JPH097173A - 磁気記録媒体の製造方法及び薄膜の製造装置並びに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び薄膜の製造装置並びに磁気記録媒体

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JPH097173A
JPH097173A JP18368195A JP18368195A JPH097173A JP H097173 A JPH097173 A JP H097173A JP 18368195 A JP18368195 A JP 18368195A JP 18368195 A JP18368195 A JP 18368195A JP H097173 A JPH097173 A JP H097173A
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Kazuyoshi Honda
和義 本田
Kaji Maezawa
可治 前澤
Yoshiyuki Okazaki
禎之 岡崎
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸発原子の流れを極力乱さないガス導入を行
うことにより、薄膜の特性が均一でかつ生産性良く安定
して得ることができる磁気記録媒体及び薄膜の製造装置
及び薄膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 長尺の高分子基板4上に電子ビーム蒸着
法によって磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法に
おいて、遮蔽板の開口部を2ケ所設け、磁性層の内、基
板に近い部分を形成する第1の開口部18により形成さ
れた磁性層厚を、第2の開口部19による磁性層厚に比
べて大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体の製造
方法及び薄膜の製造装置並びに磁気記録媒体に関する。
さらに詳しくは、たとえば磁気テープなどに有用な磁気
記録媒体及び薄膜の製造装置及び薄膜の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現代社会に於て薄膜の果たす役割は非常
に広範囲であり、日常生活の様々な部分において薄膜が
利用されている。これらの中でも包装紙、磁気テープ、
コンデンサ等の用途においては、高速大量生産に有利な
連続巻取り真空蒸着が行われている。従来の連続巻き取
り真空蒸着法を図面を用いて説明すると、たとえば図2
のように長尺の高分子基板4が円筒状キャン5の周面に
沿って走行中に磁性層を電子ビーム6を用いて蒸着する
ことによって磁気記録媒体の量産が出来る。すなわち、
排気系1によって真空排気された真空槽2の中で巻き出
しロール3から回転方向12に沿って巻出された長尺の
高分子基板4は円筒状キャン5の表面に沿って走行中に
電子ビーム6を照射されている電子ビーム蒸発源7より
遮蔽板9の開口部において蒸着を受けた後に、巻き取り
ロール10に巻きとられる。その際、ガス導入ノズル8
から反応ガスを導入することによって反応蒸着を行う。
10は巻き取りロール、11はガイドロール、12は回
転方向、21は電子銃である。磁性体としてCo、また
はCo−Niを用い、ガス導入ノズル8から酸素を導入
して酸素雰囲気での反応蒸着を行う事によって長尺のC
o−O、またはCo−Ni−O磁気テープが生産でき
る。酸素雰囲気での反応蒸着を行うことにより、薄膜を
形成する結晶粒間の磁気的分離が行われ、保磁力が増加
すると共に、膜表面と結晶粒界に形成された酸化層は錆
の発生を防止し、薄膜の硬度を増して機械的耐久性を向
上する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、連続巻
取り蒸着は薄膜の量産に適した方法である。一方、情報
化社会の進展に伴って記録すべき情報量は増加の一途を
たどっており記録密度のより一層の向上が必要である。
従ってこれに応える磁気記録媒体が求められている。従
って量産性と記録再生特性の両立が求められるが、媒体
ノイズを抑えて高C/Nを得るためには現状では磁性層
を2層構造とする必要がある。そのため磁性層蒸着を2
度繰り返して行う必要がある他、磁性粒子の方向性を揃
えるために磁性層第1層を形成後、一旦巻戻してから磁
性層第2層を形成するので生産性がかなり低下してしま
う。
【0004】本発明は、前記従来の課題を解決するた
め、蒸発原子の流れを極力乱さないガス導入を行うこと
により、薄膜の特性が均一でかつ生産性よく安定して得
ることができる磁気記録媒体及び薄膜の製造装置及び薄
膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の第1番目の磁気記録媒体の製造方法は、支持体
に沿って真空中で移動する長尺の高分子樹脂基板上に直
接または下地層を介して、電子ビーム蒸着法によって磁
性層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、前記
基板上に入射する前記磁性層の成分金属の方向を規制す
る為の遮蔽板の開口部を少なくとも2ケ所設け、前記開
口部より磁性層成分金属を前記基板上に蒸着し、かつ前
記磁性層のうち、前記基板に近い部分を形成する為の第
1の開口部によって形成された磁性層厚を、第2の開口
部によって形成された磁性層厚に比べて大きくすると共
に、少なくとも前記第2の開口部の蒸着終端側より酸素
を含むガスを前記基板に差し向けることを特徴とする。
【0006】前記製造方法においては、第1の開口部に
よって形成された磁性層厚を、第2の開口部によって形
成された磁性層厚の3倍以上8倍以下とすることが好ま
しい。
【0007】また前記製造方法においては、第1の開口
