JPH0971709A - ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物

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JPH0971709A
JPH0971709A JP25474895A JP25474895A JPH0971709A JP H0971709 A JPH0971709 A JP H0971709A JP 25474895 A JP25474895 A JP 25474895A JP 25474895 A JP25474895 A JP 25474895A JP H0971709 A JPH0971709 A JP H0971709A
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JP
Japan
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ethylene
propylene
alkali metal
cold xylene
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Application number
JP25474895A
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English (en)
Inventor
Koji Okada
廣治 岡田
Hiroyuki Udagawa
博之 宇田川
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性、耐衝撃性、耐熱性、透明性および
耐熱白化性に優れたポリプロピレン樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 (a)結晶性プロピレン重合体部分95
〜70重量%およびエチレン−プロピレン共重合体5〜
30重量%を含み、特定の物性の有するプロピレン−エ
チレンブロック共重合体、または(a´)結晶性プロピ
レン重合体部分95〜70重量%およびエチレン−プロ
ピレン共重合体5〜30重量%を含み、特定の物性を有
する組成物の各100重量部に対して、それぞれ(b)
特定のアルカリ金属化合物0.01〜5重量部および
(c)特定の環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩
0.01〜5重量部とを含むポリプロピレン樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性、耐衝撃性、
耐熱性、透明性および耐白化性に優れたポリプロピレン
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは軽量であり、かつ剛
性、引張り強度、耐熱性、耐薬品性、電気的特性、透明
性、加工性等に優れているため、各種容器、医療用もし
くは理化学実験器具、日用品、自動車部品、電気部品な
ど各種の分野で広く使用されている。
【0003】しかしながら、プロピレンホモ重合体は耐
衝撃性が低いために強い衝撃を受ける用途には不適当で
あった。このようなプロピレンホモ重合体の耐衝撃性を
改良したものとして、結晶性プロピレン重合体とエチレ
ン−プロピレン共重合体から成るいわゆるプロピレン−
エチレンブロック共重合体が知られている。しかし、こ
のようなプロピレン−エチレンブロック共重合体は、耐
衝撃性は著しく改良されているものの、プロピレンホモ
重合体の有する透明性が損なわれ、また衝撃を受けた部
分が白化するという問題がある。
【0004】透明性を上げる目的で、プロピレンと少量
のエチレンとを共重合させたいわゆるプロピレンランダ
ム重合体が知られているが、これらのランダム重合体に
は、プロピレンホモ重合体の有する優れた耐熱性や高い
剛性が失われてしまう上に、低温での耐衝撃性の向上の
度合いが不足するといった欠点がある。
【0005】前記の欠点を改良するものとして、特開昭
54−24995号公報、同61−264012号公
報、同61−271315号公報、同63−15941
2号公報、同63−168414号公報、特開平4−2
02409号公報には、特定のプロピレン−エチレンブ
ロック共重合体が開示されているが、これらはいずれ
も、剛性、耐衝撃性、成形性、透明性、耐白化性のバラ
ンスにおいて未だ不十分である。また、プロピレン−エ
チレンブロック共重合体の製造に際して共重合を二段階
で行なう方法が、例えば特開昭54−139693号公
報、同55−16048号公報、同56−32516号
公報、同56−55416号公報に記載されているが、
このような方法をもってしてもやはり、得られるブロッ
ク共重合体の物性のバランスは未だ十分とはいえない。
【0006】一方、ポリプロピレン樹脂組成物は、特に
食品容器、医療用器具、理化学実験器具等の分野で用い
る場合には、耐熱性および透明性が未だ十分ではなかっ
た。耐熱性を向上させる方法としては、特定の触媒を使
用してプロピレンを重合する方法(例えば特開昭61−
209207号公報、特開昭62−104810号公報
など)、ポリプロピレン樹脂に有機リン酸金属塩化合物
を核剤として添加する方法(例えば特開昭62−209
151号公報、特開昭62−243635号公報、特開
昭63−37148号公報、特開昭63−210152
号公報、特開昭63−243150号公報、特開昭63
−284242号公報、特開平2−49047号公報、
特開平2−102242号公報など)などが知られてい
る。
【0007】しかしながら、これらの方法では透明性が
達成されず、また、耐熱性も十分とはいえなかった。
【0008】透明性を向上させる方法としては、例えば
ポリプロピレンにポリ(エチレン−ブチレン)ポリスチ
レンブロック共重合体を配合する方法(特開昭54−8
8950号公報);特定の水添ブロック共重合体に少量
のアイソタクチックポリプロピレンを配合する方法(特
開昭58−215446号公報);ポリプロピレンに、
カルボン酸金属塩、芳香族リン酸の金属塩、ソルビトー
ル系化合物などの添加剤を配合する方法などが知られて
いる。これらの中では、ソルビトール系化合物の添加が
透明性の改良に最も効果があるが、耐熱性が不十分であ
るとともに、臭気の発生、溶出性に劣るという問題があ
った。また、ソルビトール系化合物は高価であるため経
済的にも不利である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、剛
性、耐衝撃、耐熱性、透明性および耐白化性に優れたポ
リプロピレン樹脂組成物を提供することを課題とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究を行なった結果、特定のプロピレン−エチ
レンブロック共重合体または組成物に、特定のアルカリ
金属化合物および環状有機リン酸エステル塩基性多価金
属塩を配合すると、上記特性がバランスよく優れた樹脂
組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】すなわち、第1の本発明は、 (a)(A)結晶性プロピレン重合体部分95〜70重
量%および(B)エチレン−プロピレン共重合体部分5
〜30重量%を含むプロピレン−エチレンブロック共重
合体であって、(i)エチレン含有量が3〜22重量%
であり、(ii)メルトフローレートが0.3〜100
g/10分であり、(iii)冷キシレン可溶分量が
2.5〜20重量%であり、(iv)冷キシレンに可溶
でかつアセトンに不溶な部分のエチレン含量が40〜8
0重量%であり、(v)冷キシレンに不溶な部分の極限
粘度[η]CXISと、冷キシレンに可溶な部分の極限
粘度[η]CXSとの比、[η]CXIS/[η]CX
Sが0.4〜2であり、かつ(vi)118℃〜130
℃に微小な融解ピークを持つところのプロピレン−エチ
レンブロック共重合体100重量部、 (b)アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジ
ケトナートおよびアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩
からなる群から選択される少なくとも一種0.01〜5
重量部、および (c)次の[化3]([化1]と同じ)の一般式(I)
で表わされる環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩
の少なくとも一種が0.01〜5重量部とを含むポリプ
ロピレン樹脂組成物である。
【0012】
【化3】 (式中、R1 は、水素原子または炭素原子数1〜4のア
ルキル基を示し、R2 およびR3 は、それぞれ水素原子
または炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、Mは、
周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、
Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合に
は、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を
示す場合にはO=または(HO)2 −を示す。)また、
好ましい態様として、次のものをあげることができる: (a)において、(A)結晶性プロピレン重合体部分
90〜75重量%に対して(B)エチレン−プロピレン
共重合体部分が10〜25重量%含まれる上記に記載の
ポリプロピレン樹脂組成物。 (a)において、エチレン含有量が7〜20重量%で
ある上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成
物。 (a)において、MFRが0.4〜80g/10分で
ある上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成
物。 (a)において、冷キシレン可溶分量が5〜17.5
重量%である上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹
脂組成物。 (a)において、冷キシレンに可溶でかつアセトンに
不溶な部分のエチレン含量が40〜60重量%である上
記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。 (a)において、[η]CXIS/[η]CXSが
0.6〜1.8である上記のいずれかに記載のポリプロ
ピレン樹脂組成物。 (a)において、124〜129℃に微小な融解ピー
クを持つ上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組
成物。 (b)において、アルカリ金属カルボン酸塩が、リチ
ウムの炭素原子数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩で
ある上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成
物。 (c)において、Mがアルミニウムである上記のいず
れかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【0013】また、第2の本発明は、 (a´)(A´)結晶性プロピレン重合体95〜70重
量%および(B´)エチレン−プロピレン共重合体5〜
30重量%を含む組成物であって、(i)エチレン含有
量が3〜22重量%であり、(ii)メルトフローレー
トが0.3〜100g/10分であり、(iii)冷キ
シレン可分溶分量が2.5〜20重量%であり、(i
v)冷キシレンに可溶でかつアセトンに不溶な部分のエ
チレン含量が40〜80重量%であり、(v)冷キシレ
ンに不溶な部分の極限粘度[η]CXISと、冷キシレ
ンに可溶な部分の極限粘度[η]CXSとの比、[η]
CXIS/[η]CXSが0.4〜2.0であり、かつ
(vi)118℃〜130℃に微小な融解ピークを持つ
ところの結晶性プロピレン重合体組成物100重量部、 (b)アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジ
ケトナートおよびアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩
からなる群から選択される少なくとも一種0.01〜5
重量部、および (c)次の[化4]([化I]と同じ)の一般式(I)
で表わされる環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩
の少なくとも一種が0.01〜5重量部とを含むポリプ
ロピレン樹脂組成物である。
【0014】
【化4】 (式中、R1 は、水素原子または炭素原子数1〜4のア
ルキル基を示し、R2 およびR3 は、それぞれ水素原子
または炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、Mは、
周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、
Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合に
は、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を
示す場合にはO=または(HO)2 −を示す。)また、
好ましい態様としては、次のものをあげることができ
る: ´(a´)において、(A´)結晶性プロピレン重合
体90〜75重量%に対して(B´)エチレン−プロピ
レン共重合体が10〜25重量%含まれる上記に記載の
ポリプロピレン樹脂組成物。 ´(a´)において、エチレン含有量が7〜20重量
%である上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組
成物。 ´(a´)において、MFRが0.4〜80g/10
分である上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組
成物。 ´(a´)において、冷キシレン可溶分量が5〜1
7.5重量%である上記のいずれかに記載のポリプロピ
レン樹脂組成物。 ´(a´)において、冷キシレンに可溶でかつアセト
ンに不溶な部分のエチレン含量が40〜60重量%であ
る上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。 ´(a´)において、[η]CXIS/[η]CXS
が0.6〜1.8である上記のいずれかに記載のポリプ
ロピレン樹脂組成物。 ´(a´)において、124〜129℃に微小な融解
ピークを持つ上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹
脂組成物。 ´(b)において、アルカリ金属カルボン酸塩が、リ
チウムの炭素原子数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩
である上記のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成
物。 ´(c)において、Mが、アルミニウムである上記の
いずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【0015】
【発明の実施の形態】
(a)共重合体または(a´)組成物はそれだけでも、
ある程度良好な機械的性質、熱的性質および透明性を有
しているが、さらに前記したアルカリ金属化合物および
環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩を併用配合す
ると、優れた各種特性を有するポリプロピレン樹脂組成
物が得られる。これらの化合物は、従来の耐衝撃性ポリ
プロピレンに添加してもほとんど透明性が変化しない
が、(a)共重合体または(a´)組成物と組合わせる
と、透明性の向上が顕著に認められることが見出され
た。
【0016】まず、第1の発明であるポリプロピレン樹
脂組成物について説明する。
【0017】(a)プロピレン−エチレンブロック共重
