JPH0963797A - 放射光発生方法及び装置 - Google Patents

放射光発生方法及び装置

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JPH0963797A
JPH0963797A JP21363095A JP21363095A JPH0963797A JP H0963797 A JPH0963797 A JP H0963797A JP 21363095 A JP21363095 A JP 21363095A JP 21363095 A JP21363095 A JP 21363095A JP H0963797 A JPH0963797 A JP H0963797A
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JP
Japan
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light
electron beam
accelerator
radiation
magnetic field
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JP21363095A
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Inventor
Kazuo Imazaki
一夫 今崎
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Institute for Laser Technology
Original Assignee
Institute for Laser Technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自由レーザー(FEL)により電子ビームと
複数回衝突してその相互作用により高効率にγ線、X線
それ以下の極短波長の放射光を得る。 【解決手段】 加速器2で光速に近い速度に加速した電
子ビームをウィグラ6の周期磁場に導入して相互作用に
より発生する放射光を光共振器の反射ミラー5と9の間
で増幅発振させて自由電子レーザー(FEL)光を得、
その光共振器の反射ミラー5〜9間の経路内に電子蓄積
リング10の電子ビームを導いてFEL光と衝突させそ
の相互作用によりγ線、X線、それ以下の極短波長の放
射光を高効率に発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーザー光に電
子ビームを衝突させコンプトン(トムソン)散乱による
極短波長の放射光を発生させる方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザー光に電子ビームを衝突させコン
プトン散乱によりX線を発生させる装置が米国特許第4
598425号明細書により公知である。この発生装置
は、レーザー発振器の2つの反射ミラー間にレーザーを
挿置し、加速器により電子を加速して周回軌道上を周回
させ反射ミラー間を往復するレーザー光と衝突させてコ
ンプトン散乱により狭帯域のX線を発生する。
【0003】上記X線発生装置は、放射されるX線やγ
線のスペクトルが狭くモノクロであり、かつ放射方向が
前方の1/γ(γは電子ビームのローレンツ因子)の立
体角に集中するという特徴を有する。
【0004】しかし、この方式のX線発生装置は、電子
と光子の衝突断面積が極めて小さく線量を大きくできな
い。そこで、上記X線発生装置の方式を改善する試みと
して本願発明者は、先に超高反射率ミラーを用いた光共
振器(スーパーキャビィティ)に電子ビームを導入して
X線又はγ線を発生させる方法及び装置を特開平7−1
10400号公報により提案した。
【0005】上記公報によるX線又はγ線の発生方法
は、上記スーパーキャビィティ内に外部レーザー装置か
らレーザー光を送り込んでレーザー光を蓄積し、この蓄
積されたレーザー光が反射ミラーと往復する経路の収束
焦点付近で交叉するように電子ビームをスーパーキャビ
ィティに設けた通過孔から導入してレーザー光と衝突さ
