JP3168405B2 - 液晶素子の製造方法 - Google Patents

液晶素子の製造方法

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JP3168405B2 JP34756696A JP34756696A JP3168405B2 JP 3168405 B2 JP3168405 B2 JP 3168405B2 JP 34756696 A JP34756696 A JP 34756696A JP 34756696 A JP34756696 A JP 34756696A JP 3168405 B2 JP3168405 B2 JP 3168405B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータの端
末ディスプレイ、各種フラットパネルディスプレイ等に
用いられる液晶素子の製造方法に関し、特に液晶素子の
製造における液晶注入技術に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶素子の製造において、液晶材料をセ
ル内(一般的には一対の基板を所定のシール材パターン
を介して対向して形成されたセルにおける該シール材に
囲まれた領域)へ充填する方法として、真空注入法と呼
ばれる方法が多く用いられている。この真空注入法は、
空セル内を真空にした後、該セルを液晶材料に含浸さ
せ、次に真空を破り液晶材料に大気圧を加えることによ
ってセル内へ液晶を注入する方法である。
【0003】上記真空注入法の他には、毛管現象を用い
た注入法(特開昭61−132928号公報)、加圧に
よる注入法(特開平6−82737号公報)等が知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記真
空注入法では、液晶材料が真空に曝されるため蒸発しや
すく、その変質が問題となることがある。特に、蒸気圧
が高い特性をもつ液晶材料、例えばフッ素を含有する材
料を成分とする液晶を注入する場合は、大きな問題であ
った。また、真空注入法では、液晶注入前にセル内に残
存する水分や細かい汚れ等の液晶に悪影響を及ぼす不純
物が、液晶注入時にセル内において注入口と対向するシ
ール内部の壁面へ押しやられ、その領域近傍の表示特性
が他の領域とは異なってしまう問題があった。更には、
セル内を真空にするため減圧工程を必要とするため、液
晶注入に要する時間が長いという問題があった。
【0005】また、前記の毛管現象を用いた注入法は、
減圧工程を必要としないものの、やはり液晶注入に要す
る時間が長いという問題があった。
【0006】また、前記の加圧による注入法は、液晶槽
に空セルの注入口を含浸し、加圧のみによって注入する
方法である。このため、注入過程において空セル中央付
近の領域、具体的には液晶素子を光学変調素子とした場
合の有効光学変調領域の内圧が、セル周囲の圧力よりも
高くなることがあり、過度に液晶がセルに注入されギャ
ップ不良が発生しやすいという問題があった。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑み、液晶注入時
の液晶材料の蒸発による変質防止、セル内の不純物の液
晶材料への混入による表示特性の劣化防止を図ると共
に、セルギャップの不良を生じさせずに液晶を短時間で
注入し得る液晶素子の製造方法、更には表示品位の劣化
のない液晶素子を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく成
された本発明の構成は以下の通りである。
【0009】即ち、本発明は、 a)一対の基板を対向配置し、第一の開口部と、第二の
開口部を有するセルを形成する工程と、 b)該セル内に充填すべき液晶を加熱する工程と、 c)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
力差を設け、加熱された液晶を第一の開口部から、所定
の時間、該セル内に注入し且つセル内を通過してきた液
晶を第二の開口部から排出させながら、セル内に前記液
晶を充填する工程と、を有し、 該工程c)において、第一の開口部の圧力、第二の開口
部の圧力、セルの有効光学変調領域にかかる圧力を分割
して制御する ことを特徴とする液晶素子の製造方法にあ
る。また、本発明は、 a)一対の基板を対向配置し、第一の開口部と、第二の
開口部を有するセルを形成する工程と、 b)該セル内に充填すべき液晶を加熱する工程と、 c)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
力差を設け、加熱された液晶を第一の開口部から、所定
の時間、該セル内に注入し且つセル内を通過してきた液
晶を第二の開口部から排出させながら、セル内に前記液
晶を充填する工程と、を有し、 該工程c)において、第一の開口部の圧力をP 1 、第二
の開口部の圧力P 2 、セルの有効光学変調領域にかかる
圧力をP 3 として、これらの関係をP 1 >P 2 であり、且
つ−1kgf/cm 2 ≦P 1 −P 3 ≦0.5kgf/cm 2
とする、ことを特徴とする液晶素子の製造方法にある。
また、本発明は、 a)一対の基板を対向配置し、第一の開口部と、第二の
開口部を有するセルを形成する工程と、 b)該セル内に充填すべき液晶を加熱する工程と、 c)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
力差を設け、加熱され た液晶を第一の開口部から、所定
の時間、該セル内に注入し且つセル内を通過してきた液
晶を第二の開口部から排出させながら、セル内に前記液
晶を充填する工程と、を有し、 該工程c)において、第一の開口部の圧力をP 1 、第二
の開口部の圧力P 2 、セルの有効光学変調領域にかかる
圧力をP 3 として、これらの関係をP 1 >P 2 であり、且
つ−0.5kgf/cm 2 ≦P 1 −P 3 ≦0.3kgf/
cm 2 とする、ことを特徴とする液晶素子の製造方法に
ある。
【0010】また、本発明は、 a)一対の基板を対向配置し、第一の開口部と、第二の
