JPH0987977A - 繊維染色法 - Google Patents
繊維染色法Info
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Abstract
圧力等が穏和な条件で安全な作業環境にて、繊維を効率
よく簡便に染色する方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 チロシナーゼおよびメラニン色素前駆体
を含有する水溶液により繊維を処理することを特徴とす
る繊維染色法。
Description
色法、特にチロシナーゼを用いる繊維染色法に関する。
は酸性染料、塩基性染料、直接染料、建染染料、分散染
料、反応性染料および蛍光染料等に大別される。繊維業
界で広く使用されているこれらの染料のほとんどは化学
合成品であるため、環境汚染やその廃液処理に多大の設
備と経費を必要とするだけでなく、極端なpH、高温、
高圧力の条件等の危険な作業環境のもとで染色しなけれ
ばならず、繊維に損傷を与えるという問題がある。
−316874号公報ではペルオキシダーゼ、ポリフェ
ノールオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカ
ーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、カタラーゼ等の酵
素が含有する水性媒体、好ましくは該媒体に該酵素の基
質が添加されたもの、に被処理綿を浸漬し、適切な処理
を施して染色する綿染色法が開示されている。しかしな
がら、該公報によると酵素としてチロシナーゼは言及さ
れておらず、また、被処理綿としては有色綿しか適用さ
れていない。
定の条件下で混合しメラニン色素を生成させ、該メラニ
ン色素を利用して染色しようとする試みがなされてお
り、該メラニン色素の合成方法や染色用組成物が、エー
ル・ジャーナル・オブ・バイオロジー・アンド・メディ
スン(46巻、500−507頁、1973年)、特開平
3−77813号公報および特公平6−69945号公
報で開示されている。
・アンド・メディスン(46巻、500−507頁、1
973年)では、酵素としてマッシュルームのチロシナ
ーゼやマウスのメラノーマ(黒色腫)からの無細胞抽出
液、基質としてL−ドーパを用いメラニン色素を酵素的
に合成する方法が掲載されている。この方法で調製した
メラニンの性質は同誌に報告されているが、メラニンの
繊維への応用例および応用方法に関しては一切言及され
ていない。
してチロシナーゼまたはラッカーゼ、基質としてチロシ
ン等を含むモノフェノールまたはドーパ等を含むジフェ
ノールを使用した毛髪染色用組成物が開示されている
が、メラニン色素を一旦生成させた後でなければ染色工
程に入ることはできないため、一連の工程は煩雑となっ
てしまうという問題がある。また、メラニン色素が生成
するまで6日間を要するという時間的な問題を生じてい
る。
−チロシナーゼ(チロシンフェノールリアーゼ)等の酵
素、L−もしくはDL−セリンとピロカテコールまたは
ピルビン酸ナトリウムとピロカテコールと酢酸アンモニ
ウムからなるメラニン前駆物質および芳香族アミンから
なる毛髪染色用組成物が提供されている。この方法はメ
ラニン生成過程中に取り込まれたアミンと毛髪タンパク
のカルボキシル基とを結合させることにより、耐光堅牢
度を向上させる点に特徴がある。しかしながら、チロシ
ナーゼ(カテコールオキシダーゼ、モノフェノールモノ
オキゲナーゼ)によりチロシンまたはドーパ等のメラニ
ン前駆体からメラニンを生成して染色させるための組成
物に関しては一切言及されていない。
ることなく、pH、温度および圧力等が穏和な条件で安
全な作業環境にて繊維に物理的および化学的に損傷を与
えずに、繊維を効率よく簡便に染色する新規な方法を提
供することを目的とする。
度の高い繊維を提供する繊維染色法を提供することを目
的とする。
本発明はチロシナーゼおよびメラニン色素前駆体を含有
する水溶液により繊維を処理することを特徴とする繊維
染色法に関する。
ては、絹、麻、セルロース系再生繊維(レーヨン、キュ
プラなど)、セルロース系半合成繊維(アセテートな
ど)、精製セルロース系繊維(テンセル:コートル社
(オーストリア国)商標)、羊毛および絹等からなる繊
維、ならびにこれらと合成繊維との混紡品等を例示する
ことができる。本発明においては未加工の繊維でも、
糸、織物、編み物、不織布等の加工品でも染色すること
ができる。特に、本発明では絹、レーヨン、キュプラ、
テンセル等のセルロースを主成分とする繊維またはそれ
らの混紡品に好適に使用される。
