JPH0967628A - 歯科用金・チタン系合金 - Google Patents
歯科用金・チタン系合金Info
- Publication number
- JPH0967628A JPH0967628A JP7223704A JP22370495A JPH0967628A JP H0967628 A JPH0967628 A JP H0967628A JP 7223704 A JP7223704 A JP 7223704A JP 22370495 A JP22370495 A JP 22370495A JP H0967628 A JPH0967628 A JP H0967628A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gold
- titanium
- alloy
- hardness
- titanium alloy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Dental Preparations (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】機械的性質が良く、生体安全性が高く、鋳造や
加工のしやすい歯科用に適した歯科用金・チタン合金を
提供する。 【解決手段】金・チタン合金であって、チタンが3重量
%以下で含有する歯科用用金・チタン合金、及び該合金
において更にAg 7重量%以下、Cu 20重量%以
下、Pt 7重量%以下、Pd 2重量%以下、Zn 4
重量%以下Ir 2重量%以下、及びIn 10重量%以
下の群から選ばれる一種以上を含有する歯科用金・チタ
ン合金。
加工のしやすい歯科用に適した歯科用金・チタン合金を
提供する。 【解決手段】金・チタン合金であって、チタンが3重量
%以下で含有する歯科用用金・チタン合金、及び該合金
において更にAg 7重量%以下、Cu 20重量%以
下、Pt 7重量%以下、Pd 2重量%以下、Zn 4
重量%以下Ir 2重量%以下、及びIn 10重量%以
下の群から選ばれる一種以上を含有する歯科用金・チタ
ン合金。
Description
【0001】
【発明の属する技術】本発明は歯科用金合金、特に機械
的性質が良く、生体安全性が高く、鋳造や加工のしやす
い歯科用に適している新規な歯科用金・チタン系合金に
関する。
的性質が良く、生体安全性が高く、鋳造や加工のしやす
い歯科用に適している新規な歯科用金・チタン系合金に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、歯科鋳造用金合金は、すぐれ
た性質を有し、歯科材料として歯冠修復用、義歯床用、
クラスプ用、バー用、歯科インプラント用などとして広
く応用されている。即ち、金は耐蝕性の最も優れた元素
であり、展延性に富み、加工性の良好なものであるが、
歯冠修復材料として軟らかすぎるため、種々の元素を添
加して使用目的に応じた合金として使用されている。そ
して金合金は優れた耐久性と加工性を有する上に、生体
安全性の点ですぐれているため、歯科用合金の一つとし
て最も古くから使用されているのである。この金合金
は、金を主成分とし、これに銀、銅を加えた三元素合金
が基本であり、さらに、この金・銀・銅三元素合金に白
金、パラジウム、インジウム、イリジウム、スズ、亜鉛
などの元素を添加した加工用金合金あるいは鋳造用金合
金、陶材溶着冠用金合金がある。一方、チタンは耐蝕性
及び生体適合性が極めて高く、比重が小さく、資源が豊
富であるなどの特徴を有するので、純チタンあるいはチ
タンの含有率の高い合金が歯科用鋳造修復用合金(例え
ば特開昭61−223151号公報)として使用されて
いる。しかしながら、これまで歯科用鋳造用合金として
金・チタン合金を使用した例は見られない。
た性質を有し、歯科材料として歯冠修復用、義歯床用、
クラスプ用、バー用、歯科インプラント用などとして広
く応用されている。即ち、金は耐蝕性の最も優れた元素
であり、展延性に富み、加工性の良好なものであるが、
歯冠修復材料として軟らかすぎるため、種々の元素を添
加して使用目的に応じた合金として使用されている。そ