開口部を有するセルを形成する工程と、 b)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
力差を設け、液晶を第一の開口部から、所定の時間、該
セル内に注入し且つセル内を通過してきた液晶を第二の
開口部から排出させながら、セル内に前記液晶を充填す
る工程と、を有し、 該工程b)において、第一の開口部の圧力をP1、第二
の開口部の圧力P2、セルの有効光学変調領域にかかる
圧力をP3として、これらの関係をP1>P2であり、且
つ−1kgf/cm2≦P1−P3≦0.5kgf/cm2
とする、ことを特徴とする液晶素子の製造方法にある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の液晶素子の製造方法は、
一対の基板を対向配置し、第一及び第二の2つの開口部
を設けて得られたセル(空セル)に対し液晶を充填する
工程において、第一及び第二の開口部間に圧力差を設定
し、例えば、第一の開口部を注入口として加熱された液
晶を注入し、且つ第二の開口部を流出口として液晶を排
出し、この操作を所定時間行い、セル内への液晶充填を
完了させるものである。
【0012】以下、図面を参照して、上記液晶素子の製
造方法の態様について詳細に説明する。尚、セルの第一
の開口部を注入口、第二の開口部を流出口として説明す
るが、これは便宜上であってこれに限定されるものでは
ない。
【0013】まず、例えば図1(A)及び図1(B)
(図1(A)のa−a’線に沿った断面図)に示すよう
な構造の液晶セル1(空セル)を形成する。具体的に
は、一対の基板11a及び11bを所定形状のシール材
パターン10を介して対向し接着せしめセル1(空セ
ル)を形成する。かかるセル1において、シール材パタ
ーン10により、液晶の充填工程で液晶の注入口となる
第一の開口部12、及び液晶の充填工程で液晶の流出口
となる第二の開口部13を設定する。尚、一対の基板1
1a,11b及びシール材パターン10に囲まれたセル
内の周縁部を除く領域16が、最終的に得られる液晶素
子における液晶による光学変調を行う有効光学変調領
域、特に素子が表示素子に適用される場合では表示領域
に相当する。基板11a及び11bの夫々には、液晶に
対して電界を付与する為の電極14a及び14b、更に
必要に応じてセル内に充填される液晶の配向状態を制御
する膜(配向制御層)15a及び15bが設けられる。
【0014】続いて、例えば図2に示すような系にて、
上記セル1に液晶を注入する。まず第一の開口部12部
分と有効光学変調領域16を加圧槽17内に封入し、少
なくとも第二の開口部13部分は加圧槽外に設置する。
この状態で第一の開口部12を予め加熱された液晶19
で満たされている液晶皿18に含浸し、加圧槽17内を
加圧する。これにより、液晶19は注入口となる第一の
開口部12にかかる圧力P1 (加圧槽内の圧力)と流出
口となる第二の開口部13にかかる圧力P2 をP1 >P
2 の関係とし、その圧力差に応じて、界面張力によるス
ピードよりも速くセル1内に注入される(図2はセルに
液晶19が半分ほど注入されている状態である。)。そ
して、液晶19でセル1内が満たされた後も加圧しP1
及びP2の圧力差を保ち続けることによって、過剰な液
晶19は流出口(第二の開口部)13から排出すること
ができる。この操作を所定時間継続してセル内に液晶を
充填した後、セルに対する上記の各圧力を大気圧に戻
し、冷却し、第一の開口部及び第二の開口部の近傍に付
着した液晶を、例えば、布により乾拭きするか、或いは
必要に応じてアセトンやケトン系(メチルエチルケトン
等)等の溶剤にて拭き取ることにより除去する。続い
て、これら開口部を例えばシール材と同様の材料からな
る封口材を用いて封口して液晶素子が得られる。
【0015】上述したような液晶の充填工程では、第二
の開口部から流出させる液晶の量を、少なくともセル容
量の5%以上とすることが好ましい。より好ましくはセ
ル容量の10%以上、特に好ましくは15%以上の範囲
で設定する。
【0016】本発明において、注入口となる第一の開口
部12にかける圧力P1 は、大気圧より大きく5.0k
gf/cm2 以下であることが好ましい。P1 が5.0
kgf/cm2 を超える場合には、液晶中に注入口部分
を加圧するためのガスが過度に溶け込む可能性があり、
後工程(例えば液晶の再配向処理)で発泡する恐れがあ
り、またセルの耐久性の点でも問題となる可能性があ
る。
【0017】また、注入口となる第一の開口部12にか
ける圧力P1 と流出口となる第二の開口部13にかける
圧力P2 との差圧(P1 −P2 )は、0.1〜5.0k
gf/cm2 の範囲であることが好ましく、より好まし
くは0.3〜2.5kgf/cm2 の範囲である。この
差圧(P1 −P2 )が0.1kgf/cm2 未満の場合
には、液晶の充填に長時間を要する。一方、この差圧
(P1 −P2 )が5.0kgf/cm2 を超える場合に
は、セルに歪みが生じ、セルギャップの分布不良が生じ
易くなる。
【0018】本発明では以上のような工程で液晶注入を
行うものであるため、以下のようなメリットがある。 1.セル内への液晶注入及びセル外への流出を所定時間
連続的に行う為、セル内に不純物が残留している場合で
あっても、当該不純物で汚染された液晶を排出すること
ができ、液晶汚染による表示品位の劣化を防止すること
ができる。 2.液晶注入時において、加熱によって液晶の粘度を下
げた状態で液晶注入を行うことで、粘性の高い液晶材
料、例えばスメクチック液晶をも短時間で注入すること
ができる。またこの場合、液晶材料が最も蒸発しやすい
液体相まで加熱されていても、当該液晶材料は減圧状態
に曝されないため、蒸気圧の高い液晶材料、特にフッ素
含有率が高い液晶材料であっても蒸発は改善され、これ
による液晶材料の変質も防止される。 3.セル内の真空引きを必要とせず、かつ、注入口と流
出口との圧力差を利用するため、注入工程に要する時間
を短縮できると共に、注入速度を制御することもでき
る。
【0019】上述したように本発明の方法は、通常粘度
