JPH10102470A - 着地昇降式水上プラットホーム及びその設置方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラントを現地にて、安全に、かつ、短時間
で設置できる着地昇降式水上プラットホームの設置方法
を提供する。 【解決手段】 プラント設置箇所に曳航させた浮体２か
ら脚３を水底９に立設させる工程と、浮体２のジャッキ
アップに先立って各ジャッキアップ用ワイヤーロープ２
３のテンションを一定にする工程と、各ジャッキアップ
用ワイヤーロープ２３のテンションが一定になった後に
ウインチモータ２１の回転数を一定に保持しながら浮体
２をジャッキアップする工程と、浮体２と脚３を互いに
固定するロック工程とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、着地昇降式水上プ
ラットホーム及びその設置方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、発電プラントや飲料水製造プラ
ントなどのプラントを建設する場合、工場にて、浮体上
に上記プラントを設置し、しかる後に、プラントを浮体
ごと設置場所に曳航して据え付けることが行われてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記プ
ラントの設置に際し、現地では、プラント設置場所に浮
体の大きさに見合う巨大な穴を設け、この穴の底に杭打
ち作業などを行ってプラント設置基盤を構築し、次に、
穴の周囲の堤防を除去して穴の中に水を引き入れると共
に、この水を利用して上記プラントをプラント設置場所
の真上に引き込み、次に、堤防を再構築した後、穴の中
の水を排除して上記プラントを浮体ごとプラント設置基
盤上に設置する作業が行われるために、非常に多くの労
力と時間を必要とするという問題があった。

【０００４】一方、上記の如き着底式のプラントは、地
球温暖化などの影響によって周囲の水位が増加すると、
水没する虞れがある。そこで、着地昇降式のプラントに
することも考えられるが、従来の着地昇降式海上作業台
のように、作業台を昇降させる昇降装置をラック・ピニ
オン式の昇降装置にすると、大型のラックやピニオンを
必要とするため、昇降装置自体が大掛かりになると共
に、製造コストが大幅にアップするという問題がある。

【０００５】本発明は、係る従来の問題に鑑みてなされ
たものであり、上記プラントを現地にて、安全に、か
つ、短時間で設置できる一方、製造コストの安価な着地
昇降式水上プラットホーム及びその設置方法を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の着地
昇降式水上プラットホームは、浮体と、該浮体に昇降自
在に設けた多数の脚と、前記浮体と前記脚間に掛け渡し
たジャッキアップ用ワイヤーロープと、該ワイヤーロー
プを巻き取るウインチと、浮体のジャッキアップに先立
って各ワイヤーロープに取り付けたロードセルからの検
知情報に基づいて各ワイヤーロープの張力が一定になる
ように各ウインチモータを制御するコントローラと、各
ウインチモータに設けたエンコーダからの検知情報に基
づいてジャッキアップ時に各ウインチモータの回転数が
一定になるように各ウインチモータを制御するコントロ
ーラと、前記浮体と前記脚を相互に固定するロック装置
と、から構成されている。

【０００７】一方、本発明の着地昇降式水上プラットホ
ームの設置方法は、プラント設置箇所に曳航させた浮体
から脚を水底に立設させる工程と、浮体のジャッキアッ
プに先立って各ジャッキアップ用ワイヤーロープのテン
ションを一定にする工程と、各ジャッキアップ用ワイヤ
ーロープのテンションが一定になった後にウインチモー
タの回転数を一定に保持しながら浮体をジャッキアップ
する工程と、浮体と脚を互いに固定するロック工程とか
ら構成されている。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の実施の
形態を説明する。図１及び図２に示すように、着地昇降
式水上プラットホーム１は、主として、長方形の箱形を
した浮体２と、この浮体２を支える多数の円筒状の脚３
から構成されている。そして、この実施の形態の場合、
浮体２上に複数の発電設備４が設置されている。

【０００９】図３乃至図５に示すように、上記浮体２
は、脚昇降装置５と浮体ジャッキアップ装置６及び浮体
ロック装置７を備えている。図３のように、脚昇降装置
５は、ウインチ１１と、ワイヤーロープ１２と、シーブ
１３，１４，１５と、ワイヤーロープ固定装置１６から
構成されている。浮体２上に設置したウインチ１１から
引き出したワイヤーロープ１２は、浮体２上のシーブ１
３及び脚３に設けた一対のシーブ１４，１５を経て浮体
２上のワイヤーロープ固定装置１６に固定されている。
従って、浮体２が水面（図示せず）上に浮上している状
態の時に、ウインチ１１にワイヤーロープ１２を巻き取
ると、脚３が上昇し、ウインチ１１からワイヤーロープ
１２を繰り出すと、脚３が降下する。

