JPH0972965A - 気象擾乱の予測方法 - Google Patents

気象擾乱の予測方法

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JPH0972965A
JPH0972965A JP23103295A JP23103295A JPH0972965A JP H0972965 A JPH0972965 A JP H0972965A JP 23103295 A JP23103295 A JP 23103295A JP 23103295 A JP23103295 A JP 23103295A JP H0972965 A JPH0972965 A JP H0972965A
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Masatoshi Furuya
雅年 古谷
Hideyuki Tadokoro
秀之 田所
Hideaki Nagarei
英明 永礼
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 気象擾乱のセルの発達フェーズの違いを考慮
して、レーダー雨量計による計測値の短時間先予測、及
び、予測結果を表示する方法を提供することにある。 【構成】 降雨強度などの第1の物理量であるwを計測
するとともに、w以外の雲頂高度などの第2の物理量で
あるzを計測し、計測されたzから移動ベクトルを算出
し(11)、算出された移動ベクトルとzからから気象
擾乱の発達の特性を表す発達特性曲線を同定する(1
2)とともに、zから気象擾乱の相関関係を表す相関曲
線を同定し(13)、さらに移動ベクトルを予測し(1
4)、移動ベクトル、発達特性曲線、相関関係曲線およ
びwからwの所定時間先の状態を予測する(21)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気象擾乱の所定時間先
の状態を予測する気象擾乱の予測方法に係る。より具体
的に説明すれば、気象擾乱の発達・移動の短時間先予測
方法に関し、特に、空間スケール数km〜数百km、生
成から消滅までの寿命がおよそ1時間〜1日程度の気象
擾乱の状態の予測方法に関する。
【0002】また、予測した状態の表示方法にも関す
る。
【0003】
【従来の技術】都市部では、市街地の整備に伴い、舗装
率が向上し、雨水が地下浸透せずに流出することによる
洪水、浸水の危険性が高くなっている。この危険を回避
するために、管渠網、排水ポンプ、貯溜池、浸透ますな
どを整備し、これら施設の適切な運転、運用による雨水
排水、雨水貯溜、雨水浸透などを行なっている。この適
切な運転、運用のためには、豪雨をもたらす気象擾乱の
短時間先予測をする必要がある。
【0004】このような気象擾乱の短時間先予測方法と
して、従来、レーダー雨量計によりレーダー反射因子分
布(または反射因子を降雨強度に換算したものの分布)
を測定、算出し、この分布の動きを追跡する方法などが
用いられている。
【0005】例えば、下水道協会誌論文集、vol.28、N
o.330、P1-P13、「雨水排水システムのための短時間降
雨量予測法の構築」には、(1)雨域の移動は雨域の重
心点の移動として外挿し、(2)雨域の発達は雨域の平
均の変化として外挿する方法がある。
【0006】また、第28回水理講演会論文集、P423-P
428、「移流モデルによる短時間降雨予測手法の検討」
には、簡単な移流モデルを導入し、計測値からこのモデ
ルパラメータを同定し、このパラメータを使って、移流
モデルにより雨域の発達・移動を予測する方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に、雨域、もしく
は、雨域をもたらす雲は、いくつかのセルに分けて考え
ることができるが、これらセルは発達中のものもあれば
減衰中のものもある。また、その発達、減衰速度も急激
なときもあれば緩やかなときもある。このような複雑な
様相を呈する気象擾乱に対して、過去のトレンドから移
動分や発達分を単純に外挿するだけでは、短時間先予測