の高い液晶を注入する場合に好ましく、例えばスメクチ
ック中間相を持つ、あるいは潜在的スメクチック中間相
を持つものを含有する液晶組成物、特にカイラルスメク
チック液晶相を呈する液晶組成物を用いる場合に好適で
ある。
【0020】また、上述したフッ素含有率が高い液晶材
料等の蒸気圧のより高い液晶材料を用いる場合に好適で
ある。特に蒸気圧の高い液晶材料として、フルオロカー
ボン末端部分及び炭化水素末端部分を有し、該両末端部
分が中心核によって結合され、スメクチック中間相又は
潜在的スメクチック中間相を持つフッ素含有液晶化合物
を含有する液晶組成物を用いる場合に最も好適である。
【0021】尚、ここで潜在的スメクチック中間相を持
つ化合物とは、それ自身でスメクチック中間相を示さな
くとも、スメクチック中間相を持つ化合物又は他の潜在
的スメクチック中間相を持つ化合物との混合物におい
て、適当な条件下でスメクチック中間相を発現する化合
物を言う。
【0022】また、上記フッ素含有化合物における中心
核とは、少なくとも2つの芳香族環、複素芳香族環、脂
肪族環、置換芳香族環、置換複素芳香族環、置換脂肪族
環から選ばれ、これらの環は、互いに−COO−,−C
OS−,−HC=N−,−COSe−から選ばれる官能
基によって結合されていてもよい。これらの環は縮合し
ていても、縮合していなくてもよい。複素芳香環中のヘ
テロ原子はN,O又はSから選ばれる少なくとも1つの
原子を含む。脂肪族環中に隣接していないメチレン基
は、Oによって置換されていてもよい。
【0023】上記フッ素含有液晶化合物の具体例として
は、特開平2−142753、米国特許5,082,5
87号、国際公開WO93/22396、特表平7−5
06368等に記載されている化合物が挙げられる。
【0024】上述したような本発明の方法では、これら
の液晶材料を、好ましくは最終的な素子で使用される温
度より加熱し、好ましくは液体相(等方相)に加熱した
状態で、上記工程により空セル内に充填する。
【0025】また、上述したような本発明の方法では、
図1に示すようなセル(空セル)の形成において、セル
の液晶注入口に対応する第一の開口部12、流出口に対
応する第二の開口部13の形状を、シール材10のパタ
ーンを調整し、例えば図3(A),(B),(C)のよ
うな形状とすることもできる。かかる形状は、用いる液
晶材料の粘度特性、セルのサイズ、液晶充填時の圧力条
件をはじめ種々の要件を考慮して適宜設定する。尚、図
3(B)に示した例のように、第一の開口部12及び第
二の開口部13は夫々複数の開口領域で構成することも
できる。
【0026】本発明の方法では、液晶の充填工程におい
て、上述したようなセルで液晶注入口に相当する第一の
開口部と、流出口に相当する第二の開口部の間に圧力差
を設けることが必須である。かかる方法でのセル内への
液晶の充填は、図2に示すような態様の他、図4に示す
ような態様で行うことができる(同図において図1及び
図2と同一の符号は同等部材を示す)。
【0027】図4に示す態様では、セル(空セル)1に
対して第一の開口部12、セル1の有効光学変調領域に
対応する部分、第二の開口部13を夫々区分された槽2
1、23、22内に配置し、第一の開口部側の圧力P
1 、第二の開口部側の圧力P2、有効光学変調領域にか
かる圧力P3 を分割して制御する。
【0028】こうして、セル内の有効光学変調領域にか
かる圧力P3 を、液晶注入口に相当する第一の開口部側
の圧力P1 に近いレベルになるように、好ましくは、−
1kgf/cm2 ≦P1 −P3 ≦0.5kgf/cm
2 、特に好ましくは、−0.5kgf/cm2 ≦P1
3 ≦0.3kgf/cm2 、とした条件下で、液晶皿
中において加熱された液晶の第一の開口部12からの注
入及び第二の開口部13からの流出を行い、セル1内に
液晶を充填する。このような条件に設定した場合、液晶
の加熱を最小限に、材料によっては実質的に加熱を要す
ることなく注入させることもできる。
【0029】上記P1 ,P2 ,P3 の一設定例として、
図2に示した工程のように、セル1の第二の開口部13
を加圧槽から出し、P1 ≒P3 >P2 ≧大気圧とするこ
とができる。
【0030】更に、液晶の充填工程において、P1 ,P
2 ,P3 を上記条件に設定する際には(特にP1 及びP
3 を上記関係に設定する際には)、P1 <P3 の場合、
セルの有効光学変調領域といった主要な領域の一対の基
板を最も高い圧力で加圧することになり、基板がその間
に配置されるスペーサービーズの大きさに倣おうとし、
結果としてセルの面内でのギャップ(セルにおける一対
の基板間の実効距離であって、基板間の液晶層の厚みに
相当する)の均一化がより好ましく実現される。一方、
1 >P3 の場合では、セル内への液晶注入がより効率
的になされ、例えば液体相の温度ではセル内に過剰の液
晶が充填されることになる。この結果、液晶の材料によ
ってはセル内の液晶を室温程度の使用温度に戻して、液
晶が体積収縮した場合でも、セル容積に比較して液晶の
体積が小さくなり空隙等が生じるといった問題がより好
ましく防止される。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例に沿って更に詳細に説
明する。
【0032】(実施例1)本実施例では、前述した図1
に示す構造のセル1(空セル)を作製し、図2に示す装
置及び方法によって液晶を充填した。
【0033】ガラス基板11aと基板11bの一方の主
面側にITO(インジウム・チン・オキサイド)からな
る透明電極14a,14bを100nmの厚さにスパッ
タ法によって形成し、フォトリソ法によってストライプ
状にパターニングする。
【0034】次に、上記透明電極14aを形成した基板
11a上に下記繰り返し単位を有する構造のポリイミド
膜15aをスピンコート法によって形成する。
【0035】
【化1】
【0036】なお、上記ポリイミド膜15aは、その前
駆体のNMP/nBC=2/1の0.7重量%溶液を2
700rpmでスピンコートし、その後、80℃で5分
間前乾燥を行った後、200℃で1時間加熱焼成処理を