合体は、(A)結晶性プロピレン重合体部分および
(B)エチレン−プロピレン共重合体部分を、(A)部
分95〜70重量%に対して(B)部分5〜30重量%
、好ましくは(A)部分90〜75重量%に対して
(B)部分10〜25重量%の割合で含む。
【0018】(A)結晶性プロピレン重合体部分を構成
する結晶性プロピレン重合体としては、プロピレンホモ
重合体の他に、プロピレンと少量のエチレンとのランダ
ム共重合体があげられる。この場合、プロピレン含量は
95重量%以上とするのが好ましい。また、エチレン以
外のコモノマー成分、例えばブテン−1、オクテン−1
などのα−オレフィンやジエン系モノマーなどをさらに
含有してもよいが、この場合にもプロピレン含量は95
重量%以上とするのが好ましい。
【0019】(B)エチレン−プロピレン共重合体部分
を構成するエチレン−プロピレン共重合体は、エチレン
を好ましくは65〜90重量%、より好ましくは70〜
85重量%の割合で含む。この共重合体は、第三成分と
して例えばブテン−1、オクテン−1などのエチレン以
外のα−オレフィンやジエン系モノマーなどをさらに含
有することができる。その場合、これらの第三成分の含
有量は2重量%以下が好ましい。
【0020】(a)共重合体全体におけるエチレン含量
は、3〜22重量%、好ましくは7〜20重量%、より
好ましくは12〜18重量%である。エチレン含量が上
記の範囲より下の場合には衝撃強度が低下し、また上記
の範囲より上の場合には透明性が悪化する。エチレン含
量は、赤外吸光光度法(IR法)などの公知の手段によ
り測定できる。
【0021】(a)共重合体におけるメルトフローレー
ト(MFR)は、0.3〜100g/10分、好ましく
は0.4〜80g/10分、より好ましくは0.5〜6
0g/10分である。メルトフローレートが上記の範囲
より下の場合には成形性が悪くなり、上記の範囲より上
の場合には衝撃強度が低下す。なお、MFRはASTM
D1238に準じて測定したものである。
【0022】(a)共重合体における冷キシレン可溶分
量は、2.5〜20重量%、好ましくは5〜17.5重
量%、より好ましくは7.5〜15重量%である。冷キ
シレン可溶分量が上記の範囲より下の場合には耐衝撃性
が低下し、また上記の範囲より上の場合には剛性および
耐熱性が低下する。本発明において、冷キシレン可溶分
量は以下の方法によって測定した。すなわち、試料2g
を200mlのキシレンに加え、140℃で加熱溶解す
る。これを23℃まで放冷して15時間放置後、溶解部
分と析出部分とを濾別する。溶解部分(冷キシレンに可
溶な成分)について溶媒を蒸発除去後、重量を秤量す
る。試料全体に対する上記溶解成分の重量割合(重量
%)をもって冷キシレン可溶分量とする。ただし、試料
が充填材などの任意成分を含んでいる場合には、あらか
じめ熱濾過などの操作によりそれを除去し、試料から充
填材などの成分を除いた部分に対する冷キシレン溶解成
分の重量割合を求める。
【0023】(a)共重合体においては、冷キシレンに
可溶でかつアセトンに不溶な部分のエチレン含量は40
〜80重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ま
しくは40〜50重量%である。このエチレン含量が上
記の範囲より下の場合には透明性が大幅に悪化する上に
剛性も若干低下し、また上記の範囲より上の場合には耐
衝撃性が低下する。本発明においては、このようなエチ
レン含量は以下の方法によって測定した。すなわち、試
料2gを200mlのキシレンに加え、140℃で加熱
溶解する。これを23℃まで放冷して15時間放置後、
溶解部分と析出部分とを濾別する。溶解部分(冷キシレ
ンに可溶な成分)を回収し、この溶液を10倍量のアセ
トン中に投入、攪拌後、濾過によって析出部分を回収す
る。析出部分について溶媒を蒸発除去し、かくして冷キ
シレンに可溶でかつアセトンに不溶な部分を得る。これ
について、赤外吸光光度法(IR法)などの公知の手段
によりエチレン含量を測定する。
【0024】(a)共重合体においては、冷キシレンに
不溶な部分の極限粘度(これを[η]CXISと称す
る)と、冷キシレンに可溶な部分の極限粘度(これを
[η]CXSと称する)との比、すなわち[η]CXI
S/[η]CXSが0.4〜2.0、好ましくは0.6
〜1.8、より好ましくは0.8〜1.6である。この
比が上記の範囲より下の場合には透明性が悪化し、また
上記の範囲より上の場合には耐衝撃性が低下する。本発
明においては、[η]CXIS/[η]CXSは以下の
方法によって求めた。すなわち、試料2gを200ml
のキシレンに加え、140℃で加熱溶解する。これを2
3℃まで放冷して15時間放置後、溶解部分と析出部分
とを濾別する。溶解部分(冷キシレンに可溶分)と析出
部分(冷キシレンに不溶分)とについてそれぞれ溶媒を
蒸発除去し、各部分を別々に回収する。ただし、試料が
充填材などの任意成分を含んでいる場合には、あらかじ
め熱濾過などの操作によって除去したものを用いる。各
部分の極限粘度、すなわち[η]CXSおよび[η]C
XISを、135℃のデカリン中で測定した後、両者の
比[η]CXIS/[η]CXSを求める。
【0025】(a)共重合体は、118℃〜130℃
に、好ましくは124〜129℃に微小な融解ピークを
持つ。上記範囲より下の温度域に微小融解ピークを持つ
場合や、微小な融解ピークを全く持たない場合には透明
性が劣り、また上記範囲より上の温度域に微小融解ピー
クを持つ場合には耐衝撃性が低下する他に、透明性が悪
化する場合もある。本発明においては、融解ピークは、
示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。DSCの
測定条件は以下の通りである。まず試料10mgを含む
サンプルパンをDSC加熱炉内で、230℃に昇温し役
15分間放置することで融解させる。その後、10℃/
分の冷却速度で50℃まで降温し、結晶化させる。最後
に、10℃/分の速度で200℃まで昇温し、試料の融
解パターンを記録する。この融解パターンから微小融解
ピークの温度を求める。通常、結晶性プロピレンホモ重
合体は160〜180℃に、またプロピレンと少量のエ
チレンを共重合した、いわゆるランダム共重合体は13
5〜155℃に主融解ピークを生じるが、(a)ブロッ
ク共重合体[あるいは(a´)組成物]における、11
8℃〜130℃における微小融解ピークとは、これらの
主融解ピークに重なって生じるものであって、(a)ブ
ロック共重合体[あるいは(a´)組成物]の全体が微
小ピークのみを有するのではない。微小ピークの大きさ
は通常、主融解ピークの1/5以下程度である。
【0026】なお、本発明においては、上記の各特性の
測定方法は、以下においても同様の方法を用いた。
【0027】このような共重合体は、例えば慣用のプロ
ピレン重合法の一段以上の工程で結晶性プロピレン重合
体部分を製造した後、引き続き一段以上の工程でエチレ
ン−プロピレン共重合体部分を製造することによって得
ることができる。その際、反応条件を特定することによ
り、本発明に従う上記特性を有する共重合体が得られ
る。例えば、結晶性プロピレン重合体部分の製造過程に
おいて、反応温度−80〜150℃、好ましくは40〜
120℃で、水素もしくは他の公知の分子量調節剤を用
いて、常法により0.3〜120g/10分、のMFR
を有する結晶性プロピレン重合体を、全重合体の70〜
95重量%になるように合成した後、その存在下に引き
続き、プロピレンおよびエチレンをプロピレン:エチレ
ン(重量比)=50:50〜10:90で供給して全重
合体の30〜5重量%になるよう共重合する。この際、
水素もしくは他の公知の分子量調節剤を用いて、所望の
冷キシレン不溶分量、可溶分量およびその極限粘度比を
達成することができる。
【0028】(a)共重合体は、上記の成分(A)およ
び(B)の他にさらに、本発明の目的を損なわない範囲
で、ポリエチレンなどを含むことができる。
【0029】次に、本発明で使用する(b)成分である
アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナ
ートまたはアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩の各ア
ルカリ金属塩化合物を構成するアルカリ金属としては、
リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられる。
【0030】また、前記アルカリ金属カルボン酸塩を構
成するカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン
酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン
酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−
ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリ
シン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメ
ルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピ
オン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピ
オン酸などの脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク
酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、
ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸;
ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシ
クロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカ
ルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサン
カルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4
−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチル
シクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサン
カルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、
シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,
2−ジカルボン酸などの脂環式モノまたはポリカルボン
酸;安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香
酸、4−第三ブチル安息香酸、サルチル酸、フタル酸、
トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族モノまた
はポリカルボン酸などがあげられる。
【0031】また、前記アルカリ金属β−ジケトナート
を構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセ
チルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセ
トン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセ
トン、ジベンゾイルメタンなどがあげられる。
【0032】また、前記アルカリ金属β−ケト酢酸エス
テル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例え
ば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢
酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エ
チル、ベンゾイル酢酸ラウリルなどがあげられる。
【0033】さらに、前記(b)成分であるアルカリ金
属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナートまたは
アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アル
カリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物またはβ−
ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造
することができる。また、これら(b)成分の各アルカ
リ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカ
ルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好
ましく、とりわけ炭素原子数8〜20の脂肪族モノカル
ボン酸塩が好ましい。
【0034】また、本発明の(c)成分である前記[化
1]の一般式(I)で表される環状有機リン酸エステル
塩基性多価金属塩において、R1 で示される炭素原子数
1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、イソブチルな
どがあげられ、R2 またはR3 で示される炭素原子数1
〜12のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、
アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、
イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノ
ニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、
ドデシル、第三ドデシルなどがあげられる。
【0035】また、Mで示される周期律表第III族ま
たは第IV族の金属原子としては、アルミニウム、ガリ
ウム、ゲルマニウム、錫、チタン、ジルコニウムなどが
あげられ、特にアルミニウムが好ましい。
【0036】従って、前記[化1]の一般式(I)で表
される環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩として
は、例えば、次の[化5]〜[化10]に示すような化
合物(1)〜(6)などがあげられる。
【0037】
【化5】
【0038】
【化6】
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】また、前記環状有機リン酸エステル塩基性
多価金属塩は、例えば、酸性環状有機リン酸エステルの
アルカリ金属塩と多価金属ハロゲン化物あるいは酸化多
価金属ハロゲン化物とを反応させ、その後必要に応じて
加水分解する方法、酸性環状有機リン酸エステルと多価
金属アルコキサイドを反応させ、その後必要に応じて加
水分解する方法などにより容易に製造することができ
る。
【0044】なお、前記環状有機リン酸エステル塩基性
多価金属塩の具体的な製造例としては、特開平5−15
6078号公報に開示がある。
【0045】本発明においては、前記(b)成分である
アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナ
ートまたはアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からな
る群から選択される少なくとも一種と、(c)成分の
[化1]の一般式(I)で表わされる環状有機リン酸エ
ステル塩基性多価金属塩の少なくとも一種とを併用配合
する。
【0046】第1の樹脂組成物においては、(a)プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体100重量部に対し
て、(b)成分を0.01〜5重量部、好ましくは0.
