JPH10104382A - 原子炉用制御棒 - Google Patents

原子炉用制御棒

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JPH10104382A
JPH10104382A JP9185470A JP18547097A JPH10104382A JP H10104382 A JPH10104382 A JP H10104382A JP 9185470 A JP9185470 A JP 9185470A JP 18547097 A JP18547097 A JP 18547097A JP H10104382 A JPH10104382 A JP H10104382A
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neutron absorbing
sheath
control rod
plate
load supporting
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JP9185470A
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Tomoko Tajima
智子 田嶋
Hideki Morishita
秀樹 森下
Kiyoshi Ueda
精 植田
Shigenori Shiga
重範 志賀
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】支持構造を改善して制御棒の機械的・物理的強
度を向上させ、核的寿命と均衡化させて一層の長寿命化
を図れるようにした原子炉用制御棒を提供する。 【解決手段】原子炉用制御棒16は、横断面が深いU字
状のシース7を中央構造材6に固着してウイング17を
構成する。ウイング17の挿入先端側に先端構造材4
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着する一方、
U字状シース7内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
14,18をシース長手方向に列状に収容し、それぞれ
複数の荷重支持部材12で保持する。ウイング17に列
状に収容される一体型中性子吸収要素14,18のう
ち、重量が相対的に重くなる少なくとも1組の一体型中
性子吸収要素18のシース長手方向長さを短尺化する。
短尺化された一体型中性子吸収要素18はU字状シース
7に複数の荷重支持部材12で保持され、U字状シース
7に加わる局所的荷重を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉用の制御棒に
係り、特に沸騰水型原子炉において機械的健全性を向上
させた長寿命型の原子炉用制御棒に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉(Boiling Water Reacto
r,BWR)の制御棒は、中央の横断面十字状の中央構造
材に深いU字状横断面の長尺シースを固着して横断面が
十字型に構成されており、上記シース内に中性子吸収材
を収納して4枚のウィングを形成している。このウィン
グの挿入先端部に先端構造材を、また挿入末端部には末
端構造材を設けて制御棒が構成される。
【0003】従来の制御棒において、U字状のシースは
ステンレス鋼(以下、SUSと略称する)製で、シース
内に収容される中性子吸収材として直径5mm程度のSU
S管の中に、ボロンカーバイド(B4 C)の中性子吸収
材粉末を充填した中性子吸収棒が用いられてきた。
【0004】しかし、前記ボロン(B)は中性子と反応
してヘリウム(He)とリチウム(Li)となり、中性
子吸収能力が劣化することから核的寿命が短く、また、
中性子反応により発生するヘリウムガスによる内圧上昇
等によりSUS管は健全性が低下して機械的・物理的寿
命が短くなる恐れがあった。
【0005】原子炉用制御棒の長寿命化を図るには、機
械的寿命が長く、かつヘリウムガスを発生させない中性
子吸収材を用いる必要がある。
【0006】この長寿命化が可能な制御棒として、長寿
命型中性子吸収材であるハフニウム(以下、Hfと略称
する)を従来の中性子吸収棒の一部または全部と入れ替
えた構成の長寿命型制御棒が実用化されている。しかし
長寿命型中性子吸収材としてのHfは比重が約13と極
めて大きく、従来のボロンカーバイドを用いた中性子吸
収棒と同一横断面のHf棒を用いると、中性子吸収能力
(反応度価値)はほぼ同じながら制御棒全体の重量は約
1.5倍に増加して、重量増加を招くために稼働中の既
存の原子炉にバックフィットさせることができない。
【0007】既存の原子炉にバックフィットさせる対策
としては、Hfを板状とすると共に2枚のHf板を間隙
をあけて対峙させて、その間隙に水を導入する軽量化構
成を図った、いわゆるトラップ型のHf制御棒が、特公
平1−34358号公報「原子炉用制御棒」により提案
されている。
【0008】また、沸騰水型原子炉においては、制御棒
を炉心へ挿入した際に挿入末端側の約半分においては、
中性子吸収能力を低下させても原子炉制御に差支えない
という炉心構造に着目して、挿入末端側のHf量を挿入
先端側より少なくするように構成した制御棒を、特公平
7−3468号「原子炉用制御棒」において提案してい
る。
【0009】前記Hf板を用いてトラップ構成とした長
寿命型制御棒については、すでに多くの沸騰水型原子炉
において優れた使用実績が得られており、現在まで制御
棒寿命を保守的(短め)に設定しているが、実際には、
制御棒の設定寿命がかなり長くできる見通しが得られつ
つある。
【0010】また、原子炉用制御棒の設定寿命を長くす
る場合には、U字状のシース等のSUS製構造材の機械
的強度を向上させることも効果的であることが分かって
きた。
【0011】図19乃至図21はHfトラップ型原子炉
用制御棒の概要を示したもので、図19(a)は一部切
断斜視図、図19(b)は原子炉用制御棒の4枚のウィ
ングのうちの1つを示す横断面図、図19(c)は間隙
保持を兼ねる荷重支持部材(荷重支持スペーサあるいは
コマスペーサとも呼ぶ)の斜視図である。
【0012】また、図20(a)は図19(a)の原子
炉用制御棒においてU字状シースを切欠いて示す正面
図、図20(b)はシース内部に装着された中性子吸収
材の中性子吸収板であるHf板の厚さの一例で、シース
長手方向である制御棒挿抜方向の分布図を示す。
【0013】さらに、図21(a)は図20(a)の要
部拡大正面図で、図21(b)は図21(a)に示す一
対のHf板の拡大正面図、図21(c)は図21(b)
におけるA−A線に沿った横断面図である。
【0014】長寿命型の原子炉用制御棒1は図19
(a)に示すように、4枚のウィング2により横断面が
十字型となっており、炉心への挿入先端部にはハンドル
3と一体化された先端構造材4が、挿入末端部には末端
構造材5がそれぞれ固着されている。
【0015】原子炉用制御棒1の軸心部には十字型のS
US製の中央構造材(中央タイロッド)6を設けて先端
構造材4と末端構造材5と一体化している。この一体型
中央構造材6の各突出部には、前記ウィング2の外周を
形成する深いU字形断面のSUS製シース7の開口部
が、溶接により固着されている。
【0016】また、U字状のシース7には複数のシース
孔8と通水孔9があけられていて、内部に中性子吸収板
である2枚のHf板10が、間隔保持スペーサを兼ねる
荷重支持部材12で支持され、2枚のHf板10間に水
間隙11(原子炉の中で使用している際に冷却水である
水が流通する間隙)が形成される。
【0017】前記荷重支持部材12は、コマのような形
状で中央の間隔保持部12aの厚みが間隔保持スペーサ
の機能を有して2枚のHf板10,10を間隔保持する
一方、両側の支持軸12bがシース7のシース孔8に装
着され、2枚のHf板10,10は間隔保持部12aと
シース7との間に挟持される。荷重支持部材12の支持
軸12bをシース孔8に嵌合して溶接によりU字状シー
ス7に固着することでHf板10を支持し、その荷重を
シース7により保持させている。
【0018】この原子炉用制御棒1は原子炉の炉心に挿
抜操作されるが、この制御棒の挿抜操作の際には制御棒
の断続的駆動時や、特に原子炉スクラム時の駆動開始時
と減速時には衝撃的な力がシース7に加わる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】長寿命型制御棒1にお
いて、ウィング2を形成するSUS製シース7及び荷重
支持部材12と、中性子吸収材であるHf板10とは、
材料を異にするため、それぞれの熱膨張係数が3倍ほど
異なっている。例えば、SUSは17.8×10-6/de
g-C であるが、Hfは5.9×10-6/deg-C である
(「原子炉材料ハンドブック」日刊工業新聞社刊行)。
【0020】このために、荷重支持部材12の支持軸1
2bに装着するHf板10の装着孔13の直径は、支持
軸12bの直径より大きくして余裕を持たせることによ
り、原子炉運転に際しての熱サイクルにおける膨張と収
縮により互いが干渉することを回避するようにしてい
る。
【0021】図20に示す原子炉用制御棒の例では、制
御棒1に組み込まれるHf板10は、全体が炉心への挿
入方向であるシース長手方向長さLを、長手方向に例え
ば8等分している。1枚のHf板10の長さlは約L/
8である。
【0022】また、図20及び図21(a)において
は、図示の便宜上から軸方向に圧縮して描かれており、
図21(b)については実機とほぼ相似に示されてい
る。
【0023】原子炉用制御棒のウィング2内には、向い
合わせの2枚の長寿命型中性子吸収板であるHf板10
で一組のHf板対14を形成している。このHf板対1
4はそれぞれ例えば4個の荷重支持部材12を介してシ
ース7に保持されている。3個あるいは5個、6個の荷
重支持部材12で保持してもよい。
【0024】なお、Hf板10の装着孔13とシース7
のシース孔8とのシース長手方向のピッチ15は同じ寸
法としている。
【0025】制御棒1の挿抜操作に際してシース7に
は、静止状態の時に荷重支持部材12を介して加わるH
f板対14の重量による静荷重の外に、Hf板対14と
の相対的移動による動的な荷重が加わるが、この相対的
移動による荷重は、特に断続的操作時や、原子炉スクラ
ム時の急速駆動に際しての駆動開始時と減速時には衝撃
荷重となる。
【0026】これらの各荷重は、一般に4個の荷重支持
部材12が分担して支持して、シース7に伝達するよう
に考えられ勝ちであるが、実際にはHf板10の装着孔
13と荷重支持部材12の支持軸12bの間に、前記異
なる材質における熱膨張係数の相違による熱膨張差を考
慮した余裕の間隙をあけていても、製作公差等のために
不特定の1個の荷重支持部材が荷重を負担してしまう場
合も考えられる。
【0027】最悪の場合には、未知の特定の1個の荷重
支持部材12が大きな応力を受けることになり、当該荷
重支持部材12が固着された位置のシース孔8に応力が
局所的に集中することから、シース7の健全性を確保す
る上で好ましくない。
【0028】また、Hf板対14における対のHf板1
0は、図20(b)に示すように挿入先端ほど中性子照
射量が多く、反応度価値も高くする必要がある。このこ
とから、原子炉用制御棒16は挿入先端側ほどHf板1
0を厚く、挿入末端になるに従って薄くしている。
【0029】各Hf板10のシース長手方向である制御
棒挿抜方向の長さlは、通常同一長さであり、シース7
の厚さもそれぞれ制御棒挿抜方向に一定である。また、
Hf板10間に形成される水間隙11は広いほど反応度
価値が高くなる。
【0030】このために、一般に原子炉用制御棒ではシ
ース7をなるべく薄くすることが望ましいが、シース7
の厚さはシース7の機械的・物理的強度に係ることか
ら、過剰に減少させると機械的健全性を損なう要因とな
り、制御棒1の長寿命化が阻害される。
【0031】原子炉用制御棒1のシース7に加わる荷重
のシース長手方向分布は、挿入先端ほどHf板10が厚
いために大きくなっており、シース7の厚さを設計する
際には、中性子吸収板であるHf板10による重量と、
制御棒1の操作に際して受ける衝撃荷重を合わせ、か
つ、製作公差等を勘案した機械的強度を十分に考慮して
決定する必要がある。
【0032】また、原子炉用制御棒1に地震等で横向き
の衝撃が生じた場合、全長が細長い制御棒1では長手方
向の中央部付近に比較的大きな応力が発生することか
ら、この中央部付近の機械的強度の確保も重要な課題と
なっている。
【0033】原子炉用制御棒1をできるだけ長期間使用
することは、制御棒1の信頼性と原子炉運転の経済性向
上に貢献するので、長寿命型の制御棒1のさらに長寿命
化に意義があり、原子炉用制御棒1をより一層長寿命化
するためには、従来中性子吸収における核的寿命に比べ
て制約となっていた機械的・物理的強度を増大させる必
要がある。
【0034】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、支持構造を改善して制御棒の機械的・物理的
強度を向上させ、核的寿命を均衡化させて一層の長寿命
化を図れるようにした原子炉用制御棒を提供することを
目的とする。
【0035】本発明の他の目的は、機械的・物理的強度
を向上させて制御棒の長期間使用を可能とし、信頼性と
原子炉運転の経済性を向上させた原子炉用制御棒を提供
するにある。
【0036】本発明のさらに他の目的は、U字状シース
に作用する荷重支持部材1個当りの荷重を低減させ、U
字状シースに加わる局部的応力を軽減させ、制御棒の健
全性を高めた原子炉用制御棒を提供するにある。
【0037】本発明の別の目的は、U字状シースの健全
性を向上させる一方、制御棒の反応度価値を向上させ、
核的寿命を増加させた原子炉用制御棒を提供するにあ
る。
【0038】本発明のさらに別の目的は、一体型中性子
吸収要素の荷重を分担させてU字状シースの耐応力と機
械的・物理的強度を向上させた原子炉用制御棒を提供す
るにある。
【0039】また、本発明の他の目的は、荷重支持部材
および一体型中性子吸収要素の健全性を維持し、長寿命
で信頼性を向上させた原子炉用制御棒を提供するにあ
る。
【0040】本発明のさらに他の目的は、U字状シース
を中央構造材の凹状突起に突き合せ溶接して溶接部の信
頼性を向上させ、機械的・物理的強度を向上させた原子
炉用制御棒を提供するにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明に係る原子炉用制
御棒は、上述した課題を解決するために、請求項1に記
載したように、横断面が深いU字状をなす長尺のシース
の開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構
成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
した原子炉用制御棒において、前記ウィングに収容され
る複数組の一体型中性子吸収要素のうち、重量が相対的
に大きくなる少なくとも1組の一体型中性子吸収要素の