には不十分である。特に、発達分は移動分と比較して短
時間での影響が大きいため、発達の物理過程を十分考慮
する必要がある。
【0008】雲の発達の物理過程の特徴をよく表す物理
量として、雲頂高度(または温度)、雲量、電位差、上
昇気流などがあり、これら物理量を測定する計測器(セ
ンサ)として、気象衛星赤外画像、気象衛星可視画像、
雷探知器、ドップラーレーダー、風速計などがある。
【0009】本発明の目的は、上記のような発達の物理
過程の特徴をよく表す物理量の計測値とレーダー雨量計
による計測値とを統合することにより、気象擾乱のセル
に対する発達過程をとらえ、レーダー雨量計による計測
値の短時間先予測を行なう方法を提供することにある。
また、予測された結果を表示する方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の短時間先予測の目
的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用し
た。
【0011】今、雲頂高度(または温度)、雲量、電位
差、上昇気流の大きさなど、発達過程の特徴を表す物理
量をzと表記する。また、予測が行なわれるレーダー反
射因子、または、降雨強度をwと表記する。z、wは空
間的な分布として計測される。
【0012】(1)ある方法で算出した移動ベクトル
(dx、dy)に基づいて、2つの時刻で得られたz、
z’を対応する点で比較照合し、(z,z’)のペアを
求め、横軸をz’−z,縦軸をzとした平面にプロット
し、この平面にプロットされた点の分布を近似する1つ
の発達特性曲線を求める処理 (2)ほぼ同時刻に得られたzとwの対応する点を比較
照合し、(z,w)のペアを求め、横軸をw、縦軸をz
とした平面にプロットし、この平面にプロットされた点
の分布を近似する1つの相関関係曲線を求める処理 (3)ある地点(xi,yi)を選択し、この地点にお
けるwiを求め、wiに対応するziを相関関係曲線よ
り求め、このziを基点zi(0)として、発達特性曲
線に従って、ziの短時間先予測値zi(t)を求め、
zi(t)に対応するwi(t)を相関関係曲線より求
め、ある方法で算出した予測移動ベクトル(dx
(t)、dy(t))とwi(t)とに基づいて、地点
(xi,yi)の予測移動先でのwiの予測値を求める
処理を有効な範囲の地点全てに対して行なう処理 また、上記の予測結果の表示の目的を達成するために、
以下の3つの処理のいずれかを有することを特徴とす
る。
【0013】上記(1)(2)の処理によって短時間先
予測を行なったとき、発達特性曲線に基づいて、wの予
測値を発達期、成熟期、減衰期などの発達フェーズのい
ずれかに分類した上で、 (4)隣接するwの予測値の発達フェーズが異なると
き、この隣接するwの境界に線を入れる処理 (5)発達フェーズごとに、特定の記号を定めておき、
この記号をwの予測結果の表示に重ねて表示する処理 (6)発達フェーズごとに、色の系統を定めておき、こ
の色の系統に基づいて、wの予測結果を表示する処理
【0014】
【作用】上記処理(1)の新しさは、2つの時刻から得
られた情報だけから雲の発達の一連の過程を同定するこ
とにある。これは、同じ時刻の雲でも、それぞれのセル
の発達フェーズはばらばらであることを利用している。
もし、従来のように雲全体を1つのかたまりとみなし
て、一連の発達の過程を捉えようとすれば、雲が生成を
始めてから雲全体が消滅するまで追跡しなければならな
くなる。
【0015】上記処理(1)によれば、発達期にあるも
のは、平面の右側に分布し、発達速度の速いものほど、
より右側になる。逆に、減衰期にあるものは、平面の左
側に分布し、減衰速度の速いものほど、より左側にな
る。成熟期にあるものは平面の中央(縦軸)付近に分布
する。これら、分布を1つの曲線で近似すると、それが
発達特性曲線である。この発達特性曲線に対する分布の
ばらつきが小さいほど、対象としている気象擾乱の発達
過程が一様であると言え、発達の予測精度が高くなる。
この発達特性曲線を求めておけば、任意の値から発達、
成熟、減衰の過程をたどりながら予測できる。このこと