せ強力なX線又はγ線を発生するというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した米
国特許のような一般的なレーザー装置の発振器内で電子
ビームとレーザー光との相互作用によりX線を発生させ
る方式の場合は、発振器内のレーザーパワーをレーザー
媒質の損傷閾値以上に上げることはできない。この損傷
閾値は、一般に比較的低く、これが実質的なレーザーパ
ワーの蓄積の増大を制限している。
【0007】先の本発明者によるX線又はγ線の発生方
法は、超高反射率ミラーによるファブリペロー方式の光
共振器を用いており上述したような制限を受けないため
上記方式のものよりはるかに高いパワの蓄積ができ、X
線又はγ線を高効率に発生するものである。しかし、パ
ルスレーザー光を蓄積するにはモード整合が困難であ
り、レーザー光導入効率が低く、加速器との同期に特殊
技術が必要である。
【0008】この発明は、上述した従来のX線やγ線な
ど極短波長の放射光の発生装置の現状に留意して、レー
ザー媒質を有しない自由電子レーザー形のレーザー光発
生部で発生したレーザー光を重畳蓄積してこれに高輝度
電子ビームを相互作用させてコンプトン散乱による極短
波長の放射光を高効率で発生する方法及び装置を提供す
ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決する手段として、加速器で光速近くの相対論的速度
に加速した電子ビームを周期磁場発生手段内に導き、周
期磁場との相互作用で発生した放射光を光共振器内に蓄
積し、蓄積された放射光の往復経路又は周回経路の一部
と交叉する経路を移動経路の一部とする電子ビームをも
う1つの加速器で光速近くの相対論的速度に加速してこ
れを上記交叉経路へ導き、上記2つの加速器を同期させ
た状態で上記放射光と交叉経路を相互作用域として衝突
させ極短波長の放射光を発生させることから成る放射光
発生方法としたのである。
【0010】上記放射光発生方法は、同じ課題を解決す
る手段としての以下のいずれかの放射光発生装置におい
て実施される。即ち第2の発明は、光共振器の対向する
反射ミラー間にレーザー光発生部と放射光発生部を設
け、レーザー光発生部は電子ビームを加速する加速器
と、この加速器で光速に近い速度に加速された電子ビー
ムを導入して周期磁場との相互作用によりコヒーレント
放射光を発生する周期磁場発生手段とから成り、放射光
発生部は第2の加速器と、この加速器で高速に近い速度
に加速された電子ビームを、光共振器の反射ミラー間で
上記コヒーレント放射光を増幅発振する経路に交差する
ように導入する手段とから成り、第2の加速器を第1の
加速器に周期駆動してコヒーレント放射光が増幅発振し
たレーザー光との相互作用により極短波長の放射光を発
生するように構成した放射光発生装置としたのである。
【0011】この放射光発生装置では、レーザー光発生
部に電子ビームを導入すると一般的な自由電子レーザー
(FELという)と同様にコヒーレント放射光を光共振
器内で反射往復させて重畳しFEL光を発振させて蓄積
する。この蓄積される放射光は蓄積により後続電子ビー
ムとの相互作用で誘導放射に至り、これがFELのレー
ザー光として蓄えられるのである。
【0012】この蓄積されたFEL光は、固定、気体、
半導体をレーザー媒質とするレーザー装置のレーザー光
とは桁違いに大きなエネルギのレーザー光であり、レー
ザー媒質がないためレーザー媒質によるレーザー損傷閾
値の制限がなく、又波長を可変とする方式のレーザー光
であるから最終的に得ようとする極短波長の放射光の波
長に対応して予め所望のFELレーザー光として調整し
ておくことができる。
【0013】このようなFEL光に対してこのFEL光
の反射往復経路の途中に放射光発生部が設けられてい
る。この放射光発生部では上記レーザー光発生部の加速
器とは独立の第2の加速器で加速された上記電子ビーム
とは別の電子ビームをFEL光と衝突させその相互作用
により極短波長の放射光、例えばX線やγ線又はそれ以
下の波長の放射光を発生させる。
【0014】この放射光の発生はコンプトン散乱に基づ
いて生じるが、この放射光を得る場合FEL光と電子ビ
ームを衝突させるだけでなく電子ビームの加速器での加
