JPH0984489A - 水生動物の飼育方法及び装置 - Google Patents

水生動物の飼育方法及び装置

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JPH0984489A
JPH0984489A JP7271759A JP27175995A JPH0984489A JP H0984489 A JPH0984489 A JP H0984489A JP 7271759 A JP7271759 A JP 7271759A JP 27175995 A JP27175995 A JP 27175995A JP H0984489 A JPH0984489 A JP H0984489A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水の汚染が進行しにくく、水生動物を長期間
にわたって良好な環境で飼育することができる水生動物
の飼育方法及び飼育装置を提供する。 【解決手段】 飼育装置101は、活性液体Lを収容す
る内側空間の少なくとも一部が水生動物の飼育空間とさ
れる活性液体収容部102と、その活性液体収容部10
2に収容された活性液体Lの吸収を許容した状態で、植
物体104を保持する植物体保持部103とを備えてい
る。活性液体Lは、腐植質の形成に関与する微生物を生
きた状態で保持する微生物保持体に対し、水を主体とす
る液体を流通させ、その流通によって微生物保持体中の
微生物を液体中に生きた状態で混入させることにより得
られるものが使用される。上記装置においては、液体L
の汚染が進行しにくく清浄な状態を長期間維持すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は魚等の水生動物を飼
育するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金魚や錦鯉等の観賞魚など水生動
物を飼育する場合には、所定の水槽に水を入れ、その水
槽中で魚等を泳がせながら飼育する方法が広く行われて
いる。例えば家庭等で淡水魚を飼育する場合には、一般
には汲み置き等により塩素分を除去した水道水や井戸水
など、普通の水が使用されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の方法において
は、水生動物の排泄物や餌の残留等により水が汚れやす
い問題がある。また、汚れたままの水を放置すると、汚
れ物質が腐敗したり雑菌が繁殖したりして飼育が継続で
きなくなるので、良好な飼育環境を維持するために、水
の交換を頻繁に行わなければならず面倒である。そこ
で、そのような水の汚染を少しでも軽減するために、フ
ィルタ装置を用いて水中に浮遊する汚物等を除去しなが
らこれを循環させることも行われているが、水中に溶解
した汚れ物質の除去は不可能であり、効果は必ずしも十
分とは言い難い。
【0004】本発明の目的は、水の汚染が進行しにく
く、ひいては水の交換頻度を少なくすることができ、水
生動物を長期間にわたって良好な環境で飼育することが
できる水生動物の飼育方法及び飼育装置を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために、本発明の水生動物の飼育方法は、
腐植質の形成に関与する微生物を生きた状態で保持する
微生物保持体に対し、水を主体とする液体を流通させ、
その流通によって微生物保持体中の微生物を液体中に生
きた状態で混入させることにより得られる活性液体を予
め定められた空間中に保持し、その保持された活性液体
中において水生動物を飼育することを特徴とする。
【0006】本発明者は、上述のような活性液体中で魚
等の水生動物を飼育した場合、水生動物の飼育を長期に
わたって続けても液体の汚染が進行しにくく清浄な状態
を維持でき、ひいては液体の交換頻度を大幅に削減でき
ることを見い出したのである。
【0007】以下、上述のような活性液体を製造する方
法について詳しく説明する。まず、微生物保持体は、腐
植質を主に含有したものとして構成することができる。
この場合、保持体に保持される微生物として、その腐植
質の形成に関与している微生物(例えば放線菌類、糞性
菌等の真菌類、酵母類等、以下腐植形成微生物という)
が使用されるが、目的に応じて他の微生物を付加しても
よい。
【0008】腐植質は、フルボ酸やフミン酸等の弱酸性
の低分子物質又はその鉄錯体を含有するものを用いるこ
とができ、特にフルボ酸を含むものが好ましく用いられ
る。腐植質に含有されるこれらの物質は、液体中に溶け
込んでそのpHを下げるので、嫌気性微生物(例えば大