は、より長い時間先の予測に効果が現れる。
【0016】上記処理(2)の新しさも、処理(1)の
ものと同様で、1つの時刻の比較で雲の発達の一連の過
程に対応する降水量を同定することにある。
【0017】上記処理(2)によれば、気象擾乱ごとに
zとwの相関関係がわかる。求めた相関関係曲線に対す
る分布のばらつきが小さいほど、zとwの相関関係は強
いと言え、変換の精度が高くなり、発達に特徴的な物理
量zを介して、wの発達を予測できる。
【0018】上記処理(3)によれば、移動ベクトル、
相関関係曲線、発達特性曲線を介して、任意の地点の短
時間先の移動地点、及び、その移動地点におけるwの予
測値を算出できる。有効な範囲の地点全体に対してこの
処理を行なえば、wの短時間先予測値の空間分布が求ま
る。
【0019】一方、wの予測値をメッシュごとに、色の
階調、または、数値で表示したとして、上記処理(4)
によれば、発達期にあるメッシュ、減衰期にあるメッシ
ュなどを取り囲むようにに線が表示される。この表示に
より気象擾乱において発達フェーズが異なる境界がわか
る。
【0020】上記処理(5)によれば、例えば、発達期
にあるメッシュには○、減衰期にあるメッシュにはXと
いうような記号をつければ、そのメッシュがどの発達フ
ェーズにあるのかがわかる。なお、処理(4)と処理
(5)を合わせて、境界線に囲まれている領域に1つだ
け記号を付すこともできる。
【0021】上記処理(6)によれば、例えば、発達期
にあるメッシュには赤系統、減衰期にあるメッシュには
青系統というように色の系統を定めておけば、そのメッ
シュがどの発達フェーズにあるのかがわかる。この場合
には、処理(4)を利用しなくても発達フェーズが異な
る境界がわかる。
【0022】
【実施例】本発明の説明においては、発達の物理過程の
特徴を表す物理量zとして、気象衛星の赤外画像による
雲頂高度を用いる。zとしては、その他に、雲頂温度、
雲量、電位差、気流などを採用してもよい。
【0023】図1は、本発明の気象擾乱の発達・移動の
把握による短時間先予測方法全体の処理とデータの流れ
を示したものである。
【0024】処理は、zの空間分布を計測する時間間隔
tzごとに行われるブロック101と、レーダー雨量計
による計測値wの空間分布を計測する時間間隔twごと
に行われるブロック102とに分かれる。ここで、計測
値wは、レーダー反射因子Dでも、それを次式のB−β
変換により降雨強度Rに換算したものでもよい。
【0025】
【数1】
【0026】ここで、B,βはパラメータである。以下
ではwをレーダー反射因子として説明する。また、時間
間隔tzとtwとは一致している必要はなく、例えば、
気象衛星赤外画像ならば30分、レーダー雨量計ならば
5分が標準的である。さらに、それぞれの空間分解能も
一致している必要はない。
【0027】はじめに、ブロック101について説明す
る。ブロック101は、移動ベクトルを算出する処理1
1と、zの発達過程を同定する処理12と、zとwとの
相関を同定する処理13と、次の移動ベクトルを予測す
る処理14とからなる。
【0028】移動ベクトル(dx,dy)を算出する処
理11は、従来より用いられている相互相関係数法や重
心法などの方法をそのまま適用してもよく、また、上層
計測による風向・風速を移動ベクトルとしてもよい。こ
こでは、赤外画像のしきい値処理した画像によるパター
ンマッチング処理による移動ベクトルの算出方法につい
て説明する。
【0029】図2は、移動ベクトルの一算出方法の説明
図である。処理211は、連続する2時刻で得られた気
象衛星による赤外画像201、202の雲頂高度をしき
い値処理し、2値画像203、204に変換する。図で
は0、1に2値化している。処理212は、203の画
像から1に符号化されたある領域205を完全に含む閉
領域206を取り出し、204の画像から、閉領域20
6と全く同じ大きさの閉領域207を任意に選択する。
処理213は、2つの閉領域を比較照合し、0と0が対
応している点、及び、1と1が対応している点の数をカ
ウントする。処理212,213をくり返し、処理21
4は、カウントが最大になるように選んだ閉領域207