して金合金は優れた耐久性と加工性を有する上に、生体
安全性の点ですぐれているため、歯科用合金の一つとし
て最も古くから使用されているのである。この金合金
は、金を主成分とし、これに銀、銅を加えた三元素合金
が基本であり、さらに、この金・銀・銅三元素合金に白
金、パラジウム、インジウム、イリジウム、スズ、亜鉛
などの元素を添加した加工用金合金あるいは鋳造用金合
金、陶材溶着冠用金合金がある。一方、チタンは耐蝕性
及び生体適合性が極めて高く、比重が小さく、資源が豊
富であるなどの特徴を有するので、純チタンあるいはチ
タンの含有率の高い合金が歯科用鋳造修復用合金(例え
ば特開昭61−223151号公報)として使用されて
いる。しかしながら、これまで歯科用鋳造用合金として
金・チタン合金を使用した例は見られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】チタンは軽くて強く、
また耐食性や生体安全性が良いという長所を持つが、融
点が高く(1668℃)、高温で非常に活性であり、酸
素や埋没材と反応しやすく、歯科鋳造が難しいため、特
別な鋳造機や埋没材を必要とする等の欠点を有し、又金
は化学的に安定であり、融点も低く(1063℃)鋳造
や加工がしやすいという長所を持つが、強さや硬さが小
さいという欠点をもち、Pdなどの添加元素の量がこれ
までのものは比較的多く、生体安全性等の点で問題があ
り、これら従来の歯科用合金は必ずしも歯科用として具
備すべき諸条件、即ち生物学的要件と耐蝕性に代表され
る化学的要件及び鋳造や加工しやすい等の機械的要件を
十分にかつ同時に満たすものではなかった。したがって
歯科用合金としては、耐食性や生体安全性がよく、且つ
機械的性質がよく、鋳造や加工しやすい合金の開発が望
まれるところである。
また耐食性や生体安全性が良いという長所を持つが、融
点が高く(1668℃)、高温で非常に活性であり、酸
素や埋没材と反応しやすく、歯科鋳造が難しいため、特
別な鋳造機や埋没材を必要とする等の欠点を有し、又金
は化学的に安定であり、融点も低く(1063℃)鋳造
や加工がしやすいという長所を持つが、強さや硬さが小
さいという欠点をもち、Pdなどの添加元素の量がこれ
までのものは比較的多く、生体安全性等の点で問題があ
り、これら従来の歯科用合金は必ずしも歯科用として具
備すべき諸条件、即ち生物学的要件と耐蝕性に代表され
る化学的要件及び鋳造や加工しやすい等の機械的要件を
十分にかつ同時に満たすものではなかった。したがって
歯科用合金としては、耐食性や生体安全性がよく、且つ
機械的性質がよく、鋳造や加工しやすい合金の開発が望
まれるところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、金とチタンとの
合金であって、比重の小さいチタンを金に少量添加した
ものが前記の課題を一挙に解決し、目的を達成し得るも
のであることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、金・チタン合金であって、チタンを
3重量%以下で含有する歯科用金・チタン系合金、およ
びAg 7重量%以下、Cu 20重量%以下、Pt
7重量%以下、Pd 2重量%以下、Zn 4重量%以
下、Ir 2重量%以下及びIn 10重量%以下の群か
ら選ばれる一種以上を含有する記載の歯科用金・チタ
ン系合金、に関する。本発明の金、チタン合金は、金の
含有量99.5〜63.0重量%であり、チタンを3重
量%以下を含有するものであり、好ましくは1〜2重量
%のチタンを含有する。これにより以下のような歯科用
合金としての要件、(1)耐食性や生体適合性を低下さ
せる可能性のある合金元素を金に加えないかあるいは加
えてもごく少量で歯科鋳造用合金としての機械的性質を
満たすことができる、(2)従来、金を強化するために
融点を高くする白金やパラジウムを合わせて5%以上加
える場合が多いが、チタンの金への添加はこれより少量
ですむため、金合金の融点を低くすることができ、鋳造
を容易にする、(3)チタンは他の合金添加元素と異な
り金への少量の添加で歯科鋳造用合金としての機械的性
