JPH099623A - 変換器用変圧器 - Google Patents

変換器用変圧器

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JPH099623A
JPH099623A JP15627195A JP15627195A JPH099623A JP H099623 A JPH099623 A JP H099623A JP 15627195 A JP15627195 A JP 15627195A JP 15627195 A JP15627195 A JP 15627195A JP H099623 A JPH099623 A JP H099623A
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Kenji Kawaguchi
賢二 川口
Susumu Isaka
進 井坂
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Abstract

(57)【要約】 【目的】巻線リード部における絶縁強度を高め、絶縁性
能に優れた変換器用変圧器を提供すること。 【構成】絶縁油が充填された容器内に、交流線路に接続
される交流巻線とサイリスタバルブに接続される直流巻
線23が収納され、この交流巻線と直流巻線23との間
に、絶縁油と複数のプレスボードからなる巻線間絶縁部
が構成される変換器用変圧器において、直流巻線23の
リード線のうち巻線口出し部リード線31の周囲を取り
囲むように電界緩和用の絶縁材性のバーリア34が設け
られ、このバーリア34が前記巻線間絶縁部のプレスボ
ード28に密着して取り付けられた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は直流送電に使用する交直
変換器用変圧器に係り、特に変圧器内部おいて直流電圧
が加わるリード線周囲の絶縁を改良した変換器用変圧器
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量・長距離送電および異周波
連係など、系統運用上多くの利点を有する直流送電が多
方面で使用され、一般地域において系統を連係する25
0kV送電が実施されている。
【0003】このような直流送電に際しては、交流を直
流にあるいは直流を交流に変換するための交直変換所が
設置される。この交直変換所は、図11に示すように交
流線路1から入力した交流電圧を変換器用変圧器2a,
2b、サイリスタバルブ群3a,3bを通して直流電圧
に変換した後、直流リアクトル4を介して直流線路5に
送電するようにしている。この場合、サイリスタバルブ
群3a,3bを構成するサイリスタバルブ6a,6b
は、交流電圧を直流電圧に、あるいは直流電圧を交流電
圧に変換する主要素である。
【0004】このようなサイリスタバルブ6a,6bと
しては、現在のところ、運転実績,保守,点検の面から
空気絶縁方式のものが多く使用されている。そして、こ
の空気絶縁方式のサイリスタバルブ6a,6bは、通
常、バルブホール7と称される建屋内に収納される。な
お、図中8a,8bは変圧器用避雷器、9は直流リアク
トル用避雷器、10はサイリスタバルブ群3a,3bの
A−K避雷器である。
【0005】図12は上記のようなサイリスタバルブ6
と、このサイリスタバルブ6を収納するバルブホール7
および変換器用変圧器2などの周辺機器の配置の一例を
示している。図12に示すように、交流線路1から入力
した交流電圧は、変換器用変圧器2で所定の電圧に調整
され、貫通ブッシング11を介してバルブホール7に収
納されたサイリスタバルブ6に送られ、このサイリスタ
バルブ6によって交流から直流に変換される。
【0006】そして、このようにサイリスタバルブ6で
得られた直流電圧は、直流ブッシング12を介して屋外
に設置された図示しない直流リアクトルに送られる。以
上の説明から解るように、交直変換所においての主要素
は、サイリスタバルブ6であるものの、交流系統と接続
される変換器用変圧器2の役割も重要である。
【0007】ところで、図11に示すような変換器用変
圧器2a,2bおよび直流リアクトル4の絶縁方式とし
ては、現在のところ、運転実績のある油絶縁方式が採用
されている。その一方で、これらの変換器用変圧器2
a,2bおよび直流リアクトル4には、運転時および工
場試験時に直流電圧が印加されるため、従来の交流電圧
に対する絶縁設計とは異なる絶縁設計が必要である。
【0008】すなわち、油絶縁方式は、絶縁油とプレス
ボードとの複合絶縁構成になっており、この構成に直流
電圧を印加すると、絶縁抵抗の大きいプレスボードに大