を、閉領域206の移動とみなし、移動ベクトル(d
x,dy)208を算出する。この方法は、相互相関係
数法による比較照合を2値化により簡素化したものとみ
なせる。なお、このままでは閉領域207を選択する候
補が多く、処理に時間がかかるので、1時刻前(ここで
はtz前)に算出した移動ベクトルを参照するなどし
て、選択する候補をある範囲にしぼり、全体の処理時間
を短くするのが望ましい。
【0030】次に、zの発達過程を同定する処理12を
説明する。図3は本発明の物理量の発達過程を同定する
方法の説明図である。
【0031】移動ベクトルを算出する処理11によって
算出された移動ベクトル(dx,dy)208を用い
て、処理311は、連続する2時刻で得られた気象衛星
による赤外画像201、202の対応する点を比較照合
する。ここで、赤外画像201の雲頂高度をz、赤外画
像202の雲頂高度をz’と表記する。例えば、赤外画
像201の点(x1、y1)の雲頂高度がz1ならば、
比較照合されるのは、赤外画像202の点(x1+d
x、y1+dy)の雲頂高度z1’である。このように
して、いくつかのzとz’のペアが求まる。処理312
は、横軸にz’−z、縦軸にzをとり、この平面に比較
照合したzとz’のペア301をプロットし、これらの
ペアを最もよく近似する1つの発達特性曲線302を求
める。発達特性曲線302を求めるには、最小2乗法な
どを活用すればよい。この方法の新しさは、2つの時刻
から得られた情報だけから雲の発達の一連の過程を同定
することにある。これは、同じ時刻の雲でも、それぞれ
のセルの発達フェーズはばらばらであることを利用して
いる。もし、従来のように雲全体を1つのかたまりとみ
なして、一連の発達の過程を捉えようとすれば、雲が生
成を始めてから雲全体が消滅するまで追跡しなければな
らなくなる。
【0032】次に、zとwとの相関を同定する処理13
を説明する。図4は本発明の2つの物理量の相関関係を
同定する方法の説明図である。
【0033】処理411は、赤外画像202が得られた
時刻とほぼ同じ時刻のレーダー雨量計によるレーダー反
射因子w400と、赤外画像202の雲頂高度zのの対
応する点を比較照合する。ここで、zとwとの空間分解
能が異なる場合もある。例えば、zが気象衛星の赤外画
像は5kmメッシュ、レーダー雨量計は500mメッシ
ュのように異なることがある。このような場合には、1
つの点のzに対して、比較対象となる複数のwを対応さ
せてもよいし、比較対象となるwの平均値を対応させて
もよい、例えば、赤外画像202の点(x1、y1)の
雲頂高度(または温度)がz1ならば、レーダー雨量計
の点(x1、y1)のいくつかの近傍の点のレーダー反
射因子w11、w12、w13...、または、これら
の平均値を対応させる。このようにして、いくつかのz
とwのペアが求まる。処理412は、横軸にw、縦軸に
zをとり、この平面に比較照合したwとzのペア401
をプロットし、これらのペアを最もよく近似する1つの
相関関係曲線402を求める。相関関係曲線402を求
めるには、最小2乗法などを活用すればよい。
【0034】次に、次の移動ベクトルを予測する処理1
4を説明する。移動ベクトルを算出する処理11が算出
した最新の移動ベクトル(dx、dy)208を、過去
に処理11が算出した移動ベクトルを用いて補正して、
次の移動ベクトル(dx’、dy’)501を予測す
る。一般的には、移動ベクトルの大きさの変化分と移動
ベクトルの方向の変化分のトレンドに基づいて、それぞ
れの次の変化分を推定し、これに基づいて最新の移動ベ
クトル208を補正する。
【0035】次に、ブロック102について説明する。
ブロック102は、wの短時間先予測する処理21から
なる。
【0036】図5、6は、本発明のレーダー反射因子、
または、降雨強度の短時間先予測方法の第1の説明図お
よび第2の説明図である。
【0037】処理611は、地点(xi,yi)を選択
し、この地点におけるレーダー反射因子(または降雨強
度)wiを求める。処理612は、wi701に対応す
る相関関係曲線402上のziを求める。処理613