質を十分満たすことができるから、金色を損なわずに歯
科鋳造用金合金を作ることができる、を満たすことがで
きる。又、この金・チタン合金はさらに他の金属Ag:
0〜7重量%、Cu:0〜20重量%、Pt:0〜7重
量%、Pd:0〜2重量%、Zn:0〜4重量%、I
r:0〜2重量%、In:0〜10重量%が単独又は複
合して添加されてもよいものである。これらの金属を添
加することにより、次のような効果が奏せられる。 (1)Ag,Cu,In:融点を更に下げることができ
る。 (2)Cu,Pt,Pd:機械的性質を更に向上させる
ことができる。 (3)Zn:脱酸効果があり鋳造欠陥を減らすことがで
きる。 (4)Ir:鋳造体の結晶粒を微細化し機械的性質を向
上させる。 (5)In:陶材を焼き付け易くする。金合金に陶材を
焼き付けると天然歯に近い色調にすることができる。
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、金とチタンとの
合金であって、比重の小さいチタンを金に少量添加した
ものが前記の課題を一挙に解決し、目的を達成し得るも
のであることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、金・チタン合金であって、チタンを
3重量%以下で含有する歯科用金・チタン系合金、およ
びAg 7重量%以下、Cu 20重量%以下、Pt
7重量%以下、Pd 2重量%以下、Zn 4重量%以
下、Ir 2重量%以下及びIn 10重量%以下の群か
ら選ばれる一種以上を含有する記載の歯科用金・チタ
ン系合金、に関する。本発明の金、チタン合金は、金の
含有量99.5〜63.0重量%であり、チタンを3重
量%以下を含有するものであり、好ましくは1〜2重量
%のチタンを含有する。これにより以下のような歯科用
合金としての要件、(1)耐食性や生体適合性を低下さ
せる可能性のある合金元素を金に加えないかあるいは加
えてもごく少量で歯科鋳造用合金としての機械的性質を
満たすことができる、(2)従来、金を強化するために
融点を高くする白金やパラジウムを合わせて5%以上加
える場合が多いが、チタンの金への添加はこれより少量
ですむため、金合金の融点を低くすることができ、鋳造
を容易にする、(3)チタンは他の合金添加元素と異な
り金への少量の添加で歯科鋳造用合金としての機械的性
質を十分満たすことができるから、金色を損なわずに歯
科鋳造用金合金を作ることができる、を満たすことがで
きる。又、この金・チタン合金はさらに他の金属Ag:
0〜7重量%、Cu:0〜20重量%、Pt:0〜7重
量%、Pd:0〜2重量%、Zn:0〜4重量%、I
r:0〜2重量%、In:0〜10重量%が単独又は複
合して添加されてもよいものである。これらの金属を添
加することにより、次のような効果が奏せられる。 (1)Ag,Cu,In:融点を更に下げることができ
る。 (2)Cu,Pt,Pd:機械的性質を更に向上させる
ことができる。 (3)Zn:脱酸効果があり鋳造欠陥を減らすことがで
きる。 (4)Ir:鋳造体の結晶粒を微細化し機械的性質を向
上させる。 (5)In:陶材を焼き付け易くする。金合金に陶材を
焼き付けると天然歯に近い色調にすることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の金・チタン合金は例えば
以下の方法により作製することができる。原料スポンジ
チタンを融解し、純チタンインゴットを作製する。スポ
ンジチタンの融解は例えばアルゴンアーク炉で行うこと
ができる。得られた純チタンの一定量と純金とを融解
し、金・チタン合金インゴットを作製する。このとき、
純チタンを3重量%以下、例えば0.5〜3.0重量%
に変えて各種金・チタン合金を作製することができる。
又、他の添加元素、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、
イリジウム、インジウムの一種又はそれ以上の少量を前
記金及びチタンと共に融解して、所望の含有量の金、チ
タン、添加元素からなる金・チタン合金を作製する。添
加元素の添加量は例えばAg 7重量%以下、Cu 20
重量%以下、Pt 7重量%以下、Pd2重量%以下、
