JPH0991646A - 磁気ヘッドスライダ - Google Patents

磁気ヘッドスライダ

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JPH0991646A
JPH0991646A JP24136395A JP24136395A JPH0991646A JP H0991646 A JPH0991646 A JP H0991646A JP 24136395 A JP24136395 A JP 24136395A JP 24136395 A JP24136395 A JP 24136395A JP H0991646 A JPH0991646 A JP H0991646A
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JP
Japan
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magnetic head
head slider
pad
pads
magnetic
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JP24136395A
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Inventor
Toshiharu Sato
利晴 佐藤
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Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
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Publication date
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】薄膜磁気素子が形成してあるパッドを磁気ディ
スクに接触させ、しかもその接触力を小さく、かつ安定
に保持することのできる磁気ヘッドスライダの構造を提
供すること。 【解決手段】薄膜磁気素子は磁気ヘッドスライダの空気
流出端中央に形成したパッドに配置し、このパッドは揚
力がほとんど発生しない程度の大きさとした。磁気ヘッ
ドスライダの空気流入端寄りに正圧を発生させるための
複数のパッドを形成し、また負圧が発生するような形状
とした。これらの複数のパッドと薄膜磁気素子を有する
パッドは磁気ヘッドスライダの長手方向に対してある程
度の距離隔てるように配置した。そして、磁気ヘッドス
ライダの磁気ディスクに対向する面全体をクラウン形状
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気ディスク装
置における磁気ヘッドスライダに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気ディスク装置において、情報
の読み書きは磁気ディスクを回転させながら磁気ヘッド
スライダを動かすことにより,磁気ヘッドスライダを磁
気ディスク上の任意の位置へ移動させて行っている。磁
気ヘッドスライダはロードビームと称するバネ構造体の
一端に取り付けられており、ある一定荷重で磁気ディス
ク側に押し付けられている。このロードビームの他端は
ロータリ型またはリニア型のアクチュエータに取り付け
られており、従って、磁気ヘッドスライダはアクチュエ
ータを動かすことによって,連動して移動することにな
る。磁気ヘッドスライダの位置は、予め磁気ディスクに
記録されているサーボ情報によって知ることができ、位
置決めはサーボ情報をもとにアクチュエータをコントロ
ールすることにより実現される。
【0003】磁気ヘッドスライダは磁気ディスクとある
隙間を常に保ちながら移動および情報の読み書きをする
ようになっている。このように磁気ヘッドスライダが磁
気ディスクとある隙間量を保っている状態を浮上状態と
呼ぶ。浮上状態での素子部における磁気ヘッドと磁気デ