シース長手方向長さを短尺化し、短尺化した一体型中性
子吸収要素をそれぞれ複数の荷重支持部材でU字状シー
スに保持し、U字状シースに加わる局所的な荷重を低減
させたものである。
【0042】また、本発明に係る原子炉用制御棒は、上
述した課題を解決するために、請求項2に記載したよう
に、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、重量が相対的に大きくなる少なく
とも1組の一体型中性子吸収要素をウィング幅方向に複
数に分割し、分割された一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材でU字状シースに重量保持させ、
前記分割された一体型中性子吸収要素を支持する荷重支
持部材の合計支持能力が、一体型中性子吸収要素が未分
割時の荷重支持部材の支持能力を越えるように設定した
ものである。
【0043】上述した課題を解決するために、本発明に
係る原子炉用制御棒は、請求項3に記載したように、ウ
ィング幅方向に分割された一体型中性子吸収要素は、分
割された一体型中性子吸収要素間の少なくとも1箇所に
中性子吸収材入りスティフナを配置するとともに上記ス
ティフナをU字状シースに固着したものである。
【0044】また、上述した課題を解決するために、本
発明に係る原子炉用制御棒は、請求項4に記載したよう
に、ウィング幅方向に複数に分割された一体型中性子吸
収要素は、前記ウィングの外側縁に位置する一体型中性
子吸収要素のウィング幅方向単位長さ当たりの中性子吸
収能力をウィング外側縁を除く部位に比べて増加させた
ものである。
【0045】さらに、本発明に係る原子炉用制御棒は、
上述した課題を解決するために、請求項5に記載したよ
うに、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素は、荷
重支持部材の支持軸を余裕をもって挿通可能な装着孔を
形成し、上記装着孔はシース長手方向に離間してウィン
グ幅方向内側と外側に少なくとも2個づつそれぞれ設け
られ、シース長手方向に対をなす2個の荷重支持部材間
の距離は、前記装着孔のシース長手方向ピッチが製作公
差を越えて装着孔径の余裕未満となる範囲で異ならせた
ものである。
【0046】上述した課題を解決するために、本発明に
係る原子炉用制御棒は、請求項6に記載したように、前
記装着孔のシース長手方向ピッチと異ならせたシース長
手方向に対をなす2個の荷重支持部材はウィング幅方向
内側に設けられたものである。
【0047】さらにまた、本発明に係る原子炉用制御棒
は、上述した課題を解決するために、請求項7に記載し
たように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開
口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成
し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要
素は、荷重支持部材の支持軸を余裕をもって挿通可能な
装着孔を形成し、上記装着孔はシース長手方向に離間し
てウィング幅方向内側と外側とに少なくとも2個づつそ
れぞれ設けられ、前記一体型中性子吸収要素の装着孔の
シース長手方向ピッチは、荷重支持部材対間のシース長
手方向ピッチに比べて製作公差を越えて装着孔径の余裕
未満となる範囲で異ならせたものである。
【0048】上述した課題を解決するために、本発明に
係る原子炉用制御棒は、請求項8に記載したように、荷
重支持部材対間のシース長手方向ピッチと異なるシース
長手方向ピッチの装着孔は、一体型中性子吸収要素のウ
ィング幅方向内側に形成されたものである。
【0049】またさらに、本発明に係る原子炉用制御棒
は、上述した課題を解決するために、請求項9に記載し
たように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開
口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成
し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要
素を保持する複数の荷重支持部材の少なくとも一部は、
一体型中性子吸収要素の中央付近に近接して設けるとと
もにこの中央付近に設けられた荷重支持部材の支持軸と
一体型中性子吸収要素の装着孔との孔余裕を他の荷重支
持部材の支持軸における装着孔の孔余裕より小さくして
荷重支持能力を高めたものである。
【0050】一方、本発明に係る原子炉用制御棒は、上
述した課題を解決するために、請求項10に記載したよ
うに、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素はハフ
ニウム金属またはハフニウムをジルコニウムやチタン等
の希釈材で希釈したハフニウム合金を板状に成形した長
寿命型中性子吸収板で構成し、前記一体型中性子吸収要
素は炉水通路の水間隙を設けて対峙させた複数の中性子
吸収板の組合せによるトラップ構成とするとともに前記
荷重支持部材に中性子吸収板間の間隔保持機能を備えた
ものである。
【0051】他方、本発明に係る原子炉用制御棒は、上
述した課題を解決するために、請求項11に記載したよ
うに、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素は、荷
重支持部材の支持軸を所定の余裕をもって挿通可能な装
着孔を備え、上記一体型中性子吸収要素の制御棒挿入先
端側と挿入末端側に荷重支持部材をウィング幅方向に離
間させてそれぞれ設け、上記荷重支持部材はウィング幅
方向のいずれか一方の支持軸と一体型中性子吸収要素の
装着孔との余裕を他の荷重支持部材における装着孔の余
裕より小さくしたものである。
【0052】また、本発明に係る原子炉用制御棒は、上
述した課題を解決するために、請求項12に記載したよ
うに、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素はシー
スに固着される荷重支持部材が所定の余裕をもって挿通
される装着孔を備えるとともに前記一体型中性子吸収要
素を構成する中性子吸収板とU字状シース間に間隔保持
機能および摩擦抵抗機能を備えた摩擦荷重支持部材を設
けたものである。
【0053】上述した課題を解決するために、本発明に
係る原子炉用制御棒は、請求項13に記載したように、
前記摩擦荷重支持部材は、U字状シース内面に突出した
内面凸部を中性子吸収板の表面に形成した凹部と係合さ
せて摩擦抵抗機能を付与したものである。
【0054】さらに、本発明に係る原子炉用制御棒は、
上述した課題を解決するために、請求項14に記載した
ように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口
部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、
上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿
入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前
記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれ
ぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向
に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つま
たは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原
子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素の装
着孔にはU字状シースと固着される荷重支持部材の支持
軸が所定の余裕をもって装着されるとともに前記荷重支
持部材のうち特定の荷重支持部材の支持軸と一体型中性
子吸収要素の装着孔を大径として荷重支持能力を向上さ
せたものである。
【0055】上述した課題を解決するために、本発明に
係る原子炉用制御棒は、請求項15に記載したように、
前記荷重支持部材の支持軸と一体型中性子吸収要素の装
着孔を他に比べて大径化した特定の荷重支持部材が、ウ
ィング幅方向内側に設けられたものである。
【0056】さらにまた、本発明に係る原子炉用制御棒
は、上述した課題を解決するために、請求項16に記載
したように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの
開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成
し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
した原子炉用制御棒において、前記複数の一体型中性子
吸収要素は制御棒挿入先端側から挿入末端側に向かって
中性子吸収材の厚さを段階的に薄くすると共に上記中性
子吸収材の長さを挿入末端側に向かって段階的に長尺化
したものである。
【0057】また、本発明に係る原子炉用制御棒は、上
述した課題を解決するために、請求項17に記載したよ
うに、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、前記複数の一体型中性子吸収要素
は制御棒全長の中央付近で短尺化するとともに中性子吸
収材が厚い制御棒挿入先端側の少なくとも一部の一体型
中性子吸収要素のウィング幅方向とシース長手方向の中
央部にも荷重支持部材を設けたものである。
【0058】またさらに、本発明に係る原子炉用制御棒
は、上述した課題を解決するために、請求項18に記載
したように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの
開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成
し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
した原子炉用制御棒において、前記複数の一体型中性子
吸収要素は制御棒全長にわたってほぼ一様の長さとする
とともに、制御棒挿入先端側からほぼ2/3迄、一体型
中性子吸収要素のウィング幅方向とシース長手方向の中
央部にも荷重支持部材を設けたものである。
【0059】さらにまた、本発明に係る原子炉用制御棒
は、上述した課題を解決するために、請求項19に記載
したように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの
開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成
し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要
素はハフニウム金属またはハフニウムをジルコニウムや
チタン等の希釈材で希釈したハフニウム合金を板状に成
形した中性子吸収板で構成し、上記一体型中性子吸収要
素は、複数の中性子吸収板を水間隙を隔て組合せてトラ
ップ構成とするとともに、水間隙を挟んで対峙する中性
子吸収板を制御棒挿抜方向に段違いに配置したものであ
る。
【0060】さらに、本発明に係る原子炉用制御棒は、
上述した課題を解決するために、請求項20に記載した
ように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口
部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、
上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿
入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前
記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれ
ぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向
に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つま
たは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原
子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素はハ
フニウム金属またはハフニウムをジルコニウムやチタン
等の希釈材で希釈したハフニウム合金を板状に成形して
中性子吸収板を構成し、上記一体型中性子吸収要素は複
数の中性子吸収板を水間隙を隔てて組合せてトラップ構
成とするとともに、一体型中性子吸収要素は制御棒挿入
先端側から挿入末端側に向かって中性子吸収板の厚さを
段階的に薄くしてU字状シースに固着される荷重支持部
材を装着孔に所定の余裕をもって装着してなり、上記荷
重支持部材は一体型中性子吸収要素のウィング幅方向内
側と外側とにシース長手方向に離間してそれぞれ2個づ
つ設けるとともに、少なくとも一組の一体型中性子吸収
要素に前記荷重支持部材間でウィング幅方向およびシー
ス長手方向の中央部にU字状シースに固着される間隔保
持部材を設けたものである。
【0061】上述した課題を解決するために、本発明に
係る原子炉用制御棒は、請求項21に記載したように、
前記少なくとも一組の一体型中性子吸収要素は残りの一
体型中性子吸収要素の中性子吸収板とハフニウム含有量
が同じでかつジルコニウムまたはチタン等の希釈材で希
釈されたハフニウム合金で中性子吸収板が形成され、こ
のハフニウム合金製中性子吸収板は板厚を増加させて機
械的・物理的強度を向上させたものである。
【0062】また、本発明に係る原子炉用制御棒は、上
述した課題を解決するために、請求項22に記載したよ
うに、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口部
を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、上
記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿入
末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前記
シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれぞ
れ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向に
列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つまた
は複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原子
炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要素はハフ