速動作、タイミングを調整して加速器同士の同期を図り
FEL光とモード整合結合された状態で電子ビームを送
り込むことにより高効率に放射光を得ることができる。
【0015】なお、光共振器は反射率が5N(99.9
99%)を超える高反射率のもので、かつ吸収率も極め
て低い(ppm)反射ミラーが使用される。
【0016】第3の発明は、第2の発明の反射光発生装
置における前記対向する反射ミラーの片側を多重反射ミ
ラーとした。このような多重反射ミラーでは反射ラミー
間に強大な光エネルギのFEL光が蓄積され、これに電
子ビームを導入するとさらに高効率、高出力の放射光が
得られる。
【0017】第4の発明の放射光発生装置とその構成が
異なっているが、放射光発生部でこの発明部を通過する
FEL光と電子ビームが衝突しその相互作用により放射
光が得られることについては第2の発明と同様である。
この発明ではさらに、電子ビームとFEL光はFEL光
が回転又は反射により伝送される各周期的な移動毎に複
数回衝突が起こり、その都度相互作用によって放射光が
発生するから、これら放射光が重畳されてさらに強力な
X線、γ線又はそれ以下の放射線が得られる。又、光と
電子ビームの衝突角度は任意に調整できることも特長で
ある。
【0018】第5の発明の放射光発生装置は、以上の各
装置とは基本的に構成が異なり、光共振器の対向する反
射ミラー間にレーザー光発生部と放射光発生部を設け、
レーザー光発生部は電子ビームを加速する加速器と、こ
の加速器で光速に近い速度に加速された電子ビームを導
入して周期磁場との相互作用によりコヒーレント放射光
を発生する周期磁場発生手段とから成り、放射光発生部
は電磁波蓄積空洞部から成り、上記電子ビームが上記空
洞部に蓄積されたコヒーレント放射光の電磁波とさらに
相互作用し異なる波長の放射光を発生するように構成し
て成る放射光発生装置としている。
【0019】この装置では加速器はレーザー光発生部と
放射光発生部に兼用されており、従って電子ビームも両
発生部で共用される。この放射光発生装置で生じる放射
光は上述した他の形成の発生装置からの放射光よりやや
長波長寄りで、軟X線から紫外線領域のものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は第1の実施形態の放
射光発生装置の概略図である。この放射光発生装置は、
レーザー光発生部Aと放射光発生部Bとから成り、それ
ぞれの主要部は反射ミラー5、9から成る光共振器の間
に設けられている。
【0021】レーザー光発生部Aは入射器1から発射さ
れた電子ビームを加速器2により光速に近い速度に加速
し、偏光電磁石3、4により軌道を曲げて周期磁場発生
手段であるウィグラ6内へ導入し、そこで周期磁場との
相互作用により放射光を発生する。
【0022】上記電子ビームは放射光とほぼ平行に進み
相互作用を終了した後もう1つの偏向電磁石4により系
外へ導出され、放射光はレーザー光として直進し反射ミ
ラー7、8により方向を変えられて最も外側の反射ミラ
ー9へ進む。上記反射ミラー5と9が光共振器を構成す
る。従って、反射ミラー5〜9間の距離は発生するレー
ザー光の波長、周期に同期し得る長さは正確に設定され
る。
【0023】放射光発生部Bは、反射ミラー8〜9間で
上記放射光が進行する軌道と交差する軌道を有する電子
ビームの蓄積リング(SR)10から成る。この放射光
発生部Bで発生する放射光は、レーザー光発生部Aで発
生する放射光が可視光領域又はそれ以上の長波長のレー
ザー光であるのに対して、10nm以下の極短波長の放
射光である。従って、この放射光にはX線又はγ線が含
まれる。
【0024】なお、この実施形態では放射光発生部Bへ
電子ビームを供給する手段として電子蓄積リング10を
用いたが、このような電子ビームが周回して蓄積される
形式でなくても、レーザー光が反射ミラー8、9間を往
復する経路と交差する経路を有する電子ビーム供給手段
であればよい。例えば、電子銃からの電子ビームを直線
加速器で加速し、その方向を偏向させて上記レーザー光
の経路に導入し、放射光発生後は経路外へ排出しビーム
ダンパで処理するようにしてもよい。
【0025】以上がこの実施形態での第1の放射光発生
系であるが、この実施形態では上記系とほぼ並置された