ィスクの隙間量は、磁気ヘッドの電磁変換効率に大きく
影響する。高容量化および高密度化を達成するために
は、できる限りこの隙間量を小さくすることが望まし
い。1995年の現在では浮上量は50(nm)〜10
0(nm)が主流であるが、1997年には30(n
m)〜50(nm)程度が、さらに2000年には10
(nm)以下のほぼ接触に近い状態での記録、いわゆる
接触記録方式が必要とされている。隙間量が小さくなっ
た場合には、磁気ヘッドスライダと磁気ディスクの接触
する頻度は増大し、磨耗破損などのように磁気ディスク
装置における信頼性は低下する。また、接触記録方式に
おいては摩擦による素子の磨耗を充分に小さくする必要
がある。
【0004】以降、従来の技術について浮上方式の磁気
ヘッドスライダと接触記録方式の磁気ヘッドスライダに
ついて説明する。
【0005】浮上方式の磁気ヘッドスライダについて、
その浮上のメカニズムについて説明する。磁気ディスク
の回転によって、磁気ディスクと磁気ヘッドスライダ間
には空気が流入し、圧力いわゆる動圧が発生することに
なる。この動圧によって磁気ヘッドスライダには磁気デ
ィスクから離そうという力,いわゆる揚力が作用するこ
とになる。この揚力は磁気ディスクと磁気ヘッドスライ
ダ間の隙間形状やディスクの回転速度、空気の粘性、周
囲の気圧等によって変化する。一方、磁気ヘッドスライ
ダはロードビームにより、ディスクに向かって所定の荷
重で押し付けられている。磁気ヘッドスライダは磁気デ
ィスク回転によって生じる揚力とロードビームによる押
し付け力とが釣り合う位置で浮上することになる。
【0006】磁気ヘッドスライダと磁気ディスクとの隙
間形状はそこに発生する動圧の大きさや圧力分布形状に
大きく影響する。通常、磁気ヘッドスライダの磁気ディ
スクへ対向している面には凹凸加工を施し、所要の揚力
や圧力分布状態を得るようにしている。この磁気ヘッド
スライダのディスクに対向する面を一般にAir-Bearing
Surface(以降ABSと略記する)と呼び、この凹凸形
状をABS形状と呼んでいる。磁気ヘッドスライダの設
計では、磁気ヘッドスライダが使用される磁気ディスク
装置でのディスク回転速度や半径位置などの使用条件に
対して所要の浮上特性を得るようにABS形状やロード
ビームの押し付け力を決定していくことになる。
【0007】図6は磁気ヘッドスライダのABS形状に
ついて従来例を示したものである。図に示すように、A
BS形状としてはスライダの長手方向に沿って形成され
た矩形型の2本のレール111およびレール112がス
ライダの左右に配置されており、それぞれのレールの空
気流入側にはテーパ111a,112aが形成されてい
る。テーパはスライダレール面に,より多くの空気を流
入させる働きをする。一方、素子113はレールの空気
流出端に配置される。通常の磁気ヘッドスライダでは、
浮上時における磁気ディスクと磁気ヘッドスライダの隙
間量として、素子部の隙間量が最も小さくなるようにス
ライダ形状を設計している。このため、浮上状態では素
子部が磁気ディスクに最も近接していることになる。磁
気ヘッドスライダの長軸と磁気ディスクのなす角度はピ
ッチ角と呼ばれ、主としてABS面に生ずる圧力分布形
状によって決定される。
【0008】このように、2本の矩形レールと斜面によ
って形成された磁気ヘッドスライダ形状を2レールテー
パフラット型または単にテーパフラット型と呼んでい
る。このようなABS形状は機械研削加工によって成形
することができるためこれまでの主流として用いられて
きた。2レールテーパフラット型の磁気ヘッドスライダ
の磁気ディスクの回転速度と素子部の浮上量およびピッ
チ角との関係について、図7に一例を挙げる。この図に
示したように、磁気ディスクの回転上昇に伴い浮上量は
増加し、またピッチ角も増加する。
【0009】テーパフラット型磁気ヘッドスライダで
は、磁気ディスクの回転上昇に伴って浮上量が増加する
ため、ディスク全面に渡って低浮上を実現することは難
