JPH0992001A - 発光キャンドル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 透光性部材で形成された発光カバー１１
内部に化学発光用の第１の液を収容し、この第１の液と
の混合により発光する第２の液を収容した容器１２を蝋
燭の燃焼により落下可能に第１の液の上部位置に吊り下
げ、さらに、発光カバー１１内に第１の液内に落下した
第２の液を攪乱する網体１３を備え、第２の液を収容し
た容器１２の落下により第１の液と第２の液とが混ざり
合って発光するようにした。 【効果】 比較的簡単な構造で、しかもキャンドルの演
出効果を飛躍的に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ホテルや結婚式場
でのキャンドルサービスやディナーショー、また誕生パ
ーティーでの演出用に使用されるキャンドルに関する。

【０００２】

【従来の技術】キャンドルサービスに使用されるキャン
ドルは、小さなものから大きなものまで大小様々な形状
に形成され、使用目的に応じて使い分けられており、そ
の基本形状は、円筒形あるいは上方に向かって萎んだ形
状の蝋燭本体に燃焼用の芯糸を設けたものである。

【０００３】近年このようなキャンドルの演出効果をさ
らに上げるために、蝋燭本体を様々な形状のものとした
り、また赤や青などのカラフルな色で着色することなど
が行われているが、いずれにしても芯糸にあかりを灯す
だけである点において共通し、演出効果を飛躍的に向上
させるまでには至っていない。

【０００４】一方、シュウ酸エステルと蛍光物質等の蛍
光液とこれに混合して発光させる過酸化水素とサリチル
酸ナトリウム等の酸化液とからなる化学発光（化学ルミ
ネッセンス）液が知られている。この発光は、化学反応
に伴う反応物質の励起、励起分子または励起原子が他の
分子あるいは原子に衝突してそれを励起することによっ
て起こるとされており、例えば、特開昭５５−１３７０
８３号公報，特開昭５９−１３６７８１号公報，特開昭
５９−１６０９０１号公報，特開昭５９−１６９００１
号公報，特開昭５９−１８４４０１号公報，特開昭５９
−１８６２０１号公報，特開平２−１５２１０１号公
報，特開平４−５３８９４号公報にその利用技術が開示
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は、キャンド
ルの演出効果を高めるため、上記化学発光液を利用する
ことを思い付き、キャンドルへの点火に追随して自動的
に２液を混合する機械的手段を備えたもの、形状記憶合
金を用いキャンドルの熱を利用して自動混合するもの、
また電子的な手段によりキャンドルへの点火に追随して
混合させるようにしたものなどの試作を行ったが、いず
れも機構が複雑でありコスト的にも問題があった。

【０００６】そこで、本発明が解決すべき課題は、２液
混合型の化学発光液を使用し、比較的簡単な構造で、し
かも上記したキャンドルの演出効果を飛躍的に向上させ
ることができる手段を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の発光キャンドル
は、半透明の透光性部材で形成されたキャンドル本体内
部に化学発光用の第１の液を収容すると共に、前記第１
の液との混合により発光する第２の液を収容した容器を
蝋燭の燃焼により落下可能に前記第１の液の上部位置に
吊り下げ、さらに、前記キャンドル本体内に前記第１の
液内に落下した前記第２の液を攪乱する攪乱手段を備
え、前記第２の液を収容した容器の落下により前記第１
の液と第２の液とが混ざり合って、本体が静止した状態
で短時間に全体を発光するようにしたことを特徴とす
る。

【０００８】ここで、キャンドル本体内部に収容した第
１の液と、この上部に吊り下げられた容器に収容された
第２の液とは、何れが酸化液あるいは蛍光液であっても
良いが、一般に使用されている蛍光液と酸化液の容積比
は、１：０．５以下のものが多いため、大きな収容容積
の確保が容易なキャンドル本体内部に量が多い蛍光液を
収容する方が望ましい。

【０００９】また蛍光液としては、例えば、蛍光物質，
シュウ酸エステル，染料等をジブチルフタレートに溶か
した溶液を使用することができ、これに対する酸化液と
しては、過酸化水素とサルチル酸ナトリウム等の触媒を
ジメチルフタレートに溶かした溶液を使用することがで
きる。