きい電圧が加わり、絶縁抵抗の小さい絶縁油にはあまり
電圧が加わらない。したがって、従来の変換器用変圧器
2a,2bおよび直流リアクトル4においては、プレス
ボードおよび絶縁油の双方に適当な電圧が加わるように
プレスボードの配置が工夫され、設計・製作されてい
る。
【0009】図13は上記のようにプレスボードの配置
に工夫を施した変換器用変圧器内部の絶縁構成の一例を
示す。図13に示すように、変換器用変圧器は容器とし
てのタンク21と、このタンク21内に同心円状に収納
された交流巻線22および直流巻線23とを備えてい
る。このうち、交流巻線22は交流線路1に接続され、
直流巻線23はサイリスタバルブ6に接続される。各巻
線22,23の端部には、電界緩和用に周囲を絶縁紙で
被覆した静電シールド24,25が取り付けられてい
る。
【0010】また、上記変換器用変圧器の絶縁は、タン
ク21内に充填された絶縁油26と、巻線22,23間
およびその内外周に配置されたプレスボード27により
行われる。そして、このプレスボード27における交流
巻線22の静電シールド24の端部などの必要箇所に
は、対巻線間絶縁強化用のアングルプレスボード28が
取り付けられている。
【0011】このような構成を有する図13に示す変換
器用変圧器において、交流巻線22と直流巻線23との
間の巻線間絶縁部29には、直流電圧が加わることにな
る。そして、この直流電圧に対して巻線間絶縁部29
は、絶縁油26とプレスボード27ないしアングルプレ
スボード28とが直列になるように構成されている。
【0012】図14は上記巻線間絶縁部29の平面図で
ある。図14に示すように、交流巻線22と直流巻線2
3とは、同心状に配置されており、この巻線22,23
間に、複数のプレスボード27がほぼ等間隔で同心円状
に配置されている。そして、隣接するプレスボード27
間には、両者の間隔を一定に保持するために、これらの
プレスボード27とほぼ同じ材質で製作したダクトピー
ス30が配置されている。
【0013】このように巻線22,23間に複数のプレ
スボード27を挿入するのは、プレスボード27の絶縁
強度が絶縁油26単体よりも大きいことを利用して絶縁
強化を図るためである。
【0014】例えば、工場試験に際しては、直流巻線2
3に直流電圧を印加する一方、交流巻線22を接地する
場合がある。この場合、絶縁抵抗の大きいプレスボード
27に大きな電圧が加わり、抵抗の小さい絶縁油26に
はあまり電圧が加わらないことになる。ここで、プレス
ボード27の直流耐電圧は、絶縁油26の数十倍大きい
ため、プレスボード27さえ健全であれば、直流耐電圧
は十分に確保できることになる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図13およ
び図14に示すような従来の変換器用変圧器において、
一般に巻線の口出しリード部分は図15に示すような構
成になっている。すなわち、直流巻線23端部から絶縁
紙で被覆された直流巻線リード31が外部接続端子まで
配線されている。この直流巻線リード31があるため、
直流巻線23近傍に取り付けられたアングルプレスボー
ド28は、図15中、破線で示すように直流巻線リード
31が通る部分は切り欠かなければならない。
【0016】その結果、アングルプレスボード28に大
きく開口部が形成されてしまい、この開口部が弱点とな
り、絶縁耐圧が著しく低下するという問題がある。この
点について以下に説明する。
【0017】まず、図13および図14に示す変換器用
変圧器の交流巻線22と直流巻線23との間に直流電圧
が印加された場合、直流巻線リード31がない部分で
の、静電シールド25周囲の電位分布は図16に示すよ
うになる。すなわち、絶縁抵抗の大きい静電シールド2
5の絶縁紙被覆部分とアングルプレスボード28に等電
位線32が集中し、絶縁油26の部分にはあまり集中し
ない。
【0018】これに対し、直流巻線リード31がある部
分での静電シールド25周囲の電位分担は、図17に示
すようになる。すなわち、直流巻線リード31があるた
め、アングルプレスボード28が切り欠かれており、そ
のため等電位線32が連続してスムーズに移行すること
ができず、このため静電シールド25やアングルプレス
ボード28a,28b、直流巻線リード31などの側面
近傍の油ギャップ部に電位が集中することになる。
【0019】したがって、図18に示すように直流巻線
リード31、静電シールド25、アングルプレスボード
28a,28bの側面近傍の油ギャップ部26aの電界
33は、大きくなり、そのことが直流耐電圧の低下に繋
がる。
【0020】ところで、上記のように油ギャップ部26
