JPH0999067A - 体液中のβ2ミクログロブリンの吸着方法 - Google Patents

体液中のβ2ミクログロブリンの吸着方法

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JPH0999067A
JPH0999067A JP8159284A JP15928496A JPH0999067A JP H0999067 A JPH0999067 A JP H0999067A JP 8159284 A JP8159284 A JP 8159284A JP 15928496 A JP15928496 A JP 15928496A JP H0999067 A JPH0999067 A JP H0999067A
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JP
Japan
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microglobulin
surface area
meth
average pore
adsorbing
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JP8159284A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Watanabe
廣行 渡辺
Naokuni Yamawaki
直邦 山脇
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 β2 ミクログロブリンを高い効率で選択的に
吸着し、特にアルブミンの吸着が少なく、更に補液を必
要とせず、安全性がある新規なβ2 ミクログロブリンの
吸着方法を提供する。 【解決手段】 表面積が少なくとも10m2 /g以上で
あり、かつ細孔の平均孔径が20Åから2000Åの範
囲にある多孔性材料に、血液または血漿を接触させるこ
とを特徴とする体液中のβ2 ミクログロブリンの吸着方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、血液、血漿、血
清、腹水、胸水等の体液中より疾患に関連した悪性物質
を選択的に吸着、除去する吸着方法に関する。更に詳し
くは、腎不全患者や悪性腫瘍患者の体液中に増加し、手
根管症候群、アミロイドーシス、弾発指・肩・膝関節
症、皮膚掻痒症、骨障害等の原因となるβ2 ミクログロ
ブリンを選択的に吸着、除去する吸着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】腎不全患者に血液透析が施行され、約1
0年の年月が経過し、手根管症候群等の異常が顕在化し
てきた。近年この原因物質が透析では比較的除去し難い
β2 ミクログロブリンであり、その体内蓄積により各種
の症状が発現することが明らかになつた。
【0003】従来このような中分子量物質の除去の目的
で、血液濾過、透析濾過が用いられているが、除去率が
低く、有効に除去すると大量の補液を必要とする問題点
を有した。また除去率を上げるためには膜のポアーを大
きくすれば良いが、ポアーが少し大きくなると有用タン
パクであるアルブミンの漏失が生じ、ポアーサイズの制
御では中分子量物質の有効な選択的除去をなし得ないの
が現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の如き治療用高分子膜技術に基づく問題点に鑑み、一般
的に普及可能であり、中分子量物質、特にβ2 ミクログ
ロブリンを高い効率で選択的に吸着し、非特異的吸着、
特にアルブミンの吸着が少なく、更に補液を必要とせ
ず、安全性があり、滅菌操作も簡単に行なうことがで
き、体液浄化あるいは再生用に適した吸着方法を提供し
ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に沿って鋭意研究した結果、特定の多孔性材料がβ2
クログロブリンを選択的に、しかも驚くほど高い効率で
吸着することを見出した。これについて更に詳しく検討
したところ、細孔の平均孔径と表面積との関係が一定の
条件を満たす場合に限り、β2 ミクログロブリンを選択
的に、しかも高い効率で吸着することがわかり、本発明
を完成するに至つた。
【0006】すなわち、本発明は、表面積が少なくとも
10m2 /g以上であり、かつ細孔の平均孔径が20Å
から2000Åの範囲にある多孔性材料に、血液または
血漿を接触させることを特徴とする体液中のβ2 ミクロ
グロブリンの吸着方法である。
【0007】本発明でいうβ2 ミクログロブリンとは、
通常臨床検査において酵素免疫法等で測定されるβ2
クログロブリンであるが、より詳しくは以下の物性値を