部の蒸着終端側より酸素を含むガスを基板に差し向ける
ことが好ましい。また前記製造方法においては、酸素を
含むガスをガスの集束流として基板に差し向けることが
好ましい。
【0008】また前記製造方法においては、支持体とし
て無終端帯を用いることもできる。次に本発明の第2番
目の磁気記録媒体の製造方法は、支持体に沿って真空中
で移動する長尺の高分子基板上に直接または下地層を介
して、電子ビーム蒸着法によって磁性層を形成する磁気
記録媒体の製造方法において、前記基板上に入射する前
記磁性層の成分金属の方向を規制する為の遮蔽板の主開
口部より磁性層成分金属を前記基板上に蒸着し、且つ前
記主開口部の蒸着終端側より酸素を含むガスを前記基板
に差し向けると共に、前記主開口部の蒸着開始側の遮蔽
板に副開口部を設け、前記副開口部による薄膜形成部分
に酸素ガスの集束流を差し向けることを特徴とする。
【0009】前記製造方法においては、副開口部による
薄膜形成部分への酸素ガスの集束流による反応蒸着によ
って厚さ6nm以上の非磁性層を形成することが好まし
い。また前記製造方法においては、蒸着開始側の遮蔽板
主開口部端と前記支持体の間隙を5mm以下とすること
が好ましい。
【0010】また前記製造方法においては、酸素ガスの
集束流の吹き出しを、長さ(L)に対する内径(D)の
比(D/L)が0.1以下の細管の集合体を用いて行う
ことが好ましい。
【0011】また前記製造方法においては、支持体とし
て無終端帯を用いることもできる。次に本発明の磁気記
録媒体の第3番目の磁気記録媒体の製造方法は、支持体
に沿って真空中で移動する長尺の高分子基板上に直接ま
たは下地層を介して、電子ビーム蒸着法によって磁性層
を形成する磁気記録媒体の製造方法において、前記基板
上に入射する前記磁性層の成分金属の方向を規制する為
の遮蔽板の開口部より磁性層成分金属を前記基板上に蒸
着し、且つ前記開口部の蒸着終端側より酸素を含むガス
を前記基板に差し向けると共に、前記磁性層を形成する
蒸気流の外側に設置した集束ノズルより酸素ガスの集束
流を前記開口部の途中に差し向けることを特徴とする。
【0012】前記製造方法においては、集束ノズルから
差し向けた酸素ガスによって開口部の途中で非磁性層を
形成することが好ましい。また前記製造方法において
は、集束ノズル中心の延長線によって分割される磁性層
の膜厚比が基板側:表面側で3:1〜8:1の範囲にあ
ることが好ましい。
【0013】また前記製造方法においては、支持体とし
て無終端帯を用いることもできる。次に本発明の第1番
目の薄膜の製造装置は、支持体に沿って真空中で移動す
る長尺の高分子基板上に薄膜を形成する薄膜の製造装置
において、前記基板上に入射する前記薄膜の成分原子の
方向を規制する為の遮蔽板に、前記薄膜を前記基板上に
蒸着するための開口部を少なくとも2ケ所設けると共
に、各開口部の蒸着終端側よりガスを前記基板に差し向
ける為のノズルを設けることを特徴とする。
【0014】次に本発明の第2番目の薄膜の製造装置
は、支持体に沿って真空中で移動する長尺の高分子基板
上に薄膜を形成する薄膜の製造装置において、前記基板
上に入射する前記薄膜の成分原子の方向を規制する為の
遮蔽板に、前記薄膜を前記基板上に蒸着するための主開
口部を設け、前記主開口部の蒸着終端側よりガスを前記
基板に差し向けるためのノズルを設けると共に、前記主
開口部の蒸着開始側の遮蔽板に副開口部を設け、前記副
開口部端の近傍から前記支持体に向けてガスの集束流を
差し向けるためのノズルを設けることを特徴とする。
【0015】次に本発明の第3番目の薄膜の製造装置
は、支持体に沿って真空中で移動する長尺の高分子基板
上に薄膜を形成する薄膜の製造装置において、前記基板
上に入射する前記薄膜の成分原子の方向を規制する為の
遮蔽板に、前記薄膜を前記基板上に蒸着するための開口
部を設け、前記開口部の蒸着終端側よりガスを前記基板
に差し向けるためのノズルを設けると共に、前記薄膜を
形成する蒸気流通過部の外側よりガスの集束流を差し向
けるためのノズルを設けることを特徴とする。
【0016】次に本発明の第1番目の磁気記録媒体は、
基板上に直接または下地層を介して薄膜磁性層が形成さ
れてなる磁気記録媒体において、前記磁性層表面側から
測定したオージェデプスプロファイルの酸素信号強度が
少なくとも磁性層表面のピークと磁性層の途中のピーク
を有し、前記磁性層途中のピークの磁性層中の位置が磁
性層の表面側から11%から25%の深さにあり、かつ
前記磁性層途中のピーク強度が前記磁性層表面のピーク
強度の60%以上であることを特徴とする。
【0017】前記磁気記録媒体においては、磁性層途中
のピークの半値幅が20nm以下であることが好まし
い。次に本発明の第2番目の磁気記録媒体は、基板上に
非磁性層を介して薄膜磁性層が形成されてなる磁気記録
媒体において、前記非磁性層が前記磁性層を構成する元
素の酸化物からなり、かつ前記磁性層表面側から測定し
たオージェデプスプロファイルの酸素信号強度が少なく
とも前記磁性層表面と前記非磁性層でピークを有し、前
記非磁性層のピーク強度が前記磁性層表面のピーク強度
の70%以上であるとともに、前記磁性層側で前記非磁
性層の酸素信号強度がピークの90%から50%になる
までの厚みが20nm以下であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】前記本発明の構成によれば、遮蔽
板の開口部を2ケ所設け、第1の開口部によって形成さ
れた磁性層厚を、第2の開口部によって形成された磁性
層厚に比べて大きくすると共に、少なくとも第2の開口
部の蒸着終端側より酸素を含むガスを前記基板に差し向
けることによって磁性層の成長に伴う、再生ノイズの増
加を抑制し、高C/Nを得ることが出来る。
【0019】また、遮蔽板の開口部の蒸着終端側より酸
素を含むガスを基板に差し向けると共に、蒸着開始側の
遮蔽板開口部端と支持体の間隙を5mm以下とし、蒸着
