JPH0998780A - 修飾された細菌アルカリ性ホスファターゼ及びその用途 - Google Patents

修飾された細菌アルカリ性ホスファターゼ及びその用途

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JPH0998780A
JPH0998780A JP8169225A JP16922596A JPH0998780A JP H0998780 A JPH0998780 A JP H0998780A JP 8169225 A JP8169225 A JP 8169225A JP 16922596 A JP16922596 A JP 16922596A JP H0998780 A JPH0998780 A JP H0998780A
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alkaline phosphatase
mutant
bacterial
ala
amino acid
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JP8169225A
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Jean-Claude Boulain
ブーラン ジャン−クロード
Laurence Cattolico
カトリコ ローランス
Frederic Ducancel
デュカンセル フレデリク
Andre Menez
メネス アンドレ
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Commissariat a lEnergie Atomique CEA
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    • Y10S435/848Escherichia
    • Y10S435/849Escherichia coli

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のアルカリ性ホスファターゼに比し、実用
的な要求をより良好に満たす修飾された細菌アルカリ性
ホスファターゼ、それを含む試薬及び該酵素の選択方法
の提供。 【解決手段】329位または330位のアミノ酸残基の
少なくとも一方が他のアミノ酸残基で置換されている細
菌アルカリ性ホスファターゼ配列からなり、酵素特性が
著しく改善され、かつ増加した熱安定性を示す、細菌由
来の修飾アルカリ性ホスファターゼ、及びそれらの試
薬、診断用キット、免疫酵素アッセイへの応用。著しく
改善した酵素特性を有するアルカリ性ホスファターゼ突
然変異体の選択方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有意に改善された
酵素特性及び増大した熱安定性を同時に示す、修飾され
た細菌アルカリ性ホスファターゼ(BAP即ちbacteria
l alkaline phosphatase)、並びに、それらの用途、
特に免疫酵素アッセイ(immunoenzymic assay)におけ
る用途(試薬及び診断キット)に関する。
【0002】また、本発明は、有意に改善された酵素特
性を有する突然変異体(mutant)を得る方法にも関する。
【0003】
【従来の技術】アルカリ性ホスファターゼは、非特異的
ホスホ−モノエステラーゼである。この二量体金属結合
酵素は、二つの同一のポリペプチド鎖からなっており、
それぞれのポリペプチド鎖は、二つの亜鉛原子と一つの
マグネシウム原子を含有しており、これら原子は、触媒
部位の中心(heart)に位置している。
【0004】触媒メカニズムは、いくつかの段階からな
り、例えば、下記の反応式(1)に従い、タンパクのセ
リン102との共有結合型のホスホリル−酵素(E−P
i)中間複合体の形成を包含する:
【0005】
【化1】
【0006】上記反応の触媒定数(kcat)は、プロセ
スの限定ステップ(limiting step)に依存する。限定
因子(limiting factor)は、酸性pHにおいては、共有
結合型のE−Pi結合の断裂であり;アルカリpHにお
いては、限定ステップである非共有結合型のE.Pi
合体の解離である(バトラー−ランソホフ(BUTLER-RANS
OHOFF)ら、J.Org.Chem.1992,57,
142−145)。
【0007】ホスフェートアクセプター(R2OH)、
例えばエタノールアミン又はトリス(Tris)の存在下で
は、上記酵素は、下記(2)式に従い、ホスフォリル基
(phosphoryl group)のアルコールへの転移を伴うリン
酸基転移反応を触媒する。
【0008】
【化2】
【0009】触媒効率は、kcat/Km比により測定で
き、これは、酵素の加水分解活性及び基質親和性の双方
を考慮したものである。
【0010】アルカリ性ホスファターゼは、細菌からほ
乳類に亘る全ての生物中に見出されるものである。
【0011】ほ乳類中に存在する該酵素は、最高の比活
性を有しており;子牛腸アルカリ性ホスファターゼ(C
IP=calf intestinal phosphatase)が、インビト
ロの診断試験において使用される免疫酵素試薬を構築す
る際に通常選ばれるのは、このためである。しかし、C
IPは、再現性のある方法で精製することは難しく、熱
安定性が劣っている。
【0012】細菌アルカリ性ホスファターゼ(BAP)
は、CIPに比し有意に低い酵素活性を示すが、イー.
コリ(E.coli)により、大量に製造され;容易に
精製でき、例外的な熱安定性を有する。しかも、それ
は、遺伝子融合(gene fusion)技術を用いる免疫酵素
試薬の構築に使用できる。
【0013】その結果、多くのグループが、アッセイ試
薬の製造においてCIPを代替する目的で、該細菌酵素
の触媒特性の改善を試みてきた。
【0014】BAPの活性部位に点突然変異を導入する
ことにより、野生型の酵素に比し、増大した酵素活性を
有する分子を得ることが可能となった:チャイダログロ
ウ(CHAIDAROGLOU)及びカントロヴィッツ(KANTOROWITZ)
(プロテイン・エンジニアリング(Protein Engineerin
g)、1989,3,2,127−132)は、101
位のアスパラギン酸がアラニンにより置き換えられてい
るイー.コリのBAPの変異体(D101Aと呼ばれる
変異体)を記載している。pH9.4において及びホス
フェートアクセプターの存在下では、そのような変異体
は野生型酵素の3倍高い酵素活性を示すが、その一方
で、熱に対する安定性が明らかに低下する。
【0015】熱安定性の研究は、通常許容される条件と
は異なる条件下で行われた;しかし、これら試験は、該
変異体が野生型の酵素よりも劣った熱安定性を有するこ
とを証明した。
【0016】アボットラボラトリーズ(Abbott Laborat
ories)の欧州特許出願0 441252は、試薬とし
て使用する目的で、pH10において及び低濃度のトリ
ス0.05M又はジエタノールアミン0.05Mの存在
下で改善された比活性を有するアルカリ性ホスファター
ゼを記載している(触媒活性は、野生型の酵素よりも3
6倍高い)が、熱安定性は低い。この出願に記載された
突然変異は、酵素の活性部位から約20オングストロー
ムの距離に位置しているか、酵素の活性部位から約10
オングストロームの距離に位置しているか、または、活
性部位内に位置しており、下記のものを包含する。
【0017】(i)一つのアミノ酸が関与するだけの変
異、例えば、 ・Thr100のVal又はIleによる置換(変異体T1
00V又はT100I)・ Lys328のArgによる置換(変異体L328R) ・Val99のAlaによる置換(変異体V99A) ・Ala103のAsp又はCysによる置換(変異体A1
03D又はA103C) ・Thr107のValによる置換(変異体T107V) ・Asp101のSerによる置換(変異体D101S) (ii)二つのアミノ酸に影響を及ぼす変異、例えば ・Val99のAlaによる置換及びLys328のArg
による置換(変異体V99A及びK328R) ・Val377のAlaによる置換及びSer415のGly
による置換(変異体V377A及びS415G) やはりアボットラボラトリーズ(Abbott Laboratorie
s)の出願であって、上記欧州特許出願の内容を実質的
に含んだ国際出願PCT WO94/01531は、A
sp153のGlyによる置換(変異体D153G)を記
載している。
【0018】一般的に、触媒活性を測定するためには、
当該酵素を、その活性に関して最適な条件下に置く必要
がある;しかし、これらアボットラボラトリーズの出願
においては、野生型酵素の活性及び変異体の活性を同一
の条件下で、結局、該変異体にとって最適な条件下で比
較している。
【0019】その結果、アボット出願の場合には、機能
的に最適条件下に置かれた変異体の触媒活性を、同一の
条件下に置かれた野生型酵素の触媒活性と比較すること
により、触媒活性の増大は、36倍になっている。もし
これら活性が、それぞれの酵素に機能的に最適な条件下
で比較されたならば、触媒特性の増大は18倍に限定さ
れる。
【0020】しかも、これら変異体(野生型BAPと
は、最大でも一つ又は二つの残基において異なるのみで
ある)のいずれも、対応するほ乳類の酵素の活性と同等
の酵素活性、並びに、ほ乳類の酵素の熱安定性よりも有
意に優れた熱安定性、特に当初の細菌の酵素の熱安定性
の双方を、当該修飾されたアルカリ性ホスファターゼに
獲得させることに成功していない。
【0021】他の研究が行われ、その目的は、上記酵素
の触媒メカニズムのよりよい理解を得ることにある。よ
り正確には、これら各種の報文の著者らは、BAPと上
記ほ乳類の酵素との間で観察された相違点、即ち、ほ乳
類の酵素の酵素活性が20〜30倍高いこと、最適活性
が高pH値側へ変位すること、及び最大活性を得るため
にはマグネシウムを添加する必要があること等の背景に
ある分子的な理由を決定することを試みてきた。
【0022】活性部位の領域内において、上記細菌の酵
素とほ乳類の酵素との間に二つの顕著な相違点がある。
細菌の酵素においては、153位及び328位がそれぞ
れAsp及びLys残基により占められているのに対し
て、ほ乳類の酵素においてはこれら二つの位置にHis
残基が存在する。
【0023】酵素活性に対するこれら相違点の重要性を
評価するために、細菌の酵素のこれら二つの位置にHi
s残基が導入された(スー(XU)及びカントロヴィッツ(K
ANTROWITZ)、バイオケミストリー(Biochemistry),1
