JPH0970233A - 温室用散水・搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 できるだけ低コストで、温室内における搬送
作業を従来よりも容易にする。 【解決手段】 温室１０内に所定の高さで略水平にレー
ル２を配設する。該レール２に沿って散水用台車３と搬
送用台車４を走行可能に縦列に配設する。散水用台車３
と搬送用台車４とは、単独で走行可能であると共に、連
結されて走行することができるように設けられる。散水
用台車３に駆動機構５を連結する。搬送用台車４の搬送
用アーム７に吊り下げ支持される被搬送物は、搬送用台
車４と散水用台車３との連結を解除しておくと、作業者
が手動で移動させることができ、両者を連結すれば散水
用台車３に誘導されて移動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は温室内の上方に配設
され、植物に対して散水を行うと共に、収穫物などの搬
送も行うことができる温室用散水・搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、温室内で栽培している植物に対し
て散水を行う場合、温室内の上方にレールを設置し、こ
のレールに沿って走行する台車に、散水管及び散水ノズ
ルが収容された散水アームを支持させ、台車に接続され
ている駆動機構を駆動して、温室内に満遍なく培養液等
を散水することが行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】温室内における散水手
段は、上記したように、駆動機構を用いて制御すること
により、既に自動化が図られている。これに対し、温室
内の収穫物を搬送する場合は、収穫物を収容した箱等を
作業者が収穫場所から温室外まで運び出すのが通常であ
り、機械化、自動化はほとんど図られていないのが現実
である。鉢物を栽培する温室の場合には、鉢物が重いた
め、手押し台車を利用して搬送することも行われている
が、手押し台車で円滑に作業をするためには、温室内の
通路部にコンクリートを敷設することが要求される。こ
のため、手押し台車は、土耕で栽培する場合には利用し
難く、汎用性に乏しいという問題もある。これらのこと
から、栽培植物の種類に関係なく、収穫物や植物等の搬
送作業の容易化を図ることができる装置の開発が望まれ
ていた。

【０００４】そこで、本発明は温室内における搬送作業
を従来よりも容易にすることができる装置の提供を目的
とする。しかも、既存の散水手段を利用することで、か
かる装置をできるだけ低コストで提供することも目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した課題を達成する
ため本発明の温室用散水・搬送装置は、温室内に所定の
高さで略水平に配設されるレールと、該レールに沿って
走行可能に設けられた散水用台車と、該レールに沿って
該散水用台車と縦列に配設され、該レールに沿って単独
で走行可能であると共に、散水用台車に連結されて散水
用台車と共に走行することができる搬送用台車と、散水
用台車をレールに沿って走行させるための駆動機構と、
散水用ノズルを適宜数有し、散水用台車に支持される散
水用アームと、被搬送物を吊り下げ支持可能であると共
に、搬送用台車に支持される搬送用アームと、を有する
ことを特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明する。図において、１は温室用散水・搬送装置を
示し、レール２、散水用台車３、搬送用台車４、駆動機
構５、散水用アーム６、搬送用アーム７等を有して構成
される。

【０００７】レール２は、温室１０内において所定の高
さで設置される。図面に示した例では、レール２を温室
１０の妻面１０ａ，１０ｂ間に掛け渡し配設している
が、温室等の形状や大きさによっては側面１０ｃ，１０
ｄ間に掛け渡すなど、これに限定されるものではないこ
とはもちろんである。また、図面に示した例では、平行
に３本のレール２を配設している。中央部に配設したレ
ール２は、後述の駆動機構５に連結された散水用台車３
が配設されるものであるが、その両側部に配設されるレ
ール２は、散水用アーム６及び搬送用アーム７が温室１
０の側面１０ｃ，１０ｄ間の距離より僅かに短い程度の
長さを有するため、それらが移動中に横振れしないよ
う、散水用台車３、搬送用台車４を配設して支持させる
ために設けられる。但し、これはあくまで一例であり、
例えば、散水用アーム６や搬送用アーム７の長さが短い
場合や他の横振れ防止手段を施した場合には両側部のレ
ール２は設けなくてもよい。

【０００８】レール２の形状も特に限定されるものでは
ないが、図面に示した例では、断面形状が略Ｈ字型の鋼
材を横置きにしたような形状を有しており、上レール部
２ａ、下レール部２ｂ及び中央仕切部２ｃとから構成さ
れている（図３参照）。

