JPH0994033A - 灌漑用自動給水器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人手による作業の省力化を達成する、電気を
使わない新規の灌漑用自動給水器を提供することを目的
とする。 【解決手段】 圃場水面が設定値以下になったときにフ
ロートにより水位調節用下限セットが下がって水位セン
サーを押し下げ、水位センサーが下限を感知したときに
パイロット弁により水密バック内の水が排水され、この
排水に伴って給水弁が給水パイプライン内の水圧により
開いて給水ノズルから給水し、圃場水面が設定値以上に
なったときにフロートにより水位調節用上限セットが上
がって水位センサーを押し上げ、水位センサーが上限を
感知したときにパイロット弁により水密バック内に給水
パイプラインから水が加圧され、この加圧により給水弁
が閉じて止水するようにし、給水ノズルの給水中には同
給水ノズルを通る水に液肥、薬剤等を少しずつ混入し給
水の停止中には当該混入を自動的に停止するようにした
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主に水田等の給水パイ
プラインに直接取付けて水管理および肥料・薬剤管理を
自動化するための灌漑用自動給水器に関する。

【０００２】

【従来の技術】稲は有効分けつ期、無効分けつ期、穂ば
らみ期および登熟期を経て生育する。この生育には各々
の期に適する水の管理すなわち、浅水管理、深水管理や
間断灌水の水管理が大事であり、且つ肥料・薬剤の管理
も併せて大事である。従来、この水の管理および肥料・
薬剤の管理は主に人手によって行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、人
手による作業の省力化を達成する、電気を使わない新規
の灌漑用自動給水器を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決しようとする手段】上記目的を達成するた
めに本発明に係る灌漑用自動給水器は、圃場水面が設定
値以下になったときにフロートにより水位調節用下限セ
ットが下がって水位センサーを押し下げ、水位センサー
が下限を感知したときにパイロット弁により水密バック
内の水が排水され、この排水に伴って給水弁が給水パイ
プライン内の水圧により開いて給水ノズルから給水し、
圃場水面が設定値以上になったときにフロートにより水
位調節用上限セットが上がって水位センサーを押し上
げ、水位センサーが上限を感知したときにパイロット弁
により水密バック内に給水パイプラインから水が加圧さ
れ、この加圧により給水弁が閉じて止水するようにし、
給水ノズルの給水中には同給水ノズルを通る水に液肥、
薬剤等を少しずつ混入し給水の停止中には当該混入を自
動的に停止するようにしたものである。

【０００５】

【作用】給水パイプライン内の水の圧力とフロートの浮
力とを動力源として給水の開始・停止および液肥・薬剤
の供給・停止の制御を自動的になすものであって、動力
用電力も制御用電気もいらないものである。

【０００６】

【発明の効果】本発明に係る灌漑用自動給水器は、上記
のような構成になるので人手による作業の省力化を達成
する、電気を使わない新規の灌漑用自動給水器を提供す
るという所期の目的を完全に達成することができ、ま
た、次のような効果も期待することができる。すなわ
ち、 省力化ができる。（浅水・深水管理や間断灌水の必要
時期に定水位をセットするだけで後は自動的に水管理を
行なうものであるため他の農作業をすることができ省力
化ができ、また兼業農家の方は休日などを利用してセッ
トすれば、後は安心して勤めに専念できる。） 増収・冷害対策に威力を発揮する。（間断灌水を行う
ことによって硫化水素の発生を抑え根の発育を促進する
ことにより増収が期待できるなど稲の生育生理に合った
水管理および肥料・薬剤の管理をすることができ、深水
・浅水・湛水管理、間断灌水等、自在の管理が可能であ
り、これまでの経験が省力化と共に活かすことができ、
素速い気象変動への対応も可能となる。） 肥料・農薬の効率が良くなる。（定水位で止水するた
め流出むらが無く、均一な肥料が期待でき、効率も高め
られる。） 節水ができる。（水田の定水位をセットすることによ
り自動的に給水停止が行なわれ、これまでの人手による
仕切弁の締め忘れや遅れによる水の無駄使いをなくし節
水ができ、地域パイプラインの運転時間の短縮もでき、
土地改良区の経費節約にも有効である。） 農村の自然環境を守る。（水田に施用・散布した肥料
・農薬等の流出を少なくし、水路・河川への汚染を少な
くすることができる。）