05〜3重量部を、また(c)成分を0.01〜5重量
部、好ましくは0.03〜3重量部をそれぞれ配合す
る。(b)成分および(c)成分の配合量が0.01重
量部未満では透明性および剛性が低下し、一方5重量部
を超えるとコスト高になるばかりで本発明の効果の向上
がみられない。
【0047】次に、第2の発明であるポリプロピレン樹
脂組成物について説明する。
【0048】(a´)(A´)結晶性プロピレン重合体
および(B´)エチレン−プロピレン共重合体を含む組
成物は、(A´)および(B´)を、(A´)95〜7
0重量%に対して(B´)5〜30重量%、好ましくは
(A´)90〜75重量%に対して(B´)10〜25
重量%の割合で含む。
【0049】(A´)結晶性プロピレン重合体として
は、前記した(a)プロピレン−エチレンブロック共重
合体において使用した(A)結晶性プロピレン重合体を
同様に使用できる。すなわち、プロピレンホモ重合体の
他に、エチレンあるいはさらに他にα−オレフィンやジ
エン系モノマーなどを含有するランダム共重合体を使用
できる。プロピレン含量は95重量%以上とするのが好
ましい。
【0050】(B´)エチレン−プロピレン共重合体
は、エチレンを好ましくは65〜90重量%、より好ま
しくは75〜85重量%の割合で含む。この共重合体
は、第三成分として例えばブテン−1、オクテン−1な
どのエチレン以外のα−オレフィンやジエン系モノマー
などをさらに含有することができる。その場合、これら
の第三成分の含有量は2重量%以下が好ましい。
【0051】(a´)組成物は、上記した成分(A´)
および(B´)の他に、先に詳述した(a)プロピレン
−エチレンブロック共重合体を含むことができる。
【0052】(a´)組成物におけるエチレン含量は、
3〜22重量%、好ましくは7〜20重量%、より好ま
しくは12〜18重量%である。エチレン含量が上記の
範囲より下の場合には衝撃強度が低下し、また上記の範
囲より上の場合には透明性が悪くなる。
【0053】(a´)組成物におけるメルトフローレー
ト(MFR)は、0.3〜100g/10分、好ましく
は0.4〜80g/10分、より好ましくは0.5〜6
0g/10分、である。メルトフローレートが上記の範
囲より下の場合には成形性が悪くなり、また上記の範囲
より上の場合には衝撃強度が低下する。
【0054】(a´)組成物における冷キシレン可溶分
量は、2.5〜20重量%、好ましくは5〜17.5重
量%、より好ましくは7.5〜15重量%である。冷キ
シレン可溶分量が上記の範囲より下の場合には耐衝撃性
が低下し、また上記の範囲より上の場合には剛性および
耐熱性が低下する。
【0055】(a´)組成物においては、冷キシレンに
可溶でかつアセトンに不溶な部分のエチレン含量は40
〜80重量%、好ましくは40〜60重量%、より好ま
しくは40〜50重量%である。このエチレン含量が上
記の範囲より下の場合には透明性が大幅に悪化する上に
剛性も若干低下し、また上記の範囲より上の場合には耐
衝撃性が低下する。
【0056】(a´)組成物においては、冷キシレンに
不溶な部分の極限粘度([η]CXIS)と、冷キシレ
ンに可溶な部分の極限粘度([η]CXS)との比、す
なわち[η]CXIS/[η]CXSが0.4〜2.
0、好ましくは0.6〜1.8、より好ましくは0.8
〜1.6である。この比が上記の範囲より下の場合には
透明性が悪化し、また上記の範囲より上の場合には耐衝
撃性が低下する。
【0057】(a´)組成物は、118℃〜130℃
に、好ましくは124〜129℃に微小な融解ピークを
持つ。上記範囲より下の温度域に微小融解ピークを持つ
場合や、微小な融解ピークを全く持たない場合には透明
性が劣り、また上記範囲より上の温度域に微小融解ピー
クを持つ場合には耐衝撃性が低下する他に、透明性が悪
化する場合もある。
【0058】(a´)組成物は、例えば、特定の(A
´)結晶性プロピレン重合体および(B´)エチレン−
プロピレン共重合体を別々に製造し、ついで両者を(さ
らに任意成分を)所定の割合で配合して、溶融混練する
ことにより製造できる。(A´)結晶性プロピレン重合
体および(B´)エチレン−プロピレン重合体は、慣用
の方法により製造したものを使用できる。また、溶融混
練の際に使用する装置、条件などは当業者に公知であ
る。
【0059】このような、特定の(A´)および(B
´)の組合せとしては、例えば(A´)として、常法に
より製造した、または市販品として入手した0.3〜1
20g/10分、のMFRを有する結晶性プロピレン重
合体を使用し、かつ(B´)として、プロピレンとエチ
レンとを共重合して製造した0.001〜100g/1
0分、のMFRを有し、エチレン含量が65〜90重量
%でかつ118℃〜130℃に微小な融解ピークを持つ
エチレン−プロピレン共重合体を選択することにより、
上記の特性を有する組成物を得ることができる。このよ
うな(B´)はそれ自体公知であり、例えば特開昭62
−295906号公報などに開示された方法に準じて製
造することができる。
【0060】第2のポリプロピレン樹脂組成物において
は、(b)成分のおよび(c)成分は、第1のポリプロ
ピレン樹脂組成物において使用される前記(b)成分お
よび(c)成分と同じものが使用できる。
【0061】第2のポリプロピレン樹脂組成物において
は、(a´)の結晶性プロピレン重合体組成物100重
量部に対して、(b)成分を0.01〜5重量部、好ま
しくは0.05〜3重量部を、また、(c)成分を0.
