JPH0964430A - 酸化物超電導導体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

酸化物超電導導体の製造方法及び製造装置

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JPH0964430A
JPH0964430A JP7210829A JP21082995A JPH0964430A JP H0964430 A JPH0964430 A JP H0964430A JP 7210829 A JP7210829 A JP 7210829A JP 21082995 A JP21082995 A JP 21082995A JP H0964430 A JPH0964430 A JP H0964430A
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真理子 保坂
Yasuhiro Iijima
康裕 飯島
Nobuyuki Sadakata
伸行 定方
Takashi Saito
隆 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶配向性に優れた酸化物超電導層を形成で
きる酸化物超電導導体の製造方法およびこの製造方法の
実施に好適に使用することができる製造装置を提供す
る。 【解決手段】 ターゲット12と基材1との間に窓孔を
有するフィルタ板15を配設し、ターゲット12から基
材1に向けて移動する粒子のうちフィルタ板15の窓孔
15aを通過する粒子のみを基材上に堆積させるに際し
て、ターゲット12から基材1に向けて移動する粒子の
噴流(プルーム)13の中心線Gが、フィルタ板15の
窓孔15aの基材1の移動方向に対して上流側の端面1
6から10mm以下で、かつ下流側の端面17から25
mm以上の位置を通過するようにする酸化物超電導導体
の製造方法ならびにこれに用いる製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶配向性が優れ
た酸化物超電導層を形成することができる酸化物超電導
導体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年になって発見されたY系の酸化物超
電導体は、ピン止め力が高温まで持続し、液体窒素温度
(77K)での磁場中での応用に有効であることが知ら
れているが、現在、この種の酸化物超電導体を実用的な
超電導体として使用するためには、種々の解決するべき
問題点が存在している。その問題点の1つが、強磁場中
で酸化物超電導体の臨界電流密度が減少するという問題
である。
【0003】前記強磁場中で酸化物超電導体の臨界電流
密度が減少するという問題は、酸化物超電導体の結晶自
体に電気的な異方性が存在することが大きな原因となっ
ており、特に酸化物超電導体はその結晶軸のa軸方向と
b軸方向には電気を流し易いが、c軸方向には電気を流
しにくいことが知られている。このような観点から酸化
物超電導体を基材上に形成してこれを超電導体として使
用するためには、基材上に結晶配向性の良好な状態の酸
化物超電導体を形成し、しかも、電気を流そうとする方
向に酸化物超電導体の結晶のa軸あるいはb軸を配向さ
せ、その他の方向に酸化物超電導体のc軸を配向させる
必要がある。
【0004】ところで、酸化物超電導体を導電体として
使用するためには、テープ状などの長尺の基材上に結晶
配向性の良好な酸化物超電導層を形成する必要がある。
ところが、金属テープなどの基材上に酸化物超電導層を
直接形成すると、金属テープ自体が多結晶体でその結晶
構造も酸化物超電導体と大きく異なるために、結晶配向
性の良好な酸化物超電導層は到底形成できないものであ
る。しかも、酸化物超電導層を形成する際に行なう熱処
理によって金属テープと酸化物超電導層との間で拡散反
応が生じるために、酸化物超電導層の結晶構造が崩れ、
超電導特性が劣化する問題がある。
【0005】そこで本発明者らは、図14に示すような
Ni基耐熱合金ハステロイテープなどの金属テープから
なる長尺のテープ状の基材1の上にイットリウム安定化
ジルコニア(YSZ)などの多結晶中間薄膜2を形成
し、この多結晶中間薄膜2上に、酸化物超電導体の中で
も臨界温度が約90Kであり、液体窒素(77K)中で
用いることができる安定性に優れたYBaCuO系の超
電導層3を形成することで超電導特性の優れた酸化物超
電導導体5を製造する試みを種々行なっている。このよ
うな試みの中から本発明者らは先に、結晶配向性に優れ
た中間薄膜を形成するために、あるいは、超電導特性の
優れた超電導テープを得るために、特願平3ー1268
36号、特願平3ー126837号、特願平3ー205
551号特願平4ー13443号、特願平4ー2934
64号などにおいて特許出願を行なっている。
【0006】これらの特許出願に記載された技術によれ
ば、ハステロイテープなどの金属テープの基材上にスパ
ッタ装置により多結晶中間薄膜を形成する際に、スパッ
タリングと同時に基材成膜面の斜め方向からイオンビー
ムを照射しながら多結晶中間薄膜を成膜することによ
り、結晶配向性に優れた多結晶中間薄膜を形成すること
ができるものである。この方法によれば、多結晶中間薄
膜を形成する多数の結晶粒のそれぞれの結晶格子のa軸
あるいはb軸で形成する粒界傾角を30度以下に揃える
ことができ、結晶配向性に優れた多結晶中間薄膜を形成
することができるそして更に、この配向性に優れた中間
薄膜上にYBaCuO系の超電導層をスパッタリング
法、あるいはレーザ蒸着法などの物理蒸着法などの成膜
法により成膜するならば、酸化物超電導層の結晶配向性
も良好なものになり、これにより、臨界電流密度が高い
酸化物超電導体を形成することができる。
【0007】図15に、従来のレーザ蒸着装置の一例を
示した。このレーザ蒸着装置は、内部を真空排気自在に
構成された処理容器10を有し、この処理容器10の内
部の蒸着処理室10aの下部側に長尺のテープ状の基材
1が設けられ、該基材1の上方側には酸化物超電導体ま
たは酸化物超電導体と近似組成のターゲット12が設け
られる一方、処理容器10の外部には前記ターゲット1
2表面にレーザ光を照射して粒子の噴流(プルーム)1
3を発生させるためのレーザ発光装置14が設けられて
いる。
【0008】前記処理容器10は排気孔10bを介して
図示略の真空排気装置に接続されて内部を真空排気でき
るようになっている。前記ターゲット12は、板状のも
