JPH0966613A - ドットプリンタ用鋼製プリントワイヤおよびその製造方法 - Google Patents

ドットプリンタ用鋼製プリントワイヤおよびその製造方法

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JPH0966613A
JPH0966613A JP24533595A JP24533595A JPH0966613A JP H0966613 A JPH0966613 A JP H0966613A JP 24533595 A JP24533595 A JP 24533595A JP 24533595 A JP24533595 A JP 24533595A JP H0966613 A JPH0966613 A JP H0966613A
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JP
Japan
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wire
polishing
surface roughness
barrel
rmax
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JP24533595A
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Takashi Takehara
隆司 竹原
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐折損性を低下することなく、防
錆性に優れたドットプリンタ用鋼製プリントワイヤとそ
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 軸部外周面の表面粗さが0.30μm Rmax
以下であることを特徴とするドットプリンタ用鋼製プリ
ントワイヤ。 軸部外周表面の走査電子顕微鏡写真(加速電圧 15KV、
倍率 1000倍)上で、直径1.5mm以上の孔状の黒班点が5箇
/100cm2以下であることを特徴とするドットプリンタ用
鋼製プリントワイヤ。 振動または回転バレル機乾式バレル処理を施すことを
特徴とするドットプリンタ用鋼製プリントワイヤの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面状態を調整す
ることにより防錆性を向上したドットプリンタ用鋼製プ
リントワイヤおよびその製造方法に属する。
【0002】
【従来の技術】鋼製のドットプリンタ用プリントワイヤ
は、汎用のドットプリンタに広く用いられており、粉末
冶金法や溶製法で製造された高速度鋼等の高合金素材を
冷間引抜き等にて直径 0.2〜0.36mmのコイル線材に仕上
げた後、この線材に焼入れ、焼戻し熱処理を施し、個取
り切断(長尺の線材から製品の長さに対応する長さへの
切断をいう)を経てバレル研磨仕上げされ、その後、プ
リンタに組み込まれる。
【0003】上記バレル研磨を施す目的は、表面粗さの
改善、砥石切断等による個取り切断に伴って発生したバ
リの除去の他、圧縮残留応力付与による耐摩耗性や耐疲
労性の向上、端部への丸み付けによる組立性の向上等で
ある。すなわち、ワイヤの外周面の表面粗さ曲線上のシ
ャープな山頂と、ワイヤガイドのガイド孔内面との接触
は、摩擦特性の低下や初期摩耗による遊隙の増加をもた
らす。また、高硬度に熱処理された線材の個取り切断方
法は、ほぼ砥石切断法に限定され、この砥石切断に伴っ
て発生したバリは組立誤差等を増加しやすい。このた
め、バレル研磨により、シャープな山頂を平坦化すると
ともにバリを除去するのである。
【0004】また、ワイヤの外周面はバレル研磨時の研
磨媒体との接触により、圧縮残留応力が付与され、疲労
強度や耐摩耗性が向上する。さらに、ヘッド組立におい
て、ワイヤガイドのガイド孔へワイヤの先端を挿入しや
すくするために、ワイヤの先端にバレル研磨を単独で、
または他の面取り加工を併用して丸味をつけることが行
なわれてきた。従来、用いられていた上記ワイヤ外周面
等のバレル研磨法としては、主に粉塵発生による環境汚
染防止の点から、主に湿式バレル法が採用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】鋼製ドットプリンタ用
ワイヤにおいて、防錆性は耐摩耗性や耐折損性などとと
もに重要な特性である。特に印字端とは逆の端部に樹脂
モールドしたものは、防錆油の適用は不適当である。す
なわち、防錆油がモールド後のワイヤと樹脂モールドの
間に浸入し両者間を剥離させる。このため、従来は樹脂
モールド付近のワイヤの発錆事故が発生し易かった。鋼
製ワイヤにおいて、防錆性を材質的に改善することは耐
摩耗性や耐折損性等他の特性を低下することにつながり
易いから容易ではない。従来の湿式バレル研磨後のワイ
