、本発明者がオー
バシュート無しの応答を得るべく負の実根がすべて同一
である3次遅れ特性の参照モデルKm (s)を指定した
からに他ならない。
【0085】図15は、目標値フィードフォワード補償
器69を挿入した場合であって、サーボバルブ1の飽和
を招いてしまったときのステップ応答(実線)である。
しかし、同補償器無しの場合の応答(一点鎖線)は、目
標値は同一であるがサーボバルブ1の飽和がない。目標
値フィードフォワード補償器69を挿入した場合にサー
ボバルブの飽和を招く理由は、(10)と(12)式か
ら明らかなようにDp(s)・Km (s)の伝達関数が
微分性のためである。同図より、サーボバルブの飽和を
招く場合には、もちろん参照モデルKm (s)で指定し
たオーバシュート無しの応答を実現することはできな
い。事実、大きなオーバシュートの発生を招いてしまっ
ている。しかし、目標値フィードフォワード補償器69
を備えてradを入力した方が、それが無い場合に比して
応答の振幅は抑制され、しかも整定性は改善されてい
る。つまり、本実施例による目標値フィードフォワード
補償器69の挿入による有効性は否定されないのであ
る。
【0086】実施例7 本実施例の詳細な説明の前にフォトダイオードによる位
置検出原理を説明する。簡単のために、2分割フォトダ
イオードの場合とする。図16は2分割フォトダイオー
ドを用いた位置センサとしての検出原理図である。同図
において、73は2分割フォトダイオード、A,Bは受
光領域、74は光スポットである。また、演算増幅器で
構成する回路網の中で、75で指し示す部位は受光領域
A,Bに流れる電流を電圧出力へと変換する電流電圧変
換部、76は演算部である。ここで演算部76の出力
(A−B)は光スポットのy軸方向への移動量を、出力
(A+B)は2分割フォトダイオード73に入射する全
光量を演算したものである。図示の場合、2分割線に対
して左側に光スポット74が位置しており、出力(A−
B)は正となる。明らかなように、丁度分割線上に光ス
ポット74が位置すると出力(A−B)は零で、分割線
より右側に光スポット74が位置すると出力(A−B)
は負になる。つまり、1次元y軸方向の位置センサとし
て機能する。なお、77は2分割フォトダイオード73
に対するホルダであり、その四隅には取り付け用のネジ
穴が設けられている。
【0087】次に,4分割フォトダイオードを考える。
同フォトダイオード78を用いた位置センサとしての原
理図を図17に与える。検出動作は図16と同様であ
る。4分割フォトダイオード78の場合には出力{(a
+b)−(c+d)}はz軸方向、出力{(a+d)−
(b+c)}はy軸方向の光スポット74の位置を検出
する。すなわち、yz平面内の2次元位置センサとして
機能する。また、4分割フォトダイオード78の受光面
に入射する全光量は出力(a+b+c+d)で監視でき
る。全光量変化の原因としては、(1)発光素子の寿命
等によるパワー低下、(2)異物等の光路への進入、
(3)発光、受光素子の相対的な姿勢変化、が考えられ
る。何れの原因であっても、2次元位置センサの自己診
断に有効な信号として利用できる。上述の説明より、4
分割フォトダイオード78と光スポット74を発生する
不図示の発光素子を各1個備えた1対で2次元光位置検
出手段として機能することがわかった。
【0088】本実施例では、上述した2次元光位置検出
手段を能動的除振装置に使用する。同手段を能動的除振
装置に適用する利点は次のようにまとめられる。図17
のように、受光素子である4分割フォトダイオード78
は偏平な形状であって、位置検出が必要な部位への剛な
取り付けが可能である。つまり、取り付け剛性の不足に
原因した機械振動が発生しにくい構造が採用できる。図
28〜30の従来例について述べたように、センサの取
り付けに起因した振動は、能動的除振装置のフィードバ
ックループ中へ当然の如く進入してくる。その結果、閉
ループ系の周波数特性を可調整範囲内で任意に成形する
ことを困難にし、除振・制振特性の向上を妨げる。しか