施し形成した。かかるポリイミド膜15aの膜厚は5n
mであった。
【0037】一方、上記透明電極14bを形成した基板
11b上には、ODS−E(チッソ社製/オクタデシル
エトキシシラン)をスピンコートして配向制御層15b
を形成した。スピンコートの条件は、ODS−Eのエタ
ノールの0.5重量%溶液を2000rpmでスピンコ
ートし、その後、80℃で5分間前乾燥を行った後、1
80℃で1時間加熱乾燥処理を施した。
【0038】次に、基板11aのポリイミド膜15aを
ナイロン布で擦り、ポリイミド膜15aに一軸性配向処
理を施した。その後、純水で満たされた槽に基板11a
を入れ、超音波をかけ30分間洗浄し、窒素ブローで水
滴を飛ばした後、60℃のオーブンで30分間乾燥し
た。続いて、基板11aに直径2.6μmのシリカビー
ズ(不図示)をエタノールに分散し、スピンコート散布
した。ビーズ密度は約300個/mm2 とした。
【0039】基板11bには、接着剤粒子(トレパール
/東レ製、粒径5μm)を密度130個/mm2 で分散
させ、さらにディスペンサーによって図1(A)に示す
ようにエポキシ樹脂をゲタ状にシール(シール材10)
描画した。
【0040】上記基板11a及び基板11bを、互いの
ITOストライプが直交するように張り合せ、注入口と
なる第一の開口部12と流出口となる第二の開口部13
を有するセル(空セル)を構成した。セルサイズは、3
00mm×270mmである。尚、有効光学変調領域
は、シール材より各辺15mmづつ内側に入った領域内
である。
【0041】下記の化合物を、A/B1 /B2 /B3
C=80/3/3/4/5の重量比で混合し液晶組成物
を調製した。該組成物の25℃での自発分極は26nC
/cm2 、チルト角は27°であり、冷却下での液体−
スメクチックA相転移温度は75℃、スメクチックA−
カイラルスメクチックC相転移温度は45℃、カイラル
スメクチックC−結晶相転移温度は0℃であった。尚、
上記液晶組成物のチルト角及び自発分極は、以下のよう
にして測定することができる。
【0042】[チルト角の測定]±30〜±50V、1
〜100HzのAC(交流)を液晶素子の上下基板間に
電極を介して印加しながら、直交クロスニコル下、その
間に配置された液晶素子を偏光板と平行に回転させると
同時に、フォトマル(浜松フォトニクス(株)製)で光
学応答を検知しながら、第1の消光位(透過率がもっと
も低くなる位置)及び第2の消光位を求める。そしてこ
の時の第1の消光位から第2の消光位までの角度の1/
2をチルト角とする。
【0043】[自発分極の測定方法]自発分極は、K.
ミヤサト他「三角波による強誘電性液晶の自発分極の直
接測定方法」(日本応用物理学会誌22、10号(66
1)1983、”Direct Method wit
h Triangular Waves for Me
asuring Spontaneous Polar
ization inFerroelectric L
iquid Crystal ”,as descri
bed by K.Miyasato et al(J
ap.J.Appl.Phys.22.No.10,L
661(1983)))によって測定した。
【0044】
【化2】
【0045】この液晶組成物を液晶皿に盛り、一度80
℃に加熱し等方相(液体相)として脱泡処理を行った。
この脱泡済みの液晶にセルの第一の開口部12を含浸
し、図2のように加圧槽17内にセルの第一の開口部1
2と有効光学変調領域16全体が封入されるようにセル
1をセットした。加圧槽17とセル1の第二の開口部1
3側のパッキングにはシリコンゴムを用いた。
【0046】セル1をセットした加圧槽17を恒温槽
(不図示)内に入れ、液晶皿18中の液晶が等方相(液
体相)に転移する温度、90℃に加熱し、相転移を確認
した後、加圧槽17内の圧力を2(kgf/cm2 )に
した。つまり、第一の開口部(注入口)側の圧力P1
有効光学変調領域の圧力P3 =2(kgf/cm2 )、
第二の開口部(流出口)側の圧力P2 =1(kgf/c
2 )の圧力条件で第一の開口部12からセル1内へ液
晶を注入した。注入開始から4時間後に、加圧槽17内
を約2分間かけて徐々に1(kgf/cm2 )まで戻
し、温度を1℃/minの降温速度で室温まで下げた。
【0047】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、種々の評価を行った。
【0048】注入状態を観察したところ、未注入領域は
存在せず注入状態は良好で、注入口(第一の開口部)側
と流出口(第二の開口部)側で液晶分子の配向状態に違
いはなかった。
【0049】続いて、素子の有効光学変調領域に、各辺
で等間隔となるように5×5のポイントを設定し、各ポ
イントにおいてリタデーションを測定し(OLYMPU
S製リタデーション測定装置、RA100使用)、その
値に基づいて各ポイントでのセルギャップを求め、その
分布を評価した。この結果、有効光学変調領域内のセル
ギャップの分布は2.6±0.05μmで面内均一であ
った。
【0050】また、素子のしきい値特性を、図11に示
す駆動波形を用い(セル全面を白に書込む)、Vop=V
1 +V2 =15V(バイアス比=V2 /Vop=1/3)
とし1Hを変化させた際(徐々に大きくする)、有効光
学変調領域内の最も早く白反転する箇所の1Hと、最も
遅く白反転する箇所の1Hの差を測定することで評価し
たところ、有効光学変調領域内全面でムラはなかった。
【0051】なお、本実施例における液晶注入時には、
第二の開口部13(流出口)から液晶が約30mm3
出しており、この量はセル内容積の約14%に相当す
る。
【0052】(実施例2)本実施例では、図5に示すよ
うな構造のセル2(空セル)を作製した。本実施例で得
たセルの構造は主要部では実施例1のもの(図1に示す
セル)と同様であるが、注入口となる第一の開口部側で
一対の基板を正対させず、一方の基板(11b)端部の
みを突出させ、その液晶が注入される側の面であって、
基板11bに描画されるシール材10の位置に対応する