ヤ外周の表面上には、前記の伸線時に炭化物が割れてこ
れが脱落したためと思われる孔や、この孔に取り込まれ
たバレル研磨時の微粉等に起因する物質や、さらに焼入
れ、焼戻し処理による表面酸化膜が残存し、これらはワ
イヤを洗浄してもそのまま残存し、使用または保管中に
錆に進展させやすいこと、したがって適当な表面仕上方
法により、表面粗さを小さくするとともに上記の孔や、
この孔内の物質や表面酸化膜を除去すると防錆性が十分
向上することを本発明者は見出した。
【0006】また本発明者は、上記孔等は、走査電子顕
微鏡写真上で、孔状の黒い班点として捉えることがで
き、この班点の有無や酸化膜の存在と防錆性との間に強
い相関関係があることを見出した。しかし、前記のよう
に従来用いられていた湿式バレル研磨では上記防錆性向
上のため強い研磨を目的として、例えば長時間の処理を
施せば生産性の低下をもたらし、また研磨作用強化の点
から大粒の研磨媒体を多く配合すると、ワイヤの細長比
が大きくなる程、ワイヤにとって致命的な曲りが発生し
易い、等種々の問題点があることがわかった。そこで、
本発明者は、研磨効果が強く、したがって、防錆上有利
でかつ曲り発生効果の小さいバレル研磨法を目指して種
々の方法を試み、ある知見を得た。本発明は、ワイヤの
表面性状やバレル研磨工程を改善することにより、耐摩
耗性や耐折損性や真直性を損なうことなく、防錆性に優
れるドットプリンタ用鋼製プリントワイヤおよびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】まず、本発明のワイヤ
は、例えば比較的強い研磨作用を有するバレル研磨を施
すことで、ワイヤの表面の炭化物脱落による孔を小さ
く、かつ浅くされ、該孔に取り込まれる物質を減少する
と共に、表面酸化膜を除去することで防錆性を向上した
ワイヤであり、その上記物質や酸化膜の除去程度の指標
として、表面粗さ値または表面の特定条件による写真で
の状態を規定したワイヤである。
【0008】次に本発明の製造方法発明は、比較的強い
研磨作用を乾式バレル研磨法で実現しようとするもので
ある。ワイヤのバレル研磨法において、ワイヤ同士が絡
み合うことがあり、これが発生するとワイヤが“く”の
時形の曲りを生ずると共に、研磨媒体との接触が阻害さ
れて研磨作用が低下し、極端には“うに状”となること
がある。この絡みはバレル装置へのワイヤの装入量を低
下することで防止ができるが、この場合生産性が低下す
る。本発明者は、研磨媒体(主研磨媒体と記す)に対し、
くるみ粒、コーン(とうもろこし)粒等の有機質媒体を混
合した乾式バレル研磨法とすることで絡みおよび曲り
(“うに状”とならないときの)発生が大幅に低下する
こと、およびこれらの有機質媒体は、当該ワイヤへの適
用寿命が短い、つまり研磨時に発生する微粉により目詰
まりを生じ易いから比較的頻繁に更新すべきであること
を見出した。
【0009】本発明者は、これらのことから通常の研磨
媒体である主研磨媒体に対し、有機質媒体を混合し、こ
のうち有機質媒体は、主研磨媒体に比し小粒であること
から容易に篩分け等により頻繁に分離除去すると共に、
新しいものを配合することで、絡み、曲りを防止しつつ
強い研磨作用を実現し、これにより生産性および真直性
を低下することなく、表面粗さを高度に改善し、または
炭化物に起因する孔、該孔に中の取り込まれる物質や酸
化膜を効果的に軽減することができ、これにより防錆性
に優れた鋼製プリントワイヤを生産することができるこ
とを見出した。本発明方法による乾式バレル研磨により
生じた微粉は上記目詰まりによる付着、上記篩分け等で
容易に分離できる。なお、上記有機質媒体は、ドットプ
リンタワイヤ以外の製品の乾式バレル研磨に更生使用す
ることができる。
【0010】すなわち、本発明の第1は軸部外周の表面
粗さが0.30μmRmax以下である防錆性に優れることを特
徴とするドットプリンタ用鋼製プリントワイヤであり、
本発明の第2は軸部外周表面の走査電子顕微鏡写真(加
速電圧 15KV、倍率 1000倍)上において、直径 1.5mm以
上の孔状の黒班点が5箇/100cm2以下である防錆性に優
れることを特徴とするドットプリンタ用鋼製プリントワ
イヤ、ならびに本発明の第3は長尺の焼入れ焼戻し熱処
理線材から製品長さに対応する長さへ個取り切断後、主
研磨媒体と有機質媒体を併用する乾式バレル研磨を行な
うことを特徴とするドットプリンタ用鋼製プリントワイ
ヤの製造方法である。
【0011】本発明の鋼製プリントワイヤは、従来のも
のに対して、材質を変更するものでないから、耐摩耗性
や耐折損性を低下するものでなく、表面状態の改善に伴
って、耐折損性はむしろ向上する。従来の鋼製プリント
ワイヤは、焼入れ、焼戻し熱処理後の外周面の表面粗さ
が0.60μm Rmaxまたはそれ以上に粗いワイヤを主に湿式
バレル研磨していたが、仕上げの表面粗さはせいぜい0.