し、本実施例によれば形状偏平な2次元光位置検出手段
を剛に装着できるので局所振動の発生は皆無となる。ま
た、4分割フォトダイオード78の出力{(a+b)−
(c+d)}と{(a+d)−(b+c)}は、光スポ
ットが受光面平衡点に位置するとゼロになる。もちろ
ん、除振台の浮上平衡位置でこれらの出力信号が零とな
るように受光面あるいは発光素子の位置を機械調整でき
る。このとき、制御ループはゼロリファレンスの構造と
なり、従来の装置において安定な定電圧源を必要とする
目標電圧設定手段10は不要となる。すなわち、回路構
成が簡便になる。
【0089】以上の説明を背景に、本発明の第7の実施
例に係る能動的除振装置の構成を図18に示す。同図に
おいて、支持脚外筒79の表面には形状偏平な4分割フ
ォトダイオード78が剛に装着されている。また、支持
脚の固定側には発光素子80を備え、光スポットを4分
割フォトダイオード78の受光面に照射している。75
と76は既に説明したように、電流電圧変換部と演算部
である。演算部76では支持脚外筒79の鉛直方向変位
と、紙面に垂直な方向の変位と、4分割フォトダイオー
ド78の受光面に入射する全光量の3種の信号を出力し
ている。さらに電気信号のノイズ耐性を向上させるため
に、発光素子80は発振器88で駆動された発光素子駆
動回路89によって駆動され、発振器88の出力と演算
部76の電気出力とを乗算する乗算器90およびその出
力に対してフィルタリングを施すためのローパスフィル
タ91を具備して同期検波されている。結局、電流電圧
変換部75、演算部76、発振器88、発光素子駆動回
路89、乗算器90とで電気信号変換手段を構成してい
る。
【0090】さて、出力(a+b)−(c+d)は鉛直
方向の変位であり、この出力が乗算器90とローパスフ
ィルタ89を通った信号はPI補償器11Vに導かれ、
不図示の振動センサの出力信号をフィルタ6Vに導いて
得られる負帰還信号とPI補償器11Vの出力信号とを
加算して駆動信号となし、電力増幅器7Vを励磁してサ
ーボバルブ41Vを駆動している。最終的に、鉛直方向
の空気バネ2Vの内圧が調整されて位置を制御する。同
様に、出力(a+d)−(b+c)は水平方向の変位で
あり、この出力が乗算器90とローパスフィルタ89を
通った信号はPI補償器11Hに導かれ、不図示の振動
センサの出力信号をフィルタ6Hに導いて得られる負帰
還信号とPI補償器11Hの出力信号とを加算して駆動
信号となし、電力増幅器7Hを励磁してサーボバルブ4
1Hを駆動している。最終的に、水平方向の空気バネ2
Hの内圧を調整して位置を制御する。なお、出力(a+
b+c+d)は受光面に入射する全光量であり、乗算器
90とローパスフィルタ89を通った信号は不図示のシ
ステム制御装置への入力となる。既に記述したように、
全光量の低下は、受光素子80自身の光量低下の他に支
持脚の異常な姿勢変化が起こったときに発生する。した
がって、全光量を監視し基準値に対する低下を感知する
ことによって支持脚の位置制御を中止する等の判断信号
として使用する。
【0091】実施例8 発光および受光素子に対しては初期機械調整や保守が容
易なような電気配線が求められる。図18の場合、発光
素子80と4分割フォトダイオード78あるいはPSD
の受光素子の対からなる2次元光位置検出手段は、共に
対向するよう配置されている。しかし、初期機械調整や
電気的保守を容易になすべくミラー等を備え光線を折り
曲げることでも2次元位置検出は可能である。そこで、
本発明の第8の実施例を図19に与える。同図では、発
光素子80から出射した光線86を支持脚外筒79の裏
面に装着した折り曲げミラー87によって受光素子の一
つである4分割フォトダイオード78に導く。支持脚外
筒79が被支持構造物81とともに鉛直方向にLだけ移
動した場合、折り曲げミラー37も共に鉛直方向に移動
し、光線86が4分割フォトダイオード78に達する位
置も鉛直方向へシフトする。また、支持脚外筒79が紙
面に垂直な方向に移動した場合、折り曲げミラー87の
反射面も紙面垂直方向に伸びているので、同方向のシフ