【０００７】

【実施例】図に示す実施例は、自動給水弁部１と水位感
知部２と施肥部５５からなるものであって、自動給水弁
部１は既存パイプラインの仕切弁（図示せず）の後に取
付け、水位感知部２は水田中に設置し、施肥部５５は自
動給水部１の上方位置に設置し、灌漑を始めると水位感
知部２のフロートが水位を感知し、給水弁部１が給水・
断水を自動的になすと共に当該給水・断水に連動して施
肥部５０が液肥・薬液等の供給・停止をなすようになっ
ているものであり、

【０００８】上記自動給水弁部１は、既存パイプライン
の先端に連結するＬ形状の給水ラインケース３を構成
し、この給水ラインケース３における垂直部の上端開放
口４の上に内径孔の切縁に主弁座５をもつリング状板６
を、このリング状板６の上に側面に給水ノズル７をもつ
弁筐８をそれぞれ配してこれ等リング状板６、弁筐８を
同開放口４の口縁にＯリング９、１０および締付ネジ１
１を以て固定すると共に弁筐８の天壁にロット通し孔１
２を介してピストンロッド１３を上下動自在に串通し、
このピストンロッド１３の下端に主弁座５に着座するシ
ート１４付き弁体１５を取付け、この弁体１５はガイド
管１６を介して上下動をスムーズに行うようにし且つコ
イルバネ１７によって常に押下力を受けるようにすると
共に上記弁筐８の上に主弁座５よりも数倍も径大のシリ
ンダ部１９を一体に形成し、このシリンダ部１９内にピ
ストン２０を挿入して当該ピストン２０を上記ピストン
ロッド１３の上端に止着し、またシリンダ部１９内にお
いてピストン２０より上の個所に自力収縮型蛇腹付き皿
形状ゴム製水密バック２１を挿入し、この水密バック２
１の開口縁にフランジ２２を一体に設け且つ当該フラン
ジ２２を水密カバー２３の縁でシリンダ部１９の上端開
口縁に挟止することによって水密室２８を構成すると共
に上記水密カバー２３の頂壁に第１ホースジョイント２
４を、また上記給水ラインケース３における水平部に第
２ホースジョイント２５を設けたものであって、固定用
支柱２６を以て水田２７に設置するようにしたものであ
り、

【０００９】上記水位感知部２は、上面が閉塞され下面
が開放され側面に通水孔２９が開設された円筒ケース３
０を構成し、この円筒ケース３０の天壁に１対の軸孔３
１、３２を開設して一方の軸孔３１にネジ棒製のフロー
トロッド３３を他方の軸孔３２にネジ棒製の移動ロッド
３４をそれぞれ上下動自在に挿通すると共に移動ロッド
３４の上端に抜落阻止用ナット３５を螺着し、またフロ
ートロッド３３の下端にフロート３６を同じく中間個所
の上下に水位上限セット用ナット３７および水位下限セ
ット用ナット３８を位置変更自在に螺合し、更にフロー
トロッド３３の上端に水位指針３９を固定し、円筒ケー
ス３０の上に水位目盛盤４０を立設すると共にフロート
ロッド３３において上記水位上・下限セット用ナット３
７、３８間の個所にアーム４１付きのリング状センサー
４２をフロートロッド３３に沿って移動自在に挿通し、
このセンサー４２のアーム４１の先端を上記移動ロッド
３４の下端にナット止めすると共に上記円筒ケース３０
の天壁の下面に垂下支持部４４を設け、この垂下支持部
４４の下端に槓杆４５を支持軸４６を介して挺動自在に
取付け、この槓杆４５の一方揺動端を上記移動ロッド３
４の中間位置に鈎形部材４７を介して連結し、更に円筒
ケース３０の天壁において槓杆４５の他方揺動端と対応
する個所に中にニードル弁体４８を内蔵したパイロット
弁４９を設け、このパイロット弁４９のニードル弁体４
８の弁ロッド５０の外端を上記槓杆４５の他方揺動端に
ピン軸５１を介して連結すると共にパイロット弁４９の
シリンダ５２においてニードル弁体４８より上方の壁に
第３ホースジョイント５３を同じく下方の壁に第４ホー
スジョイント５４を設けると共にパイロット弁４９のシ
リンダ５２の底壁においてニードル弁体４８の弁ロッド
５０の通孔を同ニードル弁体４８の下降によって閉じる
排水口５７とし、更に上記円筒ケース３０の天壁の上面
に支柱５８を立設し、この支柱５８の上端に横向きアー
ム５９を当該横向きアーム５９の先端が上記移動ロッド
３４の上端の抜落阻止用鉄製ナット３５の上方に位置す
るようにしてナット６０により固定すると共に当該横向
きアーム５９の先端の下面に永久磁石６１を固着したも
のであって、水田２７の中に下の方だけ埋め込んだ状態
で設置するようにしたものであり、

