JPH0959110A - チオアミド化合物及び農園芸用の有害生物防除剤 - Google Patents

チオアミド化合物及び農園芸用の有害生物防除剤

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JPH0959110A
JPH0959110A JP21776995A JP21776995A JPH0959110A JP H0959110 A JPH0959110 A JP H0959110A JP 21776995 A JP21776995 A JP 21776995A JP 21776995 A JP21776995 A JP 21776995A JP H0959110 A JPH0959110 A JP H0959110A
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JP
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compound
carbon atoms
formula
group
solvent
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JP21776995A
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English (en)
Inventor
Masanori Watanabe
正徳 渡辺
Toshifusa Tanaka
敏房 田中
Shuji Yokoyama
修司 横山
Hideaki Umeyama
英明 梅山
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、新規なチオアミド化合物を有効成
分とする殺ダニ剤,殺線虫剤,殺菌剤などを提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】 本発明のチオアミド化合物は、次式:
(1) 【化10】 (式中、R1 は炭素数1〜4個のアルキル基を有してい
てもよい炭素数3〜8個のシクロアルキル基を表す。R
2 は水素原子、炭素数1〜5個のアルコキシ基、炭素数
1〜4個のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜4個
のアルキルチオ基、炭素数1〜4個のハロアルキル基、
アリルオキシ基を表す。nは1〜5の整数を表す。)で
示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺ダニ剤,殺線虫
剤,殺菌剤などの農園芸用の有害生物防除剤として有用
である新規なチオアミド化合物に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】本発明のチオアミド化
合物は新規な化合物であることから、殺ダニ剤,殺線虫
剤,殺菌剤として有用であることについても知られてい
なかった。従って、本発明の課題は、新規なチオアミド
化合物及びそれを有効成分とする殺ダニ剤,殺線虫剤,
殺菌剤などを提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために検討した結果、新規なチオアミド化
合物が優れた殺ダニ,殺線虫,殺菌活性を有することを
見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は次
の通りである。第1の発明は、次式(1):
【0004】
【化4】
【0005】(式中、R1 は炭素数1〜4個のアルキル
基を有していてもよい炭素数3〜8個のシクロアルキル
基を表す。R2 は水素原子、炭素数1〜5個のアルコキ
シ基、炭素数1〜4個のアルキル基、ハロゲン原子、炭
素数1〜4個のアルキルチオ基、炭素数1〜4個のハロ
アルキル基、アリルオキシ基を表す。nは1〜5の整数
を表す。)で示されるチオアミド化合物に関するもので
ある。第2の発明は、次式(2):
【0006】
【化5】
【0007】(式中、R1 ,R2 及びnは、前記の記載
と同義である。)で示される化合物と硫黄化試薬とを、
溶媒中で反応させることを特徴とする前記の式(1)で
示されるチオアミド化合物の製法に関するものである。
第3の発明は、次式(3):
【0008】
【化6】
【0009】(式中、R1 ,R2 及びnは、前記の記載
と同義である。)で示される化合物と無機水硫化物塩と
を、溶媒中で反応させることを特徴とする前記の式
(1)で示されるチオアミド化合物の製法に関するもの
である。第4の発明は、前記の式(1)で示されるチオ
アミド化合物を有効成分とする農園芸用の有害生物防除
剤に関するもの。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。目的化合物及び原料化合物について 目的化合物である新規なチオアミド化合物(1)及びそ
の製造原料〔化合物(2)及び(3)〕で表したR1
2 及びnは、次の通りである。 〔R1 〕R1 としては、炭素数3〜8個のシクロアルキ
ル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ま
しくは炭素数が3〜6個のものであり;さらに好ましく
はシクロプロピル基、シクロブチル基である。シクロア
ルキル基は、置換基として炭素数1〜4個のアルキル基
を有していてもよい。置換基のアルキル基としては、直
鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好まし
くはメチル基である。アルキル基の置換位置は特に限定
されないが;置換基を有するシクロアルキル基は、好ま
しくはシクロプロピル基である。
【0011】〔R2 〕R2 としては、水素原子,炭素数
1〜5個のアルコキシ基,炭素数1〜4個のアルキル
基,ハロゲン原子,炭素数1〜4個のアルキルチオ基,
炭素数1〜4個のハロアルキル基,アリルオキシ基を挙
げることができる。アルコキシ基としては、直鎖状又は
分岐状のものを挙げることができるが、好ましくはメト
キシ基,エトキシ基である。アルコキシ基の置換位置は
特に限定されないが、nが1の場合には好ましくは4−
