JPH10105581A - 集積回路の論理シミュレーション方法 - Google Patents
集積回路の論理シミュレーション方法Info
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- JPH10105581A JPH10105581A JP8277198A JP27719896A JPH10105581A JP H10105581 A JPH10105581 A JP H10105581A JP 8277198 A JP8277198 A JP 8277198A JP 27719896 A JP27719896 A JP 27719896A JP H10105581 A JPH10105581 A JP H10105581A
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Abstract
間をより高精度に求める。 【解決手段】 セルマスクパターンaに基づいて、セル
自身によって生じる固有遅延値t0を定義し、第1のセ
ルライブラリb1を作成する。出力負荷容量を示すパラ
メータPのとるべき範囲を複数n個の領域に分割し、i
番目(1≦i≦n)の領域についての遅延時間Tiが、
Ti=t0i+ki・Pなる演算に基づいて定まるよう
に、個々のセルごとに、それぞれn組の固有遅延値t0
iおよび依存係数kiを定義し、これらn組の固有遅延
値t0iおよび依存係数kiを収容した第2のセルライ
ブラリb2を作成する。第2のセルライブラリb2に基
づいて、配線遅延時間を算出し、配線遅延情報c*を作
成する。シミュレータ装置に、第1のセルライブラリb
1と配線遅延情報c*とを与え、各セルごとの固有遅延
値および配線遅延値を求め、全遅延時間を決定する。
Description
ュレーション方法に関し、特に、複数のセルを相互に接
続してなる半導体集積回路について、個々のセルごと
に、そのセル自身によって生じる固有遅延値と、所定の
遅延因子に基づいて発生する状態依存遅延値とを考慮し
て論理シミュレーションを行う方法に関する。
階の集積回路に対して論理シミュレーションを実行し、
その結果に基づいて必要な設計変更を施し、変更後の集
積回路について再び論理シミュレーションを実行する、
という過程を繰り返すことにより、回路の最適化が図ら
れる。こうして最適化された回路図が得られたら、この
回路図に基づいて、集積回路マスクパターンが設計され
る。そして、このマスクパターンに含まれる個々の図形
から、配線に付随する抵抗値Rや容量値Cなどを求め、
これらの値に基づいて実遅延時間を演算により求め、再
び論理シミュレーションを行って動作検証を行うことに
なる。
って構成されており、論理シミュレーションにおける遅
延時間の算出は、個々のセルごとに行われる。各セルに
ついての種々の情報は、セルライブラリとして用意され
ており、遅延時間に関する情報もこのセルライブラリに
収容されている。シミュレータ装置は、セルライブラリ
内に用意された遅延時間に関する情報を参照して、個々
のセルについての遅延時間を決定し、論理シミュレーシ
ョンを実行することになる。
る遅延時間Tは、そのセル自身によって生じる遅延値
(以下、固有遅延値t0と呼ぶ)と、所定の遅延因子に
よって生じる遅延値(以下、状態依存遅延値teと呼
ぶ)との和として取り扱われている。ここで、セルの固
有遅延値t0は、そのセルの出力負荷容量(そのセルの
後段に接続される配線の容量)や、そのセルに与えられ
る入力信号波形の歪み(いわゆる波形なまり)といった
要素を一切考慮しないセル自身の固有の遅延値である。
したがって、1つのセルを単独で取り出した場合には、
この固有遅延値t0は、適切な遅延時間を示すことにな
る。ところが、複数のセルを相互に接続してなる集積回
路では、固有遅延値t0の他に状態依存遅延値teを考
慮しなければ、適切な遅延時間を求めることができず、
個々のセルについての遅延時間Tは、固有遅延値t0と
状態依存遅延値teとの和として求められることにな
る。ここで、固有遅延値t0は、個々のセルに固有の一
定値になるが、状態依存遅延値teは、遅延因子を示す
パラメータ値Pの関数となる。通常、所定の依存係数k
を用いたte=k・Pなる線形関数が定義される。した
がって、個々のセルについての遅延時間Tは、T=t0
+k・Pなる式で表わされることになる。たとえば、遅
延因子を示すパラメータ値Pとして、出力負荷容量CL
を用いた場合、個々のセルについての遅延時間Tは、T
=t0+k・CLなる式で表わされる。
ルについての遅延時間Tを求めるためには、そのセルに
ついての固有遅延値t0と状態依存遅延値teとが必要
になる。ここで、固有遅延値t0は、セルライブラリ内
の遅延情報として予め用意しておくことができるが、状
態依存遅延値teは、出力負荷容量や入力波形の歪みと
いった遅延因子によって変動するために、セルライブラ
リ内に予め用意しておくことはできない。このため、実
際の集積回路の回路図が確定した段階で、その集積回路
を構成する個々のセルごとに遅延因子を示すパラメータ
値Pを定め、状態依存遅延値teを演算によって求める
作業が必要になる。通常、この演算はディレイカリキュ
レータ装置を用いて行われる。たとえば、遅延因子を示
すパラメータとして、出力負荷容量を用いた場合は、セ
ル後段の配線についての寄生容量CLに基づいて、状態
依存遅延値teが演算されることになる。なお、この寄
生容量CLの値は、マスクパターンが既に設計されてい
る段階では、そのマスクパターンを構成する配線図形か
ら求めることができるが、マスクパターンの設計前の段
階では、標準的な容量値が用いられる。
リから得られる固有遅延値t0と、ディレイカリキュレ
ータ装置から与えられる状態依存遅延値teとに基づい
て、個々のセルごとの遅延時間Tを求めることができる
ので、個々のセル内部の動作をシミュレートする必要が
なくなり、演算負担が軽減されることになる。
規模化の需要は益々高まってきており、より高精度な論
理シミュレーションが要求されるようになってきてい
る。特に、個々のセルの出力負荷容量や入力波形歪みと
いった遅延因子に基づく状態依存遅延値teを正確に考
慮した論理シミュレーションが望まれるようになってき
ている。ところが、従来の論理シミュレーションでは、
上述したように、各セルの状態依存遅延値teは、遅延
因子を示すパラメータ値Pのとるべき全範囲について、
所定の依存係数kを用いたte=k・Pなる単一の線形
関数で定義されているため、精度の高い遅延時間を求め
ることができないという問題がある。すなわち、実際に
は、状態依存遅延値teを求めるための依存係数kは、
パラメータ値Pのとるべき全範囲について一定ではな