のであり、その下面が基材1上面と平行に向き合うよう
にターゲットホルダ12aによって支持されている。ま
た、テープ状の基材1とターゲット12の間には、窓孔
15aを有するフィルタ板15が配設され、ターゲット
12から基材1に向けて移動する粒子のうち窓孔15a
を通過した粒子のみを選択的に基材1上に堆積させるこ
とができるようになっている。このフィルタ板15の横
幅(テープ状の基材1の幅方向に沿うフィルタ板15の
幅)は、ターゲット12側から基材1を隠すことができ
るように基材1の幅よりも大きく形成されている。窓孔
15aの横幅(テープ状の基材1の幅方向に沿う窓孔1
5aの幅)は、基材1の幅と同程度あるいは若干広い程
度であり、縦幅W1(テープ状の基材1の長さ方向に沿
う窓孔15aの幅)は、約35mm程度である。
【0009】このような窓孔15aを有するフィルタ板
15は、図16に示すようにターゲット12から基材に
向けて移動する粒子の噴流(プルーム)13の中心線G
が窓孔15aの中心を通るように、すなわち粒子の噴流
13の中心線Gと窓孔15の基材1の移動方向に対して
上流側の端面16との距離L1が17.5mmで、かつ
粒子の噴流13の中心線Gと前記窓孔15aの基材1の
移動方向に対して下流側の端面17との距離L2が1
7.5mmとなるように基材1とターゲット12との間
に配設される。
【0010】前記基材1の下方側には、送出装置18
と、巻取装置19がそれぞれ離間して設けられ、送出装
置18からテープ状の基材1を送り出し、巻取装置19
で巻き取ることができるとともに、基材1をターゲット
12の下方で水平移動できるようになっている。これら
送出装置18と、巻取装置19との間には基材1を加熱
するための加熱ヒータ20が設けられている。前記レー
ザ発光装置14と処理容器10との間には、第1反射鏡
21と集光レンズ22と第2反射鏡23が設けられ、レ
ーザ発光装置14が発生させたレーザビームを処理容器
10の側壁に取り付けられた透明窓24を介してターゲ
ット12に集光照射できるようになっている。また、従
来のレーザ蒸着装置においては、基材1上に粒子を堆積
させる際、基材1の表面温度を一定にするために、前記
加熱ヒータ20に一定出力が投入されるようになってい
るか、あるいは加熱ヒータ20と基材1との間の隙間部
Aの温度を測定するための熱電対(T.C.)20aが
隙間部Aに配設され、さらに熱電対(T.C.)20a
で測定された測定値に基づいて隙間部Aの温度が一定と
なるように前記加熱ヒータ20に投入する出力を変更す
る制御部(図示略)が備えられている。
【0011】前記構成のレーザ蒸着装置を用いて基材1
上に酸化物超電導層を形成するには、レーザ発光装置1
4からレーザビームを射出し、第1反射鏡21と集光レ
ンズ22と第2反射鏡23と透明窓24を介してレーザ
ビームをターゲット12に照射する。一方、多結晶中間
薄膜が形成された基材1を多結晶中間薄膜側の面を上に
して送出装置18から所定速度で順次送り出して巻取装
置19に巻取り、基材1をターゲット12の下方を水平
移動させるとともに加熱ヒータ20を作動させて基材1
を加熱する。ここでの加熱の際、加熱ヒータ20に一定
出力を投入するか、あるいは前記熱電対20aで隙間部
Aの温度を測定し、この測定値に基づいて前記制御部で
加熱ヒータ20の出力を変更する。
【0012】このようにすると、レーザビームが照射れ
たターゲット12は表面部分がえぐり取られるか蒸発さ
れて構成粒子が叩き出され、その粒子の大部分はフィル
タ15の上面に堆積される、窓孔15aを通過した粒子
は基材1の中間薄膜2上に堆積されると同時に加熱ヒー
タ20により熱処理される。以上の操作によって基材1
の上面に順次粒子を堆積させ、テープ状の基材1の多結
晶中間薄膜上に酸化物超電導層を形成することで、図1
4に示すような酸化物超電導導体を得ることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが従来の酸化物
超電導導体に製造方法にあっては、得られる酸化物超電
導導体5の酸化物超電導層3に、図17に示すように成
膜開始位置から2〜3cmの範囲に白っぽい線6が生じ
てしまう。このような白っぽい線6が生じた酸化物超電
導導体5について、CuKα線を用いたθ-2θ法によ
る表面部分のX線回折試験を行なうと、c軸の(00
3)あるいは(006)からのピークの近傍にa軸また
はb軸からのピークが認められ、このことは基材の成膜
面に対して直角向き(電気を流さない方向)にc軸以外
にa軸またはb軸が配向していることを表し、酸化物超
電導層3の結晶配向性において不満があり、臨界電流密
度の向上の障害となっていた。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、白っぽい線が生じることがなく、基材の成膜面に対
して直角向きに結晶粒の結晶軸のc軸を配向させること
ができると同時に、成膜面と平行な面に沿って結晶粒の
結晶軸のa軸およびb軸をも揃えることができ、結晶配
向性が優れた酸化物超電導層を形成することができる酸
化物超電導導体の製造方法およびこの製造方法の実施に
好適に使用することができる製造装置を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、蒸着処理室内に設けた酸化物
超電導体または酸化物超電導体と近似組成のターゲット
から発生させた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上
に順次堆積させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電
導導体の製造方法において、ターゲットと基材との間に
窓孔を有するフィルタ板を配設し、ターゲットから基材
に向けて移動する粒子のうち前記フィルタ板の窓孔を通
過する粒子のみを基材上に堆積させるに際して、前記タ
ーゲットから基材に向けて移動する粒子の噴流の中心線
が、前記窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面か
ら10mm以下で、かつ前記窓孔の基材の移動方向に対
して下流側の端面から25mm以上の位置を通過するよ
うにする方法である。
【0016】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、蒸着処理室内に設けた酸化物超電導体または酸
化物超電導体と近似組成のターゲットから発生させた粒