は、zi702に対応する発達特性曲線302上の点z
i(0)を求める。なお、zi、zi(0)が相関関係
曲線402、発達特性曲線302上のどこになるのか
は、地点(xi,yi)のz,または、1時刻前(ここ
ではtw前)に処理617で求めたtw後の地点(x
i,yi)のzの予測値を蓄積したデータベース618
を参照して求める。
【0038】処理614は、発達特性曲線302に基づ
いて、zi(0)を基点として、zi(5),zi(1
0),....のように雲頂高度の短時間先予測を行な
う。処理615は、雲頂高度の予測値のそれぞれに対応
する相関関係曲線402上のwi(5),wi(1
0),....のようにレーダー反射因子(または降雨
強度)の短時間先予測値を求める。処理616は、処理
14で予測した次の移動ベクトル(dx’、dy’)5
01と、レーダー反射因子(または降雨強度)の短時間
先予測値とに基づいて、対応する移動先の短時間先予測
値を求める。つまり、地点(xi,yi)のレーダー反
射因子wiは、以下のように発達・移動すると予測され
る。
【0039】5分後、地点(xi+dx’(5),yi
+dy’(5)) レーダー反射因子wi(5) 10分後、地点(xi+dx’(10),yi+dy’
(10)) レーダー反射因子wi(10) 処理617は、処理14で予測した次の移動ベクトル
(dx’、dy’)501と、処理614で求めた雲頂
高度の短時間先予測値とに基づいて、対応する移動先の
tw後の雲頂高度の予測値をデータベース618へセー
ブし、処理612、613のための参照データとする。
【0040】処理611から処理617を有効な範囲の
地点に対して全て行なうと、レーダー反射因子の分布が
短時間先予測される。
【0041】以上、図1に示した本発明の気象擾乱の発
達・移動の把握による短時間先予測方法の処理について
説明した。さらに、若干の補足説明をする。
【0042】一般に、気象衛星による計測では、レーダ
ー雨量計にくらべて、より広範囲な分布を計測すること
ができる。また、降雨が降り始める前に雲が生成されて
いるのがほとんどであるので、降雨をもたらすような気
象擾乱をレーダー雨量計の計測よりも先に発見できる。
【0043】したがって、レーダー雨量計の計測範囲外
の地点や、レーダー雨量計のデータが0の地点に対して
も、雲に関する物理量を基点zi(0)として、処理6
14以降を行なうことで、その地点に対してのレーダー
反射因子の予測値を得ることができる。ただし、この場
合には、気象衛星の計測の空間分解能よりも細かい空間
分解能で予測することは困難である。
【0044】また、時間間隔tzとtwの違い、及び、
計測時刻のずれに伴うブロック101、ブロック102
の処理のタイミング、または、利用する情報の時刻につ
いて図1を用いて補足説明する。この説明に特に関係す
るのは、ブロック101の処理13とブロック102の
処理21である。まず、処理13であるが、これは、相
関関係について算出するものなので、原則的には同時刻
で計測されたものを用いる必要があるが、twの時間間
隔がある程度小さければ、最新で得られた第1の物理量
と比較照合することにすれば、最大ずれていたとしても
tw分である。
【0045】処理21は、予測の初期情報から追跡する
だけなので、ブロック101の最新の結果を反映しさえ
すればよく、時刻のずれに対する問題点は生じない。
【0046】次に、本発明の気象擾乱の短時間先予測結
果の表示方法について説明する。
【0047】上記で説明した短時間先予測方法を用いれ
ば、図6に示したとおり、予測したものが、発達期70
1、成熟期702、減衰期703などいくつかの発達フ
ェーズに分類することができる。このことを利用して、
通常のレーダー反射因子の分布の予測結果の表示に工夫
を施す。
【0048】図7は、本発明のレーダー反射因子の予測
結果の表示方法を示したものである。
【0049】通常、レーダー反射因子の分布の予測結果
の表示は、レーダー反射因子の値を量子化し、量子化し
た値にグレーレベル802、または、色を割り当て、表
示装置の画面801に、各レーダー反射因子の予測値を