Zn 4重量%以下、Ir 2重量%以下、およびIn 1
0重量%以下である。
以下の方法により作製することができる。原料スポンジ
チタンを融解し、純チタンインゴットを作製する。スポ
ンジチタンの融解は例えばアルゴンアーク炉で行うこと
ができる。得られた純チタンの一定量と純金とを融解
し、金・チタン合金インゴットを作製する。このとき、
純チタンを3重量%以下、例えば0.5〜3.0重量%
に変えて各種金・チタン合金を作製することができる。
又、他の添加元素、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、
イリジウム、インジウムの一種又はそれ以上の少量を前
記金及びチタンと共に融解して、所望の含有量の金、チ
タン、添加元素からなる金・チタン合金を作製する。添
加元素の添加量は例えばAg 7重量%以下、Cu 20
重量%以下、Pt 7重量%以下、Pd2重量%以下、
Zn 4重量%以下、Ir 2重量%以下、およびIn 1
0重量%以下である。
【0006】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
た実施例中で用いられている%は特に断わらない限り、
重量%を表わす。実施例1 スポンジチタン(99.8重量%)をアルゴンアーク炉
で融解し、純チタンインゴットを作製した。純金(9
9.99重量%)とこの純チタンを0.5、1.0、
1.5、2.0重量%Tiの組成となるように秤量し、
アルゴンアーク炉で融解して10gのAu-Ti合金の
インゴットを作製した。これらの各組成の合金をφ2×
15mmの棒状にアルゴンキャスターT(松風(株)
製)を用いて鋳造した。なお、埋没材としてブルーベス
ト(徳山曹達(株)製)を用いた。この棒状の鋳造体を
2mmの長さに切断し、試料として各種物性の測定を行
った。はじめに、溶体化処理の時間を求めるため、Au
-2.0重量%Tiの試料を石英管に真空封入し、10
00℃で5、10、20、30、60分間加熱急冷し
た。これらの試料の硬さを荷重200gの条件でマイク
ロビッカース硬度計(明石(株))を用いて測定した。
その結果、10分から60分まで硬さに変化はなかった
ため、各試料の溶体化処理条件を1000℃で10分間
加熱急冷とした。次に、各組成のAu-Ti合金を、前
述の条件に基づき溶体化処理し、各々の硬さを測定し
た。溶体化処理後の各Au-Ti合金について、加熱温
度を400、500、600、700℃、加熱時間を
5、10、20、30、60分とした条件で、時効処理
を行い、硬さを測定した。比較のため、as cast
(鋳造のまま)の試料についても同様の方法で硬さを測
定した。なお、硬さは1試料5点について平均と標準偏
差を求めた。Au-2.0重量%Ti合金の時効温度お
よび時効時間と硬さの関係を図1に示す。各時効時間で
の硬さを比較すると、400℃、500℃、600℃の
順で硬さが大きくなっており、700℃では600℃に
比べ硬さが小さく、500℃と同程度の硬さを示した。
時効時間に関しては、500℃、600℃では10分程
で硬さがほぼ一定であったが、700℃では5分で硬さ
が最大となった後、減少傾向となり、400℃では60
分まで上昇傾向を示した。以上より明らかなように、A
u-2.0重量%Ti合金では600℃、10分で硬さ
は最大であった。又、他の組成のAu-Ti合金におい
ても同様の条件で最も硬くなった。次に、as cas
t、溶体化処理、時効処理(600℃、10分)での各
Au-Ti合金の硬さを図2に示す。いずれの場合にお
いてもチタン添加量の増加に伴い硬さが増加しているこ
とが分かる。組成別にみると、Au-0.5重量%Ti
合金では時効硬化はしていない。Au-1.0、1.
5、2.0重量%Ti合金は、溶体化処理では3組成と
もADA規格のType I 相当の硬さを示し、時効処
理ではAu-2.0重量%Ti合金がType IV 相当
の硬さを示した。as castでも時効処理したもの
に硬さは近い。これらの時効硬度は、Au-Ti系状態
図(ASM Handbook Volume 3 Alloy Phase Diagrams, Ed.