腸菌や各種病原性微生物)が液体に混入してもその繁殖
が抑さえられ、腐植形成微生物のみを含んだ良質の活性
液体を得ることができる。特に、それら低分子物質が鉄
錯体となっている場合は、特開平6−39397号公報
に記載されているように、液体から活性酸素が発生する
反応が促進されるので、上記嫌気性菌の繁殖をより効果
的に抑さえることができる。ここで、微生物保持体中に
おける上記弱酸性の低分子物質の含有量は、上記効果が
不足しない範囲で調整され、例えば5重量%以上が適当
である。
【0009】微生物保持体は、さらに具体的には、上記
腐植質を粘土鉱物等の粘結物質とともにペレット状に成
形したものを用いることができる。これにより、液体中
での保持体の形状維持力が高まり、また微生物及び腐植
質放出の持続性が改善されて、保持体の寿命を延ばすこ
とができる。このような微生物保持体として、例えばエ
ンザイム株式会社からEZ−901の商品名で市販され
ている腐植ペレットを使用することができる。
【0010】微生物を保持する微生物保持体は、水分や
栄養素等、微生物を生きた状態に保つのに必要な物質
や、保持体自身の形状を維持するための物質等により構
成され、液体と接触しない状態では微生物を捕獲維持す
る一方、液体と接触することにより、捕獲していた微生
物を液体中に放出する機能を有する。ここで「生きた状
態」とは、保持体中の水分量が低く抑さえられていた
り、低温にさらされたりして、微生物がその生命活動を
一時的に停止した状態も含むものとする。なお、保持体
に保持させる微生物は、保持体成形前にその形成物質に
含まれるようにしても、成形後に保持体内に侵入させて
もいずれでもよい。
【0011】一方、活性液体のベースとなる液体は、水
を主体とし、かつ微生物が生存可能な液体が使用され
る。ここで、微生物の生存状態を極端に妨げない範囲で
あれば、種々の成分が溶解した液体を用いてもよく、例
えば微生物の生命維持や増殖に効果のある成分を溶解さ
せておくことができる。
【0012】上記のような保持体が容器等に集積され、
適当な循環通路を介して液体が流通・循環されて、保持
体中の微生物が液体中に混入することにより活性液体が
生成される。このとき、微生物とともに保持体の構成物
質が液体中に流出する場合がある。また、微生物は、保
持体の構成物質や液体中に溶解した物質等を消費しなが
ら、保持体中で、あるいは循環される液体中で増殖する
場合がある。
【0013】上述のような活性液体中で水生動物を飼育
すれば、動物の排泄物や餌の残留物等の有機物質が活性
液体中に混入しても、その活性液体中に含有される腐植
形成微生物の作用によってそれが分解ないし腐植質化
し、液体中に溶け込んでそのpHを下げるので、例えば
大腸菌や各種病原性微生物、あるいは有機物の腐敗に関
与する微生物など、有害な嫌気性微生物の繁殖が抑さえ
られることとなる。このようなことから、液体は常に水
生動物の生育にとって良好な環境を維持し続けることが
できるようになるものと推測される。なお、活性液体中
の微生物の濃度は、水生動物の生育が妨げられず、かつ
上述の効果が不足しない範囲内で適宜調整することがで
きる。この場合、前述の製造方法により得られた活性液
体を、例えば通常の水等により希釈して、その微生物濃
度を調整した後に使用することができる。
【0014】一方、本発明は、上記方法を発展させたさ
らに有益な飼育方法も提供する。その方法においては、
上記活性液体に対し、植物体がその活性液体の吸収を許
容した状態でこれと接触させられ、その状態で該活性液
体中において水生動物が飼育されることとなる。こうす
れば、水生動物の排泄物等から転化した腐植質が植物体
の栄養源となり、植物体は活性液体とともにこれを吸収
することによってその生育が促進されることとなる。す
なわち、水生動物の飼育環境を良好に維持する効果に加
え、水生動物の排泄物をいわば積極的に利用することに
よって植物体の育成を図る効果も同時に達成される。さ
らに、観賞魚等の飼育に当たっては、その植物体として
観賞用植物や草花等を採用することにより、観賞効果を
一層高めることができる利点も有する。
【0015】上記方法においては植物体として、根部を
有する有根植物体のほか、植物本体から切断・分離され
た植物部分を用いることもできる。具体的には、樹木か
ら切り取った枝や、茎部において切断された草本類(例
えば切り花等)を使用することができる。この場合、少
なくともその有根植物体の根部もしくは植物部分の切断
部が活性液体と接触させられることとなる。なお、植物
部分を使用する場合には、活性液体との接触中にその切
断部に根を生じることがあり、そのような場合はその根
を生じた植物部分を新株の苗として使用することも可能