く、個々の領域ごとに異なるのにもかかわらず、従来
は、全範囲についてほぼ平均的な依存係数kを適用する
近似的な手法を採っていたため、高精度な論理シミュレ
ーションを行うことができなかったのである。
延時間をより高精度に求めることができる集積回路の論
理シミュレーション方法を提供することを目的とする。
してなる半導体集積回路について、個々のセルごとに、
そのセル自身によって生じる固有遅延値t0と、所定の
遅延因子を示すパラメータPを引数とする関数f(P)
とを定義し、個々のセルごとの遅延時間Tを、固有遅延
値t0と関数f(P)との和として求め、この遅延時間
Tを用いて論理シミュレーションを行う方法において、
個々のセルについて、一定の固有遅延値t0を定義し、
この固有遅延値t0を収容した第1のセルライブラリを
作成する第1の段階と、パラメータPのとるべき範囲を
複数n個の領域に分割し、i番目(1≦i≦n)の領域
についてのセルの遅延時間Tiが、Ti=t0i+fi
(P)なる演算に基づいて定まるように、個々のセルご
とに、それぞれn組の固有遅延値t0iおよび関数fi
(P)を定義し、これらn組の固有遅延値t0iおよび
関数fi(P)を収容した第2のセルライブラリを作成
する第2の段階と、半導体集積回路を構成する個々のセ
ルについて、それぞれ適用すべきパラメータPを決定
し、決定したパラメータPに基づいて、第2のセルライ
ブラリから特定の固有遅延値t0iおよび関数fi
(P)を選択し、第1のセルライブラリ内の固有遅延値
t0を用いて、te=fi(P)+(t0i−t0)な
る演算によって状態依存遅延値teを求める第3の段階
と、前段階で求めた状態依存遅延値teと第1のセルラ
イブラリ内の固有遅延値t0との和をセルの遅延時間T
として用いて論理シミュレーションを実行する第4の段
階と、を行うようにしたものである。
の態様に係る論理シミュレーション方法において、パラ
メータPを、複数m個の遅延因子に関するm組の値p
1,p2,…,pmによって構成し、このm組の各値を
それぞれ座標軸にとったm次元空間を定義し、このm次
元空間を複数n個の領域に分割し、i番目(1≦i≦
n)の領域についての関数として、m組の値p1,p
2,…,pmを引数とした関数fi(p1,p2,…,
pm)を定義するようにしたものである。
を相互に接続してなる半導体集積回路について、個々の
セルごとに、そのセル自身によって生じる固有遅延値t
0と、所定の遅延因子を示すパラメータ値Pおよびこの
パラメータ値Pに対する依存係数kとを定義し、個々の
セルごとの遅延時間Tを、固有遅延値t0と、パラメー
タ値Pおよび依存係数kとの積k・Pからなる状態依存
遅延値teと、の和として求め、この遅延時間Tを用い
て論理シミュレーションを行う集積回路の論理シミュレ
ーション方法において、個々のセルについて、所定の固
有遅延値t0を定義し、この固有遅延値t0を収容した
第1のセルライブラリを作成する第1の段階と、パラメ
ータ値Pのとるべき範囲を複数n個の領域に分割し、パ
ラメータ値Pがi番目(1≦i≦n)の領域に属する場
合の遅延時間Tiが、Ti=t0i+ki・Pなる演算
に基づいて定まるように、個々のセルごとに、それぞれ
n組の固有遅延値t0iおよび依存係数kiを定義し、
これらn組の固有遅延値t0iおよび依存係数kiを収
容した第2のセルライブラリを作成する第2の段階と、
半導体集積回路を構成する個々のセルについて、それぞ
れ適用すべきパラメータ値Pを決定し、決定したパラメ
ータ値Pに基づいて、第2のセルライブラリから特定の
固有遅延値t0iおよび依存係数kiを選択し、第1の
セルライブラリ内の固有遅延値t0を用いて、te=k
i・P+(t0i−t0)なる演算によって状態依存遅
延値teを求める第3の段階と、前段階で求めた状態依
存遅延値teと第1のセルライブラリ内の固有遅延値t
0との和をそのセルについての遅延時間Tとして論理シ
ミュレーションを実行する第4の段階と、を行うように
したものである。
〜第3の態様に係る集積回路の論理シミュレーション方
法において、第1のセルライブラリ内の固有遅延値t0
を、第2のセルライブラリ内にも収容するようにし、第
3の段階における状態依存遅延値teの演算を、第2の
セルライブラリのみを用いて行うようにしたものであ
る。
〜第4の態様に係る集積回路の論理シミュレーション方
法において、所定の遅延因子を示すパラメータ値Pとし
て、個々のセルの出力負荷容量CLを用いるようにし、
セル間の配線に基づく遅延値を状態依存遅延値teとし
て定義するようにしたものである。
〜第4の態様に係る集積回路の論理シミュレーション方
法において、所定の遅延因子を示すパラメータ値Pとし
て、個々のセルへの入力波形の歪みを示す値を用いるよ
うにし、この入力波形の歪みに基づく遅延値を状態依存
遅延値teとして定義するようにしたものである。
に基づいて説明する。
レーション方法 はじめに、説明の便宜上、従来の一般的な集積回路の設
計および論理シミュレーションの基本手順を図1の流れ
図に基づいて述べる。まず、ステップS1において、半
導体集積回路の構成部品となる個々のセルについてのセ
ルマスクパターンaが準備される。続くステップS2で
は、このセルマスクパターンaに基づいて、このセルの
動作特性を示す情報をもったセルライブラリbが作成さ
れる。具体的には、セルライブラリbを作成するため
に、次のような処理が行われる。まず、セルマスクパタ
ーンaに基づいて、そのセル内の回路素子を認識し、そ
れらの図形寸法から素子サイズ、抵抗値あるいは容量値
などの素子パラメータを算出する。更に、これら各回路
素子の相互接続関係を記述したネットリストを抽出し、
このネットリストを用いて回路シミュレーションを実行
してセル内の動作特性を求める。
例にとって、より具体的な説明を行うことにする。この
セルは、「INV」なる名称をもったセルであり、単一
のインバータ素子のみから構成され、1つの入力端子I
および1つの出力端子Oを有するセルである(図では、
各端子をX印で示してある)。もちろん、通常の一般的
なセルは、より多数の回路素子から構成されているが、
ここでは説明の便宜上、このような単純なセル「IN
V」について以下の説明を行うことにする。ステップS
1で準備されるセルマスクパターンaは、たとえば、こ
のセル「INV」の場合、インバータを構成するトラン
ジスタなどの回路素子の図形パターンになる。ステップ
S2では、この図形パターンに基づいて、個々のトラン
ジスタ素子のサイズ、抵抗値あるいは容量値などが算出
され、個々のトランジスタ素子の相互接続関係を示すネ
ットリストが抽出される。そして、このネットリストを