子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次堆積させて
酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体の製造装置
において、ターゲットから基材に向けて移動する粒子を
選択的に基材上に堆積させるための窓孔を有するフィル
タ板が、該ターゲットから基材に向けて移動する粒子の
噴流の中心線と前記窓孔の基材の移動方向に対して上流
側の端面との距離が10mm以下で、かつ前記粒子の噴
流の中心線と前記窓孔の基材の移動方向に対して下流側
の端面との距離が25mm以上となるようにターゲット
と基材との間に配設されてなるものである。
【0017】また、蒸着処理室内に設けた酸化物超電導
体または酸化物超電導体と近似組成のターゲットから発
生させた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次
堆積させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体
の製造方法においては、基材の近傍に該基材を加熱する
ための加熱手段を配設し、該加熱手段により基材を加熱
しながらターゲットから基材に向けて移動する粒子を前
記基材上に堆積させるに際して、基材上に堆積した粒子
からなる層の表面温度を測定しつつ、この測定値に基づ
いて基材の粒子を堆積させる部分の表面温度が一定とな
るように前記加熱手段の出力を変更しながら前記粒子を
基材上に堆積させるのが望ましい。
【0018】また、蒸着処理室内に設けた酸化物超電導
体または酸化物超電導体と近似組成のターゲットから発
生させた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次
堆積させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体
の製造装置においては、基材を加熱するための加熱手段
と、基材上に堆積した粒子からなる層の表面温度を測定
するための温度計とがそれぞれ基材の近傍に配設され、
該温度計で測定された測定値に基づいて基材の粒子を堆
積させる部分の表面温度が一定となるように前記加熱手
段の出力を変更する制御部が備えられるのが望ましい。
【0019】また、蒸着処理室内に設けた酸化物超電導
体または酸化物超電導体と近似組成のターゲットから発
生させた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次
堆積させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体
の製造方法においては、ターゲットと基材との間に窓孔
を有するフィルタ板を配設し、かつ前記基材の近傍に該
基材を加熱するための加熱手段を配設し、該加熱手段に
より基材を加熱しながら該基材上にターゲットから基材
に向けて移動する粒子のうち前記フィルタ板の窓孔を通
過する粒子のみを堆積させるに際して、前記ターゲット
から基材に向けて移動する粒子の噴流の中心線が、前記
窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面から10m
m以下で、かつ前記窓孔の基材の移動方向に対して下流
側の端面から25mm以上の位置を通過するようにする
とともに、基材上に堆積した粒子からなる層の表面温度
を測定しつつこの測定値に基づいて基材の粒子を堆積さ
せる部分の表面温度が一定となるように前記加熱手段の
出力を変更しながら前記粒子を基材上に堆積させるのが
望ましい。
【0020】また、蒸着処理室内に設けた酸化物超電導
体または酸化物超電導体と近似組成のターゲットから発
生させた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次
堆積させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体
の製造装置においては、ターゲットから基材に向けて移
動する粒子を選択的に基材上に堆積させるための窓孔を
有するフィルタ板が、該ターゲットから基材に向けて移
動する粒子の噴流の中心線と前記窓孔の基材の移動方向
に対して上流側の端面との距離が10mm以下で、かつ
前記粒子の噴流の中心線と前記窓孔の基材の移動方向に
対して下流側の端面との距離が25mm以上となるよう
にターゲットと基材との間に配設され、かつ基材を加熱
するための加熱手段と基材上に堆積した粒子からなる層
の表面温度を測定するための温度計がそれぞれ基材の近
傍に配設され、かつ該温度計で測定された測定値に基づ
いて基材の粒子を堆積させる部分の表面温度が一定とな
るように前記加熱手段の出力を変更する制御部が備えら
れるのが望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係わる酸化物超
電導導体の製造方法に好適に用いられるレーザ蒸着装置
の第1の例を示すものである。この第1の例の酸化物超
電導導体の製造装置が、図15に示した従来のレーザ蒸
着装置と異るところは、テープ状の基材1とターゲット
12の間に、窓孔15aを有するフィルタ板15を配設
する際の配設位置が異る点である。
【0022】この第1の例での窓孔15aを有するフィ
ルタ板15は、図2に示すようにタゲット12から基材
1に向けて移動する粒子の噴流(プルーム)13の中心
線Gと窓孔15aの基材1の移動方向に対して上流側の
端面16との距離L3が10mm以下、好ましくは−5
mm以上10mm以下で、より好ましくは−5mm以上
10mm未満で、かつ粒子の噴流13の中心線Gと窓孔
15aの基材1の移動方向に対して下流側の端面17と
の距離L4が25mm以上、好ましくは25mm以上4
0mm以下となるように基材1とターゲット12との間
に配設される。ここで粒子の噴流13の中心線Gとフィ
ルタ板15の端面16との距離L3が−(マイナス)と
は、噴流13の中心線Gがフィルタ板15の端面16よ
り基材1の移動方向に対して上流側にある場合の端面1
6と中心線Gとの距離である。粒子の噴流13の中心線
Gと窓孔15aの端面16との距離L3が10mmを超
えると、このレーザ蒸着装置を用いて形成される酸化物
超電導層に白っぽい線が生じ、結晶配向性が低下してし
まう恐れがあるからである。粒子の噴流13の中心線G
と窓孔15aの端面17との距離L4が25mm未満で
あると、粒子のデポジションのレートが低下してしまう
恐れがあるからである。
