JPH10105960A - 磁気ディスク - Google Patents

磁気ディスク

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JPH10105960A
JPH10105960A JP26174396A JP26174396A JPH10105960A JP H10105960 A JPH10105960 A JP H10105960A JP 26174396 A JP26174396 A JP 26174396A JP 26174396 A JP26174396 A JP 26174396A JP H10105960 A JPH10105960 A JP H10105960A
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JP
Japan
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magnetic disk
substrate
film
young
density
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JP26174396A
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Inventor
Motoharu Sato
元治 佐藤
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 10000rpm以上の高速回転下で用い
ても、振動が生じず、高速回転安定性に優れた磁気ディ
スクを提供する。 【解決手段】 基板上に媒体が形成され、10000
rpm以上の高速回転下で用いられる磁気ディスクにお
いて、アルミニウム合金などの基板のヤング率E(kg
/mm2 )と密度ρ(g/cc)の比E/ρを2800
以上とした磁気ディスクである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクに係
り、特に10000rpm以上の高速回転下で用いられ
た場合の、高速回転安定性に優れた磁気ディスクに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金板、カーボン板、ガラ
ス板などの磁気ディスク用基板の表面には、平滑性を付
与するため、無電解めっき等により、NiPまたはNi
CuPなどの非磁性の保護皮膜が形成されている。そし
て、磁気ディスク自体は、一般的に、これら基板表面を
10μm程度に研磨した後、スパッタリングにより、C
r下地膜、Co基合金磁性膜およびC保護膜からなる媒
体を形成して製造される。
【0003】磁気ディスクの分野では、これまで、磁気
ディスクの記録密度の大幅な増大要求により、媒体を高
温下で処理するなど、媒体の高性能化=磁性膜の保磁力
の増大が進められて来た。これに伴い、前記磁気ディス
ク用基板の保護皮膜も、媒体の高性能化に対応して、改
善されつづけて来た。例えば、媒体を高温下で処理して
も帯磁しないより耐熱性に優れたNiCuP皮膜が、特
公平2−48981号公報や特公平4−28788号公
報、本発明者らの「日本応用磁気学会誌、Vol.2
0、No.2、1996、69〜72頁」などによっ
て、また、高温下で処理されたこのNiCuP皮膜の表
面平滑性を更に改善するため、媒体成膜前に予めNiC
uP系皮膜を結晶化し鏡面化することも、本発明者らの
特願平8−117925号で提案されている。
【0004】ところで、磁気ディスク装置(HDD)の
高記録密度化/大容量化のために、前記媒体の高性能化
の方向とは別に、磁気ディスク装置の回転数の高速化が
進められている。通常、高性能な磁気ディスク装置は、
磁気ディスクを、数mm程度の僅かな間隔で、複数枚並
べて搭載しているが、これまで、このような磁気ディス
ク装置の回転数は3600rpmから最高で7200r
pm程度であったものが、現在では10000rpm以
上の高速回転数のものができている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような、高速回転
の磁気ディスク装置では、従来の低速回転の場合には起
こり得なかった、磁気ディスクの高速回転安定性という
新たな問題乃至課題が生じてきた。即ち、磁気ディスク
の回転が10000rpm以上になるにつれて、前記ア
ルミニウム合金基板、NiPまたはNiCuPなどの非
磁性の保護皮膜、媒体膜からなる磁気ディスク自体に、
3600rpmから7200rpm程度の低回転数では