利用して回路シミュレーションが実行され、このセルの
動作特性、すなわち遅延時間Tが求められる。
延時間Tは、そのセル自身によって生じる遅延値(固有
遅延値t0)と、所定の遅延因子によって生じる遅延値
(状態依存遅延値te)との和として取り扱われる。遅
延因子として機能する要素としては、そのセルの出力負
荷容量(そのセルの後段に接続される配線の容量)や、
そのセルに与えられる入力信号波形の歪み(いわゆる波
形なまり)などがあげられる。なお、以下の説明では、
便宜上、出力負荷容量を代表的な遅延因子として取り上
げ、遅延因子を示すパラメータ値Pとして出力負荷容量
の容量値CLを例にとることにするが、本発明における
遅延因子は、出力負荷容量に限定されるものではない。
に、出力負荷容量CLを接続した状態を示す回路図であ
る。この出力負荷容量CLは、セル「INV」と次段の
セルとを相互接続する配線に付随する寄生容量に相当す
るものであり、この出力負荷容量CLの容量値CL(こ
こでは、容量素子自身も、その容量値も、同じ記号CL
で表わすことにする)の大きさによって、セル「IN
V」についての遅延時間Tは変化することになる。図4
は、出力負荷容量CLとセル「INV」についての遅延
時間Tとの関係を示すグラフである。このグラフに示さ
れているように、セル「INV」についての遅延時間T
は、T=t0+k・CLなる線形関数で近似できる。こ
こでは、右辺第1項を、固有遅延値t0と呼び、右辺第
2項を、状態依存遅延値teと呼ぶことにする。固有遅
延値t0は、セル「INV」自身によって生じる遅延値
であり、図4のグラフにおけるT軸(縦軸)についての
切片値を示すものである。一方、状態依存遅延値te
は、所定の依存係数kと出力負荷容量CLとの積k・C
Lで定義され、依存係数kは図4のグラフの傾きを示す
ものである。
ションでは、図4に示すようなグラフが求められ、その
結果、図5に示すような遅延情報がセル「INV」のセ
ルライブラリb内に用意される。図5に示す例では、セ
ル名「INV」に続いて、このセルの固有遅延値t0=
1.0(ns)と、出力負荷容量依存係数k=1.0
(ns/pF)という具体的な数値が示されている。実
際には、多数のセルのそれぞれについて、この図5に示
すような遅延情報が求められ、セルライブラリbが作成
されることになる。
の回路図を作成する作業が行われる。すなわち、回路の
設計者は、セルライブラリb内に用意された多数のセル
を組み合わせることにより所望の集積回路を構築する。
別言すれば、この回路図を作成する作業は、多数のセル
間の相互接続関係を規定する作業ということになる。通
常、このセル間の相互接続関係は、階層構造をもったネ
ットリストという形式で表現される。そこで、続くステ
ップS4では、この回路図についての階層展開処理が行
われ、階層構造をもたない回路図(個々のセルを相互接
続してなる回路図)が得られることになる。ここでは、
図2に示すセル「INV」を2組直列接続することによ
って、図6に示すようなTOPなる最上位階層で示され
る集積回路が構成されたものとして、以下の説明を続け
ることにする。この図6に示すTOPなる階層で示され
る集積回路は、インスタンス名「X1」および「X2」
が付与された2組のセル「INV」のみから構成された
単純な回路であるが、実際の集積回路は、多重階層で表
現された多数のセルの相互接続によって構成されること
になる。
た回路図が得られると、ステップS5において、セル間
配線についての配線遅延時間が算出される。この配線遅
延時間は、前述した状態依存遅延値teに相当するもの
であり、ディレイカリキュレータ装置によって求められ
る。図7は、図6に示す回路図において、各セルの後段
の配線部分の寄生容量(出力負荷容量)を示す容量素子
を付記したものである。この例では、インスタンス名
「X1」なるセルの後段には、出力負荷容量CL1が接
続されており、インスタンス名「X2」なるセルの後段
には、出力負荷容量CL2が接続されている。これらの
各出力負荷容量の値は、セル間配線のマスクパターンが
作成されている段階であれば、そのマスクパターンの図
形寸法に基づいて演算することができるが、セル間配線
のマスクパターンがまだ作成されていない段階であれ
ば、各セルの後段に接続する標準的なセル間配線の容量
値として設定することができる。ここでは、図7に示す
出力負荷容量CL1については、標準的なセル間配線層
の容量値として0.5pFなる容量値が設定され、出力
負荷容量CL2については、集積回路の出力端子OUT
への標準的な配線層の容量値として2pFなる容量値が
設定されたものとする。
に、個々の配線層についての具体的な容量値を設定した
上で、図5に示すようなセルライブラリ内の遅延情報に
基づいて、各経路ごとの配線遅延値(状態依存遅延値t
e)を求める演算を行う。すなわち、セルX1の出力端
子OからセルX2の入力端子Iに至るまでの経路(出力
負荷容量CL1に対応する経路)については、配線遅延
値te=k・CL1=1.0*0.5=0.5(ns)
が求まり、セルX2の出力端子Oから集積回路の出力端
子OUTに至るまでの経路(出力負荷容量CL2に対応
する経路)については、配線遅延値te=k・CL2=
1.0*2.0=2.0(ns)が求まる。図8は、こ
のようにして求められた各経路ごとの配線遅延値を示す
図表である。こうしてディレイカリキュレータ装置によ
って求まった配線遅延値は、図1に示すように、配線遅
延情報cとして出力される。
ュレーションが行われる。すなわち、シミュレータ装置
に対して、ステップS2で作成されたセルライブラリb
と、ステップS5で作成した配線遅延情報cとを与える
と、集積回路全体についてのトータルの遅延時間を求め
るシミュレーションが実行される。もっとも、この論理
シミュレーションでは、個々のセルを構成する各回路素
子内の電気信号の流れが実際にシミュレートされるわけ
ではなく、個々のセルの固有の遅延時間については、セ
ルライブラリbによって与えられる固有遅延値t0を用
い、セル間配線層に起因した遅延時間については、配線
遅延情報cによって与えられる配線遅延値(状態依存遅
延値te)を用い、模擬的なシミュレートが行われるだ
けである。図7に示す集積回路の場合、セルX1および
セルX2についての固有遅延値t0は、セルライブラリ
b内に定義されているとおり、いずれも1.0(ns)
であり(図5参照)、セルX1の出力端子OからセルX
2の入力端子Iに至るまでの経路についての配線遅延値
teは0.5(ns)であり、セルX2の出力端子Oか
ら集積回路の出力端子OUTに至るまでの経路について
の配線遅延値teは2.0(ns)であるから(図8参
照)、結局、集積回路全体の遅延時間は、1.0+0.
