JPH0967116A - リン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含有物 - Google Patents

リン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含有物

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JPH0967116A
JPH0967116A JP24535795A JP24535795A JPH0967116A JP H0967116 A JPH0967116 A JP H0967116A JP 24535795 A JP24535795 A JP 24535795A JP 24535795 A JP24535795 A JP 24535795A JP H0967116 A JPH0967116 A JP H0967116A
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JP
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zeolite
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ion
phosphate ion
acidification
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JP24535795A
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Yoshiaki Goto
義昭 後藤
Akira Maekawa
昭 前川
Yoshisaburou Matsumoto
价三良 松本
Susumu Matsukawa
進 松川
Hiroyuki Abe
弘幸 阿部
Masami Yokoikawa
正美 横井川
Shinichi Otsuki
眞一 大槻
Mitsue Koizumi
光恵 小泉
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Shiga Prefectural Government.
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属イオンにイオン交換されたゼオライトを
用いてリン酸イオンを吸着するにあたり、吸着後の水溶
液の液性が酸性側にシフトしないようにする。 【解決手段】 金属イオンにイオン交換されたゼオライ
ト成分に琵琶湖底質等からなる酸性化抑制成分を混合
し、これを用いてリン酸イオンの吸着をする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸イオン吸着
特性を有したゼオライト含有物の技術分野に属するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、ゼオライトには吸着等の様々な
特性があり、この特性が多技に亘る分野において利用さ
れている。ところで今日、湖沼や河川の富栄養化が促進
され、淡水赤潮やアオコの発生等による水質汚染等が社
会的問題となっている。この様な富栄養化の一因とし
て、農薬、肥料、洗剤等に含まれるリン酸イオンの存在
があり、このリン酸イオンの除去をすることで富栄養化
の低減を計ることができる。そこでゼオライトを用いる
ことが提唱されるが、カルシウムイオンを担持した天然
あるいは合成ゼオライト自体はリン酸イオンの吸着特性
が低く、そこでゼオライトにリン酸イオン吸着特性を付
与させるため、鉄あるいはアルミニウムイオン等の金属
イオンのイオン交換処理をなしたものが例えば特公平4
−9598号公報において知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるにこのもので
は、リン酸イオンが吸着された水溶液は、水素イオン濃
度(pH)が4以下の酸性度の高い水溶液となってしま
う。リン酸イオンが吸着された水溶液が酸性にシフトす
る正確な理由は不明であるが、リン酸イオンの吸着によ
り放出された金属イオンが金属水酸化物になるときプロ
トンを放出することによるものと推測される。何れにし
ろ、リン酸イオンが吸着除去された水は酸性状態とな
り、これをそのまま河川や湖沼に戻すことは自然環境の
保護のうえからも好ましくなく、特に、公害防止条例に
おいては、排水のpH基準が5.6〜8.6に規定され
ていることからも、中和処理をしなければ排出できない
という問題があり、ここに本発明が解決すべき課題があ
る。
【0004】また、上記課題を解決するにあたり、粉体
であると取扱いに不便であると共に、吸着処理後のゼオ