01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部をそれ
ぞれ配合する。(b)成分および(c)成分の配合量が
0.01重量部未満では透明性および剛性が低下し、一
方5重量部を超えるコスト高になるばかりで本発明の効
果の向上がみられない。
【0062】前記した本発明のポリプロピレン樹脂組成
物にはいずれも、前記した成分の他に、本発明の目的を
損なわない範囲でポリエチレンなどの他の樹脂を配合す
ることができる。また、その用途に応じて、充填剤、酸
化防止剤(フェノール系、チオエーテル系、リン系な
ど)、光安定剤、透明化剤、造核剤(安息香酸などの有
機カルボン酸の金属塩)、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、
アンチブロッキング剤、顔料、重金属不活性化剤、ラジ
カル発生剤(過酸化物など)、分散剤、中和剤、熱安定
剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、離型剤
などの各種添加剤を配合することができる。充填剤は、
無機充填剤として、例えば粒状、粉末状またはリン片状
の充填剤、繊維状充填剤などが使用できる。粒状、粉末
状またはリン片状の充填剤としては、例えばシリカ、ア
ルミナ、タルク、マイカ、カオリン、クレー、ウォラス
トナイト、ゼオライト、シリカアルミナ、炭酸カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マ
グネシウム、ケイ酸アルミニウム、窒化ケイ素、ガラス
などがあげられる。また、繊維状充填剤としては、例え
ばガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維、カー
ボンブラック、グラファイト、マイカセラミックス繊
維、金属繊維などがあげられる。無機充填剤は、その表
面が、シラン系、チタネート系、ボロン系、アルミネー
ト系、ジルコアルミネート系のカップリング剤で処理し
てあってもよい。有機充填剤としては、例えば木粉、パ
ルプ、合成繊維、天然繊維などがあげられる。また、分
散剤もしくは中和剤として、特開平5−9390号公報
記載の有機カルボン酸の金属塩を使用できる。有機カル
ボン酸の金属塩における金属としては、周期律表第I族
(例えばLi、Na、Kなど)、第II族の金属原子
(例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Znなど)があげ
られる。また、有機カルボン酸としては、脂肪族飽和カ
ルボン酸(酢酸、プロピオン酸、デカン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸など)、脂肪族不飽和カルボン酸(例
えばオレイン酸など)、脂環式カルボン酸(例えばシク
ロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸な
ど)、芳香族カルボン酸(例えば安息香酸、サリチル酸
など)などがあげられる。
【0063】本発明のポリプロピレン樹脂組成物の製造
方法は特に限定されない。例えば前記した各成分を、ヘ
ンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダ
ーなどを用いて混合し、通常の単軸押出機、二軸押出
機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロールなどを
用いて、170〜300℃の温度範囲で溶融混練するこ
とにより、製造できる。
【0064】
【実施例】製造例1(重合触媒の製造) 還流冷却器を有する1リットルの反応容器に、窒素ガス
を雰囲気下で、チップ状の金属マグネシウム(純度9
9.5%、平均粒径1.6mm)8.3gおよびn−ヘ
キサン250mlを入れ、68℃で1時間攪拌した後、
金属マグネシウムを取出し、65℃で減圧乾燥し、予備
活性化された金属マグネシウムを得た。次に、この金属
マグネシウムに、n−ブチルエーテル140mlおよび
n−ブチルマグネシウムクロリドのn−ブチルエーテル
溶液(1.75モル/リットル)0.5mlを加え、攪
拌して懸濁液とし、この懸濁液を55℃に保った。これ
にさらに、n−ブチルエーテル50mlにn−ブチルク
ロリド38.5mlを溶解した溶液を、50分間で滴下
した。その後、攪拌しながら、70℃で4時間反応を行
なった後、反応液を25℃に保持した。
【0065】次に、この反応液に、HC(OC25
3 55.7mlを1時間で滴下し、滴下終了後、60℃
で15分間反応を行ない、得られた反応生成固体をn−
ヘキサン各300mlで6回洗浄した。その後、室温で
1時間かけて減圧乾燥し、マグネシウム19重量%およ
び塩素28.9重量%を含有するマグネシウム含有固体
31.6gを得た。
【0066】還流冷却器、攪拌機および滴下ロートを有
する300mlの反応容器に、先に得たマグネシウム含
有固体6.3gおよびn−ヘプタン50mlを窒素ガス
雰囲気下に投入し、これを攪拌して懸濁液とし、この懸
濁液に、常温で攪拌を続けながら2,2,2−トリクロ
ロエタノール20ml(0.02ミリモル)とn−ヘプ
タン11mlとの混合液を滴下ロートで30分間で滴下
し、さらに80℃で1時間攪拌した。この懸濁液を濾過
し、得られた固体を室温のn−ヘキサン各100mlで
4回洗浄し、さらにトルエン各100mlで2回洗浄し
て固体成分(固体成分A)を得た。
【0067】このようにして得られた固体成分Aにトル
エン40mlを加え、さらに四塩化チタンを、四塩化チ
タン/トルエン(体積比)が3/2になるような比率で
加え、90℃に昇温した。次に、この混合物に、攪拌し
ながらフタル酸ジn−ブチル2mlとトルエン5mlの
混合液を5分間で滴下した後、120℃で2時間攪拌し
た。この混合液を90℃で濾過することにより、固体物
質を得た。この固体物質を90℃でトルエン各100m
lで2回洗浄した。さらに、前と同量の四塩化チタンお
よびトルエンを加えて、120℃で2時間攪拌した。こ
の混合液を110℃で濾過することにより、固体物質を
得た。この固体物質を室温のn−ヘキサン各100ml
で7回洗浄した。このようにして重合触媒5.5gを得
た。
【0068】実施例1 プロピレン−エチレンブロック共重合体の合成
【0069】(1)重合の準備 製造例1で得た重合触媒27.7mg、n−ヘプタン1
リットル中に0.3モルのトリエチルアルミニウムを含
有する溶液4mlおよびn−ヘプタン1リットル中に
0.08モルのジフェニルジメトキシシランを含有する
溶液3mlを混合し、5分間保持したものを、窒素置換
して十分に乾燥した5リットルのオートクレーブに投入
した。
【0070】(2)プロピレンホモ重合体部分の製造 このオートクレーブ内に、水素13.0リットルおよび
液体プロピレン3リットルを圧入した後、オートクレー
ブ内部温度を70℃に昇温し、1時間かけて重合させて
結晶性プロピレン重合体を得た。重合終了後、未反応プ
ロピレンおよび水素をパージして、オートクレーブ内の
圧力を0.2kg/cm2 ・Gとした。
【0071】(3)エチレン−プロピレン共重合体部分
の製造 次に、系内に水素ガスを4.0リットル導入した。続い
て、オートクレーブ内部温度を75℃に昇温し、プロピ
レンとエチレンとの混合ガス(プロピレン:エチレン
(重量比)=28:72)をモノマー分圧を6kg/c
2 ・Gに保ちながら供給して、エチレン−プロピレン
共重合体の分率が20重量%になるまで、約2.5時間
重合反応を行なった。重合終了後、未反応ガスをパージ
し、白色粉末状のプロピレン−エチレンブロック共重合
体を得た。
【0072】(4)得られたブロック共重合体の分析 かくして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合