5+1.0+2.0=4.5(ns)となる。
いての遅延時間Tを、T=t0(固有遅延値)+k・C
L(状態依存遅延値)なる線形関数に近似させて取り扱
っているが、より精度の高い結果を得るためには、この
ような単一の線形関数による近似では不十分である。本
願発明者は、出力負荷容量や入力波形の歪みといった一
般的な遅延因子に関しては、この遅延因子を示すパラメ
ータ値Pのとるべき範囲を複数n個の領域に分割し、各
領域ごとに異なる依存係数kを設定すると、より精度の
高い結果を得ることができることを見出だした。実用上
は、n=2に設定し、パラメータ値Pについての座標軸
を、所定の閾値を境にして、閾値未満の領域と閾値以上
の領域とに分割し、各領域ごとにそれぞれ異なる依存係
数kを設定するようにすれば十分である。
Pとして用いたときの、出力負荷容量CLと遅延時間T
との関係を示すグラフである。図に一点鎖線で示すグラ
フは、図4に示した従来のグラフであり、横軸の全領域
にわたって共通の依存係数kを用い、 T=t0+k・CL (1) なる線形関数で遅延時間Tを一義的に定義したものであ
る。これに対して、図に実線で示すグラフは、出力負荷
容量値CLXを閾値として、横軸を2つの領域に分割
し、各領域ごとに異なる依存係数を用いて遅延時間Tを
定義したものであり、遅延時間Tは、 T=t01+k1・CL (CL<CLX) (2) T=t02+k2・CL (CL≧CLX) (3) なる関数で定義されることになる。出力負荷容量や入力
波形の歪みといった一般的な遅延因子に関しては、図9
に実線で示す関数を用いた方がより正確な遅延時間Tを
表現することが可能になる。従来は、出力負荷容量CL
の全領域にわたって共通の依存係数k(全領域にわたる
平均的な係数値)を用いていたため、図9に一点鎖線で
示すように、本来の遅延時間Tに対してかなりの誤差が
生じていたことになる。
ラメータ値Pの領域ごとにそれぞれ異なる依存係数kを
設定するという点にある。しかしながら、この手法を従
来の論理シミュレーションプロセスにそのまま取り入れ
ることはできない。たとえば、図1の流れ図に示す従来
の手順において、ステップS5における配線遅延時間の
算出処理では、上述した式(1) の右辺第2項「k・
CL」によって配線遅延値(状態依存遅延値te)を算
出していた。この算出処理に、本発明の基本的な手法を
そのまま取り入れるのであれば、式(1) の代わりに、式
(2) もしくは式(3)を用いて「k1・CL」もしくは
「k2・CL」によって配線遅延値(状態依存遅延値t
e)を算出することになる。ところが、配線遅延値の算
出に式(2) もしくは式(3) を用いてしまうと、ステップ
S6の論理シミュレーションにおいても、式(2) 内の固
有遅延値t01もしくは式(3) 内の固有遅延値t02を
用いる必要がある。たとえば、ある特定のセルについ
て、ステップS5における配線遅延時間を、式(2) を用
いた「k1・CL」なる演算で求めた場合、ステップS
6の論理シミュレーションでは、この特定のセルについ
ての固有遅延値として式(2)内の固有遅延値t02を用
いる必要がある。
固有遅延値t0,t01,t02は、各グラフの遅延時
間軸Tの切片値に相当するものであり、いずれの式を適
用するかによって用いるべき固有遅延値の値はそれぞれ
異なることになる。このため、ステップS5において、
出力負荷容量CLの値に応じて異なる式を適用して配線
遅延値を算出した場合には、ステップS6においても、
それぞれ異なる固有遅延値を用いた演算を行う必要があ
る。ところが、ステップS6の論理シミュレーションを
実行するシミュレータ装置は、セルライブラリb内の固
有遅延値(各セルごとに一義的に定義されている)を用
いて演算を行うように設計されているため、複数とおり
の固有遅延値を用いた演算を行うことはできない。この
ような問題を解決するために、シミュレータ装置のプロ
グラムを書き替えて、複数とおりの固有遅延値を用いた
演算を実行する機能を付加することも可能である。しか
しながら、本発明では、より単純な方法でこのような問
題を解決し、従来のシミュレータ装置に何ら改変を施す
ことなく、上述した本発明の基本的な手法を取り込むこ
とができるようにしている。以下、この方法を具体例に
即して説明する。
ン方法 図10は、本発明に係る集積回路の設計および論理シミ
ュレーションの基本手順を示す流れ図である。まず、ス
テップS11において、半導体集積回路の構成部品とな
る個々のセルについてのセルマスクパターンaが準備さ
れる(このステップS11は、図1の流れ図のステップ
S1と同様である)。続くステップS12では、このセ
ルマスクパターンaに基づいて、このセルの動作特性を
示す情報をもったセルライブラリが作成される。ただ
し、図1のステップS2とは異なり、このステップS1
2では、第1のセルライブラリb1と第2のセルライブ
ラリb2との2つのライブラリが作成される。
図のステップS2で作成されるセルライブラリbと同一
のものであり、たとえば、図2に示すセル「INV」に
ついては、図5に示すような遅延情報をもった第1のセ
ルライブラリb1が作成されることになる(もっとも、
本発明では、第1のセルライブラリb1内の出力負荷容
量依存係数kの値は不要である)。ここで、この第1の
セルライブラリb1内の固有遅延値t0は、出力負荷容
量CLのとるべき全範囲にわたって共通の値となり、こ
の値は、最終的にシミュレータ装置においてそのまま利
用されることになる。
負荷容量CLのとるべき範囲を複数n個の領域に分割
し、CLがi番目(1≦i≦n)の領域に属する場合の
遅延時間Tiが、Ti=t0i+ki・CLなる演算に
基づいて定まるように、個々のセルごとに、それぞれn
組の固有遅延値t0iおよび依存係数kiを定義し、こ
れらn組の固有遅延値t0iおよび依存係数kiを収容
したものである。ここに示す例では、前述したように、
出力負荷容量CLのとるべき範囲を2個の領域に分割し
(n=2)、 T=t01+k1・CL (CL<CLX) (2) T=t02+k2・CL (CL≧CLX) (3) なる演算式によって遅延時間Tを求めるようにしてい