aの電界33が大きくなる現象は、直流電圧印加時に特
有のものであり、交流電圧印加時には発生しない現象で
ある。すなわち、交流電圧印加時には、絶縁油26とア
ングルプレスボード28の比誘電率ε0 がそれぞれε0
=2.3とε0 =4.5であり、両者の比が小さいこと
から、ほとんど電位分布の偏りは生じない。
【0021】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、巻線リード部における絶縁強度を高め、絶縁性
能に優れた変換器用変圧器を提供することを目的とす
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の請求項1は、絶縁油が充填された容器
内に、交流線路に接続される交流巻線とサイリスタバル
ブに接続される直流巻線が収納され、この交流巻線と直
流巻線との間に、絶縁油と複数のプレスボードからなる
巻線間絶縁部が構成される変換器用変圧器において、前
記直流巻線のリード線のうち巻線口出し部リード線の周
囲を取り囲むように電界緩和用の絶縁材性のバーリアが
設けられ、このバーリアが前記巻線間絶縁部のプレスボ
ードに密着して取り付けられたことを特徴とする。
【0023】請求項2は、請求項1記載の巻線口出し部
リード線を取り囲むバーリアを、複数段取り付けたこと
を特徴とする。
【0024】請求項3は、請求項1または2記載の複数
段取り付けたバーリアの先端部の位置を、それぞれ直流
巻線のリード線の平行方向に対してずらしたことを特徴
とする。
【0025】請求項4は、請求項1記載の巻線口出し部
リード線を取り囲むバーリアの巻線間絶縁部に密着しな
い非密着側の先端を、巻線締付板の外径より外側まで延
ばしたことを特徴とする。
【0026】請求項5は、請求項1記載の巻線口出し部
リード線を取り囲むバーリアの内側に、巻線口出し部リ
ード線の絶縁切れ目部分を配置したことを特徴とする変
換器用変圧器。
【0027】請求項6は、請求項1記載の巻線口出し部
リード線を取り囲むバーリアを、他のリード線と端子接
続する部分に配置したことを特徴とする。
【0028】請求項7は、請求項6記載の他のリード線
と端子接続する部分に配置したバーリアを、複数段設け
たことを特徴とする。
【0029】
【作用】上記の構成を有する本発明の請求項1において
は、直流巻線のリード線のうち巻線口出し部リード線の
周囲を取り囲むように電界緩和用の絶縁材性のバーリア
が設けられ、このバーリアが巻線間絶縁部のプレスボー
ドに密着して取り付けられたことにより、直流巻線に直
流電圧が印加された場合、リード線近傍の等電位線はこ
のリード線周囲の絶縁材料製のバーリアに分担され、巻
線間絶縁部にスムーズに移行する。そのため、油ギャッ
プ部に電位が集中することなく、電界が過度に大きくな
る部分ができないため、直流耐電圧の低下を防止するこ
とができる。
【0030】請求項2においては、請求項1記載の巻線
口出し部リード線を取り囲むバーリアを、複数段取り付
けたことにより、請求項1と比較して直流耐電圧を一段
と向上させることができ、絶縁強度を一層向上させるこ
とができる。
【0031】請求項3においては、請求項1または2記
載の複数段取り付けたバーリアの先端部の位置を、それ
ぞれ直流巻線のリード線の平行方向に対してずらしたこ
とにより、リード線からの電圧分担が一段とスムーズに
バーリアに移行できるため、リード線側面近傍部の油ギ
ャップの電圧集中をより抑えることができ、この部分の
電界を効果的に低減させることができる。
【0032】請求項4においては、請求項1記載の巻線
口出し部リード線を取り囲むバーリアの巻線間絶縁部に
密着しない非密着側の先端を、巻線締付板の外径より外
側まで延ばしたことにより、比較的電位分担変化が緩や
かな巻線外側部分に、バーリアの先端部分が配置される
こととなる。そのため、バーリアの先端部分とバーリア
の先端部分に対向するリード線間の油ギャップの電位の
集中をより低く抑えることができる。
【0033】請求項5においては、請求項1記載の巻線
口出し部リード線を取り囲むバーリアの内側に、巻線口
出し部リード線の絶縁切れ目部分を配置したことによ
り、バーリアにより絶縁的に弱点となり易い絶縁継ぎ目
表面の電界が低減され、絶縁耐力を大幅に向上させるこ
とができる。
【0034】請求項6においては、請求項1記載の巻線
口出し部リード線を取り囲むバーリアを、他のリード線
と端子接続する部分に配置したことにより、絶縁的に弱
点となり易い他のリード線と端子接続する部分の絶縁表
面の電界が低減され、絶縁耐力を大幅に向上させること
ができる。