Hugh Baker, ASM International, 1992, Section 2・7
8)から、Au-Tiの固溶体中への金属間化合物Ti-A
u4の析出によるものと考えられ、チタンの添加量が増
加するとTi-Au4の析出量が増加するために、硬さが
増加すると考えられる。このように、少量のチタンを金
に添加することで、合金の機械的性質は大きく変化し
た。また、同一組成でもas cast、溶体化処理、
時効処理と、熱処理条件を変えることによって硬さはT
ype I からType IV まで得られた。このよう
に、その硬さからみて本発明の金・チタン合金は歯科用
として有用であることが分かる。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
た実施例中で用いられている%は特に断わらない限り、
重量%を表わす。実施例1 スポンジチタン(99.8重量%)をアルゴンアーク炉
で融解し、純チタンインゴットを作製した。純金(9
9.99重量%)とこの純チタンを0.5、1.0、
1.5、2.0重量%Tiの組成となるように秤量し、
アルゴンアーク炉で融解して10gのAu-Ti合金の
インゴットを作製した。これらの各組成の合金をφ2×
15mmの棒状にアルゴンキャスターT(松風(株)
製)を用いて鋳造した。なお、埋没材としてブルーベス
ト(徳山曹達(株)製)を用いた。この棒状の鋳造体を
2mmの長さに切断し、試料として各種物性の測定を行
った。はじめに、溶体化処理の時間を求めるため、Au
-2.0重量%Tiの試料を石英管に真空封入し、10
00℃で5、10、20、30、60分間加熱急冷し
た。これらの試料の硬さを荷重200gの条件でマイク
ロビッカース硬度計(明石(株))を用いて測定した。
その結果、10分から60分まで硬さに変化はなかった
ため、各試料の溶体化処理条件を1000℃で10分間
加熱急冷とした。次に、各組成のAu-Ti合金を、前
述の条件に基づき溶体化処理し、各々の硬さを測定し
た。溶体化処理後の各Au-Ti合金について、加熱温
度を400、500、600、700℃、加熱時間を
5、10、20、30、60分とした条件で、時効処理
を行い、硬さを測定した。比較のため、as cast
(鋳造のまま)の試料についても同様の方法で硬さを測
定した。なお、硬さは1試料5点について平均と標準偏
差を求めた。Au-2.0重量%Ti合金の時効温度お
よび時効時間と硬さの関係を図1に示す。各時効時間で
の硬さを比較すると、400℃、500℃、600℃の
順で硬さが大きくなっており、700℃では600℃に
比べ硬さが小さく、500℃と同程度の硬さを示した。
時効時間に関しては、500℃、600℃では10分程
で硬さがほぼ一定であったが、700℃では5分で硬さ
が最大となった後、減少傾向となり、400℃では60
分まで上昇傾向を示した。以上より明らかなように、A
u-2.0重量%Ti合金では600℃、10分で硬さ
は最大であった。又、他の組成のAu-Ti合金におい
ても同様の条件で最も硬くなった。次に、as cas
t、溶体化処理、時効処理(600℃、10分)での各
Au-Ti合金の硬さを図2に示す。いずれの場合にお
いてもチタン添加量の増加に伴い硬さが増加しているこ
とが分かる。組成別にみると、Au-0.5重量%Ti
合金では時効硬化はしていない。Au-1.0、1.
5、2.0重量%Ti合金は、溶体化処理では3組成と
もADA規格のType I 相当の硬さを示し、時効処
理ではAu-2.0重量%Ti合金がType IV 相当
の硬さを示した。as castでも時効処理したもの
に硬さは近い。これらの時効硬度は、Au-Ti系状態
図(ASM Handbook Volume 3 Alloy Phase Diagrams, Ed.