トを検出できる。
【0092】なお、4分割フォトダイオード78の他に
2次元の位置検出デバイスとしてPSD(Positi
on Sensitive Device)センサが知
られている。1次元PSDでその動作原理を説明する。
図20は1次元PSDの模式的な断面構造を示す。同素
子は高抵抗半導体基板82とその表面に形成したp層8
3とn層84とからなる均一な抵抗層から構成される。
表面のpn接合は光電効果を持つ。図20を参照して、
入射光85がPSDの中心から距離xの位置に当てられ
たとする。照射位置から電極IL,IRに流れる電流i
a ,ib はLとXを使って次のような関係にある。
【0093】
【数13】 容易に、距離Xは次式のように表現できる。
【0094】
【数14】 したがって、電流ia ,ib を計測して上式の演算を行
なうことによって距離Xが算出できる。2次元PSDの
場合も検出原理は1次元PSDと同様である。受光面内
で直交する位置に電極を備え各1対の電極で(15)式
の演算を行なうことにより平面の2次元位置が検出でき
る。したがって、図18あるいは図19における4分割
フォトダイオード78をPSDに置き換えると、容易に
空気バネ式支持脚5として機能させることができる。ま
た、実施例7および8では空気バネをアクチュエータと
する能動的除振装置における空気バネ支持脚5を対象に
し、そこに2次元光位置検出手段を適用する場合の例を
示した。しかし、アクチュエータは空気バネに限定され
るものではなく、電磁アクチュエータや圧電素子などで
も構わないことは言うまでもない。
【0095】
【発明の効果】本発明の第1および第2の局面によれば
以下の効果がもたらされる。 (1)空気バネ式支持脚に対する制御ループの骨格を変
えずに位置ループの補償をPI2 補償器に置換するだけ
で、ステップアンドリピート駆動による位置偏差信号に
発生するオフセット成分を除去することができる。した
がって、除振台を含めた本体装置に無用の歪を与えるこ
とがない、という効果がある。しかも、コストアップは
招かない。 (2)ステップアンドリピート駆動に原因した本体装置
の位置ずれを抑制することができるので、装置の設置規
準等を緩和することができる。
【0096】本発明の第3および第4の局面によれば以
下の効果がある。 (1)サーボバルブへの入力から空気バネの駆動力まで
の伝達特性が極低周波域を除いて概ね積分特性であるこ
とを利用すれば、P補償器によって除振台を高速に位置
決めすることができる。目標位置近傍ではP補償器から
PI補償器へスイッチングするので定常偏差なく除振台
を位置決めすることができる、という効果がある。 (2)本発明のフィードバック装置の構成によれば、オ
ーバシュート量を抑制することができる。除振台に支持
される不図示の構造物には、その最大変位量が規定され
ているので、その規定以下に変位を抑制した除振台の位
置決めができる、という効果がある。
【0097】本発明の第5の局面によれば以下の効果が
もたらされる。 (1)能動的除振装置の閉ループ調整によってもたらさ
れる除振・制振性能を何等崩すことなく、単にKm ,D
p ,Np を付加するだけで目標値応答が改善できる。 (2)しかも、オーバシュートの有無という振幅特性お
よび収束性という時間尺度を参照モデルKm (s)によ
って任意に指定できる。 (3)目標値フィードフォワード補償器はアナログ電子
回路あるいはソフトウエアの何れの手段によっても実現
できるが、それによるコストアップは軽微である。なに
よりも、同フィードフォワード補償器の付加によって閉
ループ系としてのパラメータ再調整が全く不要という利
点の方が優る。 (4)目標値フィードフォワード補償器への入力r
adは、ステップアンドリピートによって発生する除振台
傾きを矯正する等の用途に利用できる。
【0098】本発明の第6の局面によれば以下の効果が
ある。 (1)従来、能動的除振装置における支持脚内には、鉛
直・水平方向にそれぞれ位置センサと加速度センサを備
えていた。すなわち、位置センサと加速度センサを各2