である。一方、植物体として水草等の水生植物を使用す
ることもできる。この場合、植物体は、ほぼ全体が活性
液体中に浸漬して使用されることとなる。これにより、
植物体から光合成により放出される酸素が活性液体中に
溶解し、飼育される水生動物に酸素を補給することがで
きる。
【0016】次に、活性液体を流動状態とし、植物体を
その流動する活性液体に浸漬することもできる。活性液
体を流動させることにより、液体中の腐植形成微生物の
活動あるいは増殖を活発化することができ、上述の効果
を一層高めることができる。また、これと関連する方法
として、活性液体に例えば空気、酸素等の気体を供給
し、これを曝気することができる。このような曝気によ
り、腐植形成微生物の活動ないし増殖が活発化するので
前述の効果が高められるほか、有害な嫌気性微生物の繁
殖もより効果的に抑さえることができる。さらに、液体
中の酸素濃度が増加し、飼育される水生動物に酸素を補
給することができる。
【0017】次に、本発明は、以上説明した方法を効果
的に実施するための飼育装置も提供する。すなわち、本
発明の飼育装置は、前記活性液体と、その活性液体を収
容するとともに、該活性液体が収容される内側空間の少
なくとも一部が水生動物の飼育空間とされた活性液体収
容部とを備えたことを特徴とする。水生動物は、活性液
体収容部に収容された活性液体中で飼育されることとな
り、水生動物の飼育環境を良好に維持する前述の効果が
効率よく達成される。
【0018】一方、本発明の飼育装置の別の態様は、前
述の活性液体を収容する活性液体収容部と、その活性液
体収容部に収容された活性液体の吸収を許容した状態
で、植物体を保持する植物体保持部を備えたものとして
構成される。この態様によれば、水生動物の飼育環境の
維持に加え、植物体の育成効果も同時に達成することが
できるほか、飼育中の水生動物を植物体とともに観賞す
ることができ、例えば魚観賞用の水槽等として使用する
場合の付加価値を高めることもできる。ここで、植物体
として、根部を有する有根植物体又は植物本体から切断
・分離された植物部分とする場合、植物体保持部は、有
根植物体の根部又は植物部分の切断部を活性液体収容部
内の活性液体に浸漬させた状態でこれを支持するものと
することができる。
【0019】活性液体収容部は上面側が開口する容器体
として形成することができる。この場合、その内側に活
性液体が収容されるとともに、植物体を容器体に対しそ
の開口部から上方に立ち上がった状態で配置する一方、
植物体保持部を、容器体の開口部の近傍において、それ
ら各植物部分を少なくとも側方からそれぞれ支持する側
方支持体を備えたものとして構成することができる。こ
うすれば植物体を活性液体収容部から立ち上がった状態
で安定に支持することができ、観賞用としても見栄えが
よい。
【0020】次に、活性液体収容部の内側空間を複数の
室部に区画するとともに、その仕切部により区画された
複数の室部の一部のものを水生動物を飼育するための飼
育室部とし、それとは異なる一部のものを、活性液体の
吸収を許容した状態で植物体を収容する植物体収容室と
することができる。このようにして植物育成用の空間と
動物飼育用の空間とを区別化することにより、育成され
た植物の入れ替えが行いやすくなるほか、植物体に邪魔
されることなく水生動物を観賞することができる。な
お、上記仕切部には、該仕切部により区画された室部同
士を連通させるための連通部を形成することができる。
【0021】以上説明した装置には、活性液体収容部に
収容された活性液体を流動・循環させる循環手段を設け
ることができる。また、活性液体収容部に収容された活
性液体を曝気する曝気機構を設けることもできる。ここ
で、上記循環手段は、腐植形成微生物を生きた状態で保
持する微生物保持体を収容する保持体収容部と、活性液
体収容部との間で活性液体を流通・循環させるものとす
ることもできる。この場合、活性液体は、その循環の途
上で保持体収容部内の微生物保持体と接触させられるこ
ととなる。こうすれば、微生物保持体から微生物の補給
を受けつつ活性液体が循環させられるので、活性液体を
清浄な状態に維持する効果が一層高められる。
【0022】また、活性液体収容部の壁部には、該活性
液体収容部の内側を透視するための透視部を形成するこ
とができる。こうすれば、活性液体収容部内の水生動物
や植物体を観賞しやすくなる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、い
くつかの実施例により図面に基づいて説明する。図1
は、本発明の水生動物飼育装置の一例を示すものであ
る。水生動物飼育装置101は、活性液体収容部102