【００１０】上記施肥部５５は、肥料・薬液等（以下、
液肥水７０という。）の貯肥タンク６５と、この貯肥タ
ンク６５の下端に設けた手動コック６６と、同貯肥タン
ク６５の中に設けたフロート６７および当該フロート６
７によって開閉するニードル型三方弁６８からなってお
り、貯肥タンク６５の底面は手動コック６６に向って下
傾し、フロート６７はそのバー部分６９には液肥水７０
の残量が少なくなった時点で三方弁６８が確実に作動さ
せるためのバネ７１付き移動オモリ７２を備え、また三
方弁６８の弁箱７３は入口側ポート７４と開弁状態とな
ったときに弁体７５の背面によって閉じられ閉弁状態と
なることによってオープン状態となる出口側ポート７６
と開弁状態のときも閉弁状態のときを開放状態のままで
ある中間ポート７７を備え、入口側ポート７４には第５
ホースジョイント７８を、出口側ポート７６には第６ホ
ースジョイント７９を、また中間ポート７７には第７ホ
ースジョイント８０をそれぞれ設けたものであって、上
記第２ホースジョイント２５と第３ホースジョイント５
３と第５ホースジョイント７８とは三叉の第１ホース８
１により、上記第１ホースジョイント２４と第７ホース
ジョイント８０を第２ホース８２により、また上記第４
ホースジョイント５４と第６ホースジョイント７９を第
３ホース８３によりそれぞれ連結したものであり、

【００１１】また、上記の給水ノズル７の上側壁に液肥
落下口８５を、この液肥落下口８５にボールフロート弁
８６を設け、このボールフロート弁８６の入口側に第８
ホースジョイント８７と上記手動コック６６とを透明の
第４ホース８８により連結したものである。

【００１２】上記のように水田に設置した自動給水弁部
１および水位感知部２は、貯肥タンク６５の中に液肥水
７０がある場合において、圃場水面６３が下限設定値に
達するとセンサー４２が水位下限セット用ナット３８に
係合し、この係合後に更に水位が下がろうとすると当該
センサー４２が移動ロッド３４に引き下げ力を与え、こ
の引き下げ力が永久磁石６１の磁力に勝った時点で移動
ロッド３４、鈎形部材４７、センサー４２の重力によっ
て槓杆４５が図中において時計の針の回転方向に回転し
てニードル弁体４８を閉じ状態とし、このように閉じ状
態となる水密室２８内の水は第２ホース８２、第３ホー
ス８３および排水口５７を介して外に排水され、この排
水に伴って弁体１５が既在の給水パイプライン内の水圧
を給水ラインケース３内を介して受けて開き給水ノズル
７から水田に給水する。また、貯肥タンク６５の中に液
肥水７０がある場合において、上限設定値に達するとセ
ンサー４２が水位上限セット用ナット３７に係合し、こ
の係合後に更に水位が上がろうとすると当該センサー４
２が移動ロッド３４を上昇させ且つ槓杆４５を図中にお
いて時計の針と反対の方向に回転させてニードル弁体４
８を開き且つ永久磁石６１に移動ロッド３４の上端を吸
着させると共にニードル弁体４８の開きによって給水ラ
インケース３内から第１ホース８１、シリンダ５２、第
３ホース８３および第２ホース８２を順に介して水密室
２８内に水が送られ、その水圧で弁体１５が閉じ給水ノ
ズル７からの給水を止水する。更に、手動コック６６を
開放された状態において給水ノズル７から給水がなされ
ると、この給水に液肥水７０がコック６６および第４ホ
ース８８を介して落ち、混合された状態で水田に供給さ
れ、また、給水中に貯肥タンク６５が空になったときに
はフロート６７が下がり、三方弁６８が開き状態となっ
て出口側ポート７６が閉じられ、斯くすると給水ライン
ケース３内から第１ホース８１、入口側ポート７４、中
間ポート７７および第２ホース８２を介して水密室２８
内に水が送られ、その水圧で弁体１５を閉じ給水ノズル
７からの給水を止水し、この止水後に貯肥タンク６５の
中に液肥水を補充すると、フロート６７が上がり、三方
弁６８が閉じ状態となって出口側ポート７６が開放さ
れ、斯くすると、水密室２８内の水は第２ホース８２、
第３ホース８３および排水口５７を介して外に排水さ
れ、この排水に伴って弁体１５が既在の給水パイプライ
ン内の水圧を給水ラインケース３内を介して受けて開き
給水ノズル７から水田に給水する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を水位の高くなった状態で示す
断面図である。