ようにUV硬化性樹脂を接着し、土手71を形成した。
【0053】このセル2に実施例1と同じ液晶を第一の
開口部12側の土手71に囲まれた内側の領域に図6に
示すように垂らし(符号の72が液晶である)、加圧槽
17内に第一の開口部12と有効光学変調領域16が封
入されるように設置した。この時、液晶72が注入口と
なる第一の開口部12を塞ぐように、流出口となる第二
の開口部13よりも第一の開口部12が高くなるように
傾けた。加圧槽17とセル2の流出口側のパッキングに
はシリコンゴムを用いた。
【0054】セル2をセットした加圧槽17を恒温槽
(不図示)内に入れ、液晶が等方相(液体相)に転移す
る温度、90℃に加熱し、相転移後、加圧槽17内の圧
力を2(kgf/cm2 )にした。つまり、第一の開口
部(注入口)側の圧力P1 =有効光学変調領域の圧力P
3 =2(kgf/cm2 )、第二の開口部(流出口)側
の圧力P2 =1(kgf/cm2 )の圧力条件で第一の
開口部12からセル2内へ液晶を注入した。注入開始か
ら4時間後に、加圧槽17内を約2分間かけて徐々に1
(kgf/cm2 )まで戻し、温度を1℃/minの降
温速度で室温まで下げた。
【0055】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、種々の評価を行った。
【0056】注入状態を観察したところ、未注入領域は
存在せず注入状態は良好で、注入口(第一の開口部)側
と流出口(第二の開口部)側で液晶分子の配向状態に違
いはなかった。
【0057】また、実施例1と同様に面内のセルギャッ
プの分布を評価したところ、2.6±0.05μmであ
りほぼ均一であった。更に、実施例1と同様にしきい値
特性を評価したところ、有効光学変調領域内で全面にム
ラはなかった。
【0058】なお、本実施例における液晶注入時には、
流出口(第二の開口部13)から液晶が約35mm3
出しており、この量はセル内容積の約17%に相当す
る。
【0059】(実施例3)本実施例においても、図5に
示したような平面構造であって、図1(B)に示す断面
構造のセル(空セル)を作製した。但し、実施例1にお
ける配向制御層15bの代わりにポリイミド膜15aを
形成した。
【0060】ガラス基板11aと基板11bの一方の主
面側に夫々ITOからなる透明電極14a,14bを1
00nmの厚さにスパッタ法によって形成し、ホトリソ
法によってストライプ状にパターニングする。この上に
ポリイミド膜(東レ社製のLP64)をスピンコート法
によって形成する。なおこの膜は、LP64のNMP/
nBC=2/1の0.7重量%溶液を2700rpmで
スピンコートし、その後、80℃で5分間前乾燥を行っ
た後、200℃で1時間加熱焼成処理を施し形成した。
かかるポリイミド膜15aの膜厚は5nmであった。
【0061】次に、ポリイミド膜をナイロン布で擦りポ
リイミド膜に一軸性配向処理を施した。その後、純水で
満たされた槽に基板を入れ、超音波をかけ30分間洗浄
し、窒素ブローで水滴を飛ばした後、60℃のオーブン
で30分間乾燥した。
【0062】そして、一方の基板に直径6μmのシリカ
ビーズをエタノールに分散し、スピンコート散布した。
ビーズ密度は約300個/mm2 とした。他方の基板に
は、エポキシ樹脂をディスペンサーによって図1に示す
ようにゲタ状にシール描画し、両基板をITOストライ
プが直交するように、そしてラビング方向がほぼ90度
をなすように張り合せた。セルサイズは、300mm×
270mmである。尚、有効光学変調領域は、シール材
より各辺15mmづつ内側に入った領域内である。
【0063】尚、本実施例においても、実施例2と同様
にしてセルの注入口となる第一の開口部にUV硬化性樹
脂を用いて土手71を形成した(図5参照)。
【0064】その後、脱泡済みの液晶(BDH社製のE
7)をセルの注入口となる第一の開口部12側の土手7
1に囲まれた内側の領域に垂らし、図6の様に加圧槽1
7内に第一の開口部12と有効光学変調領域16が封入
されるように設置した。この時、液晶72が注入口(第
一の開口部12)を塞ぐように、流出口(第二の開口部
13)よりも第一の開口部12が高くなるように傾け
た。加圧槽17とセルの流出口側のパッキングにはシリ
コンゴムを用いた。
【0065】セルをセットした後、室温で加圧槽17内
の圧力を2(kgf/cm2 )にした。つまり、第一の
開口部(注入口)側の圧力P1 =有効光学変調領域の圧
力P3 =2(kgf/cm2 )、第二の開口部(流出
口)側の圧力P2 =1(kgf/cm2 )の圧力条件で
液晶を注入した。注入開始から7時間後に、加圧槽内を
約2分間かけて徐々に1(kgf/cm2 )まで戻し
た。
【0066】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、種々の評価を行った。
【0067】注入状態を観察したところ、注入状態は良
好で、注入口側と流出口側で液晶分子の配向状態に違い
はなかった。
【0068】また、実施例1と同様に有効光学変調領域
内のセルギャップを測定したところ、基板間隔は6±
0.1μmで面内均一であった。
【0069】尚、本実施例における液晶注入時には、流
出口(第二の開口部13)から液晶が約30mm3 流出
しており、この量はセル内容積の約6%に相当する。
【0070】(実施例4)実施例2と同様のセルを作製
した。但し、本実施例ではセル2を図7の様に第一の開
口部12側のみを加圧槽17内に封入し、これを恒温槽
(不図示)内に入れ、液晶が等方相(液体相)に転移す
る温度、90℃に加熱し、転移後加圧槽17内の圧力を
1.2(kgf/cm2 )にした。つまり、第一の開口
部(注入口)側の圧力P1 =1.2(kgf/cm
2 )、第二の開口部(流出口)側の圧力P2 =1(kg
f/cm2 )、更に有効光学変調領域の加わる圧力を実
質的に流出口側と同様にした圧力条件で液晶の注入を行
った。注入開始から20時間後に、加圧槽内を約2分間
かけて徐々に1(kgf/cm2 )まで戻し、温度を1
℃/minの降温速度で室温まで下げた。