有する。 沈降定数 1.6S 部分比容積 0.72〜0.73ml/g 分子量 11000〜12000 窒素含量 16〜17%
【0008】本発明の対象とするβ2 ミクログロブリン
には、β2 ミクログロブリンそのもの、及び他のタンパ
クとの複合体を含み、β2 ミクログロブリンのアミノ酸
配列の一部異変したものも含むものである。
【0009】多孔性材料の表面積とは、窒素ガスを用い
たBET法(例えば触媒工学講座−4、触媒基礎測定
法、触媒学会編、地人書館、50頁から58頁)により
測定される値をいうが、10m2 /g以上である必要が
あり、かつ細孔の平均孔径が20Åから2000Åの範
囲にあることが必要である。細孔の平均孔径とは、水銀
圧入法(同69頁から73頁)により得られる水銀圧入
曲線から計算によつて求められる。表面積は大きいほど
β2 ミクログロブリンの吸着効率が良くなるのである
が、孔径を保ち、かつ構造的に多孔質構造を保てる機械
的強度を持つ範囲でなければならない。
【0010】また、10m2 /g以下では吸着材として
能力が足りない。また平均孔径が20Åより小さくなる
と、β2 ミクログロブリンの吸着が極端に悪くなる。す
なわち、孔径が小さくなると、多孔性物質の表面積自体
は大きくなる傾向にあるが、β2 ミクログロブリンが多
孔性材料の細孔内部まで入れなくなるため、β2 ミクロ
グロブリンに対する実質的な表面積が極端に小さくなつ
てしまい、β2 ミクログロブリンの吸着が悪くなる。逆
に孔径が2000Åより大きくなると、β2 ミクログロ
ブリンは細孔内部まで入れるが、多孔性材料の表面積が
小さくなるため、やはりβ2 ミクログロブリンの吸着効
率が悪くなる。
【0011】これに対して平均孔径が20Åから200
0Åの範囲では、β2 ミクログロブリンが細孔内部まで
自由に入ることができ、β2 ミクログロブリンが吸着可
能な実質表面積も充分大きいため、β2 ミクログロブリ
ンの特異的、効率的吸着が可能となる。
【0012】ここで、表面積と平均孔径の範囲は、表面
積が10m2 /g以上であり、かつ平均孔径が20Åか
ら2000Åであるが、より好ましくは表面積が55m
2 /g以上であり、かつ平均孔径が45Åから1000
Åの範囲である。さらに望ましくは、表面積が100m
2 /g以上であり、かつ平均孔径が100Åから500
Åの範囲である。
【0013】本発明に用いる多孔性材料の形状は特に限
定されるものではなく、粒状、球状、平膜状、中空糸
状、円筒状、棒状等いづれも使用可能であるが、吸着装
置製造時の取り扱い易さ、使用時の取扱い易さから考え
て、粒径が25μmから2500μmの粒子状であるこ
とが好ましい。更に好ましい粒径が50μmから200
0μmであり、特に好ましくは250μmから1500
μmである。
【0014】多孔性材料の材質としては、シリカ、アル
ミナ、マグネシア、シリカ−マグネシア、シリカ−アル
ミナ、ガラス等の無機材料や有機高分子材料が用いられ
る。本発明はβ2 ミクログロブリンが異物材料表面に極
めて良く吸着することを見い出して成されたものである
が、その体液浄化材料としての溶出物等の安全性や吸着
親和性面より、有機高分子材料が好ましく用いられる。
【0015】有機高分子材料としては、そのβ2 ミクロ
グロブリンとの吸着親和性より接触角が20度以上が好
ましく、更に好ましくは30度以上、特に好ましくは4
0度以上の材料が用いられる。
【0016】本発明で言う接触角とは、水中における固
体表面上の空気泡の接触角であり、W.C.Hamilton,J.Col
loid Interface Sci.,40,219−222(197
2)[ダブル シー ハミルトン,ジヤーナル オブ
コロイド インターフエイスサイエンス,40,219
−222(1972)]、J.D.Andrade,J.Polym.Sci.Po
lym.Symp.,66,313−336(1979)[ジエー
デー アンドレード,ジヤーナル オブ ポリマー
サイエンス ポリマー シンポジウム,66,313−
336(1979)]で示された原理及び方法に従い、
測定した接触角を言う。従来よく知られている空気中に
おける固体表面上の液滴の接触角測定法は、水吸収性材
料は、時間の経過とともに、接触角の値が変化し、材料
の物性値としては採用しにくい。又、試料は、シート及
びフイルム状成形物を作製し、接触角の測定温度は25
℃とし、10回以上測定し、その平均値を材料の接触角
の値とした。
【0017】好ましい有機高分子材料としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン
等のポリオレフイン系化合物、ポリスチレン、ポリメタ
クリレートエステル、ポリアクリレートエステル等のビ
ニル系化合物の重合体、ナイロン6、66等のポリアミ