開始側に設けた副開口部による薄膜形成部分に酸素ガス
の集束流を差し向けることにより基板上に非磁性層を形
成した後に連続して磁性層を形成することが出来、磁性
層の配向性を高めて、高C/Nを得ることが出来る。
【0020】また、開口部の蒸着終端側より酸素を含む
ガスを前記基板に差し向けると共に、磁性層を形成する
蒸気流の外側に設置した集束ノズルより酸素ガスの集束
流を開口部の途中に差し向けることによって疑似2層構
造の磁性層を得ることが出来、高C/Nを得ることが出
来る。
【0021】さらに、磁性層表面側から測定したオージ
ェデプスプロファイルの酸素信号強度の、磁性層表面の
ピークと磁性層の途中のピークの内、前記磁性層途中の
ピークの磁性層中の位置を磁性層の表面側から11%か
ら25%の深さとし、かつ磁性層途中のピーク強度を磁
性層表面のピーク強度の60%以上とすることで磁性層
の分離を確立して再生ノイズの増加を抑制し、高C/N
を得ることが出来る。
【0022】また、基板上に磁性層を構成する元素の酸
化物からなる非磁性層を介して薄膜磁性層が形成されて
なる磁気記録媒体において、磁性層表面側から測定した
オージェデプスプロファイルの酸素信号強度の、非磁性
層のピーク強度を磁性層表面のピーク強度の70%以上
とするとともに、磁性層側で非磁性層の酸素信号強度が
ピークの90%から50%になるまでの厚みを20nm
以下とする事によって、非磁性層と磁性層の界面を明瞭
なものとして高C/Nを得ることが出来る
【0023】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について説明
する。図1の排気系1によって真空排気された真空槽2
の中で巻き出しロール3から回転方向12に沿って巻出
された長尺基板4は円筒状キャン5の表面に沿って走行
中に電子ビーム6を照射されている蒸発坩堝7より遮蔽
板9の開口部において蒸着を受けた後に、巻き取りロー
ル10に巻きとられる。開口部は2分割されており、第
1の開口部の走行方向の開口幅と第2の開口部の開口幅
の比率を変える事によって、各々の開口部での膜厚寄与
比率を約10:1から1:1の範囲で変化させた。その
際、各開口部の蒸着終端側からガス導入ノズル8を用い
て酸素ガスを導入することによって反応蒸着を行う。ま
た、高分子基板とキャンの密着性を高めるために、高分
子基板をキャンにニップロール15によって押し当てた
後に、薄膜の形成に先立って密着用電子銃13から密着
用電子ビーム14を照射する事も出来る。さらに、イオ
ン源を用いて基板の表面処理等を行うことが出来る。ニ
ップロール、密着用電子銃、イオン源は必要のない場合
には省略出来る。
【0024】本発明により薄膜磁気テープを形成するた
めに、高分子基板として30cm幅、10μm厚のポリ
エチレンテレフタレートを用い、層厚200nmのCo
−O磁性層を形成した。高分子基板への蒸気入射角は、
第1の開口部で基板法線から80度から45度内至54
度、第2の開口部で43度内至52度から40度の範囲
とし、第1の開口部と第2の開口部の間の3度の範囲を
遮蔽した。ガス導入ノズルの方向は集束ノズルの延長線
が各開口部での蒸着終端部分に向かうようにした。円筒
状キャンはキャン内部を循環する常温の冷却水によって
冷却した。また、成膜中の蒸着室の真空度は約5×10
-5torrである。
【0025】集束ノズルとして、図12で示したよう
な、内寸が200mm×6mm×30mmの箱型で基板
幅方向に幅広の200mm×6mmを開口部としたもの
及び、内寸が200mm×3mm×30mmの箱型で基
板幅方向に幅広の200mm×3mmを開口部としたも
の及び、内寸が200mm×6mm×10mmの箱型で
内部に内径が1mmの細管を10mmの辺に平行に敷き
詰めて基板幅方向に幅広の200mm×6mmを開口部
としてしたもの及び、内寸が200mm×6mm×10
mmの箱型で内部に内径が2mmの細管を10mmの辺
に平行に敷き詰めて基板幅方向に幅広の200mm×6
mmを開口部としたものを用いた。
【0026】磁性層の膜厚は、ガイドローラ間に設置し
た透過光式膜厚計を用いて蒸着を行いながら観測し、電
子銃の投入電力を調整する事によって制御した。透過光
式膜厚計は可視光源とCDS素子を用いて構成した。
【0027】作製した磁性層の磁気特性の測定は振動試
料磁力計を用いて行った。記録再生特性の評価は、MI
Gヘッドを用い、記録波長0.5μmにおけるC/N
を、市販のビデオ用蒸着テープ(MEテープ)を基準テ
ープとして相対比較することによって行った。
【0028】図3は、第2の開口部の蒸着終端側のみか
ら酸素ガスの集束流を導入し、第1の開口部及び第2の
開口部での膜厚寄与比率を約10:1から1:1の範囲
で変化させたときの記録再生特性を最適導入ガスにて測
定した結果である。図3には開口部を分割しない場合の
結果並びに図12のノズルから集束部(長さLの部分)
を取り払ったノズルを用いた場合の結果も併せて示して
いる。図3から分かるように、開口部を分割することに
よって記録再生特性の向上がみられる。それに加えてノ
ズルを集束ノズルとすることによって特性の更なる向上
がみられる。細管を敷き詰めないタイプの場合には、図
12のA/Lに相当する比が0.2と0.1で記録再生
特性に有意差はなかった。細管を敷き詰めたタイプでは
L/Dを5から10に変えることで更に特性が向上し
た。細管を敷き詰めたタイプと敷き詰めないタイプで集
束の効果が変化する領域が異なるのは次のような理由に
よるのではないかと思われる。即ち、細管を敷き詰めな
い場合には基板の幅方向に対する規制が無いので集束流
が基板幅方向で若干の乱れを生じる。これに対して、細
管を敷き詰めた場合には基板幅方向にもガス流が規制さ
れて揃うので集束の効果がより正確に現れるものと思わ
れる。また、図3から分かるように、特に第1の開口部