と、その内部に配置された植物体保持部としての支持容
器体103とを備えており、活性液体収容部102の内
側には活性液体Lが収容されている。支持容器体103
の内部には植物体104の根部104a(図6)が収容
・支持されており、根部104aはその状態で活性液体
Lに浸漬されている。また、活性液体収容部102の正
面側の壁部にはこれを厚さ方向に貫通して窓部105が
形成されており、その窓部105がガラス(あるいは透
明プラスチック)106で塞がれて透視部が形成されて
いる。
【0024】図2は、活性液体収容部102の内部構造
を示しており、支持容器体103は植物体104を収容
した状態で活性液体収容部102に対し、その正面側か
ら見て幅方向両側底部に配置されている。なお、102
dは、植物体104の配置高さを調整するためのスペー
サである。また、活性液体収容部102の底部下面に
は、その移動を補助するための複数のキャスター108
が設けられている。さらに、水生動物飼育装置101に
は、活性液体収容部102内の活性液体Lを曝気するた
めの曝気機構107が設けられている。この曝気機構1
07は、活性液体収容部102の底面近傍に配置された
空気噴出部107a、及び収容部102の外側に設けら
れ、送気管107bを介して空気噴出部107aに空気
を送るエアポンプ107c等を備えている。図3に示す
ように、空気噴出部107aは、例えば一端部が閉じた
パイプ状に形成されており、他方の端部側からその内側
にエアポンプ107cからの空気が導入され、その壁部
に形成された多数の連通気孔107dから空気Gを活性
液体L中に噴射することによりこれを曝気するようにな
っている。
【0025】図4に示すように、活性液体収容部102
の上縁部内側には、その周方向に沿って突出条部109
が形成されている。また、活性液体収容部102の1コ
ーナー部に対応してその突出条部109の上面には、循
環手段としてのポンプユニット110が取り付けられて
いる。このポンプユニット110は、図5に示すよう
に、取付プレート111の上面にポンプ112が固着さ
れたものであり、取付プレート111を突出条部109
上面に重ね合わせ、その重なり部において雌ねじ孔11
1a及び109aに対し取付ボルト113をねじ込むこ
とにより固定されている。ポンプ112の下側からは取
付プレート111を貫通して吸液管114が下方へ延
び、その末端部が活性液体L中に浸漬されている。一
方、ポンプ112の側面からは排液管115が延び出し
ており、ポンプ112が作動すると活性液体Lは吸液管
114から吸い上げられ、排液管115から活性液体収
容部102内に戻されて循環するようになっている。こ
こで、活性液体L中の浮遊物等は、排液管115の中間
に設けられたフィルタユニット116を通過する際に濾
し取られる。なお、図4に示すように、突出条部109
の上面には、ポンプユニット110以外にも付属機器等
を取り付けることができるように、複数のねじ孔109
aが形成されている。
【0026】図6は、支持容器体103の断面構造を示
している。支持容器体103の底部103aには、下部
に切欠部103bが形成された脚部103cが一体に設
けられている。また、底部103aには、支持容器体1
03の内側と外側とをつなぐ連通部としての連通孔10
3dが形成されている。一方、支持容器体103の内側
には、砂利、軽石あるいは多孔質セラミックス焼成体
(商品名:クレーボール)等の植物支持媒体103eが
収容されており、植物体104の根部104aがその植
物支持媒体103e中に支持されている。なお、連通孔
103dの内側開口部は、活性液体Lの流通は許容する
が植物支持媒体103eの漏洩は防止ないし抑制する網
等の流通遮蔽体103fにより塞がれている。これによ
り、活性液体Lは連通孔103dを通って支持容器体1
03内に供給され、根部104aと接触することとな
る。ここで、植物支持媒体103eを、軽石あるいは多
孔質セラミックス焼成体等の多孔質体で構成すれば、活
性液体L中の微生物の活動ないし増殖を促進できる場合
がある。さらに、ガラス繊維、合成繊維、木材パルプ等
を主体に形成された繊維形成物を使用することもでき、
このような繊維形成物を上記多孔質粒状体あるいは砂礫
等と混合して使用することもできる。
【0027】以下、活性液体Lの製造方法について説明
する。図7は、活性液体Lを製造するための装置の一例
を概念的に示したものである。活性液体製造装置Aは、
保持体収容部1、液体貯留部としてのタンク3、収容部
1とタンク3とを互いに連結する循環通路としての管路
4及び5、送液手段としてのポンプ6等を有するもので
ある。
【0028】保持体収容部1は、例えば鋼鉄製の圧力容