【0071】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、種々の評価を行った。
【0072】注入状態を観察したところ、注入状態は良
好で、注入口側と流出口側で液晶分子の配向状態に違い
はなかった。更に、実施例1と同様にしきい値特性を評
価したところ、有効光学変調領域内で全面にムラはなか
った。
【0073】なお、本実施例における液晶注入時には、
流出口(第二の開口部13)から液晶が約40mm3
出しており、この量はセル内容積の約19%に相当す
る。
【0074】(参考例1)実施例1と同様に図1に示す
ような構造のセル1(空セル)を作製した。このセルの
注入口となる第一の開口部12を実施例1と同様に液晶
皿中に充填された脱泡済みの液晶(実施例1と同様の材
料)に含浸し、図8のように加圧槽17内に注入口12
部分が封入されるようにセットした。注入口12側と、
流出口となる第二の開口部13・有効光学変調領域16
側とを隔てるパッキングにはシリコンゴムを用いた。
【0075】セル1をセットした加圧槽17を恒温槽
(不図示)内に入れ、液晶皿18中の液晶19が液体相
に転移する温度、90℃に加熱し、相転移後、加圧槽1
7内の圧力を2(kgf/cm2 )にした。つまり、第
一の開口部(注入口)側の圧力P1 =2(kgf/cm
2 )、第二の開口部(流出口)側の圧力P2 =有効光学
変調領域にかかる圧力P3 =1(kgf/cm2 )の圧
力条件で液晶の注入を行った。注入開始から6時間後
に、加圧槽17内を約2分間かけて徐々に1(kgf/
cm2 )まで戻し、温度を1℃/minの降温速度で室
温まで下げた。
【0076】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、実施例1と同様に有効光学
変調領域内でのセルギャップを測定したところ、一対の
基板間隔は、セル中央部が3.0μmであるのに対し、
流出口側は部分的に2.6μm程度と面内均一性が必ず
しも充分ではないことがあった。
【0077】(参考例2)実施例1に準じて図1(B)
に示す断面構造のセル(空セル)を作製した。ただし、
本例ではシール材パターン10の形状を図9のように
し、開口部(12’)を1つとして流出口となる開口部
は設けなかった。尚、開口部12’の幅は230mmと
した。
【0078】このセルに真空注入法により実施例1と同
じ液晶を注入した。具体的には、液晶を注入する前に真
空容器内でセルを100℃に温め、10-6torrに減
圧して24時間保った後、10-2torrにN2 でリー
クし、一度90℃に加熱し脱泡した液晶を注入口となる
開口部12’に含浸し、90℃に加熱後、約2分間かけ
て徐々に大気圧に戻した。10時間後に、温度を1℃/
minの降温速度で室温まで戻し、セルを取り出した。
【0079】次に、セルの開口部12’に付着した液晶
を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボンド、
EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬化剤
0.84の比率で調合し、ディスペンサーで開口部1
2’に塗布し封口した後、種々の評価を行った。
【0080】注入状態を観察したところ、図10に示す
ように注入口12’と相対するシール10際において配
向が他の部分と異なる領域が発生していた。この領域の
しきい値特性について評価したところ、他の領域より
1.5倍から2倍程度高く、その面積は全注入領域(セ
ル内領域)の約10%であった。
【0081】(参考例3)実施例1と同様に図1に示す
ような構造のセル1(空セル)を作製した。このセルの
注入口となる第一の開口部12を実施例1と同様に液晶
皿中に充填された脱泡済みの液晶に含浸し、図2のよう
に加圧槽17内にセットした。加圧槽17とセルのパッ
キングにはシリコンゴムを用いた。
【0082】セル1をセットした後、室温(液晶がカイ
ラルスメクチック相をとる温度)で加圧槽17内の圧力
を2(kgf/cm2 )にした。つまり、第一の開口部
(注入口)側の圧力P1 =2(kgf/cm2 )、第二
の開口部(流出口)側の圧力P2 =1(kgf/cm
2 )の圧力条件で液晶の注入を行った。注入開始から4
時間後に、加圧槽17内を約2分間かけて徐々に1(k
gf/cm2 )まで戻した。
【0083】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、注入状態を観察したとこ
ろ、液晶はほとんど注入されていなかった。
【0084】(実施例5〜11及び参考例4〜7)実施
例1と同様の設計、同様の条件で、図1(A)に示す平
面構造であり、且つ同図(B)に示す断面構造のセル1
(空セル)を作製した。
【0085】続いて、実施例1で用いたものと同様の処
方の液晶組成物を液晶皿に盛り、一度80℃に加熱し、
脱泡処理を行った。この脱泡済みの液晶に上記のように
作製したセル1の第一の開口部(注入口)を含浸せし
め、該セルを、図4に示す分割制御可能な加圧槽21,
22,23にセットした。セルの各領域と加圧槽21,
22,23はシリコンゴムを用いてパッキングした。こ
のようにセルをセットした加圧槽21,22,23を治
具ごと恒温槽(不図示)に入れ、液晶が等方相(液体
相)に転移する温度、90℃に加熱し、相転移後各加圧
槽での圧力(P1 ,P2 ,P3 )を下記表1に示すよう
な種々の条件に設定し、第一の開口部からセル内に液晶
を充填させた。注入開始から4時間後、温度を1℃/m
inの降温速度で室温まで下げた後、全ての加圧槽内を
約2分間かけて徐々に1kgf/cm2 まで戻した。
【0086】次に、セルの注入口及び流出口に付着した
液晶を乾拭きした後、2液性の接着剤(ストラクトボン
ド、EW−460NF、三井東圧化学製)を主剤2:硬
化剤0.84の比率で調合し、ディスペンサーで2つの
開口部に塗布し封口した後、各セルについて実施例1と
同様に有効光学変調領域内のセルギャップの測定を行
い、液晶の注入状態を観察した。その結果を第二の開口
部から流出した液晶量とともに下記表1に併記する。