ライトの回収に手間がかかり、ここにも本発明が解決せ
んとする課題がある。そしてこの場合に、しかるべく強
度のある成形体とすることが考えられるが、この場合
に、リン酸イオンの吸着機能を損なわないよう対処する
必要があり、この点も本発明において解決せんとする課
題となる。そのうえこのものにおいて、成形体とした場
合に、目詰まりがなく水溶液の透過性がよいものにする
ことが好ましく、この点も本発明において解決せんとす
る課題である。
【0005】さらにまた、前記課題を解決するにあた
り、特殊な酸性化抑制成分を用いたのではコスト的に不
利になるうえ、該抑制成分が水溶液中に溶出して二次的
な水質汚染の問題もあり、ここにも本発明が解決せんと
する課題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実
情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作
されたものであって、金属イオンにイオン交換されてリ
ン酸イオン吸着特性を有するゼオライト成分と、イオン
吸着される水溶液の酸性化を抑制する酸性化抑制成分と
を主成分とするものであり、これによって、リン酸イオ
ンの吸着特性を有しながら、イオン吸着された水溶液の
酸性化へのシフトを抑制できることになる。このものに
おいて、ゼオライト成分と酸性化抑制成分との混合物が
固化されて成形体にしてあってもよく、これによって、
取扱いやすく後処理も容易にすることができる。このも
のにおいて、ゼオライト成分は、ゼオライト成分の変質
温度以下の温度で予め焼成されて水分が除去されたか焼
ゼオライトを含有するものとし、該か焼ゼオライトを水
の添加で発泡させたものを固化して多孔質成形体にして
もよく、これによって、取扱いやすく後処理も容易な成
形体で、しかも多孔質体となることで水の透過性が優
れ、しかも目詰まりが低減する。また、前記ゼオライト
成分と酸性化抑制成分とを成形体に固化するにあたり、
その固化手段であるバインダーを固化成分として添加し
た場合には、ゼオライト成分が熱変質のないものにでき
る。前記固化するにあたり、多孔質成形体への固化手段
は、ゼオライト成分の変質温度以下の温度で焼結したも
のでは、バインダーのないものでも多孔質成形体を得る
ことができ、コストダウンが計れる。前記固化するにあ
たり、多孔質成形体への固化手段は、バインダーを固化
成分として添加すると共に、ゼオライト成分の変質温度
以下の温度で焼結することができ、このものでは、焼結
温度を低くしてゼオライト成分の熱変質が僅かでありな
がら強度的に強い多孔質成形体を得ることができる。ま
た、前記ゼオライト成分がイオン交換される金属イオン
は、第一、第二鉄イオンまたはアルミニウムイオンの少
なくとも一つである。さらにまた、前記酸性化抑制成分
としては、琵琶湖等、湖沼あるいは河川の底質であり、
この様にすることにより、特殊な酸性化抑制成分を採用
したことによる二次汚染を防止できると共に、浚渫等し
て得た底質の有効利用ができてコストダウンが計れる。
前記固化成分であるバインダー成分は、テトラアルコキ
シシラン等の金属アルコキシドを加水分解させたもので
あり、これによって、固化が、か焼ゼオライトを発泡さ
せるべく水を添加した後に行われることになって、未発
泡または不充分な発泡状態で固化されるのを防止でき
る。
【0007】
【発明の実施の形態】前記本発明を実施するにあたり、
ゼオライトとしては天然、合成ゼオライトの何れか一方
かこれらの混合物を採用することができ、天然ゼオライ
トとしては、シャプチロルフッ石、モルデンフッ石、ホ
ウフッ石等の各種天然ゼオライトのうちの一種あるいは
これらの混合物を採用することができ、また合成ゼオラ
イトとしては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライ
トY等の各種合成ゼオライトのうちの一種あるいはこれ
らの混合物を採用することができる。
【0008】これらから選択されたゼオライトは、リン
酸イオンの吸着特性を付与するため金属イオンにイオン
交換されて本発明のゼオライト成分にすることになる
が、イオン交換される金属イオンとしては、第一、第二
鉄イオンまたはアルミニウムイオンの少なくとも一つで
あることが好ましく、そのイオン交換する手法として
は、例えば前記特公平4−9598号公報に記載される
手法を採用できる。
【0009】一方、酸性化抑制成分としては湖沼、河川
の底質であることが好ましいが、その理由としては、こ
れら底質は、石英、長石等の鉱物や粘土等の土質の他に
残留成分として各種ミネラルを含んだ有機物が含有され
ており、これらを含有する底質の特異な緩衝機能により
リン酸イオン交換した水溶液の中和をするものと推測さ
れるが、その詳しい機構については今後の研究に待たれ