Hugh Baker, ASM International, 1992, Section 2・7
8)から、Au-Tiの固溶体中への金属間化合物Ti-A
u4の析出によるものと考えられ、チタンの添加量が増
加するとTi-Au4の析出量が増加するために、硬さが
増加すると考えられる。このように、少量のチタンを金
に添加することで、合金の機械的性質は大きく変化し
た。また、同一組成でもas cast、溶体化処理、
時効処理と、熱処理条件を変えることによって硬さはT
ype I からType IV まで得られた。このよう
に、その硬さからみて本発明の金・チタン合金は歯科用
として有用であることが分かる。
【0007】実施例2 実施例1と同様に操作して、添加物を有する以下の組成
の金・チタン合金を得た。 Au (金23K) 18.246g (91.2%) Ti (チタン純度99.8%以上) 0.4g (2%) 添加物(α) 1.354g (6.8%) (白金1.23%、パラジウム0.07%、銀1.07%、銅3.49 %、亜鉛0.71%、イリジウム0.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 ビッカース硬さ試験(300g 15″) 218(HV) 214(HV) 214(HV) 206(HV) 214(HV) 平均 213(HV) 引張試験(φ2.0mm×50mm) 67kgf/mm2 〔kgfにおけるfはフォース(応力)を示す〕 伸び(%) 2.11%実施例3 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金22K) 15.432g (77.16%) Ti (チタン99.8%以上) 0.3g (1.5%) 添加物(α) 4.268g (21.34%) (白金3.88%、パラジウム0.8%、銀3.93%、銅10.33 %、亜鉛1.67%、イリジウム0.73%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例4 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金21K) 12.61g (63.05%) Ti (チタン99.8%以上) 0.2g (1%) 添加物(α) 7.19g (35.95%) (白金6.52%、パラジウム1.03%、銀6.31%、銅17.7 4%、亜鉛3.12%、イリジウム1.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例5 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 含有量 含有割合 Au (金 純度99.9%以上) 12g (60%) Ti (チタン 純度99.8%以上) 0.2g (1%) Pt (白金 純度99.9%以上) 0.76g (3.8%) Pd (パラジウム 純度99.9%以上)0.14g (0.7%) Ag (銀 純度99.9%以上) 1.08g (5.4%) Cu (銅 純度99.9%以上) 3.9g (19.5%) Zn (亜鉛 純度99.9%以上) 1.0g (2%) In (インジウム 純度99.9%以上)0.92g (7.6%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。
の金・チタン合金を得た。 Au (金23K) 18.246g (91.2%) Ti (チタン純度99.8%以上) 0.4g (2%) 添加物(α) 1.354g (6.8%) (白金1.23%、パラジウム0.07%、銀1.07%、銅3.49 %、亜鉛0.71%、イリジウム0.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 ビッカース硬さ試験(300g 15″) 218(HV) 214(HV) 214(HV) 206(HV) 214(HV) 平均 213(HV) 引張試験(φ2.0mm×50mm) 67kgf/mm2 〔kgfにおけるfはフォース(応力)を示す〕 伸び(%) 2.11%実施例3 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金22K) 15.432g (77.16%) Ti (チタン99.8%以上) 0.3g (1.5%) 添加物(α) 4.268g (21.34%) (白金3.88%、パラジウム0.8%、銀3.93%、銅10.33 %、亜鉛1.67%、イリジウム0.73%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例4 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金21K) 12.61g (63.05%) Ti (チタン99.8%以上) 0.2g (1%) 添加物(α) 7.19g (35.95%) (白金6.52%、パラジウム1.03%、銀6.31%、銅17.7 4%、亜鉛3.12%、イリジウム1.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例5 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 含有量 含有割合 Au (金 純度99.9%以上) 12g (60%) Ti (チタン 純度99.8%以上) 0.2g (1%) Pt (白金 純度99.9%以上) 0.76g (3.8%) Pd (パラジウム 純度99.9%以上)0.14g (0.7%) Ag (銀 純度99.9%以上) 1.08g (5.4%) Cu (銅 純度99.9%以上) 3.9g (19.5%) Zn (亜鉛 純度99.9%以上) 1.0g (2%) In (インジウム 純度99.9%以上)0.92g (7.6%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。
【0008】
【本発明の効果】金に少量のチタンを添加することによ
り金の機械的性質を強化できそれにより、歯科用とし
て、金及びチタンは耐食性がきわめて良好であり、生
体との親和性がよい、チタンを少量添加することによ
り金を大きく強化できるので、金の鋳造や加工特性を損
なうことなく保持し、又、その他の添加強化元素であ
るAg、Cu、Pt、Pd、Zn、Ir、Inについて
も従来の金合金に比べて極少量で十分であるので、これ
らの合金元素によるアレルギーになる確率は著しく減少
することができ、従来の金合金に比べ添加元素の総量
を極めて低くでき純金に近い状態で歯科用としてその目
的に合った合金とすることができる等のすぐれた効果を
奏する合金である。
り金の機械的性質を強化できそれにより、歯科用とし
て、金及びチタンは耐食性がきわめて良好であり、生
