JPH10102068A - 石炭の液化方法およびそのための石炭液化用反応塔 - Google Patents

石炭の液化方法およびそのための石炭液化用反応塔

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JPH10102068A
JPH10102068A JP26005896A JP26005896A JPH10102068A JP H10102068 A JPH10102068 A JP H10102068A JP 26005896 A JP26005896 A JP 26005896A JP 26005896 A JP26005896 A JP 26005896A JP H10102068 A JPH10102068 A JP H10102068A
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liquefaction
coal
reaction tower
slurry
coal liquefaction
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JP26005896A
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Michiharu Mochizuki
通晴 望月
Kunihiro Imada
邦弘 今田
Kenji Iguchi
憲二 井口
Yoshinobu Nogami
義信 野上
Yasuo Okada
康生 岡田
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MITSUI SEKITAN EKIKA KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
MITSUI SEKITAN EKIKA KK
Nippon Steel Corp
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、石炭液化プロセスで石炭液化反応
を行うに当たり、液化反応塔内で生成する固形物が液化
反応塔壁面に付着し、付着した固形物の剥離によって発
生する配管、バルブ閉塞などの運転トラブルを防止し、
石炭液化プラントの長期連続安定運転を可能とすること
によって運転コストの低減をはかることを目的とする。 【解決手段】 石炭、石炭液化用溶剤、石炭液化用触媒
を混合したスラリーを水素の存在下で加圧、加熱し、得
られた液化油を蒸留し、製品油の一部を水素化して循環
する石炭液化プロセスにおいて、液化反応塔壁面に円周
状、もしくは、螺旋状の筋をつけることによって反応塔
壁面での液相の流動を乱流とし、固形物の付着を防止す
る。その結果、反応塔壁面から剥離する固形物が原因と
して発生する配管、バルブ閉塞などの運転トラブルを防
止し、石炭液化プラントの長期連続安定運転と運転コス
トの低減をはかることが可能な液化方法を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高温、高圧の水素の
存在下で石炭を液化反応させて液化油を得、さらに各種
製品油に分離する石炭液化プロセスに於いて、液化反応
工程で生成する固形物が反応塔壁面に付着することを防
止し、さらには付着した固形物が剥離することによって
発生する液化反応塔間の配管およびバルブの閉塞トラブ
ルを防止すると共に運転終了後のメンテナンス期間中に
必要とする液化反応塔付着固形物の除去作業を低減して
石炭液化プラントのコストを削減することを可能とする
石炭液化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、石油資源の枯渇および石油価格の
高騰に伴って代替エネルギーの必要性が認識されるよう
になり、そのエネルギーを得る一つの方法として石炭の
液化についても数多くの研究がなされている。こうした