生じなかった、微妙な振動が生じるようになる。
【0006】そして、磁気ディスク自体にこの振動が生
じた場合、トラック方向の位置合わせにおいて、磁気ヘ
ッドが磁気ディスク表面を追随できなくなり、磁気ヘッ
ドの浮上量の変動による読み取り/書き込みエラーを生
じるという問題が発生する。
【0007】この高速回転安定性の問題は、前記した通
り、媒体の高性能化に対応して、非磁性の保護膜や媒体
膜を改善し続けてきた磁気ディスクにとって、より高速
回転の磁気ディスク装置に適用できるか否かの重大な問
題を孕んでいる。そして、この高速回転安定性の問題
を、磁気ディスク装置の側でハード的乃至ソフト的に解
決するのは難しく、必然的に、磁気ディスクの側で解決
しなければならない技術的課題となっている。
【0008】本発明は、かかる事情に鑑み、特に、10
000rpm以上の高速回転下で用いても、振動が生じ
ず、高速回転安定性に優れた磁気ディスクを提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このための、本発明の手
段は、基板上に媒体が形成され、10000rpm以上
の高速回転下で用いられる磁気ディスクにおいて、アル
ミニウム合金などの基板のヤング率E(kg/mm2
と密度ρ(g/cc)との比E/ρを2800以上とす
ることである。
【0010】本発明者らは、磁気ディスクの高速回転下
で発生する、磁気ディスク自体の微妙な振動を種々解析
し、この振動が、磁気ディスク基板の共振により生じる
ことを知見した。即ち、磁気ディスクの共振現象は、使
用しているアルミニウム合金板、カーボン板、ガラス板
などの基板の共振点(基板の共振点が磁気ディスクの共
振点を支配する)が、対象となる磁気ディスク装置の実
際の回転数域に存在することから生じる問題であること
を知見した。
【0011】したがって、使用する基板の共振点を、磁
気ディスク装置の実際の回転数域以上の回転数域にずら
すことにより、磁気ディスクの共振=振動が防止できる
ことになる。しかして、基板の共振点を上げる場合、ど
のような手段で上げるかが更なる問題となる。
【0012】磁気ディスク基板の共振点を決定する共振
周波数fは、一般的に、次式で表される。 f=(λ2 h/2πa2 )×〔Eg/3(1−σ2
ρ〕1/2 、(但し2h:磁気ディスク基板の板厚、a:
磁気ディスク基板の外半径、E:磁気ディスク基板のヤ
ング率、σ:ポアソン比、ρ:磁気ディスク基板の密
度、λ:定数、g:重力加速度)
【0013】そこで、本発明者らは、前式において、磁
気ディスク基板の形状に関係が無く、基板物質乃至材料
に固有の値である磁気ディスク基板のヤング率Eと、磁
気ディスク基板の密度ρに注目し、E/ρと回転数によ
る磁気ディスクの振動量との関係を調査した。その結
果、表面処理膜が施された磁気ディスク基板において、
磁気ディスク基板のヤング率Eと密度ρとの比、E/ρ
を、2800以上とするならば、10000rpm以上
の高速回転数でも、共振に起因した振動が発生しないこ
とを知見した。
【0014】
【発明の実施の形態】現在使用されている基板のヤング
率E(kg/mm2 )と密度ρ(g/cc)は、概ね、
アルミニウム合金板:E=7200、ρ=2.7、カー
ボン板:E=3000、ρ=1.8、ガラス板:E=7
100、ρ=2.6である。この物性値に基づくと、ヤ
ング率と密度の比E/ρは、アルミニウム合金板で26
70、カーボン板で1670、ガラス板で2730程度
となる。したがって、これら代表的な基板のヤング率と
密度の比E/ρは、前記振動が発生しないE/ρの臨界
値2800をいずれも下回っており、この差を埋めるべ
く、基板のヤング率と密度の比E/ρを上げることが必
要である。
【0015】磁気ディスク基板の、ヤング率Eと密度ρ
との比E/ρを、2800以上に上げるための態様は、
基板自体のE/ρを高めるか、基板に表面処理皮膜を施
し、この表面処理皮膜により、基板と表面処理皮膜とを
合わせた基板全体としてのE/ρを高めることである。
【0016】まず、基板がアルミニウム合金の場合、基
板自体のE/ρを高める方法は、例えば、Siなどの合
金元素や、SiCやZrO2 などの炭化物、酸化物微粒
子を添加する等、アルミニウム合金の組成や組織を変え
る方法、或いは、圧延条件や熱処理条件を変える等の方
法がある。
【0017】但し、周知の通り、基板自体は、既に磁気
ディスク基板としての、強度や靱性あるいは表面の平滑
性や均質性などの基本的な要求特性から、合金組成や熱
処理等の仕様が決定されている。このため、基板として