体との親和性がよい、チタンを少量添加することによ
り金を大きく強化できるので、金の鋳造や加工特性を損
なうことなく保持し、又、その他の添加強化元素であ
るAg、Cu、Pt、Pd、Zn、Ir、Inについて
も従来の金合金に比べて極少量で十分であるので、これ
らの合金元素によるアレルギーになる確率は著しく減少
することができ、従来の金合金に比べ添加元素の総量
を極めて低くでき純金に近い状態で歯科用としてその目
的に合った合金とすることができる等のすぐれた効果を
奏する合金である。
【図1】Au-2.0重量%Ti合金の時効処理温度、
時間と硬さの関係を示す図である。
時間と硬さの関係を示す図である。
【図2】as cast、溶体化処理、時効処理(60
0℃;10分)での各Au-Ti合金の硬さを示す図で
ある。
0℃;10分)での各Au-Ti合金の硬さを示す図で
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】実施例2 実施例1と同様に操作して、添加物を有する以下の組成
の金・チタン合金を得た。 Au (金23K) 18.246g (91.2%) Ti (チタン純度99.8%以上) 0.4g (2%) 添加物(α) 1.354g (6.8%) (白金1.23%、パラジウム0.07%、銀1.07%、銅3.49 %、亜鉛0.71%、イリジウム0.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例3 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金22K) 15.432g (77.16%) Ti (チタン99.8%以上) 0.3g (1.5%) 添加物(α) 4.268g (21.34%) (白金3.88%、パラジウム0.8%、銀3.93%、銅10.33 %、亜鉛1.67%、イリジウム0.73%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例4 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金21K) 12.61g (63.05%) Ti (チタン99.8%以上) 0.2g (1%) 添加物(α) 7.19g (35.95%) (白金6.52%、パラジウム1.03%、銀6.31%、銅17.7 4%、亜鉛3.12%、イリジウム1.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例5 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 含有量 含有割合 Au (金 純度99.9%以上) 12g (60%) Ti (チタン 純度99.8%以上) 0.2g (1%) Pt (白金 純度99.9%以上) 0.76g (3.8%) Pd (パラジウム 純度99.9%以上)0.14g (0.7%) Ag (銀 純度99.9%以上) 1.08g (5.4%) Cu (銅 純度99.9%以上) 3.9g (19.5%) Zn (亜鉛 純度99.9%以上) 1.0g (2%) In (インジウム 純度99.9%以上)0.92g (7.6%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。
の金・チタン合金を得た。 Au (金23K) 18.246g (91.2%) Ti (チタン純度99.8%以上) 0.4g (2%) 添加物(α) 1.354g (6.8%) (白金1.23%、パラジウム0.07%、銀1.07%、銅3.49 %、亜鉛0.71%、イリジウム0.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例3 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金22K) 15.432g (77.16%) Ti (チタン99.8%以上) 0.3g (1.5%) 添加物(α) 4.268g (21.34%) (白金3.88%、パラジウム0.8%、銀3.93%、銅10.33 %、亜鉛1.67%、イリジウム0.73%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例4 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 Au (金21K) 12.61g (63.05%) Ti (チタン99.8%以上) 0.2g (1%) 添加物(α) 7.19g (35.95%) (白金6.52%、パラジウム1.03%、銀6.31%、銅17.7 4%、亜鉛3.12%、イリジウム1.23%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。 実施例5 実施例1と同様にして、以下の組成の金・チタン合金を
得た。 含有量 含有割合 Au (金 純度99.9%以上) 12g (60%) Ti (チタン 純度99.8%以上) 0.2g (1%) Pt (白金 純度99.9%以上) 0.76g (3.8%) Pd (パラジウム 純度99.9%以上)0.14g (0.7%) Ag (銀 純度99.9%以上) 1.08g (5.4%) Cu (銅 純度99.9%以上) 3.9g (19.5%) Zn (亜鉛 純度99.9%以上) 1.0g (2%) In (インジウム 純度99.9%以上)0.92g (7.6%) この金・チタン合金の硬さ及び引張試験の結果は以下の
通りである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 俊幸 宮城県仙台市青葉区水の森3−5−13− 105
Claims (2)
- 【請求項1】金・チタン合金であって、チタンを3重量
%以下で含有する歯科用金・チタン系合金。 - 【請求項2】Ag 7重量%以下、Cu 20重量%以
下、Pt 7重量%以下、Pd 2重量%以下、Zn 4
重量%以下、Ir 2重量%以下およびIn 10重量%
以下の群から選ばれる一種以上を含有する請求項1記載
の歯科鋳造用金・チタン系合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7223704A JPH0967628A (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 歯科用金・チタン系合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7223704A JPH0967628A (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 歯科用金・チタン系合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0967628A true JPH0967628A (ja) | 1997-03-11 |