石炭液化プロセスに関しては、次のようなプロセスが良
く知られている。すなわち、原料石炭、石炭液化用溶
剤、および石炭液化用触媒を混合して調製したスラリー
を高温、高圧で触媒の存在下、水素添加により液化反応
させる。得られた液化油を軽質油、中質油、および重質
油に分離精製する。具体的には、得られた液化油の内、
軽質油、中質油留分は製品とし、また、残りの液化油に
ついては減圧蒸留により重質油と残渣成分とに分離す
る。この内、重質油については、水素化反応塔で水素化
反応を行い、得られた石炭系溶剤を再び石炭液化用溶剤
として戻し、循環使用するものである。
【0003】石炭液化プロセスの究極の目的は、安い運
転コストで安定して石油に比べて安価な液化油を製造す
ることである。そのためには安定した石炭液化プラント
の運転を長期間にわたって行う必要がある。石炭液化反
応は、液化用触媒を含む石炭スラリーと水素ガスとを混
合した後、高温、高圧に保持した液化反応塔内に一定時
間滞留させることによって進行する。その際に液化油,
ガス,水にならない石炭中灰分、触媒などの固体は液化
反応塔内で固形物となって沈積する。これらの付着固形
物は、液化反応条件、すなわち、反応温度,圧力,ガス
/スラリー比率などを変更した際に、液化反応塔内での
熱変動、圧力変動、ガスの流量変動が原因となって剥離
したり、また石炭スラリー運転終了後の熱油運転によっ
て液化反応塔内を洗浄する際に液化反応塔内での温度低
下による熱変動によって剥離し、剥離した固形物が反応
塔間の配管やバルブを閉塞することによって運転トラブ
ルが発生し、石炭液化プロセスの安定運転を阻害してい
た。
【0004】従って、石炭液化プラントを長期安定運転
するための重要なポイントは、液化反応工程で発生する
石炭中の未反応炭素,灰分,および触媒中の鉄,イオウ
分などを主成分とする固形物を液化反応系内から系外へ
と安定して排出することによって、固形物の付着、沈降
が原因となって発生する液化反応塔間の配管、バルブ等
の閉塞トラブルを防止する点にある。そこで、従来の石
炭液化方法においては、反応塔内で液化反応が進行する
際に生成される上記固形物を間欠的に系外に抜き出す運
転操作を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、固形物
の間欠的排出除去を実施しても、液化反応塔の表面に固
形物の一部がどうしても付着残留し、液化プラントの安
定運転は今もっても達成せられていない。従って、液化
反応塔での固形物の付着を防止する技術の開発が重要な
課題となっている。本発明は、液化反応塔壁面に付着す
る固形物を低減させることによって、固形物の剥離によ
る石炭液化プラントの運転トラブルを回避することが可
能な石炭液化方法およびそのための石炭液化用反応塔を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、幅広い石
炭種を対象として、前述の石炭液化プロセスにおける液
化反応塔内での固形物の発生および付着のメカニズムに
ついて解明することによって、液化反応塔壁面に固形物
が付着することを防止するための液化反応塔壁面の最適
構造について開発した。さらには、最適表面構造を有
し、液化反応塔壁面に付着する固形物を低減させること
が可能な液化反応塔を固形物発生量の多い石炭種の運転
時および固形物発生量の多い液化反応塔に適用して石炭
液化プラントの運転を実施することによって、従来の技
術では解決できなかった液化反応塔壁面からの固形物の
剥離による液化反応塔間の配管、およびバルブの閉塞に
よる運転トラブルを防止し、安定して長期の運転を行う
ことを可能とした。さらには、運転終了後のプラントの
メンテナンス期間に於いて、人力によって長時間を必要
とした液化反応塔壁面に付着した固形物の除去作業を大
幅に削減することを可能とした。
【0007】本発明は、上記開発結果に基づくものであ
って、以下の3点に特徴がある。 (1) 第1工程として、石炭,石炭液化用溶剤,およ