【0023】ここでのターゲット12としては、形成し
ようとする酸化物超電導層と同等または近似した組成、
あるいは、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた
複合酸化物の焼結体、または、酸化物超電導体のバルク
などから形成されている。現在知られている臨界温度の
高い酸化物超電導体として具体的には、 Y−Ba−C
u−O系、Bi−Sr−Ca−Cu−O系、T1−Ba
−Ca−Cu−O系などがあるので、ターゲット12と
してはこれらの系のものなどを用いることができる。な
お、酸化物超電導体を構成する元素の中で蒸気圧が高
く、蒸着の際に飛散しやすい元素もあるので、このよう
な元素を含むターゲット12を使用する場合は、蒸気圧
の高い元素を目的とする所定の割合よりも多く含むター
ゲットを用いればよい。また、レーザ発光装置14とし
ては、ターゲット12から構成粒子を叩きだすことがで
きるものであれば、YAGレーザ、エキシマレーザなど
のいずれのものを使用してもよい。
【0024】次に、前述の第1の例のレーザ蒸着装置を
用いて酸化物超電導導体の製造する方法の第1の例につ
いて説明する。多結晶中間薄膜が形成されたテープ状の
基材1を蒸着処理室10a内の送出装置18にセット
し、ターゲット12をその下面が前記基材1の多結晶中
間薄膜側の面と平行に向き合うようにターゲットホルダ
12aにセットしたならば、蒸着処理室10aを真空排
気する。ここで必要に応じて蒸着処理室10aに酸素ガ
スを導入して蒸着処理室10aを酸素雰囲気としても良
い。また、加熱ヒータ20に一定の出力を投入し、ほぼ
一定の温度範囲で基材1を加熱できるようにする。
【0025】次に、レーザ発光装置14から発生させた
レーザビームを第1反射鏡21と集光レンズ22と第2
反射鏡23と透明窓24を介して蒸着処理室10a内に
導き、ターゲット1の表面に集光照射する。この際に、
集光レンズ22の位置調節を行ってターゲット12の表
面にレーザビームの焦点を合せる。また、多結晶中間薄
膜が形成された基材1を多結晶中間薄膜側の面を上にし
て送出装置18から所定速度で順次送り出して巻取装置
19に巻取ることにより、基材1をターゲット12の下
方を水平移動させながら前記加熱ヒータ20により基材
1を加熱する。
【0026】このようにすると、レーザビームが照射れ
たターゲット12は表面部分がえぐり取られるか蒸発さ
れて構成粒子が叩き出され、その粒子の大部分はフィル
タ15の上面に堆積するが、窓孔15aを通過した粒子
は基材1の中間薄膜上に堆積されると同時に加熱ヒータ
20により熱処理される。粒子が窓を通過する際、粒子
の噴流(プルーム)13の中心線Gは、窓孔15aの基
材1の移動方向に対して上流側の端面16から10mm
以下で、かつ窓孔15aの基材1の移動方向に対して下
流側の端面17から25mm以上の位置を通過する。以
上の操作によって基材1の上面に順次粒子を堆積させ、
テープ状の基材1の多結晶中間薄膜上に酸化物超電導層
を形成することで、酸化物超電導導体を得ることができ
る。
【0027】このようにして形成された酸化物超電導層
には、白っぽい線が生じておらず、また、CuKα線を
用いたθ-2θ法による表面部分のX線回折試験を行な
った結果、c軸の(003)あるいは(006)からの
強いピークが認められ、a軸またはb軸からのピークの
存在は認められないことから、基材1の成膜面に対して
直角向きに配向したa軸およびb軸がほとんどなく、よ
って基材1の成膜面に対して直角向きに結晶粒の結晶軸
のc軸が配向しており、かつ成膜面と平行な面に沿って
結晶粒の結晶軸のa軸およびb軸が揃った結晶配向性の
優れたものとなる。
【0028】従って第1の例の酸化物超電導導体の製造
方法によれば、結晶配向性の優れた酸化物超電導層が得
られるため、臨界電流値が高く、磁界電流密度が高い酸
化物超電導体を製造することができる。また、この製造
方法にあっては、フィルタ板15の配設位置を基材1の
移動方向に沿ってわずかにずらすだけであるので、成膜
範囲の大きさは従来の酸化物超電導導体の製造方法と変
わらないため、粒子のデポジションのレートが低下する
ことなく高品質の酸化物超電導層を形成することができ
る。
【0029】ところで、図15〜図16に示した従来の
レーザ蒸着装置を用いる酸化物超電導導体の製造方法に
おいては、基材1の移動に伴って基材1の表面温度が変
動した場合、加熱ヒータ20には一定出力しか投入され
ないため成膜時の基材1の表面温度を一定に保つことが
できず、あるいは熱電対20aで測定される測定値は隙
間部Aの温度であるため基材1の表面温度に追従してお
らず、従って前記測定値に基づいて加熱ヒータ20の出
力を制御しても、成膜時の基材1の表面温度を一定に保
つことができなかった。このように成膜時の基材1の表
面温度が一定でないと、基材1の長さ方向に沿って均質
な酸化物超電導層を形成することができず、よって長さ
方向に均一な超電導特性を備えた酸化物超電導導体を製
造できないという問題があった。
【0030】そこで、このような問題を解決するために
レーザ蒸着装置の構成を図3に示すような構成にするこ
とが望ましい。図3は、本発明に係わる酸化物超電導導
体の製造方法に好適に用いられるレーザ蒸着装置の第2
の例の一部分を示す拡大図である。この第2の例の酸化
物超電導導体の製造装置が、図15に示した従来のレー
ザ蒸着装置と異るところは、蒸着処理室10a内で基材
1の上方に温度計30が配設され、処理容器10の外部
に制御部31が設けられ、可変電源32が加熱ヒータ
(加熱手段)20に設けられた点である。
【0031】温度計30は、基材1上に堆積した粒子か
らなる層の表面温度を測定するためのものであり、制御
部31と接続されている。ここでの温度計30として
は、パイロ輻射高温計が好適に用いられ、このパイロ輻
射高温計は堆積した粒子からなる層表面の一点の温度を
フィルタ板15を配設したままで、かつ非接触で連続的
に測定できるものである。
【0032】制御部31は、基材1の粒子を堆積させる
部分の表面温度が一定温度(成膜に最適な温度範囲)と
なるように加熱ヒータ20の出力を変更するものであっ
て、温度計30で測定された堆積した粒子からなる層の
表面温度を認識し、この表面温度が予め設定された温度
(目標温度)と異るときは、該表面温度を前記目標温度
にするために必要な電圧が加熱手段20に印加するため
の信号を可変電源32に送りむようになっており、可変
電源32に接続されている。なお、ここでの目標温度と