【０００９】散水用台車３は、レール２に沿った両端面
と上面とが開口しており、レール２の下レール部２ｂの
下方を覆う底面を有する略直方体状に形成されたフレー
ム３１と、該フレーム３１の両側板３１ａ，３１ｂの上
部に取り付けられる車輪３２とを有して構成されてい
る。そして、この車輪３２がレール２の下レール部２ｂ
上に位置するように配設され、該下レール部２ｂに沿っ
て走行可能となっている（図３参照）。なお、フレーム
３１の底面３１ｃには、連結部材３５を介して後述の散
水用アーム６が取り付けられる。ここで、図３において
符号３３は、フレーム３１の側板３１ｂの外方に突出す
るように設けた、後述の駆動機構５の駆動ワイヤ５２の
任意部位を固定するためのワイヤ連結部である。

【００１０】搬送用台車４は、上記した散水用台車３と
ほぼ同じ形状を有するが、駆動機構５とは連結されない
ためフレーム４１に散水用台車３のようなワイヤ連結部
が設けられていない点で異なっている。

【００１１】散水用台車３と搬送用台車４とは、レール
２に沿って縦列に配置されると共に、連結、切り離し可
能に設けられている。連結したり切り離したりするため
の手段はいかなる手段であってもよいが、例えば、図２
に示したように、散水用台車３のフレーム３１の端部に
下向きに突出させた突起部３１ｄを設けると共に、搬送
用台車４のフレーム４１の対向する端部に、バネ４１ｅ
等によって上方に付勢されているフック部４１ｄと該フ
ック部４１ｄを下方に引っ張るひも４１ｆを設け、両者
を接近させると、散水用台車３１の突起部３１ｄがフッ
ク部４１ｄに引っ掛かって連結され、ひも４１ｆを下方
に引っ張ることで連結が解除される手段を用いることが
できる。

【００１２】駆動機構５は、レール２の一端を支持して
いる梁１０ｅに固定され、モータとプーリ（いずれも図
示せず）を有する駆動源５１と、該駆動源５１のプーリ
とレール２の他端を支持している梁１０ｆに固定されて
いるプーリ（図示せず）との間に掛け回された駆動ワイ
ヤ５２と、該梁１０ｆに固定されたリミットスイッチ５
３と、を有して構成されている。そして、２つのプーリ
間に掛け回されることにより形成される駆動ワイヤ５２
の一方の直線部５２ａの適宜部位が、上記した散水用台
車３のワイヤ連結部３３に連結されることで、該散水用
台車３を走行させることが可能となっている。ここで、
図３に示した符号５４，５５は、駆動ワイヤ５２の一方
の直線部５２ａと他方の直線部５２ｂの下方に配設され
るたるみ防止用のワイヤ受けローラであり、一端がレー
ル２に固定されている支持棒５６に並列的に配設されて
いる。また、この支持棒５６とワイヤ受けローラ５４，
５５は、レール２に沿って所定間隔をおいて配設されて
いる。なお、駆動ワイヤ５２は、このような配設方法に
限らず、散水用台車３の下方に配設されるよう、散水用
台車３の底面３１ｃの下部に連結してもよいし、レール
２の下レール部２ｂ上の隙間に配設するようにしてもよ
い。

【００１３】散水用アーム６は、断面略四角形のパイプ
材からなり、散水用台車３の底面に取り付けられている
連結部材３５によって支持されている。中央のレール２
に配設された散水用台車３に該散水用アーム６の中央部
が取り付けられ、両側のレール２に配設された散水用台
車３に該散水用アーム６の両端部付近が取り付けられ
る。この散水用アーム６内には適宜位置に設けた培養液
等供給源と連結され、適宜数のノズル（図示せず）を有
する散水管６１が配設されている。但し、この散水用ア
ーム６は、噴霧用のノズルから培養液等を散布すること
ができればよく、散水用アーム６を散水管６１の支持部
材として用いるのではなく、散水用アーム６自体を散水
管として機能させてもよい。また、散水管６１の配設本
数は特に制限されるものではない。例えば、図２に示す
ように、２本配設して、一方に培養液を、他方に防除用
の薬剤を供給するようにしてもよい。

【００１４】搬送用アーム７は、被搬送物を鋼線、ひも
等を介して吊り下げる機能を有すればよいため、棒状の
ものであれば形状、材質等は特に制限されないが、図面
に示した例では断面略四角形のパイプ材を用いている
（図２参照）。搬送用台車４のフレーム４１の底面に取
り付けられている連結部材４５を介して該搬送用台車４
に連結されている。なお、搬送用アーム７には、図４に
示すように、所定長さの鋼線やひも等の吊り下げ部材８
の一端が支持されるが、該吊り下げ部材８の他端側に
は、被搬送物を保持する保持機構が備えられている。保
持機構としては、例えば、被搬送物が果実や花等の収穫
物であれば、それらを収納するかご９が取り付けられ
る。