る。したがって、第2のセルライブラリb2内には、上
記式(2) および式(3) に基づいて、固有遅延値t01,
t02と、依存係数k1,k2とが収容されることにな
る。
そう。たとえば、出力負荷容量CLと遅延時間Tとの関
係が図11の実線で表わされるようなセルを考える。こ
の例では、CL=1.0(pF)を閾値として2つの領
域が定義されており、各領域ごとに異なった固有遅延値
および依存係数が定義されている。すなわち、CL<
1.0の領域では、 T=t01+k1・CL=1.2+0.5*CL (4) なる式が定義され、CL≧1.0の領域では、 T=t02+k2・CL=0.2+1.5*CL (5) なる式が定義されている。
特性をもったセルについて、従来は、図11に一点鎖線
で示すように、出力負荷容量CLの全範囲にわたっての
近似直線を当てはめ、 T=t0+k・CL=1.0+1.0*CL (6) なる単一の線形近似式を定義していた。したがって、第
1のセルライブラリb1内のセル「INV」の遅延情報
としては、この式(6) に対応した固有遅延値t0=1.
0(ns)と、出力負荷容量依存係数k=1.0(ns
/pF)とが収容されることになる。図12(a) は、こ
の第1のセルライブラリb1内に収容された遅延情報の
フォーマットの一例を示す図である。これに対して、第
2のセルライブラリb2内のセル「INV」の遅延情報
としては、前述の式(4) ,(5) に対応した固有遅延値t
01=1.2(ns),t02=0.2(ns)と、出
力負荷容量依存係数k1=0.5(ns/pF),k2
=1.5(ns/pF)とが収容されることになる。図
12(b) は、この第2のセルライブラリb2内に収容さ
れた遅延情報のフォーマットの一例を示す図である。こ
こに示す例では、第2のセルライブラリb2内に、各固
有遅延値t01,t02および各係数k1,k2が、そ
れぞれ出力負荷容量の条件(「1pF未満」または「1
pF以上」)とともに収容されており、また、第1のセ
ルライブラリb1内の固有遅延値t0の値(この例で
は、1.0(ns))も併せて収容されている。
のセルライブラリb1および第2のセルライブラリb2
が作成されると、続くステップS13において、集積回
路の回路図を作成する作業が行われ、ステップS14に
おいて、回路図の階層展開が行われる。これらの各処理
は、図1に示すステップS3およびステップS4の処理
と同一であり、ここでは説明を省略する。
展開された回路図が得られると、ステップS15におい
て、セル間配線についての配線遅延時間が、ディレイカ
リキュレータ装置によって求められる。このステップS
15の処理は、図1のステップS5の処理とほぼ同じで
あるが、第1のセルライブラリb1の代わりに、第2の
セルライブラリb2内の遅延情報を用いた演算が行われ
る点が異なる。すなわち、図7に示す例において、セル
X1の出力端子OからセルX2の入力端子Iに至るまで
の経路(出力負荷容量CL1に対応する経路:以下、第
1の経路と呼ぶ)については、出力負荷容量CL1=
0.5pFであるから、図12(b) に示す第2のセルラ
イブラリ内の遅延情報を参照すると、出力負荷容量が1
pF未満という条件が適用され、依存係数k1=0.5
(ns/pF)を用いた演算により、配線遅延値te=
k1・CL1=0.5*0.5=0.25(ns)なる
値が得られることになる。同様に、セルX2の出力端子
Oから集積回路の出力端子OUTに至るまでの経路(出
力負荷容量CL2に対応する経路:以下、第2の経路と
呼ぶ)については、出力負荷容量CL2=2.0pFで
あるから、図12(b)に示す第2のセルライブラリ内の
遅延情報を参照すると、出力負荷容量が1pF以上とい
う条件が適用され、依存係数k2=1.5(ns/p
F)を用いた演算により、配線遅延値te=k2・C
L2=1.5*2.0=3.0(ns)なる値が得られ
ることになる。
ての配線遅延値を示す図表である。図8に示す図表と比
較すると、各値にかなりの差があることがわかる。この
ように、図8に示す配線遅延値に比べ、図13に示す配
線遅延値はより精度の高い値になっている。しかしなが
ら、この図13に示す配線遅延値をそのまま配線遅延情
報として出力し、これを論理シミュレーションに用いる
ことは好ましくない。§2においても述べたように、出
力負荷容量CLの領域により異なる依存係数kを設定す
ると、グラフのT軸切片値も異なることになるので、論
理シミュレーションを行う上で、各領域ごとに異なる固
有遅延値を採用しなければならなくなるためである。
路についての配線遅延値として0.25(ns)、第2
の経路についての配線遅延値として3.0(ns)なる
値がそれぞれ得られているが、これらの値は、それぞれ
異なる固有遅延値を採用することを前提として得られた
値である。したがって、第1の経路について0.25
(ns)なる配線遅延値を採るのであれば、第1のセル
X1の固有遅延値としては、t01=1.2(ns)な
る値(図11の実線上のT軸切片値)を採り、第2の経
路について3.0(ns)なる配線遅延値を採るのであ
れば、第2のセルX2の固有遅延値としては、t02=
0.2(ns)なる値(図11の破線上のT軸切片値)
を採る必要がある。しかしながら、従来から利用されて
いる一般的なシミュレータ装置は、1つのセルについて
1つの固有遅延値が定義されていることを前提とした処
理を行うため、同一の「INV」なるセルについて、t
01=1.2(ns)なる第1の固有遅延値と、t02
=0.2(ns)なる第2の固有遅延値とを、集積回路
内の遅延因子を考慮して使い分けるという処理を行うこ
とはできず、第1のセルライブラリb1内に設定された
共通の固有遅延値t0=1.0(ns)を用いた処理を
行わざるを得ない。
て配線遅延時間を算出する段階で、固有遅延値t0との
差を補正する処理を行うようにしている。すなわち、第
1の経路については、出力負荷容量が1pF未満という
条件が適用されているので、本来は、t01=1.2
(ns)なる第1の固有遅延値を用いる必要があるの