第2の放射光発生系が設けられている。この第2の放射
光発生系も第1のものと同様にレーザー光発生部A′と
放射光発生部B′とを備えている。
【0026】レーザー光発生部A′の構成も第1の系の
ものと同じであり、同じ部材には同じであり、同じ部材
には同じ符号にダッシュを付して示し、説明は省略す
る。但し、この第2の系では電子ビームは第1の系でレ
ーザー光を発生させた後のものを複数の偏向電磁石4、
4、4、4でウィグラー6′へ導入する点のみが異なっ
ている。
【0027】ウィグラー6′で相互作用によりレーザー
光を発生した後の電子ビームは、その後系外へ送り出さ
れ偏向磁石3により加速器2へ戻され、この電子ビーム
を減速することにより電子ビームに電界からのエネルギ
を与えて電子ビームのエネルギレベルを回復しエネルギ
を有効に利用するようにしている。放射光発生部B′も
第1の系と同じであり、電子蓄積リング10の電子ビー
ム周回経路が反射ミラー8′〜9′間のレーザー光の経
路と交差するように構成されている。なお、電子蓄積リ
ング10には電子銃11から加速器12へ電子ビームを
導きこれを周回軌道に保持する。又、電子蓄積リング1
0は第1と第2の系に共用しているが、一点鎖線で示す
陽電子蓄積リング10′を電子蓄積リング10と共に又
は単独で用いるようにしてもよい。
【0028】上記の構成とした第1の実施形態での第1
及び第2の系の放射光発生装置によりその放射光発生部
B又はB′において放射光が発生する。
【0029】加速器2で光速近くの速度に加速された電
子ビームが第1の系のウィグラー6内に導かれるとその
周期磁場との相互作用により放射光が発生するが、電子
ビームは相互作用を終えた後は偏向電磁石4により系外
へ送られ、周回して第2の系のウィグラー6内へ導かれ
る。なお、電子ビームはバンチング(集群化)した状態
で送り込まれることは言うまでもない。
【0030】ここで、再び周期磁場との相互作用により
放射光を発生した後さらに第2の系からも送り出されて
最初の偏向電磁石3へ戻される。この電磁石3で向きを
偏向された電子ビームは加速器2へ戻され、加速器2の
電界内へ逆向きに導入されるため電子ビームは減速され
電界からのエネルギが電子ビームへ与えられエネルギの
回収が行なわれる。
【0031】第1の系のウィグラー6との相互作用で発
生した放射光は反射ミラー7、8を経由し反射ミラー9
で反射された後再び反射ミラー7、8を通りウィグラー
6を通って反対側の反射ミラー5で反射される。こうし
て、光共振器の反射ミラー5と9の間を何百回となく往
復する間に、遅れてウィグラー6に次々と送り込まれる
電子ビームのタイミングを先のものと同期するように調
整して送るとその後発生する放射光と重量され次第に増
幅され自由電子レーザー光(FEL)として光共振器内
に蓄積される。
【0032】こうして光共振器内に効率よく十分にレー
ザー光をコヒーレント重量した状態で、上記レーザー光
の伝送経路と交差する電子蓄積リング10の加速器12
を制御して電子蓄積リング10内の電子ビームを上記レ
ーザー光と同期加速した状態で送り込みレーザー光と衝
突させる。
【0033】この電子ビームとレーザー光の衝突による
相互作用(コンプトン散乱)で上記レーザー光による放
射光5を効率よく発生させることができる。この放射光
fは、上記レーザー光が1〜10μm程度の波長である
とすると、1/1000μm以下のγ線又はX線領域あ
るいはそれ以下の極短波長の電磁波として得られる。
【0034】上記のような方法でX線、γ線領域以下の
極短波長領域の放射光を得る際に重要なことは、光共振
器5と9の間に蓄積されるレーザー光の周期に同期する
ように電子蓄積リング10の電子ビームを加速しレーザ
ー光路内に送り込むことである。
【0035】この実施形態の例では上記電子ビームの同
期は、FEL光を発生させるための加速器2に、電子蓄
積リング10の加速器12での送り込みタイミングや周
期などを同期調整することによって比較的容易にかつ正
確に実現することができる。
【0036】以上は第1の系のFEL発生装置と電子蓄
積リング10との組合せによる放射光の発生装置の作用
であるが、この系と並列に設けられた第2の系のFEL