【００１０】第２の液を収容した容器が蝋燭の燃焼によ
り自動的に落下するようにするため、蝋燭の芯糸の内部
に保持糸を蝋で固定することにより、芯糸の燃焼によっ
て保持糸を固定している蝋が液状化し、自重によって第
２の液を収容した容器を落下させることができる。

【００１１】また第２の液を収容する容器として、円筒
状容器の底面にポリエチレンあるいはポリプロピレン等
の薄膜を形成し、一方、この容器の落下位置に、容器の
落下による衝撃で薄膜を突き破る鋭利な突起部を設ける
ことにより、第１の液と第２の液との混合が確実に行え
るようになる。また、上面を開放した容器内に第２の容
器を収容し、落下によって内部の第２の容器が第１の液
内に零れだすようにすることもでき、さらに、容器をカ
プセル状とし、落下の衝撃によりカプセルが破壊して、
第２の液が第１の液と混合される構造とすることもでき
る。

【００１２】一方、キャンドル全体を同時に発光させる
ためには、第１の液と第２の液とを満遍なく混合するこ
とが重要であるが、機械的な混合を施すことなく混合効
率をあげるために、本発明では、第１の液内に落下した
前記第２の液を攪乱する攪乱手段を備えている。

【００１３】この攪乱手段としては、キャンドル本体内
部に形成された突出部の下部に被せられた網体またはら
せん体や、またキャンドル本体内に設けられ第２液の流
れによって回転する羽根車とすることができる。

【００１４】網体の場合、透明又は白色のポリプロピレ
ンやポリエステル，ナイロン，綿糸など、またらせん体
の場合、ポリプロピレンやポリエステル，ナイロンなど
透明な合成樹脂が望ましい。

【００１５】この攪乱手段を設けることによって、通常
筋状となって第１の液内を落下する第２の液を乱流状態
とし、人為的な操作をなんら加えることなく、しかも常
温で第２の液の落下するエネルギーを利用して第１の液
とを短時間に効率良く混合させることが可能となる。

【００１６】また本発明者の試験によると、重力を利用
した効率的混合に必要な第１の液と第２の液との比重差
は、０．００７〜０．０２５である。比重差が０．００
７未満であると、落下速度が遅くなり、第１の液と第２
の液との重力による自然な混合が困難であり、また０．
０２５を越えると、第１の液内を筋状の第２の液が反応
することなく落下するため好ましくない。

【００１７】本発明によると、キャンドルの芯糸に点火
し燃焼させることによって、第２の液を収容した容器が
重力によって落下し、容器内の第２液が零れだして第１
の液と混じり合い化学反応を生じて発光する。その際、
第２の液の落下流路を遮る攪乱手段を設けることによっ
て、本来なら筋状となって落下する第２液の流れが乱さ
れ、これによって機械的な攪拌を行うことなく、第１液
と第２液が短時間に効率良く混合される。この発光は、
半透明の透光性部材を透過してキャンドル本体を内部か
ら照らし出すこととなる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下本発明の特徴を図面に示す実
施の形態に基づいて具体的に説明する。図１は本発明の
一実施の形態である発光キャンドルの縦断面図である。

【００１９】１０は金属性のキャンドル台で、このキャ
ンドル台１０の中央側にはドーナツ状の凹部１０ａを形
成し、ここにキャンドル本体を構成する発光カバー１１
が着脱自在に取付けられている。この発光カバー１１は
乳白色の透光性部材で、ガラス，ポリエチレン，ポリプ
ロピレン等によって形成されている。

【００２０】発光カバー１１内部には、発光カバー１１
と同様な材質で形成され、上端を開放した円筒状の外ケ
ース１２ａと、この外ケース１２ａの内壁に連設され上
方に突設した内ケース１２ｂとからなる透明な蛍光液容
器１２が設けられている。この外ケース１２ａと内ケー
ス１２ｂによって区画された空間内に、蛍光液Ａが収容
されている。１２ｃは内ケース１２ｂの先端に形成され
た鋭利な突起部である。