しい。たとえば、磁気ディスクドライブにおける最内周
において、磁気ヘッドスライダ素子部と磁気ディスクと
の隙間量を20(nm)となるように設計しても、外周
へ行くに従って磁気ディスクの接線方向速度は増加する
ので、隙間量は増加することになる。
【0010】ロータリ型のアクチュエータを採用した磁
気ディスク装置では、外周へ行くに従ってスライダの長
軸と磁気ディスクの回転方向のなす角、すなわちスキュ
ー角が増加する。このスキュー角が増加することによっ
て揚力は低下する。磁気ディスクの接線方向速度の増加
による揚力の増加と、スキュー角の増加による揚力の低
下を相互に利用して浮上量の変化を抑える方法も提案さ
れているが、その方法で補正できる量には限度があり、
やはりディスク全面に渡って低浮上を実現することは難
しい。
【0011】次に、接触記録方式の磁気ヘッドスライダ
について説明する。図8は、米国センスター社が開発し
たMicro Flex-headと呼ばれるものである。この磁気ヘ
ッドスライダでは浮上方式で述べたところのロードビー
ムやスライダの区別はなく、両者の機能が一体となった
構造となっている。具体的には弾性体の上に素子が形成
されており、素子部先端は弾性体先端に形成された素子
パッドに保持されている。磁気ディスクへの記録/再生
に際しては、弾性体を弾性変形させ、任意の押し付け力
で素子パッドを磁気ディスクに接触させて使用する。
【0012】素子パッドの大きさは幅38(μm)と小
さくし、磁気ディスクの回転で発生する揚力で浮上する
ことがないようにしている。このように従来の接触方式
の磁気ヘッドスライダでは、流体力の影響を受けないよ
うに設計されている。
【0013】一方、磁気ディスクには吸着を防ぐために
微小突起が設けられている。このため、磁気ヘッドスラ
イダと磁気ディスクは最も近づいた状態で、わずかなす
きまを有していることになる。このような、磁気ヘッド
スライダと磁気ディスクとが接触するときのすきま量を
グライドハイトと呼んでいる。
【0014】接触記録方式では、磁気ヘッドスライダと
磁気ディスクがつねに擦れあうため、磨耗が大きな問題
となる。磨耗によって素子損傷による記録効率の低下
や、潤滑剤の消耗さらには磁性膜の損傷などの傷害が生
ずるため、それを回避するための工夫が施されている。
【0015】接触面の硬さ、接触荷重および接触距離と
磨耗量の関係はArchardの法則として知られている。こ
れによると、磨耗量を小さくするには、接触力を小さく
し、高硬度の材料を用い、摩擦係数の小さい材料を使用
すればよい。Micro Flex-headでは、押し付け荷重を4
0(mg)と軽くすることによって接触力を小さくし、
磨耗量を抑えている。ただし、押し付け荷重を小さくし
ただけでは、磁気ディスクの面振れや外部からの振動に
よって磁気ヘッドスライダが励振された時に素子パッド
が磁気ディスクから離れてしまうことになる。このた
め、Micro Flex-headでは浮上方式でいうところのロー
ドビームとスライダとを一体構造とした、新構造とする
ことによって動質量を300(μg)と軽量化し、接触
状態が保持されるように工夫している。
【0016】しかし、このような新構造の磁気ヘッドス
ライダは従来の薄膜磁気ヘッドの製造プロセスと大きく
異なり製造が複雑で難しいこと、軽荷重をかけるため
に、組立公差が非常に厳しいことなどの課題を有してい
る。また、このように磁気ヘッドスライダの構造を工夫
して軽量化するにも限度があり、充分な軽荷重化ができ
ず、磨耗量を許容限度以下に収めることができていな
い。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従来の浮上方式の磁気
ヘッドスライダでは、ディスク全面に渡って低浮上量を
実現することは難しかった。一方、接触記録方式の磁気
ヘッドスライダでは、接触磨耗を抑えるため軽量化、軽
荷重化によって対応しているが、製造が難しいこと、軽
荷重化に限度のあることなどの課題を有していた。
【0018】従来の磁気ヘッドスライダにおける上記課