991,30,7789−7796;ジェーンウェイ
(JANEWAY)ら,バイオケミストリー(Biochemistry),
1993,32,1601−1609)。特に、スー(X
U)及びカントロヴィッツ(KANTROWITZ)は、328位のリ
ジンをヒスチジンにより置換すること及び得られた酵素
(K328H)の性質について記載している。ホスフェ
ートアクセプターの存在下では、変異体K328Hは、
野生型酵素の活性に匹敵する活性を有しているが、これ
とは対照的に、pH8において及びホスフェートアクセ
プターの不存在下では、この変異体は、触媒活性が、野
生型酵素のそれに比し、有意に低下する。これら結果
は、これら突然変異がリン酸基転移活性の増大を伴う加
水分解活性の抑制に繋がることを示唆している。しか
も、この変異体は、ホスフェートに対する親和性が低
い。以上要約すると、このような突然変異は、最適酵素
活性のpH10の方への変位、比活性(特にトランスフ
ェラーゼ活性)の増大、及びpH10において、無機ホ
スフェートP iに対する及び基質に対する親和性の低下
をもたらす。
【0024】疑いもなく、Piに対する親和性のこの低
下は、該酵素によるPiの遊離(liberation)の限定ステ
ップ(limiting step)を加速する、水分子の媒介によ
る、Piへの結合の除去と関係がある。
【0025】マトリン(MATLIN)ら(バイオケミストリー
(Biochemistry),1992,31,8196−820
0)は、イー.コリ(E.coli)アルカリ性ホスファターゼ
の153位における他の突然変異(アスパラギン酸の、
アラニンによる置換:D153A又はアスパラギンによ
る置換:D153N)を研究し、マグネシウムの存在が
これら変異体の活性に必須であることを示した。しか
も、変異体D153Nの速度論的パラメーターが野生型
酵素のそれらと類似しているのに対して、変異体D15
3Aは、kcatの6.3倍の増大、kcat/km比(50
mMトリス、pH8)の13.7倍の増大、及びPi
対するKi(1Mトリス、pH8)の159倍の増大と
いう結果をもたらす。しかも、この変異体の活性は、p
Hが7から9へと上昇すると、25倍増大する。
【0026】変異体D153A及び変異体D153Hの
双方について、触媒活性を現実に発揮するためにはマグ
ネシウムの存在が重要であることが、マーフィー(MURPH
Y)ら(J.Biol.Chem.1993,268,
29,21497−21500)により証明され、突然
変異D153Hにより、マグネシウム結合部位の亜鉛結
合部位への転換が生じることを示した。
【0027】ジェーンウェイ(JANEWAY)らは、イー.コ
リ(E.coli)アルカリ性ホスファターゼの153位及び3
28位における残基の役割をも研究した。変異体D15
3H(153位アスパラギン酸のヒスチジンによる置
換)、K328H(328位リジンのヒスチジンによる
置換)及びD153H/K328Hが、特にアルカリ性
ホスファターゼの活性部位内において、水の関与するイ
ンターラクションを有することについて研究された。
【0028】この論文から、次の事項が明らかになる: −変異体D153Hは、最適酵素活性のpH10の方へ
の変位及びマグネシウムへの親和性の減少を示し、追加
的なマグネシウムの存在下では、触媒活性が回復し、野
生型酵素のそれよりも遥かに高い。
【0029】疑いもなく、活性のこの変更は、D153
が、野生型酵素において、二つの水分子の媒介によりマ
グネシウムに結合し、その脱離が該マグネシウムを不安
定化させ、該マグネシウムが亜鉛により置換され(上述
のマーフィー(MURPHY)ら、1993年)、該酵素の不
活性型を生成するという事実によるものである。
【0030】それにも拘わらず、マグネシウムの存在下
での触媒活性の増大は、明確ではない;それは、D15
3とは関係のない、K328への間接的な効果に起因す
るのかもしれない。
【0031】マトリン(MATLIN)ら(上述の参照文献)及
びジェーンウェイ(JANEWAY)ら(上述の参照文献)の双
方とも、アルカリ性ホスファターゼの酵素活性を評価す
る際のマグネシウムの必須の役割を検証している。
【0032】変異体K328H/D153Hは、マグネ
シウムについて、変異体D153Hと同一の挙動を示
し、しかも、それは減少したKm及び増大したkcatを示
す。
【0033】これは、作用の複雑さと変異体の興味の評
価にまつわる困難性を示している。
【0034】マーフィー(MURPHY)ら(モレキュラー・マ
イクロバイオロジー(Molecular Microbiology),19
94,12,3,351−357)は、また、変異体D
153H、K328H及びD153H/K328Hの性
質を要約し、上述の多くの著者と同一の結論に到達して
いる。
【0035】結論として、変異体K328H又はD15
3Hは、比活性の中程度(moderate)の増大を示す。ダブ
ルミュータント(D153H/K328H)は、シング
ルミュータントよりも活性が高いが、その熱安定性は野
生型酵素の熱安定性程は高くなく、マグネシウムの存在
が、高いレベルの活性の発現に必須であり;しかも、こ
のダブルミュータントD153H/K328Hは、30
倍よりも大きい倍率でのKmの増大を示し、kcat/km
比の低下に至る(基質に対する低い親和性)。
【0036】153位及び/又は328位のHis残基
は、CIPのより高い性能に関与しいている事実にも拘
わらず、その存在自体は、BAPに所望の特性を付与し
て、下記の性質を同時に有する効果的で安定な診断ツー
ルを得るのには不十分である: −ほ乳類のアルカリ性ホスファターゼ(特にCIP)と
同程度の触媒活性(加水分解) −リン含有基質に対する高い親和性、及び −高い熱安定性、即ち、野生型BAPと同程度の熱安定
性。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来のアルカリ性ホスファターゼに比し、実用的な
要求をより良好に満たす、修飾された細菌アルカリ性ホ
スファターゼを提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明は、細菌起源の修
飾されたアルカリ性ホスファターゼであって、329位
又は330位のアミノ酸残基の少なくとも一つが、他の
アミノ酸残基により置換されている細菌アルカリ性ホス
ファターゼ(BAP)の配列からなり、該修飾されたア
ルカリ性ホスファターゼの基質に対する親和性及び触媒
活性が、対応する野生型の細菌アルカリ性ホスファター
ゼの該活性に比し、有意に増大しており(改善された酵
素活性)、且つ、その熱安定性が、該野生型細菌アルカ
リ性ホスファターゼと同程度であることを特徴とする、
細菌起源の修飾されたアルカリ性ホスファターゼに関す
る。
【0039】本発明の意味において、アミノ酸残基は、
全ての天然アミノ酸残基を意味し、特に、Ala、Cy
s、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Il
e、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gl
n、Arg、Ser、Thr、Val、Trp又はTy
rを意味するものと理解される。
【0040】また、細菌起源の修飾されたアルカリ性ホ
スファターゼ(BAPm)は、生物学的に活性なアルカ
リ性ホスファターゼであって、その突然変異がほ乳類の
アルカリ性ホスファターゼ(例えばCIP)のアミノ酸
残基には必ずしも対応しない生物学的に活性なアルカリ
性ホスファターゼを意味するものと理解され、該BAP
mは、ほ乳類のアルカリ性ホスファターゼからの、特に
子牛腸アルカリ性ホスファターゼ(CIP)からの少な
くとも二つのアミノ酸を含み、且つ、生物学的に不活性
な細菌アルカリ性ホスファターゼであるキメラアルカリ
性ホスファターゼから、特に、ランダム又は部位特異的
突然変異により、得ることができるものである。
【0041】改善された酵素活性を示す酵素は、修飾さ
れていない酵素と比較して、増大したkcat及び/又は
減少したkmを示す酵素を意味するものと理解される。
【0042】
【発明の実施の形態】上記修飾された細菌アルカリ性ホ
スファターゼの一つの有利な態様によると、該ホスファ
ターゼは、アミノ酸残基153の及び/又はアミノ酸残
基328のレベルでの置換を更に含んでいる。
【0043】上記修飾された細菌アルカリ性ホスファタ
ーゼの他の有利な態様によると、330位における置換
は、好ましくはアスパラギン酸(Asp330又はD)の
アスパラギン(Asn又はN)、アラニン(Ala又は
A)又はロイシン(Leu又はL)による置換である。
【0044】上記修飾されたアルカリ性ホスファターゼ
の他の有利な態様によると、329位における置換は、
好ましくは、グルタミン(Gln329又はQ)のアラニ
ン(Ala又はA)による置換である。
【0045】本発明によれば、上記修飾されたアルカリ
性ホスファターゼは、また、アスパラギン酸(Asp
153)の代わりに153位にヒスチジン(His又は
H)及び/又はリジン(Lys又はK)の代わりに32
8位にヒスチジンを含んでいる。
【0046】本発明によれば、好ましい変異体は、下記
から選択されたものである:変異体D330N、変異体
D153H/D330N、変異体K328H/D330
N、変異体D153H/K328H/D330N、変異
体D330A、変異体D330L、変異体D153H/
D330A、変異体D153H/D330L、変異体K
328H/D330A、変異体K328H/D330
L、変異体D153H/K328H/D330A、変異
体D153H/K328H/D330L、変異体Q32
9A、変異体D153H/Q329A、変異体K328
H/Q329A及び変異体D153H/K328H/Q
329A。
【0047】また、本発明によれば、細菌アルカリ性ホ
スファターゼ配列は、好ましくは、エシェリヒア コリ
(Escherichia coli)に由来するか又はバシラススブ
チリス(Bacillus subtilis)に由来するものである。
【0048】上記修飾された細菌アルカリ性ホスファタ
ーゼの他の有利な態様によると、該ホスファターゼは、
上記したような置換の少なくとも一つに加えて、該細菌
アルカリ性ホスファターゼのアミノ酸+6と+7との間
に挿入された少なくとも一つの追加的アミノ酸を含んで
いる。
【0049】引用できるこれら修飾された配列の1つ
は、配列番号2である。
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】この配列番号2の配列において、下線を引