40Rmaxに留まっていた。すなわち、0.40μm Rmaxμm程
度以下とする意義がないと思われ、また、細長比等によ
っては曲りが増加し、また加工費増加となるためであっ
た。このため、従来のワイヤの表面粗さは、0.40μm Rm
axまたはそれ以上程度としたものであった。
【0012】これに対し、本発明の第1のワイヤは、従
来以上に表面粗さを低下することで防錆性が向上するこ
とを見出したことから、上記0.60μm Rmaxまたはそれ以
上の粗いワイヤの軸部外周表面を適当なバレル研磨装
置、望ましくは乾式、または曲り発生が小さい等寛容性
の大きいワイヤに対しては、湿式バレル研磨によってさ
え、0.30μm Rmax以下、好ましくは0.25μm Rmax以下、
さらに望ましくは0.20μm以下となるまで改善すること
で防錆性を向上したものである。この時の表面状況は、
炭化物の脱落によると思われる孔は浅く、かつ小径化さ
れ、この孔に取り込まれた、もしくは取り込まれる発錆
の原因となる物質は十分減量され、または後続の洗浄で
除去され易くなっていると考えられる。また、酸化膜は
ほぼ完全に除去されている。
【0013】逆に、軸部外周の表面粗さが、0.30μmを
越える時は、炭化物の脱落によると思われる深い孔に入
り込んだ錆の原因となる物質が洗浄で完全に除去される
ことなく多量に残存し、その後の使用中または保管中に
吸湿する等のため、錆を誘発すると思われる。湿式バレ
ル研磨による0.30μm Rmax以上の表面粗さを有するワイ
ヤではX線元素スペクトルによりNa,K,Cl等錆の
原因となる物質が必ずといってよいほど孔の中から多量
に検出される。また、上記発錆現象は、軸部外周表面の
走査電子顕微鏡写真(加速電圧 15KV,倍率 1000倍)上で
直径 1.5mmより大きい孔状の黒班点が存在する場合、特
に顕著に現れる。軸部外周部の表面粗さを改善されたワ
イヤの防錆性が向上する理由は不明であるが、炭化物粒
径が統計的にある粒度分布を有するものとし、それが脱
落して孔を形成し、顕微鏡写真上でその孔の大きさが研
磨の進行と共に小さくなることから判断すると、大径の
黒班状の孔等は小径のもの比し比較的深いものと思わ
れ、その内部は洗浄等により容易に浄化されず錆発生の
原因となるものと思われる。
【0014】本発明の第2発明は、発錆性と黒班点の大
きさおよび分布を調査した結果、錆の発生の限度として
ワイヤ外周面の走査電子顕微鏡写真(加速電圧 15KV,倍
率1000倍)上で直径 1.5mm以上の黒班点が5箇/100cm2
下としたものである。本発明者のテストによると、発錆
性は黒班点の直径が1.5mm未満では、その直径とともに
緩やかに低下し、1.5mm以上でやや急速に上昇する。ま
た発錆性は黒班点の数と共に上昇する。したがって、本
発明では従来のワイヤの発錆性と明確に区別するため、
上記規準とした。黒班点の直径は1mm以下が望ましく、
さらには実施例のように0.8mm以下とすることが望まし
い。また、その数も2箇/100cm2以下に少なくなると発錆
性はさらに低下する。
【0015】本発明の方法発明に係る乾式バレル研磨方
法では、相対的に衝撃力の小さい振動または回転バレル
機でも、湿式法における液による潤滑作用がないことか
ら、砥粒がワイヤ表面と接触した時の研磨作用が強いと
考えられ、したがって比較的短時間の処理を可能とし、
衝撃力が小さいことも相まってワイヤの曲り発生を極小
とする効果がある。また、バレル研磨中に絡みが生ずる
メカニズムは不明である。したがって、本方法発明で有
機質媒体を併用することでこの絡み発生傾向が大幅に低
下するメカニズムも不明である。
【0016】バレル研磨中の曲り発生は、前述のように
ワイヤの細長比に関係するが、また研磨媒体の粒度分布
にも関係し、大径研磨媒体が多い程曲り発生傾向が強い
(研磨作用も大きくなる)。本方法発明に係る有機質媒
体を混合した場合、研磨作用は少し低下するが、曲り発
生傾向は大きく低下する関係となる。なお、本発明に係
る乾式バレル研磨によれば、その強い研磨作用から短時
間でワイヤの先端部を丸くすることが可能であり、この
研磨のみでもよく、またグラインダ等の面取り加工と併
用すれば、ワイヤ径に対してフルR(端面に平面部がほ