【００１５】次に、上記した構成の温室用散水・搬送装
置１の作用を、被搬送物として果実や花等の収穫物を搬
送する場合を例にとり説明する。なお、収納かご９は、
図４に示したように栽培植物１１間の通路部１２上に位
置するよう吊り下げ部材８を介して配設する。作業者
が、収穫作業を行うにあたっては、散水用台車３と搬送
用台車４とを連結しない状態にしておき、搬送用アーム
７に吊り下げられている収納かご９を手で持つなどして
作業場所まで引き寄せる。作業場所を移動しても、搬送
用台車４は、いわばフリーの状態であるため、容易にレ
ール２に沿って所定の位置まで移動することができる。

【００１６】収穫物が収納かご９内に一杯になった場
合、あるいは相当量の収穫物を収容して重くなった場合
には、搬送用台車４を散水用台車３に接近させ、搬送用
台車４のフック部４１ｄを散水用台車３の突起部３１ｄ
に係合させて両者を連結させる（図３参照）。そして、
駆動機構５を駆動させて散水用台車３をレール２に沿っ
て温室１０のいずれかの妻面１０ａ，１０ｂ付近まで動
かす。その結果、搬送用台車４は該散水用台車３に誘導
されて、すなわち押圧されるか牽引されてレール２上を
人手を介することなく移動する。妻面付近に至ったなら
ば、作業者は、収納かご９を取り外して温室１０外へ運
び出す。従って、一杯になった収納かご９を搬送するた
めの作業者の負担は従来と比較して軽減されることにな
る。

【００１７】なお、散水が必要な場合には、散水用台車
３をレールに沿って移動させることで散水用アーム６か
ら培養液等を噴霧することができることはもちろんであ
る。

【００１８】上記した説明では、収穫物を搬送する場合
を説明しているが、作業用具等、温室栽培に必要な種々
のものを搬送するのに利用できることももちろんであ
る。また、上記した説明では、収納かご９を通路部１２
上方に位置するように配設しているが、苗を搬送する場
合などは吊り下げ部材８の長さを短くするなどして、培
地あるいは栽培植物１１の上方等に配設することもでき
る。さらに、収納かご９としてより大きなものを用い、
１本の吊り下げ部材８で支持するのではなく、複数本の
吊り下げ部材で支持するようにしてもよい。

【００１９】

【発明の効果】本発明の温室用散水・搬送装置によれ
ば、温室内の上方に設置されたレールに沿って走行する
搬送用台車、搬送用アームを有しているため、収穫物等
の搬送を容易に行うことができる。また、散水用台車を
駆動させることで、搬送用台車を人手を介することなく
動かすこともできるので、重量の重い被搬送物の移動も
容易に行うことができる。さらに、本発明は既存の散水
装置を利用して、これに搬送用台車や搬送用アーム等の
搬送装置を付加した構造であるため、低コストで提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる温室用散水・搬送装置の一の実
施の形態を示す斜視図である。

【図２】上記実施の形態で使用した散水用台車と搬送用
台車を示す側面図である。

【図３】上記実施の形態で使用したレール、散水用台車
の配設状態を示す図である。

【図４】上記実施の形態の作用を説明するための図であ
る。

【符号の説明】

１ 温室用散水・搬送装置 ２ レール ３ 散水用台車 ４ 搬送用台車 ５ 駆動機構 ６ 散水用アーム ７ 搬送用アーム ８ 吊り下げ部材 ９ 収納かご １０ 温室

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 温室内に所定の高さで略水平に配設され
   るレールと、 該レールに沿って走行可能に設けられた散水用台車と、 該レールに沿って該散水用台車と縦列に配設され、該レ
   ールに沿って単独で走行可能であると共に、散水用台車
   に連結されて散水用台車と共に走行することができる搬
   送用台車と、 散水用台車をレールに沿って走行させるための駆動機構
   と、 散水用ノズルを適宜数有し、散水用台車に支持される散
   水用アームと、 被搬送物を吊り下げ支持可能であると共に、搬送用台車
   に支持される搬送用アームと、を有することを特徴とす
   る温室用散水・搬送装置。