位であり;nが2の場合には3−位及び5−位である。
アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げる
ことができるが、好ましくはメチル基である。アルキル
基の置換位置は特に限定されないが、nが1の場合には
好ましくは3−位である。
【0012】ハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素
原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができる
が、好ましくは塩素原子,フッ素原子である。ハロゲン
原子の置換位置は特に限定されないが、nが1の場合に
は好ましくは3−位又は4−位である。アルキルチオ基
としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができ
るが、好ましくはメチルチオ基である。アルキルチオ基
の置換位置は特に限定されないが、nが1の場合には好
ましくは3−位である。ハロアルキル基としては、直鎖
状又は分岐状のものを挙げることができる。ハロアルキ
ル基におけるハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素
原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができる
が、好ましくはフッ素原子である。
【0013】ハロアルキル基におけるアルキル基として
は、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが、
好ましくはメチル基である。ハロアルキル基として最も
好ましいものは、トリフルオロメチル基である。ハロア
ルキル基の置換位置は特に限定されないが、nが1の場
合には好ましくは4−位である。シアノ基の置換位置は
特に限定されないが、nが1の場合には好ましくは4−
位である。アリルオキシ基の置換位置は特に限定されな
いが、nが1の場合には好ましくは4−位である。nは
1〜5の整数を表すが;好ましくは1又は2である。
【0014】化合物(1)としては、前記の各種の置換
基を組み合わせたものを挙げることができるが、薬効の
面から好ましいものは、次の通りである。 (a) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2)nが3−(ハロゲン原子)又は4−(ハロゲン原
子)である化合物。 (b) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2)nが4−(炭素数1〜5個のアルキル基)又は
3,5−ジ(炭素数1〜5個のアルキル基)である化合
物。 (c) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2)nが水素原子である化合物。 (d) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2)nが3−(炭素数1〜4個のアルキルチオ基)で
ある化合物。
【0015】(e) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキ
ル基であり、(R2)nが4−(シアノ基)である化合
物。 (f) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2)nが4−(アリルオキシ基)である化合物。 (g) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2)nが3−(炭素数1〜4個のアルキル基)又は4
−(炭素数1〜4個のアルキル基)である化合物。 (h) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
2 が4−(炭素数1〜4個のハロアルキル基)である
化合物。 (i) R1 が炭素数3〜8個のシクロアルキル基であり、
(R2 )nが3−(炭素数1〜4個のハロアルキル基)
−4−(ハロゲン原子)である化合物。
【0016】これらの好ましい組み合わせからなる(a)
〜(i) で示した化合物(1)のR1,R2 及びnとして
は、前記の説明箇所で示した好ましいもの、さらに好ま
しいものを例示することができる。これらの具体的な化
合物(1)としては、後述の表1〜3中に記載した化学
式と物性とで示した化合物1〜44を挙げることができ
る。
【0017】化合物(1)は、以下に示す合成法1又は
2によって合成することができる。 〔合成法1〕化合物(1)は、通常、アメリカ化学協会
73,4988(1951)、同誌74,6295
(1952)又はTetrahedron35,133
9(1979)に記載の方法で、化合物(2)と硫黄化
試薬とを溶媒中で反応させることによって製造すること
ができる。この反応は、触媒の存在下で促進させること
ができる。
【0018】
【化7】
【0019】(式中、R1 ,R2 及びnは、前記の記載
と同義である。) 硫黄化試薬としては、例えば、五硫化リン,ローソン試
薬を挙げることができ溶媒の種類としては、本反応に直
接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベ
ンゼン,トルエン,キシレン,メチルナフタリン,石油
エーテル,リグロイン,ヘキサン,クロルベンゼン,ジ
クロルベンゼン,塩化メチレン,クロロホルム,シクロ
ヘキサンのような塩素化された又はされていない芳香
族,脂肪族,脂環式の炭化水素類;ジエチルエーテル,
テトラヒドロフラン,ジオキサンなどのようなエーテル
類;アセトニトリル,プロピオニトリルなどのようなニ
トリル類;トリエチルアミン,ピリジン,N,N−ジメ
チルアニリンなどのような有機塩基;ジメチルスルホキ
シド;ヘキサメチルホスホリックトリアミド;前記溶媒
の混合物を挙げることができる。
【0020】溶媒の使用量は、化合物(2)が0.1〜
80重量%になるようにして使用することができるが;
0.1〜40重量%が好ましい。触媒としては、例え
ば、炭酸ナトリウムのような無機塩基;トリエチルアミ
ン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ノルマルブ