個ずつ支持脚内に装備していた。本発明の第6の局面に
よれば、発光素子1個と4分割フォトダイオード1個の
対で2次元光位置検出手段が構成できるので、鉛直・水
平方向の位置センサが占有していた空間を大幅に縮小で
きる、という効果がある。 (2)また、受光素子としての4分割フォトダイオード
は偏平な形状であり、取り付け治具を使用することなく
位置計測を必要とする部位に剛に装着できる。したがっ
て、局所振動の発生が回避でき、フィードバックループ
中に不要信号が導かれることもなくなる。以って、除振
および制振特性を容易に電気調整できる、という効果が
もたらされる。 (3)通常、能動的除振装置の上には精密機器群が搭載
され、これらが達成せねばならない性能は除振台の除振
・制振性能に大きく依存する。本第6の局面によれば、
除振台の性能が向上するので精密機器群が本来有する能
力を損ねることがない、という効果がある。 (4)2分割フォトダイオードにおける出力(A−B)
や、4分割フォトダイオードの出力{(a+b)−(c
+d)}と{(a+d)−(b+c)}は、光スポット
が受光面の平衡点に位置するとゼロとなる。除振台の浮
上平衡位置でこれらの出力信号が零となるように受光面
ないし発光素子の位置は調整可能である。このとき、制
御ループはゼロリファレンス入力の構造となり、従来装
置における目標電圧設定手段10は不要となる。すなわ
ち、回路構成が簡便になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る空気バネ式能動
的除振装置の構成図である。
【図2】 図1の装置の有効性を示す数値実験結果を表
わす波形図である。
【図3】 本発明の第2の実施例に係る空気バネ式能動
的除振装置の構成図である。
【図4】 本発明の第3の実施例に係る空気バネ式能動
的除振装置の構成図である。
【図5】 図4の装置の効果を示す数値実験結果を表わ
す波形図である。
【図6】 本発明の第4の実施例に係る空気バネ式防振
装置である。
【図7】 図6の装置の有効性を示す数値実験結果を表
わす波形図である。
【図8】 図9の装置の有効性を示す数値実験結果を表
わす波形図である。
【図9】 本発明の第5の実施例に係る空気バネ式防振
装置の構成図である。
【図10】 本発明の第6の実施例に係る能動的除振装
置の構成図である。
【図11】 図24の能動的除振装置の制御ブロック図
である。
【図12】 図10の能動的除振装置の制御ブロック図
である。
【図13】 図10における参照モデルKm (s)の極
配置を示す図である。
【図14】 目標値フィードフォワード補償器の有無に
よるステップ応答(飽和無しの場合)を比較した波形図
である。
【図15】 目標フィードフォワード補償器の有無によ
るステップ応答(飽和有りの場合)を比較した波形図で
ある。
【図16】 2分割フォトダイオードを用いた位置セン
サの検出原理図である。
【図17】 4分割フォトダイオードを用いた位置セン
サの検出原理図である。
【図18】 本発明の第7の実施例に係る能動的除振装
置の構成図である。
【図19】 本発明の第8の実施例に係る能動的除振装
置の構成図である。
【図20】 1次元PSDの断面図である。
【図21】 従来の空気バネ式能動的除振装置を示す図
である。
【図22】 XYステージの構造を示す図である。
【図23】 ステップアンドリピート駆動時の位置偏差
信号の一例を示す実測結果と数値実験である。
【図24】 空気バネをアクチュエータとする従来の他
の空気バネ式防振装置の構成を示す図である。
【図25】 補償器の差異による立ち上がり特性を示す
波形図である。
【図26】 補償器の差異による目標値ステップ応答波
形図である。
【図27】 図24の装置における除振台の制御ブロッ
ク図である。
【図28】 空気バネをアクチュエータとする従来のさ
らに他の能動的除振装置装置の構成を示す図である。
【図29】 図28における空気バネ式支持脚の構造図
である。
【図30】 図29の支持脚における位置センサの取付