び石炭液化用触媒を混合してスラリー化するスラリー調
製工程、第2工程として得られた石炭スラリーを水素の
存在下で加圧,加熱し、水素化分解反応により液化油を
生成させる石炭液化工程、第3工程として得られた液化
油を常圧、および減圧条件下で蒸留し、各種製品油と液
化残渣とに分離する液化油蒸留工程、並びに、第4工程
として、液化油蒸留工程で得られた重質油に溶剤水素化
用触媒を使用して、加圧、加熱し、水素を添加して石炭
液化用溶剤を生成させる溶剤水素化工程からなり、第4
工程の溶剤水素化工程で得られた石炭液化用溶剤を第1
工程のスラリー調製工程で循環使用する石炭液化プロセ
スにより石炭を液化する方法において、第2工程を構成
する液化反応工程の液化反応塔の内部壁面に円周状、も
しくは螺旋状の筋を設けることを特徴とする石炭の液化
方法。 (2) 石炭スラリーを水素の存在下で加圧、加熱し、
水素化分解反応により液化油を生成させる石炭液化工程
における液化反応塔の内部壁面に円周状もしくは、螺旋
状の筋が設けられたことを特徴とする石炭液化用反応
塔。 (3) 筋の幅が0.5cm〜50cm,筋の高さが1
mm〜10mmであることを特徴とする前記(2)記載
の石炭液化用反応塔にある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を成すに至った石炭
液化方法について具体的に説明する。図1は石炭液化プ
ロセスのフロー例を示す。原料となる石炭は、貯槽1に
いったん貯蔵した後、フィーダー2を用いて粉砕機3に
供給し、例えば、150μm以下の収率が80%以上に
なる様に粉砕する。粉砕した石炭は、スラリー調製槽4
で石炭液化用触媒および溶剤水素化反応塔16から送ら
れて来た石炭液化用の循環溶剤と混合して石炭スラリー
とする。この際のスラリー調製は調製槽4に設置された
攪拌機5およびスラリー循環ポンプ6を用いて循環攪拌
混合することにより行う。スラリー濃度は例えば、溶剤
/石炭の比率が1.0〜3.0程度の範囲となるように
調製する。
【0009】また液化油収率を上げるため、鉄系の使い
捨て触媒(合成硫化鉄触媒,天然鉄鉱石触媒等)を同時
に混合する。その添加量は、例えば、無水,無灰ベース
の原料石炭に対して1〜5%である。こうして得られる
石炭スラリーは、高圧スラリーポンプ7で圧力150〜
190kg/cm2 に昇圧後、スラリー予熱器8で加熱
し、また、水素ガスは高圧スラリーポンプ7を通過後の
石炭スラリーに添加し、スラリー予熱器8で加熱した
後、第1液化反応塔10の下部より石炭スラリーと共に
供給する。水素化分解反応は高温,高圧に保持された液
化反応塔10,11,12で進行し、その反応条件は、
温度430〜470℃、圧力150〜190kg/cm
2 である。
【0010】反応によって得られる生成物は、分離器1
3でガス,水,油(液化油)に分離する。分離した液化
油のうち、軽質油成分および中質油は蒸留設備14でさ
らに分離し、それぞれ製品油として回収する。残りの液
化油は減圧蒸留塔15で真空蒸留され、重質油と、未反
応の石炭,石炭中の灰分、および鉄系の使い捨て触媒の
一部を含んだ538℃以上の沸点留分の液化残渣となっ
て系外に排出される。一方、538℃未満の沸点留分で
ある重質油は、高温,高圧に保持され、触媒を充填した
固定床の溶剤水素化反応塔16で溶剤水素化反応を行う
ことにより水素供与性を高め、循環溶剤としてスラリー
調製槽4へ戻して使用する。
【0011】液化反応工程で生成ガス,水,液化油とな
らない石炭中の未反応炭素の灰分および触媒中の鉄,イ
オウ分は、液化反応塔内で固形物9となって塔底に沈積
する。沈積した固形物は、液化反応塔の有効容積を減少
させて液化反応効率を低下させるため、液化反応塔固形
物抜出し槽17に間欠的に抜出しを行い、さらに系外へ
と排出する。このような操作にもかかわらず、従来の石
炭液化プラントにおいては、液化反応塔壁面に付着残留