場合は、精練剤で前処理するか、または精練剤を酵素液
中に添加して処理することが好ましい。精練剤として
は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等
の通常の精練処理に用いられるものやペクチナーゼ、セ
ルラーゼ、マセレーティング酵素、リパーゼ、プロテア
ーゼ等の酵素精練剤がいずれも好適に用いられる。
テコールオキシダーゼ、モノフェノールモノオキシゲナ
ーゼまたはフェノラーゼとも呼ばれている。チロシナー
ゼ酵素はメラニン色素前駆体であるチロシン、ドーパ、
ドーパキノン、およびロイコドーパクロム等に作用しメ
ラニン系色素を生成させる酵素である。マッシュルーム
や動物の皮膚細胞の抽出液、またはアスパージーラス
属、ノイロスポーラ属、ストレプトマイセス属等の菌培
養液より抽出されたチロシナーゼが好ましい。また、か
かる酵素を1種類または2種類以上混合して用いてもよ
い。
水溶液中での濃度は0.1〜10,000ユニット/ml
とするのが好ましい、0.1ユニット/ml未満では効率
よく染色することができず、10,000ユニット/ml
を越えると染色の制御(色彩の濃淡、明暗等)が困難とな
るため好ましくない。ここで、1ユニットとはL−チロ
シンを基質として1分間に280nmの吸光度を0.00
1増加させる酵素量として定義される量である。例え
ば、市販マッシュルーム由来チロシナーゼの1ユニット
は0.3μgである。
ーパ、ドーパキノンおよびロイコドーパクロム等のメラ
ニン色素前駆体が使用され、これらメラニン色素前駆体
の水溶液中での濃度は0.0001〜0.5重量%とす
るのが好ましい。0.0001重量%未満では効率よく
染色できず、0.5重量%を越えること原料コストが嵩
み経済的に不利である。
る。pH調整のため、水溶液としてリン酸緩衝液や酢酸
緩衝液等の緩衝液を用いるとよい。
よびメラニン色素前駆体を含む水溶液へ未加工または既
加工の繊維を浸漬処理する。または、該繊維を酵素水溶
液に浸漬させた後、メラニン色素前駆体水溶液に浸漬処
理してもよく、逆の順序、即ち、メラニン色素前駆体水
溶液に浸漬させた後、酵素水溶液に浸漬処理してもよ
い。好ましくは、酵素およびメラニン色素前駆体を含む
水溶液へ浸漬処理することである。
ニン色素前駆体の濃度により適宜調節すればよい。例え
ば、酵素の力価が高く、使用量の多い場合には短時間と
し、力価が低く使用量の少ない場合には長時間とする
が、通常は0.5〜24時間で十分な染色効果が得ら
れ、好ましくは1〜4時間である。
ができ、特に20〜50℃が好ましい。この間、必要に
応じて処理液の撹拌、振盪を行う。
より、被処理繊維を空気とよく接触させる。これは、メ
ラニン色素前駆体を完全にメラニン色素へ酸化させ、染
めむらをなくしたり、繊維への色素の沈着を良くしたり
するためである。
理で十分な染色がなされる。また、温和な処理のため繊
維に物理的および化学的な損傷を与えることもない。
て浸漬処理を行った後は十分に水洗し、風乾させると、
処理条件に応じて淡小麦色から黒褐色の天然色に染色さ
れた繊維が得られる。本発明により染色された繊維は手
触りが柔らかく、風合いもよい。被処理繊維にはメラニ
ン色素の紫外線遮断能も付与されている。また、廃液処
理は合成染料を用いる染色法の場合に比べて、極めて簡
単であり、作業衛生上の問題もほとんどない。
る。
3cm×3cm、0.3g:品番A52736:倉敷紡績(株)
社製)をペクチナーゼPL(天野製薬(株)製)で酵素精
練した後、マッシュルーム由来のチロシナーゼ(製品番
号T−7755:シグマ・ケミカル・カンパニー社製)お
よびL−チロシンを表1に示す濃度(重量%)になるよ
うに溶解した20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
9mlへ浸漬し(浴比1:30)、100rpmで往復振盪させ
ながら30℃で20時間処理した。
ゼおよび/またはL−チロシンを添加しなかった以外、
上記実施例と同様にして、浸漬処理を行った。なお、比
較例1では浸漬処理は行わなかった。
乾させたのち、目視により色を判定し、さらに色彩色差
計(CR−200型:ミノルタカメラ(株)社製)により上
記綿織物のL値、a値およびb値を判定した。結果を表1
に示す。
びb値について、実施例1〜6を比較例1と比較すると
L−チロシンおよびチロシナーゼの添加量により様々な
変化を示しているが、この測定結果は目視結果と一致す
る。比較例2〜5より綿織物ではL−チロシンまたはチ
ロシナーゼのいずれかが欠けても染色効果は達成できな
いことが証明された。また、L−チロシン濃度およびチ