ニウム金属またはハフニウムをジルコニウムやチタン等
の希釈材で希釈したハフニウム合金を、板状に成形した
中性子吸収板で構成し、前記一体型中性子吸収要素はU
字状シース内で制御棒挿抜方向の通水路を形成するとと
もに制御棒挿抜方向と直角方向の断面をほぼ箱型に形成
したものである。
【0063】さらに、本発明に係る原子炉用制御棒は、
上述した課題を解決するために、請求項23に記載した
ように、横断面が深いU字状をなす長尺のシースの開口
部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構成し、
上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材を、挿
入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとともに、前
記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素をそれ
ぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長手方向
に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、1つま
たは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成した原
子炉用制御棒において、中央構造材は、U字状シースと
の固着側に、ウィングの厚さと等しい厚さで長手方向に
延びる凹状突起を有し、この凹状突起にU字状シースを
溶接して固着したものである。
【0064】
【発明の実施の形態】本発明に係る原子炉用制御棒の一
実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0065】この原子炉用制御棒を説明するに当り、従
来の原子炉用制御棒と同じ構成部分については同一符号
を付して詳細な説明を省略する。
【0066】図1は原子炉用制御棒の第1実施形態を示
すもので、図1(a)は原子炉用制御棒の第1実施形態
における一部切欠き要部拡大正面図を、図1(b)は第
1実施形態の原子炉用制御棒に収容されるHf板対の拡
大正面図を、図1(c)は図1(b)におけるB−B線
に沿った横断面図をそれぞれ示す。図1(a)の原子炉
用制御棒は図21(a)に示された原子炉用制御棒に、
図1(b)は図21(b)にそれぞれ対応している。
【0067】長寿命型の原子炉用制御棒16において
は、深いU字状の横断面を有する長尺のSUS製シース
7内に2枚のハフニウム(Hf)板10を一対としたH
f板対14を複数組、長手方向に列状に収納している。
Hf板10は、一体型中性子吸収要素を構成する長寿命
型中性子吸収板であり、2枚のHf板10を間隔保持ス
ペーサを兼ねるSUS製荷重支持部材12により冷却材
流路を構成する水間隙11をあけて対峙させ、間隔保持
される。各Hf板14は荷重支持部材12を介してU字
状シース7内保持され、ウィング17を形成している。
【0068】ハフニウムは多数の同位体を有し、各同位
体は中性子を順次吸収して、同位体シフトを生じるの
で、個々の同位体の中性子吸収断面積はボロンより小さ
いが、全体としての中性子吸収断面積が大きく、中性子
吸収材として用いたとき、核的寿命が大きく長寿命化を
図ることができる。
【0069】原子炉用制御棒16には、ウィング17の
挿入先端部にハンドル3と一体の先端構造材4を、また
挿入末端部に図示しない末端構造材をそれぞれ設ける。
原子炉用制御棒16は、4枚のU字状シース7の開口部
を、横断面十字状の中央構造材6の4方向の突出部に嵌
合させて固着し、横断面十字型をなすウィング17を構
成する。中央構造材6は、先端構造材4および末端構造
材5に一体的に固着されて一体型中央構造材を構成して
いる。一体型中央構造材6に代えて制御棒の長手方向に
間隔をおいた独立型中央構造材を用いてもよい。いずれ
にしても、中央構造材6は中央タイロッドを構成し、4
枚のウィングを中心角90度の間隔をおいて溶接にて放
射状に固着している。
【0070】原子炉用制御棒16に収納される長寿命中
性子吸収板であるHf板10は、図20(a)に示され
た原子炉用制御棒1の例と同様に全体が原子炉炉心への
挿入方向であるシース長手方向長さLを、長手方向に例
えば8等分したとすると、1枚当りのHf板10の長さ
lは約L/8となる。ここでHf板10としては、一般
にハフニウム金属、またはハフニウムをジルコニウム
(Zr)やチタン(Ti)等の希釈材で希釈したハフニ
ウム合金からなるものとする。
【0071】図1(a)に示す原子炉用制御棒16にお
いては、複数のHf板対14のうちで挿入先端から少な
くとも一対分、例えば2対分のHf板対18について
は、それぞれシース長手方向にさらに複数等分、例えば
2等分して、約l/2(L/16)の長さのHf板10
a,10bにより構成され、挿入先端側のHf板対18
はそれぞれが4個の間隔保持スペーサを兼ねる荷重支持
部材12によりシース7に保持される。
【0072】この原子炉用制御棒16は、図1(b)に
示すように、挿入先端から重量が相対的に重くなる例え
ば2対分のHf板対14においては、1組のHf板対1
4を上下に2分割して2組のHf板対18を構成し、分
割された2組のHf板対18はウィング厚さ方向片側が
上下2枚のHf板10a,10bで、合計4枚のHf板
10a,10bを2枚ずつ対峙させ、複数の荷重支持部
材12でシース7に保持させた構成となっている。
【0073】また、ウィング17は図1(c)に示すよ
うに、互いに対峙させたHf板10a及びHf板10b
にあけた複数個、例えば4箇所の装着孔13に荷重支持
部材12の支持軸12bを装着して、中央の間隔保持部
12aにより間隔保持され、水間隙11を確保する。
【0074】さらに、支持軸12bをシース7のシース
孔8に嵌合して溶接により固着してHf板対18とし、
各2組,計4組のHf板対18と前記6組のHf板対1
4の荷重はU字状シース7により保持させる。
【0075】次に、原子炉用制御棒の作用について説明
する。
【0076】この原子炉用制御棒16は各ウィング17
を構成するU字状シース7内に一体型長寿命中性子吸収
要素であるHf板10を収納し、この長寿命型中性子吸
収板であるHf板10は、上記図20(b)で示すよう
に、挿入先端側の板厚が挿入末端側に比べて厚くなって
いる。
【0077】従来の原子炉用制御棒の構造では、挿入先
端側が荷重支持部材12の1個当たりの荷重も、またシ
ース孔8周辺の局部的応力及びシース7における荷重負
担が挿入末端側に比べて大きくなる。
【0078】しかし、この原子炉用制御棒16において
は、挿入先端側の2組のHf板対18のHf板10a,
10bの長さが、他の挿入末端側のHf板対14のHf
板10に比べて例えば約1/2と短くしたことから、そ
れぞれの重量も1/2である。
【0079】しかも、Hf板10a,10bを支持して
Hf板10a,10bの重量をU字状シース7に伝える
荷重支持部材12は、挿入末端側にある前記Hf板10
と同数の4個が各Hf板10a,10b毎に設けられて
いることから、1個当たりの荷重負担と、この荷重支持
部材12が固着されるシース7における局部荷重は従来
の例えば約1/2に低減される。荷重支持部材12に集
中的に作用する局部荷重の分散を図ることができる。
【0080】これにより、シース7と共に原子炉用制御
棒16としての機械的強度が向上する。また、前記荷重
支持部材12については、両側に配したシース7を溶接
により固着することから、このシース7と共にウィング
2の機械的・物理的強度を補強する機能も備えているの
で、荷重支持部材12の増加により、さらに原子炉用制
御棒16の機械的・物理的強度が向上する。
【0081】原子炉用制御棒16の第1実施形態におい
ては、制御棒16の挿入先端から例えば2対のHf板対
18のみが軸方向に2等分に分割した場合を例にして説
明したが、挿入先端からどこまでのHf板対14に対し
て分割したHf板対18とするか、また、シース長手方
向への分割の割合等については容易に設計されるもので
ある。
【0082】原子炉用制御棒16において、Hf板10
の重量に係る厚みと、シース7における機械的・物理的
強度に係る厚み、さらに使用期間と想定スクラム回数、
及び想定地震強度と回数等を考慮することにより最適な
ものを選定して設計することができる。
【0083】一例として、図20(b)のように軸方向
に8分割されている場合には、挿入先端側から5組のH
f板対14迄を6〜7等分に分割する方法も本発明に含
まれる。分割領域を長手方向全長の半分より長くするこ
とにより、例えば、原子炉用制御棒16は一般に全長に
対して中央付近で地震等による応力が最大となり易いこ
とから、中央付近の機械的・物理的強度を向上させ、地
震等に耐える原子炉用制御棒16の構成とすることがで
きる。
【0084】図1(a)および(c)に示す原子炉用制
御棒16のウィング17においては、挿入先端側に短尺
のHf板対18が、挿入末端側にHf板対18より長い
Hf板対14がそれぞれ収容される。Hf板対18を構
成する2枚のHf板10a(10b)は荷重支持部材1
2の間隔保持部12aにより間隔保持されて水間隙(冷
却水流路)11が確保される。荷重支持部材12は両側
の支持軸12bが各Hf板10aの装着孔13を貫いて
延びてU字状シース7のシース孔8に嵌合し、溶接によ
り固着される。
【0085】荷重支持部材12の間隔保持部12aは、
対峙する2枚のHf板10a,10a(10b,10
b)間の水間隙11の確保と、U字状シース7の機械的
強度とを得るように厚さが設定され、これによりトラッ
プ構成の原子炉用制御棒16が構成される。
【0086】また、荷重支持部材12の支持軸12bの
直径と、Hf板10aの装着孔13の直径との間には、
SUS製の荷重支持部材12とHf板10aとの間の熱
膨張差が考慮されており、互いの熱膨張を阻害しないよ
うな余裕を考慮して、Hf板10aの装着孔13は支持
軸12bの直径より大きく設計される。
【0087】原子炉運転による熱サイクルにおいて熱膨
張や熱収縮が繰り返され、また原子炉用制御棒16のウ
ィング17を複数の異種材料で形成したことに起因する
熱膨張差が生じるが、この原子炉用制御棒16において
は、Hf板10a(10b,10)内装着孔13に余裕
を確保して荷重支持部材12の支持軸12bと緩く嵌合
させているので、熱膨張差に起因する応力による悪影響
を解消することができる。
【0088】さらに、原子炉用制御棒16を原子炉スク
ラム等で炉心に緊急挿入する場合には、長寿命中性子吸
収体であるHf板10,10a,10bを支持している
荷重支持部材12の支持軸12bに衝撃が加わり、この
衝撃荷重が荷重支持部材12を介してU字状のシース7
に伝えられるので、シース7の強度が不足していると、
シース7の健全性に支障が起きる可能性が生じる。
【0089】しかし、この原子炉用制御棒16において
は、荷重支持部材12の1個当たりの荷重負担が大きか
った挿入先端側を、細分化し、荷重支持部材12の荷重
負担とU字状シース7に作用する局部荷重を大幅に低減
させたので健全性を向上させることができる。
【0090】また、原子炉用制御棒16に生じる支障発
生の可能性は、制御棒16に作用する衝撃の大きさと共
に衝撃の回数にも依存するので、原子炉中でより長期間
使用される長寿命型の原子炉用制御棒16においては特
に顕著な効果が得られる。
【0091】なお、原子炉用制御棒の第1実施形態で
は、2枚のHf板10が水間隙11を挟んで対向するト
ラップ構成とした原子炉用制御棒16を例に示したが、
制御棒の作用と効果は前記トラップ型制御棒に限定され
るものではない。第2実施形態以降の原子炉用制御棒に
おいても特記しない限り同様である。
【0092】図2は本発明に係る原子炉用制御棒19の
第2実施形態を示すものである。
【0093】この実施形態に示された原子炉用制御棒に
おいて、図2(a)は制御棒の一部切欠いて示す要部拡
大正面図、図2(b)は原子炉用制御棒内に組み込まれ
るHf板対の拡大正面図、図2(c)は図2(b)のC
−C線に沿った横断面図に示す。
【0094】図2に示された原子炉用制御棒19は図1
に示された原子炉用制御棒に対応しているので、以下に
第1実施形態に示された原子炉用制御棒16との相違点
を重点に説明する。第1実施形態で示された原子炉用制
御棒16と同構成、同じ作用・効果については、同様な
ので説明を省略する。
【0095】図2(a)に示された原子炉用制御棒19
は、ウィング20内に収容される長寿命型中性子吸収板
による複数組のHf板対14のうちで、挿入先端から例
えば2組分のHf板対21を改善したものである。この
Hf板対21はそれぞれシース長手方向と直角方向(ウ
ィング幅方向)の幅wを例えば2等分して、約w/2幅
のHf板10c,10dにより構成される。各Hf板1
0c,10dはそれぞれが例えば4個の荷重支持部材1
2を介してU字状シース7に保持されている。
【0096】この原子炉用制御棒19は図2(b)に示
すように、挿入先端から例えば2組分のHf板対21に
ついては、1組のHf板対21が、片側が左右2枚のH
f板10c,10dで、合計4枚のHf板10c,10
dにより構成され、いずれも荷重支持部材12を介して
対峙した状態に保持され、Hf板10c,10c(10
d,10d)間に水間隙11が形成されて間隔保持され
る。
【0097】また、原子炉用制御棒19のウィング20
は、図2(c)に示すようにHf板21を構成するHf
板10c,10c及び、Hf板10d,10dにあけた
4箇所の装着孔13に、荷重支持部材12の支持軸12
bを挿通させてU字状シース7のシース孔8に装着して
保持しており、荷重支持部材12の間隔保持部12aに
よりHf板10c,10cおよび10d,10d間の間
隔が保持され、水間隙11を確保している。
【0098】さらに、支持軸12bをシース7のシース
孔8に嵌合して溶接により固着することにより、2組の
Hf板対21は6個のHf板対14と共に、その重量を
U字状シース7により保持される。
【0099】原子炉用制御棒19において、Hf板10
をウィング幅方向に複数のHf板10c,10dに分割
する場合に、ウィング20の外側縁の方が中性子吸収の
反応度的に重要性が高いことと、中性子照射量が多くな
る点から、ウィング幅方向外側のHf板10dを厚くし
て、ウィング幅方向内側である一体型中央構造材6側の
Hf板10cを薄く構成する。
【0100】他の実施例として、図2に示す原子炉用制
御棒19におけるウィング20の最外側縁で、U字状シ
ース7の内側でHf板10dとの間に図示しない棒状の
一体型中性子吸収要素として、Hf棒を挿入した構成と
する。
【0101】次に、上記構成を備えた原子炉用制御棒1
9の作用について説明する。
【0102】この原子炉用制御棒は挿入先端に近いHf
板対14における長寿命型中性子吸収板であるHf板1
0の板厚は厚く従って重量が大きいが、このHf板対2
1においては、制御棒挿抜方向と直角方向のウィング幅
方向にHf板10c,10dを2分割し、各Hf板10