で、この第1の固有遅延値t01と、第1のセルライブ
ラリb1内に設定された共通の固有遅延値t0との差
(t01−t0)=1.2−1.0=0.2(ns)を
求め、この差を補正値として、図13に示す配線遅延値
0.25(ns)に加えることにより、補正後の配線遅
延値0.45(ns)を求める。同様に、第2の経路に
ついては、出力負荷容量が1pF以上という条件が適用
されているので、本来は、t02=0.2(ns)なる
第2の固有遅延値を用いる必要があるので、この第2の
固有遅延値t02と、第1のセルライブラリb1内に設
定された共通の固有遅延値t0との差(t02−t0)
=0.2−1.0=−0.8(ns)を求め、この差を
補正値として、図13に示す配線遅延値3.0(ns)
に加えることにより、補正後の配線遅延値2.2(n
s)を求める。図14は、こうして得られた補正後の配
線遅延値を示す図表である。
キュレータ装置を用いて、個々の経路について、次のよ
うな演算が行われることになる。まず、その経路の出力
負荷容量CLが1pF未満か、1pF以上かを判断す
る。そして、1pF未満の場合には、 te=k1・CL+(t01−t0) (7) なる式に基づいて、配線遅延値teを求める。逆に、1
pF以上の場合には、 te=k2・CL+(t02−t0) (8) なる式に基づいて、配線遅延値teを求める。上述の具
体例の場合、第1の経路については、出力負荷容量C
L1=0.5pF(1pF未満)なので、式(7) を適用
して、 te=0.5*0.5+(1.2−1.0)=0.45 なる演算が行われ、第2の経路については、出力負荷容
量CL2=2.0pF(1pF以上)なので、式(8) を
適用して、 te=1.5*2.0+(0.2−1.0)=2.2 なる演算が行われ、最終的に、図14に示すような補正
後の配線遅延値が得られることになる。ステップS15
で作成される配線遅延情報c*は、各配線について、こ
のような補正後の配線遅延値を収容したものである。な
お、ここに示す例では、図12(b) に示すように、第2
のセルライブラリb2内に、第1のセルライブラリb1
内の固有遅延値t0の値も収容するようにしているの
で、ディレイカリキュレータ装置を用いてステップS1
5の演算処理を行う上では、第2のセルライブラリb2
のみを用いるだけで十分である。もちろん、このステッ
プS15の処理において、第1のセルライブラリb1を
参照して固有遅延値t0の値を得るようにするのであれ
ば、第2のセルライブラリb2内に固有遅延値t0の値
を収容しておく必要はない。
ミュレーションが行われる。すなわち、シミュレータ装
置に対して、ステップS12で作成された第1のセルラ
イブラリb1と、ステップS15で作成した配線遅延情
報c*とを与えると、集積回路全体についてのトータル
の遅延時間を求めるシミュレーションが実行される。こ
のシミュレーションは、図1の手順におけるステップS
6のシミュレーションと同一である。すなわち、図7に
示す集積回路の場合、セルX1およびセルX2について
の固有遅延値としては、第1のセルライブラリb1内に
定義されている共通の固有遅延値t0が用いられる。図
5に示すように、この共通の固有遅延値t0=1.0
(ns)である。また、図14に示すとおり、第1の経
路についての補正後の配線遅延値teは0.45(n
s)であり、第2の経路についての補正後の配線遅延値
teは2.2(ns)であるから、結局、集積回路全体
の遅延時間は、 1.0+0.45+1.0+2.2=4.65(ns) (9) となる。
は、必ずしも理論的には正しい意味合いをもった数値で
はない。式(9) に対応した正しい意味合いをもった演算
式を記述すると、次に示す式(10)のようになる。
うに、出力負荷容量が1pF未満という条件における固
有遅延値t01の値であり、左辺第2項は、同条件にお
ける依存係数k1と出力負荷容量CL1との積(0.5
*0.5)であり、これら2項は、セルX1についての
固有遅延値および状態依存遅延値を示すものである。同
様に、左辺第3項は、図12(a) に示すように、出力負
荷容量が1pF以上という条件における固有遅延値t0
2の値であり、左辺第4項は、同条件における依存係数
k2と出力負荷容量CL2との積(2.0*1.5)で
あり、これら2項は、セルX2についての固有遅延値お
よび状態依存遅延値を示すものである。これに対し、式
(9) の左辺各項は、必ずしも理論的な正しい意味合いを
もつ数値にはなっていない。しかしながら、式(9) を用
いた演算を行えば、同一のセルについては、第1のセル
ライブラリb1内に収容されている共通の固有遅延値t
0(左辺第1項および第3項)を用いることができるの
で、従来のシミュレータ装置をそのまま利用することが
可能になる。しかも、式(9) を用いた演算結果は、式(1
0)を用いた演算結果と同じになり、正しい演算結果が得
られることになる。
への拡張 以上、本発明を図示する実施形態に基づいて説明した
が、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、
この他にも種々の形態で実施可能である。特に、上述の
実施形態では、遅延因子を示すパラメータ値Pとして出
力負荷容量、すなわち、セル後段に接続される配線につ
いての寄生容量値を用いているが、パラメータ値Pとし
ては、この他にも、たとえば、各セルの入力信号波形の
歪みを示す値などを用いることも可能である。
ラメータ値を用いる場合にも適用可能である。たとえ
ば、第1の遅延因子を示すパラメータ値p1として、セ
ル後段に接続される出力負荷容量値を用い、第2の遅延
因子を示すパラメータ値p2として、セルの入力信号波
形の歪みを示す値を用いた場合を考える。この場合、遅
延因子を示すパラメータPは、2つのパラメータ値p
1,p2から構成されることになり、これら2つのパラ
メータ値を引数とする関数f(p1,p2)を定義する
ことにより、1つのセルについての遅延時間Tは、固有
遅延値t0とこの関数f(p1,p2)との和として定
義されることになる。ここで、パラメータ値p1をX軸