した固形物の一部がスラリー運転中、もしくはスラリー
運転終了後の熱油による反応塔内洗浄運転時に剥離する
ことによって反応塔間の配管やバルブ18,19などの
閉塞トラブルがしばしば発生していた。本発明者らは、
液化反応塔内での固形物の生成と液化反応塔壁面への付
着メカニズムについて、代表的な石炭種を使用した液化
プラントの運転を実施しながら解明するに至った。
【0012】表1は、石炭液化プラントで使用した代表
的な石炭種の化学成分値と灰分組成を示すものである。
石炭種Aでは石炭中の灰分が最も高く、また、石炭種C
では石炭中の灰分が最も低い。一方、灰分組成について
は、石炭種BがCaOが最も高く、石炭種AがCaOが
最も低いという特徴がある。図2は、各石炭種を用いて
標準的な液化反応条件下で液化反応を行った後に、各液
化反応塔の壁面に付着した固形物の状態を示した図であ
る。図2に示すように、図2(a)は石炭種A、図2
(b)は石炭種B、図2(C)は石炭種Cの各石炭種に
おいて、第1液化反応塔での固形物の付着の厚みが最も
多くなっている。この理由は、第1液化反応塔では石炭
の液化反応の進行が最も進行し易いため、生成される固
形物の量も多いためと考えられる。また、石炭種Bが各
反応塔での固形物の付着の厚みが最も多くなっており、
第1液化反応塔では5mm程度の厚みとなっている。
【0013】
【表1】
【0014】表2は、各石炭種について、第1液化反応
塔での付着固形物の分析値、および灰分組成を示すもの
である。表からわかるように、液化反応塔付着固形物の
主要成分は、未反応石炭である、炭素,水素,酸素,イ
オウおよび灰分から構成されている。さらにその灰分組
成は、カルシウム,アルミナ,マグネシウム,鉄が主成
分となっており、とりわけ、固形物の付着の厚みが最も
多い石炭種Bにおいては、カルシウムの含有量が高い付
着物が多く認められる。
【0015】
【表2】
【0016】石炭種Aにおいては、石炭中の灰分量が最
も多いにもかかわらず、液化反応塔付着固形物の量は最
も少ない。これは、表2に示すように、付着固形物中の
カルシウムの含有量が低いことと関係があるものと考え
られる。本発明者らは、以上の調査結果に基づいて、液
化反応塔壁面に固形物が付着する原因が、主として、石
炭中に含有される灰分、とりわけ、灰分中のカルシウム
の含有量に影響されることを究明し、固形物の付着を防
止する第1段階の対策として、カルシウムの含有量が高
い石炭種については図1の各液化反応塔10,11,1
2から液化反応塔固形物抜出し槽17へ抜き出す頻度を
増加させることを試みた。表3は、対策実施前後の各液
化反応塔からの固形物の抜出し頻度、および各液化反応
塔に付着した固形物の厚みを測定した結果である。その
結果、各石炭種において改善前と改善後で若干の改善効
果は認められたものの、固形物の付着量を大幅に低減さ
せることはできなかった。
【0017】
【表3】
【0018】そこで本発明者らは、液化反応塔壁面への
固形物の付着メカニズムが液化反応塔内でのスラリーの
流動特性と密接な関係があるものと推定し、液化反応塔
壁面の構造を変えることによって液化反応塔壁面でのス
ラリーの流動性を変化させ、固形物の付着量を低減させ
る方法を検討した。図3は液化反応塔内での液相の流動
状況を模式的に示した図である。本発明者らは既に、液
化反応塔内での流動特性を中性子減衰法によって解析す
る方法を開発しており、その研究成果から、液化反応塔
内、とりわけ、第1液化反応塔では液相は図に示すよう
な逆混合流れとなっていることが明らかになっている。
【0019】一方、図2に示すように、反応塔壁面での
固形物の付着状況は、上部,下部ほぼ均一な厚みとなっ
ており、従って、液相の逆混合が生ずる際に反応塔壁面
は均一な層流となっており、固形物が付着しやすい状態
にあると考えられる。本発明者らは、以上の点に着目
し、反応塔壁面での液相の流れを層流から乱流する方法
について種々検討した結果、反応塔壁面に凸状の筋を全