【図２】同じく水位の低くなった給水中の状態で示す断
面図である。

【図３】同じく液肥水が無くなり給水が停止した状態で
示す断面図である。

【符号の説明】

１ 自動給水弁部 ２ 水位感知部 ３ 給水ラインケース ４ 上端開放口 ５ 主弁座 ６ リング状板 ７ 給水ノズル ８ 弁筐 ９、１０ Ｏリング １１ 締付ネジ １２ ロット通し孔 １３ ピストンロッド １４ シート １５ 弁体 １６ ガイド管 １７ コイルバネ １９ シリンダ部 ２０ ピストン ２１ 水密バック ２２ フランジ ２３ 水密カバー ２４ 第１ホースジョイント ２５ 第２ホースジョイント ２６ 固定用支柱 ２７ 水田 ２８ 水密室 ２９ 通水孔 ３０ 円筒ケース ３１、３２ 軸孔 ３３ フロートロッド ３４ 移動ロッド ３５ 抜落阻止用ナット ３６ フロート ３７ 水位上限セット用ナット ３８ 水位下限セット用ナット ３９ 水位指針 ４０ 水位目盛盤 ４１ アーム ４２ センサー ４４ 垂下支持部 ４５ 槓杆 ４６ 支持軸 ４７ 鈎形部材 ４８ ニードル弁体 ５２ シリンダ ５３ 第３ホースジョイント ５４ 第４ホースジョイント ５７ 排水口 ５８ 支柱 ５９ 横向きアーム ６０ ナット ６１ 永久磁石 ６３ 圃場水面 ６５ 貯肥タンク ６６ 手動コック ６７ フロート ６８ 三方弁 ６９ バー部分 ７０ 液肥水 ７１ バネ ７２ 移動オモリ ７３ 弁箱 ７４ 入口側ポート ７５ 弁体 ７６ 出口側ポート ７７ 中間ポート ７８ 第５ホースジョイント ７９ 第６ホースジョイント ８０ 第７ホースジョイント ８１ 第１ホース ８２ 第２ホース ８３ 第３ホース ８５ 液肥落下口 ８６ ボールフロート弁 ８７ 第８ホースジョイント ８８ 第４ホース ８９ 作動点調整用ナト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圃場水面が設定値以下になったときにフ
   ロートにより水位調節用下限セットが下がって水位セン
   サーを押し下げ、水位センサーが下限を感知したときに
   パイロット弁により水密バック内の水が排水され、この
   排水に伴って給水弁が給水パイプライン内の水圧により
   開いて給水ノズルから給水し、 圃場水面が設定値以上になったときにフロートにより水
   位調節用上限セットが上がって水位センサーを押し上
   げ、水位センサーが上限を感知したときにパイロット弁
   により水密バック内に給水パイプラインから水が加圧さ
   れ、この加圧により給水弁が閉じて止水するようにし、 給水ノズルの給水中には同給水ノズルを通る水に液肥、
   薬剤等を少しずつ混入し給水の停止中には当該混入を自
   動的に停止するようにしたことを特徴とする灌漑用自動
   給水器。