及び第2の開口部での膜圧寄与率が8:1から3:1の
範囲ではとりわけ優れた記録再生特性が得られた。膜厚
寄与率が前述の範囲で、特に優れた記録再生特性が得ら
れる膜圧寄与率の範囲が限定される理由としては次のよ
うに考えられる。即ち、第1の開口部に対する第2の開
口部の膜圧寄与率が1/8以下では分割の効果が無視で
きるほどに小さくなり、分割無しの場合の結果に近づ
く。一方、第1の開口部に対する第2の開口部の膜圧寄
与率が1/3以上では基板法線方向を0度としたときの
入射角が比較的小さい膜が膜全体に占める割合が大きく
なりすぎているものと思われる。この場合、第1の開口
部で形成された膜表面の表面酸化層の上に、入射角が比
較的小さい為に結晶粒の磁気的分離が不十分な膜が成長
するので第2の開口部で形成された膜からはノイズが発
生し易く、分割による記録再生特性の向上が余り得られ
ないものと思われる。
【0029】また、図4は、第1の開口部及び第2の開
口部両方の蒸着終了側から酸素ガスの集束流を導入し、
第1の開口部及び第2の開口部での膜厚寄与比率をおよ
そ10:1から1:1の範囲で変化させたときの記録再
生特性を最適導入ガスにて測定した結果である。集束ノ
ズルとして、図17で示したような、内寸が200mm
×6mm×30mmの箱型で基板幅方向に幅広の200
mm×6mmを開口部としたものを用いた。図4から分
かるように、開口部を分割することとあわせて酸素導入
も分割して各開口部の蒸着終端側から最適流量で導入す
る事によって記録再生特性はさらに向上する。中でも第
1の開口部及び第2の開口部での膜圧寄与率が8:1か
ら3:1の範囲ではとりわけ優れた記録再生特性が得ら
れた。
【0030】以上の結果から、開口部を分割すると共に
集束ノズルを用いる事によって記録再生特性を向上する
事が出来、望ましくは第1の開口部及び第2の開口部で
の膜圧寄与率を8:1から3:1の範囲とする事、なら
びに第1の開口部と第2の開口部に別々に酸素ガスを導
入する事によってとりわけ優れた記録再生特性がえられ
る事が分った。
【0031】実施例1で形成された磁気記録媒体の磁性
層部近傍のオージェデプスプロファイルのCoと酸素の
信号強度は図16の様になった。図16のオージェデプ
スプロファイルにおいて磁性層途中の酸素ピークBが磁
性層表面の酸素ピークAの70%以上の強度となるとき
が図3および図4でC/Nが向上している部分に相当す
る。また、開口部の比率を変えて2層の磁性層部分の膜
厚比を変えたときにはオージェデプスプロファイルでの
Co信号強度の磁性層途中の酸素ピークで分割された半
値幅の基板側での厚みT1と表面側での厚みT2の関係
がT2/(T1+T2)=11〜25%の範囲でC/N
向上が顕著であった。
【0032】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について説明する。図5の排気系1によって真空排気さ
れた真空槽2の中で巻き出しロール3から回転方向12
に沿って巻出された長尺基板4は円筒状キャン5の表面
に沿って走行中に電子ビーム6を照射されている蒸発坩
堝7より遮蔽板9の開口部において蒸着を受けた後に、
巻き取りロール10に巻きとられる。また、高分子基板
とキャンの密着性を高めるために、高分子基板をキャン
にニップロール15によって押し当てた後に、薄膜の形
成に先立って密着用電子銃13から密着用電子ビーム1
4を照射する事も出来る。さらに、イオン源を用いて基
板の表面処理等を行うことが出来る。ニップロール、密
着用電子銃、イオン源は必要のない場合には省略出来
る。
【0033】開口部の蒸着終端側より酸素を含むガスを
主ノズルから前記基板に差し向ける事によって反応蒸着
を行うと共に、蒸着開始側の遮蔽板開口部端の上方かつ
前記円筒状キャン近傍の副ノズルから酸素ガスの集束流
を差し向ける。また、蒸着開始側の遮蔽板の一部に副開
口部を設け、副開口部を通過した蒸気流の一部が基板に
付着するようにし、前記酸素ガスの集束流は副開口部を
通過した蒸気流が基板に付着する位置を中心に差し向け
た。副ノズルの内寸は200mm×6mm×30mmの
箱型とし、基板幅方向に幅広の200mm×6mmを開
口部とした。その際、蒸着開始側の遮蔽板先端と前記支
持体の間隙を1mmから10mmの範囲で変化させ、薄
膜磁気テープの特性を比較した。
【0034】本発明により薄膜磁気テープを形成するた
めに、高分子基板として30cm幅、10μm厚のポリ
エチレンテレフタレートを用い、層厚200nmのCo
ーO磁性層を形成した。高分子基板への蒸気入射角を、
基板法線から80度から40度の範囲とすると共に、蒸
着開始側の遮蔽板の一部に副開口部を設け、層厚200
nmの磁性層の他に磁性層蒸着に先立って層厚0(副開
口部無し)〜40nmの非磁性または低飽和磁化(以下
非磁性の用語で代表させる)のCo−Oを形成した。
【0035】ガス導入主ノズルの方向はノズルの延長線
が開口部での蒸着終端部分に向かうようにした。また、
ガス導入副ノズルの延長方向が酸素ガスの集束流が副開
口部を通過した蒸気流が基板に付着する位置の中心にな
るようにした。円筒状キャンはキャン内部を循環する常
温の冷却水によって冷却した。また、成膜中の蒸着室の
真空度は約5×10-5torrとした。
【0036】作製した磁性層は実施例1と同様の方法で
評価した。図6に示すように非磁性層を予め形成した後
に磁性層を形成することによって記録再生特性は大幅に
向上する。特に非磁性層厚が6nm以上での記録再生特
性の向上が顕著であり、従って非磁性層の厚みは6nm
以上であることが望ましい。また、蒸着開始側の遮蔽板
先端と円筒状キャンの間隙が5mm以下では記録再生特
性の向上が顕著であるのに対して、それ以上の間隙では
間隙の増加に伴い、記録再生特性が低下する。これは副
ノズルからの導入酸素ガスの磁性層形成のための開口部
への廻り込みが顕著となり、磁性層の初期成長を乱すた