のE/ρを高めるために、前記のようにアルミニウム合
金の、添加合金元素や元素添加量等の組成や製造条件を
変更すると、磁気ディスク基板の前記基本的な要求特性
を阻害する可能性があり、基板自体のE/ρを高める方
法は、この点に注意して選択する必要がある。したがっ
て、アルミニウム合金板については、基板に表面処理皮
膜を施し、この表面処理皮膜のヤング率と、密度ρによ
り、表面処理皮膜を含めた基板全体としてのE/ρを高
める手法が、基板の前記基本的な特性を阻害しない点か
らは望ましい。
【0018】次に、カーボン基板の場合は、現状のヤン
グ率Eと密度ρとの比E/ρと、前記振動が発生しない
E/ρの臨界値2800との差が大きすぎるため、例
え、カーボン組成や製造条件を大幅に変更しても、基板
としてのE/ρを、臨界値2800以上に高めるのは難
しい。したがって、カーボン基板については、基板に表
面処理皮膜を施し、この表面処理皮膜のヤング率と、密
度ρにより、表面処理皮膜を含めた基板全体としてのE
/ρを高める手法が望ましい。
【0019】一方、ガラス基板は、現状のヤング率Eと
密度ρとの比E/ρと、前記振動が発生しないE/ρの
臨界値2800との差が小さく、ガラス組成や製造条件
の変更により、それも大幅な変更をせずとも、E/ρの
臨界値2800以上にすることが可能である。ただ、前
記基本的な要求特性の阻害の問題からすると、ガラス基
板の場合にも、やはり、基板に表面処理皮膜を施し、こ
の表面処理皮膜のヤング率により、基板全体としてのE
/ρを高めることが好ましい方法となる。
【0020】次に、図1に示すように、基板1の両面に
表面処理皮膜2を施し、更にその表面(両面)に媒体3
を設けた磁気ディスクについて、この表面処理皮膜によ
り、基板全体としてのE/ρを高める方法について説明
する。
【0021】図1に示す、基板1の両面に表面処理皮膜
2を施した磁気ディスク基板のヤング率は、E=皮膜E
+(基板E−皮膜E)×(a/b)3 、(但し、Eはヤ
ング率、aは基板の板厚の1/2、bはaと皮膜厚みと
の合計で、表面処理皮膜を含めた基板全体の厚みの1/
2)で表される。この式から分かる通り、皮膜のヤング
率が基板のヤング率向上に寄与し、表面処理皮膜を設け
れば、基板全体としてのヤング率やE/ρを高めるため
に効果があることが分かる。なお、基板全体としてのρ
の値も、表面処理皮膜の膜厚で異なる。
【0022】ここで、本発明で基板に設ける表面処理皮
膜は、従来公知のNiP系〔NiP乃至Ni(Cu、M
o、Sn、W)P〕、NiB系、TiN系、AlN系、
CrC系、CrN系、HfN系、TiAl系、TiC
系、TiCN系、TiN系、TiNAl系、WC系、A
2 3 系、SiO2 系などが適宜選択される。これら
の表面処理皮膜は、もともと、磁気ディスクに平滑性な
どの特性を付与するための非磁性の保護皮膜として基板
に形成されている。したがって、前記したような、基板
の基本的な要求特性を阻害ぜす、基板全体としてのヤン
グ率やE/ρを高めるために用いることができる点で有
利である。
【0023】代表的な表面処理皮膜のヤング率E(kg
/mm2 )と密度ρ(g/cc)そしてE/ρを示す
と、概ね、NiP系めっき皮膜はE=15000、ρ=
7.9、E/ρ=1900、TiN系皮膜はE=448
98、ρ=4、E/ρ=11225、WC系皮膜はE=
54531、ρ=16、E/ρ=3408である。
【0024】したがって、TiNやWCなどのTiやW
の炭窒化物系や、Al2 3 やSiO2 などの酸化物系
の皮膜は、E/ρがもともと高く、設ける皮膜の厚みが
薄くても、基板全体としてのヤング率やE/ρを高める
ために効果があり、本発明の基板のE/ρを高める目的
に対して好ましい皮膜である。これに対して、NiPな
どのNi−X系めっき皮膜は、前記炭窒化物系や酸化物
系の皮膜に比べると、E/ρが高くないため、表面処理
皮膜を含めた基板全体としてのヤング率やE/ρを高め
るためには、設ける皮膜の厚みを比較的厚くする必要が
ある。
【0025】このように、磁気ディスク用基板の表面に
設ける皮膜は、基板自体の高めるべきE/ρのレベル
と、皮膜自体のE/ρレベルにより選択されるが、磁気
ディスクに耐熱性を付与するためなど他の特性も考慮し
て選択されて良い。例えば、磁気ディスク用基板が、高
温下での処理を受けた場合の帯磁を防止し、磁性膜の高
保磁力化を可能とする点では、NiP系のNiCuPな
どの皮膜が好ましい。
【0026】このNiCuP系皮膜の場合の基本成分組
成は、非磁性等、得られる皮膜の要求性能から、Cu含