ド系化合物、ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テル系化合物等を例示することができる。この中でメタ
クリレートエステル、アクリレートエステル、エチレン
及びスチレン誘導体等のホモポリマーあるいはコモノマ
ーや架橋剤とのコポリマーが好ましく用いられる。特に
メチルメタアクリレート、あるいはスチレンを主成分と
する架橋重合体粒子が好ましく用いられる。架橋剤とし
ては公知のいづれの架橋剤も用い得るが、例示するとジ
ビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト等を挙げることができる。
【0018】またこれらの有機高分子材料に、1級、2
級、3級、4級の窒素原子を導入したアニオン交換体
は、β2 ミクログロブリンとの親和性が増加し、好まし
く用いられる。
【0019】本発明を全血浄化に用いる場合には、微粒
子の発生を防止する目的で被覆処理して用いることが好
ましい。被覆剤の例としては、(メタ)アクリル酸エス
テル系重合体、アクリルアミド系重合体、ポリビニルピ
ロリドン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、硝
酸セルロース、及びゼラチン等を例示することができ
る。
【0020】微粒子の発生を防止し、血液適合性を一段
と向上させ、更にβ2 ミクログロブリンとの親和性を向
上させる目的で、被覆剤として特に含窒素塩基性官能基
を有する重合体が最も好ましく用いられる。
【0021】本発明で言う「含窒素塩基性官能基」と
は、酸性水溶液中で窒素原子上に陽電荷を有し、陽イオ
ンとなりうる官能基である。このような官能基として
は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ
基、4級アンモニウム基及びピリジル基、イミダゾリニ
ル基等の含窒素芳香環基等が挙げられる。
【0022】従って本発明で用いられる含窒素塩基性官
能基を有する重合体としては、例えば、ビニルアミン;
2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル
−5−ビニルピリジン、4−ビニルイミダゾール、N−
ビニル−2−エチルイミダゾール、N−ビニル−2−メ
チルイミダゾール等の含窒素芳香環化合物のビニル誘導
体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ
−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のア
クリル酸及びメタアクリル酸誘導体;N−ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリル酸アミド、N−ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリル酸アミド等のアクリル酸アミ
ド及びメタアクリル酸アミド誘導体;p−ジメチルアミ
ノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン
等のスチレン誘導体;及び上記ビニル化合物をハロゲン
化アルキル等によつて4級アンモニウム塩とした誘導体
等を含有する重合体が挙げられる。
【0023】この中で、特に好ましいのは、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、p−ジメチルアミノメチルス
チレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン等を含有す
る重合体が挙げられる。
【0024】さらに、本発明で言う含窒素塩基性官能基
を有する重合体は、ビニル化合物と含窒素塩基性官能基
を有する単量体との共重合体が好ましく、その官能基中
の窒素含量は、0.05〜3.5重量%であることが好
ましい。ここで言う窒素含量とは、上記官能基中の窒素
原子の全重合体中における重量%である。
【0025】ここで言うビニル化合物としては、2−ヒ
ドロキシエチルメタアクリレート、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー
ト類、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)ア
クリルアミド等のアミド類、N−ビニルピロリドン、酢
酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0026】さらに、ビニル化合物と含窒素塩基性官能
基を有する単量体との共重合体としては、ブロック共重
合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等が用いら
れるが、グラフト共重合体、ブロック共重合体の場合に