めではないかと思われる。従って、蒸着開始側の遮蔽板
先端と円筒状キャンの間隙は5mm以下であることが望
ましい。
【0037】(比較例1)非磁性層を形成した後に高分
子基板を一旦巻き取り、その後磁性層を形成した事と、
磁性層形成時に副開口部を設けなかったこと以外は実施
例2と同様の方法で成膜した。この時の記録再生特性を
図7に示す。
【0038】図6と図7の比較から分かるように実施例
2の様に非磁性層の形成後直ちに磁性層を形成する場合
の方が比較例1の様に非磁性層形成後に一旦巻きとって
から磁性層を形成する場合よりも優れた記録再生特性を
得ることが出来る。これは非磁性層の形成直後に磁性層
を形成するほうが非磁性層より表面が清浄であり、その
結果、磁性層の特性も向上するためではないかと思われ
る。
【0039】(実施例3)図8は実施例2と同様の構成
においてガス導入副ノズルの吹き出し部の形状を変えた
場合の記録再生特性の比較を行った結果である。非磁性
層の厚みは10nmとした。副ノズルの内寸は200m
m×6mm×Lmmとし、基板幅方向に幅広の200m
m×6mmを開口部とした。Lを5、10、20と変え
て成膜すると共に、副ノズル内に内径Dが1mmまたは
2mmのステンレス細管を敷き詰める事によってガス導
入を細管による集束流とした場合の効果について調べ
た。その結果、図8の様に、L/D≧10では、ガス導
入を細管による集束流にすることによって記録再生特性
の向上が認められた。即ち、蒸着開始側の遮蔽板の一部
に副開口部を設け、磁性層蒸着に先立って非磁性層を形
成する際に、副ノズルからの酸素ガス導入をL/D≧1
0の細管の集合体から行うことによって記録再生特性の
向上が図れる。その理由は、副ノズルからのガスの集束
によって、磁性層形成部への酸素ガスの周り込みを小さ
くして非磁性層を形成することが出来る為であると思わ
れる。
【0040】実施例2及び実施例3で形成された磁気記
録媒体の磁性層部近傍のオージェデプスプロファイルの
Coと酸素の信号強度は図17の様になった。図17の
オージェデプスプロファイルにおいて非磁性または低飽
和磁化の下地層の酸素ピークCが磁性層表面の酸素ピー
クAの70%以上の強度となるときに、図6に示したよ
うなC/Nが顕著であった。また、磁性層側で非磁性層
の酸素信号強度がピークの90%から50%になるまで
の厚みと蒸着開始側の遮蔽板先端と円筒状キャンの間隙
の関係を調べたところ、酸素信号強度がピークの90%
から50%になるまでの厚み20nm以下が間隙5mm
以下で得られることが分かった。実施例3の様に細管の
集合体からなる副ノズルを用いると非磁性層の酸素ピー
クが90%から50%になるまでの厚みのはさらに狭ま
った。細管の集合体からなる副ノズルを用いることによ
る特性向上は非磁性層の酸素信号強度の低下域が狭くな
ること、即ち非磁性層と磁性層の界面がシャープになる
ことと関係があるものと思われる。
【0041】(実施例4)以下、本発明の第4の実施例
について説明する。図9の排気系1によって真空排気さ
れた真空槽2の中で巻き出しロール3から回転方向12
に沿って巻出された長尺基板4は円筒状キャン5の表面
に沿って走行中に電子ビーム6を照射されている蒸発坩
堝7より遮蔽板9の開口部において蒸着を受けた後に、
巻き取りロール10に巻きとられる。また、高分子基板
とキャンの密着性を高めるために、高分子基板をキャン
にニップロール15によって押し当てた後に、薄膜の形
成に先立って密着用電子銃13から密着用電子ビーム1
4を照射する事も出来る。さらに、イオン源を用いて基
板の表面処理等を行うことが出来る。ニップロール、密
着用電子銃、イオン源は必要のない場合には省略出来
る。開口部の蒸着終端側より酸素を含むガスを前記基板
に差し向けると共に、磁性層を形成する蒸気流の外側に
設置した集束ノズルより酸素ガスの集束流を前記開口部
の途中に差し向けた。
【0042】本発明により薄膜磁気テープを形成するた
めに、高分子基板として30cm幅、10μm厚のポリ
エチレンテレフタレートを用い、層厚200nmのCo
−O磁性層を形成した。高分子基板への蒸気入射角は、
基板法線から80度から40度の範囲とした。ガス導入
ノズルの方向は主ノズルの延長線が開口部での蒸着終端
部分に向かうようにすると共に、副ノズル中心の延長線
が基板上で蒸気入射角48度の部分に向くようにした。
円筒状キャンはキャン内部を循環する常温の冷却水によ
って冷却した。また、成膜中の蒸着室の真空度は約5×
10-5torrとした。
【0043】作製した磁性層は実施例1と同様の方法で
評価した。図10は、副ノズルの酸素導入量を変化させ
て作成した磁気テープの記録再生特性を示す図である。
図10から分かるように、副ノズルから酸素を導入する
事によってC/Nが向上する。これは副ノズルから導入
した酸素によって磁性層の成長途中に非磁性層もしくは
低飽和磁化層が形成されその結果、磁性層が疑似的に2
層構造となる事によってノイズが低下しC/Nの向上に
つながったものと思われる。磁性層の成長途中に非磁性
層もしくは低飽和磁化層が形成されている事は作成した
媒体のオージェデプスプロファイルから推定できた。逆
に、副ノズルの酸素導入量が多すぎる場合には導入ガス
による蒸気の散乱などによって逆に記録再生特性が劣化
したものと思われる。また、副ノズル中心の延長線によ
って分割される磁性層の膜厚比は基板側:表面側で3:
1〜8:1において記録再生特性の向上が顕著であっ
た。
【0044】図11は副ノズルの形状と記録再生特性の
関係を示す図である。図12に示すように副ノズルの形
状を、ノズル長(噴出方向)Lに対するノズル開口幅A
の比を変えることによって変化させ、A/Lと記録再生
特性の関係を調べた。副ノズルからの酸素道入量は10
SCCMとした。尚、図10でのA/Lは0.2であ
る。その結果、図11に示すようにA/Lが0.2以下
の領域で優れた記録再生特性が得られる。これはA/L
