JPH0980452A - 液晶素子の製造方法 - Google Patents

液晶素子の製造方法

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JPH0980452A
JPH0980452A JP25721995A JP25721995A JPH0980452A JP H0980452 A JPH0980452 A JP H0980452A JP 25721995 A JP25721995 A JP 25721995A JP 25721995 A JP25721995 A JP 25721995A JP H0980452 A JPH0980452 A JP H0980452A
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Masataka Yamashita
眞孝 山下
Yu Mizuno
祐 水野
Koji Noguchi
幸治 野口
Yoshimasa Mori
省誠 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温で高い粘性を示す液晶組成物を液晶セル
に注入する場合においても、液晶材料の発泡による液晶
組成物の飛散、注入装置の汚染、及び注入不良等の解消
を図る。 【解決手段】 液晶注入工程の前に、液晶組成物を構成
する複数の液晶性化合物を均一に混合する混合処理工程
と、均一混合された液晶組成物を液晶保持具に保持し、
液晶保持具を加熱することで液晶組成物を加熱し、さら
に大気圧以下の環境下に放置し、液晶組成物中に混入し
ている気体を除去する脱気処理工程とを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置や液
晶光シャッター等に用いられる液晶素子の製造技術に関
し、特に、液晶セルへの注入不良の改善の為の液晶注入
技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用
して、偏光素子との組み合わせにより透過光線を制御す
る型の表示素子がクラーク、及びラガーウォルにより提
案されている(特開昭56−107216号公報)。
【0003】この強誘電性液晶は、一般に、特定の温度
域において非螺旋構造のカイラルスメクチックC相(S
mC* )または、H相(SmH* )を有し、この状態に
おいて、加えられる電界に応答して、第一の光学的安定
状態と、第二の光学的安定状態とのいずれかをとり、か
つ電界の印加のない時は、その状態を維持する性質、す
なわち双安定性を有し、また電界の変化に対する応答も
速やかであり、高速並びに記憶型の表示素子用として広
い応用が期待され、特に、その機能から、大画面で高精
細なディスプレイへの応用が期待されている。
【0004】現在一般に液晶表示装置に広く使用されて
いる液晶組成物は、ネマチック相を広い温度範囲で示す
液晶組成物である。
【0005】このネマチック相は、等方性液体相に非常
に近い液晶状態であり、室温付近(25〜30℃)で
も、粘性の低い通常の液体のような状態を示す。
【0006】一方、強誘電性液晶組成物で利用されるス
メクチックC相は、等方性液体相、ネマチック相(また
は、カイラルネマチック相、コレステリック相)、スメ
クチックA相などのより高次にある液晶状態で、等方性
液体相より、むしろ結晶相(固体相)に近い液晶状態で
あり、ネマチック液晶組成物と比較すると非常に粘性の
高い液晶組成物である。
【0007】また、液晶性化合物は1種類の液晶性化合
物で液晶素子に求められる特性を全て満足させるものは
なく、ネマチック液晶にしても、強誘電性液晶にしても
2種類以上の液晶性化合物を混合し、液晶組成物として
液晶素子に用いられている。
【0008】このように混合される液晶性化合物は、通
常、外的回転力、すなわち磁力による攪拌子、あるい
は、攪拌モーターと攪拌羽根などを用いて均一に混合さ
れる。
【0009】また、液晶組成物を液晶セルに注入する際
には、通常、液晶組成物を常温から等方性液体相付近ま
たはネマチック相(またはカイラルネマチック相やコレ