いたフラグメントは、大腸菌由来の野生型アルカリ性ホ
スファターゼの各々6位及び7位のプロリンとバリンの
間に加えたアミノ酸に相当する;太い文字のアミノ酸
は、修飾されたアミノ酸に相当し、イタリック体の数字
は、大腸菌由来の野生型アルカリ性ホスファターゼの同
等のアミノ酸の位置に相当する。
【0053】上記配列は、突然変異体D153H/K3
28H/D330Nに相当するが、本発明は突然変異体
D330N、D153H/D330N、及び、K328
H/D330N並びに他の上記突然変異体に相当する配
列も含む。
【0054】意外にも、上記のように修飾されたBAP
は、同時に以下のことを示す: − 最初のバクテリアの配列を示す試薬と比較して6倍
までアッセイ試験における使用時の可視化時間の減少を
許容するため、及び/又は、この試験の感度を増加する
ために好適な改良された触媒特性(特に基質についての
酵素の親和性の改善)、及び − ほぼ野生型バクテリアの配列(BAP)の程度の熱
安定性。
【0055】本発明はまた、上記に定義したようなタン
パク質のいずれかをコードする核酸配列にも関する。
【0056】例示できる該核酸配列は: − 野生型配列から得られる修飾配列、及び − 配列番号1に従うと塩基18及び19の間、すなわ
ち野生型アルカリ性ホスファターゼの6位のプロリンを
コードするコドンと、7位のバリンをコードするコドン
の間にさらに27塩基を含む修飾配列である。
【0057】
【化5】
【0058】
【化6】
【0059】
【化7】
【0060】この配列番号1の配列において、下線を引
いたフラグメントは、プロリンコドンとバリンコドンの
間に加えた塩基に相当する;太い文字の配列は、突然変
異されたコドンに相当し、イタリック体の数字は、大腸
菌由来の野生型アルカリ性ホスファターゼの相当するア
ミノ酸の位置に対応する。
【0061】上記配列は、突然変異体D153H/K3
28H/D330Nに相当するが、本発明は突然変異体
D330N、突然変異体D153H/D330N、及
び、突然変異体K328H/D330N並びに他の突然
変異体をコードする配列も含む。
【0062】本発明はまた、本発明の修飾アルカリ性ホ
スファターゼをコードする核酸配列を含み、適当な宿主
細胞中で該タンパク質を発現するのに好適であることを
特徴とする組換えプラスミドに関する。
【0063】本発明によれば、前記プラスミドは有利に
は修飾アルカリ性ホスファターゼをコードする核酸配列
の発現を調節する配列を含む。
【0064】調節配列は、プロモーター及びターミネー
ター型の活性配列を意味するものと理解される;実施例
で挙げられる調節配列は、アルカリ性ホスファターゼ遺
伝子のプロモーター(phoAプロモーター)または他
のlacIQリプレッサー(キャリア(Carrier)ら、J. I
mmunol. Methods, 1995, 177-186 及び スツメルクマン
(Szmelcman)ら, J. Acquired Immune Defic. Syndr., 1
990, 3, 859)に関連するtacプロモーターである。
【0065】本発明はまた、本発明のプラスミドで形質
転換される宿主細胞、特に大腸菌のような細菌に関し、
該宿主細胞は、アルカリ性ホスファターゼの染色体遺伝
子が欠損しているか、本発明のプラスミドで運ばれるア
ルカリ性ホスファターゼ遺伝子が発現する条件下にアル
カリ性ホスファターゼに関する染色体遺伝子が発現され
ないものである。
【0066】本発明はまた、天然の細菌のアルカリ性ホ
スファターゼの触媒活性と比較して改良された触媒活性
を有し、及びほぼ天然のアルカリ性ホスファターゼの程
度の熱安定性を有する修飾された細菌のアルカリ性ホス
ファターゼを選択する方法にも関し、該方法は、以下を
含むことを特徴とする: i)BAPをコードする配列に、哺乳類のアルカリ性ホ
スファターゼ(特に、CIP)由来の2個のアミノ酸残
基をコードする少なくとも2個のコドンを導入すること
を含む不活性なキメラアルカリ性ホスファターゼを調製
すること; ii)この不活性なキメラアルカリ性ホスファターゼをコ
ードする遺伝子上にランダムまたは部位特異的突然変異
誘発を実行すること; iii) ii)で得られたアルカリ性ホスファターゼを発現
させること; iv)酵素活性が回復したアルカリ性ホスファターゼを発
現する細菌クローンを選択すること;及び v)かくして得られた修飾されたアルカリ性ホスファタ
ーゼを配列決定し、前記のような改良された特性(天然
の細菌のアルカリ性ホスファターゼの触媒活性と比較し
て増大した触媒活性を有し、及びほぼ天然のアルカリ性
ホスファターゼの程度の熱安定性)を有する前記の活性
な修飾された細菌のアルカリ性ホスファターゼを構築す
るために野生型の細菌のアルカリ性ホスファターゼに導
入すべき両立性突然変異を選択すること。
【0067】工程iv)では、復帰突然変異体と名付けら
れるアルカリ性ホスファターゼ、すなわち、工程i)の
生産物と比較して酵素活性が回復されたホスファターゼ
を得ることができる。
【0068】実施例によれば、工程i)で得られた突然
変異体は、例えば不活性なキメラアルカリ性ホスファタ
ーゼに相当する突然変異体D153H/K328H/Q
329G/D330Hであり、工程iv)で得られた突然
変異体は、例えば突然変異体D153H/K328H/
Q329G/D330N、突然変異体D153H/K3
28H/Q329A/D330H、突然変異体D153
H/K328H/Q329G/D330Aまたは突然変
異体D153H/K328H/Q329G/D330L
であり、それらは復帰突然変異酵素であり、すなわち生
物学的に活性な酵素である。
【0069】この表現型復帰の原因となる突然変異は、
両立性突然変異(compatibility mutation)と名付けられ
る。なぜなら、生物学的に機能性の修飾タンパク質を形
成するために、それらは異なる起源の2つの配列を互い
に適合させることができるからである。
【0070】工程v)は、野生型の酵素と比較して改良
された酵素活性(kcat及び/又はKm)を示す、活
性で熱的に安定な修飾された細菌のアルカリ性ホスファ
ターゼを構築するために前記両立性突然変異を選択可能
とする。
【0071】この方法によれば、〔工程iv)及び工程
v)で選択される〕前記両立性突然変異は、最初は不活
性な細菌のアルカリ性ホスファターゼ/哺乳類アルカリ
性ホスファターゼキメラ酵素に高度の触媒特性を付与す
る。細菌のアルカリ性ホスファターゼに転移されたと
き、この突然変異の効果は、酵素の触媒特性を向上させ
ることである。最後に、上記で特定した他の突然変異の
1つ、特に突然変異D153Hに関連して、それはその
性質が哺乳類の酵素と近い酵素を導き、一方、細菌の酵
素と近い熱安定性を有する。
【0072】本発明の1つの有利な実施態様によれば、
工程i)で導入される突然変異は、少なくとも細菌の酵
素の153位、328位、329位及び330位のアミ
ノ酸残基に関する。
【0073】好ましくは、それらは以下の残基の全てに
関する: 残基153:AspのHisによる置換 残基328:LysのHisによる置換 残基329:GlnのGlyによる置換 残基330:AspのHisによる置換 特に、突然変異体D153H/K328H/Q329G
/D330H(不活性なキメラアルカリ性ホスファター
ゼ)が得られる。
【0074】前記方法の他の実施態様によると、工程i
i)で導入される突然変異は、細菌酵素の少なくとも3
29位及び/又は330位のアミノ酸残基に関し、特
に、330位のHisのAsn、Ala又はLeuによ
る置換及び/又は329位のGlyのAlaによる置換
からなり;上記の生物学的に活性な突然変異体、即ち D153H/K328H/Q329G/D330N、 D153H/K328H/Q329G/D330A、 D153H/K328H/Q329G/D330Lまた
は D153H/K328H/Q329A/D330H の形成の結果となる。
【0075】本発明はまた、本発明により修飾されたア
ルカリ性ホスファターゼを含むことを特徴とする診断薬
に関する。
【0076】本発明の診断薬は、慣用的な手段(化学カ
ップリング)、または遺伝子操作、特に欧州特許出願第
0407259及び第0556111号に記載されたよ
うな構築物を使用する遺伝子操作により有利に調製する
ことができる。
【0077】本発明の試薬は特に免疫酵素アッセイに適
用することができる。野生型の細菌のアルカリ性ホスフ
ァターゼの配列を含む診断薬の長所は、例えば可視化時
間の減少、6までの倍率、及び/又は試験の感度の増
加、或いはシグナルの増加により示される。
【0078】上記の記載に加えて、本発明はまた以下の
記載から明らかになる他の実施態様を含み、本発明の主
題である方法の例示的実施態様及び添付図面を引用する
ことができる。
【0079】以下の実施例は本発明の主題を示すために
提供されるが、該実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0080】
【実施例】実施例1 :修飾した細菌のアルカリ性ホスファターゼを
コードするキメラ遺伝子の構築 細菌のアルカリ性ホスファターゼの天然遺伝子の誘導体
において、これら構築を、位置特異的突然変異(クンケ
ルら(KUNKEL et al.)、メソッズ エンザイモロジー(Me
thods Enzymol.)、1987、154、367-382頁)によって行
った。
【0081】最初のベクターは、プラスミドpLIP
4.0(ギレットら(GILLET et al.)、アナリティカル ケミストリー(A
nalytical Chemistry)、1993、65、1779-1784頁)であ
り、これは、プラスミドpJC2431の誘導体であ
り、細菌のアルカリ性ホスファターゼの野生型遺伝子を
含有する(ラッツァロニら(LAZZARONI et al.)、J. Bac
teriol.、1985、164、1376-1380頁)。それはアルカリ
性ホスファターゼの遺伝子を含有しており、該遺伝子は
5’コード部分において、外来遺伝子が組み込めるよう
に数ヶ所の制限部位を挿入することによって修飾されて
いる。
【0082】更に、BamHI制限部位が、位置特異的
突然変異によって、このベクターのphoA遺伝子のシ
ャイン・ダルガルノ配列の上流に導入されている。本実
験に使用するオリゴヌクレオチドは以下の通りである:
【0083】
【化8】
【0084】(BamHI部位は、配列中に太字で示さ
れている。)phoAプロモーターは、Eco0109
I又はHindIII及びBamHI部位に隣接し、そ
の結果、随意に変更可能である。得られるベクターを、
pLIP4.0.B(図1:ベクターpLIP4.