上にとり、パラメータ値p2をY軸上にとり、遅延時間
TをZ軸上にとれば、T=t0+f(p1,p2)なる
式で定義される遅延時間Tは、このXYZ三次元空間に
おいて面で表される関数になる。
2を用いたシミュレーションに本発明を適用する場合に
は、次のような手法をとればよい。まず、XY平面(p
1・p2平面)を複数n個の領域に分割し、各領域ごと
にそれぞれ別個の関数を用いて各セルの遅延時間Tを定
義する。すなわち、i番目(1≦i≦n)の領域につい
てのセルの遅延時間Tiが、Ti=t0i+fi(p
1,p2)なる演算に基づいて定まるように、合計n組
の固有遅延値t01,t02,…,t0i,…,t0n
と、合計n組の関数f1(p1,p2),f2(p1,
p2),…,fi(p1,p2),…,fn(p1,p
2)とを、個々のセルごとに定義し、これらn組の固有
遅延値t0iおよび関数fi(p1,p2)を収容した
第2のセルライブラリを作成する。なお、第1のセルラ
イブラリには、従来どおり、1つのセルについて1つの
固有遅延値t0のみが定義されている。
セルについて、それぞれ適用すべき一対のパラメータ値
p1,p2を決定し、決定した一対のパラメータ値の組
み合わせが、XY平面(p1・p2平面)上のどの領域
に所属するかを特定する。たとえば、i番目の領域に所
属する場合には、第2のセルライブラリから、このi番
目の領域について定義された固有遅延値t0iおよび関
数fi(p1,p2)を選択し、第1のセルライブラリ
内の固有遅延値t0を用いて、te=fi(p1,p
2)+(t0i−t0)なる演算によって状態依存遅延
値teを求める。そして、こうして求めた状態依存遅延
値teと第1のセルライブラリ内の固有遅延値t0との
和をそのセルの遅延時間Tとして、論理シミュレーショ
ンを実行すればよい。もちろん、第1のセルライブラリ
内の固有遅延値t0を、第2のセルライブラリ内にも収
容するようにしておけば、状態依存遅延値teの演算
を、第2のセルライブラリのみを用いて行うようにする
ことも可能である。
ータ値p1,p2を用いる例を述べたが、本発明は、パ
ラメータPを、複数m個の遅延因子に関するm個のパラ
メータ値p1,p2,…,pmによって構成する一般的
な場合にも拡張して適用可能である。この場合には、こ
のm個の各パラメータ値をそれぞれ座標軸にとったm次
元空間を定義し、このm次元空間を複数n個の領域に分
割し、i番目(1≦i≦n)の領域についての関数とし
て、m組の値p1,p2,…,pmを引数とした関数f
i(p1,p2,…,pm)を定義するようにすればよ
い。
P(単一のパラメータ値によって表されるパラメータで
もよいし、複数のパラメータ値の組み合わせによって表
されるパラメータでもよい)のとるべき範囲を複数n個
の領域に分割し、各領域ごとに、それぞれ異なる関数を
適用して遅延時間の算出を行い、より精度の高い論理シ
ミュレーションを行うことにある。そこで、n個の分割
領域のうちのi番目の分割領域についての遅延時間Ti
を、Ti=t0i+fi(P)なる式で定義できるよう
に、それぞれn組の固有遅延値t0iおよび関数fi
(P)を定義し(1≦i≦n)、これら固有遅延値t0
iおよび関数fi(P)によって第2のセルライブラリ
を作成する。原理的には、この第2のセルライブラリを
用いて、各セルの実際の遅延時間を求めることが可能で
ある。たとえば、実際の半導体集積回路を構成する具体
的なセルCについての実際のパラメータPがi番目の領
域に属していた場合には、第2のセルライブラリから得
られるi番目の固有遅延値t0iを、このセルC自身に
よって生じる固有遅延値とし、同じく第2のセルライブ
ラリから得られるi番目の関数fi(P)の値を、この
セルCについての状態依存遅延値とし、このセルCにつ
いての全遅延時間Tiを、Ti=t0i+fi(P)な
る和として求めることができる。
ミュレータ装置をそのまま利用したシミュレーションを
実行できるようにするためには、セル自身によって生じ
る固有遅延値としては、第1のライブラリ内に用意され
た単一の値t0(パラメータPのとるべき範囲にかかわ
らず共通の値)を用いる必要がある。そこで、(t0i
−t0)なる差分を加味した状態依存遅延値teを、t
e=fi(P)+(t0i−t0)なる式で定義し、差
分を補正するようにしている。これが本発明の第2の要
点である。したがって、本発明によれば、シミュレータ
装置による演算では、従来と同様に、第1のセルライブ
ラリ内の固有遅延値t0が用いられるが、ディレイカリ
キュレータ装置による演算では、上述した補正後の状態
依存遅延値te=fi(P)+(t0i−t0)が用い
られることになり、最終的に、このセルについてのトー
タルな遅延時間Tiとしては、Ti=t0+te=t0
i+fi(P)なる値が得られることになり、前述の第
1の要点で述べた所期の遅延値を得ることが可能にな
る。
を組み合わせることにより、従来から利用されているシ
ミュレータ装置をそのまま利用しつつ、各セルについて
得られる遅延時間の精度を高めることが可能になる。
理シミュレーション方法によれば、従来から利用されて
いるシミュレータ装置をそのまま利用して、個々のセル
についての遅延時間をより高精度に求めることができる
ようになる。
ュレーションの基本手順を示す流れ図である。
一例を示す回路図である。
容量CLを接続した状態を示す回路図である。
遅延時間Tとの関係を示すグラフである。
に用意される遅延情報を示す図表である。
回路の一例を示す回路図である。
部分の寄生容量(出力負荷容量)を示す容量素子を付記
した回路図である。
た各経路についての配線遅延値を示す図表である。
たときの、出力負荷容量CLと遅延時間Tとの関係を示
すグラフである。
ュレーションの基本手順を示す流れ図である。
いたときの、出力負荷容量CLと遅延時間Tとの関係を
具体的な数値で示すグラフである。
セルライブラリb1および第2のセルライブラリb2に
収容された遅延情報のフォーマット例を示す図である。
得られた各経路についての補正前の配線遅延値を示す図