発生装置と電子蓄積リング10との組合せにおいても同
様に放射光fを発生できるが、その作用については基本
的に第1の系の作用と同じである。
【0037】なお、陽電子蓄積リング10′では荷電粒
子が+電気を帯びた陽電子を蓄積しており、電気量が正
か負かの違いはあるが基本的には電子蓄積リング10の
場合と同様である。
【0038】図2は第2の実施形態の放射光発生装置の
全体概略図である。この例のレーザー光発生部Aも基本
的には第1の実施形態のものと同じFEL発生部であ
り、反射ミラー5と7′の間で増幅されるFEL光を用
いる点では同じである。同じ部材には同じ符号を付して
説明を省略する。
【0039】但し、この実施形態では反射ミラー7′で
反射されたレーザー光は反射ミラー7′より径の大なる
反射ミラー5で反射された後反射ミラー7′の外側を一
部が通過して反対側の径の大なる反射ミラー9に当り、
そこで反射された後に反射ミラーの曲率により集光され
て径の小なる反射ミラー8′に至る。この反射ミラー
8′で反射されたFEL光は再び反射ミラー9、5を介
した反射ミラー7′へ戻る。
【0040】こうして反射ミラー7′〜8′の間を何百
回となく往復してFEL光が増幅され、蓄積される。従
って、FEL光は最も長い光路は反射ミラー7′〜8′
の間であり反射ミラー5〜9の距離の約2倍の長さであ
って、これらの距離はFEL光を増幅するのに同期する
所定長さに正確に調整されることは言うまでもない。
【0041】上記反射ミラー7′〜8′の間の光路のウ
ィグラー6と反対側半部分長さの光共振器内経路に図1
の場合と同様に電子蓄積リング10の周回軌道の一部が
交差するように設定されている。従って、図1の場合と
同様に、発生するFEL光の周期、波長と同期するよう
にレーザー光発生部Aの加速器2に電子蓄積リング10
の加速器12の動作を同期させて電子蓄積リング10の
電子ビームを放射光発生部BでFELレーザー光と衝突
させると、γ線又はX線あるいはそれ以下の極短波長の
放射光が発生する。
【0042】なお、この実施形態ではFEL発生部Aは
1つの系のみを図示しているが、図1の場合と同様に2
つの系を並置するようにしてもよいことは言うまでもな
い。
【0043】図3は第3の実施形態の放射光発生装置の
全体概略図である。この例でもFELのレーザー光発生
部Aの構成は図1の場合と略同じであり、同一部材には
同一符号を付して説明を省略する。
【0044】この実施形態では、反射ミラー7、8で反
射されたFEL光は2重反射ミラー9′、9で反射され
て反対側の反射ミラー5へ戻される点が図1の場合と異
なっている。
【0045】2重反射ミラー9′、9は、共に入射レー
ザー光の焦点を中心部に生成できるように曲面を有した
反射ミラーから成る。一例として、放物面鏡、楕円鏡が
用いられる。両反射ミラー9′、9をその中心線が一致
するように対向して設け、各反射ミラー9′、9の中心
には小孔9a′、9aが設けられている。又、反射ミラ
ー9′は中心から少し離れた適宜位置に別の小孔9b′
が少し斜めに設けられている。
【0046】この2重反射ミラーの一方のミラー9′の
小孔9b′から入射されるFEL光は、小孔9b′がや
や斜めに設けられているため内部では斜めに入射されて
反対側の反射ミラー9に当り、そこで反射されたFEL
光は入射側の反射ミラー9′の元の小孔9b′の位置と
少しずれた位置へ反射される。
【0047】上記少しずれて反射されるFEL光は反射
ミラー9′と9でそれぞれ反射される毎に少しずつ反射
位置がずれ反射ミラー9′、9の球状反射面上を約1回
りして元の小孔9b′の位置に戻る。こうして小孔9
b′に戻ったFEL光は2重反射ミラー9′、9を出て
元の光経路を通り反射ミラー8、7を通って反対側の反
射ミラー5へ戻される。
【0048】上記反射ミラー5で反射されたFEL光は
再び反射ミラー7、8を通り、2重反射ミラー9′、9
の内側へと小孔9b′から入射されるが、上述したよう
に2重反射ミラー9′、9内の反射経路は少しずれて何
百回となく反射できるから、この2重反射ミラー9′、
9内には強力なエネルギのFEL光が蓄積されることに
なる。
【0049】以上のように2重反射ミラー9′、9内に
FELのレーザー光が十分蓄積された状態で反射ミラー