題を解決するため、本発明の目的は、磁気ヘッドスライ
ダの構造を従来の薄膜ヘッドの構造と大きく変えること
なく、素子部のみを磁気ディスクに接触させ、かつ従来
のようなロードビームを使用し、その押し付け力を小さ
くすることなく接触荷重を小さくすることのできる、磁
気ヘッドスライダを提供するところにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は流体力を利用して磁気ヘッドスライダ流入
端側を浮上させながら、素子を保持した素子パッドのみ
をつねに磁気ディスクに接触させるようにした。このた
め、磁気ヘッドスライダの磁気ディスク対向面形状とし
て、正圧および負圧を発生させるようなABS形状と
し、かつABS面全体をクラウン形状とした。また、磁
気素子は磁気ヘッドスライダの空気流出端のほぼ中央に
形成した素子パッドの空気流出端側面に配置した。この
素子パッドは、ほとんど正圧を発生させない程度の大き
さである。磁気ヘッドスライダを浮上させるための前記
ABSとして、磁気ヘッドスライダの空気流入端より、
少なくとも磁気ヘッドスライダの長手方向中央に対して
前後に、正圧を発生させるためのパッド群を形成した。
また、パッド群のなかの少なくとも一つは磁気ヘッドス
ライダの長手方向中央線を横切るように配置した。さら
には、このパッド群と磁気素子を配置している素子パッ
ドとは、磁気ヘッドスライダの長さ方向に対して、少な
くとも重なることがないよう、ある距離を隔てるように
配置した。
【0020】磁気ヘッドスライダのABS形状として、
少なくとも空気流入端から磁気ヘッドスライダの長さの
半分以上の領域までパッドを形成しており、かつ磁気ヘ
ッドスライダの長手方向中央にパッドが存在する。この
ため、磁気ディスクの回転によって磁気ヘッドスライダ
と磁気ディスクの隙間には動圧が発生し、揚力が作用す
ることになる。ただし、隙間に発生する動圧としては、
正圧のほかに負圧も発生するため、磁気ディスクの回転
の増減による総揚力の変化は少ない。ロードビームの押
し付け力に対抗する揚力のほとんどは、少なくとも空気
流入端から磁気ヘッドスライダの長さの半分以上の領域
までに形成されたパッド群によって生成されるため、接
触力はロードビームの押し付け荷重に比べて極わずかと
なる。このため、ロードビームの押し付け力を小さくし
なくとも接触力を小さくすることができる。また、揚力
を発生させるパッド群の浮上隙間は分子平均自由行程よ
りも十分に大きな量であるために、空気の希薄化の影響
を受けずに安定した揚力を得ることができる。一方、素
子が配置されている空気流出端の磁気ヘッドスライダ
の、ほぼ中心に形成された素子パッドには動圧がほとん
ど発生しない。このため、磁気ヘッドスライダ前側のパ
ッド群で安定した揚力を得ながらも、素子部を磁気ディ
スクに対して接触させることができる。また、素子が配
置されているパッドの大きさとして、発生する動圧が僅
かとなるよう面積を小さくしても、CSS時およびディ
スクの回転速度の低速時のように揚力が小さく接触力が
大きな時には、クラウン形状により磁気ヘッドスライダ
の長さ方向のおおむね中央部が磁気ディスクに接するた
め、素子パッドの磨耗による素子損傷の心配はない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施例を図面
を基に説明する。図2は本発明による磁気ヘッドスライ
ダを示したものである。空気流入端側から磁気ヘッドス
ライダの長手方向軸に沿って一対の第1のパッド21が
形成されている。第1のパッドは、その幅が途中から変
化している。パッドの流入端からパッド全長のほぼ4分
の1程度のところから、流出端側の幅がほぼ半分程度に
狭くなっており、流入端側の幅が広い。これは流入端で
の圧力上昇を高めることになり、ピッチ角を大きくする
効果がある。
【0022】第1のパッドの段差部付近から、空気流出
端に向かって、しだいに第1のレールから離れるよう
に、一対の第2のレール25が形成されている。このよ