ぼなくなった形状)の形状を短時間で得ることが可能と
なる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施例1)次に、実施例に基づいて本発明を詳細に説
明する。まず、直径 0.2mmの表1に示す化学成分と焼入
れ焼戻し硬さを有する長さ 40mmの粉末高速度鋼製のワ
イヤ素材を準備した。この時の軸部外周の表面粗さは、
いずれもほぼ0.63μm Rmaxであった。
【0018】次にこの各ワイヤ素材をそれぞれ2組に区
分し、両組はアルミナ研磨媒体と、有機質媒体としてC
23粉被覆くるみ粒とコーン粒の二種、計三種を混合
使用し、処理時間が異なる以外は同条件の乾式バレル研
磨を施し、一方は軸部外周の表面粗さを約0.20μm Rmax
として本発明、他方は比較材として表面粗さを約0.35μ
m Rmaxのワイヤとした。研磨終了後それぞれアセトンに
て30分間超音波洗浄後、定温度、定湿度に保持されたデ
シケータ内にて保管し、錆発生状況を観察した。その結
果、表面粗さが0.20μm Rmaxの本発明のワイヤはいずれ
も10日後も錆の発生はなかったが、表面粗さが約0.35μ
m Rmaxである比較ワイヤは6種中 全種に4〜6日目に
発錆が見られた。図1は表1中のNo.1の上記による本
発明ワイヤの表面の走査電子顕微鏡写真(加速電圧 15K
V,倍率 1000倍)である。なお、No.1の材質について充
填量、処理時間など可能な条件は本発明と同一とした湿
式バレルによるもの(有機質媒体は含まず)は、表面粗さ
が約0.4μm Rmaxで上記デシケータ発錆テストで上記の
比較材より強い発錆が見られた。なお、いずれも過度の
曲り発生は見られなかった。
【0019】
【表1】
【0020】(実施例2)次に材質が表1中のNo.1(表
面粗さ 約0.65μm Rmax)について、直径が0.25mmと太い
ため、バレル研磨により曲り発生が比較的少ない材料に
対して、処理時間を違えて湿式振動バレル研磨を施し、
一方は表面粗さ 約0.22μm Rmax(本発明品)、他方は約
0.40μm Rmax(比較品)とした一組みのワイヤについて、
実施例1と同様に洗浄し乾燥後、前記と同様のデシケー
タによる発錆テストを行なった。その結果、表面粗さ
0.40μm Rmaxのものは3日目に発錆が見られたが、約0.
22μm Rmaxとしたものは10日後も発錆はなかった。図2
は表面粗さ 0.40μm Rmaxとした該実施例の比較品の表
面の走査電子顕微鏡写真(加速電圧 15KV,倍率 1000倍)
である。
【0021】次に図1と図2を比較してみる。図1は前
述のように本発明の乾式バレル研磨品(表面粗さ 測定
結果 19μm Rmax)で、デシケータテストで発錆のなかっ
たものと同材の写真であり、比較的平滑な灰色の平面内
に炭化物である多数の白色班点Eと淡黒色で輪郭の不明
瞭な直径 1.5〜2mmの班点Fとともに直径 0.8mm以下程
度の輪郭が明瞭で濃い黒色の孔状の班点Gが孔状に見ら
れるが(本発明で黒い筋状のものJは直径 1.5mm以上の
班点に含めない)、後述の図2に示す直径 1.5mm以上の
孔状の黒班点はKは全視野(約82.5cm2)内には見られな
い。
【0022】一方、図2は上記による湿式バレル研磨を
施して表面粗さ 0.40μmRmaxとされ、デシケータテスト
で発錆のあったものと同材の表面写真であり、粗い表面
内に炭化物である白色の班点Eとともに、直径 2mm程度
またはそれ以下の孔状の円形または不定形の黒班点Kが
多数見られる。なお、図2中にも図1中の班点Fに相当
するものも存在する筈であるが、地が粗いため判然とし
ない。これらの比較から、直径 1.5mm以上の孔状の黒班
点Kの有無により防錆性に差が生ずることがわかる。図
3は、図2のサンプルについて、デシケータ発錆テスト
後発錆部を高倍率とした走査電子顕微鏡写真(加速電圧
5KV,倍率 5000倍)であり、中央の大きな孔内に塊状物
Lが見られる。図4は上記塊状物のX線元素スペクトル
図であり、この図から塊状物中には、O,Na,K,C
lが存在することがわかり、これらの元素は湿式バレル
に起因する物質が、超音波洗浄によっても十分除去され
ないで残存し、錆を誘発したものと思われる。