は、100Å〜100μ平均長のミクロドメイン構造を
有することが好ましい。
【0027】本発明に用いる吸着材は単独で使用しても
よく、また他の吸着材と混合もしくは積層して使用して
も良い。他の吸着材としては吸着型人工腎臓に用いられ
る活性炭等を例示することができる。これにより吸着材
の相乗効果によるより広範な臨床効果が期待できる。吸
着材容積は、体外循環に用いる場合、50〜600ml
程度が適当である。
【0028】吸着材を体外循環で用いる場合には、大略
次の二通りの方法がある。一つには、体内から取り出し
た血液を遠心分離器もしくは膜型血漿分離器を使用し
て、血漿成分と血球成分とに分離した後、血漿成分を該
装置に通過させ、浄化した後、血球成分と合わせて体内
にもどす方法であり、他の一つは体内から取り出した血
液を直接該装置に通過させ、浄化する方法である。
【0029】また、血液もしくは血漿の通過速度につい
ては、該吸着材の吸着能率が非常に高いため、吸着材の
粒度を粗くすることができ、また充填度を低くできるの
で、吸着材層の形状の如何にかゝわりなく、高い通過速
度を与えることができる。そのため多量の体液処理をす
ることができる。体液の通液方法としては、臨床上の必
要に応じ、あるいは設備の装置状況に応じて、連続的に
通液してもよいし、また断続的に通液使用してもよい。
【0030】本発明は、以上述べてきたように、体液中
のβ2 ミクログロブリンを高い効率かつ特異的に吸着除
去し、簡便かつ安全である。本発明は、自己血液、血漿
等の体液を浄化、再生する一般的な用法に使用可能であ
り、腎不全、悪性腫瘍等において体液中に蓄積するβ2
ミクログロブリンの吸着、除去に有効かつ安全、確実に
使用できるものである。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施の態様をよ
り詳細に説明する。 実施例1 吸着材としてメチルメタアクリレート−ジビニルベンゼ
ン共重合体粒子(80:20wt%)を用いた。(表面
積:380m2 /g、平均孔径:160Å、接触角:6
5±3度、粒子径:350〜500μm)
【0032】腎不全患者血漿と吸着材を6:1の容積比
で混合後、37℃で1時間振盪し、前後の血漿中のβ2
ミクログロブリンとアルブミンを定着した。β2 ミクロ
グロブリンはRIA法、アルブミンはBCG法を用い
た。β2 ミクログロブリンは前値44.8mg/lあつ
たものが1.6mg/lに低下した。これに対し、アル
ブミンは6.6g/dlが6.2g/dlに変化しただ
けでその減少は僅かであつた。
【0033】実施例2 吸着材としてメチルメタアクリレート−ジビニルベンゼ
ン共重合体粒子(80:20wt%)を用いた。(表面
積:260m2 /g、平均孔径:400Å、接触角:6
5±3度、粒子径:350〜420μm) 他は実施例1と同様に行つた。
【0034】β2 ミクログロブリンは前値が44.8m
g/lであつたものが、吸着後0.8mg/lに低下し
た。これに対し、アルブミンは6.6g/dlが6.4
g/dlに変化しその低下は僅かであつた。
【0035】実施例3 吸着材として市販のXAD−8を使用した。(ローム
アンド ハース社製) (表面積:150m2 /g、平均孔径:180Å、接触
角:62±4度、粒子径:350〜500μm) 他は実施例1と同様に行つた。
【0036】β2 ミクログロブリンは前値が44.8m
g/lであつたものが2.0mg/lに低下した。これ
に対し、アルブミンは6.6g/dlが6.5g/dl
に変化し、その低下は僅かであつた。
【0037】実施例4 吸着材としてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子
(80:20wt%)を用いた。 (表面積:500m2 /g、平均孔径:400Å、接触
角:76±5、粒子径:350〜500μm) 他は実施例1と同様に行つた。
【0038】β2 ミクログロブリンは前値が44.8m
g/lであつたものが0.6mg/lに低下した。これ
に対し、アルブミンは6.6g/dlが6.3g/dl
に低下したにすぎなかつた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面積が少なくとも10m2 /g以上で
    あり、かつ細孔の平均孔径が20Åから2000Åの範
    囲にある多孔性材料に、血液または血漿を接触させるこ
    とを特徴とする体液中のβ2 ミクログロブリンの吸着方
    法。
JP8159284A 1996-05-31 1996-05-31 体液中のβ2ミクログロブリンの吸着方法 Pending JPH0999067A (ja)

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Effective date: 19980616