9′の中心位置の小孔9a′から電子ビームが入射され
る。上述したように2重反射ミラー9′、9内に入射さ
れたレーザー光は両反射ミラーで反射される毎にその中
央付近で互いに交差状態でFEL光が進行する。
【0050】従って、特に2重反射ミラー9′、9の中
央付近では高いエネルギレベルのFEL光が分布し、こ
れに上記電子ビームが進行して衝突すると、図1の場合
と同様に相互作用により、極短波長のγ線、X線などの
放射光が発生する。
【0051】次に、図4は光ファイバを用いた第4の実
施形態の全体概略図である。この例でもレーザー光発生
部Aは基本的に図1の場合と同様であり、光共振器5、
9は一般的なFEL発生装置の場合のようにウィグラー
6を間に置いて対向して設けられている。光共振器の反
射ミラー5、9には光ファイバ10が各反射ミラー5、
9の中心の小孔5a、9aに連結部材を介して接続され
ている。
【0052】反射ミラー9に接続されている光ファイバ
10は、その途中がコイル状に複数回巻かれており、こ
のコイル状部分の一部を各巻ファイバ毎に所定長さ切断
され、それぞれの切断端に続いて一対のレンズユニット
10a、10aが各巻ファイバ毎に設けられている。
【0053】なお、この実施形態では光ファイバー10
は放射光発生部Bを過ぎた後は反射ミラー5へ接続して
FEL光が周回する形式としているが、上記のように周
回形式でなく放射光発生部Bを過ぎた適当な位置で光フ
ァイバ10を切断し、その切断端に高反射薄膜コーティ
ングの反射材を設けて反射形式とすることもできる。
【0054】図示のように、光ファイバ10のコイル巻
き部分の切断端の間ではFEL光はそれぞれの端に近接
して設けたレンズユニット10a、10aによって一方
から他方の切断端へ送られるが、この切断端間に送られ
るFEL光と交差する方向に電子ビームが送られる。こ
の電子ビームは図示省略しているが図1の場合と同様に
して加速器12で同期加速されて放射光発生部Bへ送ら
れる。放射光発生部Bでは光速近くに加速された電子ビ
ームがFEL光と衝突し、その相互作用により図1の例
と同様にγ線、X線又はそれ以下の極短波長の放射光を
発生する。この実施形態ではFEL光がパルス光である
場合、レーザーのパルス間隔に光ファイバー10の1回
転分の長さを合わせておく。これにより1つの電子ビー
ムのパルスは多数回のレーザー光と相互作用し、従って
発生する放射光の強度も大きくなる。
【0055】この場合、光ファイバ10の切断端間のレ
ーザ光と電子ビームの交差する角度はレーザ光の偏向等
に合わせて最適化しておく必要がある。又、電子ビーム
のパルス間隔と光ファイバ10の1回転でのレーザ光の
伝送時間を合わせるようにしておくと同期が容易に取れ
る。
【0056】上記図3、図4の実施態様の例に対し、以
下のような変形組合せ例も採用できる。即ち、図4のF
EL発生部Aと光ファイバ10の周回経路に対し、その
途中の放射光発生部Bに代えて図3の2重反射ミラー
9′、9から成る放射光発生部Bを組合せるようにした
例である。
【0057】その作用についても、図3、図4のそれぞ
れの該当部分の作用の組合せとなり詳細な説明は省略す
る。
【0058】図5はさらに第5の実施形態の放射光発生
装置の全体概略図である。この実施形態のレーザー光発
生部Aも基本的には図1の例と同様であり、同一機能部
材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】但し、発生したFEL光の増幅方式は図示
のように図4の例と同様周回方式であり反射方式でない
点が図1の例と異なっている。
【0060】7′′、8′′はそれぞれ反射ミラーであ
るが、FEL光の周回経路における反射ミラー7′′と
8′′の間に放射光発生部B′′が設けられている。放
射光発生部B′′は、図中矢視X−Xからの断面が
(a)、(b)、(c)に示すように、2枚のフラット
な反射板10′、10′、あるいは2枚の湾曲した反射
板10′′、10′′さらに円筒状の反射筒10′′′
のいずれかの断面を有するものであり、いずれの場合
も、FEL光を複数回反射し得る長さを有する。
【0061】放射光発生部B′′において電子ビームは