0.Bの概略の表示及び図2乃至図4:ベクターpLI
P4.0.Bのヌクレオチド配列)と命名する。
【0085】3種の変異を、大腸菌(E.coli)のアルカ
リ性ホスファターゼの遺伝子に同時に導入し、細菌の酵
素の328位、329位及び330位の残基を、哺乳動
物のホスファターゼ中に存在する同等の残基によって置
き換えた。本実験は、以下の合成オリゴヌクレオチド:
【0086】
【化9】
【0087】(修飾部位は、太字で示されている。)を
用いて、M13ファージに挿入されたホスファターゼ
(phoA)の遺伝子のSacI/SphIフラグメン
ト上で行った。
【0088】その後、変異フラグメントを、ベクターp
LIP4.0.Bに再度挿入し核酸配列を再度チェック
した。D153H突然変異を、適当なオリゴヌクレオチ
ドを用いて同一のプロトコールに従って独立に構築し、
3種の前述の変異に遺伝子組み換えすることによって加
えた。以下の4つの部分から成る変異体を得る:D15
3H/K328H/Q329G/D330H。第1の文
字は、細菌のアルカリ性ホスファターゼ中に最初に存在
する残基を示し、数字は野生型細菌の配列中の残基の位
置に相当し、第2の文字は、導入された、哺乳動物のホ
スファターゼ中に存在するアミノ酸に相当する変異を示
す。
【0089】実施例2:キメラアルカリ性ホスファター
ゼの産生、精製及び酵素的特徴 実施例1に記載された種々の遺伝子構築物及び細菌のア
ルカリ性ホスファターゼの野生型遺伝子を含むベクター
pJC2431を、アルカリ性ホスファターゼの染色体
遺伝子を欠失している株E.coli CC118に導入した
(マノイル及びベックウイズ(MANOIL and BECKWITH)、
P.N.A.S.、1985、85、8129-8131頁)。
【0090】細菌のクローンを、基質5−ブロモ−4−
クロロ−3−インドリルホスフェートを含む培地上で培
養した。充分高い特異的活性を有するアルカリ性ホスフ
ァターゼ−発現コロニーは基質を加水分解し、青くな
る。これはプラスミドpJC2431及びpLIP4.
0.Bを保有している細菌の場合である。対照的に、プ
ラスミドpLIP4.0.B−D153H/K328H
/Q329G/D330Hが組み込まれたクローンは、
白く、比色分析の基質を加水分解できないようである。
それゆえ、産生される蛋白質は、酵素活性を欠いてい
る。
【0091】種々のアルカリ性ホスファターゼを200
mlの細菌培養物から、精製する。ペリプラズム蛋白質
を浸透圧ショック(ノイ及びヘッペル(NEU and HEPPE
L)、J.Biol.Chem.1965、240、3685-3692頁)によっ
て抽出し、その後20倍に濃縮し、セントリコン(登録
商標)30(Centricon 30)膜を用いて、20mM T
ris−HCl、pH8、1mM MgCl2バッファ
ーに対して透析する。該蛋白質を、Mono P HR
(登録商標)5/5 ファルマシア(Pharmacia)カラム
上で、等電点電気泳動によって分離する。
【0092】その後、異なるアルカリ性ホスファターゼ
を、分子ふるい(ファルマシア、G−75)上のバッフ
ァー成分から単離し、10mM MgCl2を含む培地
中で保存する。得られた蛋白質の精製度は、SDS/ポ
リアクリルアミドゲル上でモニターする。
【0093】観察される電気泳動の移動度は、pLIP
4に由来するベクターから産生される全ての蛋白質にお
いて、同一である。それは、市販のアルカリ性ホスファ
ターゼ(シグマ(Sigma))又はベクターpJC2431
中に含まれる野生型遺伝子から産生される蛋白より小さ
かった。この違いは、約1000daに相当する。それ
は、pLIP4に由来するベクターによって特定される
ホスファターゼのN末端部分に含まれる9個の追加した
アミノ酸の存在に一致する。これら残基は、pLIP4
ベクターの遺伝子に導入された追加の制限部位に相当す
る。走査測定によって、このバンドはゲル上の染色され
た蛋白質の95%以上を構成していることが判る。
【0094】該酵素の反応速度定数(kcat及びkm
を、25℃、1M Tris−HCl、pH8.0バッ
ファー中、基質としてパラ−ニトロフェニルホスフェー
ト(pNPP)を使用し、410nmでのp−ニトロフ
ェノレートの遊離を測定して、以下の表1に示すよう
に、以下の条件下測定した:1M Tris−HCl、
pH8.0、10mM Mg2+中でプレインキュベーシ
ョン;1M Tris−HCl、pH8.0中で反応。
【0095】
【表1】
【0096】kcat及びkm値は、イーディー・ホフステ
ーのグラフプロット(vi=f(vi/〔s〕))(エ
ル.ペナッセ(L. PENASSE)、酵素:速度論及び作用機構
(Lesenzymes: cinetique et mecanismes d'action)、マ
ッソン及びシー(MASSON andCIE)編、1974)から得、
(シナジーソフトウエア(Synergy Software)から発行さ
れている)KALEIDAGRAPH(登録商標)ソフトウエアを使
用して計算した。プラスミドpLIP4.0.Bから得
られる酵素は、野生型の酵素と同様な速度論的パラメー
ターを示す。それゆえ、該蛋白質のN−末端領域中の挿
入の存在は、酵素の触媒活性を有意に修飾するものでは
ない。
【0097】D153H変異をこれら修飾に追加するこ
とは、酵素を完全に不活動にさせる一方、それは、細菌
によって正常に産生され続ける。このように、哺乳動物
由来の4つの残基を細菌のアルカリ性ホスファターゼに
導入することは、酵素学的に機能的な形態の維持と矛盾
する。それらのたった2個、即ち、変異D153H及び
K328Hの存在が、酵素特性における限られた効果を
有する(ジャネウエイら(JANEWAY et al.)、バイオケミ
ストリー(Biochemistry)、1993、32、1601-1609頁)。
それゆえ、328-330ループ及びより詳細には残基329
及び330は、観察される失活において重要な役割を果
たす。
【0098】実施例3:不活性なキメラでのランダム突
然変異、表現型復帰の選択及びこの復帰の原因である突
然変異の同定 ランダム突然変異を、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)
法(サイキら(SAIKI et al.)、サイエンス(Science)、1
988、239、487-491頁)を用いてアルカリ性ホスファタ
ーゼの4つの部分から成る変異体のSacI/SphI
部分上で行う。
【0099】組み込まれた平均30,000ヌクレオチドあた
り1つのエラーを起こすTaqポリメラーゼ(ビーアー
ルエル(BRL))及び以下のオリゴヌクレオチド:
【0100】
【化10】
【0101】を用いて、この実験を行う。
【0102】増幅サイクル数は、30回である。得られ
る遺伝子フラグメントを、アガロースゲル上でモニター
し、Sephaglass(登録商標)(ファルマシア)上で精製
する。その後、それを酵素SacI及びSphIで消化
し、変異されていないSacI/SphIフラグメント
の代わりに元のプラスミドに再度挿入する。
【0103】CC118細菌を、エレクトロポレーショ
ン(バイオラッド システム(Biorad system))による
ライゲーション産物で形質転換し、クローンを、アンピ
シリン及び酵素の比色分析の基質である、その基質の加
水分解が青色の産物をもたらす、5−ブロモ−4−クロ
ロ−3−インドリル−ホスフェートを含むアルカリ性ホ
スファターゼ誘導培地上に広げる。
【0104】2つの青色のクローンが、50,000個
の白色クローンあたり得られた。この表現型復帰の原因
を、対応する遺伝子をシークエンシングすることによっ
て探求した。それによって、これらクローン中共に1つ
の同じ突然変異、H330Nの存在を示すことが判る。
この型の突然変異は、1つの同じ遺伝子上で、最初に触
媒的活性を欠く酵素を生じさせる異なる起源の2種のホ
スファターゼに属する残基の存在を両立させる特性によ
って、両立性突然変異(compatibility mutation)と呼
ばれた。
【0105】実施例4:復帰突然変異体クローン(ベク
ターpLIP4.0.B.−D153H/K328H/
Q329G/H330N)によって産生されるアルカリ
性ホスファターゼの酵素的特性 実施例3で選択されたクローンによって合成されたアル
カリ性ホスファターゼを、実施例2に記載の手法に従っ
て精製し、その触媒特性をpH8で、以下の表2に示す
ように、下記の条件下測定した:1M Tris−HC
l、pH8.0、10mM Mg2+中でプレインキュベ
ーション;1M Tris−HCl、pH8.0中で反
応。
【0106】
【表2】
【0107】測定した触媒活性は、野生型の細菌の酵素
の場合と同等である。基質に対する親和性は、わずかに
減少している。
【0108】それゆえ、両立性突然変異H330N(こ
れは、酵素の天然の残基にも哺乳動物の酵素中に存在す
る残基にも対応していない。)は、突然変異した酵素に
おいて高いグレードの触媒特性を与えることができる。
【0109】チェックもなされ、330D残基(細菌の
ホスファターゼ中に存在する残基)の存在がこの性質の
結果を導かないことも確認した。
【0110】実施例5:330N突然変異単独の又は哺
乳動物のタイプの種々の突然変異との組合せの特性 野生型細菌のアルカリ性ホスファターゼの状況下での、
330N突然変異の、又はこの突然変異と突然変異D1
53H及び/又はK328Hの組合せの影響の評価を行
った。
【0111】この研究を行うために、D330N突然変
異を、位置特異的突然変異によって、その最初の状態の
ベクターpLIP4.0.Bによって所有された、又は
また位置特異的突然変異によって、D153H、K32
8H又はD153H/K328Hによって修飾されたベ
クターpLIP4.0.Bによって所有された遺伝子に
導入した。
【0112】該蛋白質を、実施例2の記載の様に産生
し、精製した。
【0113】速度論的パラメーターを、pH8及びpH
10において測定し、上記表2及び下記表3に示す。
【0114】ベクターpLIP4.0.B.によって産
生される酵素について測定した定数と比較して、D33
0N突然変異は、pH8において、基質に対する親和性
における30%の増加に関連して、修飾した酵素の触媒
速度の2倍の増大を誘導する。K328H突然変異と組
み合わせると、触媒速度は最初の酵素の場合のレベルよ
り低くなり、基質に対する親和性は、3〜4倍低下す
る。K328H突然変異は、それ自体、酵素の触媒速度
を修飾しないが、親和性において、2倍低下する。この
後者の結果は、ジャネウエイら(JANEWAY et al.)、バイ
オケミストリー(Biochemistry)、1993、32、1601-1609
頁によって発行された研究に一致するものである。
【0115】D153H突然変異と結合すると、D33
0N突然変異は、触媒速度において、予想外にも3倍に
近い増加を誘導し、基質に対する親和性を有意に修飾し
ない。
【0116】同様な条件下、D153H突然変異は、そ
れ自体、触媒速度のみ1.4倍に増加させ、基質に対す
る親和性を2倍近く減少させる。
【0117】最後に、3重の変異体D153H/K32
8H/D330Nの触媒速度は、変異体D330Nそれ
自体の場合のレベルにまで低下し、基質に対する親和性
において2倍低下させる。
【0118】この結果は、野生型酵素と比較して、触媒
速度において4倍の減少、基質に対する親和性において
3倍の減少を示す2重の変異体D153H/K328H
(ジャネウエイら(JANEWAY et al.)、バイオケミストリ
ー(Biochemistry)、1993、32、1601-1609頁)によって
得られる結果に匹敵するものである。
【0119】pH10では、プラスミドpLIP4.