うに、磁気ヘッドスライダの長手方向に対して角度をも
って配置されているため、スキュー角がついた場合の圧
力分布状態が、第1のレールとは大きく異なってくる。
図6に示したような、2レールテーパフラット型の磁気
ヘッドスライダでは、スキュー角がついた場合に揚力の
力点がスライダ短手方向に大きく移動し、ロール角が大
きく生ずることになる。しかし、本発明のように流出端
に向かって一対の第2のレールが互いに近づくように配
置してある場合には、スキュー角がついた場合の揚力の
力点はそれほどずれることがなく、ロール角も小さく抑
えることができる。
【0023】また、第1のパッドと第2のパッドによっ
て挟まれたリセス部の形状は、流出端に向かってしだい
に広くなっていくため、この領域には負圧が発生するこ
とになる。このため、磁気ディスクの回転速度が増加し
ても揚力はそれほど変化しない。
【0024】磁気ヘッドスライダの空気流出端の磁気ヘ
ッドスライダ長手方向軸に沿って素子パッド29が配置
されている。素子パッドはほぼ矩形をしている。このパ
ッドは、磁気ディスクの回転により発生する動圧が、ほ
とんど生じない程度の大きさである。薄膜磁気素子28
(以降、素子と略記する)は素子パッドの流出端に形成
されている。
【0025】磁気素子が形成されている素子パッドと第
1、第2のパッドとは、磁気ヘッドスライダの長手方向
に対し、ある距離を隔てている。このために、素子パッ
ドが磁気ディスクに接触しても、他のパッドは磁気ディ
スクと空気の希薄化の影響を受けない、十分な隙間量を
設けることができるため、安定した揚力を得ることがで
きる。
【0026】本発明による磁気ヘッドスライダの側面図
を図3に示す。本発明による磁気ヘッドスライダは、図
3に示したようにABS全体が磁気ディスクに向かって
凸型に膨らんだ形状をしている。すなわちクラウン形状
となっている。本発明では、磁気ヘッドスライダの長さ
に対して少なくとも空気流入端から磁気ヘッドスライダ
の長さの半分以上の領域までパッドを形成しているため
に、クラウン量21は従来の磁気ヘッドスライダのよう
に全長に渡ってレールが形成されている場合と同等のク
ラウン量を得ることができる。このような磁気ヘッドス
ライダに対し、ピボットの位置をたとえば磁気ヘッドス
ライダの中央とすることによって、磁気ディスクの非回
転時および低速回転時にはスライダ長手方向のおおむね
中央部が磁気ディスクと接触することになり、素子パッ
ドは磁気ディスクから離れた状態となる。
【0027】磁気ディスクが非回転時や低速回転時のよ
うに磁気ヘッドスライダに作用する揚力が小さいときに
は、接触力も大きくなってしまう。上述したように、ク
ラウン形状としておくことにより、このような時には素
子パッドは磁気ディスクから離れているため、素子の磨
耗損傷を防ぐことができる。クラウンの形状については
特に限定しないが、円弧または放物線形状が望ましい。
【0028】上述したABSの加工には、例えばイオン
ミリング法を用いる。パッドを形成する領域にはドライ
フィルムレジストを紫外線照射によって硬化させ、非照
射部は現像液を用いてドライフィルムレジストを取り除
いておき、ここにイオンビームを照射することによって
パッド以外の部分を削っていく方法である。
【0029】イオンミリング法によって、図2に示した
ABSを形成するには以下のような手順によって加工し
ていく。磁気ヘッドスライダのABSを形成する面全体
にドライフィルムレジストを塗布する。パッドが形成さ
れる部分のみに紫外線を当てることができるように作成
したマスクを使用して、磁気ヘッドスライダ上に塗布し
たドライフィルムレジストに紫外線を照射する。次に、
1%濃度の炭酸ナトリウム溶液を用いて現像する。こう
すると、紫外線が照射した部分にはレジスト膜がのこ
り、他の部分はレジストが取り除かれる。この状態で、
イオンミリングを行う。イオンミリングによってリセス
が所定の深さとなるように加工する。その後、希薄なア
ルカリ溶液でレジスト膜を排除する。このようにして、
ABSを形成することができる。