有量が30〜55wt%、P含有量が4〜10wt%、
残部Niおよび不可避的不純物が好ましい。Niは、非
磁性皮膜の主要構成成分であり、Cu、Pは、磁気ディ
スク用基板が加熱されても磁化されることのない非磁性
皮膜を得るために必要である。また、この基本組成の
他、Pの代わりに、あるいはPと同時に、Pと同じ効果
を有するBを含んでも良く、この他、皮膜の結晶化の温
度を高め、皮膜を結晶化しにくくするため、H、C、
O、F、Si、S、V、Cr、Zn、Se、Mo、T
e、Rh、Pd、Cd、Sn、W、Re、Ir、Pt、
Au、Bi、Gd等の元素を、皮膜特性を劣化させない
10wt%を上限として適宜添加しても構わない。
【0027】なお、本発明の表面処理皮膜の形成方法に
ついては特に制限は無く、基板に設ける皮膜の種類によ
り、例えば、無電解めっき法、電解めっき法、スパッタ
法、蒸着法、イオンプレーティング法等が適宜選択的に
用いられる。また、例えばTiN皮膜をアークイオンプ
レーティング法などにより形成する際にCが含まれる場
合があるように、表面処理皮膜の形成方法によっては、
前記皮膜に基本組成以外の不純物が含まれる場合がある
が、磁気ディスクの基本特性を阻害しない範囲での不純
物の含有は許容される。
【0028】因みに、従来公知の前記表面処理皮膜を設
けた磁気ディスク用基板でも、ヤング率が充分高い皮膜
を用いた場合には、本発明の要件である、基板のヤング
率E(kg/mm2 )と密度ρ(g/cc)の比E/ρ
を2800以上とすることを意図せずとも、高速回転安
定性の効果が達成されるやもしれぬ。
【0029】しかし、高速回転下で発生する、磁気ディ
スク自体の微妙な振動が、磁気ディスク基板の共振によ
り生じ、この共振現象が、対象となる磁気ディスク装置
の実際の回転数域に、基板の共振点が存在することによ
り生じる、という本発明の知見が無い場合、仮に、当該
磁気ディスク条件そのものを変更し、磁気ディスクの共
振点が変われば、振動が発生する可能性がある。また、
磁気ディスク装置の回転数がより高速化した場合にも、
やはり、磁気ディスクの共振点が磁気ディスク装置の実
際の回転数域に入って、振動が発生する可能性がある。
【0030】即ち、本技術分野では、前記した通り、磁
気ディスク装置(HDD)の高記録密度化/大容量化の
ため、媒体の高性能化や磁気ディスク回転数の高速化な
どの技術革新は日進月歩であり、磁気ディスク自体の条
件や磁気ディスク使用環境は次々変わっており、本発明
の知見が無い場合、これら条件の変更に対応できず、磁
気ディスクの振動が発生し、開発した磁気ディスクが使
用できなくなる可能性がある。
【0031】したがって、10000rpm以上の高速
回転下で用いられる磁気ディスクにおいては、この高
速回転下では、基板の共振点が磁気ディスク装置の回転
数域に存在するため、磁気ディスク自体の振動が生じ
る、という本発明の知見、基板のヤング率と密度との
制御により、基板の共振点を磁気ディスク装置の回転数
域以上の回転数域にずらし、磁気ディスクの共振を防止
する、という本発明の技術思想、基板のヤング率Eと
密度ρとの比E/ρを2800以上にする、という本発
明の手段、が無ければ、実用化は困難である。
【0032】
【実施例】表面処理皮膜として、NiP皮膜、TiN皮
膜、WC皮膜を選択し、各々の皮膜を、板厚0.8mm
(31.5mil)で、3.5インチ径タイプのアルミ
ニウム合金板((株)神戸製鋼所製/合金名:KS5R
86)表面に設けて、磁気ディスク基板とした。
【0033】NiP皮膜は、無電解めっきにより、アル
ミニウム合金基板表面に、膜厚を10〜100μmの範
囲で種々変えて設けた。その後、めっき表面を研磨して
表面粗さRaが10Åになるよう鏡面化するとともに、
テクスチャー処理を施し、NiPめっき/アルミニウム
合金基板を作成した。このテクスチャー処理は、磁気ヘ
ッドが鏡面処理された磁気ディスク板に吸着しないよう
にする点で有効であり、鏡面処理された磁気ディスク用
基板表面の全面あるいは磁気ヘッドが停止する中心部
を、本発明の表面粗さの範囲内で、一定のパターンの表
面凹凸が設けられるよう粗面化する。
【0034】TiN皮膜とWC皮膜は、前記アルミニウ
ム合金基板に、アークイオンプレーティング法により、
膜厚を10〜100μmの範囲で種々変えて設けた。
【0035】これらの表面処理皮膜を設けた磁気ディス
ク用基板を、インライン式DCマグネトロンスパッタ装
置により、基板を250℃の一定に加熱して、Cr下地
膜、Co62.5Ni30Cr7.5 合金磁性膜およびカーボン
保護膜を記載順に形成した。