は、基材1の粒子を堆積させる部分の表面温度が成膜に
最適な温度範囲であるときの堆積した粒子からなる層の
表面温度である。可変電源32は、加熱ヒータ20に電
圧を印加し、かつ前記制御部31からの信号に基づいて
印加電圧を可変とするものである。
【0033】次に、前述の第2の例のレーザ蒸着装置を
用いて酸化物超電導導体を製造する方法の第2の例につ
いて説明する。この第2の例の酸化物超電導導体の製造
方法が、従来の酸化物超電導導体の製造方法と異るとこ
ろは、加熱ヒータ20に一定出力を投入することにより
移動中の基材1をほぼ一定の温度範囲で加熱するのに代
えて、移動中の基材1上に堆積した粒子からなる層表面
の一点の温度を温度計30により測定しつつ、この測定
値を制御部31で認識し、予め設定された目標温度と異
るときは、前記層表面の温度を目標温度にするために必
要な電圧を加熱ヒータ20に印加できるようにする信号
を可変電源32に送り込み、前記信号に基づいて変更し
た電圧を加熱ヒータ20に印加し、基材1の粒子を堆積
させる部分の温度が一定温度(成膜に最適な温度範囲)
となるように加熱ヒータ20の出力を変更する点であ
る。
【0034】例えば、堆積した粒子からなる層の表面の
一点の温度が予め設定された目標温度より低くなった場
合、基材1の粒子を堆積させる部分の温度が一定温度
(成膜に最適な温度範囲)まで上昇するように加熱ヒー
タ20の出力が大きくなり、一方、堆積した粒子からな
る層の表面の一点の温度が予め設定された目標温度より
高くなった場合、基材1の粒子を堆積させる部分の温度
が一定温度(成膜に最適な温度範囲)となるように加熱
ヒータ20の出力が小さくなる。
【0035】第2の例の酸化物超電導導体の製造方法に
あっては、基材1上に堆積した粒子からなる層の表面上
の一点の温度を測定しつつ、この測定値に基づいて基材
1の粒子を堆積させる部分の表面温度が一定となるよう
に加熱ヒータ20の出力を変更しながら粒子を基材1上
に堆積させる方法であるので、基材1の移動に伴って基
材1の表面温度が変動しても、加熱ヒータ20の出力を
変更して基材1の粒子を堆積させる部分の表面温度を一
定(成膜に最適な温度範囲)に保つことができるので、
成膜条件が良好となり、基材1の長さ方向に沿って均質
な酸化物超電導層を形成することができ、よって長さ方
向に沿って均一で優れた超電導特性を備えた酸化物超電
導導体を製造できる。
【0036】図4は、本発明に係わる酸化物超電導導体
の製造方法に好適に用いられるレーザ蒸着装置の第3の
例の一部分を示す拡大図である。この第3の例の酸化物
超電導導体の製造装置が、図1に示した第1の例の蒸着
装置と異るところは、蒸着処理室10a内で基材1の上
方に温度計30が配設され、処理容器10の外部に制御
部31が設けられ、可変電源32が加熱ヒータ(加熱手
段)20に設けられた点である。
【0037】次に、前述の第3の例のレーザ蒸着装置を
用いて酸化物超電導導体を製造する方法の第3の例につ
いて説明する。この第3の例の酸化物超電導導体の製造
方法が、前述の第1の例の酸化物超電導導体の製造方法
と異るところは、加熱ヒータ20に一定出力を投入する
ことにより移動中の基材1をほぼ一定の温度範囲で加熱
するのに代えて、移動中の基材1上に堆積した粒子から
なる層の表面温度を温度計30により測定し、この測定
値を制御部31で認識し、予め設定された目標温度と異
るときは、該表面温度を目標温度にするために必要な電
圧を加熱ヒータ20に印加できるようにする信号を可変
電源32に送り込み、前記信号に基づいて変更した電圧
を加熱ヒータ20に印加し、基材1の粒子を堆積させる
部分の温度が一定温度(成膜に最適な温度範囲)となる
ように加熱ヒータ20の出力を変更する点である。
【0038】第3の例の酸化物超電導導体の製造方法に
あっては、前述の構成としたことにより、第1の例の酸
化物超電導導体の製造方法と同様の作用を奏するうえ、
第2の例の酸化物超電導導体の製造方法と同様の作用を
奏するので、白っぽい線が生じることがなく、基材1の
成膜面に対して直角向きに結晶粒の結晶軸のc軸を配向
させることができると同時に、成膜面と平行な面に沿っ
て結晶粒の結晶軸のa軸およびb軸をも揃えることがで
き、結晶配向性に優れるという特性と、基材1の長さ方
向に沿って均質であるという特性の両方の特性を有する
酸化物超電導層を形成でき、超電導特性が格段に優れた
酸化物超電導導体を製造できる。
【0039】なお、前述の例においては、本発明の酸化
物超電導導体の製造方法ならびに製造装置をレーザ蒸着
法ならびにレーザ蒸着装置に適用した場合について説明
したが、蒸着処理室内に設けた酸化物超電導体または酸
化物超電導体と近似組成のターゲットから発生させた粒
子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次堆積させて
酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体の製造方法
やこれに用いられる製造装置においても同様に適用で
き、例えば、スパッタリング法などの物理蒸着法やスパ
ッタ装置などの物理蒸着装置において同様に適用でき
る。
【0040】(本発明における作用)請求項1記載の酸
化物超電導導体の製造方法にあっては、前述の構成とす
ることにより、得られる酸化物超電導層に白っぽい線が
生じることがなくなり、これによって基材の成膜面に対
して直角向きに配向したa軸およびb軸が少なくなるの
で、基材の成膜面に対して直角向きに結晶粒の結晶軸の
c軸を配向させることができると同時に、成膜面と平行
な面に沿って結晶粒の結晶軸のa軸およびb軸をも揃え
ることができ、結晶配向性の優れた酸化物超電導層の形
成が可能となる。
【0041】また、基材の近傍に該基材を加熱するため
の加熱手段を配設し、該加熱手段により基材を加熱しな
がらターゲットから基材に向けて移動する粒子を前記基
材上に堆積させるに際して、基材上に堆積した粒子から
なる層の表面温度を測定しつつ、この測定値に基づいて
基材の粒子を堆積させる部分の表面温度が一定となるよ
うに前記加熱手段の出力を変更しながら前記粒子を基材
上に堆積させるようにすることにより、基材の移動に伴
って基材の表面温度が変動しても、加熱手段の出力を変
更して基材の粒子を堆積させる部分の表面温度を一定
(成膜に最適な温度範囲)に保つことができるので、成
膜条件が良好となり、基材の長さ方向に沿って均質な酸
化物超電導層の形成が可能となる。