けを示す図である。
【符号の説明】
1:除振台、2,2a〜d,2V,2H:空気バネアク
チュエータ、3,3a〜d:位置計測手段、4,4a〜
d:振動計測手段、5,5a〜d:空気バネ式支持脚、
6,6a〜d,6V,6H:ゲイン補償器またはフィル
タ、7,7a〜d,7V,7H:電圧電流変換器または
電力増幅器、8,8a〜d:変位増幅器、9,9a〜
d:比較回路、10,10a〜d:目標電圧入力端子ま
たは平衡位置目標電圧発生手段、11,11a〜d,1
1V,11H:PI補償器、12:XYステージ、1
3:Xステージ、14:微動ステージ、15:シリコン
ウエハ、16:Yステージ、17YR,17YL:リニ
アモータの可動子、18X:リニアモータの固定子であ
るコイル、19YR,19YL:リニアモータの固定子
であるコイル、20:ステージ定盤、21X:X軸計測
用のバーミラ、21Y:Y軸計測用のバーミラ、22:
運動モード抽出手段、23:安定化補償器、23a〜
d:PI2 補償器、24Z:PI補償器、24X,24
Y:PI2 補償器、25:運動モード抽出手段、26
Z,26X,26Y:ゲイン補償器、27:運動モード
分配手段、28:レーザ干渉計、29:位置検出手段、
30:位置目標端子、31:PID補償器、32:電力
アンプ、33:プロファイラ、34:駆動パターン、3
5:補正電圧のパターン、36:分配器、37a〜d:
目標電圧設定手段、41,41V,41H:サーボバル
ブ、42:予圧手段、43:粘性要素、46:可変補償
器、47:ヒステリシスコンパレータ、48:いき値設
定手段、49:電子スイッチ、50,50A,50B:
フィードバック装置、51:上限いき値設定手段、5
2:下限いき値設定手段、53:ウインドコンパレー
タ、66:第1のフィードフォワードパス、67:第2
のフィードフォワードパス、68:参照モデル、69:
目標値フィードフォワード補償器、73:2分割フォト
ダイオード、A,B:2分割フォトダイオードの受光領
域、a,b,c,d:4分割フォトダイオードの受光領
域、74:光スポット、75:電流電圧変換部、76:
演算部、77:ホルダ、78:4分割フォトダイオー
ド、79:支持脚外筒、80:発光素子、81:被支持
構造物、82:抵抗半導体基板、83:p層、84:n
層、85:入射光、86:光線、87:折り曲げミラ
ー、88:発振器、89:発光素子駆動回路、90:乗
算器、91:ローパスフィルタ。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 除振台と、該除振台に駆動力を付与する
    空気バネアクチュエータと、前記除振台の振動を検出す
    る振動検出手段と、前記除振台の位置を検出する位置検
    出手段と、前記振動検出手段の出力によってダンピング
    を与える加速度フィードバックループと、前記位置検出
    手段の出力から位置偏差信号を生成して補償を掛ける位
    置ループとを有する能動的除振装置において、前記位置
    ループ中に、PI補償器に積分器を1個追加したPI2
    補償器を備えた安定化補償器が配置されていることを特
    徴とする能動的除振装置。
  2. 【請求項2】 前記加速度フィードバックループには前
    記振動検出手段の出力から前記除振台の並進や回転の運
    動モードを演算する加速度に関する運動モード抽出手段
    を備え、前記位置ループには前記位置偏差信号から前記
    除振台の並進や回転の運動モードを演算する位置に関す
    る運動モード抽出手段と、前記位置に関する運動モード
    抽出手段の複数個の出力をそれぞれ補償する安定化補償
    器とを備え、前記安定化補償器の出力と前記加速度フィ
    ードバックループの出力とを加算した信号を入力して複
    数個の前記空気バネアクチュエータのそれぞれが発生す
    べき駆動力の割合を決める運動モード分配手段を備え、
    少なくとも一つの運動モードに対する前記安定化補償器
    が前記PI2 補償器であることを特徴とする請求項1記