【００１０】図４に示すように、浮体ジャッキアップ装
置６は、ウインチモータ２１と、ウインチ２２と、ワイ
ヤーロープ２３と、多数のシーブ２４，２５，２６，２
７，２８と、ワイヤーロープ固定装置２９から構成され
ている。浮体２上に設置したウインチ２２から引き出し
たワイヤーロープ２３は、浮体２上のシーブ２４→脚３
上の一対のシーブ群２５，２６→浮体２上のシーブ２７
→脚３上の一対のシーブ２５，２６→浮体２上のシーブ
群２８→脚３上の一対のシーブ群２５，２６を経て浮体
２上のワイヤーロープ固定装置２９に固定されている。
従って、脚３が水底の岩盤９上に立設している状態の時
に、ウインチ２２にワイヤーロープ２３を巻き取ると、
浮体２が脚３に沿って上昇し、ウインチ２２からワイヤ
ーロープ２３を繰り出すと、浮体２が脚３に沿って降下
する。

【００１１】この浮体ジャッキアップ装置６は、全ての
脚３に設けてもよいが、その場合は、製造コストがアッ
プするので、この実施の形態では、格子状に配設されて
いる脚３のうち、浮体２の四隅に設けられている４本の
脚３ａと、浮体２の中央域（左右のどちらから数えても
３列目）に配設されている４本の脚３ｂの合計８本の脚
にのみ、浮体ジャッキアップ装置６を備える。

【００１２】図５に示すように、浮体ロック装置７は、
浮体２上に設けた一対の支持部材３１と、これらの支持
部材の孔３２，３２間に差し込む棒体３３とから構成さ
れている。従って、一対の支持部材の孔３２，３２と脚
３に設けた孔８に棒体３３を差し込んだ後、支持部材の
孔３２と棒体３３の隙間にクサビ（図示せず）を装着さ
せることにより浮体２を脚３に固定することができる。
なお、脚３に設けた孔８は、一定の間隔を保持して多段
に設けられている。

【００１３】一方、図４に示すように、各ジャッキアッ
プ用ワイヤーロープ２３にロードセル４１を設け、各ロ
ードセル４１からの検知情報に基づいて浮体のジャッキ
アップに先立って各ジャッキアップ用ワイヤーロープ２
３のテンションが一定になるようにシーケンシャルコン
トローラ４２によって各ウインチモータ２１を制御する
ようになっている。このとき、各ジャッキアップ用ワイ
ヤーロープ２３にウインチ能力の１０〜２０％のロード
をかける。

【００１４】更に、各ウインチモータ２１にエンコーダ
４３を設け、各エンコーダ４３からの検知情報に基づい
て浮体のジャッキアップ時に各ウインチモータ２１の回
転数が一定になるようにシーケンシャルコントローラ４
４によって各ウインチモータ２１の回転数を制御するよ
うになっている。次に、上記着地昇降式プラットホーム
の設置方法について説明する。

【００１５】図６に示すように、発電設備（図示せず）
を搭載した着地昇降式プラットホーム１をプラント設置
場所の真上まで曳航する。このとき、全ての脚３は、図
示のように引き上げられている。着地昇降式プラットホ
ーム１がプラント設置場所の真上に到着したら、図７に
示すように、ジャッキアップ用の脚３ａ（３ｂ）のみを
浮体２から降下させて水底の岩盤９上に立設させる。

【００１６】次に、浮体ジャッキアップ装置６をちょっ
とだけ作動させて浮体２をちょっと持ち上げる。このと
き、シーケンシャルコントローラ４２を作動させて各ジ
ャッキアップ用ワイヤーロープ２３に取り付けた各ロー
ドセル４１からの検知情報に基づいて各ジャッキアップ
用ワイヤーロープ２３のテンションが一定になるように
各ウインチモータ２１を制御する。

【００１７】そして、各ジャッキアップ用ワイヤーロー
プ２３のテンションが一定になったらウインチモータ２
１の回転数が一定になるようにコントローラ４４によっ
てウインチモータ２１の回転数を制御しながら浮体２を
所定の高さまでジャッキアップさせる（図８参照）。次
に、図９に示すように、浮体２とジャッキアップ用の脚
３ａ（３ｂ）とをロック装置７によってロックさせると
共に、それ以外の脚（補助脚）３ｃを降下させて岩盤９
上に着地させる。