るところである。そしてこの様な湖沼や河川の底質とし
ては、例えば湖沼や河川を浚渫して得た底質を採用する
ことができ、この場合に、底質としては、風乾等で乾燥
したものをミル等の粉砕装置を用いて粉砕したものをそ
のまま用いることができる。底質としては、例えば琵琶
湖、霞ヶ浦、八郎潟、利根川、信濃川、大井川、淀川等
の湖沼、河川の底質を一種類またはこれらの二種類以上
を混合したものを採用することができる。
【0010】また、本発明において、良好な多孔質体と
して吸着のための有効表面積を大きくすることが好まし
く、そのための手法例として、ゼオライトの変質温度以
下の温度で予め焼成されて水分が除去されたか焼ゼオラ
イトを前記主成分に混合し、この混合物に水を入れて発
泡させることで、ゼオライトの微細な孔から発泡による
2ミリメートル程度の孔にまで至る孔が連通状に形成さ
れた良好な多孔質体とすることができる。
【0011】さらに本発明において、良好な成形体とす
るため固化することが好ましいが、そのための手段とし
ては、焼結するか適宜のバインダーを用いることが好適
である。焼結する手法としては、ゼオライト自体の焼結
成分を利用して固化することで別途バインダー成分の添
加が不要になるという利点がある。しかしながらこの場
合、ゼオライトが焼結温度により変質してリン酸イオン
吸着特性が損なわれないよう配慮する必要があり、その
ため、焼結温度を、ゼオライトの変質温度より低い温度
での焼結、つまり低温焼結をすることが必要となる。こ
の焼結温度は、ゼオライト成分の変質温度によるが、一
般には600℃以下であることが好ましく、さらには5
00℃以下であることが好ましい。
【0012】一方、バインダー成分を用いた場合には、
焼結による変質のないゼオライトとすることができる。
この場合のバインダー成分として、無機系、有機系の何
れのものも採用することができ、無機系バインダーとし
ては、フリット(ホウ酸系)、ベントナイト、木節粘
土、コロイダルシリカ、アルミナゾル、石膏等を挙げる
ことができ、有機系バインダーとしては、ワックスエマ
ルジョン、ビオポリー、ポリエチレン、アセチルセルロ
ース、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キ
チン、キトサン、アラビアゴム、ビオノーレ等を挙げる
ことができる。さらには、バインダー成分としては、ゾ
ル−ゲル反応によるものを採用することができ、その例
として金属アルコキシド(例えばテトラエトキシシラ
ン)を加水分解すると共に縮重合させることを利用する
こともできる。
【0013】
【実施例】
【0014】〈イオン交換されたゼオライト成分の調
整〉本実施例ではゼオライトとしては天然ゼオライト、
具体的には栃木県宇都宮市大谷町に産出した大谷石を用
いており、該大谷石を振動ミルにより3分間粉砕したも
のに、前記特公平4−9598号公報に記載される手法
に従いAl(アルミニウム)イオン、第二Fe(鉄)イ
オンをそれぞれ担持せしめ、イオン交換された粉体状の
ゼオライト成分を調整した。 〈酸性化抑制成分の調整〉酸性化抑制成分として琵琶湖
の浚渫で得た泥状の底質を採取し、これを、風乾した
後、振動ミルにより三分間粉砕して粉体状の琵琶湖底質
(酸性化抑制成分)を調整した。 〈ゼオライト含有混合体の調整〉前記調整したAlイオ
ンまたはFeイオン交換されたゼオライト成分の100
重量部と琵琶湖底質50重量部の割合でポリエチレン製
の袋に入れ、1分間程度よく振り混ぜてゼオライト含有
混合体を調整した。
【0015】〈実験1〉前記調整したAlイオンにイオ
ン交換されたゼオライト含有混合体0.1gを、リン酸
イオン(リン酸二水素カリウム)が10mg/lの濃度
に調整された試料水100mlと共に200ml用のコ
ニカルビーカーにとり、スターラーを用いて一時間撹拌
した後、内容物をミリポアフィルターを用いて吸引濾過
し、瀘液中の残存するリン酸イオンをモリブデン青(ア
スコルビン酸)吸光光度法(JIS−0102 規格4
6.1.2)により定量し、該定量値からリン酸イオン
の吸着率を求めた。この結果、リン酸イオン吸着率は9
1.0%と計算され、吸着後の試料水の液性はpH7.
38と測定された。これと同じ手法で、Feイオンにイ
オン交換されたゼオライト含有混合体を用いたもので残
存するリン酸イオンを定量したが、該定量値から、リン
酸イオン吸着率は略98%と計算され、吸着後の試料水
の液性はpH5.08と測定された。
【0016】〈実験2〉さらに、前記ゼオライト含有混
合体は、Alイオンにイオン交換されたゼオライト成分
と酸性化抑制成分とが2:1の比率で混合されているも
のであるが、これらの比を1:1にしたものを前述と同
様にして調整し、前記実験1と同様の実験を試みた。そ
の結果、Alイオンにイオン交換されたゼオライト成分
