JPH0989853A - アレイ型斜角探触子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アレイ型斜角探触子において音響結合材中で
超音波ビームを大きく偏向させる。 【解決手段】 複数の超音波振動子１を等間隔に配列し
た音響結合材２に、その表面から途中まで振動子ごとに
同一ピッチで斜めに平行にスリット２ａを入れて音響分
割面を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、超音波探傷試験に
おいて使用するアレイ型斜角探触子に関する。

【０００２】

【従来の技術】複数の超音波振動子を直線状に配列した
アレイ型探触子において、超音波ビームの送波方向を、
探傷面に対して斜め方向にする方法として、各振動子の
励振のタイミングを遅延を設けてずらすことによって、
超音波を斜め方向に偏向させる方法（特開平３−２５３
６５号、特開平３−１２２５６３号）がある。

【０００３】図４に従来のアレイ型斜角探触子の構成を
示す。このアレイ型斜角探触子においては、複数の短冊
状の超音波振動子１を平板からなる音響結合材２の表面
に等間隔に配置し、各振動子１をダンパー材３で充填し
てなるものである。そして、各振動子１には励振のタイ
ミングを遅延させるための送信パルス遅延回路１１が接
続されており、この遅延回路１１により振動子１の励振
のタイミングを順次１つずつずらし、超音波の位相合成
を行うことによって、音響結合材２中において超音波の
波面４ａを傾斜させ、超音波を被検体５の表面に対し斜
め方向に入射させている。入射波４は、スネルの法則に
従い、被検体５中を屈折して進む（屈折波４ｂ）。ま
た、超音波４は電子走査により振動子１の配列方向に移
動させることができ、被検体５中の欠陥６からの反射波
を振動子１で検出することによって、欠陥６の位置や大
きさ等の情報を得ることができる。

【０００４】一般に、超音波ビームを位相制御により偏
向させた場合、その偏向角θr は次の式で求まる。 θr ＝sin ^-1（Δｔ・Ｃ／Ｐ） ここで、Δｔ：送信パルスの遅延時間 Ｃ：音響結合材での超音波の音速 Ｐ：振動子の間隔（配列ピッチ） である。

【０００５】図４において、１個の振動子の超音波の中
心軸は、振動子１に対し垂直方向にあり、位相制御によ
って超音波ビームを大きく偏向できないという問題があ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、位相制御に
よる超音波ビームを音響結合材中において大きく偏向さ
せるようにすることを課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明に係るアレイ型斜角探触子は、複数の超音波
振動子を配列した音響結合材に、超音波振動子ごとに斜
めに平行にスリットを入れた構成とするものである。

【０００８】本発明のアレイ型斜角探触子においては、
音響結合材に超音波振動子ごと斜めに平行にスリットを
入れたので、このスリットが音響分割面となり、各振動
子からの送信波の進行方向は、音響結合材中で斜めのス
リットの傾斜角度の方向に限定される。そして、スリッ
トにより分割された部分を越えた位置において、超音波
は１つの波に位相合成される。この合成波が音響結合材
と被検体との境界面においてスネルの法則により被検体
中に屈折するため、被検体中での屈折角度を大きくする
ことができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は本発明のアレイ型斜角探触
子の一構成例を示す部分断面図である。このアレイ型斜
角探触子１０は、音響結合材２の表面から途中まで超音
波振動子１ごとに同一ピッチで斜め方向に平行にスリッ
ト２ａを入れたものである。音響結合材２の材質をアク
リルとし、被検体５を鋼として、鋼中の超音波の屈折角
度を７０°に設定する場合、スリット２ａの傾斜角度は
４５°位が適当であり、表面からの深さは２〜５mm（音
響結合材２の厚さ２０mmの場合）である。また、スリッ
ト２ａの中にコルク材等の詰め物を充填してもよい。振
動子１はセラミックとし、音響結合材２にはアクリル樹
脂を用いているが、これらの部材の材料は周波数特性や
減衰を考慮して選択される。図中、３はダンパー材、５
は被検体、６は欠陥、１１は各振動子１の励振のタイミ
ングを遅延させる送信パルス遅延回路である。