【００１８】最後に、図１０に示すように、浮体２と補
助脚３ｃとをロック装置７によってロックさせる。この
ように、浮体２と全ての脚３（３ａ〜３ｃ）とをロック
させると、浮体２の撓みや振動を防ぐことができるの
で、ガスタービン発電設備でも十分に使用に耐えること
ができる。以上の説明では、ジャッキアップ用の脚３
ａ，３ｂをロックしてから補助脚３ｃを着地させる場合
について説明したが、浮体２をジャッキアップさせる前
に全ての脚３を着地させた方がジャッキアップ用モータ
の負担を軽減させることができる。

【００１９】また、浮体２上には、発電設備に限らず、
例えば、飲料水製造設備などのプラントを設置すること
もできる。

【００２０】

【発明の効果】上記のように、本発明によれば、発電プ
ラントなどの各種プラントを現地にて、安全に、かつ、
短時間で設置できると共にワイヤーロープを使用した昇
降装置を適用するので、ラック・ピニオン式の昇降装置
を使用する場合に比べて製造コストを低減させることが
できる。更に、次のような利点が得られる。

【００２１】ａ）フルタンキープラントが可能。即ち、
現地で直ちに操業に入ることができる。 ｂ）工場（造船所）でジャッキアップ作業以外の全ての
装置を完成させることかできる。 ｃ）ジャッキアップがコンベンショナルに行われる。

【００２２】ｄ）補助脚により振動を防止できる。 ｅ）ジャッキアップ時の歪をゼロにすることができる
（同一テンションでスタンバイできる）。 ｆ）ジャッキアップ中は、ウインチモータの回転数がコ
ンスタントなため、初期姿勢を保持できる。

【００２３】ｇ）サイトにおける作業がジャッキアップ
のみとなり、ジャッキアップ作業は、１日のみである。 ｈ）再ジャッキアップが可能である。 ｉ）発電プラットホームのように起振力のあるものに最
適である。 ｊ）ジャッキアップ装置を取外して陸上に保管しておく
ことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る着地昇降式水上プラットホームの
側面図である。

【図２】本発明に係る着地昇降式水上プラットホームの
平面図である。

【図３】脚昇降装置の説明図である。

【図４】ジャッキアップ装置の説明図である。

【図５】ロック装置の説明図である。

【図６】着地昇降式水上プラットホームを設置箇所の真
上に曳航した説明図である。

【図７】ジャッキアップ用の脚を着地させた時の説明図
である。

【図８】浮体をジャッキアップさせた時の説明図であ
る。

【図９】浮体をジャッキアップ用の脚にロックすると共
に補助脚を着地させた時の説明図である。

【図１０】補助脚をロックさせた時の説明図である。

【符号の説明】

１ 着地昇降式水上プラットホーム ２ 浮体 ３ 脚 ７ ロック
装置 ２１ ウインチモータ ２２ ウイ
ンチ ２３ ジャッキアップ用ワイヤーロープ ４１ ロー
ドセル ４２ コントローラ ４３ エン
コーダ ４４ コントローラ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浮体と、該浮体に昇降自在に設けた多数
   の脚と、前記浮体と前記脚間に掛け渡したジャッキアッ
   プ用ワイヤーロープと、該ワイヤーロープを巻き取るウ
   インチと、浮体のジャッキアップに先立って各ワイヤー
   ロープに取り付けたロードセルからの検知情報に基づい
   て各ワイヤーロープの張力が一定になるように各ウイン
   チモータを制御するコントローラと、各ウインチモータ
   に設けたエンコーダからの検知情報に基づいてジャッキ
   アップ時に各ウインチモータの回転数が一定になるよう
   に各ウインチモータを制御するコントローラと、前記浮
   体と前記脚を相互に固定するロック装置と、から成る着
   地昇降式水上プラットホーム。
2. 【請求項２】 プラント設置箇所に曳航させた浮体から
   脚を水底に立設させる工程と、浮体のジャッキアップに
   先立って各ジャッキアップ用ワイヤーロープのテンショ
   ンを一定にする工程と、各ジャッキアップ用ワイヤーロ
   ープのテンションが一定になった後にウインチモータの
   回転数を一定に保持しながら浮体をジャッキアップする
   工程と、浮体と脚を互いに固定するロック工程とからな
   る着地昇降式水上プラットホームの設置方法。