【0035】請求項7においては、請求項6記載の他の
リード線と端子接続する部分に配置したバーリアを、複
数段設けたことにより、端子接続する部分の絶縁表面の
電界が一段と低減され、絶縁耐力を大幅に向上させるこ
とができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0037】図1は本発明に係る変換器用変圧器の第1
実施例を示し、特に巻線端部の巻線リードと巻線間絶縁
部の構成を示す断面図である。なお、従来の構成と同一
または対応する部分には同一の符号を用いて説明する。
【0038】本実施例の変換器用変圧器は、図13に示
す従来の変換器用変圧器と同様に、絶縁油が充填された
容器としてのタンク内に、交流線路に接続される交流巻
線とサイリスタバルブに接続される直流巻線23が収納
され、この交流巻線と直流巻線23との間に、前記絶縁
油と複数のプレスボードからなる巻線間絶縁部が構成さ
れている。
【0039】図1に示すように、リードバーリア34は
電界緩和用であり、直流巻線23から出る口出し部の直
流巻線リード31周囲一面を取り囲むように、所定間隔
をおいて巻線間絶縁部のアングルプレスボード28aに
密着して取り付けられている。このリードバーリア34
は直流巻線リード31に所定間隔をおいて平行に取り付
けられており、長さは任意に設定されている。リードバ
ーリア34の材料は、プレスボード27,アングルプレ
スボード28の材質と同一視され、絶縁材性である。
【0040】図2はリードバーリア34を示す外観図で
ある。図2に示すように、リードバーリア34は一体に
成形されており、上方の四角形状の開口部内に直流巻線
リード31を通し、下方の平面部および曲面部をアング
ルプレスボード28のアングル部に密着して取り付ける
ような構成となっている。なお、このリードバーリア3
4以外の構成については、図13に示す従来の変換器用
変圧器と同様に構成されているので、その説明を省略す
る。
【0041】次に、本実施例の作用について説明する。
【0042】以上のような構成を有する本実施例の変換
器用変圧器の直流巻線23に直流電圧が印加された場合
には、絶縁抵抗の大きいアングルプレスボード28、直
流巻線リード31の絶縁部分の電圧負担が大きくなる。
この現象は従来と同様である。
【0043】しかしながら、本実施例においては、直流
巻線リード31周囲に絶縁抵抗の大きいリードバーリア
34が設けられているため、このリードバーリア34の
電圧分担も大きくなる。リードバーリア34はアングル
プレスボード28aに密着して取り付けられているた
め、リードバーリア34で分担した電圧は、図3に示す
ようにスムーズにアングルプレスボード28a,28b
へと移行することができる。
【0044】このため、図3に示すように直流巻線リー
ド31やアングルプレスボード28a,28bの側面近
傍の油ギャップ部に過度の電位集中が発生する部分がな
くなるため、この部分の電界33は図4に示すように著
しく低減される。
【0045】また、本実施例では、上記のように直流巻
線リード31やアングルプレスボード28a,28b、
静電シールド25の側面近傍部の油ギャップ部の電界3
3を著しく低減できることから、リードバーリア34を
持たない図17に示す従来例に比べて、直流巻線リード
31やアングルプレスボード28a,28b、静電シー
ルド25の側面部における直流耐電圧を著しく向上させ
ることができ、絶縁強度を格段に向上させることがで
き、優れた直流絶縁特性が得られる。
【0046】図5は本発明に係る変換器用変圧器の第2
実施例を示す断面図である。なお、前記第1実施例と同
一の部分には同一の符号を付して説明する。以下の実施
例についても同様である。
【0047】リードバーリア34は、前記第1実施例の
ように1段に限らず、本実施例のようにリードバーリア
34a,34bとして2段取り付けることも可能であ
り、さらに複数段取り付けることも可能である。
【0048】このようにリードバーリア34を複数段取
り付けることにより、第1実施例と比較して直流耐電圧
を一段と向上させることができ、絶縁強度を一層向上さ
せることができる。その他の構成および作用は前記第1
実施例と同様であるのでその説明を省略する。以下の実
施例でも前記第1実施例と同様の構成および作用は省略
する。
【0049】図6は本発明に係る変換器用変圧器の第3
実施例を示す断面図である。前記第2実施例において、
2段取り付けたリードバーリア34a,34bの上端部
は2段同じ鉛直方向位置まで延ばしたが、図6に示す実
施例ではリードバーリア34a,34bの四角形状開口
部先端位置を直流巻線リード31の平行方向に対してず