Family
ID=16802358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7223704A Pending JPH0967628A (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 歯科用金・チタン系合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0967628A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8524150B2 (en) * | 2004-10-16 | 2013-09-03 | Degudent Gmbh | Dental alloy with a high gold content that is devoid of palladium and copper |
US10030296B2 (en) * | 2012-12-03 | 2018-07-24 | Argor-Heraeus Sa | Discoloration-resistant gold alloy |
WO2020020528A1 (fr) * | 2018-07-26 | 2020-01-30 | Px Services Sa | Alliage à base d'or présentant un changement de couleur et son utilisation dans le domaine de la joaillerie et de l'horlogerie |
-
1995
- 1995-08-31 JP JP7223704A patent/JPH0967628A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8524150B2 (en) * | 2004-10-16 | 2013-09-03 | Degudent Gmbh | Dental alloy with a high gold content that is devoid of palladium and copper |
US10030296B2 (en) * | 2012-12-03 | 2018-07-24 | Argor-Heraeus Sa | Discoloration-resistant gold alloy |
US10683570B2 (en) | 2012-12-03 | 2020-06-16 | Argor-Heraeus Sa | Discoloration-resistant gold alloy |
WO2020020528A1 (fr) * | 2018-07-26 | 2020-01-30 | Px Services Sa | Alliage à base d'or présentant un changement de couleur et son utilisation dans le domaine de la joaillerie et de l'horlogerie |
CH715203A1 (fr) * | 2018-07-26 | 2020-01-31 | Px Services Sa | Alliage à base d'or présentant un changement de couleur et son utilisation dans le domaine de la joaillerie et de l'horlogerie. |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4459263A (en) | Cobalt-chromium dental alloys containing ruthenium and aluminum | |
WO2002036080A1 (en) | High expansion dental alloys | |
JPS60204845A (ja) | 歯科用貴金属合金 | |
US6656420B2 (en) | Dental alloys | |
US4319877A (en) | Palladium-based dental alloy containing indium and tin | |
JPS60194028A (ja) | 金貧有の歯科用合金 | |
JPH0967628A (ja) | 歯科用金・チタン系合金 | |
CN105821245B (zh) | 一种牙科用钛合金材料 | |
US4483821A (en) | Cobalt-chromium dental alloys | |
US4243412A (en) | Dental alloy | |
US3574610A (en) | Dental gold alloy | |
JP2000026928A (ja) | 歯科用金・チタン・ニオブ系合金 | |
US5853661A (en) | High gold content bio--compatible dental alloy | |
Rizk et al. | Types of dental alloys and the effect of its microstructure and constituents on its properties and applications in dentistry | |
US6103383A (en) | High tungsten, silicon-aluminum dental alloy | |
JPS58107438A (ja) | 歯科用低カラツト焼付合金 | |
JP3492394B2 (ja) | 歯科用金合金 | |
JP2003286526A (ja) | 歯科用、装飾用の金・シリコン系合金 | |
JP2000087160A (ja) | 生体用チタン合金 | |
WO1997016579A1 (fr) | Materiau metallique en contact avec un corps vivant | |
JPH0987783A (ja) | 歯科治療用低融点チタン合金 | |
JPS5916943A (ja) | 歯科用金合金 | |
JPH06285673A (ja) | TiまたはTi合金接合用ろう材 | |
IE41785B1 (en) | Nickel alloy | |
JPH10183272A (ja) | 金合金 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010625 |