    載の能動的除振装置。
  3. 【請求項3】 前記運動モード抽出手段は、並進および
    該並進の方向と垂直な2つの軸回りの回転の3つの運動
    モードを演算するものであり、そのうちで軸回りの回転
    である2つの運動モード出力を補償する安定化補償器が
    PI2 補償器であることを特徴とする請求項2記載の能
    動的除振装置。
  4. 【請求項4】 前記PI2 補償器は位相進み補償などの
    位相回復手段を組み込まれていることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の能動的除振装置。
  5. 【請求項5】 除振台と、該除振台に駆動力を付与する
    空気バネアクチュエータと、前記除振台の振動を検出す
    る振動検出手段と、前記除振台の位置を検出する位置検
    出手段と、前記振動検出手段の出力によってダンピング
    を与える加速度フィードバックループと、前記位置検出
    手段の出力から位置偏差信号を生成して補償を掛ける位
    置ループとを有する能動的除振装置において、前記除振
    台を位置決めする平衡位置と等価な電圧を印加する目標
    電圧入力端子に前記除振台に搭載するXYステージのス
    テップアンドリピート駆動によって生じるオフセットを
    修正する補正電圧のパターンを重畳する手段を設けたこ
    とを特徴とする能動的除振装置。
  6. 【請求項6】 前記振動検出手段は加速度センサである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の能動
    的除振装置。
  7. 【請求項7】 除振台と、該除振台を支持する空気バネ
    と前記空気バネの圧力を調整するサーボバルブと前記除
    振台の位置を検出する位置センサと前記除振台の振動を
    検出する振動センサと前記除振台に予圧を付与する予圧
    手段と前記除振台に働く粘性要素とからなる空気バネ式
    支持脚と、前記位置センサの出力を電気信号に変換する
    変位増幅器と、目標位置を指定する目標電圧設定手段
    と、前記変位増幅器の出力と前記目標電圧設定手段の出
    力とを比較する比較回路と、前記比較回路の出力信号に
    対して補償を施す補償器と、前記振動センサの出力を電
    気信号に変換し且つ適切なフィルタリングを行なうフィ
    ルタと、前記補償器の出力と前記フィルタの出力とを加
    算した信号に基づいて前記サーボバルブを駆動する電圧
    電流変換器とを具備する除振装置において、 前記目標電圧設定手段で定められる目標位置の手前の位
    置を指定するいき値設定手段と、該いき値設定手段と前
    記変位増幅器の出力信号とを入力とするヒステリシスコ
    ンパレータとを設け、かつ前記補償器を前記ヒステリシ
    スコンパレータの出力に応動してP補償器とPI補償器
    とに切り換えられる可変補償器としたことを特徴とする
    能動的防振装置。
  8. 【請求項8】 除振台と、該除振台を支持する空気バネ
    と前記空気バネの圧力を調整するサーボバルブと前記除
    振台の位置を検出する位置センサと前記除振台の振動を
    検出する振動センサと前記除振台に予圧を付与する予圧
    手段と前記除振台に働く粘性要素とからなる空気バネ式
    支持脚と、前記位置センサの出力を電気信号に変換する
    変位増幅器と、目標位置を指定する目標電圧設定手段
    と、前記変位増幅器の出力と前記目標電圧設定手段の出
    力とを比較する比較回路と、前記比較回路の出力信号に
    対して補償を施す補償器と、前記振動センサの出力を電
    気信号に変換し且つ適切なフィルタリングを行なうフィ
    ルタと、前記補償器の出力と前記フィルタの出力とを加
    算した信号に基づいて前記サーボバルブを駆動する電圧
    電流変換器とを具備する除振装置において、 前記目標電圧設定手段によって定められる目標位置の前