ステリック相)まで加熱し、液晶セルと液晶組成物を大
気圧以下の環境下で放置し、液晶注入口に液晶組成物を
付着させ、封口し、その後、液晶組成物を液晶セルの表
示領域まで注入させる方式が広く採用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数種
の液晶性化合物を混合して液晶組成物を調製する際に、
液晶組成物中に気体が巻き込まれる場合が多く、液晶組
成物が充分に等方性液体相あるいは等方性液体相に近い
ネマチック相(またはカイラルネマチック相やコレステ
リック相)状態になっておらずに、液晶組成物中に多量
の気体が混入していると、液晶注入工程において大気圧
以下の状態に移行した際に、液晶組成物は粘性が高い状
態であるため、液晶組成物からの発泡による液晶組成物
の飛散、これによる注入装置の汚染、あるいは、注入不
良個所(液晶未注入部)の発生を引き起こす。
【0011】液晶組成物が充分に等方性液体状態であれ
ば、粘性が非常に低下しているため、液晶組成物中に混
入している気体の脱気を容易に行うことができるもの
の、常温でネマチック液晶より粘性の高いスメクチック
液晶状態を示し、この状態から加熱されることによって
等方性液体状態へ転移していく強誘電性液晶組成物を注
入する際には、前述のような問題が発生し易くなる。
【0012】また、上記の問題を生じさせないために、
非常にゆっくりと加熱したり、等方性液体状態またはこ
れに近いネマチック(またはカイラルネマチックやコレ
ステリック)状態での保持時間を長くしたり、大気圧以
下への移行を徐々に行おうとすると、非常に生産効率が
悪く、生産性向上の妨げになることは容易に想像され
る。
【0013】本発明は、上記問題点に鑑み、特に常温で
高い粘性を示す液晶組成物を液晶セルに注入する場合に
おいても、生産性を損なうことなく、液晶材料の発泡に
よる液晶組成物の飛散、注入装置の汚染、注入不良の解
消を図ることのできる液晶素子の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液晶素子
の製造工程のどの段階で、どのような条件で脱気処理を
行うことが、液晶注入工程における上述したような問題
を解決するために有効であるのかを鋭意検討し、本発明
に至ったものである。
【0015】即ち、本発明は、大気圧以下の真空度に設
定された注入装置内で、液晶保持具に保持され、加熱さ
れた液晶組成物を液晶セルの液晶注入口に付着させ、該
液晶組成物を該液晶セルの表示領域に注入する液晶注入
工程を有する液晶素子の製造方法において、該液晶注入
工程の前工程に、該液晶組成物を構成する複数の液晶性
化合物を均一に混合する混合処理工程と、均一混合され
た該液晶組成物を前記液晶保持具に保持し、該液晶保持
具を加熱することで該液晶組成物を加熱し、さらに大気
圧以下の環境下に放置し、該液晶組成物中に混入してい
る気体を除去する脱気処理工程と、を有することを特徴
とする液晶素子の製造方法に関する。
【0016】本発明によれば、液晶注入工程の前に、上
記混合処理工程を経た液晶組成物に上記脱気処理を施す
ことにより、前述した注入工程における諸問題を解決す
ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、混合処理工程
は、不活性ガス、好ましくは工業的に広く使用されてい
る窒素ガス流出下で、外的回転力によって攪拌される工
程を有することが望ましい。これは、液晶組成物に対し
て加熱が行われ、液晶組成物中に混入する気体も不活性
ガスであることの方が好ましいという理由からである。
【0018】また、混合処理工程と脱気処理工程の間
に、液晶組成物を液晶セル厚の1/2以下のフィルター
孔径を持つ耐熱フィルターで濾過する濾過工程を有する
ことが好ましく、これにより液晶組成物が加熱され大気
圧以下に放置された際に発泡種となる核の多くを取り除
くことが可能となり、また、液晶素子作製時の上下基板
間のショート防止にも効果が認められる。また、上記濾
過工程において加圧ガスを用いる場合には、この加圧ガ
スも好ましくは不活性ガス、特に窒素ガスであることが
望ましい。