c,10dの幅をw/2とし、各Hf板10c,10d
をそれぞれ4個の荷重支持部材12で支持している。
【0103】これにより、上記第1実施形態と同様にH
f板対21の荷重支持部材12の数は2倍の8個になる
ので、1個当たりの荷重支持部材12が負担する重量及
び衝撃荷重は半減することから、Hf板対21における
荷重支持部材12の支持能力が、挿入末端側のHf板対
14における荷重支持部材12の支持能力に比べて倍増
して寿命も延びる。
【0104】また、この原子炉用制御棒19において、
中性子照射量が多いウィング幅方向外側のHf板10d
の厚さを、一体型中央構造材6側のHf板10cより厚
くしたことにより中性子吸収における反応度効果を大き
くすることができる。
【0105】これにより、原子炉用制御棒19は同一H
f量で制御棒反応度価値を高く得られると共に、原子炉
用制御棒19の強度向上にも寄与することができる。す
なわち、機械的・物理的強度が一体型中央構造材6より
弱いウィング幅方向外側に、幅がw/2より広くない範
囲でHf板10dを厚くして、このHf板10dを荷重
支持部材12でU字状ウィング19に装着し、保持させ
る。
【0106】この結果により、Hf板10c,10dに
よる強度向上と、荷重支持部材12による強度向上及び
反応度価値の向上を図ることができる。また、反応度価
値を向上させる必要がない場合には、Hf板10の厚さ
を薄くできるので、軽量化により荷重支持部材12を介
したU字状シース7への衝撃荷重が低減できて、シース
7の健全性と共に制御棒19の機械的強度をさらに向上
することができる。
【0107】他の実施例において、制御棒19における
ウィング20の外側縁に設けたHf棒により、他の部分
に比べて幅方向単位長さ当たりの中性子吸収能力が増大
する。これにより、上記と同様に各Hf板10の横幅を
狭くして軽くできることと、前記Hf棒によりウィング
20の最外側においてシース7の機械的強度が補強され
る効果が得られて、シースの健全性と制御棒19の強度
がさらに向上する。
【0108】図3は本発明に係る原子炉用制御棒の第3
実施形態を示すものである。
【0109】第3実施形態に示される原子炉用制御棒に
おいて、図3(a)は原子炉用制御棒の一部切欠いて示
す要部拡大正面図、図3(b)は原子炉用制御棒に組み
込まれるHf板対の拡大正面図、図3(c)は図3
(b)におけるD−D線に沿った横断面図である。
【0110】図3に示された原子炉用制御棒は、図2に
示された第2実施形態の原子炉用制御棒に対応してお
り、以下に第2実施形態との相違点を重点に説明し、第
2実施形態と同じ構成および作用効果についての説明は
省略する。
【0111】図3(a)に示す原子炉用制御棒22にお
いては、ウィング23内に一体型中性子吸収要素である
複数のHf板対14が収納されており、各Hf板対14
のうちで、炉心への挿入先端から例えば2対分のHf板
対24については、ウィング幅方向の幅wを2等分し
て、約w/2幅のHf板10c,10dにより構成さ
れ、各Hf板10c,10dはそれぞれが4個の荷重支
持部材12を介してU字状シース7に保持される。
【0112】原子炉用制御棒22は図3(b)と図3
(c)に示すように、Hf板対24においては、同じウ
ィング23においてウィング幅方向に並んだHf板10
cとHf板10dとの間を、第2実施形態の原子炉用制
御棒19の場合より広幅にあけている。
【0113】さらに、原子炉用制御棒22のウィング2
3に収容されるHf板10c,10d間には、内部に中
性子吸収材としてHf棒25等を挿入すると共に、外周
の90度ごとに突出した畝部が形成された異形管からな
るスティフナ26(中性子吸収材入りスティフナ)を配
置し、このスティフナ26は、前記突出した畝部におい
て両側のシース7と溶接等により固着して構成してい
る。
【0114】上記構成による作用としては、深いU字状
の横断面を有する長尺のシース7の両側が、ほぼ中央部
の内側において前記スティフナ26を介して直線状に固
着されることから、U字状シース7と共にウィング23
としての機械的強度が大幅に向上する。なおスティフナ
26に挿入したHf棒25等の効果により、制御棒22
としての反応度価値は殆ど低下しない。
【0115】また、U字状シース7内でウィング23の
幅方向外側のHf板10dの厚さを、一体型中央構造材
6側のHf板10cの板厚より厚くすることにより、第
2実施形態における原子炉用制御棒19と同様の作用と
効果を得ることができる。
【0116】図4は本発明に係る原子炉用制御棒の第4
実施形態を示すものである。
【0117】第4実施形態に示された原子炉用制御棒に
おいて、図4(a)はウィングの要部を拡大して示す正
面図、図4(b)は図4(a)におけるE−E線に沿っ
た横断面図である。
【0118】制御棒27は、深いU字状の横断面を有す
る長尺のSUS製シース28内に、一体型中性子吸収要
素を収納している。具体的には、SUS製の荷重支持部
材12により水間隙11をあけて対峙させた2枚の長寿
命型中性子吸収板のHf板10からなるHf板対14を
複数組収納している。この複数組のHf板対14は、荷
重支持部材12を介してU字状シース28に荷重を保持
させてウィング29を構成している。
【0119】また、ウィング29の炉心への挿入先端部
と挿入末端部には、それぞれ図示しないハンドル3と一
体の先端構造材4及び末端構造材5を設けると共に、前
記4枚のウィング29におけるU字状シース28の開口
部を、それぞれ一体型中央構造材6で90度の4方向に
放射状に突出した突出部に嵌合させて固着することによ
り、原子炉用制御棒27は横断面を十字型に構成され
る。
【0120】この原子炉用制御棒27は、ウィング29
内にHf板10が収容され、このHf板10は荷重支持
部材12によりU字状シース28に装着され、保持され
る。ウィング29の一体型中央構造材6側で、荷重支持
部材12の支持軸12bを嵌合して固着するU字状シー
ス28のシース孔30a,30bは、シース長手方向の
ピッチPs1を、Hf板10にあけられた装着孔13,
13a,13b及びウィング幅方向側のシース孔8の長
手方向ピッチPhより、それぞれ製作公差を越える範囲
のずれδの2倍(2δ)だけ短く構成している(請求項
5,6)。
【0121】この原子炉用制御棒27は、Hf板10の
上側の装着孔13aに対してU字状シース28のシース
孔30aは下方に、また、下側の装着孔13bに対して
シース孔30bは上方に、中心軸をそれぞれδだけずら
し、偏位させている。
【0122】これにより、原子炉用制御棒27のウィン
グ29はウィング幅方向内側(一体型中央構造材6側)
でシース孔30a,30bに嵌合して固着される荷重支
持部材12の支持軸12bと、この支持軸12bに挿通
支持されるHf板10の装着孔13a,13bとは偏心
する。
【0123】この偏心支持により、上側の装着孔13a
では上方に、また下側の装着孔13bでは下方に大きい
隙間ができ、反対に上側の装着孔13aの下方と、下側
の装着孔13bの上方の隙間は小さくなる。
【0124】ただし、荷重支持部材12の支持軸12b
の直径に対して、Hf板10の装着孔13の直径を大き
くして間隙をあけることにより、原子炉運転の熱サイク
ルに伴う異なる材質における熱膨張の違いに起因する荷
重支持部材12とHf板10における熱膨張差により、
干渉して不要な応力が加わる支障が生じないように余裕
を設けている。
【0125】次に、図4に示された原子炉用制御棒27
の作用について説明する。制御棒の急速駆動や停止の際
には、荷重支持部材12を介してU字状シース28にH
f板10の重量の外に衝撃荷重が加わることがある。
【0126】また、従来の原子炉用制御棒のようにHf
板10と装着孔13とU字状シース7のシース孔8のシ
ース長手方向ピッチPhが同じ寸法であると、たとえ熱
膨張差を考慮した余裕を設けていても、若しも製作公差
により組立てたHf板10が上下に移動した場合は、最
悪の場合に未知の特定の1個の荷重支持部材12が応力
を受けることになる。
【0127】これによりU字状シース7においては、当
該荷重支持部材12を固着しているシース孔8の付近に
大きな応力が集中的に加わるという不具合が生じる。
【0128】しかしながら図4に示された原子炉用制御
棒27においては、相対的にHf板10が制御棒挿入方
向である上方向に慣性移動した場合の衝撃荷重は、Hf
板10の制御棒挿入先端方向(上側)で、一体型中央構
造材6側の装着孔13aの下縁が、隙間の小さい荷重支
持部材12の支持軸12bの下部に当接するが、慣性移
動距離が短いことから加わる衝撃荷重は小さい。
【0129】これにより、原子炉用制御棒27は荷重支
持部材12が固着されているU字状シース28のシース
孔30aの付近に比較的小さい応力が発生するが、他の
制御棒挿入末端方向(下側)で一体型中央構造材6側の
シース孔30bと、ウィング幅方向外側のシース孔8付
近のU字状にシース28では応力は発生しない。
【0130】また、相対的にHf板10が制御棒挿入末
端方向である下方向に慣性移動した際には、Hf板10
の制御棒末端方向(下側)で、一体型中央構造材6側の
装着孔13bの上縁が、小さい隙間で荷重支持部材12
の支持軸12bの上部に当接して比較的小さな衝撃荷重
が加わる。
【0131】これにより、原子炉用制御棒27はシース
28のシース孔30bの付近には比較的小さな応力が発
生するが、他の3個のシース孔8,30a付近のU字状
シース28では不要な応力は発生せず、かつ応力が分散
される。
【0132】原子炉用制御棒27のウィング28に形成
されるU字状シース28のシース孔30a,30bとH
f板10の装着孔13a,13bとのずれ量δの値は、
総合的な製作公差として、例えば0.5mmを越える0.
5〜1.5mm程度とすることが適切と考えられる。
【0133】また、この原子炉用制御棒27ではシース
孔30a,30bのシース長手方向ピッチPsを、シー
ス孔8及び装着孔13,13a,13bの長手方向ピッ
チPhより少しずらせて、Hf板10の慣性移動による
応力を発生させる場所をウィング幅方向内側である一体
型中央構造材6側に設定している。
【0134】これは、深いU字状の横断面を有する長尺
のシース28において、一体型中央構造材6に固着され
ている側の方が、一般に一体型中央構造材6より離れた
側に比べて機械的強度が高いためであるが、一体型中央
構造材6より離れた側のシース孔8において同様に実施
しても同じ作用と効果が得られる。
【0135】さらに、第4実施形態では、制御棒27の
炉心への挿抜操作に関してHf板10における相対的な
慣性移動に際してU字状シース28に加わる局部的な衝
撃荷重等が、それぞれHf板対14における2個の荷重
支持部材12を特定することができる。
【0136】これにより、当該荷重支持部材12とその
付近のHf板10の装着孔13、及びシース28に着目
した局部補強や製作公差を管理する等の対策が容易に行
えるので、長寿命型の制御棒における使用期間のさらな
る長期化ができる。
【0137】しかも、1箇所でなく確実に2箇所で衝撃
荷重を分担できると共に、ずれδの大きさの選定等によ
り衝撃を極力少なくすることで、U字状シース28及び
原子炉用制御棒27の健全性と信頼性が向上する。
【0138】図5は本発明に係る原子炉用制御棒の第5
実施形態を示すものである。
【0139】第5実施形態の原子炉用制御棒において、
図5はウィングの要部拡大正面図を示す。
【0140】原子炉用制御棒32においては、上記第4
実施形態とほぼ同様の構成である。第4実施形態に示さ
れた原子炉用制御棒と異なる部分は、Hf板10におけ
る装着孔13及び13aと13bの間で、シース長手方
向がピッチPhであるのに対して、U字状シース33の
一体型中央構造材6側で荷重支持部材12の支持軸12
bを嵌合して固着するシース孔35a,35bのピッチ
Ps2を、前記ピッタPhよりそれぞれ製作公差を越え
る範囲のずれδの2倍(2δ)だけ長く構成している。
【0141】この原子炉用制御棒32はHf板10の上
側の装着孔13aに対してシース孔35aは上方に、ま
た、下側の装着孔13bに対してU字状シース33のシ
ース孔35bは下方に、それぞれδだけずらしている。
【0142】これにより、一体型中央構造材6側でシー
ス孔35a,35bに固着する荷重支持部材12の支持
軸12bと、これに装着されるHf板10の装着孔13
a,13bとは、上側の装着孔13aでは下方に、また
下側の装着孔13bでは上方に大きく隙間ができる。
【0143】上記構成による作用としては、Hf板10
における装着孔13a,13bのピッチPhに対して、
一体型中央構造材6側で荷重支持部材12の支持軸12
bが、原子炉用制御棒32の挿入先端側では先端側へ、
また、挿入末端側では末端側へそれぞれ、ずれδだけ長
くなっている。
【0144】従って、Hf板10が上側へ相対的に慣性
移動した際には、下側の荷重支持部材12の支持軸12
bからU字状シース33のシース孔35bを介して、ま
た、Hf板10が下側へ慣性移動する際には、上側の支
持軸12bからシース孔35aを介して衝撃荷重がシー
ス33に加わる。
【0145】しかし、他の3個のシース孔8,35a,
35付近のU字状シース33では応力は発生せずに応力
が分散されることや、その他の作用と効果は上記第4実
施形態と同様である。
【0146】図6は本発明に係る原子炉用制御棒の第6
実施形態を示すもので、ウィングの要部拡大正面図であ
る。
【0147】原子炉用制御棒37においては、第4実施
形態とほぼ同様の構成であるが、第4実施形態と異なる
部分は、ウィング38のシース7における一体型中央構
造材6側シース孔8aと8bの間は、炉心への制御棒挿
抜方向であるシース長手方向にピッチPhとしている。
【0148】これに対してHf板39については、一体
型中央構造材6側で荷重支持部材12の支持軸12bに
装着される装着孔40a,40bで、装着孔40aは制
御棒37の挿入先端方向へ、また装着孔40bは挿入末
端方向へ、それぞれ製作公差を越える範囲のずれδの2
倍(2δ)だけ長くしたピッチPs3に構成している。
【0149】この原子炉用制御棒は、上側のシース孔4
0aに対して装着孔13aは上方に、また、下側のシー
ス孔40bに対して装着孔13bは下方に、それぞれδ
だけずらしている。
【0150】これにより、一体型中央構造材6側でシー
ス孔8a,8bに固着する荷重支持部材12の支持軸1
2bと、これに装着されるHf板39の装着孔40a,
40bとは、上記第4実施形態と同様に、上側の装着孔
40aでは上方に、また下側の装着孔40bでは下方に
大きく隙間ができる。
【0151】上記構成による作用としては、上記第4実
施形態と同様に、Hf板39が上側へ相対的に慣性移動
する際には、上側の装着孔40aの下縁が上側の荷重支
持部材12の支持軸12bの下部に当接して、シース孔
8aを介して衝撃荷重がU字状シース7に加わる。
【0152】また、Hf板10が下側へ慣性移動する際
には、下側の装着孔40bの上縁が下側の荷重支持部材
12の支持軸12bの上部に当接して、支持軸12bか
らシース孔8bを介して衝撃荷重がシース7に加わるこ
とになる。