が小さくなるのに従い、副ノズルからの酸素流が集束流
となって高分子基板に到達するので中間非磁性層がシャ
ープに形成されるためと思われる。従って副ノズルの形
状はA/Lが0.2以下とすることが望ましい。また、
実施例4においては、実施例3で述べたように副ノズル
を細管の集合体とすることによってL/D≧5で記録再
生特性の向上が認められた。
【0045】実施例4で形成された磁気記録媒体の磁性
層部近傍のオージェデプスプロファイルのCoと酸素の
信号強度は図16の様になった。図16のオージェデプ
スプロファイルにおいて磁性層途中の酸素ピークBが磁
性層表面の酸素ピークAの70%以上の強度となるとき
が図10でC/Nが向上し始めている部分から右の部分
に相当する。また、副ノズル中心の延長線の方向を変え
て疑似2層の磁性層部分の比を変えたときには基板側の
第1層と表面側の第2層の関係がオージェデプスプロフ
ァイルでのCo信号強度の磁性層途中の酸素ピークで分
割された半値幅の基板側での厚みT1と表面側での厚み
T2においてT2/(T1+T2)=11〜25%の範
囲でC/N向上が顕著であった。
【0046】さらに、磁性層途中の酸素ピークの半値幅
と図12のA/Lには、特性向上が顕著なA/Lが0.
2以下で半値幅が20nm以下となる関係があった。ま
た、副ノズルを細管の集合体とした場合には、L/D≧
5で半値幅20nm以下となった。いずれの場合におい
ても、副ノズルの酸素導入量が多過ぎる場合には磁性層
途中の酸素ピークの半値幅が大きくなった。
【0047】以上の実施例1〜4においては高分子基板
の支持体として円筒状キャンを用いた場合について述べ
たが、ベルト状の支持体を用いた場合についても本発明
はきわめて有効である。例えば図13に示す様な構成で
は、実施例1と同様の効果を得ることが出来る。即ち、
排気系1によって真空排気された真空槽2の中で巻き出
しロール3から回転方向12に沿って巻出された長尺基
板4は支持ベルト17の表面に沿って走行中に電子ビー
ム6を照射されている蒸発坩堝7より遮蔽板9の開口部
において蒸着を受けた後に、巻き取りロール10に巻き
とられる。開口部は2分割されており、各開口部の蒸着
終端側からガス導入ノズル8とガス導入副ノズル16を
用いて酸素ガスを導入することによって反応蒸着を行
う。第1の開口部の走行方向の開口幅と第2の開口部の
開口幅の比率を、各々の開口部での膜厚寄与比率を約
8:1から3:1の範囲となるようにする事によって、
優れた記録再生特性が得られる。なお、高分子基板とキ
ャンの密着性を高めるために、高分子基板をキャンにニ
ップロールによって押し当てた後に、薄膜の形成に先立
って密着用電子銃から密着用電子ビームを照射する事も
出来る。さらに、イオン源を用いて基板の表面処理等を
行うことが出来る。
【0048】また、図14に示す様な構成では実施例2
及び実施例3と同様の効果を得ることが出来る。即ち、
排気系1によって真空排気された真空槽2の中で巻き出
しロール3から回転方向12に沿って巻出された長尺基
板4は支持ベルト17の表面に沿って走行中に電子ビー
ム6を照射されている蒸発坩堝7より遮蔽板9の開口部
において蒸着を受けた後に、巻き取りロール10に巻き
とられる。主開口部の蒸着終端側より酸素を含むガスを
ガス導入ノズル8から前記基板に差し向ける事によって
反応蒸着を行うと共に、蒸着開始側の遮蔽板開口部端の
上方かつ前記支持ベルト近傍の副ノズルから酸素ガスの
集束流を差し向ける。また、蒸着開始側の遮蔽板の一部
に副開口部を設け、副開口部を通過した蒸気流の一部が
基板に付着するようにし、副ノズルからの前記酸素ガス
の集束流は副開口部を通過した蒸気流が基板に付着する
位置を中心に差し向ける。副ノズルからの酸素ガス導入
を細管の集合体から行うことによって、実施例3で説明
したのと同様に記録再生特性の一層の向上が図れる。な
お、高分子基板とキャンの密着性を高めるために、高分
子基板をキャンにニップロールによって押し当てた後
に、薄膜の形成に先立って密着用電子銃から密着用電子
ビームを照射する事も出来る。さらに、イオン源を用い
て基板の表面処理等を行うことが出来る。
【0049】また、図15に示す様な構成では実施例4
と同様の効果を得ることが出来る。即ち、排気系1によ
って真空排気された真空槽2の中で巻き出しロール3か
ら回転方向12に沿って巻出された長尺基板4は支持ベ
ルト17の表面に沿って走行中に電子ビーム6を照射さ
れている蒸発坩堝7より遮蔽板9の開口部において蒸着
を受けた後に、巻き取りロール10に巻きとられる。主
開口部の蒸着終端側より酸素ガスを前記基板に差し向け
ると共に、磁性層を形成する蒸気流の外側に設置した副
ノズル16より酸素ガスの集束流を前記開口部の途中に
差し向ける。図15の様な構成とすれば、副ノズルから
導入した酸素によって磁性層の成長途中に非磁性層もし
くは低飽和磁化層が形成され、その結果、磁性層が疑似
的に2層構造となる事によってノイズが低下しC/Nの
向上につながる。磁性層の成長途中に非磁性層もしくは
低飽和磁化層が形成されている事は作成した媒体のオー
ジェデプスプロファイルから推定できた。なお、高分子
基板とキャンの密着性を高めるために、高分子基板をキ
ャンにニップロールによって押し当てた後に、薄膜の形
成に先立って密着用電子銃から密着用電子ビームを照射
する事も出来る。さらに、イオン源を用いて基板の表面
処理等を行うことが出来る。また、以上の実施例1〜4
において基板としてポリエチレンテレフタレートを用い
た場合についてのみ述べたが、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、
ポリイミドその他の高分子樹脂基板をはじめとする他の
種々の基板材料も用いることが出来る。さらに、実施例
としては薄膜としてCo−O磁性層を形成する場合につ
いてのみ述べたが、Co−Ni−O磁性層を形成する場