【0030】クラウンの加工は特開平5−20826に
あるように、たとえば次のようにして行うことができ
る。磁気ヘッドスライダの背面、すなわちABSを形成
していない側を、ABS面に比べて粗さが大きくなるよ
うに粗面加工を施す。このようにすると、磁気ヘッドス
ライダの背面には残留応力が生じ磁気ヘッドスライダは
反った状態となる。反りが生じる方向は粗面加工を施す
位置、形状によってコントロールすることができる。こ
のようにして磁気ヘッドスライダにクラウンを形成する
ことができる。
【0031】本発明による磁気ヘッドスライダではクラ
ウン形状とし、かつ磁気ヘッドスライダの長さに対して
少なくとも空気流入端から磁気ヘッドスライダの長さの
半分以上の領域までパッドを形成しているために、磁気
ディスクの非回転時および低速回転時に素子部を磁気デ
ィスクから離しておくことができる。
【0032】発明した磁気ヘッドスライダの動作につい
て説明する。図4は発明した磁気ヘッドスライダ41と
それを保持し、かつ磁気ディスクに向かって所定の荷重
で押し付けておくための磁気ヘッドスライダ支持体43
と、磁気ディスク45との関係を示したものである。磁
気ヘッド支持体は通常ステンレス鋼の薄板材料を用いた
弾性構造体である。磁気ヘッド支持体に磁気ヘッドスラ
イダを接着した状態で、磁気ヘッド支持体をある程度弾
性変形させた状態で、磁気ヘッドスライダは磁気ディス
クに押し付けられている。磁気ヘッド支持体の磁気ヘッ
ドスライダが接着される部分は、磁気ヘッドスライダが
柔軟に回転できるような構造となっている。この機構を
模式的に表現すると図に示したようなピボット47で表
すことができる。磁気ヘッドスライダはこのピボット回
りに回転することができる。
【0033】磁気ディスクが回転することによって、磁
気ヘッドスライダのABSには圧力が発生する。本発明
による磁気ヘッドスライダでは、前述したように磁気ヘ
ッドスライダの空気流入端寄りに形成したパッドの部分
でロードビームの押し付け力に対向するためのほとんど
の揚力を得るために、磁気ディスクとの接触力は極僅か
となる。また、磁気ヘッドスライダの浮上姿勢は流入端
寄りに形成されたパッドに生ずる圧力分布状態でほぼ決
定される。
【0034】磁気ヘッドスライダと磁気ディスクの隙間
に発生する圧力および圧力分布状態は、磁気ディスクの
回転速度によって変化する。このため、磁気ヘッドスラ
イダと磁気ディスクとの隙間形状も変化することにな
る。本発明による磁気ヘッドスライダでは、磁気ディス
クの回転速度の変化に対するピッチ角の変化量が従来の
ものに比べて大きく、揚力がそれほど変化しないため、
磁気ディスクの回転速度が上昇するにつれて、素子パッ
ドは磁気ディスクにより近づくような挙動を示すことに
なる。
【0035】本発明による磁気ヘッドスライダはABS
面全体がクラウン形状をしているため、ピッチ角が小さ
い場合には、素子パッドよりもスライダの中央部の方が
磁気ディスクに近接していることになる。すなわち、磁
気ディスクが非回転時および低速時のときには、磁気ヘ
ッドスライダの第1のパッド、または第2のパッドが磁
気ディスクと接触することになる。一方、磁気ディスク
の回転速度が高速になった場合には、素子パッドが磁気
ディスクに接触することになる。この状態では、磁気ヘ
ッドスライダと磁気ディスクの隙間にはAir-bearingが
形成されており、外部からの振動、衝撃等による荷重変
動に対してはAir-bearingが作用し、素子パッドにかか
る接触力が大きく変動することはない。
【0036】外形寸法1.2(mm)×1.0(mm)
×0.3(mm)の、図2に示したABS形状の磁気ヘ
ッドスライダに対し、磁気ディスクおよび磁気ヘッドス
ライダ間の隙間流れに対する潤滑方程式を適用して浮上
特性を解いた結果を図5に示す。このときのABS形状
は以下のとおりである。第1のパッド長さは0.85
(mm)で、流入端側から0.2(mm)のところから
流入端側の幅は0.16(mm)、流出端側の幅が0.