器であって、本体1aと、その上側開口部に対しボルト
1c等で固定されてこれを塞ぐ蓋1bを有するものであ
る。その本体1aの下部には、バルブ8aを備えた液取
出口8が設けられている。保持体収容部1の内部には、
メッシュ、フィルターあるいは穴開き板等により液通に
構成された1ないしそれ以上の保持体ケース7が収容さ
れ、その内部に例えば腐植質ペレット等で構成される微
生物保持体2が充填されている。この微生物保持体2と
しては腐植ペレット、例えばエンザイム株式会社からE
Z−901の商品名で市販されている腐植ペレットが使
用されている。一方、保持体ケース7の下側には曝気機
構9が設けられている。この曝気機構9は、噴出口9b
から空気を噴出する空気噴出部9a、それに空気を送る
曝気ポンプ9c等を備える。
【0029】タンク3は、バルブ10aを有する液供給
口10とバルブ11aを有する液排出口11とを有し、
管路4及び5により保持体収容部1と連結されている。
管路5は、一端が保持体収容部1に連通するとともに、
その中間にはポンプ6が設けられて、液体Lをタンク3
から保持体収容部1へ送り込む。一方、管路4は、保持
体収容部1内の液体Lをタンク3内へ導くものである
が、その一端はタンク3内に進入し、その進入部に吸引
用の回転翼13及びこれを駆動するモータ14等からな
る液体吸引機構12が補助の送液手段として設けられ
て、液体Lをタンク3側へ吸引している。このように、
保持体収容部1→管路4→タンク3→管路5→保持体収
容部1の順序で液体Lの循環経路が構成されている。
【0030】次に、活性液体製造装置Aの作動とそれを
用いた活性液体の製造方法について説明する。まず、微
生物保持体2を保持体ケース7に詰めて収容部1にセッ
トし、バルブ10aを開いて液体Lを液供給口10より
タンク3に注入する。この状態でポンプ6及び液体吸引
機構12を作動させると、液体Lは矢印の方向に循環し
ながら保持体収容部1内で保持体2と接触し、保持体2
に保持されている微生物が液体Lに混入する。また、曝
気ポンプ9cを作動させると、噴出口9bから空気が噴
出され、液体Lが曝気される。保持体収容部1あるいは
タンク3に設けられたヒーター等により、液体Lを適当
な温度に昇温保持しながら循環させることもできる。な
お、液体吸引機構12は省略してもよい。
【0031】所定時間の循環の後、液体Lが所望の量の
微生物を含有する活性液体となれば、バルブ11aを開
いて液排出口11より液体Lを回収する。このとき、ポ
ンプ6あるいは液体吸引機構12を作動させながら液体
Lを回収しても、作動を停止して回収してもいずれでも
よい。さらに、液供給口10及び液排出口11から液体
Lを連続的に供給・排出させながら循環を行ってもよ
い。また、保持体収容部1の液取出口8は、保持体収容
部1から微生物の含有量が特に大きい液体Lを取り出し
たい場合等に用いることができるが、省略してもよい。
【0032】ここで、微生物保持体2の寿命が尽きた
り、別の種類のものを使用したい場合は、液体Lの循環
を停止し、保持体収容部1内の保持体ケース7を取り出
して保持体2を新しいものと交換する。なお、ネット等
により保持体2の管路5等への流出が防止できる場合
は、保持体ケース7を省略して、保持体2を直接収容部
1に充填する構成としてもよい。
【0033】保持体収容部1内の曝気は、図8に示すよ
うに、内周面に噴出口9bが所定の間隔で形成された空
気噴出部9aを保持体収容部1の内側面に沿って配置
し、保持体収容部1の内側へ向けて放射状に空気を噴出
させることにより行うこともできる。ここで、空気に代
えて酸素又は酸素混合ガスをボンベ等から保持体収容部
1内へ導入して曝気を行ってもよい。また、タンク3に
大気連通部を設けることもできる。さらに、曝気機構9
はタンク3内に設けることもできる。この場合、タンク
3内に攪拌機を設け、上記大気連通部からの空気と液体
Lとを混合・攪拌して曝気を行うようにしてもよい。な
お、曝気機構9は省略することもできる。
【0034】以上のようにして製造された活性液体L
は、図1に示すように、そのままあるいは通常の水等で
適宜希釈されて活性液体収容部102内に収容され、そ
の活性液体L中において、水生動物としての金魚Fが飼
育されることとなる。図2に示すように、活性液体収容
部102内においては、主に支持容器体103及び植物
体104に挟まれた空間が金魚Fを飼育するための飼育
空間Sとして使用される。また、窓部105は飼育空間
Sに対応して形成されており、その窓部105を介して
活性液体収容部102内の金魚Fを植物体104に遮ら
れることなく観賞することができる。また、活性液体収