【００１０】各振動子１には送信パルスのタイミングを
制御する遅延回路１１を接続し、遅延回路１１により一
定の時間遅れのタイミングで順次１つずつずらしなが
ら、振動子１を励振させる。音響結合材２に斜めに設け
たスリット２ａが音響分割面となっているので、各振動
子１からの超音波４はその進行方向をスリット２ａの傾
斜方向に規制される。そして、音響結合材２がスリット
２ａにより分割された部分２ｂを越えた位置において、
超音波４は１つの波として位相合成される。この合成波
４ａが被検体５の表面に対し斜め方向に入射し、入射波
４ａは、スネルの法則により、音響結合材２と被検体５
の境界面で屈折し、この屈折波４ｂが被検体５中を進
む。したがって、超音波ビームを音響結合材２中で大き
く偏向させることができ、被検体５中での屈折角度を大
きくできるので、被検体５の表面の近傍に存在する欠陥
６を精度良く検出することができる。

【００１１】図２は、音響結合材２の分割部分２ｂを越
えた位置における超音波ビーム４ａの指向性を示すもの
で、スリット２ａの傾斜角度の方向に中心軸を有する指
向性を示す。このように本発明においては、斜め方向の
スリット２ａにより音響結合材２中で超音波ビーム４ａ
を大きく偏向させることができる。

【００１２】図３はこのアレイ型斜角探触子１０に用い
るアレイ探傷装置の一構成例を示すブロック図である。
図３において、１１は送受信共用の遅延回路で、送信時
には振動子１に対する送信パルスのタイミングを一定の
遅延時間で制御し、受信時には振動子１により受信され
た受信波のタイミングを同一にして１つの波に位相合成
するものである。１２は各振動子１の遅延時間の設定を
行うクロスポイントスイッチである。各振動子１の遅延
時間は、被検体中での屈折方向に合致するように、振動
子１の配列ピッチ及び被検体中の音速の関係から決定す
る。１３は送受信切替器で、送信回路と受信回路とを切
り替えるものである。振動子１は送受信共用となってい
るので、振動子１を振動させるための送信パルス（高電
圧）が受信回路の耐電圧に悪影響を及ぼさないようにす
るため、送信時には受信回路をＯＦＦにしている。１４
はパルサーで、一度に制御できる振動子数だけ複数設け
られている。パルサー１４は、遅延回路１１で遅延され
たトリガ信号によって、振動子１を振動させるための高
電圧の送信パルスを発生するものである。１５はチャン
ネル切替器で、振動子１を１チャンネルずつ順次電子的
に切り替えるスイッチである。これによって、超音波ビ
ームの電子走査を行うことができる。以上の、遅延回路
１１、クロスポイントスイッチ１２、送受信切替器１
３、パルサー１４、及びチャンネル切替器１５によっ
て、アレイ型斜角探触子１０の送信回路が構成される。

【００１３】アレイ型斜角探触子１０の受信回路は、チ
ャンネル切替器１５、プリアンプ１６、送受信切替器１
３、クロスポイントスイッチ１２、遅延回路１１、受信
器１７、及びモニター１８から構成される。プリアンプ
１６は、一度に制御できる振動子数だけ複数設けられて
おり、欠陥からの反射波を振動子１により受信し、その
受信波信号をそれぞれ増幅して遅延回路１１に送る。受
信器１７は、遅延回路１１で１つの波に位相合成された
受信波の増幅や検波処理等を行う。この受信波をモニタ
ー１８により観測する。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、本発明のアレイ型斜角探
触子は、複数の超音波振動子を配列した音響結合材に振
動子ごとに斜め方向にスリットを設けたので、このスリ
ットにより各振動子からの超音波の進行方向を規制し、
音響結合材中で超音波ビームを大きく偏向させることが
できるので、被検体中での屈折角度を大きくすることが
でき、被検体の表面に対して垂直方向に存在する欠陥を
精度良く検出できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のアレイ型斜角探触子の部分断面図であ
る。

【図２】本発明における音響結合材中での超音波ビーム
の指向性を示す説明図である。

【図３】本発明において用いるアレイ探傷器の構成を示
すブロック図である。

【図４】従来のアレイ型斜角探触子の部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 超音波振動子 ２ 音響結合材 ２ａ スリット ３ ダンパー材 ５ 被検体 ６ 欠陥

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の超音波振動子を配列した音響結合
   材に、前記超音波振動子ごとに斜めに平行にスリットを
   入れた構成とすることを特徴とするアレイ型斜角探触
   子。