と酸性化抑制成分とが1:1の比率の混合体では、リン
酸イオン吸着率が83.3%で、吸着後の試料水の液性
はpH7.53と測定された。
【0017】〈比較実験〉特公平4−9598号公報に
基づく手法によって生成したAlイオンまたはFeイオ
ンにイオン交換されたゼオライト成分の各0.1gを、
前記実験1と同様にしてリン酸イオンが10mg/lの
濃度に調整された試料水100mlにそれぞれ添加して
リン酸イオンの吸着率および吸着後の試料水のpH値を
求めた。この結果、AlイオンまたはFeイオンにイオ
ン交換されたゼオライト成分を加えたもののどちらもリ
ン酸イオン吸着率が略100%となるが、吸着後の試料
水のpHは、Alイオンにイオン交換されたゼオライト
成分を加えた場合では3.35〜4.56の範囲とな
り、またFeイオンにイオン交換されたゼオライト成分
を加えた場合では3.03〜3.51となった。この結
果から、ゼオライト含有混合体のリン酸イオン吸着率
は、金属イオンにイオン交換されたゼオライト成分単独
の場合の吸着率より僅かに劣るか略同様に維持できて、
しかも、吸着後の試料水のpHについては、酸性化抑制
成分によって中性側にシフトできたことが確認された。
【0018】〈実験1、2の考察〉前記実験1で明らか
なように、金属イオンにイオン交換されたゼオライト成
分と酸性化抑制成分とを混合したゼオライト含有混合体
では、リン酸イオンを吸着処理できながら、その処理溶
液のpHを、酸性化抑制成分のないものに比して中性側
にシフトできることが確認され、その有用性が立証され
た。しかしながらこのゼオライト含有混合体は、水溶液
中に放置すると崩壊してしまうので取扱いや後処理上の
点で問題があり、これを水壊しない状態の成形体に固化
することが好ましく、その固化形方法について次の検討
課題とした。
【0019】〈実験3〉ゼオライト含有混合体の焼成に
よる固化 前記したようにAlイオン、Feイオン交換ゼオライト
と琵琶湖底質とを2:1の割合で調整したゼオライト含
有混合体に、該混合体に対して重量比で70%の水を加
えて混練した後、速やかに製氷型に流し込み、このもの
を自然乾燥後、30℃、100℃、200℃、300
℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800
℃の各温度で焼成してそれぞれゼオライト含有混合体の
成形体を得た。これら成形体について、リン酸イオン濃
度を10mg/l、0.2mg/lに調整した水溶液に
それぞれ入れ、前記実験1と同様の手法に基づきリン酸
吸着率を測定した。この結果を図1(Alイオン交換し
たもの)、図2(Feイオン交換したもの)に示す。
【0020】これらの結果によると、何れのものも、焼
結温度が高いほどリン酸イオンの吸着率が低下すること
が認められる。これは焼結温度が高いほどゼオライト成
分が熱変質し、イオン交換機能が損なわれたことによる
ものと推考される。特に、Alイオン交換されたゼオラ
イト成分を含有するものは、焼結温度が200℃以下で
あれば、リン酸イオン濃度が10mg/lと高濃度のも
のについても吸着率の低下が殆ど認められず、高い吸着
特性を維持していることが確認された。しかしながら焼
結温度が200℃以下の成形体は、強度的に劣り、強度
アップを計ることがさらなる課題となった。そのために
はバインダーを添加することが提唱される。
【0021】〈実験4〉バインダー添加による固化の検
討−その1 前記調整したゼオライト含有混合体を固化するためのバ
インダーとして、焼結により強度アップを助成するもの
が選択され、そのものとして琺瑯材として用いられるフ
リット(硼酸系)、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、
酸化鉄、水酸化アルミニウムがあるが、これらバインダ
ーのそれぞれを、ゼオライト含有混合体の10重量%ず
つ添加し、これらを前記実験3の手法に準じ、約500
度の焼成温度で処理して成形体を得た。この様にして得
た各成形体は水溶液中に放置しても崩壊することはな
く、そのままの形状を維持したものとなった。これらに
ついて、リン酸イオンの吸着特性について検討したが、
このものは実験3で得たバインダーが未混入のものを焼
結温度500℃で処理したものと殆ど遜色ないことが確
認された。
【0022】〈実験5〉バインダー添加による固化の検
討−その2 次に前記500℃の温度で焼結したものは、しないもの
に比してリン酸イオンの吸着機能がどうしても低下す
る。このため、焼結しないか焼結しても200℃以下の
低い温度、できるなら焼結しないで固化できるバインダ
ーはないかということの検討をした。選択検討されるバ
インダーとしてベントナイト、木節粘土、コロイダルシ
リカ、アルミナゾル、石膏、ワックスエマルジョン、ビ