合にも同様の結果が得られており、磁性層としてCo−
Ni−Oをはじめとする他の酸化物薄膜を用いる場合に
も本発明は有効である。また、磁性薄膜の形成に先立っ
て、別の下地層を形成した後に薄膜を形成する場合につ
いても本発明が有効であることは言うまでもない。さら
には、磁性材料に限らず、Si等の様々な材料と、酸素
等の反応ガスとの反応蒸着においても本発明を利用する
ことによって従来は多層工程を経なければ得られない特
性が得られる他、例えば液晶配向膜、透明電極膜、コン
デンサの形成などにおいて、本発明を応用することによ
り、従来の真空蒸着では得られなかった特性の向上が期
待される。
【0050】また、蒸着の入射角についても、本発明の
効果が実施例に示した角度に限定されるものではなく、
目的用途に応じて適宜入射角を最適化した上で本発明を
適用することによって特性の向上が得られるものであ
る。
【0051】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の磁気記録媒
体の製造方法及び薄膜の製造装置並びに磁気記録媒体に
よれば、優れた記録再生特性を有する磁気記録媒体が生
産性良く得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜の製造方法及び製造装置の一例を
示す図である。
【図2】従来の連続蒸着法による薄膜の製造方法及び製
造装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例の第1の開口部及び第2の開
口部での膜厚寄与比率を変化させたときの記録再生特性
を示す図である。
【図4】同、第1の開口部及び第2の開口部両方の蒸着
終了側から酸素ガスを導入し、膜厚寄与比率を変化させ
たときの記録再生特性を示す図である。
【図5】本発明の薄膜の製造方法及び製造装置の一例を
示す図である。
【図6】本発明により非磁性層を予め形成した後に磁性
層を形成した時の記録再生特性を示す図である。
【図7】同、非磁性層を形成した後に高分子基板を一旦
巻き取り、その後磁性層を形成した時の記録再生特性を
示す図である。
【図8】同、ガス導入副ノズルの吹き出し部の形状を変
えた場合の記録再生特性の比較を示す図である。
【図9】本発明の薄膜の製造方法及び製造装置の一例を
示す図である。
【図10】同、副ノズルの酸素導入量を変化させて作成
した磁気テープの記録再生特性を示す図である。
【図11】同、副ノズルの形状と記録再生特性の関係を
示す図である。
【図12】同、副ノズルの形状を示す図である。
【図13】本発明の薄膜の製造方法及び製造装置の一例
を示す図である。
【図14】本発明の薄膜の製造方法及び製造装置の一例
を示す図である。
【図15】本発明の薄膜の製造方法及び製造装置の一例
を示す図である。
【図16】本発明の磁気記録媒体のオージェデプスプロ
ファイルの一例を示す図である。
【図17】本発明の磁気記録媒体のオージェデプスプロ
ファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 排気系 2 真空槽 3 巻き出しロール 4 長尺基板 5 キャン 6 電子ビーム 7 蒸発坩堝 8 ガス導入ノズル 9 遮蔽板 10 巻き取りロール 11 ガイドロール 12 回転方向 13 密着用電子銃 14 密着用電子ビーム 15 ニップロール 16 ガス導入副ノズル 17 支持ベルト

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体に沿って真空中で移動する長尺の
    高分子樹脂基板上に直接または下地層を介して、電子ビ
    ーム蒸着法によって磁性層を形成する磁気記録媒体の製
    造方法において、前記基板上に入射する前記磁性層の成
    分金属の方向を規制する為の遮蔽板の開口部を少なくと
    も2ケ所設け、前記開口部より磁性層成分金属を前記基
    板上に蒸着し、かつ前記磁性層のうち、前記基板に近い
    部分を形成する為の第1の開口部によって形成された磁
    性層厚を、第2の開口部によって形成された磁性層厚に
    比べて大きくすると共に、少なくとも前記第2の開口部
    の蒸着終端側より酸素を含むガスを前記基板に差し向け
    ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1の開口部によって形成された磁性層
    厚を、第2の開口部によって形成された磁性層厚の3倍
    以上8倍以下とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 第1の開口部の蒸着終端側より酸素を含
    むガスを基板に差し向ける請求項1または2記載の磁気
    記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 酸素を含むガスをガスの集束流として基
    板に差し向ける請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体が無終端帯からなる請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 支持体に沿って真空中で移動する長尺の
    高分子基板上に直接または下地層を介して、電子ビーム
    蒸着法によって磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方
    法において、前記基板上に入射する前記磁性層の成分金
    属の方向を規制する為の遮蔽板の主開口部より磁性層成
    分金属を前記基板上に蒸着し、且つ前記主開口部の蒸着
    終端側より酸素を含むガスを前記基板に差し向けると共
    に、前記主開口部の蒸着開始側の遮蔽板に副開口部を設
    け、前記副開口部による薄膜形成部分に酸素ガスの集束