ロシナーゼ濃度を高くすると色彩の明度は低下した。目
視でも小麦色から黒褐色まできれいに染色できたことを
確認した。なお、色彩および色調とL値、a値およびb値
との関係は図1に示す通りである。
織物(品番G3525:倉敷紡績(株)社製)を用いた以
外、実施例1〜6と同様にして、浸漬処理した。
ゼおよび/またはL−チロシンを添加しなかった以外、
実施例7〜12と同様にして、浸漬処理を行った。な
お、比較例6では浸漬処理は行わなかった。
乾させたのち、実施例1〜6と同様にして、目視により
色彩を判別し、L値、a値およびb値を判定した。結果を
表2に示す。表2から明らかなように、毛織物において
も絹織物においてと同様に、小麦色から黒褐色まできれ
いに染色された。
い生地(品番KZ5698:東洋紡(株)社製)を用いたこ
とと、処理時間を3時間にしたこと以外、実施例1〜6
と同様にして、浸漬処理した。
ゼおよび/またはL−チロシンを添加しなかった以外、
実施例13〜14と同様にして、浸漬処理を行った。な
お、比較例11では浸漬処理は行わなかった。
し、風乾させたのち、実施例1〜6と同様にして、目視
により色彩を判別し、L値、a値およびb値を測定した。
結果を表3に示す。表3から明らかなように、レーヨン
生地においても綿織物においてと同様に、小麦色から黒
褐色まできれいに染色された。
横糸:レーヨン)の筒縫い生地(品番FZ3311:東洋紡
(株)社製)を用いたことと、処理時間を3時間にしたこ
と以外、実施例1〜6と同様にして、浸漬処理した。
ゼおよび/またはL−チロシンを添加しなかった以外、
実施例15〜16と同様にして、浸漬処理を行った。な
お、比較例14では浸漬処理は行わなかった。
水洗し、風乾させたのち、実施例1〜6と同様にして、
目視により色彩を判別し、L値、a値およびb値を測定し
た。結果を表4に示す。表4から明らかなように、綿/
レーヨン生地においても綿織物においてと同様に、小麦
色から黒褐色まできれいに染色された。
7.0)とし、水溶液を調製した。 第2剤 第2剤としてマッシュルーム50gを裁断し、これに2
0mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)200mlを
加え、4℃で18時間撹拌した後、不溶物を濾別しチロ
シナーゼ抽出液130mlを調製した。この抽出液のチロ
シナーゼ活性は1500ユニット/mlであった。
地(裏毛付き厚地ニット、15cm×20cm、10g:品番
A52736:倉敷紡績(株)社製)を上記第1剤に浸漬
し、室温で15分間放置して十分生地内に浸透させた。
その後、上記第2剤の酵素液50mlを加え、30℃で5
時間放置した後、湯で洗浄し未反応のチロシン等を洗い
流し乾燥させた。目視により色彩を判別すると焦げ茶色
であり、実施例1〜6と同様にして、L値、a値およびb
値を判定したところ順に30.13、2.13および
5.10であった。
後、酵素水溶液に浸漬処理しても染色可能であることが
わかった。
り、環境を汚染することなく、pH、温度および圧力等
が穏和な条件で安全な作業環境にて、繊維を効率よく簡
便に染色することができる。また、淡小麦色から黒褐色
の天然色に染まった。手触りが柔らかく風合いもよい繊
維を得ることができる。さらに、該繊維にはメラニン色
素の紫外線遮断能も付与されている。
係を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 チロシナーゼおよびメラニン色素前駆体
を含有する水溶液により繊維を処理することを特徴とす
る繊維染色法。 - 【請求項2】 チロシナーゼがマッシュルーム、アスペ
ルギルス属、ノイロスポーラ属、ストレプトマイセス属
の菌または動物由来の酵素であることを特徴とする請求
項1記載の方法。 - 【請求項3】 メラニン色素前駆体がチロシン、ドー
パ、ドーパキノンおよびロイコドーパクロムから選ばれ
る請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 繊維がセルロース系繊維である請求項1
記載の方法。 - 【請求項5】 チロシナーゼおよびメラニン色素前駆体
を含有することを特徴とする繊維染色用組成物。
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- 1995-09-27 JP JP24940295A patent/JP3698769B2/ja not_active Expired - Fee Related
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