オポリー、アセチルセルロース、セルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、キチン、キトサン、アラビアゴ
ム、ビオノーレ、ポリエチレン、テトラエトキシシラン
加水分解液(低温水ガラス)とし、ゼオライト含有多孔
質混合体にそれぞれのバインダーを10重量%づつを添
加し、これらの混合体に対して重量比で70%の水を加
えて混練した後、速やかに製氷型に流し込み、このもの
を自然乾燥させて成形体を得た。ここで、テトラエトキ
シシラン加水分解液とは、酸または塩基性触媒を用いて
テトラエトキシシランを加水分解し重合させたものであ
る。これら成形体を水溶液中に放置したところ、バイン
ダーとしてポリエチレン、テトラエトキシシラン加水分
解液を用いたもの以外のものは崩壊してしまい、10重
量%程度の添加ではバインダーとしての有効な機能を呈
しないことが確認された。バインダーの添加量を増加し
ていくことで崩壊しないものを作成できることが別途実
験で確認されたが、バインダーの10重量%程度を越え
る大量の添加は、ゼオライト成分のリン酸イオン吸着機
能の低下を招くと考えられ、そうすると安定性のある成
形体とするには、ポリエチレン、テトラエトキシシラン
加水分解液が好適であるといえる。因みに、前記調整し
たゼオライト含有混合体を、固形分に対して70%のテ
トラエトキシシラン加水分解液で混練し、型に入れて6
0℃で乾燥することで、図3に示す写真のような成形体
を得た。この成形体について、前記実験1と同様の実験
を行った結果、Alイオン交換されたものについてはリ
ン酸イオンの吸着率が44.3%、吸着後の試料水の液
性がpH7.12であり、Feイオン交換されたものに
ついては、リン酸イオンの吸着率が58.1%、吸着後
の試料水の液性がpH6.68であった。
【0023】〈実験6〉ゼオライト含有多孔質成形体の
検討 上記実験5の結果から、単にバインダーの添加によって
固化したものは密なものになってしまい、ゼオライト成
分のリン酸イオン吸着機能の低下、水溶液の流通性の低
下、さらには早期の目詰まり等の問題が生じると推考さ
れ、この対策として、多孔質成形体として表面積を大き
くすることが好ましいと考えられる。そこで、ゼオライ
ト含有多孔質混合体に、ゼオライト成分の変質温度以下
の温度で予め焼成されて水分が除去されたか焼ゼオライ
トを添加した後、水を加えてか焼ゼオライトを発泡さ
せ、このものを前記好適のバインダーにより固化できな
いかということを次ぎに検討した。AlイオンまたはF
eイオン交換ゼオライトと、前記か焼ゼオライトと、琵
琶湖底質とを重量比においてそれぞれ5:2:3の割合
で混合し、この固形分に対して70%のテトラエトキシ
シラン加水分解液を加えて混練、乾燥してゼオライト含
有混合体の成形体(ゼオライト含有多孔質成形体)を形
成する。このものは、図4に示す写真のように、最大で
2〜3ミリメートル程度の孔があいた多孔質の成形体と
なった。このものについて、水溶液中に放置したとこ
ろ、50日間を越えてもその形状を維持することが確認
され、テトラエトキシシラン加水分解液のバインダーと
しての有用性が確認された。
【0024】因みに、テトラエトキシシラン加水分解液
が添加されない以外は前記実験6と同じようにして多孔
質成形体を得たが、このものは水溶液中において短時間
のうちに崩壊した。また、テトラエトキシシラン加水分
解液は粘性のある液体であるため、前記形成されたゼオ
ライト含有多孔質成形体に閉気孔が形成される惧れがあ
り、そこで、テトラエトキシシラン加水分解液の添加し
たもの、未添加のものの多孔質成形体について真比重を
ヘリウム比重計により測定したところ、両者の測定値に
大きな差がなく、テトラエトキシシラン加水分解液の添
加は閉気孔の形成に影響が殆どないと判断できた。
【0025】〈実験7〉実験6で得られたゼオライト含
有多孔質成形体を用いた場合のリン酸イオン吸着特性を
考察すべく、図5に示すようなカラム装置を組立てて、
ゼオライト含有多孔質成形体のリン酸イオン吸着率およ
び吸着後の溶液の液性を測定した。つまり、カラムに、
実験6で得られたゼオライト含有多孔質成形体0.5g
を充填し、リン酸イオンが10mg/lに調整された試
料水を、流速1.6ml/minでカラムに流下させ
る。そして、カラムから流出される流下液500mlを
採取し、該採取した溶液について実験1と同様の手法で
リン酸イオン吸着率および吸着後の液性を測定した結
果、Alイオンにイオン交換されたゼオライト含有多孔
質成形体のリン酸イオン吸着率は19.5%、溶液の液
性はpH7.21と測定された。これに対し、Feイオ
ンにイオン交換されたゼオライト含有多孔質成形体のリ
ン酸イオン吸着率は26.4%、溶液の液性はpH6.