0.Bによって産生される酵素は、下記の表3に示すよ
うに、以下の条件下で、pH8、1M Trisで観察
される場合と同様な触媒速度及び3倍減少している基質
に対する親和性を示す。:0.1M CAPS(シクロ
ヘキシルアミノプロパンスルホン酸)、0.4M Na
Cl、pH10.0、10mM Mg2+中でプレインキ
ュベーション;0.1MCAPS、0.4M NaC
l、pH10.0、10mM Mg2+中で反応。
【0120】
【表3】
【0121】この結果は、野生型酵素についてのジャネ
ウエイら、1993によって観察された場合と同様である。
この場合も、該酵素のN−末端に数個のアミノ酸を挿入
することで、有意にその性質を修飾することはなかっ
た。
【0122】復帰突然変異体クローンは、3倍増加した
触媒活性を有しているが、基質への親和性は、6倍減少
している。変異体D330Nは、同様な条件下変異して
いない酵素の場合の2.5倍の触媒速度及び2倍増大し
た親和性を保有している。
【0123】二重の変異体K328H/D330Nは、
3倍の活性及びわずかに約20%減少した親和性を示
す。2重の変異体D153H/D330Nは最初の酵素
に比較して17倍、1ヶ所の変異体D330Nと比較し
て7倍及び1ヶ所の変異体D153Hと比較して6倍に
増大した触媒速度を示す。この場合、これら二種の突然
変異D153H/D330Nの間に、本当の相乗効果が
ある。対照的に、基質に対する親和性は、細菌の酵素と
比較して約4倍減少し、この減少は、それ自体同様な効
果を誘導するD153H突然変異に帰することができ
る。三種の突然変異、D153H/K328H/D33
0Nの関連は、二重の変異体において得られる値と比較
して、その値の中間である触媒速度と親和性を生じさせ
る。
【0124】D153H/D330Nの組合せは、k
catが約2000s-1のCIPの場合に近い値に達する
触媒速度に関して最も効果的な構築物を構成する。
【0125】ベクターpLIP4.0.B並びにD15
3H、D330N及びD153H/D330N誘導体に
よって産生される酵素の熱的な安定性を測定した(図
5)。該酵素を1M Tris、pH8、100mM
Mg++バッファー中、25℃、2時間プレインキュベー
トする。
【0126】アリコートを、1M Tris、pH8、
10mM Mg++バッファー中、指示された温度で、1
5分間保持する。氷中で冷却後、酵素活性を5mM パ
ラニトロフェニルホスフェートの存在下、25℃、15
分間測定する。
【0127】ベクターpLIP4.0.B(曲線−●
−)及び変異体D330N(曲線−◇−)によって産生
される蛋白質は、約95℃の半分変性温度(half-denat
uration temperature)を有し、それは、天然の細菌のア
ルカリ性ホスファターゼの場合と同様である。数個のア
ミノ酸のN−末端への挿入もD330N突然変異も、温
度に対する酵素の感受性を増大しない。対照的に、変異
体D153H(曲線−□−)及び二重の変異体D153
H/D330N(−×−)は、約70℃の半分変性温度
を有し、それは、変異体D153Hについてジャネウエ
イら、1993によって発表された場合と同様である。この
値は、CIPについて発表された値よりも非常に高く、
それはMg2+の存在下(実施例において確立されたコン
トロールの条件)55℃又は65℃に付近である。
【0128】実施例6:トキシン/アルカリ性ホスファ
ターゼ突然変異体・融合ベクターの構築 ベクターpLIP4.0.B、pLIP4.0.B/D
330N及びpLIP4.0.B/D153H/D33
0Nを、酵素SalIで消化し、次いでphoA遺伝子
の読み枠にフレームシフトを創る方法で、それらを再び
閉環する。CC118細菌は、これらのベクターで形質
転換されると、アンピシリン及び基質5−ブロモ−4−
クロロ−3−インドリル・ホスフェートを含有するPh
oA誘導培地上で白くなる。これらのフレームシフトさ
れたベクターを、pLIP4.B、pLIP4.B/D
330N、pLIP4.B/D153H/D330Nと
称する。
【0129】ヘビ毒トキシンであるエラブトキシン a
(erabutoxin a)をコードする遺伝子を有するベクターp
LIP1〔ギレット(GILLET)ら、プロティン エンジニ
アリング(Protein Engineering)、1992、 5、 3、 273-27
8〕のその一部について、PCR反応を行う。PCR反
応は、下記のオリゴヌクレオチドを用いて、エラブトキ
シン a遺伝子の両末端に、pLIP4ベクターへのク
ローニングに要求されるSalI部位及びXmaI部位
を導入する方法で行われる。
【0130】
【化11】
【0131】増幅サイクル数は、30回である。得られ
た遺伝子を、低融点のアガロースゲル上で調べ、フェノ
ールとクロロホルムで処理して該ゲルから抽出する。次
いで、制限酵素SalI及びXmaIで消化し、ファー
ジM13mp18の二重鎖DNA中に挿入することによ
って、その配列を確認する。
【0132】次いで、該遺伝子をベクターpLIP4.
B、pLIP4.B−D330N及びpLIP4.B−
D153H/D330NのSalI部位とXmaI部位
との間に挿入する。CC118細菌をそのライゲーショ
ン産物で形質転換し、アンピシリン及び基質5−ブロモ
−4−クロロ−3−インドリル・ホスフェートを含むア
ルカリ性ホスファターゼ誘導培地に播いた。
【0133】エラブトキシンa/アルカリ性ホスファタ
ーゼ(Ea/PhoA)融合タンパクを発現するコロニ
ーは、基質5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル・
ホスフェートを加水分解して青色になる。pLIP4.