【００２１】１３は上方に突設した内ケース１２ｂに被
せられた攪乱手段としての網体で、図２の斜視図に示す
ように、上端を閉塞した筒状で、透明又は白色のポリプ
ロピレンやポレステル，ナイロン，綿糸製の糸を網状に
形成したものである。この網体１３の開口部を下に向け
すっぽりと内ケース１２ｂに被せている。網体１３の上
端を閉塞していることにより、製作課程において、内ケ
ース１２ｂに被せた状態で蛍光液Ａを外ケース１２ａ内
に注ぎ込む際にも網体１３を所定位置に保持することが
できる。また、この網体１３の内径は内ケース１２ｂの
外径よりも２ｃｍ程度大きく、したがって内ケース１２
ｂに被せた状態では網体１３の位置は内ケース１２ｂの
外周面よりも１ｃｍ程度離れた場所に位置することとな
る。

【００２２】１４は発光カバー１１の上端に装着された
外カバーで、この外カバー１４は円筒状の外材１４ａ及
び中心を開口したドーナツ状の受けプレート１４ｂから
なり、この受けプレート１４ｂ上に、蝋燭１５が設けら
れている。

【００２３】蝋燭１５は、外側を形成する本体部１５ａ
及びこの本体部１５ａの上端に形成された凹部に嵌め込
まれた中心部１５ｂを備え、本体部１５ａ及び中心部１
５ｂの中心を貫通して芯糸１５ｃが設けられている。芯
糸１５ｃが本体部１５ａ及び中心部１５ｂに埋め込まれ
た部分には、芯パイプ１５ｄが設けられている。１５ｅ
は芯糸１５ｃ及び芯パイプ１５ｄを本体部１５ａに保持
するための固定ピンである。

【００２４】芯パイプ１５ｄの内部空間には、糸状の木
綿やナイロン等からなる保持糸１６が通され、その上端
は芯糸１５ｃ内を貫通している。１７は芯パイプ１５ｄ
の上端に位置し保持糸１６を固定する蝋分である。保持
糸１６の下端には蛍光液Ａと混合することにより発光す
る酸化液Ｂを収容した酸化液容器１８が吊り下げられて
いる。

【００２５】酸化液容器１８は、ポリエチレン，ポリプ
ロピレン等からなる円筒状容器１８ａの底面にポリエチ
レンあるいはポリプロピレン等の薄膜１８ｂを形成した
もので、その内部には、蛍光液Ａと混合することによっ
て発光する酸化液Ｂが収容されている。

【００２６】次いで図１，図３，図４を参照して、上記
発光キャンドルの使用方法について説明する。

【００２７】蝋燭１５の芯糸１５ｃに着火すると、次第
に中心部１５ｂが燃焼し、燃焼熱によって保持糸１６を
固定している蝋分１７を液状化し、これによって、酸化
液容器１８は重力によって下方に落下する。その際の衝
撃で、酸化液容器１８底面の薄膜１８ｂは内ケース１２
ｂの先端に形成された鋭利な突起部１２ｃによって破ら
れ、内部の酸化液Ｂが蛍光液Ａ内に注がれる。

【００２８】図４は酸化液Ｂが蛍光液Ａ内を流れる状態
を示す模式図で、同図に示すように、蛍光液Ａ内の筋状
の酸化液Ｂの流れＦが、網体１３に接触するとその衝撃
によって流れが乱され、図に示すような拡散状態とな
る。これによって、機械的に攪拌したと同様に酸化液Ｂ
が蛍光液Ａと混合状態となり、速やかに化学反応を起こ
して発光する。このような反応を効率よく起こすため、
本実施例においては、酸化液Ｂの比重を蛍光液Ａの比重
よりも０．０１大きくしている。この比重差によって、
酸化液Ｂと網体１３の衝突によって拡散状態となる充分
な落下速度が得られると共に、適度な滞留時間を維持
し、未反応のまま落下して蛍光液容器１２の底部に沈積
することもなくなる。