【0036】得られた磁気ディスクについて、ヤング率
と密度の比E/ρを測定し、NiPめっき皮膜、TiN
皮膜、WC皮膜の、各々の膜厚とE/ρとの関係を図2
に示す。図2において、○印はNiPめっき皮膜、△印
はTiN皮膜、□印はWC皮膜であり、いずれの皮膜
も、膜厚の増加に応じて、磁気ディスクとしてのE/ρ
が増加しているのが分かる。また、NiPめっき皮膜で
は30μm以上の厚みで、TiN皮膜、WC皮膜では1
0μm以上の厚みで、2800以上のE/ρを確保でき
ている。したがって、基板全体のE/ρを2800以上
とするためには、前記図1のところで示した、磁気ディ
スク基板全体のヤング率Eと、皮膜および基板のヤング
率の関係式に従って、基板のE/ρのレベルに応じ、こ
れら最小の膜厚以上の厚みの表面処理皮膜を設ける必要
がある。
【0037】更に、これらの皮膜について、磁気ディス
クとして、実際に磁気ディスク装置に搭載した場合の、
磁気ディスクの回転数と振動量との関係を調査した。磁
気ディスク装置は3.5inのものを用い、磁気ディス
クの回転数と振動量の関係は、ドップラー速度計を用い
たRVAテスター(THoT Technologie
s社製)により測定した。
【0038】共振による振動が発生した磁気ディスク
の、回転数と、E/ρとの関係を図3に示す。図3から
明らかな通り、NiPめっき皮膜のE/ρが2500で
は、9500rpmで磁気ディスクに振動が発生するも
のの、E/ρが2800では、10000rpmになる
まで磁気ディスクに振動が発生しない。また、TiN皮
膜やWC皮膜も、E/ρが2800以上の場合に、振動
が発生する回転数は、10000rpmを大きく上回っ
ている。
【0039】そして、これら皮膜のE/ρと磁気ディス
クに振動が発生する回転数とは、皮膜の種類に依らず、
直線的な関係を示しており、ヤング率と密度の比E/ρ
の値2800が、10000rpm以上での磁気ディス
クの振動防止の臨界的意義を持っていることが分かる。
【0040】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、1
0000rpm以上の高速回転下で用いても、振動が生
じず、高速回転安定性に優れた磁気ディスクを提供する
ことができる。しかも、従来の技術を大幅に変更するこ
となく、高速回転化に対応する磁気ディスクを提供する
ことができる点でも、その工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ディスクの断面構造を模式的に示す、説明
図である。
【図2】NiPめっき皮膜、TiN皮膜、WC皮膜の、
各々の膜厚とE/ρとの関係を示す、グラフ図である。
【図3】NiPめっき皮膜、TiN皮膜、WC皮膜の、
磁気ディスクに振動が発生した際の、磁気ディスクの回
転数と皮膜のE/ρとの関係(各々の皮膜の振動発生限
界のE/ρ値)を示す、グラフ図である。
【符号の説明】
1;基板 2;表面処理皮膜 3;媒体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に媒体が形成され、10000r
    pm以上の高速回転下で用いられる磁気ディスクであっ
    て、基板のヤング率E(kg/mm2 )と密度ρ(g/
    cc)との比E/ρが2800以上であることを特徴と
    する高速回転安定性に優れた磁気ディスク。
  2. 【請求項2】 基板表面に表面処理皮膜が設けられ、該
    表面処理皮膜を含めた基板の前記ヤング率Eと密度ρと
    の比E/ρが2800以上である請求項1に記載の高速
    回転安定性に優れた磁気ディスク。
  3. 【請求項3】 基板がアルミニウム合金である請求項1
    または2に記載の高速回転安定性に優れた磁気ディス
    ク。
  4. 【請求項4】 表面処理皮膜が、NiP系皮膜、TiN
    系皮膜、WC系皮膜の内から選ばれたものである請求項
    2または3に記載の高速回転安定性に優れた磁気ディス
    ク。
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Cited By (3)

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JP2019040654A (ja) * 2017-08-28 2019-03-14 昭和電工株式会社 磁気記録媒体用基板、磁気記録媒体、ハードディスクドライブ
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