B/Ea構築物の場合、白色クローン300個あたり2
1個の青色クローンが得られ、pLIP4.B−D33
0N/Ea構築物の場合、白色クローン100個あたり
4個の青色クローンが得られ、pLIP4.B−D15
3H−D330N/Ea構築物の場合、白色クローン1
13個あたり4個の青色クローンが得られた。これらの
構築物中に挿入物が存在することがSacI/XmaI
制限により確認され(約200bpの挿入)、再度、シ
ークエンシングすることにより、エラブトキシンa(E
a)をコードする遺伝子の配列が確認された。
【0134】実施例7:免疫酵素トレーサーの製造/抽
出 異種融合タンパクは、細菌培養物400mlを用いて製
造される。ペリプラズムタンパクを浸透圧ショックによ
り抽出し、次いでYM−30アミコン膜(YMー30 AMICON
membrane)上で1ml容量まで濃縮し、非修飾ハイブリ
ッドタンパク及び突然変異タンパクD330Nについて
は20mM トリス−塩酸(pH8)、10mM Mg
Cl2緩衝液を用いて透析し、また突然変異タンパクD
153H/D330Nについては20mM トリス−塩
酸(pH8)、100mM MgCl2緩衝液を用いて
透析する。該溶液を0.02% NaN3の存在下で−
20℃で保存する。
【0135】実施例8:マイクロタイトレーション・プ
レート上に吸着している抗−トキシン抗体に特異的に結
合する各種エラブトキシン−a/修飾アルカリ性ホスフ
ァターゼ・トレーサーの酵素活性の比較、及び可視化時
間及びトキシンについての競合的免疫酵素アッセイの感
度に対する突然変異の影響 1)酵素活性 マイクロタイトレーション・プレート上に、トキシン特
異的モノクローナル抗体Mα2−3〔トレミュー(TREME
AU)ら、フェブス・レター(FEBS lett.)、1986、208、23
6-240〕を、50mM トリス−塩酸(pH7.4)緩
衝液を50μl中ウエルあたり10ngの比率で、終夜
4℃で吸着させる。次いで、該ウエルを、0.3%ウシ
血清アルブミンを含む100mM トリス−塩酸(pH
7.4)250μlで、終夜4℃で飽和させる。
【0136】10mM トリス−塩酸(pH7.4)、
0.05% ツイーン2(Tween2:登録商標)緩
衝液を用いて5回の洗浄を行う。
【0137】種々のトレーサーを100mM トリス−
塩酸(pH7.4)、0.1%ウシ血清アルブミン、1
0mM MgCl2緩衝液で希釈し、これらの溶液50
μlをタイトレーションウエルに添加し、該プレートを
終夜4℃でインキュベーションする。
【0138】10mM トリス−塩酸(pH7.4)、
0.05% ツイーン2(Tween2:登録商標)緩
衝液を用いて5回洗浄する。
【0139】プレートに固定したトレーサーの量は、非
修飾トレーサ及びD330N突然変異を有するトレーサ
ーについては、1M トリス−塩酸(pH8)、10m
MMgCl2、10mM パラ−ニトロフェニル・ホス
フェート(pNPP)200μlを添加することにより
可視化される。また2つの突然変異D153H/D33
0Nを有するトレーサーについては、100mM シク
ロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)(p
H10.0)、400mM NaCl、10mM Mg
Cl2、10mM pNPP緩衝液200μlが用いら
れる。室温でのインキュベーションの2時間30分後及
び24時間後に、410nmの光学密度を測定する。
【0140】全結合から差し引かれるべき非特異的結合
を測定するために、過剰量のトキシン(1mg/ml
トキシン溶液50μl)存在下で同じ実験を行う。
【0141】結果を図6に示す。
【0142】2)可視化時間及び感度に対する突然変異
の影響 Mα2−3抗体を用いて、1)に記載するように調製さ
れたマイクロタイトレーション・プレートを用いて検量
線を作成する。トレーサとして同濃度の種々のトレーサ
ーを用い、競合剤として各種濃度のエラブトキシン(1
-5から10-12M)を用いる。非突然変異トレーサー
及びD330N部位が突然変異されているトレーサーに
ついては、1M トリス−塩酸(pH8)、10mM
MgCl2緩衝液に10mM pNPP基質を含む溶液
200μlを添加する。二重突然変異体D153H/D
330Nについては、100mM CAPS(pH1
0)、400mM NaCl、10mM MgCl2
衝液中でインキュベーションを行なう。得られる標準競
合曲線を図7のAに記載する。
【0143】前記と同じ緩衝液中で行なわれる2番目の
実験において、二重突然変異D153H/D330Nを
含むトレーサーの濃度は、競合剤不存在下で突然変異を
含まないトレーサーと同じシグナル(6時間で410n
mのODが0.5)を示すように16倍低くされる。こ
れらの条件下で、酵素シグナルを50%阻害するのに必
要とされるトキシンの量は、突然変異を有するトレーサ
ーを用いる場合、17倍減少する(7nMの代わりに
0.4nM)。結果を図7のBに示す。
【0144】これらの結果は、該アッセイの可視化時間
が、突然変異体D330Nについては2倍短縮し、また
突然変異体D153H/D330Nについては6倍短縮
することを、さらにアッセイの感度が(シグナルの50
%を阻害する抗原の濃度として表される。)、17倍
(二重突然変異体の場合)向上することを示している。
【0145】実施例9:プロインシュリン/突然変異ア
ルカリ性ホスファターゼ融合ベクターの構築および免疫
酵素トレーサーの製造 ヒトプロインシュリンをコードする合成遺伝子を構築
し、それをベクターpLIP4.Bの誘導体であり、そ
のphoAプロモーターがlacIQリプレッサーと連
結したtacプロモーターで置換されているベクターp
LIP5〔キャリアー(CARRIER)ら、ジェイ・アイ・エ
ム(J.I.M.)、1995、 18 1、 177-186〕のSalI部位及び
SacI部位に挿入した。プロインシュリンをコードす
る挿入遺伝子の配列を図8に示す。
【0146】D330N及びD153H/D330N突
然変異は、これらの突然変異を有するpLIP4.0.
BベクターとpLIP5/プロインシュリン・ベクター
との間の遺伝子組換えにより、このベクターに導入され
た。
【0147】得られる構築物を、シークエンシングによ
り確認した。得られたプラスミドは、大腸菌株W311
0(米国標準菌株保存機関:American Type Culture Co
llection No.27325)を形質転換するために用
いられた。
【0148】種々のプロインシュリン/アルカリ性ホス
ファターゼ・トレーサーを、400mlの細菌培養物を
用いて作成する。該サンプルは実施例7に記載するよう
に処理する。
【0149】実施例10:可視化時間及びインシュリン
についての競合的免疫酵素アッセイの感度に対する突然
変異の影響 1)可視化時間の比較 まず初めに、次のELISAテストで用いるトレーサー
溶液を標準化するために、競合的な市販RIAテスト
(INSI−PRキット)を用いてインシュリン同等物
の中で種々のトレーサーの量を測定した。このようにし
て、同量のトレーサーが、実施される種々の試験に用い
られる。
【0150】マイクロタイトレーション・プレート上
に、ヤギ抗−マウス・イムノグロブリン抗体〔IgG+
IgM、H+L、ジャクソン・イムノリサーチ・ラボラ
トリーズ(Jackson ImmunoResearch Laboratories)、ボ
ルティモア(Baltimore)〕を、ウエルあたり100μl
の量の50mM トリス−塩酸(pH7.4)緩衝液中
に10μg/mlの濃度で、終夜4℃で吸着させた。次
いで、該ウエルを、100mM トリス−塩酸(pH
7.4)、0.3%ウシ血清アルブミン溶液200μl
で、終夜4℃で飽和させる。実施例8に記載するように
洗浄し、それに続いて、免疫酵素トレーサーの標準化液
50μl、各種濃度のヒトインシュリン50μl、次い
で抗−インシュリン・モノクローナル抗体溶液50μl
をマイクロタイトレーション・ウエルに添加し、終夜4
℃でインキュベーションした。該インキュベーション緩
衝液として、100mM トリス−塩酸(pH7.
4)、0.1%ウシ血清アルブミン、10mM MgC
2を使用した。該ウエルを洗浄し、次いで非突然変異
トレーサー及びD330N部位が突然変異されてなるト
レーサーについては、10mMのpNPP基質を含む緩
衝液200μlを1M トリス−塩酸(pH8)、10
mM MgCl2緩衝液に添加する。一方、D153H
/D330Nトレーサーの場合は、100mM CAP
S(pH10)、400mM NaCl、10mM M
gCl2緩衝液中でインキュベーションする。インシュ
リン不存在下での410nmの光学密度が0.5に達す
る時、その光学密度を読む。結果を図9のAに示す。
【0151】2)可視化時間及びインシュリンについて
の競合的免疫酵 素アッセイの感度に対する突然変異の影
2番目の実験において、二重突然変異D153H/D3
30Nを有するトレーサーの濃度は、突然変異を有する
トレーサー及び突然変異を有しないトレーサーについ
て、競合剤不在下で、可視化6時間後の410nmでの
光学密度が0.5となるように、16倍低くされる。
【0152】実験は、以前と同じ条件下で行われる。結
果を図9のBに示す。得られるシグナルを半分まで減少
させるために要求されるインシュリンの濃度は、突然変
異を有するトレーサーの場合、突然変異のないトレーサ
−よりも4.5倍低い(それぞれ、27μU及び120
μU)。
【0153】これらの結果は、該アッセイの可視化時間
がD330N突然変異体については2倍短縮し、またD
153H/D330N突然変異体については6倍短縮す
ること、及びアッセイの感度が(シグナルの50%を阻
害する濃度として表す。)、4.5倍(二重の突然変異
体の場合)向上することを示す。
【0154】実施例11:不活性キメラ上(329部位
及び/又は330部位)の部位特異的突然変異誘発:生
物学的活性な復帰突然変異体の選択 実施例1に従い、不活性のキメラを用いて、329部位
及び330部位それぞれについて部位特異的突然変異誘
発〔クンケル(KUNKEL)ら、メソッズ・イン・エンザイモ
ロジー(Methods Enzymol.)、1987、 154、367-382、上
述〕を行い、次の復帰突然変異体を得る。
【0155】 D153H/K328H/Q329A/D330H D153H/K328H/Q329G/D330A D153H/K328H/Q329G/D330L それらは生物学的に活性であり、特に酵素基質に対して
向上した親和性を示す。
【0156】上述のことから明らかなように、本発明
は、とても明確に記載されている実施態様、具現態様並
びに適用態様によって何ら制限されることなく、また、
本発明の目的(scope)又は範囲(range)から外れることな
く当業者により考えられ得るこれら態様の全ての変更を
包含するものである。