【００２９】この発光により乳白色の発光カバー１１を
内部から照らし出し、蝋燭の炎と相まって演出効果を高
めることができる。また、発光カバー１１が乳白色の透
光性部材であるため発光色の色彩は発光して初めて認識
することができる。このため、多数のテーブル毎に異な
る発色の蛍光液を使用することにより、一層演出効果を
高めることができる。

【００３０】図５は本発明の他の実施の形態を示す図
で、図５（ａ）は網体１３に代え、内ケース１２ｂに、
透明又は白色のポリプロピレンやナイロン，ポリエステ
ルからなるらせん体２０を設けている。このらせん体２
０によっても、上記と同様に、落下した酸化液Ｂの流れ
がらせん体２０に衝突して乱され、同様の攪拌効果を発
揮することができる。

【００３１】同図（ｂ）は蛍光液容器１２中央部に上方
に突出する柱部２１を形成し、その上部位置に酸化液Ｂ
の流れによって、水平軸回りに回転する羽根車２２を設
けている。これによっても、蛍光液Ａを機械的に攪拌
し、酸化液Ｂと蛍光液Ａの化学反応を促進することがで
きる。

【００３２】

【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。

【００３３】（ａ）蝋燭の燃焼で第２の液を収容した容
器が落下し、第１の液と第２の液が混合され発光するよ
うに構成したことにより、比較的簡単な構造で、しかも
キャンドルの演出効果を飛躍的に向上させることができ
る。

【００３４】（ｂ）第１の液内に落下した第２の液を攪
乱する攪乱手段を備えることによって、化学反応を速や
かに行わせることができ、人為的な攪拌や昇温設備など
を設けることなく発光効率を高めることができる。

【００３５】（ｃ）キャンドル本体が半透明の透光性部
材で形成されているため、発光液に発光色を変えるため
の染料や顔料を含ませれば、キャンドルに点火し蛍光液
が発光した後に初めて発光色を認識することができ、そ
の意外性によりさらに演出効果を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態である発光キャンドルの
縦断面図である。

【図２】 図１に示す網体を示す斜視図である。

【図３】 図１の発光キャンドルの使用状態を示す縦断
面図である。

【図４】 網体による第２の液の拡散状態を示す説明図
である。

【図５】 他の実施の形態を示す図である。

【符号の説明】

１０ キャンドル台 １０ａ 凹部 １１ 発光カバー １２ 蛍光液容器 １２ａ 外ケース １２ｂ 内ケース １３ 網体（攪乱手段） １４ 外カバー １５ 蝋燭 １５ａ 本体部 １５ｂ 中心部 １５ｃ 芯糸 １５ｄ 芯パイプ １５ｅ 固定ピン １６ 保持糸 １７ 蝋分 １８ 酸化液容器 １８ａ 円筒状容器 １８ｂ 薄膜 ２０ らせん体（攪乱手段） ２２ 羽根車（攪乱手段）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 半透明の透光性部材で形成されたキャン
   ドル本体内部に化学発光用の第１の液を収容すると共
   に、前記第１の液との混合により発光する第２の液を収
   容した容器を蝋燭の燃焼により落下可能に前記第１の液
   の上部位置に吊り下げ、さらに、前記キャンドル本体内
   に前記第１の液内に落下した前記第２の液を攪乱する攪
   乱手段を備え、前記第２の液を収容した容器の落下によ
   り前記第１の液と第２の液とが混ざり合って発光するよ
   うにした発光キャンドル。
2. 【請求項２】 前記キャンドル本体内部に上方に突出す
   る突出部を設け、前記攪乱手段が前記突出部に被せられ
   た網体またはらせん体であることを特徴とする請求項１
   記載の発光キャンドル。
3. 【請求項３】 前記攪乱手段が、キャンドル本体内に設
   けられ前記第２液の流れによって回転する羽根車である
   ことを特徴とする請求項１記載の発光キャンドル。
4. 【請求項４】 前記第２の液の比重を前記第１の液の比
   重よりも０．００７〜０．０２５大きくしたことを特徴
   とする請求項１，２，３記載の発光キャンドル。