【0042】また、ターゲットと基材との間に窓孔を有
するフィルタ板を配設し、かつ前記基材の近傍に該基材
を加熱するための加熱手段を配設し、該加熱手段により
基材を加熱しながら該基材上にターゲットから基材に向
けて移動する粒子のうち前記フィルタ板の窓孔を通過す
る粒子のみを堆積させるに際して、前記ターゲットから
基材に向けて移動する粒子の噴流の中心線が、前記窓孔
の基材の移動方向に対して上流側の端面から10mm以
下で、かつ前記窓孔の基材の移動方向に対して下流側の
端面から25mm以上の位置を通過するようにするとと
もに、基材上に堆積した粒子からなる層の表面温度を測
定しつつこの測定値に基づいて基材の粒子を堆積させる
部分の表面温度が一定となるように前記加熱手段の出力
を変更しながら前記粒子を基材上に堆積させることによ
り、結晶配向性が優れ、かつ基材の長さ方向に沿って均
質な酸化物超電導層の形成が可能となる。
【0043】
【実施例】
(実施例1)図1に示す製造装置において、ターゲット
蒸発用のレーザとして波長248nm、平均出力50
W、繰返周波数100Hz、パルス幅10nsecのK
rFエキシマレーザを用いた。また、基材として、ハス
テロイ製の幅10mm、厚さ0.2mmのテープの上面
に、厚さ0.5μmのYSZからなる多結晶中間薄膜を
被覆したものを用いるとともに、ターゲットとしてY1
Ba2Cu37-δなる組成の焼結体からなる円板状のタ
ーゲットを用いた。さらに、蒸着処理室の内部を10-6
Torrに排気し、加熱ヒータに一定の出力1KWを投
入して基材を加熱しながら該基材上に前記ターゲットか
ら基材に向けて移動してくる粒子を堆積しレーザ蒸着を
行った。ここで用いたフィルタ板に形成した窓孔の横幅
(基材の幅方向に沿う窓孔の幅)は14mm、縦幅(基
材の長さ方向に沿う窓孔の幅)は35mmであった。こ
のフィルタ板は、ターゲットから基材に向けて移動する
粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方向に対して上
流側の端面との距離L3が−5〜10mmで、かつ粒子
の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方向に対して下流側
の端面との距離L4が40〜25mmとなるように基材
とターゲットとの間に配設されており、このフィルタ板
と基材との距離は2〜3mmであった。
【0044】実施例1で得られた酸化物超電導導体の酸
化物超電導層には、白っぽい線が認められなかった。ま
た、粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方向に対し
て上流側の端面との距離L3を7.5mmとした場合に
形成された酸化物超電導層についてCuKα線を用いた
θ-2θ法による表面部分のX線回折試験を行なった結
果を図5に示す。図5に示す結果から、c軸の(00
3)あるいは(006)からの強いピークが認められ、
a軸またはb軸からのピークの存在は認められないこと
から、基材の成膜面に対して直角向きに配向したa軸お
よびb軸がなく、よって基材の成膜面に対して直角向き
に結晶粒の結晶軸のc軸が配向しており、かつ成膜面と
平行な面に沿って結晶粒の結晶軸のa軸およびb軸が揃
った結晶配向性の優れた酸化物超電導層が得られたこと
が判明した。また、粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の
移動方向に対して上流側の端面との距離L3を−5m
m、0mm、5mm、10mmとした場合にそれぞれ形
成された酸化物超電導層についてCuKα線を用いたθ
-2θ法による表面部分のX線回折試験を行なった結果
を図6〜図9に示す。
【0045】また、得られた酸化物超電導導体を液体窒
素で冷却し、粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方
向に対して上流側の端面との距離L3を−5mm〜10
mmの範囲で変更したときの、距離L3と臨界電流との
関係、距離L3と臨界電流密度との関係を調べた。その
結果を図10、図11に示す。図10は粒子の噴流の中
心線と窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との
距離と、臨界電流との関係を示したグラフであり、図1
1は粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方向に対し
て上流側の端面との距離と、臨界電流密度との関係を示
したグラフである。ここでの臨界電流は最大値をプロッ
トしたものであり、また、臨界電流密度は臨界電流の最
大値より算出したものである。図10〜図11に示した
結果から明らかなように、実施例1で得られた酸化物超
電導導体は、極めて優秀な超電導特性を発揮することを
確認できた。また、得られた酸化物超電導導体の長さ方
向に沿った臨界温度を調べたところ、複数の測定箇所に
おいて、いずれも臨界温度=90Kを示した。
【0046】(比較例1)図15に示す製造装置を用
い、ターゲットから基材に向けて移動する粒子の噴流の
中心線と窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面と
の距離L1が15〜17.5mmで、かつ粒子の噴流の
中心線と窓孔の基材の移動方向に対して下流側の端面と
の距離L2が20〜17.5mmとなるようにフィルタ
板を基材とターゲットとの間に配設した以外は前述の実
施例1と同様にして酸化物超電導導体を得た。
【0047】比較例1で得られた酸化物超電導導体の酸
化物超電導層には、白っぽい線が認められた。また、粒
子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方向に対して上流
側の端面との距離L1を15mmとした場合に形成され
た酸化物超電導層についてCuKα線を用いたθ-2θ
法による表面部分のX線回折試験を行なった結果を図1
2に示す。図12に示す結果から、c軸の(003)あ
るいは(006)からのピーク以外にa軸またはb軸か
らのピークの存在が認められ、基材の成膜面に対して直
角向き(電気を流さない方向)にc軸以外にa軸または
b軸が配向し、かつ成膜面と平行な面に沿って結晶粒の
結晶軸のa軸およびb軸が揃っていない酸化物超電導層
が得られたことが判明した。また、粒子の噴流の中心線
と窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離