【0019】また、脱気処理工程における雰囲気圧力
は、13.3322×102 Pa(10Torr)以下
であることが好ましく、より好ましくは1.33322
×102 Pa(1Torr)以下であることが望まし
い。本発明者らの検討では、実際の注入工程での注入装
置内の真空度が1.33322Pa(1×10-2Tor
r)程度であっても、上述した真空度の条件で注入前脱
気処理が充分施されていれば、注入装置内での注入工程
において、殆ど発泡は確認されなかった。
【0020】また、脱気処理工程における液晶組成物の
加熱温度は、液晶組成物の等方性液体相への転移温度を
iso としたとき、(Tiso −5℃)以上、更に好まし
くは(Tiso −2℃)以上、或はTiso 以上、或は(T
iso +2℃)以上、或は(Tiso +5℃)以上であるこ
とが望ましい。脱気処理工程において液晶組成物を何℃
まで加熱した後に、大気圧以下に放置することが好まし
いかは、液晶組成物を構成する液晶性化合物の性質や、
液晶組成物のTiso 近傍温度での粘性などを考慮して決
定されるべきである。
【0021】本発明者らの検討では、よりTiso に近い
温度、或はそれ以上の温度である方が粘性も低く脱気処
理が容易であった。逆に、(Tiso −5℃)未満の温度
では、特に、強誘電性液晶組成物はスメクチックA相へ
の転移温度近傍になる場合が多く、注入工程前の脱気処
理の段階で液晶組成物の発泡により飛散などの問題を引
き起こしてしまう。
【0022】本発明に係る注入工程前の脱気処理工程を
行うことは、液晶組成物がカイラルスメクチックC相を
有し、特に、降温時に等方性液体相からコレステリック
相,スメクチックA相,カイラルスメクチックC相を示
す強誘電性液晶組成物である場合に、極めて有効に作用
する。
【0023】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0024】[実施例1]下記に示す液晶性化合物を、
夫々下記に示すwt%にて配合し、ガラス製のセパラブ
ルフラスコ、加熱装置、攪拌装置を使い、乾燥窒素ガス
流出下、115℃で3時間加熱しながら、均一溶融混合
を行い、液晶組成物A−1を100g作成した。尚、各
液晶性化合物の構造を示す各アルファベット記号は、下
記に示す各環状骨格を意味する。
【0025】
【化1】
【0026】また、この組成物の相転移温度は、下記の
通りであった。
【0027】
【化2】
【0028】尚、組成物の相転移温度は、パーキンエル
マー社製のDSC7、及び、ガラス板に配向膜を塗布
し、ラビング処理された液晶セルに注入し、メトラー社
製サーモシステムFP−80/FP−82のホットステ
ージ中で温度制御しながら、偏光顕微鏡で観察すること
で決定した。
【0029】作成した液晶組成物A−1を5g、サンプ
ル保管容器に移し取り、残りの約95gを、ザルトリウ
ス社製の加圧濾過機(Sartorius SM162
49)と、住友電工(株)製のフロロポアメンブランフ
ィルター(FP−022:平均孔径0.22μm)を用
いて、周囲を105℃程度に加熱しながら、乾燥窒素ガ
スを用いて加圧濾過を行い、液晶組成物中に存在する塵
などを除去し、組成物A−2を約93g得た。
【0030】尚、上記液晶組成物の加熱加圧濾過作業、
及び、これ以降の作業は、クリーンルーム内で行った。
【0031】次に、図1に示すような液晶保持具である
ところの液晶注入皿に液晶組成物A−2を約0.5g乗
せ、乾燥窒素ガス流出下、98.1±1.0℃に保持さ
れた加熱減圧乾燥機の中に入れ、約60分間加熱放置
し、その後、13.33×102 Pa(10Torr)
の真空度で約1時間放置し、液晶中に含まれる気体の脱
気処理を行った。その後、乾燥窒素ガスで大気圧に戻
し、液晶組成物A−3を得た。
【0032】更に、他の2種類の液晶組成物、すなわ
ち、A−1(均一溶融混合されたのみの液晶組成物)、
A−2(フィルターで塵除去の処理がされた液晶組成
物)を、夫々約0.5gずつ図1に示したような液晶注
入皿に取り、液晶組成物A−3(塵除去及び脱気処理が
された液晶組成物)の乗った液晶注入皿と共に、91.