容部102内で支持されている植物体104自体も観賞
の対象となりうる。
【0035】ここで、この金魚Fの排泄物や餌の残留物
などの有機物系の汚れ物質は、活性液体L中に含まれる
腐植形成微生物の作用により分解ないし腐植質化し、そ
れによって活性液体Lは浄化することとなる。また、植
物体104はその腐植質を含有した活性液体Lを吸収し
て成育する。このような効果は、図2に示す曝気機構1
07による曝気作用、あるいは図5等に示すポンプユニ
ット110による活性液体Lの循環・流動作用によりさ
らに高めらるが、それらのいずれか一方のみにより、上
述の効果が十分に達成される場合には、曝気機構107
もしくはポンプユニット110のいずれかを省略するこ
とも可能である。
【0036】次に、植物体保持部は、図9(a)に示す
ように、活性液体収容部102の上面開口部に設けられ
たフレーム部117とすることができる。このフレーム
部117は、例えば同図(b)及び(c)に示すよう
に、突出条部109の互いに対向する面(あるいは活性
液体収容部102の内側面)に対し、その両端部におい
てそれぞれねじ止め等により固定された骨部材117a
と、その骨部材117aに対しこれと交差する方向に取
り付けられた骨部材117bを含んで構成されている。
そして、それら骨部材117a及び117bにより複数
の支持枠部117cが形成され、それぞれ植物体104
が上方から挿入されて、同図(d)に示すように、植物
体104は垂直方向から少し傾斜した状態で、骨部材1
17a(または117b)によりその一方の側から支持
されることとなる。
【0037】また、植物体保持部は、図10(a)及び
(b)に示すように、活性液体収容部102の上面開口
部の一部を塞ぐ板状体118とすることもできる。この
板状体118は、突出条部109の上面に対しねじ止め
により固定されるとともに、その一方の縁部側にはラッ
パ状に開口する複数の切欠部120が形成されており、
その切欠底部の内縁にはゴム等の弾性部材で構成された
押さえ部材121が嵌め込まれている。そして、図11
(a)及び(b)に示すように、植物体104を切欠部
120の底部に向けて押さえ部材121を弾性変形させ
ながら押し込むことにより、植物体104は、押さえ部
材121により両側から挟み付けられた状態で支持され
ることとなる。
【0038】次に、図12に示す実施形態においては、
植物体保持部としての植物体支持具122及び123
が、ぞれぞれ吊下げ部122a及び123aにより、活
性液体収容部102の上縁部において内面側に吊下げ状
態で支持されている。図13(a)に示すように、植物
体支持具122は板状の本体部122bを備え、その周
縁部には複数の吊下げ部122aが一体に形成されてい
る。また、その本体部122bには、これを板厚方向に
貫通する複数の吸水孔122cが形成されている。そし
て、図12に示すように本体部122bは、活性液体収
容部102の内側に吊下げられた状態で、活性液体Lの
液面近傍に位置するようになっている。この状態で、各
吸水孔122cに対し草花の球根124を配置し、その
周縁部においてこれを支持させることにより、草花12
5(植物体)を水栽培することができる。ここで、球根
124から生じた根部124aは吸水孔122cから下
方へ伸び、活性液体Lと接触してこれを吸収する。
【0039】一方、植物体支持具123は、図13
(b)に示すように、壁部及び底部の少なくともいずれ
かが網等により液通に構成された縦長容器状の本体部1
23bを備え、図12に示すように、活性液体収容部1
02の内側に吊下げられた状態で、その本体部123b
の少なくとも下端側が活性液体L中に浸漬されるように
なっている。そして、その本体部123bの内側に切り
花126の切り口(切断部)側を挿入することによりこ
れを支持させることができる。切り花126はその切り
口側が本体部123b内の活性液体Lと接触してこれを
吸収する。なお、本実施形態において活性液体収容部1
02は、ガラスの一体成形品により形成されている。こ
の場合、活性液体収容部102の壁部全体が透視部を形
成することとなる。また、活性液体収容部102内には
水草(植物体)130が配置されている。
【0040】次に、図14〜図16に示すように、活性
液体収容部102の内側に仕切部127を設け、その内
側空間を複数の室部に区画することができる。例えば図
14(a)に示すように、活性液体収容部102の内側
空間は、仕切部127により、端部側に植物体104が
収容される植物体収容室部102aが、また、中央側に
金魚F等を飼育するための水生動物飼育室部102bが
形成されるように区画されており、仕切部127には両
室部102a及び102bを連通させる連通孔127