1を17.5mmとした場合に形成された酸化物超電
導層についてCuKα線を用いたθ-2θ法による表面
部分のX線回折試験を行なった結果を図13に示す。
【0048】また、得られた酸化物超電導導体を液体窒
素で冷却し、粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方
向に対して上流側の端面との距離L1を17.5mmと
したときの、距離L1と臨界電流との関係を図10に合
わせて示し、距離L1と臨界電流密度との関係を図11
に合わせて示した。図10〜図11に示した結果から明
らかなように、比較例1で得られた酸化物超電導導体
は、実施例1で得られた酸化物超電導導体に比べて臨界
電流密度が低く、超電導特性が劣ることを確認できた。
また、得られた酸化物超電導導体の長さ方向に沿った臨
界温度を調べたところ、複数の測定箇所において臨界温
度にばらつきがあった。
【0049】(実施例2)前述の第2の例の製造装置を
用い、ターゲット蒸発用のレーザとして波長248nm、
平均出力5.0W、繰返周波数100Hz、パルス幅1
0nsecのKrFエキシマレーザを用いた。また、基
材として、ハステロイ製の幅10mm、厚さ0.2mm
のテープの上面に、厚さ0.5μmのYSZからなる多
結晶中間薄膜を被覆したものを用いるとともに、ターゲ
ットとしてY1Ba2Cu37-δなる組成の焼結体から
なる円板状のターゲットを用いた。さらに、蒸着処理室
の内部を10-6Torrに排気し、加熱ヒータにより基
材を加熱しながら移動中の基材上に堆積した粒子からな
る層表面の一点の温度をパイロ輻射高温計により測定し
つつ、この測定値を制御部で認識し、予め設定された目
標温度(700〜750℃)と異るときは、前記表面の温度を
目標温度にするために必要な電圧を加熱ヒータに印加で
きるようにする信号を可変電源に送り込み、前記信号に
基づいて変更した電圧を加熱ヒータに印加し、基材の粒
子を堆積させる部分の温度が一定温度(700〜750
℃)となるように加熱ヒータの出力を変更しながら粒子
を基材上に堆積させると同時に熱処理した。
【0050】得られた酸化物超電導導体について、液体
窒素で冷却し、臨界温度と、臨界電流と、臨界電流密度
を、該酸化物超電導導体の長さ方向に沿った複数の部分
で測定した。その結果、複数の測定箇所において、いず
れも優れた臨界温度、臨界電流、臨界電流密度を示し、
長さ方向に沿って均一で優れた超電導特性を発揮するこ
とを確認できた。
【0051】(比較例2)加熱ヒータに一定出力を投入
して基材を加熱しながら該基材上にターゲットから基材
に向けて移動してくる粒子を堆積することに代えて、加
熱ヒータと基材との間の隙間部に配設された熱電対
(T.C.)により前記隙間部の温度を測定し、この測
定値を制御部で認識し、この測定値に基づいて前記隙間
部の温度が950〜970℃となるように加熱ヒータに
投入する出力を変更しながら基材上にターゲットから基
材に向けて移動してくる粒子を堆積した以外は前述の比
較例1と同様にして酸化物超電導導体を得た。
【0052】また、得られた酸化物超電導導体につい
て、液体窒素で冷却し、臨界温度と、臨界電流と、臨界
電流密度を、該酸化物超電導導体の長さ方向に沿った複
数の部分で測定した。その結果、複数の測定箇所におい
て、臨界温度、臨界電流、臨界電流密度の値にばらつき
があり、長さ方向に沿った超電導特性が不均一であり、
また、臨界電流密度の平均値も実施例2で得られた酸化
物超電導導体と比べて低いものであった。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の酸化
物超電導導体の製造方法にあっては、前述の構成とする
ことにより、得られる酸化物超電導層に白っぽい線が生
じることがなくなり、これによって基材の成膜面に対し
て直角向きに配向したa軸およびb軸が少なくなるの
で、基材の成膜面に対して直角向きに結晶粒の結晶軸の
c軸を配向させることができると同時に、成膜面と平行
な面に沿って結晶粒の結晶軸のa軸およびb軸をも揃え
ることができ、結晶配向性の優れた酸化物超電導層が得
られる。従って請求項1記載の酸化物超電導導体の製造
方法によれば、臨界電流値が高くなり、磁界電流密度が
高い酸化物超電導体が得られる。また、この製造方法に
あっては、フィルタ板の配設位置を基材の移動方向に沿
ってわずかにずらすだけであるので、成膜範囲の大きさ
は従来の酸化物超電導導体の製造方法と変わらないた
め、粒子のデポジションのレートが低下することなく高
品質の酸化物超電導層を形成することができる。また、
請求項2記載の酸化物超電導導体の製造装置にあって
は、前述の構成としたものであるので、請求項1記載の
酸化物超電導導体の製造方法の実施に好適に使用でき
る。
【0054】また、基材の近傍に該基材を加熱するため
の加熱手段を配設し、該加熱手段により基材を加熱しな
がらターゲットから基材に向けて移動する粒子を前記基
材上に堆積させるに際して、基材上に堆積した粒子から
なる層の表面温度を測定しつつ、この測定値に基づいて
基材の粒子を堆積させる部分の表面温度が一定となるよ
うに前記加熱手段の出力を変更しながら前記粒子を基材
上に堆積させるようにとしたことにより、基材の移動に
伴って基材の表面温度が変動しても、加熱手段の出力を
変更して基材の粒子を堆積させる部分の表面温度を一定
(成膜に最適な温度範囲)に保つことができるので、成
膜条件が良好となり、基材の長さ方向に沿って均質な酸
化物超電導層を形成することができ、よって長さ方向に
沿って均一で優れた超電導特性を備えた酸化物超電導導
体を製造できる。
【0055】また、ターゲットと基材との間に窓孔を有
するフィルタ板を配設し、かつ前記基材の近傍に該基材
を加熱するための加熱手段を配設し、該加熱手段により
基材を加熱しながら該基材上にターゲットから基材に向
けて移動する粒子のうち前記フィルタ板の窓孔を通過す
る粒子のみを堆積させるに際して、前記ターゲットから
基材に向けて移動する粒子の噴流の中心線が、前記窓孔
の基材の移動方向に対して上流側の端面から10mm以
下で、かつ前記窓孔の基材の移動方向に対して下流側の
端面から25mm以上の位置を通過するようにするとと
もに、基材上に堆積した粒子からなる層の表面温度を測
定しつつこの測定値に基づいて基材の粒子を堆積させる
部分の表面温度が一定となるように前記加熱手段の出力
を変更しながら前記粒子を基材上に堆積させることによ
り、白っぽい線が生じることがなく、基材の成膜面に対