08(mm)となっている。第2のパッドは幅0.08
(mm)、長さ0.47(mm)で、素子パッドに向か
って配置されている。第1および第2のパッドで構成さ
れる領域Cは空気流入端から0.95(mm)までとな
っており、これは磁気ヘッドスライダの全長Lの83%
の領域まで形成されていることになる。素子パッドは長
さ0.1(mm)、幅0.1(mm)の矩形形状をして
いる。また、第1のパッドと素子パッドとの磁気ヘッド
スライダの長手方向の間隔は0.2(mm)となってい
る。このため、素子パッドと、第1のパッドの最流出端
部との浮上量の差はピッチ角100(μrad)あたり
20(nm)となり、正圧を発生させるパッド部は空気
の希薄化の影響を受けない十分な浮上量を保つことがで
きる。リセスの深さは5000(nm)である。クラウ
ン量は26(nm)である。ロードビームの押しつけ荷
重は4.9(mN)であり、これは従来の浮上方式のも
のと同程度の大きさである。また、グライドハイトを1
6(nm)とした。すなわち、磁気ヘッドスライダが磁
気ディスクに接触した状態で、両者は16(nm)のす
きまを隔てていることになる。
【0037】図5から、磁気ヘッドスライダは磁気ディ
スクの回転速度4(m/s)以上になると素子パッドが
磁気ディスクと接触するようになり、そのときの接触力
は0.18〜0.6(mN)となっていることがわか
る。これは、ロードビームによる押し付け荷重の4%〜
12%程度にあたり、接触力を小さくできていることが
わかる。一方、磁気ヘッドスライダにはロードビームの
押し付け力4.9(mN)が加わっているために、外部
からの振動や衝撃に対して磁気ヘッドスライダが大きく
振動し、また接触力が大きく変化することはない。たと
えば、磁気ヘッドスライダに加わる体積力が2(mN)
変化しても、接触力の変化は0.04(mN)程度と非
常に小さいことが、シミュレーション結果として得られ
ている。
【0038】素子パッドの大きさが大きくなるとそこに
発生する揚力は大きくなり、素子パッドを磁気ディスク
に接触させることが困難になる。このため、本発明にお
ける磁気ヘッドスライダの素子パッドの大きさは、そこ
に発生する揚力が空気流入端のパッドに発生する揚力に
比べて無視できる程度に小さくする必要がある。これよ
り、できれば100(μm)×100(μm)の大きさ
以下にすることが望ましい。また、素子パッドの形状と
しては製造工程やCSS時におけるチッピングを防止す
るために、偏平率のおおきな形ではなく、正方形に近い
形状が望ましい。
【0039】本発明による磁気ヘッドスライダにおい
て、素子が形成されている素子パッドには動圧がほとん
ど発生しない。このため、このパッドの4隅を十分に丸
めても発生する圧力が大きく変化することはない。これ
は、外部からの大きな衝撃によってこのパッドが磁気デ
ィスクに接触した際の磁気ディスクへの傷防止につなが
るため、好ましくはパッドの4隅を丸めておいた方がよ
い。
【0040】また、本発明による磁気ヘッドスライダの
ABS面全体に対し、カーボン硬質膜を形成しておくこ
とは、磁気ディスクとの摺動による磨耗を低減させるた
め、有効な方法である。
【0041】
【発明の効果】本発明による磁気ヘッドスライダは、そ
のABS形状として、少なくとも空気流入端から磁気ヘ
ッドスライダの長さの半分以上の領域までに正圧を発生
させるためのパッド群を形成し、また、磁気ヘッドスラ
イダの空気流出端のほぼ中央に正圧をほとんど発生させ
ない程度の小さなパッドを配置してその空気流出端面に
磁気素子を配置した。そして、パッド群と磁気素子を配
置しているパッドとは、磁気ヘッドスライダの長さ方向
に対して、少なくとも重なることがないよう、ある距離
を隔てるように配置した。前記パッド群はABS面に負
圧が生じるような形状とした。さらには、ABS面全体
をクラウン形状とした。このため、磁気ヘッドスライダ
の空気流入端側のパッドを浮上させながら、素子が形成
してある素子パッドを磁気ディスクに接触させることが
できる。このため、ロードビームによる押しつけ力を小
さくすることなく、素子パッドでの接触力を小さくする
ことができ、そのうえ、外部からの振動や衝撃に対し磁
気ヘッドスライダが大きく振動することなく、接触力の
変動を小さくすることができる。
【0042】また、磁気ディスクが非回転時および低速
回転時のときには、素子パッドを磁気ディスクから離し
ておくことができる。このため、素子が配置されている
パッドの大きさとして、発生する動圧が僅かとなるよう
面積を小さくしても、CSS時およびディスクの回転速
度の低速時には、クラウン形状により磁気ヘッドスライ
ダの長さ方向のおおむね中央部が磁気ディスクに接する
ため、磁気ディスクへのキズや素子部の磨耗・損傷の心
配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドスライダを説明する図であ