その中心線上を進み、その間に入射されたFEL光と衝
突するよう内部に導入される。その他の点は基本的に他
の実施形態の場合と同じであり同じ部材には同じ符号を
付している。
【0062】以上の構成としたこの実施形態でも基本的
な作用は図4の場合と同様である。FEL光はレーザー
光発生部Aで発生し、反射ミラー9で反射された後この
反射ミラーの系外に導出され、反射ミラー7′′により
放射光発生部B′′に入り、そこで反射板10′、1
0′′、又は反射筒10′′′で複数回反射されてさら
に反射ミラー8′′へ進み、反射ミラー5により再び光
共振器の反射ミラー5〜9の経路を進む。
【0063】こうした光共振器の反射ミラー5〜9と系
外の反射ミラー7′′、8′′の経路を周回してFEL
光は光共振器内に増幅蓄積される。蓄積されるFEL光
は常に上記周回経路を循環するが、放射光発生部B′′
ではその中心線付近を電子ビームが進み上記FEL光に
衝突する。
【0064】この場合、FEL光は放射光発生部B′′
内で複数回反射して進行するため同じ電子ビームはFE
L光とその折れて進むFEL光毎に衝突し相互作用によ
って放射光を発生させ、これらが重畳されることにより
強力なγ線、X線又はそれ以下の極端波長の放射線が得
られる。
【0065】上記図5の実施態様の例についても、変形
例が採用し得る。即ち、図5のFEL発生部A及び反射
ミラー7′′、8′′に代えて、図4のFEL発生部A
及び光ファイバ10の周回経路を図5の放射光発生部
B′′と組合せた例である。
【0066】但し、この場合は光ファイバ10の端に光
学レンズを設け、反射ミラー9から射出されるレーザー
光が放射光発生部B′の右側から入射され、左側から出
たレーザー光をもう1つの光学レンズを設けた端に集光
して光ファイバ10の周回経路をレーザー光が伝送され
得るように構成しなければならない。
【0067】この変形例の作用も、図4、図5のそれぞ
れの該当部分の作用の組合せであり、説明を省略する。
【0068】図6は第6の実施形態の放射線発生装置の
全体概略図である。この実施形態のレーザー光発生部A
も基本的には図1の場合と同様であり、電子ビームを光
共振器の反射ミラー5内に導入するとウィグラー6との
相互作用によりFEL光が発生する。
【0069】上記FEL光は一般的には可視光又は遠赤
外光など比較的波長の大きいものであるが、ウィグラー
6の電磁場強度などを調整することによってcm又はm
m単位の大きな電磁波を発生させることもできる。この
比較的波長の大きいものは導波管7′′に接続された共
振キャビティに蓄積され易い。共振キャビティの空間ス
ペースのピッチに対応して波長の大きいもの程共振状態
とするのが容易だからである。
【0070】従って、共振キャビティ8′′に比較的大
きい波長の電磁波が蓄積されこれに導波管7′′の中心
を通って光速に近い速度で進行する電子ビームが衝突す
る。この電子ビームと電磁波との相互作用により上記電
磁波とは異なる波長の電磁波が発生する。この新たな電
磁波は軟X線から紫外線領域のものであり、前記図1〜
図5の例よりやや長波長の電磁波である。
【0071】
【効果】以上詳細に説明したように、この発明の放射光
発生方法は周期磁場で発生するコヒーレント放射光に電
子ビームを衝突させてコンプトン散乱に基づく相互作用
により放射光を発生させ、その際周期磁場へ導入される
電磁ビームの加速器とコヒーレント放射光に作用させる
電子ビームの加速器を同期調整するようにしたから、発
生する放射光はX線、γ線又はそれ以下の極端波長で高
効率に且つ高出力のものが得られるという利点がある。
【0072】上記方法は、第2乃至第5の発明の放射光
発生装置においてそれぞれ実施されるが、第2、第3、
第4の発明の発生装置では上記方法を確実に実施し、極
端波長の放射光が得られ、第5の発明の発生装置では上
記よりやや長波長の放射光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施態様の放射線発生装置の全体概略図
【図2】第2実施態様の放射線発生装置の全体概略図
【図3】第3実施態様の放射線発生装置の全体概略図
【図4】第4実施態様の放射線発生装置の全体概略図
【図5】第5実施態様の放射線発生装置の全体概略図