して直角向きに結晶粒の結晶軸のc軸を配向させること
ができると同時に、成膜面と平行な面に沿って結晶粒の
結晶軸のa軸およびb軸をも揃えることができ、結晶配
向性に優れるという特性と、基材の長さ方向に沿って均
質であるという特性の両方の特性を有する酸化物超電導
層を形成でき、超電導特性が格段に優れた酸化物超電導
導体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるレーザ蒸着装置の第1の例を
示す構成図である。
【図2】 図1のレーザ蒸着装置の部分拡大図である。
【図3】 第2の例のレーザ蒸着装置の部分拡大図であ
る。
【図4】 第3の例のレーザ蒸着装置の部分拡大図であ
る。
【図5】 実施例1において、粒子の噴流の中心線と窓
孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離Lを
7.5mmとした場合に形成された酸化物超電導層のX
線回折結果を示すグラフである。
【図6】 実施例1において、粒子の噴流の中心線と窓
孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離Lを
−5mmとした場合に形成された酸化物超電導層のX線
回折結果を示すグラフである。
【図7】 実施例1において、粒子の噴流の中心線と窓
孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離Lを
0mmとした場合に形成された酸化物超電導層のX線回
折結果を示すグラフである。
【図8】 実施例1において、粒子の噴流の中心線と窓
孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離Lを
5mmとした場合に形成された酸化物超電導層のX線回
折結果を示すグラフである。
【図9】 実施例1において、粒子の噴流の中心線と窓
孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離Lを
10mmとした場合に形成された酸化物超電導層のX線
回折結果を示すグラフである。
【図10】 粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方
向に対して上流側の端面との距離と、臨界電流との関係
を示したグラフである。
【図11】 粒子の噴流の中心線と窓孔の基材の移動方
向に対して上流側の端面との距離と、臨界電流密度との
関係を示したグラフである。
【図12】 比較例1において、粒子の噴流の中心線と
窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離L
を15mmとした場合に形成された酸化物超電導層のX
線回折結果を示すグラフである。
【図13】 比較例1において、粒子の噴流の中心線と
窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面との距離L
を17.5mmとした場合に形成された酸化物超電導層
のX線回折結果を示すグラフである。
【図14】 従来の酸化物超電導導体を示す斜視図であ
る。
【図15】 従来のレーザ蒸着装置の一例を示す構成図
である。
【図16】 図15のレーザ蒸着装置の部分拡大図であ
る。
【図17】 従来の酸化物超電導導体の酸化物超電導層
を示す正面図である。
【符号の説明】
1・・・基材、10・・・処理容器、10a・・・蒸着処理室、
12・・・ターゲット、13・・・粒子の噴流(プルーム)、
14・・・レーザ発光装置、15・・・フィルタ板、15a・・
・窓孔、G・・・中心線、16・・・上流側の端面、17・・・下
流側の端面、20・・・加熱ヒータ(加熱手段)、L3・・・
距離、L4・・・距離、30・・・温度計、31・・・制御部、3
2・・・可変電源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定方 伸行 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 斎藤 隆 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着処理室内に設けた酸化物超電導体ま
    たは酸化物超電導体と近似組成のターゲットから発生さ
    せた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次堆積
    させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体の製
    造方法において、 ターゲットと基材との間に窓孔を有するフィルタ板を配
    設し、ターゲットから基材に向けて移動する粒子のうち
    前記フィルタ板の窓孔を通過する粒子のみを基材上に堆
    積させるに際して、前記ターゲットから基材に向けて移
    動する粒子の噴流の中心線が、前記窓孔の基材の移動方
    向に対して上流側の端面から10mm以下で、かつ前記
    窓孔の基材の移動方向に対して下流側の端面から25m
    m以上の位置を通過するようにすることを特徴とする酸
    化物超電導導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 蒸着処理室内に設けた酸化物超電導体ま
    たは酸化物超電導体と近似組成のターゲットから発生さ
    せた粒子をターゲット近傍を移動中の基材上に順次堆積
    させて酸化物超電導層を形成する酸化物超電導導体の製
    造装置において、 ターゲットから基材に向けて移動する粒子を選択的に基
    材上に堆積させるための窓孔を有するフィルタ板が、該
    ターゲットから基材に向けて移動する粒子の噴流の中心
    線と前記窓孔の基材の移動方向に対して上流側の端面と
    の距離が10mm以下で、かつ前記粒子の噴流の中心線
    と前記窓孔の基材の移動方向に対して下流側の端面との
    距離が25mm以上となるようにターゲットと基材との
    間に配設されてなることを特徴とする酸化物超電導導体
    の製造装置。
JP21082995A 1995-08-18 1995-08-18 酸化物超電導導体の製造方法及び製造装置 Expired - Fee Related JP3522402B2 (ja)

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