【0157】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1443 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 修飾DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:64..1440 配列 GTGAAACAAA GCACTATTGC ACTGGCACTC TTACCGTTAC TGTTTACCCC TGTGACAAAA 60 GCC CGG ACA CCA GAA ATG CCC GTC GAC TTC AGT CGA CGA GCT CCC GGG 108 Arg Thr Pro Glu Met Pro Val Asp Phe Ser Arg Arg Ala Pro Gly 1 5 10 15 GTT CTG GAA AAC CGG GCT GCT CAG GGC GAT ATT ACT GCA CCC GGC GGT 156 Val Leu Glu Asn Arg Ala Ala Gln Gly Asp Ile Thr Ala Pro Gly Gly 20 25 30 GCT CGC CGT TTA ACG GGT GAT CAG ACT GCC GCT CTG CGT GAT TCT CTT 204 Ala Arg Arg Leu Thr Gly Asp Gln Thr Ala Ala Leu Arg Asp Ser Leu 35 40 45 AGC GAT AAA CCT GCA AAA AAT ATT ATT TTG CTG ATT GGC GAT GGG ATG 252 Ser Asp Lys Pro Ala Lys Asn Ile Ile Leu Leu Ile Gly Asp Gly Met 50 55 60 GGG GAC TCG GAA ATT ACT GCC GCA CGT AAT TAT GCC GAA GGT GCG GGC 300 Gly Asp Ser Glu Ile Thr Ala Ala Arg Asn Tyr Ala Glu Gly Ala Gly 65 70 75 GGC TTT TTT AAA GGT ATA GAT GCC TTA CCG CTT ACC GGG CAA TAC ACT 348 Gly Phe Phe Lys Gly Ile Asp Ala Leu Pro Leu Thr Gly Gln Tyr Thr 80 85 90 95 CAC TAT GCG CTG AAT AAA AAA ACC GGC AAA CCG GAC TAC GTC ACC GAC 396 His Tyr Ala Leu Asn Lys Lys Thr Gly Lys Pro Asp Tyr Val Thr Asp 100 105 110 TCG GCT GCA TCA GCA ACC GCC TGG TCA ACC GGT GTC AAA ACC TAT AAC 444 Ser Ala Ala Ser Ala Thr Ala Trp Ser Thr Gly Val Lys Thr Tyr Asn 115 120 125 GGC GCG CTG GGC GTC GAT ATT CAC GAA AAA GAT CAC CCA ACG ATT CTG 492 Gly Ala Leu Gly Val Asp Ile His Glu Lys Asp His Pro Thr Ile Leu 130 135 140 GAA ATG GCA AAA GCC GCA GGT CTG GCG ACC GGT AAC GTT TCT ACC GCA 540 Glu Met Ala Lys Ala Ala Gly Leu Ala Thr Gly Asn Val Ser Thr Ala 145 150 155 GAG TTG CAG CAC GCC ACG CCC GCT GCG CTG GTG GCA CAT GTG ACC TCG 588 Glu Leu Gln His Ala Thr Pro Ala Ala Leu Val Ala His Val Thr Ser 160 165 170 175 CGC AAA TGC TAC GGT CCG AGC GCG ACC AGT GAA AAA TGT CCG GGT AAC 636 Arg Lys Cys Tyr Gly Pro Ser Ala Thr Ser Glu Lys Cys Pro Gly Asn 180 185 190 GCT CTG GAA AAA GGC GGA AAA GGA TCG ATT ACC GAA CAG CTG CTT AAC 684 Ala Leu Glu Lys Gly Gly Lys Gly Ser Ile Thr Glu Gln Leu Leu Asn 195 200 205 GCT CGT GCC GAC GTT ACG CTT GGC GGC GGC GCA AAA ACC TTT GCT GAA 732 Ala Arg Ala Asp Val Thr Leu Gly Gly Gly Ala Lys Thr Phe Ala Glu 210 215 220 ACG GCA ACC GCT GGT GAA TGG CAG GGA AAA ACG CTG CGT GAA CAG GCA 780 Thr Ala Thr Ala Gly Glu Trp Gln Gly Lys Thr Leu Arg Glu Gln Ala 225 230 235 CAG GCG CGT GGT TAT CAG TTG GTG AGC GAT GCT GCC TCA CTG AAT TCG 828 Gln Ala Arg Gly Tyr Gln Leu Val Ser Asp Ala Ala Ser Leu Asn Ser 240 245 250 255 GTG ACG GAA GCG AAT CAG CAA AAA CCC CTG CTT GGC CTG TTT GCT GAC 876 Val Thr Glu Ala Asn Gln Gln Lys Pro Leu Leu Gly Leu Phe Ala Asp 260 265 270 GGC AAT ATG CCA GTG CGC TGG CTA GGA CCG AAA GCA ACG TAC CAT GGC 924 Gly Asn Met Pro Val Arg Trp Leu Gly Pro Lys Ala Thr Tyr His Gly 275 280 285 AAT ATC GAT AAG CCC GCA GTC ACC TGT ACG CCA AAT CCG CAA CGT AAT 972 Asn Ile Asp Lys Pro Ala Val Thr Cys Thr Pro Asn Pro Gln Arg Asn 290 295 300 GAC AGT GTA CCA ACC CTG GCG CAG ATG ACC GAC AAA GCC ATT GAA TTG 1020 Asp Ser Val Pro Thr Leu Ala Gln Met Thr Asp Lys Ala Ile Glu Leu 305 310 315 TTG AGT AAA AAT GAG AAA GGC TTT TTC CTG CAA GTT GAA GGT GCG TCA 1068 Leu Ser Lys Asn Glu Lys Gly Phe Phe Leu Gln Val Glu Gly Ala Ser 320 325 330 335 ATC GAT CAC CAG AAT CAT GCT GCG AAT CCT TGT GGG CAA ATT GGC GAG 1116 Ile Asp His Gln Asn His Ala Ala Asn Pro Cys Gly Gln Ile Gly Glu 340 345 350 ACG GTC GAT CTC GAT GAA GCC GTA CAA CGG GCG CTG GAA TTC GCT AAA 1164 Thr Val Asp Leu Asp Glu Ala Val Gln Arg Ala Leu Glu Phe Ala Lys 355 360 365 AAG GAG GGT AAC ACG CTG GTC ATA GTC ACC GCT GAT CAC GCC CAC GCC 1212 Lys Glu Gly Asn Thr Leu Val Ile Val Thr Ala Asp His Ala His Ala 370 375 380 AGC CAG ATT GTT GCG CCG GAT ACC AAA GCT CCG GGC CTC ACC CAG GCG 1260 Ser Gln Ile Val Ala Pro Asp Thr Lys Ala Pro Gly Leu Thr Gln Ala 385 390 395 CTA AAT ACC AAA GAT GGC GCA GTG ATG GTG ATG AGT TAC GGG AAC TCC 1308 Leu Asn Thr Lys Asp Gly Ala Val Met Val Met Ser Tyr Gly Asn Ser 400 405 410 415 GAA GAG GAT TCA CAA GAA CAT ACC GGC AGT CAG TTG CGT ATT GCG GCG 1356 Glu Glu Asp Ser Gln Glu His Thr Gly Ser Gln Leu Arg Ile Ala Ala 420 425 430 TAT GGC CCG CAT GCC GCC AAT GTT GTT GGA CTG ACC GAC CAG ACC GAT 1404 Tyr Gly Pro His Ala Ala Asn Val Val Gly Leu Thr Asp Gln Thr Asp 435 440 445 CTC TTC TAC ACC ATG AAA GCC GCT CTG GGG CTG AAA TAA 1443 Leu Phe Tyr Thr Met Lys Ala Ala Leu Gly Leu Lys 450 455 459 配列番号:2 配列の長さ:459 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Arg Thr Pro Glu Met Pro Val Asp Phe Ser Arg Arg Ala Pro Gly Val 1 5 10 15 Leu Glu Asn Arg Ala Ala Gln Gly Asp Ile Thr Ala Pro Gly Gly Ala 20 25 30 Arg Arg Leu Thr Gly Asp Gln Thr Ala Ala Leu Arg Asp Ser Leu Ser 35 40 45 Asp Lys Pro Ala Lys Asn Ile Ile Leu Leu Ile Gly Asp Gly Met Gly 50 55 60 Asp Ser Glu Ile Thr Ala Ala Arg Asn Tyr Ala Glu Gly Ala Gly Gly 65 70 75 80 Phe Phe Lys Gly Ile Asp Ala Leu Pro Leu Thr Gly Gln Tyr Thr His 85 90 95 Tyr Ala Leu Asn Lys Lys Thr Gly Lys Pro Asp Tyr Val Thr Asp Ser 100 105 110 Ala Ala Ser Ala Thr Ala Trp Ser Thr Gly Val Lys Thr Tyr Asn Gly 115 120 125 Ala Leu Gly Val Asp Ile His Glu Lys Asp His Pro Thr Ile Leu Glu 130 135 140 Met Ala Lys Ala Ala Gly Leu Ala Thr Gly Asn Val Ser Thr Ala Glu 145 150 155 160 Leu Gln His Ala Thr Pro Ala Ala Leu Val Ala His Val Thr Ser Arg 165 170 175 Lys Cys Tyr Gly Pro Ser Ala Thr Ser Glu Lys Cys Pro Gly Asn Ala 180 185 190 Leu Glu Lys Gly Gly Lys Gly Ser Ile Thr Glu Gln Leu Leu Asn Ala 195 200 205 Arg Ala Asp Val Thr Leu Gly Gly Gly Ala Lys Thr Phe Ala Glu Thr 210 215 220 Ala Thr Ala Gly Glu Trp Gln Gly Lys Thr Leu Arg Glu Gln Ala Gln 225 230 235 240 Ala Arg Gly Tyr Gln Leu Val Ser Asp Ala Ala Ser Leu Asn Ser Val 245 250 255 Thr Glu Ala Asn Gln Gln Lys Pro Leu Leu Gly Leu Phe Ala Asp Gly 260 265 270 Asn Met Pro Val Arg Trp Leu Gly Pro Lys Ala Thr Tyr His Gly Asn 275 280 285 Ile Asp Lys Pro Ala Val Thr Cys Thr Pro Asn Pro Gln Arg Asn Asp 290 295 300 Ser Val Pro Thr Leu Ala Gln Met Thr Asp Lys Ala Ile Glu Leu Leu 305 310 315 320 Ser Lys Asn Glu Lys Gly Phe Phe Leu Gln Val Glu Gly Ala Ser Ile 