らして取り付けている。
【0050】このように本実施例によれば、直流巻線リ
ード31からの電圧分担が一段とスムーズにリードバー
リア34a,34bに移行できるため、直流巻線リード
31側面近傍部の油ギャップ部の電圧集中をより抑える
ことができ、この部分の電界を効果的に低減させること
ができる。
【0051】図7は本発明に係る変換器用変圧器の第4
実施例を示す断面図である。図7に示すように、本実施
例では前記第1実施例において、リードバーリア34の
巻線間絶縁部に密着しない非密着側の先端を、巻線締付
板35の外径より外側まで延ばして取り付けている。
【0052】このように本実施例によれば、比較的電位
分担変化が緩やかな巻線外側部分に、リードバーリア3
4の先端部分が配置されることとなり、リードバーリア
34の先端部分とリードバーリア34の先端部分に対向
する直流巻線リード31間の油ギャップ部の電位の集中
をより低く抑えることができる。
【0053】図8は本発明に係る変換器用変圧器の第5
実施例を示す断面図である。図8に示すように、リード
バーリア34を設けた部位に、直流巻線リード31のテ
ーパ状の絶縁の切れ目としての絶縁継ぎ目36が配置さ
れている。
【0054】このように本実施例によれば、リードバー
リア34により絶縁的に弱点となり易い絶縁継ぎ目36
表面の電界が低減され、絶縁耐力を大幅に向上させるこ
とができる。
【0055】図9は本発明に係る変換器用変圧器の第6
実施例を示す断面図である。前記第1実施例において
は、直流巻線23の近傍部の直流巻線リード31にリー
ドバーリア34を設けた例を示したが、これに限定され
ることなく、図9に示す実施例ように直流巻線リード3
1が外部リード38に端子接続する接続端子37部分に
リードバーリア34を配置すれば、絶縁的に弱点となり
易い接続端子37の絶縁表面の電界が低減され、絶縁耐
力を大幅に向上させることができる。
【0056】図10は本発明に係る変換器用変圧器の第
7実施例を示す断面図である。図10に示すように、本
実施例では直流巻線リード31が外部リード38に端子
接続する接続端子37部分に配置したリードバーリア3
4をリードバーリア34a,34bとして2段取り付け
ることも可能であり、さらに複数段取り付けることも可
能である。
【0057】このように本実施例によれば、接続端子3
7の絶縁表面の電界が一段と低減され、絶縁耐力を大幅
に向上させることができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、直流巻線のリード線のうち巻線口出し部リー
ド線の周囲を取り囲むように電界緩和用の絶縁材性のバ
ーリアが設けられ、このバーリアが巻線間絶縁部のプレ
スボードに密着して取り付けられたことにより、直流巻
線に直流電圧が印加された場合、リード線近傍の等電位
線はこのリード線周囲の絶縁材料製のバーリアに分担さ
れ、巻線間絶縁部にスムーズに移行する。
【0059】そのため、油ギャップ部に電位が集中する
ことなく、電界が過度に大きくなる部分ができないた
め、直流耐電圧の低下を防止することができる。したが
って、直流巻線のリード線近傍の絶縁強度を向上させ、
絶縁特性の優れた変換器用変圧器を提供することができ
る。
【0060】請求項2によれば、請求項1記載の巻線口
出し部リード線を取り囲むバーリアを、複数段取り付け
たことにより、請求項1と比較して直流耐電圧を一段と
向上させることができ、絶縁強度を一層向上させること
ができる。
【0061】請求項3によれば、請求項1または2記載
の複数段取り付けたバーリアの先端部の位置を、それぞ
れ直流巻線のリード線の平行方向に対してずらしたこと
により、リード線からの電圧分担が一段とスムーズにバ
ーリアに移行できるため、リード線側面近傍部の油ギャ
ップの電圧集中をより抑えることができ、この部分の電
界を効果的に低減させることができる。
【0062】請求項4によれば、請求項1記載の巻線口
出し部リード線を取り囲むバーリアの巻線間絶縁部に密
着しない非密着側の先端を、巻線締付板の外径より外側
まで延ばしたことにより、比較的電位分担変化が緩やか
な巻線外側部分に、バーリアの先端部分が配置されるこ
ととなる。そのため、バーリアの先端部分とバーリアの
先端部分に対向するリード線間の油ギャップの電位の集
中をより低く抑えることができる。
【0063】請求項5によれば、請求項1記載の巻線口
出し部リード線を取り囲むバーリアの内側に、巻線口出
し部リード線の絶縁切れ目部分を配置したことにより、
バーリアにより絶縁的に弱点となり易い絶縁継ぎ目表面
の電界が低減され、絶縁耐力を大幅に向上させることが