【0153】これにより、それぞれU字状シース7のシ
ース孔8a,8bの付近に応力が発生するが、この際に
他の3箇所のシース孔8,8a,8bの付近に応力は生
じない。なお、その他の作用と効果は上記第4実施形態
と同様である。
【0154】図7は、本発明に係る原子炉用制御棒の第
7実施形態を示すもので、ウィングの要部拡大正面図を
示すものである。
【0155】原子炉用制御棒42においては、上記第6
実施形態とほぼ同様の構成であるので共通部分の説明は
省略する。第6実施形態と異なる部分は、ウィング43
のU字状シース7における一体型中央構造材6側シース
孔8aと8bの間は、炉心への制御棒挿抜方向であるシ
ース長手方向ピッチをPhとしている。
【0156】これに対して、一体型中性子吸収要素にお
ける中性子吸収板であるHf板44においては、一体型
中央構造材6側で荷重支持部材12の支持軸12bに装
着される装着孔45a,45bで、装着孔45aは原子
炉用制御棒42の挿入末端方向へ、また装着孔45bは
挿入先端方向へ、それぞれ製作公差を越える範囲のずれ
δの2倍(2δ)だけ短くしたピッチPs4に構成して
いる。
【0157】この原子炉用制御棒42はU字状シース7
の上側のシース孔8aに対してHf板44の装着孔45
aは下方に、また、下側のシース孔8bに対して装着孔
45bは上方に、それぞれδだけずらしている。
【0158】これにより、一体型中央構造材6側でU字
状シース7のシース孔8a,8bに固着する荷重支持部
材12の支持軸12bと、これに装着されるHf板44
の装着孔45a,45bとは、上記第5実施形態と同様
に、上側の装着孔45aでは下方に、また下側の装着孔
45bでは上方に大きく隙間ができる。
【0159】上記構成による作用としては、一体型中性
子吸収要素における中性子吸収板であるHf板44が上
方へ相対的に慣性移動する際には、下側の荷重支持部材
12の支持軸12bの下部と装着孔45bの下縁が当接
し、Hf板44が下方へ慣性移動する際は、シース孔8
bを介して、また、Hf板44が下側へ移動する際に
は、下側の荷重支持部材12の支持軸12の上方と装着
孔45aの上縁が当接して、それぞれシース孔8a,8
bを介して衝撃荷重がシース7に加わる。
【0160】これにより、それぞれU字状シース7のシ
ース孔8a,8bの付近に応力が発生する。その他の作
用と効果は上記第4実施形態及び第5実施形態とほぼ同
様であるので説明を省略する。
【0161】図8は本発明に係る原子炉用制御棒の第8
実施形態を示すものである。
【0162】第8実施形態に示された原子炉用制御棒に
おいて、図8(a)は原子炉用制御棒の下部を切り欠い
た要部拡大正面図で、図8(b)は原子炉用制御棒に組
み込まれるHf板の拡大正面図を示す。なお、図8
(a)は図20(a)に示された原子炉用制御棒に、ま
た図8(b)は図20(b)に示された原子炉用制御棒
にそれぞれ対応しており、同一部分には同じ符号を付し
て説明を省略する。
【0163】この原子炉用制御棒47は図8(a)に示
すように、4枚のウィング48を備えており、各ウィン
グ48のU字状シース49の中に一体型中性子吸収要素
として2枚の長寿命中性子吸収板であるHf板10が、
4bの荷重支持部材12により支持したHf板対14が
複数収納されている。原子炉用制御棒47の挿入先端側
から例えば2組のHf板対50においては、さらに、幅
方向と長手方向の中央部付近に、近接して長手方向に3
個の荷重支持部材12が設けられている。
【0164】この原子炉用制御棒47においては、図8
(b)に示すようにHf板対50における矩形のHf板
51は、従来と同様にウィング幅方向と長手方向に離隔
した例えば4個の装着孔13に追加して、ウィング幅方
向および長手方向の中央部付近に例えば3個の装着孔5
2を長手方向に列状に隣接させて形成したものである。
【0165】各Hf板51の4個の装着孔13の直径
と、荷重支持部材12の支持軸12bの直径との間に
は、熱膨張差による支障を回避できるだけの隙間が設け
られているが、中央付近の近接した3個の装着孔52の
直径については、荷重支持部材12の支持軸12bとの
隙間は小さく構成している。
【0166】さらに、各Hf板10,51における一体
型中性子吸収要素としては、ハフニウム金属またはハフ
ニウムをジルコニウムやチタン等の希釈材で希釈したハ
フニウム合金を板状に形成した長寿命型中性子吸収板で
あり、各Hf板14,50を構成する対をなすHf板1
0,51は荷重支持部材12等に備えた間隔保持機能に
より間隔保持され、原子炉用制御棒47内に炉水の通路
となる図示しない水間隙11が形成される。この原子炉
用制御棒47は複数のHf板10,51の組合せによる
トラップ構成としている。
【0167】次に、この原子炉用制御棒47の作用につ
いて説明する。Hf板50を構成する各Hf板51に挿
入先端側と挿入末端側の2個づつ計4個の装着孔13に
おける作用は前述した原子炉用制御棒と同様であるが、
中央付近に近接して設けた3個の装着孔52において
は、この装着孔52と装着された荷重支持部材12の支
持軸12bが、近接して長手方向で直線状に配置されて
いる。
【0168】この3個の荷重支持部材12を介して保持
されるSUS製U字状シース49と、Hf板51との熱
膨張差による支障が無視できる範囲であることから、H
f板51とU字状シース49との熱膨張差に伴う相対移
動は、この中央付近では起こらずに挿入先端方向と末端
方向において相対移動を許容する。
【0169】原子炉用制御棒47の挿入先端側の各Hf
板対50の中央付近に設けた3個の荷重支持部材12と
U字状シース49とは長手方向に延びる線上で接合され
ており、U字状シース49は強い力に耐えることができ
る。これにより、中央付近の荷重支持部材12に取付け
るHf板対49の範囲は、少なくとも一対当たりのHf
板51の重さが最も大きい部分で、挿入先端側から全長
の2/3程度迄が適切である。
【0170】また、原子炉用制御棒47全長の中央付近
は地震時に最大応力の発生が予想されるために、この中
央付近にも本発明を実施することにより、一層制御棒4
7の強度向上の効果が得られる。
【0171】さらに、原子炉用制御棒47に備えられる
矩形のHf板51において中央付近に設けた荷重支持部
材12を介してU字状シース49に保持される装着孔5
2は3個に限定する必要はなく、従来の装着孔13によ
る荷重支持部材12を介したシース7との接合線より長
くすることが重要である。
【0172】また、中央付近に設ける荷重支持部材12
の少なくとも1個に、図19(c)で示すような荷重支
持部材12の間隔保持部12aと同様の間隙保持機能を
備えることにより、複数の対向するHf板51間の間隙
をさらに正しく保持できるので、制御棒反応度価値がH
f板51の撓みにより変動することが防止できる。
【0173】図9は本発明に係る原子炉用制御棒の第9
実施形態を示すもので、ウィングの要部拡大正面図を示
す。
【0174】この原子炉用制御棒53は、第6実施形態
に示された原子炉用制御棒をほぼ同様の構成であるので
共通する部分の説明を省略する。
【0175】図9に示された原子炉用制御棒53でウィ
ング54を形成するU字状シース7内に収納された一体
型中性子吸収要素のHf板対における中性子吸収板のH
f板55は、炉心へ制御棒53の挿入先端方向にあけた
荷重支持部材12の支持軸12bに装着する装着孔56
を横長孔に構成している。Hf板55の装着孔56はウ
ィング幅方向に縦長の長孔に形成される。
【0176】従って、荷重支持部材12の支持軸12b
とHf板55の装着孔56の間で、シース長手方向の制
御棒挿抜方向には殆ど隙間を設けず、これと直角方向
(ウィング幅方向)にはSUS製のU字状シース7とH
f板55との熱膨張差を吸収するのに十分な隙間をあけ
ている。
【0177】上記構成による作用としては、制御棒53
における炉心への挿抜に際して、U字状シース7内のH
f板55における通常の荷重及び衝撃荷重は、荷重支持
部材12の支持軸12bと殆ど隙間のない挿入先端側の
2個の装着孔56から、荷重支持部材12とシース孔8
を介してU字状シース7により保持される。
【0178】これにより、不特定の1個の荷重支持部材
12にて、全ての衝撃荷重を支持することにはならない
ので、容易にU字状シース7の健全性を確保することが
できる。
【0179】第9実施形態に示された原子炉用制御棒で
は、挿入先端側の2個の荷重支持部材12に対応するH
f板55の装着孔56の孔構造を特定して説明したが、
挿入先端側の代わりに挿入末端側で実施しても同じ作用
と効果を得ることができる。
【0180】また、Hf板55にあけた横長の装着孔5
6において、制御棒挿抜方向の隙間をなくす代わりに、
荷重支持部材12の支持軸12の断面をほぼ楕円形に形
成して、Hf板にあけた装着孔と制御棒挿抜方向の隙間
を殆どなくす構成としてもよい。
【0181】図10は本発明に係る原子炉用制御棒の第
10実施形態を示すものである。
【0182】第10実施形態に示された原子炉用制御棒
57において、図10(a)はウィングの要部を拡大し
て示す正面図、図10(b)は図10(a)におけるF
−F線に沿った縦断面図、図10(c)は図10(b)
におけるG部拡大断面図、さらに図10(d)は荷重支
持部材の斜視図をそれぞれ示す。
【0183】原子炉用制御棒57におけるウィング58
は、図10(a)に示すようにU字状シース59内の一
体型中性子吸収要素であるHf板対60において、2枚
のHf板61を図10(b)に示すように水間隙11を
あけて対峙させる。U字状シース59に2枚のHf板6
1を固着するため、原子炉用制御棒57は挿入先端側と
挿入末端側に、それぞれ従来と同様に2個づつの荷重支
持部材12を設けている。
【0184】さらに、2枚のHf板61中央付近には別
の荷重支持部材として、制御棒挿入方向に細長く中央が
間隔保持部62aで、両側に各3個の支持軸62bを設
けて構成した摩擦荷重支持部材62を装着して構成して
いる。
【0185】また、図10(a)に示された摩擦荷重支
持部材62の3個の支持軸62bの間で、横長の点線は
Hf板61のシース側面に付けた浅い切込み溝61a
で、小さな丸はU字状シース59に外側表面からHf板
61側に向かって施したディンプリング59aを示す。
ディンプリング59aはエンボス面で形成してもよい。
【0186】なお、シース59におけるディンプリング
59aによる内面凸部は、前記Hf板61の浅い切込み
溝61aである凹部に係合して、摩擦抵抗機能を形成し
ている。
【0187】次に、第10実施形態に示された原子炉用
制御棒の作用について説明する。摩擦荷重支持部材62
の支持軸62bは、U字状シース59にあけたシース孔
8に嵌合して溶接により固着されているので、U字状シ
ース59のディンプリング59aはHf板61の浅い切
込み溝61aと係合して、シース59とHf板61との
間には摩擦抵抗が生じる。
【0188】従って、Hf板61がシース59に対して
相対運動をしようとする場合には、前記摩擦荷重支持部
材62においてHf板61の動きが抵抗されることか
ら、前記の相対運動が抑制されて上記第8実施形態と同
様の効果を得ることができる。
【0189】なお、摩擦抵抗を発生する手段のHf板6
1の表面の加工は、浅い切込み溝61a方式に限定する
必要はなく、例えば皿状の窪みでも良い。
【0190】図10(d)に示す荷重支持部材63は、
従来の荷重支持部材12を例にして、より具体的な形状
を示したもので、支持軸63bの両側に図示しないHf
板10の装着孔13を装着して、間隔保持機能の間隔保
持部63aを挟んだ2枚のHf板10の間を水間隙11
とするが、この間隔保持部63aの表面に公差した溝6
3cを設けて構成している。
【0191】上記構成による荷重支持部材63において
は、通常SUS材で作られる荷重支持部材63の間隔保
持部63aの表面は、このSUSと異種の金属であるH
f板10と接触することから、水環境が良くない場合に
は原子炉運転中に炉心内の冷却材である炉水により、水
放射線化学的な腐食を起こす可能性も考えられる。
【0192】しかしながら、荷重支持部材63において
は異種金属が当接する間隔保持部63aの表面に溝63
cが設けてあることから、この溝63cにより周辺に炉
水が滞留することがないので、荷重支持部材63付近の
荷重支持部材63及びHf板10の健全性が維持され
る。
【0193】なお、それぞれにて特記はしていないが、
上記荷重支持部材12及び摩擦荷重支持部材62にも、
当然この様な配慮をすることは容易である。
【0194】図11は本発明に係る原子炉用制御棒の第
11実施形態を示すもので、ウィングの要部拡大正面図
を示している。この原子炉用制御棒64においてウィン
グ65を形成するU字状シース66内には、一体型中性
子吸収要素である2枚の中性子吸収板のHf板67を荷
重支持部材12により結合したHf板対を複数収納して
いる。
【0195】前記ウィング65ではHf板67とU字状
のシース66において、制御棒挿入先端側で一体型中央
構造材6側に位置する1個の荷重支持部材68の支持軸
68bを、他の3個の荷重支持部材12の支持軸12b
より大きな直径とする。
【0196】またこれに伴って、荷重支持部材68の支
持軸68bに装着されるHf板67の装着孔69と、支
持軸68を嵌合して固着するU字状シース66のシース
孔70の直径も大きくすると共に、両者の直径間の隙間
は殆どないように構成する。
【0197】この原子炉用制御棒64は他の3個のHf
板67の装着孔13と荷重支持部材12の支持軸12b
の直径との間には、シース66とHf板67との熱膨張
差における支障を回避できるだけの十分な隙間を設けて
いる。
【0198】上記構成による作用としては、Hf板67
の通常の荷重と衝撃荷重は、互いの隙間が殆どない荷重
支持部材68の支持軸68bを介して、その近傍のシー
ス66で保持される。
【0199】この際に、荷重支持部材68の支持軸68
bの直径が大きく、これと共にシース66のシース孔7
0とによる接触面も長くなっているために、従来以上に
大きな荷重に耐えることができて長寿命で信頼性が向上
する。
【0200】第11実施形態では制御棒挿入先端方向
で、一体型中央構造材6側に実施した例について説明し
ているが、これに限定されることなく、任意の1箇所を
対象としても良い。
【0201】しかし、U字状シース66が一体型中央構
造材6に結合されている一体型中央構造材側の方が、一
般にU字状シース66が一体型中央構造材6により補強
されて、機械的強度が大であることから、一体型中央構
造材側の方が好適であることは、以上の各実施形態にお
けるものと同じである。
【0202】図12は本発明に係る原子炉用制御棒の第
12実施形態を示すもので、U字状シースを一部切欠い
て示す正面図である。
【0203】第12実施形態に示された原子炉用制御棒
71においてはU字状シース7内に、一体型中性子吸収
要素としてシース長手方向に複数に、例えば10分割し
たHf板対72を収納している。
【0204】この各Hf板対72を形成するHf板は、
その厚さを炉心における制御棒71の反応度効果から、
制御棒挿入先端(上方)から挿入末端(下方)に向かっ