【図6】第6実施態様の放射線発生装置の全体概略図
【符号の説明】
1 入射器 2 加速器 3 偏向電磁石 4 偏向電磁石 5 反射ミラー 6 ウィグラ 7 反射ミラー 8 反射ミラー 9 反射ミラー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加速器で光速近くの相対論的速度に加速
    した電子ビームを周期磁場発生手段内に導き、周期磁場
    との相互作用で発生した放射光を光共振器内に蓄積し、
    蓄積された放射光の往復経路又は周回経路の一部と交叉
    する経路を移動経路の一部とする電子ビームをもう1つ
    の加速器で光速近くの相対論的速度に加速してこれを上
    記交叉経路へ導き、上記2つの加速器を同期させた状態
    で上記放射光と交叉経路を相互作用域として衝突させ極
    短波長の放射光を発生させることから成る放射光発生方
    法。
  2. 【請求項2】 光共振器の対向する反射ミラー間にレー
    ザー光発生部と放射光発生部を設け、レーザー光発生部
    は電子ビームを加速する加速器と、この加速器で光速に
    近い速度に加速された電子ビームを導入して周期磁場と
    の相互作用によりコヒーレント放射光を発生する周期磁
    場発生手段とから成り、放射光発生部は第2の加速器
    と、この加速器で高速に近い速度に加速された電子ビー
    ムを、光共振器の反射ミラー間で上記コヒーレント放射
    光を増幅発振する経路に交差するように導入する手段と
    から成り、第2の加速器を第1の加速器に同期駆動して
    コヒーレント放射光が増幅発振したレーザー光との相互
    作用により極短波長の放射光を発生するように構成した
    放射光発生装置。
  3. 【請求項3】 前記対向する反射ミラーの片側を多重反
    射ミラーとしたことを特徴とする請求項2に記載の放射
    光発生装置。
  4. 【請求項4】 レーザー光発生部と放射光発生部を設
    け、レーザー光発生部は複数の反射ミラーから成る光共
    振器と上記反射ミラーと反射ミラーの間に周期磁場を発
    生させ、この磁場内に導入される電子ビームとの相互作
    用でコヒーレント放射光を発生させる周期磁場発生手段
    と、この磁場発生手段に導入される電子ビームを光速に
    近い速度に加速する加速器を備え、放射光発生部は上記
    コヒーレント放射光を周回させてレーザー光発生部へ戻
    す経路内に設けられ電子ビームと複数回相互作用をさせ
    る相互作用手段と、この手段内に導入される電子ビーム
    を高速に近い速度に加速する第2の加速器とを備え、第
    2の加速器を第1の加速器に同期駆動してコヒーレント
    放射光が増幅発振されこの放射光に電子ビームを衝突さ
    せて放射光を得るように構成して成る放射光発生装置。
  5. 【請求項5】 光共振器の対向する反射ミラー間にレー
    ザー光発生部と放射光発生部を設け、レーザー光発生部
    は電子ビームを加速する加速器と、この加速器で光速に
    近い速度に加速された電子ビームを導入して周期磁場と
    の相互作用によりコヒーレント放射光を発生する周期磁
    場発生手段とから成り、放射光発生部は電磁波蓄積空洞
    部から成り、上記電子ビームが上記空洞部に蓄積された
    コヒーレント放射光の電流波とさらに相互作用し異なる
    波長の放射光を発生するように構成して成る放射光発生
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008546152A (ja) * 2005-06-02 2008-12-18 マデイ,ジョン・エム・ジェイ 光アンジュレータを使用する高効率単色x線源
JP2011029435A (ja) * 2009-07-27 2011-02-10 Institute Of Physical & Chemical Research レーザー同期方法、レーザーシステム及びポンプ・プローブ測定システム

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