1±1.0℃に保持された液晶注入装置内に約30分放
置し、その後、60分かけて0.01333×102
a(0.1Torr)の真空度にしつつ、96〜98℃
に昇温させた後、不活性ガス(乾燥窒素ガス)で大気圧
に戻した。
【0033】この間の様子を観察したところ、液晶組成
物A−3を乗せた液晶注入皿では、発泡が見られなかっ
た。一方、他の2種の液晶組成物は、いずれも激しい発
泡状態を呈し、液晶注入皿の上部及び周囲に漏れ零れ、
液晶注入皿の溝には、最初に乗せた半分程度の液晶量し
か残っていなかった。特に、塵除去処理をしていない液
晶組成物A−1が最も発泡していた。
【0034】この結果は、液晶組成物の脱気処理を注入
装置内への導入前に行うことが有効であることを示し、
塵の除去処理(濾過工程)も発泡の核となる物質の除去
に有効であることを示している。
【0035】[実施例2]実施例1で液晶組成物A−3
を作成する際に使用した不活性ガス(乾燥窒素ガス)を
使用せずに各作業操作を行った以外は、同様な方法で液
晶組成物A−4を作成した。
【0036】液晶組成物A−3及び液晶組成物A−4に
含まれる高極性成分の含有率を、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)を用いて測定し、比較した。
【0037】HPLCは日本分光社製8800シリーズ
を用い、カラムは日本分光社製CrestPak C1
8S、移動相はHPLC用メタノール/純水を用い、カ
ラムオーブンを40℃、UV検出波長280nm、流量
1.0ml/minで液晶組成物の構成成分より早く流
出し検出される高極性成分の含有率を比較した。
【0038】高極性成分は、主に、加熱工程で生じてい
る物質であると思われるが、物質の同定はできなかっ
た。
【0039】液晶組成物A−3に含有されていた高極性
成分は測定誤差内の0.01%であった。一方、液晶組
成物A−4に含有されていた高極性成分は0.50%で
あった。
【0040】本実施例は、不活性ガスの流出下で加熱混
合溶融処理が行われることが、液晶組成物作成時におけ
る高極性不純物成分の発生防止にとって好ましい操作で
あることを示している。
【0041】[実施例3]実施例1で液晶組成物A−2
を作成する際に、孔径0.22μmのフィルターの代わ
りに、孔径が0.45μm,0.80μm,1.2μm
である同質のメンブランフィルターを用いた以外は、液
晶組成物A−2と全く同様な方法で液晶組成物A−5,
A−6,A−7を作成し、液晶組成物A−3を得たのと
同様な方法で各液晶組成物の脱気処理を行った。
【0042】加熱減圧状態での脱気処理の様子を観察し
たところ、液晶組成物A−3,A−5に比べると、液晶
組成物A−6,A−7では発泡が観察され、特に液晶組
成物A−7はこの4種類の中では最も発泡し、大気圧に
戻した脱気処理終了時まで残っていた。このことは、フ
ィルターを通過した塵が発泡の種になっている可能性が
大きいことを示している。
【0043】更に、これらの液晶組成物A−5,A−
6,A−7とA−1,A−2,A−3を使って液晶表示
素子を作成した。
【0044】ここで用いた液晶セルは、先ず、75mm
×75mmのガラス板にITO膜の透明電極を設け、更
にこの上に酸化タンタルの薄膜をスパッタ法で蒸着させ