対応する箇所に割り当てたグレーレベルを表示して、予
測分布を表示するのが一般的である。対応する箇所に数
値をそのまま表示することもある。また、予測移動ベク
トル501を表示することもある。このような表示への
追加表示として、分類した発達フェーズに基づいて、隣
接するメッシュにおいて、発達フェーズが異なるとき、
メッシュの境界に太線などの線を挿入すると、これらの
線をつなぎあわせたもの803は発達フェーズが同じ領
域を囲む。さらに、発達フェーズに記号804を割り当
て、領域上にこの記号を表示する。これによって、気象
擾乱のどの領域がどの発達フェーズにあるのかが容易に
わかる。
【0050】なお、以上の説明においては、線と記号で
発達フェーズを識別表示する方法であるが、発達フェー
ズごとに色の系統、例えば、青系統、緑系統、赤系統な
どを定めておき、それぞれの系統に対して、量子化した
値に色のレベルを割り当てて発達フェーズを識別表示す
る方法も考えられる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、レーダー雨量計のデー
タだけでなく、より発達の物理過程に特徴的な物理量デ
ータを活用して、気象擾乱のセルごとの発達の予測が可
能となり、気象擾乱の各セルの発達のフェーズの違いを
取り扱って、レーダー雨量計のデータの短時間先予測を
することができる。
【0052】また、本発明によれば、レーダー雨量計よ
りも広範囲な計測手段を用いれば、レーダー雨量計の計
測範囲外から移動してくる気象擾乱に対して予測できる
し、降雨が降り出す前に値を持つ物理量の計測手段を用
いれば、レーダー雨量計が計測値をもたない地点に対す
る予測ができ、降雨の降始めを捉えることができる。さ
らに、本発明によれば、分布の予測結果の表示におい
て、発達フェーズの異なる領域を識別することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の気象擾乱の発達・移動の把握による短
時間先予測方法の全体の処理フローを示す図である。
【図2】移動ベクトルの一算出方法の説明図である。
【図3】本発明の物理量の発達過程を同定する方法の説
明図である。
【図4】本発明の2つの物理量の相関関係を同定する方
法の説明図である。
【図5】本発明のレーダー反射因子、降雨強度の短時間
先の予測の仕方を説明する第1の説明図である。
【図6】本発明のレーダー反射因子、降雨強度の短時間
先の予測の仕方を説明する第2の説明図である。
【図7】本発明のレーダー反射因子の予測結果の表示方
法の説明図である。
【符号の説明】
501…予測移動ベクトル、302…発達特性曲線、4
02…相関関係曲線

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気象擾乱の所定の状態値である第1の物理
    量の分布を計測し、 前記第1の物理量以外の気象擾乱の所定の状態値である
    第2の物理量の分布を計測し、 前記気象擾乱の移動ベクトルを前記第2の物理量を用い
    て算出し、 前記移動ベクトルに基づいて、2時刻で計測された第2
    の物理量の分布を比較照合し、第2の物理量の時間によ
    る変化の特性を示す発達特性曲線を同定する処理と、 所定時刻における前記第1の物理量の分布と前記第2の
    物理量の分布とを比較照合し、前記第1の物理量と前記
    第2の物理量の関係を示す相関関係曲線を同定する処理
    と、 前記移動ベクトル、前記発達特性曲線および前記相関関
    係曲線に基づいて、所定時間先の前記第1の物理量の状
    態を予測することにより、気象擾乱の状態を予測するこ
    とを特徴とする気象擾乱の予測方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の気象擾乱の予測方法にお
    いて、 前記発達特性曲線は、前記移動ベクトルを用いて、2つ
    の時刻で得られた第2の物理量の対応する点を比較照合
    し、第2の物理量のペアを求め、一方の軸を該ペアの差
    分、他方の軸を該ペアのいずれかとした平面にプロット