体は、各反応段階での重量変化から、プロピレンホモ重
合体ブロック80重量%およびエチレン−プロピレンラ
ンダム共重合体ブロック20重量%からなるブロック共
重合体であった。また、13C−NMR測定の結果、エチ
レン−プロピレンランダム共重合体におけるエチレン含
量は80重量%であることがわかった。さらにこの共重
合体のMFR、共重合体全体のエチレン含量、DSC、
冷キシレン可溶分量、冷キシレン不溶部と可溶部の極限
粘度比、冷キシレン可溶アセトン不溶部のエチレン含量
を測定した。結果を表1に示す。
【0073】(5)樹脂組成物の製造 前記で得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体
100重量部に、アルカリ金属塩と環状有機リン酸エス
テル塩基性多価金属塩との混合物“NA−21”(旭電
化工業(株)製、以下NA−21という)0.1重量部
を配合し、さらに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノールを0.18重量部、ジステアリルチオジプロ
ピオネートを0.08重量部、テトラキス{メチレン−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシン
ナメート)}メタンを0.04重量部、カルシウムステ
アレートを0.06重量部それぞれ添加し、二軸押出機
にて、設定温度210℃、回転数200rpmの条件で
溶融混練して押出し、ペレットを作成した。このペレッ
トを230℃にて射出成形して試験片を作成し、曲げ弾
性率およびデュポン衝撃強度を測定した。また、ヘイズ
測定も行なった。その結果を表2に示す。
【0074】なお、曲げ弾性率はJIS K7203−
1982に、デュポン衝撃強度(−20℃、1mm)は
JIS K7211−1976に準拠して測定した。
【0075】ヘイズ(透明性の尺度)は、シリンダー温
度250℃、金型温度60℃で射出成形した60×60
×1mmの試験片を用い、JIS K7105−198
1に準拠して測定した。
【0076】実施例2 実施例1の工程(2)における水素供給量を15.0リ
ットルとし、工程(3)における水素供給量を3.6リ
ットルとし、共重合時間を4.1時間とした以外は実施
例1と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共重
合体を製造した。
【0077】かくして、得られたプロピレン−エチレン
ブロック共重合体は、プロピレンホモ重合体ブロック7
0重量%およびエチレン−プロピレンランダム共重合体
ブロック30重量%からなるブロック共重合体であっ
た。また、13C−NMR測定の結果、エチレン−プロピ
レンランダム共重合体におけるエチレン含量は80重量
%であることがわかった。さらにこの共重合体のMF
R、エチレン含量、DSC、冷キシレン可溶分量、冷キ
シレン不溶部と可溶部の極限粘度比、冷キシレン可溶ア
セトン不溶部のエチレン含量を表1に示す。
【0078】次に、前記共重合体100重量部に対して
前記NA−21を0.2重量部とした以外は実施例1と
同様にして樹脂組成物を製造し、実施例1と同一条件に
て物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果を表2に
示す。
【0079】比較例1 実施例1の工程(2)における水素供給量を17.6リ
ットルとし、工程(3)における水素供給量を3.9リ
ットルとし、共重合体時間を5.9時間とした以外は実
施例1と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共
重合体を製造した。
【0080】かくして得られたプロピレン−エチレンブ
ロック共重合体は、プロピレンホモ重合体ブロック60
重量%およびエチレン−プロピレンランダム共重合体ブ
ロック40重量%からなるブロック共重合体であった。
また、13C−NMR測定の結果、エチレン−プロピレン
ランダム共重合体におけるエチレン含量は80重量%で
あることがわかった。さらにこの共重合体のMFR、エ
チレン含量、DSC、冷キシレン可溶分量、冷キシレン
不溶部と可溶部の極限粘度比、冷キシレン可溶アセトン
不溶部のエチレン含量を表1に示す。
【0081】次に、上記共重合体を用いて、実施例1と
同様にして樹脂組成物を製造し、実施例1と同一条件に
て物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果を表2に
示す。
【0082】比較例2 実施例1の工程(2)における水素供給量を10.0リ
ットルとし、工程(3)における水素供給量を5.3リ
ットルとし、共重合体時間を2.0時間とした以外は実
施例1と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共
重合体を製造した。
【0083】かくして得られたプロピレン−エチレンブ
ロック共重合体は、プロピレンホモ重合体ブロック80
重量%およびエチレン−プロピレンランダム共重合体ブ
ロック20重量%からなるブロック共重合体であった。
また、13C−NMR測定の結果、エチレン−プロピレン
ランダム共重合体におけるエチレン含量は80重量%で
あることがわかった。さらにこの共重合体のMFR、エ
チレン含量、DSC、冷キシレン可溶分量、冷キシレン
不溶部と可溶部の極限粘度比、冷キシレン可溶アセトン
不溶部のエチレン含量を表1に示す。
【0084】次に、上記共重合体を用いて、実施例2と
同様にして樹脂組成物を製造し、実施例1と同一条件に
て物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果を表2に
示す。
【0085】実施例3 結晶性プロピレン重合体組成物の製造 実施例1の工程(1)と同様に、オートクレーブに、重
合触媒、トリエチルアルミニウムを含有するn−ヘプタ
ン溶液およびジフェニルジメトキシシランを含有するn
−ヘプタン溶液からなる混合物を投入した後、これにさ
らに乾燥した塩化カルシウム300gを加え、30分間
攪拌した。
【0086】これに、実施例1の工程(3)と同じ条件
で、水素ガスおよびプロピレンとエチレンとの混合ガス
を供給して、エチレン−プロピレン共重合体を製造し
た。重合終了後、未反応ガスをパージし、生成物を水洗
して塩化カルシウムを除き、エチレン−プロピレン共重
合体を得た。この共重合体のエチレン含量は79.9重
量%であった。
【0087】かくして得られたエチレン−プロピレン共
重合体20重量%とプロピレンホモポリマー(東燃化学
(株)製、グレード名:東燃ポリプロJ240F)80
重量%とを、押出機中で230℃にて溶融混練して、結
晶性プロピレン重合体組成物を得た。これについて、実
施例1と同様にして、MFR、エチレン含量、DSC、
冷キシレン可溶分量、冷キシレン不溶部と可溶部の極限
粘度比、冷キシレン可溶アセトン不溶部のエチレン含量
を測定した。結果を表1に示す。
【0088】樹脂組成物の製造 次に、上記組成物100重量部に対して、前記NA−2
1を0.3重量部を配合し、それ以外は実施例1と同様
にして樹脂組成物を製造した。これについて実施例1と
同一条件にて物性測定およびヘイズ測定を行なった。結
果を表2に示す。
【0089】比較例3 結晶性プロピレン重合体組成物の製造 実施例3のエチレン−プロピレン共重合体に代えてエチ
レン−プロピレンラバー(日本合成ゴム(株)製、グレ
ード名:EP07P)を用いた他は実施例3と同様にし
て結晶性プロピレン重合体組成物を得た。この組成物に
ついてMFR、エチレン含量、DSC、冷キシレン可溶
分量、冷キシレン不溶部と可溶部の極限粘度比、冷キシ