絶縁層とした。更に、この上にポリイミド樹脂(日立化
成社製LQ−1802)膜を膜厚約200Åになるよう
に塗布焼成形成し、この被膜に対してアセテート植毛布
でラビング処理を施した。更に、平均粒径1.3μmの
シリカビーズを一方のガラス基板上に散布した後、他方
に接着シール材を塗布して、それぞれのラビング処理軸
が互いに平行になるように貼り合わせた後、電極面が露
出するように、ガラス基板の端部をカットして作成し
た。このセルのセル厚を測定したところ、約1.3μm
であった。
【0045】上記セルと、各液晶組成物が乗った液晶注
入皿を、図1に示されるように、91.1±1.0℃に
保持された液晶注入装置内に約30分放置し、その後、
60分かけて0.0133×102 Pa(0.01To
rr)の真空度にしつつ、96℃〜98℃に昇温させた
後、セルの注入口に液晶組成物を付着させ、更に、30
分放置した後、不活性ガス(乾燥窒素ガス)で大気圧に
戻し注入を終了させた。
【0046】注入装置内の液晶組成物の様子を観察した
ところ、A−1,A−2では発泡が著しく、液晶注入皿
より液晶が漏れ零れていた。A−3,A−5では、殆ど
発泡は観察されなかった。A−6では多少発泡が観察さ
れたが、脱気処理時の発泡よりは軽微であった。A−7
でも発泡が観察されたが、脱気処理時の発泡よりは軽微
であった。
【0047】液晶が注入された6つのセルを観察したと
ころ、A−1,A−2を注入したセルでは、液晶の未注
入部分がセルの注入口付近から中央にかけて生じてい
た。A−7を注入したセルにおいても、微小領域で未注
入部分が生じていた。A−3,A−5,A−6の注入さ
れたセルでは、液晶の未注入部分は観察されなかった。
未注入部分の発生は、発泡によって液晶注入皿の液晶が
漏れ零れ、セルの液晶注入口に液晶が正常に付着されな
かったなどの、発泡による影響と考えられる。
【0048】以上の結果は、注入装置に液晶を導入する
前に液晶組成物の脱気処理を行うことが有効であること
を示している。
【0049】更に、液晶組成物A−3,A−5,A−
6,A−7が注入されたセルに電圧を印加して、上下基
板間のショートの発生度合いを比較したところ、下記の
傾向を示していた。
【0050】
【数1】
【0051】本実施例は、フィルター孔径の小さいもの
で濾過処理を行うと、発泡の核となる物質が少なく、ま
た、上下基板間のショートの原因となることが少ないこ
とを示している。また、フィルター孔径の目安として
は、セル厚の1/2以下の孔径であることが好ましいこ
とを示している。
【0052】[実施例4]実施例1で使用した液晶組成
物A−2を約0.5gずつ計14個の液晶注入皿に乗
せ、各液晶注入皿に乗せた液晶組成物を、表1に示す脱
気処理温度(7条件)及び真空度(各温度につき2条
件)の設定条件(計14種類)で脱気処理した後、これ
を液晶注入装置内へ導入し、実施例1と同様な条件で加
熱,減圧を施し、液晶注入装置内での発泡の様子を観察
した。その結果を、表1に示す。
【0053】
【表1】 *;脱気時より発泡が著しく、液晶注入皿より殆ど漏れ
零れた。 △;多少発泡があったが、昇温・減圧時に消失した。 ○;微小な発泡があった程度で、昇温・減圧時にすぐに
消失した。 ◎;全く発泡が生じなかった。
【0054】(T−Tiso )が+10℃である106.