(連通部)が形成されている。なお、仕切部127a
は、板金等を活性液体収容部102の内側面ないし底面
に対し、ねじ止め、溶接、かしめ等により接合して形成
することができる。ここで、植物体収容室部102a
は、図14(b)に示すように、別の仕切部128によ
りさらにいくつかの室部102aに区画することができ
る。なお、連通部127aは仕切部127のこれら各室
部102aに対応する部分にそれぞれ形成することがで
きる他、仕切部128に形成することも可能である。
【0041】また、図15(a)に示すように、活性液
体収容部102の内側空間を前後に区画する仕切部12
7を形成し、その窓部105側に水生動物飼育室部10
2bを、反対側に植物体収容室部102aを形成するこ
とができる。こうすれば、金魚Fを一層観賞しやすくす
ることができる他、同図(b)に示すように、仕切部1
27の窓部105に面する側に絵画や模様等を形成すれ
ば、金魚Fの背景を装飾することができ、より魅力ある
飼育装置を構成することができる。さらに、図16に示
すように、活性液体収容部102の内側において閉じた
経路に沿って仕切部127を形成し、その仕切部127
により区画された内側部を植物体収容室部102a、外
側部を水生動物飼育室部102bとすることもできる。
なお、区画された各室部に対し、植物体収容室部102
aと水生動物飼育室部102bとを特に区別せず、その
一部又は全てに対し、植物体と水生動物とを共存させた
状態で収容することも可能である。
【0042】一方、図17においては、活性液体収容部
102の内側空間が仕切部127により植物体収容室部
102a及び水生動物飼育室部102bとに区画されて
いるが、その仕切部127には連通孔は形成されておら
ず、それに代わって、それら室部102a及び102b
に両端部がまたがるように送液管路131が配置され、
その中間には送液管路131の両方向に送液可能なポン
プ132が設けられている。これにより、植物体収容室
部102a及び水生動物飼育室部102bにそれぞれ収
容された活性液体Lを、一方の側から他方の側へ送り込
んで互いに混合することができる。例えば、植物体収容
室部102aと水生動物飼育室部102bとでその活性
液体L中の微生物濃度を異ならせる必要がある場合(例
えば、水生動物飼育室部102b側の微生物濃度を低く
したい場合)、両室部102a及び102bの活性液体
Lを互いに混合することで、その濃度調整を行うことが
できる。
【0043】また、図18に示すように、図7の活性液
体製造装置Aに組み込まれたものと同様の構成の保持体
収容部1を管路125の中間に設け、その内側に収容さ
れた微生物保持体2と活性液体Lとを接触させつつ、ポ
ンプ133により活性液体Lを、保持体収容部1と活性
液体収容部102との間で管路125を介して循環させ
るようにする構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水生動物飼育装置の一例を示す斜視
図。
【図2】図1の正面図。
【図3】曝気機構の空気噴出部の断面図。
【図4】図1の平面図
【図5】ポンプユニットの断面図。
【図6】図1の支持容器体の断面図。
【図7】活性液体製造装置の概念図。
【図8】その曝気機構の変形例を示す平面図。
【図9】植物体保持部の第一の変形例を示す説明図。
【図10】同じく第二の変形例を示す説明図。
【図11】その切欠部の拡大図。
【図12】本発明の水生動物飼育装置の変形例を示す正
面図。
【図13】その植物体支持具の平面図及び斜視図。
【図14】仕切部により活性液体収容部の内側空間を区
画した例を示す正面断面図及び平面図。
【図15】その変形例を示す平面断面図及び正面図。
【図16】同じく別の変形例を示す平面断面図。
【図17】同じくさらに別の変形例を示す正面断面図。
【図18】保持体収容部と活性液体収容部との間で活性
液体を循環させるように構成した飼育装置の概念図。
【符号の説明】
2 微生物保持体 101 水生動物飼育装置 102 活性液体収容部 102a 植物体収容室部 102b 水生動物飼育室部 103 支持容器体 L 活性液体 F 金魚(水生動物) 104 植物体 104a 根部 105 窓部 106 ガラス(透視部) 107 曝気機構 110 ポンプユニット(循環手段) 117 フレーム部(植物体保持部) 117a、117b 骨部材(側方支持体) 118 板状体(植物体保持部) 120 切欠部(側方支持体) 122、123 植物体支持具(植物体保持部) 125 草花(植物体) 126 切り花(植物体) 127、128 仕切部 127a 連通孔