325 330 335 Asp His Gln Asn His Ala Ala Asn Pro Cys Gly Gln Ile Gly Glu Thr 340 345 350 Val Asp Leu Asp Glu Ala Val Gln Arg Ala Leu Glu Phe Ala Lys Lys 355 360 365 Glu Gly Asn Thr Leu Val Ile Val Thr Ala Asp His Ala His Ala Ser 370 375 380 Gln Ile Val Ala Pro Asp Thr Lys Ala Pro Gly Leu Thr Gln Ala Leu 385 390 395 400 Asn Thr Lys Asp Gly Ala Val Met Val Met Ser Tyr Gly Asn Ser Glu 405 410 415 Glu Asp Ser Gln Glu His Thr Gly Ser Gln Leu Arg Ile Ala Ala Tyr 420 425 430 Gly Pro His Ala Ala Asn Val Val Gly Leu Thr Asp Gln Thr Asp Leu 435 440 445 Phe Tyr Thr Met Lys Ala Ala Leu Gly Leu Lys * 450 455 460 配列番号:3 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 オリゴヌクレオチド 配列 TGTACAAATA CATTAAAGGA TCCAAACAAA GCGACTAT 38 配列番号:4 配列の長さ:34 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 オリゴヌクレオチド 配列 GATTCGCAGC ATGATGACCG TGATCGATTG ACGC 34 配列番号:5 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 オリゴヌクレオチド 配列 AACAACATTG GCGGCATGCG GGCC 24 配列番号:6 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 オリゴヌクレオチド 配列 GACTTCAGTC GACGAGCTCC CGGG 24 配列番号:7 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 オリゴヌクレオチド 配列 GAAATGCCCG TCGACAGGAT ATGTTTTAAC 30 配列番号:8 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 オリゴヌクレオチド 配列 GAACCCCGGG AGCTCCATTG TTGCAGACCT 30
【図面の簡単な説明】
【図1】修飾されたホスファターゼをコードする遺伝子
を発現するのに好適なプラスミドpLIP4.0.Bを
示す。
【図2】ベクターpLIP4.0.Bのヌクレオチド配
列を示す(図3及び図4に続く)。phoA遺伝子のコ
ード化配列が太字で表される。
【図3】図2に続いて、ベクターpLIP4.0.Bの
ヌクレオチド配列を示す(図4に続く)。
【図4】図3に続いて、ベクターpLIP4.0.Bの
ヌクレオチド配列を示す。
【図5】産生された各種のアルカリ性ホスファターゼの
熱安定性を示す。
【図6】マイクロタイトレーションプレート上に吸着さ
れる抗−トキシン抗体に特異的に接着した各種トキシン
/ホスファターゼ・トレーサーの酵素活性の比較を示す
(全結合から非特異的結合を差し引くことにより得られ
る特異的結合の測定)。なお、図中、Aは2時間30分
後での可視化を示し、Bは24時間後での可視化を示
す。
【図7】図中、A及びBは、可視化時間及びトキシンに
ついての競合的免疫酵素アッセイの感度についての突然
変異の効果を示す。
【図8】挿入されたプロインシュリンをコードする遺伝
子の配列を示す。図中、ペプチドCを太字で示し、プロ
インシュリン配列に付加され、プロインシュリンをベク
ターpLIP5に挿入し、かつphoA遺伝子の読み枠
を修復することのできる塩基をイタリックで示す。
【図9】図中、Aは、インシュリンをアッセイするため
に要求される可視化時間の比較を使用されたトレーサー
の関数として示す。Bは、インシュリンについての競合
的免疫酵素アッセイの感度についての突然変異の効果を
示す。
フロントページの続き (72)発明者 フレデリク デュカンセル フランス 91160 ロンジュモー リュ ドゥ リベット バティマン C1 レジ ダンス デュ ムーラン サン マルタン (72)発明者 アンドレ メネス フランス 78114 マグニ レ マモー クレスリアベニュ クロード ニコラ ル ドゥ 102

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】その329位及び330位のアミノ酸残基
    の少なくとも一つが、他のアミノ酸残基により置換され
    ている細菌アルカリ性ホスファターゼ(BAP)の配列
    からなり、基質に対する触媒活性及び親和性が、対応す
    る野生型の細菌アルカリ性ホスファターゼの該活性に比
    し有意に増大しており、且つその熱安定性が該野生型細
    菌アルカリ性ホスファターゼと同程度であることを特徴
    とする、細菌由来の修飾アルカリ性ホスファターゼ。
  2. 【請求項2】さらにアミノ酸残基153及び/又はアミ
    ノ酸残基328部位での置換を含むことを特徴とする請
    求項1記載の細菌由来の修飾アルカリ性ホスファター
    ゼ。
  3. 【請求項3】330位における置換が、好ましくはアス
    パラギン酸(Asp330又はD)のアスパラギン(As
    n又はN)、アラニン(Ala又はA)又はロイシン
    (Leu又はL)による置換であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の細菌由来の修飾アルカリ性ホスファ
    ターゼ。
  4. 【請求項4】329部位における置換が、好ましくはグ
    ルタミン(Gln329又はQ)のアラニン(Ala又は
    A)による置換であることを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれかに記載の細菌由来の修飾アルカリ性ホスファ
    ターゼ。
  5. 【請求項5】更に、153位がアスパラギン酸(Asp
    153)の代わりにヒスチジン(His又はH)であり、
    及び/又は328位がリジン(Lys又はK)の代わり
    にヒスチジンであることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれかに記載の細菌由来の修飾アルカリ性ホスファタ
    ーゼ。
  6. 【請求項6】変異体D330N、変異体D153H/D
    330N、変異体K328H/D330N及び変異体D
    153H/K328H/D330N、変異体D330
    A、変異体D330L、変異体D153H/D330
    A、変異体D153H/D330L、変異体K328H
    /D330A、変異体K328H/D330L、変異体
    D153H/K328H/D330A、変異体D153
    H/K328H/D330L、変異体Q329A、変異
    体D153H/Q329A、変異体K328H/Q32
    9A及び変異体D153H/K328H/Q329Aか
    らなる群から選択されるものであることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載の細菌由来の修飾アルカ
    リ性ホスファターゼ。
  7. 【請求項7】細菌アルカリ性ホスファターゼ配列が、好
    ましくは大腸菌(Escherichia coli)または枯草菌(Baci
    llus subtilis)に由来するものであることを特徴とする
    請求項1乃至6のいずれかに記載の細菌由来の修飾アル
    カリ性ホスファターゼ。
  8. 【請求項8】細菌アルカリ性ホスファターゼ配列が、請
    求項1乃至6に規定する置換の少なくとも1つに加え
    て、該細菌アルカリ性ホスファターゼのアミノ酸+6と
    +7との間に少なくとも1つの付加的なアミノ酸が挿入
    されてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の細菌由来の修飾アルカリ性ホスファターゼ。
  9. 【請求項9】配列番号1又はその変異体(variant)か
    らなることを特徴とする請求項8記載の細菌由来の修飾
    アルカリ性ホスファターゼ。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のいずれかに記載のアル
    カリ性ホスファターゼをコードする核酸配列。
  11. 【請求項11】請求項1乃至9のいずれかに記載のアル
    カリ性ホスファターゼをコードし、適当な宿主細胞中で
    の該アルカリ性ホスファターゼの発現に適する核酸配列
    を含むことを特徴とする組換えプラスミド。
  12. 【請求項12】請求項11記載のプラスミドで形質転換
    される宿主細胞。
  13. 【請求項13】1)細菌アルカリ性ホスファターゼ(B
    AP)をコードする配列に哺乳類のアルカリ性ホスファ
    ターゼの活性部位に由来する少なくとも2つのアミノ酸
    残基をコードする2つのコドンを導入することからなる
    不活性キメラ・アルカリ性ホスファターゼの調製、 2)この不活性キメラ・アルカリ性ホスファターゼをコ
    ードする遺伝子についてのランダム又は部位特異的突然
    変異誘発の実施、 3)2)で得られるアルカリ性ホスファターゼの発現 4)酵素活性が回復されるアルカリ性ホスファターゼを
    発現する細菌クローンの選択、 5)得られた突然変異アルカリ性ホスファターゼのシー
    クエンシング、及び野生型細菌アルカリ性ホスファター
    ゼに導入するための両立性変異の選択を含むことを特徴
    とする、天然の細菌アルカリ性ホスファターゼと比べて
    増加した触媒活性を有し、かつ天然の細菌アルカリ性ホ
    スファターゼと類似の熱安定性を有する修飾細菌アルカ
    リ性ホスファターゼの選択方法。
  14. 【請求項14】工程1)で導入される突然変異が、少な
    くとも細菌酵素の153、328、329及び330部
    位のアミノ酸残基に関するものであることを特徴とする
    請求項13記載の選択方法。
  15. 【請求項15】工程2)で導入される突然変異が、少な
    くとも細菌酵素の329及び/又は330部位のアミノ
    酸残基に関するものであり、特に330位のHisがA
    sn、AlaもしくはLeuによって置換されるか、又
    は329位のGlyがAlaによって置換されてなるこ
    とを特徴とする請求項13又は14記載の選択方法。
  16. 【請求項16】工程1)で導入される突然変異が、次の
    残基: 残基153:AspのHisによる置換 残基328:LysのHisによる置換 残基329:GlnのGlyによる置換 残基330:AspのHisによる置換 全てに関わるものであることを特徴とする請求項13乃
    至15のいずれかに記載の選択方法。
  17. 【請求項17】請求項1乃至9のいずれかに記載のアル
    カリ性ホスファターゼを含有することを特徴とする診断
    薬。
  18. 【請求項18】哺乳類のアルカリ性ホスファターゼの活
    性部位に由来する少なくとも2つのアミノ酸残基を含
    み、細菌アルカリ性ホスファターゼからなる生物学的に
    不活性なキメラ・アルカリ性ホスファターゼ。
  19. 【請求項19】突然変異体D153H/K328H/Q
    329G/D330Hに相当するものであることを特徴
    とする請求項18記載のキメラ・アルカリ性ホスファタ
    ーゼ。
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