できる。
【0064】請求項6によれば、請求項1記載の巻線口
出し部リード線を取り囲むバーリアを、他のリード線と
端子接続する部分に配置したことにより、絶縁的に弱点
となり易い他のリード線と端子接続する部分の絶縁表面
の電界が低減され、絶縁耐力を大幅に向上させることが
できる。
【0065】請求項7によれば、請求項6記載の他のリ
ード線と端子接続する部分に配置したバーリアを、複数
段設けたことにより、端子接続する部分の絶縁表面の電
界が一段と低減され、絶縁耐力を大幅に向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変換器用変圧器の第1実施例を示
す断面図。
【図2】図1のリードバーリアを示す外観図。
【図3】図1に示す変換器用変圧器の直流電圧分布図。
【図4】図1に示す変換器用変圧器の直流電界強度分布
図。
【図5】本発明に係る変換器用変圧器の第2実施例を示
す断面図。
【図6】本発明に係る変換器用変圧器の第3実施例を示
す断面図。
【図7】本発明に係る変換器用変圧器の第4実施例を示
す断面図。
【図8】本発明に係る変換器用変圧器の第5実施例を示
す断面図。
【図9】本発明に係る変換器用変圧器の第6実施例を示
す断面図。
【図10】本発明に係る変換器用変圧器の第7実施例を
示す断面図。
【図11】一般的な交直変換所の一例を示す配線図。
【図12】図11のバルブホール内外の配置の一例を示
す斜視図。
【図13】図11および図12の変換器用変圧器内部の
絶縁構成の一例を示す断面図。
【図14】図13の巻線間絶縁部を示す平面図。
【図15】図13の巻線間絶縁部の直流巻線リードの断
面図。
【図16】図13の直流電圧分布図。
【図17】図14の直流電圧分布図。
【図18】図14の直流電界強度分布図。
【符号の説明】
1 交流線路 2,2a,2b 変換器用変圧器 3a,3b サイリスタバルブ群 4 直流リアクトル 5 直流線路 6a,6b サイリスタバルブ 7 バルブホール 8a,8b 変圧器用避雷器 9 直流リアクトル用避雷器 10 A−K避雷器 11 貫通ブッシング 12 直流ブッシング 21 タンク(容器) 22 交流巻線 23 直流巻線 24 静電シールド 25 静電シールド 26 絶縁油 26a 油ギャップ部 27 プレスボード 28,28a,28b アングルプレスボード 29 巻線間絶縁部 30 ダクトピース 31 直流巻線リード 32 等電位線 33 電界 34,34a,34b リードバーリア 35 巻線締付板 36 絶縁継ぎ目 37 接続端子 38 外部リード

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁油が充填された容器内に、交流線路
    に接続される交流巻線とサイリスタバルブに接続される
    直流巻線が収納され、この交流巻線と直流巻線との間
    に、絶縁油と複数のプレスボードからなる巻線間絶縁部
    が構成される変換器用変圧器において、前記直流巻線の
    リード線のうち巻線口出し部リード線の周囲を取り囲む
    ように電界緩和用の絶縁材性のバーリアが設けられ、こ
    のバーリアが前記巻線間絶縁部のプレスボードに密着し
    て取り付けられたことを特徴とする変換器用変圧器。
  2. 【請求項2】 巻線口出し部リード線を取り囲むバーリ
    アを、複数段取り付けたことを特徴とする請求項1記載
    の変換器用変圧器。
  3. 【請求項3】 複数段取り付けたバーリアの先端部の位
    置を、それぞれ直流巻線のリード線の平行方向に対して
    ずらしたことを特徴とする請求項1または2記載の変換
    器用変圧器。
  4. 【請求項4】 巻線口出し部リード線を取り囲むバーリ
    アの巻線間絶縁部に密着しない非密着側の先端を、巻線
    締付板の外径より外側まで延ばしたことを特徴とする請
    求項1記載の変換器用変圧器。
  5. 【請求項5】 巻線口出し部リード線を取り囲むバーリ
    アの内側に、巻線口出し部リード線の絶縁切れ目部分を
    配置したことを特徴とする請求項1記載の変換器用変圧
    器。
  6. 【請求項6】 巻線口出し部リード線を取り囲むバーリ
    アを、他のリード線と端子接続する部分に配置したこと
    を特徴とする請求項1記載の変換器用変圧器。
  7. 【請求項7】 他のリード線と端子接続する部分に配置
    したバーリアを、複数段設けたことを特徴とする請求項
    6記載の変換器用変圧器。
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