【0087】表1に示す結果より明らかなように、空セ
ルに対し注入口と流出口との差圧をもって液晶を充填す
る際には、特にセルの有効光学変調領域に対する圧力P
3 と、注入口にかかる圧力P1 の関係を、−1kgf/
cm2 ≦P1 −P3 ≦0.5kgf/cm2 、特に−
0.5kgf/cm2 ≦P1 −P3 ≦0.3kgf/c
2 、とすることが液晶のより有効な充填を実現する上
で好ましい。
【0088】
【表1】
【0089】(注入結果) ◎ :有効光学変調領域内において、未充填領域が全く
なく、且つ有効光学変調領域でセルギャップの最大値と
最小値の差が0.2μm以下○ :有効光学変調領域内
において、未充填領域が全くなく、且つ有効光学変調領
域でセルギャップの最大値と最小値の差が0.2μmを
超え0.4μm以下 ×1:有効光学変調領域内において液晶未充填領域があ
るもの ×2:有効光学変調領域内においてセルギャップの最大
値と最小値との差が0.4μmを超えるもの
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果を奏する。 (1)セル内への液晶注入及びセル外への流出を所定時
間連続的に行う為、セル内に不純物が残留している場合
であっても、当該不純物で汚染された液晶を排出するこ
とができ、液晶汚染による表示品位の劣化を防止するこ
とができる。 (2)液晶注入時において、加熱によって液晶の粘度を
下げた状態で液晶注入を行うことで、粘性の高い液晶材
料、例えばスメクチック液晶をも短時間で注入すること
ができる。またこの場合、液晶材料が最も蒸発しやすい
液体相まで加熱されていても、当該液晶材料は減圧状態
に曝されないため、蒸気圧の高い液晶材料、特にフッ素
含有率が高い液晶材料であっても蒸発は改善され、これ
による液晶材料の変質も防止される。 (3)セル内の真空引きを必要とせず、かつ、注入口と
流出口との圧力差を利用するため、注入工程に要する時
間を短縮できると共に、注入速度を制御することもでき
る。 (4)パネル面内での液晶分子の配向状態を均一にで
き、有効光学変調領域内全面でしきい値特性にむらの無
い高品位な液晶素子が得られる。 (5)注入口部にかかる圧力P1 と有効光学変調領域に
かかる圧力P3 を近い値に設定した場合には、液晶の加
熱を最小限に、液晶材料によっては実質的に加熱を要す
ることなく注入することもできる。また、P1 <P3
場合には、セルギャップの均一化がより好ましく実現さ
れ、P1 >P3 の場合には、セル内に空隙が生じる問題
をより好ましく防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で作製するセル(空セル)の構造
の一例を示す平面図及び断面図である。
【図2】本発明における液晶充填工程の一例を説明する
ための模式図である。
【図3】本発明で空セルに形成する第一及び第二の開口
部のパターンの例を示す図である。
【図4】本発明における液晶充填工程の他の例を説明す
るための模式図である。
【図5】本発明の方法で作製するセル(空セル)の構造
の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明における液晶充填工程の更に他の例を説
明するための模式図である。
【図7】本発明における液晶充填工程の更に他の例を説
明するための模式図である。
【図8】本発明における液晶充填工程の更に他の例を説
明するための模式図である。
【図9】参考例で作製するセル(空セル)の構造の示す
平面図である。
【図10】参考例で作製するセル(空セル)を用いた場
合における液晶注入状態を説明するための模式図であ
る。
【図11】実施例において液晶素子のしきい値特性を測
定する際に用いた駆動波形を示す図である。
【符号の説明】
1,2,2’ セル(空セル) 10 シール材パターン 11a,11b ガラス基板 12 第一の開口部(注入口) 13 第二の開口部(流出口) 14a,14b 透明電極 15a 配向制御層 15b 配向制御層 16 有効光学変調領域 17 加圧槽 18 液晶皿 19 液晶 21,22,23 加圧槽 71 土手 72 液晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−230091(JP,A) 特開 平6−82737(JP,A) 特開 平6−180457(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1341

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)一対の基板を対向配置し、第一の開
    口部と、第二の開口部を有するセルを形成する工程と、 b)該セル内に充填すべき液晶を加熱する工程と、 c)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
    力差を設け、加熱された液晶を第一の開口部から、所定
    の時間、該セル内に注入し且つセル内を通過してきた液
    晶を第二の開口部から排出させながら、セル内に前記液
    晶を充填する工程と、を有し、 該工程c)において、第一の開口部の圧力、第二の開口
    部の圧力、セルの有効光学変調領域にかかる圧力を分割
    して制御する ことを特徴とする液晶素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 工程b)において、液晶を液体相にまで
    加熱する請求項1に記載の液晶素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 液晶としてスメクチック中間相をもつ、
    あるいは潜在的スメクチック中間相を持つ成分を含有す
    る液晶組成物を用いる請求項1に記載の液晶素子の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 液晶としてカイラルスメクチック相を呈