【0023】次に、表1 No.1とNo.2の直径 0.20mmの
熱処理後個取り切断したワイヤ素材に対して、振動バレ
ル機、遠心バレル機、および回転バレル機を使用して乾
式および湿式バレル研磨を最長25時間実施し、処理開始
1時間目から2時間経過する毎にサンプルを採取し、ワイ
ヤの表面肌、発錆、端部形状および曲りの観察またはテ
ストを行なった。観察等の結果、遠心バレル研磨では、
乾式、湿式とも1時間の処理でワイヤ端部に、ワイヤの
径に対してフルR(φ0.2mmのため、R0.1)の丸味を付け
ることができたが、1時間で既にワイヤの曲りが大き
く、また、回転バレルと振動バレル研磨品は、乾式では
それぞれ15時間と5時間の処理でワイヤの軸部外周の表
面粗さがいずれも0.15〜0.27μm Rmaxのバラツキ範囲内
に改善され、走査電子顕微鏡(15KV,×1000倍)上で表面
の孔も略直径 1.0mm以上のものは皆無とすることがで
き、また、ワイヤ端面のコーナー部にR 0.05mm(ほぼ組
立には支障のない丸味である)以上の丸味も付けること
ができた。
【0024】しかし、回転バレル機による湿式バレル研
磨では、上記乾式と同様の表面粗さ、表面を得るのに25
時間以上の時間を要した。以上から回転バレル法の場
合、湿式は乾式に比し、約1.7倍(25時間/15時間)以上の
処理時間を要すること、また乾式での比較で、回転バレ
ル法は振動バレル法に比し、約3倍(15時間/5時間)の処
理時間を要することがわかる。また、振動バレル機によ
る乾式バレルにおいて、砥粒の種類を種々変化した時、
いずれの場合も3〜7時間の処理で、表面肌、端部形状、
曲り共に満足なワイヤを得ることができた。
【0025】
【発明の効果】本発明のワイヤは耐摩耗性や耐折損性を
損なうことなく、その表面仕上程度を改善することによ
り、防錆性を改善したものである。また、本発明の方法
発明は、身近な振動または回転バレル機による応用容易
な乾式バレルを用い、能率的に鋼製プリントワイヤの表
面を改善して防錆化するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドットプリンタ用鋼製プリントワイヤ
の軸部外周表面の走査電子顕微鏡写真例(加速電圧 15K
V,倍率 1000倍)である。
【図2】比較例のドットプリンタ用鋼製プリントワイヤ
の軸部外周表面の走査電子顕微鏡写真例(加速電圧 15K
V,倍率 1000倍)である。
【図3】比較例のドットプリンタ用鋼製プリントワイヤ
の洗浄・放置テスト後の軸部外周表面上にある孔部の走
査電子顕微鏡写真(加速電圧 5KV,倍率 5000倍)であ
る。
【図4】図3の孔部(黒色部)のX線元素スペクトル図
である。
【符号の説明】
E 白色班点、F 淡黒色班点、G 孔状の黒班点、J
筋状のもの、K 孔状の黒班点

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部外周の表面粗さが0.30μmRmax以下
    である防錆性に優れることを特徴とするドットプリンタ
    用鋼製プリントワイヤ。
  2. 【請求項2】 軸部外周表面の走査電子顕微鏡写真(加
    速電圧 15KV、倍率 1000倍)上において、直径 1.5mm以
    上の孔状の黒班点(K)が5箇/100cm2以下である防錆
    性に優れることを特徴とするドットプリンタ用鋼製プリ
    ントワイヤ。
  3. 【請求項3】 長尺の焼入れ焼戻し熱処理線材から製品
    長さに対応する長さへ個取り切断後、主研磨媒体と有機
    質媒体を併用する乾式バレル研磨を行なうことを特徴と
    するドットプリンタ用鋼製プリントワイヤの製造方法。
JP24533595A 1995-08-30 1995-08-30 ドットプリンタ用鋼製プリントワイヤおよびその製造方法 Pending JPH0966613A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103221366A (zh) * 2010-12-01 2013-07-24 纳幕尔杜邦公司 1,1,3-三氯-1-丙烯的合成

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