    し、該平面にプロットされた点の分布を近似する1つの
    発達特性曲線を求めることを特徴とする気象擾乱の予測
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の気象擾乱の予測方法にお
    いて、 前記相関関係曲線処理は、前記第1の物理量と前記第2
    の物理量の対応する点を比較照合し、一方の軸を前記第
    1の物理量、他方の軸を前記第2の物理量とした平面に
    プロットし、該平面にプロットされた点の分布を近似す
    る1つの相関関係曲線を求めることを特徴とする気象擾
    乱の予測方法。
  4. 【請求項4】前記所定時間先の前記第1の物理量の状態
    は、所定の地点を選択し、該地点における第1の物理量
    を求め、該第1の物理量に対応する第2の物理量を上記
    相関関係曲線より求める処理と、 上記第2の物量量を基点として、上記発達特性曲線に従
    って、第2の物理量の短時間先予測値を求める処理と、 上記第2の物理量の短時間先予測値に対応する第1の物
    理量の短時間先予測値を上記相関関係曲線より求める処
    理と、 上記移動ベクトルに基づく予測移動ベクトルと、上記第
    1の物理量の短時間先予測値とに基づいて、先に選択し
    た地点の予測移動先での第1の物理量の所定時間先予測
    値を求める処理とを有し、 以上の処理を予め定めた複数の地点に対して行なうこと
    を特徴とする気象擾乱の予測方法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の気象擾乱の予測方法にお
    いて、 気象衛星赤外画像の計測による雲頂高度、または、雲頂
    温度を第2の物理量の分布として用いることを特徴とす
    る気象擾乱の予測方法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の気象擾乱の予測方法にお
    いて、 気象衛星可視画像の計測による雲量を第2の物理量の分
    布として用いることを特徴とする気象擾乱の予測方法。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の気象擾乱の予測方法にお
    いて、 雷探知器の計測による空間電位、または、空間電位差、
    または、電荷を第2の物理量の分布として用いることを
    特徴とする気象擾乱の発達・移動予測方法。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の気象擾乱の予測方法にお
    いて、 風速計、または、ドップラーレーダーの計測による上昇
    気流、または、下降気流の大きさを第2の物理量の分布
    として用いることを特徴とする気象擾乱の予測方法。
  9. 【請求項9】気象擾乱の所定の状態値である第1の物理
    量の分布を計測し、 前記第1の物理量以外の気象擾乱の所定の状態値である
    第2の物理量の分布を計測し、 前記気象擾乱の移動ベクトルを前記第2の物理量を用い
    て算出し、 前記移動ベクトルに基づいて、2時刻で計測された第2
    の物理量の分布を比較照合し、第2の物理量の時間によ
    る変化の特性を示す発達特性曲線を同定する処理と、 所定時刻における前記第1の物理量の分布と前記第2の
    物理量の分布とを比較照合し、前記第1の物理量と前記
    第2の物理量の関係を示す相関関係曲線を同定する処理
    と、 前記移動ベクトル、前記発達特性曲線および前記相関関
    係曲線に基づいて、所定時間先の前記第1の物理量の状
    態を予測し、 前記発達特性曲線に基づいて、予測した第1の物理量を
    予め定めた発達フェーズの所定のものに分類し、 空間的に隣接する第1の物理量の発達フェーズが異なる
    とき、該隣接する第1の物理量の境界を示す線を表示す
    ることを特徴とする気象擾乱の表示方法。
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