    後にいき値を設定する上限いき値設定手段および下限い
    き値設定手段と、これらのいき値設定手段によって前記
    変位増幅器の出力範囲を判定するウインドコンパレータ
    とを設け、かつ前記補償器を前記ウインドコンパレータ
    の出力に応動してP補償器とPI補償器とに切り換えら
    れる可変補償器としたことを特徴とする能動的防振装
    置。
  9. 【請求項9】 被支持物の変位を計測する位置センサと
    被支持物の振動を計測する振動センサと被支持物に駆動
    力を与える空気バネとからなる空気バネ式支持脚と、 複数個の前記空気バネ式支持脚によって支持される除振
    台と、 前記除振台を安定に位置決めするための前記各空気バネ
    式支持脚に対する加速度フィードバックと位置フィード
    バックを施すフィードバック装置と、 前記フィードバック装置に位置決めの信号をフィードフ
    ォワード入力する目標値フィードフォワード補償器とを
    備えたことを特徴とする能動的除振装置。
  10. 【請求項10】 前記目標値フィードフォワード補償器
    は、 望ましい応答を示す参照モデルKm (s)と、 前記参照モデルKm (s)の出力を入力として前記フィ
    ードバック装置内の平衡位置目標電圧の入力端子に至る
    第1のフィードフォワードパスNp (s)と、 前記参照モデルの出力を入力として前記フィードバック
    装置内のPI補償器後段に加算する第2のフィードフォ
    ワードパスDp (s)と、 を備えていることを特徴とする請求項1記載の能動的除
    振装置。
  11. 【請求項11】 前記第1のフィードフォワードパスN
    p (s)の伝達関数は1であり、 前記第2のフィードフォワードパスDp (s)の伝達関
    数は加速度フィードバックを含めた制御対象の伝達関数
    の分母多項式であり、 前記参照モデルKm (s)の伝達関数は、一個の実根と
    一対の複素根とからなり且つ負の実根が互いに等しい3
    次遅れ系である、ことを特徴とする請求項9または10
    記載の能動的除振装置。
  12. 【請求項12】 除振台と、該除振台を受動的に支持す
    る予圧手段および粘性要素と、前記除振台に駆動力を付
    勢するためのアクチュエータと、前記除振台の振動を検
    出する振動センサと、前記除振台の2軸方向の位置を検
    出する2次元光位置検出手段と、前記2次元光位置検出
    手段の出力を電気信号に変換する電気信号変換手段と、
    前記振動センサの出力をフィルタリングする適切な時定
    数を持つフィルタと、前記電気信号変換手段の出力を補
    償するPI補償器と、前記フィルタと前記PI補償器の
    出力とを加算した信号で前記アクチュエータを駆動する
    電力増幅器とを備えたことを特徴とする能動的除振装
    置。
  13. 【請求項13】 前記2次元光位置検出手段は、発光素
    子と4分割フォトダイオードとの対からなることを特徴
    とする請求項1記載の能動的除振装置。
  14. 【請求項14】 前記2次元光位置検出手段は、発光素
    子とPSDとの対からなることを特徴とする請求項1記
    載の能動的除振装置。
  15. 【請求項15】 前記電気信号変換手段は、前記2次元
    光位置検出手段の受光素子に流れる電流を電圧に変換す
    るための電流電圧変換部と、前記電流電圧変換部の出力
    から2次元の位置を算出するための演算部と、同期検波
    のための源発振となる発振器と、前記発振器の出力で駆
    動されて前記2次元光位置検出手段の発光素子を駆動す
    る発光素子駆動回路と、前記演算部の出力と前記発振器
    の出力とを乗算する乗算器とで構成されていることを特
    徴とする請求項1記載の能動的除振装置。
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