1℃で脱気処理を行った液晶組成物2種は、液晶注入装
置内での発泡に関しては問題がなかったが、HPLC分
析によると、他の液晶組成物が0.01〜0.02%の
測定誤差内の微量な高極性成分含有率であったのに対し
て、この液晶組成物だけが0.12〜0.14%とやや
多くなっていた。このことは、脱気処理を必要以上に温
度を上げて行う必要はなく、また、必要以上に加熱する
ことは、かえって液晶組成物にとって好ましくないこと
を示唆している。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液晶注入工程の前に、複数の液晶性化合物を均一に混合
する混合処理工程と、均一混合された液晶組成物を保持
させた液晶保持具を加熱することで液晶組成物を加熱
し、さらに大気圧以下の環境下に放置し、液晶組成物中
に混入している気体を除去する脱気処理工程とを施すこ
とにより、特に常温で高い粘性を示す液晶組成物を液晶
セルに注入する場合においても、生産性を損なうことな
く、液晶材料の発泡による液晶組成物の飛散、注入装置
の汚染、注入不良等を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶注入装置内における液晶セルへの液晶注入
方法を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 省誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧以下の真空度に設定された注入装
    置内で、液晶保持具に保持され、加熱された液晶組成物
    を液晶セルの液晶注入口に付着させ、該液晶組成物を該
    液晶セルの表示領域に注入する液晶注入工程を有する液
    晶素子の製造方法において、 該液晶注入工程の前工程に、 該液晶組成物を構成する複数の液晶性化合物を均一に混
    合する混合処理工程と、 均一混合された該液晶組成物を前記液晶保持具に保持
    し、該液晶保持具を加熱することで該液晶組成物を加熱
    し、さらに大気圧以下の環境下に放置し、該液晶組成物
    中に混入している気体を除去する脱気処理工程と、を有
    することを特徴とする液晶素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記混合処理工程が、不活性ガス流出下
    で外的回転力によって攪拌される工程を有することを特
    徴とする請求項1に記載の液晶素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記不活性ガスが、窒素ガスであること
    を特徴とする請求項2に記載の液晶素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記混合処理工程と前記脱気処理工程の
    間に、前記液晶組成物を前記液晶セル厚の1/2以下の
    フィルター孔径を持つ耐熱フィルターで濾過する濾過工
    程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の液晶素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記脱気処理工程における雰囲気圧力
    が、13.3322×102 Pa(10Torr)以下
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の液晶素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記脱気処理工程における雰囲気圧力
    が、1.33322×102 Pa(1Torr)以下で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    液晶素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記脱気処理工程における前記液晶組成
    物の加熱温度が、該液晶組成物の等方性液体相への転移
    温度をTiso としたとき、(Tiso −5℃)以上である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶
    素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記脱気処理工程における前記液晶組成
    物の加熱温度が、該液晶組成物の等方性液体相への転移
    温度をTiso としたとき、(Tiso −2℃)以上である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶
    素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記脱気処理工程における前記液晶組成
    物の加熱温度が、該液晶組成物の等方性液体相への転移
    温度(Tiso )以上であることを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載の液晶素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記脱気処理工程における前記液晶組
    成物の加熱温度が、該液晶組成物の等方性液体相への転
    移温度をTiso としたとき、(Tiso +2℃)以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液
    晶素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記脱気処理工程における前記液晶組
    成物の加熱温度が、該液晶組成物の等方性液体相への転
    移温度をTiso としたとき、(Tiso +5℃)以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液
    晶素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記液晶組成物が、カイラルスメクチ
    ックC相を有する強誘電性液晶組成物であることを特徴
    とする請求項1〜11のいずれかに記載の液晶素子の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記液晶組成物が、降温時に等方性液
    体相からコレステリック相,スメクチックA相,カイラ
    ルスメクチックC相を示す液晶組成物であることを特徴
    とする請求項12に記載の液晶素子の製造方法。
JP25721995A 1995-09-11 1995-09-11 液晶素子の製造方法 Withdrawn JPH0980452A (ja)

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JP25721995A JPH0980452A (ja) 1995-09-11 1995-09-11 液晶素子の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102096249A (zh) * 2011-01-20 2011-06-15 深圳市宇顺电子股份有限公司 一种液晶注入方法
KR101147457B1 (ko) * 2010-05-12 2012-05-21 경희대학교 산학협력단 액정표시장치에 대한 콜레스테릭 액정의 주입 및 플래너 배향 방법

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