周にわたってつけることによってその目的を達成できる
ことを見いだした。
【0020】図4は、液化反応塔壁面での筋の形状に関
する代表的な検討例を示したものである。また、図5
は、それらの液化反応塔を用いて表1に示した代表的な
石炭種で固形物の付着量の多い石炭種Bを用いて、標準
的な液化反応条件下で石炭液化プラントの運転を実施し
た際の第1液化反応塔での固形物の付着状況を比較した
結果を示している。凸状の筋の高さはいずれも約2mm
であり、また、筋の間隔はいずれも3cmとした。反応
塔表面に円周状の筋をつけた改善法I(b)のケースで
は従来法(a)に比較して固形物の付着防止効果が見ら
れるが、反応塔表面に螺旋状に筋をつけた改善法II
(C)の方がさらにその効果が大きいことが判明した。
【0021】改善法IIの方が改善効果が大きい理由と
しては、円周状の筋をつけた改善法Iと比較して液化反
応塔の高さ方向で乱流の生ずる場所が多くなるためと考
えられる。円周状および螺旋状の凸状の筋の幅について
は、極力、間隔を狭くして多くつけることが望ましい
が、本発明者らの研究結果では、0.5cm〜50cm
の幅が最適値である。また、凸状の筋の高さについて
は、1mm〜10mmの高さが最適値である。
【0022】
【実施例】つぎに、実施例によって本発明をより詳細に
説明する。 (実施例1)表1に示した代表的な石炭種Bを用いて石
炭液化プラントの運転を実施した。石炭種Bは、石炭中
に含有されるカルシウムの量が多いため、各液化反応塔
壁面での固形物の付着が予想され、それが原因となって
各液化反応塔間、およびバルブでの固形物閉塞による運
転トラブルが予想される。従って、本発明者らが開発し
た液化反応塔壁面での固形物の付着量が少ない、反応塔
壁面に螺旋状の筋をつけた液化反応塔を第1液化反応塔
から第3液化反応塔までの全塔に取り付けて運転を行っ
た。また、その際の筋の幅は3cmとし、筋の高さは2
mmとした。その結果、表4に示したように、従来法に
比較して液化反応塔への固形物の付着量は大幅に低減
し、とりわけ、第1液化反応塔での固形物付着量の低減
効果は大きい。また、固形物の付着量が低減したことに
よって、従来法では石炭スラリー運転中の液化反応条件
変更時や石炭スラリー運転後の熱油による洗浄運転時に
発生していた各液化反応塔間の配管,バルブ等での固形
物閉塞トラブルの発生を皆無にすることができた。ま
た、運転終了後のメンテナンス期間における人力による
液化反応塔付着固形物の除去作業も大幅に削減すること
も可能となり、石炭液化プラントの運転コストを低減さ
せることが可能となった。
【0023】
【表4】
【0024】(実施例2)表1に示した代表的な石炭種
Aを用いて石炭液化プラントの運転を実施した。石炭種
Aは石炭中に含有されるカルシウムの量が少ないが、固
形物の付着量が最も多い第1液化反応に付着した固形物
の剥離による運転トラブルが予想された。そこで、本発
明者らが開発した反応塔壁面に螺旋状の筋をつけた液化
反応塔を第1液化反応塔に取り付け、また、第2液化反
応塔,および第3液化反応塔には本発明者らが開発した
反応塔壁面に同心円状の筋をつけた液化反応塔を使用し
て運転を行った。その際の筋の幅は5cmとし、筋の高
さは3mmとした。その結果、表5に示すように、第1
液化反応塔での固形物の付着量は大幅に低減された。ま
た、第2液化反応塔、および第3液化反応塔での固形物
付着量も低減できた。液化反応塔での固形物付着量が低
減したことによって、従来法では石炭スラリー運転中の
液化反応条件変更時や石炭スラリー運転後の熱油による
洗浄運転時に発生していた各液化反応塔間の配管,バル
ブ等での固形物閉塞トラブルの発生を皆無にすることが
できた。また、運転終了後のメンテナンス期間における
人力による液化反応塔付着固形物の除去作業も大幅に削
減することも可能となり、石炭液化プラントの運転コス
トを低減させることが可能となった。
【0025】
【表5】
【0026】
【発明の効果】本発明の石炭液化方法では、液化反応塔