    する液晶を用いる請求項3に記載の液晶素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 液晶としてフルオロカーボン末端部分及
    び炭化水素末端部分を有し、該両末端部分が中心核によ
    って結合され、スメクチック中間相又は潜在的スメクチ
    ック中間相を持つフッ素含有液晶化合物を用いる請求項
    3に記載の液晶素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 工程c)において、前記第一の開口部の
    圧力をP1、前記第二の開口部の圧力をP2として、これ
    らの関係を0.1kgf/cm2≦P1−P2≦5.0k
    gf/cm2とする、請求項1に記載の液晶素子の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 工程c)において、前記第一の開口部の
    圧力をP1、前記第二の開口部の圧力をP2として、これ
    らの関係を0.3kgf/cm2≦P1−P2≦2.5k
    gf/cm2とする、請求項1に記載の液晶素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 工程c)において、前記第一の開口部の
    圧力をP1、前記第二の開口部の圧力P2、前記セルの有
    効光学変調領域にかかる圧力をP3として、これらの関
    係をP1>P2であり、且つ−1kgf/cm2≦P1−P
    3≦0.5kgf/cm2とする、請求項1に記載の液晶
    素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 工程c)において、前記第一の開口部の
    圧力をP1、前記第二の開口部の圧力P2、前記セルの有
    効光学変調領域にかかる圧力をP3として、これらの関
    係をP1>P2であり、且つ−0.5kgf/cm2≦P1
    −P3≦0.3kgf/cm2とする、請求項1に記載の
    液晶素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 工程c)において、液晶をセル容積の
    10%以上排出させる請求項1に記載の液晶素子の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 工程c)において、液晶をセル容積の
    5%以上排出させる請求項1に記載の液晶素子の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記セルが四辺形状であり、該セルに
    おける第一の開口部及び第二の開口部が、四辺形の対辺
    に存在する請求項1に記載の液晶素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記セルが四辺形状であり、該セルに
    おける第一の開口部及び第二の開口部の少なくとも一方
    が、四辺形の一辺の実質的に全幅に亘る請求項1に記載
    の液晶素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 a)一対の基板を対向配置し、第一の
    開口部と、第二の開口部を有するセルを形成する工程
    と、 b)該セル内に充填すべき液晶を加熱する工程と、 c)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
    力差を設け、加熱された液晶を第一の開口部から、所定
    の時間、該セル内に注入し且つセル内を通過してきた液
    晶を第二の開口部から排出させながら、セル内に前記液
    晶を充填する工程と、を有し、 該工程c)において、第一の開口部の圧力をP 1 、第二
    の開口部の圧力P 2 、セルの有効光学変調領域にかかる
    圧力をP 3 として、これらの関係をP 1 >P 2 であり、且
    つ−1kgf/cm 2 ≦P 1 −P 3 ≦0.5kgf/cm 2
    とする、ことを特 徴とする 液晶素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 a)一対の基板を対向配置し、第一の
    開口部と、第二の開口部を有するセルを形成する工程
    と、 b)該セル内に充填すべき液晶を加熱する工程と、 c) 該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
    力差を設け、加熱された液晶を第一の開口部から、所定
    の時間、該セル内に注入し且つセル内を通過してきた液
    晶を第二の開口部から排出させながら、セル内に前記液
    晶を充填する工程と、を有し、 該工程)において、第一の開口部の圧力をP1、第二
    の開口部の圧力P2、セルの有効光学変調領域にかかる
    圧力をP3として、これらの関係をP1>P2であり、且
    −0.5kgf/cm2≦P1−P30.3kgf/
    cm2とする、ことを特徴とする液晶素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 a)一対の基板を対向配置し、第一の
    開口部と、第二の開口部を有するセルを形成する工程
    と、 b)該セルにおける第一の開口部及び第二の開口部に圧
    力差を設け、液晶を第一の開口部から、所定の時間、該
    セル内に注入し且つセル内を通過してきた液晶を第二の
    開口部から排出させながら、セル内に前記液晶を充填す
    る工程と、を有し、 該工程b)において、第一の開口部の圧力をP 1 、第二
    の開口部の圧力P 2 、セルの有効光学変調領域にかかる
    圧力をP 3 として、これらの関係をP 1 >P 2 であり、且
    つ−1kgf/cm 2 ≦P 1 −P 3 ≦0.5kgf/cm 2
    とする、ことを特徴とする液晶素子の製造方法。
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