75と測定された。
【0026】〈比較実験〉実験6で得られたゼオライト
含有多孔質成形体の代わりに、前記手法によりAlイオ
ンまたはFeイオンにイオン交換されたゼオライト成分
を用いること以外は前記実験7と同様の実験を行い、ゼ
オライト成分のリン酸イオン吸着率および吸着後の液性
を測定したが、Alイオン交換ゼオライトのリン酸イオ
ン吸着率は23.0%、液性はpH4.40と測定さ
れ、Feイオン交換ゼオライトのリン酸イオン吸着率は
27.8%、液性はpH3.41と測定された。
【0027】〈実験7の考察〉前記実験7と比較例との
結果から、本発明が実施されたゼオライト含有多孔質成
形体は、リン酸イオン吸着特性においてはイオン交換ゼ
オライトの吸着特性よりもやや劣るものの、吸着後の試
料水の液性が中性側にシフトしており、この様にイオン
交換ゼオライトと琵琶湖底質とからなるゼオライト含有
混合体にか焼ゼオライトおよびバインダーを添加して成
形体としても、試料水の液性を中性側にシフトする効果
については何ら問題なく、成形体を形成するにあたり有
効であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】Alイオン交換されたゼオライト含有混合体の
焼成温度によるリン酸吸着率の変化を示す表図である。
【図2】Feイオン交換されたゼオライト含有混合体の
焼成温度によるリン酸吸着率の変化を示す表図である。
【図3】実験5により得られた成形体の写真である。
【図4】実験6により得られた成形体の写真である。
【図5】実験7の実験装置を示す概略図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 弘幸 滋賀県東浅井郡びわ町富田388 (72)発明者 横井川 正美 滋賀県甲賀郡信楽町江田961−1 (72)発明者 大槻 眞一 滋賀県大津市尾花川4−5 (72)発明者 小泉 光恵 大阪府豊中市玉井町3丁目6番22号

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンにイオン交換されてリン酸イ
    オン吸着特性を有するゼオライト成分と、イオン吸着さ
    れる水溶液の酸性化を抑制する酸性化抑制成分とを主成
    分として混合してなるリン酸イオン吸着特性を有したゼ
    オライト含有物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、ゼオライト成分と酸
    性化抑制成分との混合物は固化されて成形体にしてある
    リン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含有物。
  3. 【請求項3】 請求項1および2において、ゼオライト
    成分は、ゼオライト成分の変質温度以下の温度で予め焼
    成されて水分が除去されたか焼ゼオライトを含有するも
    のとし、該か焼ゼオライトを水の添加で発泡させたもの
    を固化して多孔質成形体にしてあるリン酸イオン吸着特
    性を有したゼオライト含有物。
  4. 【請求項4】 請求項2および3において、成形体への
    固化手段は、バインダーを固化成分として添加したこと
    によるリン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含有
    物。
  5. 【請求項5】 請求項3において、多孔質成形体への固
    化手段は、ゼオライトの変質温度以下の温度で焼結する
    ことによるリン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含
    有物。
  6. 【請求項6】 請求項3において、多孔質成形体への固
    化手段は、バインダーを固化成分として添加すると共
    に、ゼオライト成分の変質温度以下の温度で焼結するこ
    とによるリン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含有
    物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6において、金属イオン
    は、第一、第二鉄イオンまたはアルミニウムイオンの少
    なくとも一つであるリン酸イオン吸着特性を有したゼオ
    ライト含有物。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7において、酸性化抑制成
    分は湖沼、河川の底質であるリン酸イオン吸着特性を有
    したゼオライト含有物。
  9. 【請求項9】 請求項8において、酸性化抑制成分は琵
    琶湖底質であるリン酸イオン吸着特性を有したゼオライ
    ト含有物。
  10. 【請求項10】 請求項4または6において、固化成分
    であるバインダーは、ゾル−ゲル反応によるものである
    リン酸イオン吸着特性を有したゼオライト含有物。
  11. 【請求項11】 請求項10において、バインダー成分
    は、テトラアルコキシシランの加水分解液であるリン酸
    イオン吸着特性を有したゼオライト含有物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009000621A (ja) * 2007-06-21 2009-01-08 Kyodo Printing Co Ltd 吸着剤含有成形体の製造方法及び吸着剤含有成形体
JP2015136672A (ja) * 2014-01-23 2015-07-30 国立大学法人佐賀大学 溶液中の陰イオン種の除去方法

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