壁面に円周状、もしくは、螺旋状の筋をつけた液化反応
塔を用いて石炭液化プラントの運転を行うことにより、
反応塔壁面での液相の流れを乱流とし、石炭液化反応の
際に生成する固形物の反応塔壁面への付着量を大幅に削
減できる。その効果によって、従来法では石炭スラリー
運転中の液化反応条件変更時や石炭スラリー運転終了後
の熱油運転時において発生していた付着固形物の剥離に
よる各液化反応塔間やバルブの閉塞トラブルを防止する
と共に、運転終了後のメンテナンス期間における人力に
よる固形物の除去作業も大幅に削減することができ、石
炭液化プロセスの長期安定運転と運転コストの削減を可
能とする。なお、本発明に基づいた液化反応塔を使用し
た石炭液化方法は、石炭液化プロセス以外で石炭スラリ
ーを取り扱う化学プロセスや工業プロセスにおいて、反
応塔内の逆混合流れによって反応塔壁面に固形物が付着
する現象を防止する必要がある場合に幅広く適用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる石炭液化プロセスの石炭液化装
置全体のフローの構成を模式的に表す概略図である。
【図2】液化反応塔壁面に付着した固形物の状態を示す
概略図である。
【図3】液化反応塔内での液相の流動状況を模式的に表
した概略図である。
【図4】液化反応塔壁面での筋の形状を示す図である。
【図5】石炭種Bにおいて第1液化反応塔壁面に付着し
た固形物の状態を比較した図である。
【符号の説明】 1 貯槽 2 フィーダー 3 粉砕機 4 スラリー調整槽 5 攪拌機 6 スラリー循環ポンプ 7 高圧スラリーポンプ 8 スラリー予熱器 9 液化反応塔固形物 10 第1液化反応塔 11 第2液化反応塔 12 第3液化反応塔 13 分離器 14 蒸留設備 15 減圧蒸留塔 16 溶剤水素化反応塔 17 液化反応塔固形物抜出し槽 18 バルブ 19 バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井口 憲二 千葉県千葉市花見川区幕張本郷7−26−1 (72)発明者 野上 義信 千葉県木更津市清見台南3−3−14 (72)発明者 岡田 康生 千葉県木更津市清見台南2−9

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1工程として、石炭、石炭液化用溶
    剤、および石炭液化用触媒を混合してスラリー化するス
    ラリー調整工程、第2工程として得られた石炭スラリー
    を水素の存在下で加圧、加熱し、水素化分解反応により
    液化油を生成させる石炭液化工程、第3工程として、得
    られた液化油を常圧および減圧条件下で蒸留し、各種製
    品油と液化残渣とに分離する液化油蒸留工程、並びに、
    第4工程として液化油蒸留工程で得られた重質油を溶剤
    水素化用触媒を使用して加圧、加熱し、水素を添加して
    石炭液化用溶剤を生成させる溶剤水素化工程からなり、
    第4工程の溶剤水素化工程で得られた石炭液化用溶剤を
    第1工程のスラリー調製工程で循環使用する石炭液化プ
    ロセスにより石炭を液化する方法において、第2工程を
    構成する液化反応工程の液化反応塔の内部壁面に円周
    状、もしくは螺旋状の筋を設けることを特徴とする石炭
    の液化方法。
  2. 【請求項2】 石炭スラリーを水素の存在下で加圧、加
    熱し、水素化分解反応により液化油を生成させる石炭液
    化工程における液化反応塔の内部壁面に円周状もしくは
    螺旋状の筋が設けられたことを特徴とする石炭液化用反
    応塔。
  3. 【請求項3】 筋の幅が0.5cm〜50cm,筋の高
    さが1mm〜10mmであることを特徴とする請求項2
    記載の石炭液化用反応塔。
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