レン可溶アセトン不溶部のエチレン含量を測定した。結
果を表1に示す。
【0090】樹脂組成物の製造 次に、この組成物100重量部に、前記NA−21を
0.3重量部を配合し、それ以外は実施例1と同様にし
て樹脂組成物を製造した。これについて実施例1と同一
条件にて物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果を
表2に示す。
【0091】比較例4 実施例1で使用したのと同じプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体のみを用いた。その各特性を表1に示し
た。
【0092】前記NA−21を配合しなかった以外は実
施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、実施例1と同
一条件にて物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果
を表2に示す。
【0093】比較例5 実施例2で使用したのと同じプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体のみを用いた。その各特性を表1に示し
た。
【0094】前記NA−21を配合しなかった以外は実
施例2と同様にして樹脂組成物を製造し、実施例1と同
一条件にて物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果
を表2に示す。
【0095】比較例6 実施例3で使用したのと同じ結晶性プロピレン重合体組
成物のみを用いた。その各特性を表1に示した。
【0096】前記NA−21を配合しなかった以外は実
施例3と同様にして樹脂組成物を製造し、実施例1と同
一条件にて物性測定およびヘイズ測定を行なった。結果
を表2に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、
剛性、耐衝撃性、耐熱性、透明性および耐白化性に優れ
ているので、これらの特性が要求される成形品に有利に
使用される。特に、食品容器、医療用器具、理化学実験
器具等をはじめとして、広く射出成形や押出成形、ブロ
ー成形などによって得られる製品において有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)(A)結晶性プロピレン重合体部
    分95〜70重量%および(B)エチレン−プロピレン
    共重合体部分5〜30重量%を含むプロピレン−エチレ
    ンブロック共重合体であって、(i)エチレン含有量が
    3〜22重量%であり、(ii)メルトフローレートが
    0.3〜100g/10分であり、(iii)冷キシレ
    ン可溶分量が2.5〜20重量%であり、(iv)冷キ
    シレンに可溶でかつアセトンに不溶な部分のエチレン含
    量が40〜80重量%であり、(v)冷キシレンに不溶
    な部分の極限粘度[η]CXISと、冷キシレンに可溶
    な部分の極限粘度[η]CXSとの比、[η]CXIS
    /[η]CXSが0.4〜2.0であり、かつ(vi)
    118℃〜130℃に微小な融解ピークを持つところの
    プロピレン−エチレンブロック共重合体100重量部、 (b)アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジ
    ケトナートおよびアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩
    からなる群から選択される少なくとも一種0.01〜5
    重量部、および (c)次の[化1]の一般式(I)で表わされる環状有
    機リン酸エステル塩基性多価金属塩の少なくとも一種が
    0.01〜5重量部とを含むポリプロピレン樹脂組成
    物。 【化1】 (式中、R1 は、水素原子または炭素原子数1〜4のア
    ルキル基を示し、R2 およびR3 は、それぞれ水素原子
    または炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、Mは、
    周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、
    Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合に
    は、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を
    示す場合にはO=または(HO)2 −を示す。)
  2. 【請求項2】 (a´)(A´)結晶性プロピレン重合
    体95〜70重量%および(B´)エチレン−プロピレ
    ン共重合体5〜30重量%を含む組成物であって、
    (i)エチレン含有量が3〜22重量%であり、(i
    i)メルトフローレートが0.3〜100g/10分で
    あり、(iii)冷キシレン可溶分量が2.5〜20重
    量%であり、(iv)冷キシレンに可溶でかつアセトン
    に不溶な部分のエチレン含量が40〜80重量%であ
    り、(v)冷キシレンに不溶な部分の極限粘度[η]C
    XISと、冷キシレンに可溶な部分の極限粘度[η]C
    XSとの比、[η]CXIS/[η]CXSが0.4〜
    2であり、かつ(vi)118℃〜130℃に微小な融
    解ピークを持つところの結晶性プロピレン重合体組成物
    100重量部、 (b)アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジ
    ケトナートおよびアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩
    からなる群から選択される少なくとも一種0.01〜5
    重量部、および (c)次の[化2]([化I]と同じ)の一般式(I)
    で表わされる環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩
    の少なくとも一種が0.01〜5重量部とを含むポリプ
    ロピレン樹脂組成物。 【化2】 (式中、R1 は、水素原子または炭素原子数1〜4のア
    ルキル基を示し、R2 およびR3 は、それぞれ水素原子
    または炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、Mは、
    周期律表第III族または第IV族の金属原子を示し、
    Xは、Mが周期律表第III族の金属原子を示す場合に
    は、HO−を示し、Mが周期律表第IV族の金属原子を
    示す場合にはO=または(HO)2 −を示す。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003313444A (ja) * 2002-04-19 2003-11-06 Asahi Denka Kogyo Kk 粒子状結晶核剤組成物及びこれを含有してなる結晶性高分子組成物
JP2004083852A (ja) * 2002-06-24 2004-03-18 Asahi Denka Kogyo Kk 造核剤及び該造核剤を含有してなる結晶性高分子組成物

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JP2003313444A (ja) * 2002-04-19 2003-11-06 Asahi Denka Kogyo Kk 粒子状結晶核剤組成物及びこれを含有してなる結晶性高分子組成物
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