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腐植質の形成に関与する微生物を生きた
    状態で保持する微生物保持体に対し、水を主体とする液
    体を流通させ、その流通によって前記微生物保持体中の
    前記微生物を前記液体中に生きた状態で混入させること
    により得られる活性液体を予め定められた空間中に保持
    し、その保持された活性液体中において水生動物を飼育
    することを特徴とする水生動物の飼育方法。
  2. 【請求項2】 腐植質の形成に関与する微生物を生きた
    状態で保持する微生物保持体に対し、水を主体とする液
    体を流通させ、その流通によって前記微生物保持体中の
    前記微生物を前記液体中に生きた状態で混入させること
    により得られる活性液体を予め定められた空間中に保持
    するとともに、その保持された活性液体に対し、植物体
    をその活性液体の吸収を許容した状態でこれと接触さ
    せ、その状態で該活性液体中において前記水生動物が飼
    育されることを特徴とする水生動物の飼育方法。
  3. 【請求項3】 腐植質の形成に関与する微生物を生きた
    状態で保持する微生物保持体に対し、水を主体とする液
    体を流通させ、その流通によって前記微生物保持体中の
    前記微生物を前記液体中に生きた状態で混入させること
    により得られる活性液体と、 該活性液体が収容される内側空間の少なくとも一部が水
    生動物の飼育空間とされた活性液体収容部と、 を備えたことを特徴とする水生動物の飼育装置。
  4. 【請求項4】 腐植質の形成に関与する微生物を生きた
    状態で保持する微生物保持体に対し、水を主体とする液
    体を流通させ、その流通によって前記微生物保持体中の
    前記微生物を前記液体中に生きた状態で混入させること
    により得られる活性液体を収容するとともに、その活性
    液体が収容される内側空間の少なくとも一部が水生動物
    の飼育空間とされた活性液体収容部と、 前記活性液体収容部に収容された前記活性液体の吸収を
    許容した状態で、植物体を保持する植物体保持部と、 を備えたことを特徴とする水生動物の飼育装置。
  5. 【請求項5】 前記植物体は、根部を有する有根植物体
    又は植物本体から切断・分離された植物部分であって、
    前記植物体保持部は、前記有根植物体の根部又は前記植
    物部分の切断部を前記活性液体収容部内の前記活性液体
    に浸漬させた状態でこれを支持するものとされている請
    求項4記載の飼育装置。
  6. 【請求項6】 前記活性液体収容部は上面側が開口する
    容器体として形成され、その内側に前記活性液体が収容
    されるとともに、 前記植物体は、前記容器体に対しその開口部から上方に
    立ち上がった状態で配置される一方、 前記植物体保持部は、前記開口部の近傍において、それ
    ら各植物部分を少なくとも側方からそれぞれ支持する側
    方支持体を備えている請求項5記載の飼育装置。
  7. 【請求項7】 前記活性液体収容部の内側空間を複数の
    室部に区画する仕切部を備え、その仕切部により区画さ
    れた複数の前記室部の一部のものが前記水生動物を飼育
    するための飼育室部とされ、それとは異なる一部のもの
    が、前記活性液体の吸収を許容した状態で前記植物体を
    収容する植物体収容室部とされている請求項4ないし6
    のいずれかに記載の飼育装置。
  8. 【請求項8】 前記活性液体収容部に収容された前記活
    性液体を流動・循環させる循環手段が設けられている請
    求項3ないし7のいずれかに記載の飼育装置。
  9. 【請求項9】 腐植質の形成に関与する微生物を生きた
    状態で保持する微生物保持体を収容する保持体収容部
    と、 前記活性液体を、該保持体収容部内の前記微生物保持体
    と接触させつつ、それら保持体収容部及び活性液体収容
    部との間で流通・循環させる前記循環手段と、 を備える請求項8記載の飼育装置。
  10. 【請求項10】 前記活性液体収容部に収容された前記
    活性液体を曝気する曝気機構が設けられている請求項3
    ないし9のいずれかに記載の飼育装置。
  11. 【請求項11】 前記活性液体収容部の壁部には、該活
    性液体収容部の内部を透視するための透視部が形成され
    ている請求項3ないし10のいずれかに記載の飼育装
    置。
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