て順次薄くなるようにされている。
【0205】また、各Hf板対72のシース長手方向の
長さl1 〜l10は、制御棒挿入先端から挿入末端に向か
って、例えばl1 =l2 <l3 =l4 <l5 =l6 =l
7 <l8 =l9 =l10のように、順次長尺化して構成す
る。
【0206】次に、上記構成による作用について説明す
る。上記図20(b)に示したように、従来の原子炉用
制御棒1において一体型中性子吸収要素による中性子吸
収板の各Hf板10は、炉心に挿入した制御棒挿入先端
側の中性子吸収機能を大きく設定させている。
【0207】従って、各Hf板10は縦と横の寸法は同
一であるが、制御棒挿入先端側ほど厚さを厚くしている
ことから、挿入先端である上部ほどHf板10の重量が
重く、シース7に加わる荷重も制御棒挿入先端側ほど大
きくなっている。
【0208】しかしこの原子炉用制御棒71において
は、制御棒挿入先端側において厚さが厚い部分の縦寸法
を短くしたことにより重量が軽減されて、各Hf板対7
2によりU字状シース7に加わる荷重分布をほぼ一様と
することができる。
【0209】荷重分布の一様化により、特にU字状シー
ス7の挿入先端に比較的近い部分で、特定できない位置
の荷重支持部材12を支持する部分の荷重負担が軽減さ
れて、U字状シース7及び原子炉用制御棒71における
健全性が向上する。
【0210】第12実施形態に係る原子炉用制御棒で
は、トラップ構成の一体型中性子吸収要素であるHf板
対72の場合について説明したが、このトラップ構成に
限定されるものでなく、他の構成の制御棒に適用して
も、同様の作用と効果が得られるものである。
【0211】図13は本発明に係る原子炉用制御棒の第
13実施形態を示すもので、U字状シースの一部を切欠
いて示す正面図である。
【0212】この原子炉用制御棒73においては、U字
状シース7内にシース長さ方向に複数に分割した(10
分割を例に示す)、一体型長寿命中性子吸収要素である
Hf板対72,74を収納している。
【0213】各Hf板対72,74を形成するHf板の
厚さは、制御棒挿入先端(上方)から挿入末端(下方)
に向かって順次薄くなるように形成している。
【0214】また、各Hf板対72,74のシース長さ
方向の長さl1 〜l10を、例えばl1 =l2 >l3 =l
4 >l5 =l6 <l7 =l8 <l9 =l10のように、原
子炉用制御棒73の中央部から、制御棒挿入先端及び末
端に向かって順次長尺化している。
【0215】さらに、制御棒挿入先端側の3個のHf板
対74には、周辺の4個に併せて中央部にも荷重支持部
材12を設けて構成している。
【0216】次に、上記構成による作用について説明す
る。原子炉用制御棒73においては、Hf板対72,7
4の長さl1 〜l10が、制御棒全長の中央付近(l5
6)で短く、制御棒挿入先端側及び挿入末端側に向か
うに従って長くなっており、かつ、挿入先端から例えば
3番目迄のHf板対74の中央部には、荷重支持部材1
2が追加されている。
【0217】これにより、地震時に応力が大きくなる制
御棒73の中央部は、Hf板対72の大きさに対して荷
重支持部材12をより密に配置していることから、U字
状シース7における強度が向上して、この場合に荷重支
持部材12はシース補強材、すなわちステイフナとして
機能する。
【0218】また、制御棒挿入先端側のHf板対74
で、中央部に荷重支持部材12を追加して設けたもの
は、その配置位置から厚さが厚く重量が大で、荷重支持
部材12と共にシース7に加わる荷重が大きくなる。
【0219】しかしながら、荷重支持部材12の数が多
いことから荷重支持部材12当たりの荷重負担が低減す
るとともに、U字状シース7における局部的応力も軽減
するので、制御棒挿抜に伴う衝撃荷重の支持と地震時の
応力対応が良好となる。なお、上記と同様に前記Hf板
対72,74はトラップ構成に限定されるものではな
い。
【0220】図14は本発明に係る原子炉用制御棒の第
14実施形態を示すもので、U字状シースの一部を切欠
いて示す正面図である。
【0221】この原子炉用制御棒75においては、U字
状シース7内に一体型中性子吸収要素であるシース長さ
方向に複数に例えば8分割したHf板対72,74を収
納している。
【0222】各Hf板対72,74を形成する中性子吸
収板のHf板の厚さは、制御棒挿入先端から挿入末端に
向かって順次薄くしている。
【0223】また、各Hf板対72,74におけるシー
ス長さ方向の長さは同一としているが、制御棒挿入先端
から全長の3/4迄、各Hf板対74は周辺の4個と共
に中央部にも荷重支持部材12を設けてウィング17内
に収容した配置構成をとっている。
【0224】上記構成による作用としては、Hf板対7
4におけるHf板の厚さが厚く重量が大きな制御棒挿入
先端側と、原子炉用制御棒75の長さ方向の中央部にお
いて、荷重支持部材12を増したHf板対74が配置さ
れていることにより、それぞれの荷重支持部材12及
び、この荷重支持部材12を介して荷重を負担するU字
状シース7の局部的応力が軽減される。
【0225】図14に示された原子炉用制御棒75は構
造が比較的簡素なことから製作が容易であり、また、こ
のHf板対74がトラップ構成に限定されるものでない
ことは、第14実施形態でも同様である。
【0226】図15は原子炉用制御棒の第15実施形態
を示すものである。
【0227】第15実施形態に示された原子炉用制御棒
において、図15(a)はU字状シースの一部を切り欠
いて示す正面図、図15(b)は原子炉用制御棒内に組
み込まれるHf板の側面図である。この原子炉用制御棒
76においては、U字状シース7内にシース長さ方向に
複数に例えば8分割した一体型中性子吸収要素であるH
f板対77を収納している。
【0228】このHf板対77は、全長を8分割した長
さの中性子吸収板のHf板78と、その1/2長さのH
f板79を荷重支持部材12により支持して、U字状シ
ース7内に保持しウィング17を構成したもので、図1
5(b)に示すように中間に荷重支持部材12を挟ん
で、片側にはHf板78を、また他の側には最先端と最
末端に短いHf板79を配置し、その中間にHf板78
を1/2ピッチづつ相互にずらして配置している。
【0229】これにより、シース長さ方向で片側と他の
側におけるHf板78,79の間隙は、段違いに形成さ
れる。また、前記最先端と最末端に配置したHf板79
については、相対するHf板78との間には、Hf板7
8に対して設けた4個の荷重支持部材12と別で、Hf
板78の中央部近くに荷重支持部材12を設けて構成し
ている。
【0230】上記構成による作用としては、U字状シー
ス7内で複数の中性子吸収板であるHf板78,79で
形成したHf板対77において、シース長さ方向でU字
状シース7を制御棒挿抜方向と直角に横切る間隙がなく
なるので、制御棒76における反応度価値の向上が得ら
れる。
【0231】また、複数のHf板対77を収納したU字
状シース7は、段違いに配置されたHf板78,79に
より支えられて、制御棒76における横方向の強度が向
上する。
【0232】図16は本発明に係る原子炉用制御棒の第
16実施形態を示すもので、この制御棒内に備えられる
Hf板の要部拡大横断面図に示すものである。この実施
形態に示された原子炉用制御棒は図示しないU字状シー
ス7内に収納される一体型中性子吸収要素である複数の
Hf板対80が、2枚のHf板10を対峙させて上記図
19(c)に示される荷重支持部材12よりU字状シー
ス7に固着支持されると共に、この荷重支持部材12を
複数配置した位置の適宜の間に、他の間隔保持部材81
を設けてHf板対80を保持したものである。
【0233】間隔保持部材81はコマのような間隔保持
スペーサ形状で、Hf板対80の中間部で水間隙11を
確保し両端の軸部(耳軸部)をHf板10にあけた孔に
嵌合して溶接等により固着している。
【0234】上記構成による作用としては、制御棒の一
体型中性子吸収要素であるHf板対80において、中性
子吸収板のHf板10の厚さが薄い場合には、荷重支持
部材12の取付け位置から大きく離れた場所において
は、荷重支持部材12による間隔保持機能と補強機能が
低下して、Hf板10が撓み易くなることが考えられ
る。
【0235】厚さが薄いHf板10が撓むとU字状シー
ス7に対してHf板10による補強能力が殆どなくなる
と共に、Hf板10が内側に撓むと水間隙11が狭くな
り、制御棒反応度の低下を招くことになる。
【0236】しかしながらこの原子炉用制御棒では荷重
支持部材81で補強されたHf板対80を備えており、
Hf板対80は荷重支持部材12に加えて間隔保持部材
81に、より強固に補強されることから、Hf板10の
撓みと制御棒反応度の低下を防止することができる。
【0237】間隔保持部材81については、コマのよう
なスペーサ形状の外に、貝柱状として2枚のHf板10
の間に介在させて、Hf板10の両側から溶接等で固着
するようにしても良い。
【0238】図17は本発明に係る原子炉用制御棒の第
17実施形態を示すものである。
【0239】図17実施形態に示される原子炉用制御棒
の形状は第16実施形態に示された図16の原子炉用制
御棒と同様であり、制御棒としてウィングのU字状シー
ス7内に収納するHf板対を一体型中性子吸収要素であ
るHf合金板により形成する。
【0240】すなわちHf合金板は、上記第16実施形
態における厚さが薄いHf板10の代わりに、Hfとジ
ルコニウムの合金としてジルコニウムの比率を高め、H
fの含有絶対量は従来とほぼ等しくしたHf合金板とし
て構成する。
【0241】上記構成による作用としては、原子炉用制
御棒として前記Hf板10と同等の中性子吸収機能を備
えたHf合金板として得るためには、Hf合金板におい
ては板厚が増すことになり、従って、この板厚の増加に
より機械的強度が増大することから、シース7を含めた
制御棒としての機械的強度が向上する。
【0242】これにより、制御棒としての全体重量が若
干増加する傾向はあるが、総合的には上記第16実施形
態と同じ作用で、機械的・物理的強度が優れた効果が得
られる。
【0243】図17のHf板の要部拡大横断面図に示す
ように、原子炉用制御棒のウィングで図示しないU字状
シース7内に収納される複数のHf板対82は、Hf板
10を2枚づつ対峙させると共に、上記図19(c)に
示す荷重支持部材12より支持する。
【0244】さらに、Hf板対82には対峙させた2枚
のHf板10のシース長さ方向の側端部で、ウィング幅
方向内側、すなわち図示しない一体型中央構造材6側に
は、一体型中央構造材6との間に通水路を形成する通水
溝83を設けた側端Hf棒84を溶接等により固着す
る。
【0245】また、一体型中央構造材6と反対側、ウィ
ング幅方向外側の側端部には、図示しないU字状シース
7の内側との間に通水路を形成する通水溝83を設けた
側端Hf棒85を溶接等により固着して横断面を箱型に
構成する。
【0246】次に、この原子炉用制御棒の作用について
説明する。原子炉用制御棒として前記Hf板対82にお
いては、その横断面が基本的に箱型となり、さらに、図
示しないシース長さ方向である制御棒挿抜方向に対して
通水路が形成されている。
【0247】すなわち、一体型中央構造材6側には側端
Hf棒84の通水溝83により、また一体型中央構造材
6と反対側には、側端Hf棒85の通水溝83による通
水路が形成される。
【0248】このために、制御棒はトラップ構成であり
ながら、側端Hf棒84,85により側端側が、また全
体的に横断面が基本的に箱型であることからHf板対8
2の強度が上昇して、このHf板対82に補強されてU
字状シース7と共に、制御棒としての機械的強度が大幅
に向上する。
【0249】さらに、図17に示される原子炉用制御棒
は、トラップ構成の制御棒の殆ど全ての場合に適用でき
るが、特に中性子吸収板であるHf板の厚さが比較的薄
い場合に効果が大きい。
【0250】すなわち、Hf板厚が薄くても丈夫なHf
板対の構成とすることができて、シース7への荷重保持
方法の限定も殆どないことから、上記した各実施形態に
対しても適用することができる。
【0251】図18は本発明に係る原子炉用制御棒の第
18実施形態を示すものである。
【0252】この実施形態に示された原子炉用制御棒8
6は、一体型中央構造材6の横断面が十字状をなし、4
つの突起87を中心角度が等角度をなすように一体に成
形される。各突起87は一体型中央構造材6の長手方向
に延設され、ウィング88の厚さと略等しい厚さを有す
る。突起87の先端に凹部89が長手方向に必要に応じ
て延設されて形成され、凹状突起に構成される。この凹
状突起87にウィング88を構成するU字状シース7の
開口部が突き合されて溶接され、固着される。
【0253】この原子炉用制御棒86においては、一体
型中央構造材6の凹状突起87はウィング88の厚さと
同じ厚さを有し、凹状突起87に突き合されるウィング
88のU字状シース7は同じ板厚を有するように形成さ
れるため、溶接時の入熱が両板材に均等となる。このた
め、U字状シース7を凹状突起87に突き合せ溶接する
際、溶け込み不足等による溶接不良を削減することがで
きる。また、この突き合せ溶接により、クレビス環境の
削減も併せて実施でき、溶接部の信頼性を向上させるこ
とができる。
【0254】このように、一体型中央構造材6の突起8
7とU字状シース7を同一厚さとすることにより、U字
状シース7を突起87へ突き合せて溶接する際、同じ板
厚の部材同士の溶接となるため、溶接部の信頼性が向上
し、クレビス環境下による溶接部の割れの削減が可能と
なり、歩留りを向上させることができる。クレビス環境
下による溶接部の割れの削減が可能であるため、割れ発
生による制御棒取り替え体数の増加及びそれに伴う廃棄
物量の増加という経済性悪化を招く要因を削除すること
ができ、結果として経済性は上昇する。
【0255】図18に示されたU字状シースの中央構造
材への溶接による固着構造は、図1乃至図17に示され
た原子炉用制御棒にも適用することができる。
【0256】
【発明の効果】以上に述べたように本発明に係る原子炉
用制御棒においては、制御棒の機械的・物理的強度を増
大させることにより、機械的・物理的寿命を核的寿命と
均衡化させ、整合化させることができ、より一層制御棒
の長寿命化を図ることが可能となり、原子力発電の信頼
性と経済性を向上させる一方、放射性廃棄物の発生量低
減を図ることができる。
【0257】請求項1に係る発明においては、相対的に
重量が重い一体型中性子吸収要素を短尺化することによ
り軽量化し、荷重支持部材1個当たりの荷重を低減する
ことにより、一体型中性子吸収要素の荷重を荷重支持部
材を介して保持しているU字状シースに加える局部的応
力を低減させて、制御棒の機械的・物理的強度を向上さ
せることができ、機械的・物理的強度を核的寿命と均衡
化させてより一層長寿命化を図ることができる。
【0258】請求項2に係る発明においては、一体型中
性子吸収要素の軽量化により荷重支持部材1個当たりに
加わる荷重が低減されるので、一体型中性子吸収要素の
荷重を荷重支持部材を介して保持しているU字状シース
に加わる局部的応力を低減させることができ、制御棒の