    流を差し向けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 副開口部による薄膜形成部分への酸素ガ
    スの集束流による反応蒸着によって厚さ6nm以上の非
    磁性層を形成する請求項6記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 蒸着開始側の遮蔽板主開口部端と前記支
    持体の間隙を5mm以下とする請求項5または6記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 酸素ガスの集束流の吹き出しを、長さ
    (L)に対する内径(D)の比(D/L)が0.1以下
    の細管の集合体を用いて行う請求項6〜8のいずれか1
    項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 支持体が無終端帯からなる請求項6〜
    9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 支持体に沿って真空中で移動する長尺
    の高分子基板上に直接または下地層を介して、電子ビー
    ム蒸着法によって磁性層を形成する磁気記録媒体の製造
    方法において、前記基板上に入射する前記磁性層の成分
    金属の方向を規制する為の遮蔽板の開口部より磁性層成
    分金属を前記基板上に蒸着し、且つ前記開口部の蒸着終
    端側より酸素を含むガスを前記基板に差し向けると共
    に、前記磁性層を形成する蒸気流の外側に設置した集束
    ノズルより酸素ガスの集束流を前記開口部の途中に差し
    向けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 集束ノズルから差し向けた酸素ガスに
    よって開口部の途中で非磁性層を形成する請求項11記
    載の磁気記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 集束ノズル中心の延長線によって分割
    される磁性層の膜厚比が基板側:表面側で3:1〜8:
    1の範囲にある請求項11または12記載の磁気記録媒
    体の製造方法。
  14. 【請求項14】 支持体が無終端帯からなる請求項11
    〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 支持体に沿って真空中で移動する長尺
    の高分子基板上に薄膜を形成する薄膜の製造装置におい
    て、前記基板上に入射する前記薄膜の成分原子の方向を
    規制する為の遮蔽板に、前記薄膜を前記基板上に蒸着す
    るための開口部を少なくとも2ケ所設けると共に、各開
    口部の蒸着終端側よりガスを前記基板に差し向ける為の
    ノズルを設けることを特徴とする薄膜の製造装置。
  16. 【請求項16】 支持体に沿って真空中で移動する長尺
    の高分子基板上に薄膜を形成する薄膜の製造装置におい
    て、前記基板上に入射する前記薄膜の成分原子の方向を
    規制する為の遮蔽板に、前記薄膜を前記基板上に蒸着す
    るための主開口部を設け、前記主開口部の蒸着終端側よ
    りガスを前記基板に差し向けるためのノズルを設けると
    共に、前記主開口部の蒸着開始側の遮蔽板に副開口部を
    設け、前記副開口部端の近傍から前記支持体に向けてガ
    スの集束流を差し向けるためのノズルを設けることを特
    徴とする薄膜の製造装置。
  17. 【請求項17】 支持体に沿って真空中で移動する長尺
    の高分子基板上に薄膜を形成する薄膜の製造装置におい
    て、前記基板上に入射する前記薄膜の成分原子の方向を
    規制する為の遮蔽板に、前記薄膜を前記基板上に蒸着す
    るための開口部を設け、前記開口部の蒸着終端側よりガ
    スを前記基板に差し向けるためのノズルを設けると共
    に、前記薄膜を形成する蒸気流通過部の外側よりガスの
    集束流を差し向けるためのノズルを設けることを特徴と
    する薄膜の製造装置。
  18. 【請求項18】 基板上に直接または下地層を介して薄
    膜磁性層が形成されてなる磁気記録媒体において、前記
    磁性層表面側から測定したオージェデプスプロファイル
    の酸素信号強度が少なくとも磁性層表面のピークと磁性
    層の途中のピークを有し、前記磁性層途中のピークの磁
    性層中の位置が磁性層の表面側から11%から25%の
    深さにあり、かつ前記磁性層途中のピーク強度が前記磁
    性層表面のピーク強度の60%以上であることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 磁性層途中のピークの半値幅が20n
    m以下である請求項17記載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 基板上に非磁性層を介して薄膜磁性層
    が形成されてなる磁気記録媒体において、前記非磁性層
    が前記磁性層を構成する元素の酸化物からなり、かつ前
    記磁性層表面側から測定したオージェデプスプロファイ
    ルの酸素信号強度が少なくとも前記磁性層表面と前記非
    磁性層でピークを有し、前記非磁性層のピーク強度が前
    記磁性層表面のピーク強度の70%以上であるととも
    に、前記磁性層側で前記非磁性層の酸素信号強度がピー
    クの90%から50%になるまでの厚みが20nm以下
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
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