表である。
得られた各経路についての補正後の配線遅延値を示す図
表である。
Claims (6)
- 【請求項1】 複数のセルを相互に接続してなる半導体
集積回路について、個々のセルごとに、そのセル自身に
よって生じる固有遅延値t0と、所定の遅延因子を示す
パラメータPを引数とする関数f(P)とを定義し、個
々のセルごとの遅延時間Tを、前記固有遅延値t0と前
記関数f(P)との和として求め、この遅延時間Tを用
いて論理シミュレーションを行う方法において、 個々のセルについて、一定の固有遅延値t0を定義し、
この固有遅延値t0を収容した第1のセルライブラリを
作成する第1の段階と、 前記パラメータPのとるべき範囲を複数n個の領域に分
割し、i番目(1≦i≦n)の領域についてのセルの遅
延時間Tiが、Ti=t0i+fi(P)なる演算に基
づいて定まるように、個々のセルごとに、それぞれn組
の固有遅延値t0iおよび関数fi(P)を定義し、こ
れらn組の固有遅延値t0iおよび関数fi(P)を収
容した第2のセルライブラリを作成する第2の段階と、 半導体集積回路を構成する個々のセルについて、それぞ
れ適用すべきパラメータPを決定し、決定したパラメー
タPに基づいて、前記第2のセルライブラリから特定の
固有遅延値t0iおよび関数fi(P)を選択し、前記
第1のセルライブラリ内の固有遅延値t0を用いて、t
e=fi(P)+(t0i−t0)なる演算によって状
態依存遅延値teを求める第3の段階と、 前段階で求めた状態依存遅延値teと前記第1のセルラ
イブラリ内の固有遅延値t0との和をセルの遅延時間T
として用いて論理シミュレーションを実行する第4の段
階と、 を有することを特徴とする集積回路の論理シミュレーシ
ョン方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の論理シミュレーション
方法において、 パラメータPを、複数m個の遅延因子に関するm組の値
p1,p2,…,pmによって構成し、このm組の各値
をそれぞれ座標軸にとったm次元空間を定義し、このm
次元空間を複数n個の領域に分割し、i番目(1≦i≦
n)の領域についての関数として、m組の値p1,p
2,…,pmを引数とした関数fi(p1,p2,…,
pm)を定義するようにしたことを特徴とする集積回路
の論理シミュレーション方法。 - 【請求項3】 複数のセルを相互に接続してなる半導体
集積回路について、個々のセルごとに、そのセル自身に
よって生じる固有遅延値t0と、所定の遅延因子を示す
パラメータ値Pおよびこのパラメータ値Pに対する依存
係数kとを定義し、個々のセルごとの遅延時間Tを、前
記固有遅延値t0と、前記パラメータ値Pおよび依存係
数kとの積k・Pからなる状態依存遅延値teと、の和
として求め、この遅延時間Tを用いて論理シミュレーシ
ョンを行う方法において、 個々のセルについて、所定の固有遅延値t0を定義し、
この固有遅延値t0を収容した第1のセルライブラリを
作成する第1の段階と、 前記パラメータ値Pのとるべき範囲を複数n個の領域に
分割し、パラメータ値Pがi番目(1≦i≦n)の領域
に属する場合の遅延時間Tiが、Ti=t0i+ki・
Pなる演算に基づいて定まるように、個々のセルごと
に、それぞれn組の固有遅延値t0iおよび依存係数k
iを定義し、これらn組の固有遅延値t0iおよび依存
係数kiを収容した第2のセルライブラリを作成する第
2の段階と、 半導体集積回路を構成する個々のセルについて、それぞ
れ適用すべきパラメータ値Pを決定し、決定したパラメ
ータ値Pに基づいて、前記第2のセルライブラリから特
定の固有遅延値t0iおよび依存係数kiを選択し、前
記第1のセルライブラリ内の固有遅延値t0を用いて、
te=ki・P+(t0i−t0)なる演算によって状
態依存遅延値teを求める第3の段階と、 前段階で求めた状態依存遅延値teと前記第1のセルラ
イブラリ内の固有遅延値t0との和をそのセルについて
の遅延時間Tとして論理シミュレーションを実行する第
4の段階と、 を有することを特徴とする集積回路の論理シミュレーシ
ョン方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の論理シ
ミュレーション方法において、 第1のセルライブラリ内の固有遅延値t0を、第2のセ
ルライブラリ内にも収容するようにし、第3の段階にお
ける状態依存遅延値teの演算を、第2のセルライブラ
リのみを用いて行うようにしたことを特徴とする集積回
路の論理シミュレーション方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の論理シ
ミュレーション方法において、 所定の遅延因子を示すパラメータ値Pとして、個々のセ
ルの出力負荷容量CLを用いるようにし、セル間の配線
に基づく遅延値を状態依存遅延値teとして定義するこ
とを特徴とする集積回路の論理シミュレーション方法。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の論理シ
ミュレーション方法において、 所定の遅延因子を示すパラメータ値Pとして、個々のセ
ルへの入力波形の歪みを示す値を用いるようにし、この
入力波形の歪みに基づく遅延値を状態依存遅延値teと
して定義することを特徴とする集積回路の論理シミュレ
ーション方法。
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---|---|---|---|
JP27719896A JP3964483B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 集積回路の論理シミュレーション方法 |
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JPH10105581A true JPH10105581A (ja) | 1998-04-24 |
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