機械的・物理的強度を向上させて核的寿命と均衡化させ
ることができ、一層の長寿命化を図ることができる。
【0259】請求項3に係る発明においては、荷重支持
部材1個当たりに加わる荷重を低減させ、比較的長尺の
スティフナがU字状シースに固着されるのでU字状シー
スの機械的・物理的強度が向上する一方、スティフナの
内部には中性子吸収材を収納しているので、制御棒の反
応度価値の低下を防止でき、制御棒の健全性を向上させ
ることができる。
【0260】請求項4に係る発明においては、荷重支持
部材に加わる荷重が低減するのでシースの健全性を向上
させることができ、同一重量の一体型中性子吸収要素を
用いた場合には、制御棒の反応度価値を向上させること
ができ、核的寿命も増加する。
【0261】また、反応度価値や核的寿命を向上させる
必要がない場合には、一体型中性子吸収要素の量を減ら
すことにより重量が軽減するので、一体型中性子吸収要
素を保持するU字状シースの健全性がさらに向上する。
【0262】請求項5に係る発明においては、制御棒の
挿抜操作において、一体型中性子吸収要素がU字状シー
スに対して相対的に移動する際に、シース長手方向に対
をなす所定の2個の荷重支持部材の内で、挿入方向と引
抜き方向の場合とで荷重を負担する荷重支持部材が異な
り、荷重を確実に分担するので1個当たりの荷重が半減
し、荷重支持部材と共にU字状シースにおける耐応力と
機械的強度が向上し、制御棒の健全性を向上させること
ができる。
【0263】請求項6に係る発明においては、ウィング
を構成するU字状シースはウィング幅方向内側がその外
側に比べて機械的強度が大きいことから、この中央構造
材寄りの荷重支持部材に一体型中性子吸収要素の荷重を
負担させることにより、この荷重支持部材を固着したU
字状シースにおける耐応力と機械強度を向上させること
ができ、制御棒の健全性を向上させ得る。
【0264】請求項7に係る発明においては、制御棒の
挿抜操作において、一体型中性子吸収要素がU字状シー
スに対して相対的に移動する際に、シース長手方向に対
をなす所定の2個の荷重支持部材の内で、挿入方向と引
抜き方向の場合とで荷重を負担する荷重支持部材が異な
り、荷重を確実に分担するので1個当たりの荷重が半減
し、荷重支持部材と共にU字状シースにおける耐応力と
機械的強度を向上させることができる。
【0265】請求項8に係る発明においては、ウィング
のU字状シースは中央構造材に固着されている側がウィ
ング幅方向外側に比べて機械的強度が大きいことから、
この中央構造材寄りの荷重支持部材において一体型中性
子吸収要素の荷重を負担させることにより、この荷重支
持部材を固着したU字状シースの耐応力と機械的強度を
向上させることができる。
【0266】請求項9に係る発明においては、重量の重
い一体型中性子吸収要素の中央付近に近接して設けた複
数の荷重支持部材が、一体型中性子吸収要素との係合を
長くして衝撃荷重等を分担するので、U字状シースの耐
荷重性の向上と、一体型中性子吸収要素間の間隔を確保
することができる。
【0267】請求項10に係る発明においては、一体型
中性子吸収要素をハフニウム金属またはハフニウム合金
による長寿命型中性子吸収板として、対峙させた相互間
に水間隙を設けてトラップ構成とするとともに、中央付
近で間隔を保持することにより、中性子吸収板材内側へ
の撓みをなくして、反応度価値の低下の防止とU字状シ
ースの機械的・物理的強度が補強され、向上させること
ができる。
【0268】請求項11に係る発明においては、一体型
中性子吸収要素の荷重が、制御棒挿抜方向のいずれか一
方で複数の荷重支持部材により確実に分担して支持され
るので、荷重支持部材を固着したU字状シースの局部的
における衝撃荷重が軽減され、U字状シースおよび一体
型中性子吸収要素の健全性を向上させることができる。
【0269】請求項12に係る発明においては、制御棒
の挿抜操作に伴うU字状シースと一体型中性子吸収要素
における中性子吸収板との相対運動は、摩擦荷重支持部
材により与えたU字状シースと中性子吸収板との摩擦抵
抗により衝撃荷重が抑制されるので、荷重支持部材の負
担が低減してU字状シースと中性子吸収板の健全性を向
上させることができる。
【0270】請求項13に係る発明においては、U字状
シースのディンプリングと中性子吸収板の窪みを係合し
て、この係合状態を摩擦荷重支持部材で保持することに
より、両者の間に摩擦抵抗が発生し、U字状シース内に
中性子吸収板を安定的にしかも確実に収納保持させるこ
とができる。
【0271】請求項14に係る発明においては、一体型
中性子吸収要素の重量及び衝撃荷重を支持する装着孔と
荷重支持部材の支持軸、およびシース孔の直径が大径化
することから耐荷重が増し、U字状シース等の健全性が
向上する。
【0272】請求項15に係る発明においては、ウィン
グのU字状シースは中央構造材に固着されている側はウ
ィング幅方向外側に比べて機械的強度が大きいことか
ら、中央構造材寄りの荷重支持部材に一体型中性子吸収
要素の荷重を負担させことにより、この荷重支持部材を
固着したU字状シースの耐応力と機械的強度を向上させ
ることができる。
【0273】請求項16に係る発明においては、各中性
子吸収材の重量がほぼ一様となるために、それぞれの荷
重支持部材が負担する衝撃荷重とU字状シースにおける
局部応力がほぼ均等化されるので、U字状シース等の健
全性を向上させることができる。
【0274】請求項17に係る発明においては、地震時
に受ける応力が大きい制御棒全長の中央部分において一
体型中性子吸収要素を短尺化して、荷重支持部材の取付
け密度を高くすることにより耐震性を向上させることが
でき、さらに、相対的に重量が重い一体型中性子吸収要
素に荷重支持部材を追加したので、荷重支持部材1個当
たりの支持荷重が低下して、U字状シースや一体型中性
子吸収要素の健全性を向上させることができる。
【0275】請求項18に係る発明においては、相対的
に重量が重い一体型中性子吸収要素と、地震時に発生す
る応力が大きい部分に荷重支持部材を追加したので、荷
重支持部材1個当たりの支持荷重が低下して、U字状シ
ースの健全性を向上させることができる。
【0276】請求項19に係る発明においては、U字状
シース内の一体型中性子吸収要素は、ハフニウム金属ま
たはハフニウム合金の長寿命型中性子吸収板を、水間隙
を挟んで段違いに並べているので、横方向の強度が補強
され、U字状シースの強度も向上する一方、一体型中性
子吸収要素は縦方向に中性子吸収板の切れ目がなく、横
切る中性子がなくなるので制御棒の反応度価値を向上さ
せることができる。
【0277】請求項20に係る発明においては、荷重支
持部材との中央部で、対峙させた2枚の中性子吸収板の
間に間隙保持材を固着しているので、中性子吸収板が曲
がり難くなり、U字状シースの強度が補足され、U字状
シースの健全性を向上させることができる一方、中性子
吸収板間の間隙が正しく保持されるために、制御棒の反
応度価値の低下が起こらない。
【0278】請求項21に係る発明においては、ハフニ
ウム合金による一体型中性子吸収要素における中性子吸
収板では、ハフニウム含有量が同じハフニウム金属に比
べて板厚が増大となることから機械的・物理的強度が増
し、シース強度が補強されるのでU字状シースの健全性
を向上させることができる。
【0279】請求項22に係る発明においては、一体型
中性子吸収要素の横断面がほぼ箱型のために、剛性が増
して機械的・物理的強度が増大し、シース強度が補強さ
れてU字状シースの健全性が向上する一方、U字状シー
ス内で一体型中性子吸収要素の両外側に通水路を形成す
ることができる。
【0280】請求項23に係る発明においては、中央構
造材の突起とウィングを同一厚さにし、ウィングのU字
状シースを中央構造材の突起に溶接し、固着することに
よって、溶接部の信頼性向上、クレビス環境下による溶
接部の割れの削減が可能であるため、割れ発生による制
御棒取り替え体数の増加や放射性廃棄物量の増加を未然
にかつ確実に防止することができ、結果として経済性を
一層良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉用制御棒の第1実施形態を
示すもので、(a)はウィングの一部を切欠いて示す要
部拡大正面図、(b)はウィング内に収容されるHf板
対の拡大正面図、(c)は(b)におけるB−B線に沿
う横断面図。
【図2】本発明に係る原子炉用制御棒の第2実施形態を
示すもので、(a)はウィングの一部を切り欠いて示す
要部拡大正面図、(b)はウィング内に収容されるHf
板対の拡大正面図、(c)は(b)におけるC−C線に
沿う横断面図。
【図3】本発明に係る原子炉用制御棒の第3実施形態を
示すもので、(a)はウィングの一部を切り欠いて示す
要部拡大正面図、(b)はウィング内に収容されるHf
板対の拡大正面図、(c)は(b)におけるD−D線に
沿う横断面図。
【図4】本発明に係る原子炉用制御棒の第4実施形態を
示すもので、(a)はウィングの要部拡大正面図、
(b)は(a)におけるE−E線に沿う横断面図。
【図5】本発明に係る原子炉用制御棒の第5実施形態を
示すもので、ウィングの要部拡大正面図。
【図6】本発明に係る原子炉用制御棒の第6実施形態を
示すもので、ウィングの要部拡大正面図。
【図7】本発明に係る原子炉用制御棒の第7実施形態を
示すもので、ウィングの要部拡大正面図。
【図8】本発明に係る原子炉用制御棒の第8実施形態を
示すもので、(a)は一部切り欠き要部拡大正面図、
(b)はHf板の拡大正面図。
【図9】本発明に係る原子炉用制御棒の第9実施形態を
示すもので、ウィングの要部拡大正面図。
【図10】本発明に係る原子炉用制御棒の第10実施形
態を示すもので、(a)はウィング要部拡大正面図、
(b)は(a)におけるF−F線に沿う縦断面図、
(c)は(b)における要部拡大断面図、(d)は荷重
支持部材の斜視図。
【図11】本発明に係る原子炉用制御棒の第11実施形
態を示すもので、ウィングの要部拡大正面図。
【図12】本発明に係る原子炉用制御棒の第12実施形
態を示すもので、ウィングを構成するU字状シースを切
欠いて示す正面図。
【図13】本発明に係る原子炉用制御棒の第13実施形
態を示すもので、ウィングを構成するU字状シースを切
欠いて示す正面図。
【図14】本発明に係る原子炉用制御棒の第14実施形
態を示すもので、ウィングを構成するU字状シースを切
欠いて示す正面図。
【図15】本発明に係る原子炉用制御棒の第15実施形
態を示すもので、ウィングを構成するU字状シースを切
欠いて示す正面図。
【図16】本発明に係る原子炉用制御棒の第16実施形
態を示すもので、ウィング内に収容されるHf板の要部
拡大横断面図。
【図17】本発明に係る原子炉用制御棒の第17実施形
態を示すもので、ウィング内に収容されるHf板の要部
拡大横断面図。
【図18】本発明に係る原子炉用制御棒の第18実施形
態を示すもので、一体型中央構造材とU字状シース固着
部を示す断面図。
【図19】従来の長寿命型原子炉用制御棒を示すもの
で、(a)は一部切断斜視図、(b)はウィングの横断
面図、(c)は荷重支持部材の斜視図。
【図20】従来の長寿命型原子炉用制御棒を示すもの
で、(a)はウィングの一部を切り欠いて示す正面図、
(b)はウィング内に収容されるHf板厚さの軸方向分
布図。
【図21】従来の長寿命型原子炉用制御棒を示すもの
で、(a)はウィングの一部を切り欠いて示す要部拡大
正面図、(b)はウィング内に収容されるHf板対の拡
大正面図、(c)は(b)におけるA−A線に沿う横断
面図。
【符号の説明】
1,16,19,22,27,32,37,42,4
7,53,57,67,71,73,75,76,86
制御棒 2,17,20,23,29,34,38,43,4
8,54,58,65,88 ウィング 3 ハンドル 4 先端構造材 5 末端構造材 6 一体型中央構造材 7,28,33,49,56,66 シース 8,8a,8b,30a,30b,35a,35b,7
0 シース孔 9 通水孔 10,10a〜10d,39,44,51,55,6
1,67,78,79 Hf板 11 水間隙 12,63,68 荷重支持部材 12a,62a,63a 間隙部 12b,62b,63b,68b 支持軸 13,13a,13b,40a,40b,45a,45
b,52,56,69装着孔 14,18,21,24,50,60,72,74,7
7,80,82 Hf板対 15,31,36,41,46 ピッチ 25 Hf棒 26 スティフナ 59a デンプリング 61a 切込み溝 62 摩擦荷重支持部材 63d 溝 81 間隔保持部材 83 通水溝 84,85 側端Hf棒 87 突起 L シース長手方向長さ l Hf板の長さ l1 〜l10 Hf板対の長さ δ ずれ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志賀 重範 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横断面が深いU字状をなす長尺のシース
    の開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構
    成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
    を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
    に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
    をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
    手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
    1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
    した原子炉用制御棒において、前記ウィングに収容され
    る複数組の一体型中性子吸収要素のうち、重量が相対的
    に大きくなる少なくとも1組の一体型中性子吸収要素の
    シース長手方向長さを短尺化し、短尺化した一体型中性
    子吸収要素をそれぞれ複数の荷重支持部材でU字状シー
    スに保持し、U字状シースに加わる局所的な荷重を低減
    させたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  2. 【請求項2】 横断面が深いU字状をなす長尺のシース
    の開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構
    成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
    を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
    に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
    をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
    手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
    1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
    した原子炉用制御棒において、重量が相対的に大きくな
    る少なくとも1組の一体型中性子吸収要素をウィング幅
    方向に複数に分割し、分割された一体型中性子吸収要素
    をそれぞれ複数の荷重支持部材でU字状シースに重量保
    持させ、前記分割された一体型中性子吸収要素を支持す
    る荷重支持部材の合計支持能力が、一体型中性子吸収要
    素が未分割時の荷重支持部材の支持能力を越えるように
    設定したことを特徴とする原子炉用制御棒。
  3. 【請求項3】 ウィング幅方向に分割された一体型中性
    子吸収要素は、分割された一体型中性子吸収要素間の少
    なくとも1箇所に中性子吸収材入りスティフナを配置す
    るとともに上記スティフナをU字状シースに固着した請
    求項2に記載の原子炉用制御棒。
  4. 【請求項4】 ウィング幅方向に複数に分割された一体
    型中性子吸収要素は、前記ウィングの外側縁に位置する
    一体型中性子吸収要素のウィング幅方向単位長さ当たり
    の中性子吸収能力をウィング外側縁を除く部位に比べて
    増加させた請求項2または3に記載の原子炉用制御棒。
  5. 【請求項5】 横断面が深いU字状をなす長尺のシース
    の開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構
    成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
    を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
    に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
    をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
    手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
    1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
    した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要
    素は、荷重支持部材の支持軸を余裕をもって挿通可能な
    装着孔を形成し、上記装着孔はシース長手方向に離間し
    てウィング幅方向内側と外側に少なくとも2個づつそれ
    ぞれ設けられ、シース長手方向に対をなす2個の荷重支
    持部材間の距離は、前記装着孔のシース長手方向ピッチ
    が製作公差を越えて装着孔径の余裕未満となる範囲で異
    ならせたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  6. 【請求項6】 前記装着孔のシース長手方向ピッチと異
    ならせたシース長手方向に対をなす2個の荷重支持部材
    はウィング幅方向内側に設けられたものである請求項5
    に記載の原子炉用制御棒。
  7. 【請求項7】 横断面が深いU字状をなす長尺のシース
    の開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構
    成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
    を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
    に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
    をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
    手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
    1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
    した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要
    素は、荷重支持部材の支持軸を余裕をもって挿通可能な
    装着孔を形成し、上記装着孔はシース長手方向に離間し
    てウィング幅方向内側と外側とに少なくとも2個づつそ
    れぞれ設けられ、前記一体型中性子吸収要素の装着孔の
    シース長手方向ピッチは、荷重支持部材対間のシース長
    手方向ピッチに比べて製作公差を越えて装着孔径の余裕
    未満となる範囲で異ならせたことを特徴とする原子炉用
    制御棒。
  8. 【請求項8】 荷重支持部材対間のシース長手方向ピッ
    チと異なるシース長手方向ピッチの装着孔は、一体型中
    性子吸収要素のウィング幅方向内側に形成された請求項
    7に記載の原子炉用制御棒。
  9. 【請求項9】 横断面が深いU字状をなす長尺のシース
    の開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを構
    成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造材
    を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するととも
    に、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要素
    をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース長
    手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素は、
    1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に形成
    した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸収要
    素を保持する複数の荷重支持部材の少なくとも一部は、
    一体型中性子吸収要素の中央付近に近接して設けるとと
    もにこの中央付近に設けられた荷重支持部材の支持軸と
    一体型中性子吸収要素の装着孔との孔余裕を他の荷重支
    持部材の支持軸における装着孔の孔余裕より小さくして
    荷重支持能力を高めたことを特徴とする原子炉用制御
    棒。
  10. 【請求項10】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素はハフニウム金属またはハフニウムをジルコニウ
    ムやチタン等の希釈材で希釈したハフニウム合金を板状
    に成形した長寿命型中性子吸収板で構成し、前記一体型
    中性子吸収要素は炉水通路の水間隙を設けて対峙させた
    複数の中性子吸収板の組合せによるトラップ構成とする
    とともに前記荷重支持部材に中性子吸収板間の間隔保持
    機能を備えたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  11. 【請求項11】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素は、荷重支持部材の支持軸を所定の余裕をもって
    挿通可能な装着孔を備え、上記一体型中性子吸収要素の
    制御棒挿入先端側と挿入末端側に荷重支持部材をウィン
    グ幅方向に離間させてそれぞれ設け、上記荷重支持部材
    はウィング幅方向のいずれか一方の支持軸と一体型中性
    子吸収要素の装着孔との余裕を他の荷重支持部材におけ
    る装着孔の余裕より小さくしたことを特徴とする原子炉
    用制御棒。
  12. 【請求項12】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素はシースに固着される荷重支持部材が所定の余裕
    をもって挿通される装着孔を備えるとともに前記一体型
    中性子吸収要素を構成する中性子吸収板とU字状シース
    間に間隔保持機能および摩擦抵抗機能を備えた摩擦荷重
    支持部材を設けたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  13. 【請求項13】 前記摩擦荷重支持部材は、U字状シー
    ス内面に突出した内面凸部を中性子吸収板の表面に形成
    した凹部と係合させて摩擦抵抗機能を付与した請求項1
    2に記載の原子炉用制御棒。
  14. 【請求項14】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素の装着孔にはU字状シースと固着される荷重支持
    部材の支持軸が所定の余裕をもって装着されるとともに
    前記荷重支持部材のうち特定の荷重支持部材の支持軸と
    一体型中性子吸収要素の装着孔を大径として荷重支持能
    力を向上させたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  15. 【請求項15】 前記荷重支持部材の支持軸と一体型中
    性子吸収要素の装着孔を他に比べて大径化した特定の荷
    重支持部材が、ウィング幅方向内側に設けられた請求項
    14に記載の原子炉用制御棒。
  16. 【請求項16】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記複数の一体型中
    性子吸収要素は制御棒挿入先端側から挿入末端側に向か
    って中性子吸収材の厚さを段階的に薄くすると共に上記
    中性子吸収材の長さを挿入末端側に向かって段階的に長
    尺化したことを特徴とする原子炉用制御棒。
  17. 【請求項17】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記複数の一体型中
    性子吸収要素は制御棒全長の中央付近で短尺化するとと
    もに中性子吸収材が厚い制御棒挿入先端側の少なくとも
    一部の一体型中性子吸収要素のウィング幅方向とシース
    長手方向の中央部にも荷重支持部材を設けたことを特徴
    とする原子炉用制御棒。
  18. 【請求項18】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記複数の一体型中
    性子吸収要素は制御棒全長にわたってほぼ一様の長さと
    するとともに、制御棒挿入先端側からほぼ2/3迄、一
    体型中性子吸収要素のウィング幅方向とシース長手方向
    の中央部にも荷重支持部材を設けたことを特徴とする原
    子炉用制御棒。
  19. 【請求項19】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素はハフニウム金属またはハフニウムをジルコニウ
    ムやチタン等の希釈材で希釈したハフニウム合金を板状
    に成形した中性子吸収板で構成し、上記一体型中性子吸
    収要素は、複数の中性子吸収板を水間隙を隔て組合せて
    トラップ構成とするとともに、水間隙を挟んで対峙する
    中性子吸収板を制御棒挿抜方向に段違いに配置したこと
    を特徴とする原子炉用制御棒。
  20. 【請求項20】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素はハフニウム金属またはハフニウムをジルコニウ
    ムやチタン等の希釈材で希釈したハフニウム合金を板状
    に成形して中性子吸収板を構成し、上記一体型中性子吸
    収要素は複数の中性子吸収板を水間隙を隔てて組合せて
    トラップ構成とするとともに、一体型中性子吸収要素は
    制御棒挿入先端側から挿入末端側に向かって中性子吸収
    板の厚さを段階的に薄くしてU字状シースに固着される
    荷重支持部材を装着孔に所定の余裕をもって装着してな
    り、上記荷重支持部材は一体型中性子吸収要素のウィン
    グ幅方向内側と外側とにシース長手方向に離間してそれ
    ぞれ2個づつ設けるとともに、少なくとも一組の一体型
    中性子吸収要素に前記荷重支持部材間でウィング幅方向
    およびシース長手方向の中央部にU字状シースに固着さ
    れる間隔保持部材を設けたことを特徴とする原子炉用制
    御棒。
  21. 【請求項21】 前記少なくとも一組の一体型中性子吸
    収要素は残りの一体型中性子吸収要素の中性子吸収板と
    ハフニウム含有量が同じでかつジルコニウムまたはチタ
    ン等の希釈材で希釈されたハフニウム合金で中性子吸収
    板が形成され、このハフニウム合金製中性子吸収板は板
    厚を増加させて機械的・物理的強度を向上させたことを
    特徴とする請求項20に記載の原子炉用制御棒。
  22. 【請求項22】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、前記一体型中性子吸
    収要素はハフニウム金属またはハフニウムをジルコニウ
    ムやチタン等の希釈材で希釈したハフニウム合金を、板
    状に成形した中性子吸収板で構成し、前記一体型中性子
    吸収要素はU字状シース内で制御棒挿抜方向の通水路を
    形成するとともに制御棒挿抜方向と直角方向の断面をほ
    ぼ箱型に形成したことを特徴とする原子炉用制御棒。
  23. 【請求項23】 横断面が深いU字状をなす長尺のシー
    スの開口部を、中央構造材に固着して複数のウィングを
    構成し、上記ウィングの炉心挿入方向先端側に先端構造
    材を、挿入末端側に末端構造材をそれぞれ固着するとと
    もに、前記シース内に複数の板状の一体型中性子吸収要
    素をそれぞれ複数の荷重支持部材で重量保持してシース
    長手方向に列状に収容し、上記一体型中性子吸収要素
    は、1つまたは複数の中性子吸収板を一体化して板状に
    形成した原子炉用制御棒において、中央構造材は、U字
    状シースとの固着側に、ウィングの厚さと等しい厚さで
    長手方向に延びる凹状突起を有し、この凹状突起にU字
    状シースを溶接して固着したことを特徴とする原子炉用
    制御棒。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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