る。
【図2】本発明の磁気ヘッドスライダの一例を示す斜視
図である。
【図3】図2の磁気ヘッドスライダの側面図である。
【図4】本発明による磁気ヘッドスライダの構造を説明
する図である。
【図5】本発明による磁気ヘッドスライダの磁気ディス
クの回転速度と素子パッドとの隙間量および素子パッド
にかかる荷重の関係を説明する図である。
【図6】従来の2レールテーパフラット型磁気ヘッドス
ライダの例を示す斜視図である。
【図7】図6に示した、従来型の磁気ヘッドスライダの
浮上量特性を説明する図である。
【図8】従来の接触方式の磁気ヘッドスライダの例を示
す斜視図である。
【符号の説明】
29、54 素子パッド 21、23、25、27 パッド 22 リセス部 28、53 薄膜磁気素子 21 クラウン量

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正圧を発生させるための所定の形状を有
    する複数のパッドと負圧を発生させるための溝であるリ
    セス部とからなる圧力発生部と、該圧力発生部に空気を
    導入するために長手方向の一端に設けられた空気流入端
    と、空気を流出させるために長手方向の他端に設けられ
    た空気流出端と、該空気流出端に設けられた磁気ディス
    クに情報を記録再生するための薄膜磁気素子と、該空気
    流出端に設けられた薄膜磁気素子を突設するための素子
    パッドとを有する磁気ヘッドスライダであって、前記正
    圧を発生させるための複数のパッドは磁気ヘッドスライ
    ダの長手方向中央に対して前後に存在し、かつ前記複数
    のパッドのうち少なくとも一つはスライダ長手方向中央
    線を横切るように配置し、かつ前記複数のパッドと素子
    パッドとは磁気ヘッドスライダの長手方向に対して距離
    を隔てていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 前記圧力発生部のパッドは長手方向に対
    して所定の長さを有し、かつ短手方向の両端に設けられ
    た一対の第1のパッドと、該第1のパッドのスライダ短
    手方向に対して内側に一端が近接し、かつ該第1のパッ
    ドに対して空気流出端に向かって徐々に離れていくよう
    に配置されたほぼ矩形の形状を有し、かつ短手方向の両
    端に設けられた一対の第2のパッドと、該第1のパッド
    および該第2のパッドの長手方向の形状は所定の曲率を
    有するようなクラウン形状を有していることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁気ヘッドスライダ。
  3. 【請求項3】 前記第1のパッドは、その幅が空気流入
    端側が空気流出端側よりも広くなっていることを特徴と
    する請求項2に記載の負圧型磁気ヘッドスライダ。
  4. 【請求項4】 前記第1のパッドは、磁気ヘッドスライ
    ダの長手方向寸法Lに対して少なくともL/2以上の領
    域まで形成されていることを特徴とする請求項2に記載
    の負圧型磁気ヘッドスライダ。
JP24136395A 1995-02-21 1995-09-20 磁気ヘッドスライダ Pending JPH0991646A (ja)

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US08/603,126 US5761003A (en) 1995-02-21 1996-02-20 Magnetic head slider with crown ABS

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6934124B2 (en) * 2001-11-19 2005-08-23 Headway Technologies, Inc. Rotating recording medium and slider of thin-film magnetic head device

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6934124B2 (en) * 2001-11-19 2005-08-23 Headway Technologies, Inc. Rotating recording medium and slider of thin-film magnetic head device
US7240418B2 (en) 2001-11-19 2007-07-10 Headway Technologies, Inc. Method of manufacturing slider of thin-film magnetic head

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