チルリチウムのような有機塩基;エタノールのようなア
ルコール類を挙げることができる。反応温度は、使用す
る溶媒の沸点以下である限り特に限定されないが;好ま
しくはその溶媒の沸点付近である。反応時間は、前記の
濃度,温度によって変化するが;0.5〜48時間であ
り:好ましくは1〜12時間である。原料化合物の使用
量は、化合物(2)に対して硫黄化試薬が0.2〜2倍
モルであるが;好ましくは0.25〜1倍モルである。
【0021】化合物(2)は、新実験化学講座,14
巻,II,1143頁(丸善)に記載の方法に準じて、シ
クロプロピルカルボニルクロライドと相当するアミンと
をトリエチルアミン,ピリジンのような有機塩基又は水
素化ナトリウムのような塩基の存在下、ジクロロメタ
ン,クロロホルム又はテトラヒドロフランなどの溶媒中
で、必要に応じて加熱反応させることによって製造する
ことができる。化合物(2)としては、例えば、後述の
表1〜3中に示した化合物1〜44に対応した各置換基
の種類からなる化合物(2)〔化合物(2)1 〜(2)
44と称する。例えば、化合物(2)1 は、化合物(2)
で示される式におけるR1 がシクロプロピルであり、
(R2 )n が3−メトキシである。〕などを挙げること
ができる。 〔合成法2〕化合物(1)は、次に示すように、化合物
(3)と無機水硫化物塩とを溶媒中で反応させることに
よって製造することができる。
【0022】
【化8】
【0023】(式中、R1 ,R2 及びnは、前記の記載
と同義である。) 溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであ
れば特に限定されず、例えば、ベンゼン,トルエン,キ
シレン,メチルナフタリン,石油エーテル,リグロイ
ン,ヘキサン,クロルベンゼン,ジクロルベンゼン,塩
化メチレン,クロロホルム,シクロヘキサンのような塩
素化された又はされていない芳香族,脂肪族,脂環式の
炭化水素類;ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,
ジオキサンなどのようなエーテル類;N,N−ジメチル
ホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのよ
うなアミド類;アセトニトリル,プロピオニトリルなど
のようなニトリル類;トリエチルアミン,ピリジン,
N,N−ジメチルアニリンなどのような有機塩基;1,
3−ジメチル−2−イミダゾリドン;ジメチルスルホキ
シド;前記溶媒の混合物を挙げることができる。
【0024】溶媒の使用量は、化合物(3)が1〜80
重量%になるようにして使用することができるが;1〜
50重量%が好ましい。反応温度は、使用する溶媒の沸
点以下である限り特に限定されないが;好ましくは室温
である。反応時間は、前記の濃度,温度によって変化す
るが;0.5〜48時間であり:好ましくは1〜12時
間である。原料化合物の使用量は、化合物(3)に対し
て無機水硫化物塩が0.8〜10倍モルであるが;好ま
しくは1〜5倍モルである。化合物(3)としては、市
販品又はJournal of ChemicalSo
ciety,195(1945)、Organic S
ynthesis26,97(1946)に記載の方法
に準じて製造したものを使用することができる。
【0025】化合物(3)としては、例えば、後述の表
1〜3中に示した化合物1〜44に対応した各置換基の
種類からなる化合物(3)〔化合物(3)1 〜(3)44
と称する。例えば、化合物(3)1 は、化合物(3)で
示される式におけるR1 がシクロプロピルであり、(R
2 )n が3−メトキシである。〕などを挙げることがで
きる。以上のようにして製造された目的の化合物(1)
は、反応終了後、抽出,濃縮,濾過などの通常の後処理
を行い、必要に応じて再結晶,各種クロマトグラフィー
などの公知の手段で適宜精製することができる。化合物
(1)としては、例えば、後述の表1〜3中に示した化
合物1〜44などを挙げることができる。
【0026】農園芸用の有害生物防除剤 〔防除効果〕本発明の化合物(1)で防除効果が認めら
れる農園芸における有害生物としては、農園芸害虫〔例
えば、ダニ目(ハダニ科のミカンハダニ,ナミハダニな
ど、フシダニ科のミカンサビダニなど)〕、土壌中の線
虫類(例えば、ネコブセンチュウ,マツノザイセンチュ
ウなど)、ネダニなどを挙げることができ、また、農園
芸病原菌(例えば、キュウリ立枯病菌,キュウリ菌核病
菌,キュウリ苗立枯病菌,イネ紋枯病菌,キュウリべと
病菌,イネいもち病菌,大麦ムギうどんこ病菌,コムギ
赤さび病菌,トマト疫病菌など)を挙げることができ
る。
【0027】〔有害生物防除剤〕本発明の農園芸用の有
害生物防除剤は、特に、殺ダニ・殺線虫・殺菌効果が顕
著であり、化合物(1)の1種以上を有効成分として含
有するものである。化合物(1)は、単独で使用するこ
ともできるが、通常は常法によって、担体,界面活性
剤,分散剤,補助剤などを配合(例えば、粉剤,乳剤,
微粒剤,粒剤,水和剤,油性の懸濁液,エアゾールなど
の組成物として調製する)して使用することが好まし
い。
【0028】担体としては、例えば、タルク,ベントナ
イト,クレー,カオリン,ケイソウ土,ホワイトカーボ
ン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素な
どの固体担体;炭化水素(ケロシン,鉱油など)、芳香
族炭化水素(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)、塩
素化炭化水素(クロロホルム,四塩化炭素など)、エー
テル類(ジオキサン,テトラヒドロフランなど)、ケト
ン類(アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンな
ど)、エステル類(酢酸エチル,エチレングリコールア
セテート,マレイン酸ジブチルなど)、アルコール類
(メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコール
など)、極性溶媒(ジメチルホルムアミド,ジメチルス
ルホキシドなど)、水などの液体担体;空気,窒素,炭
酸ガス,フレオンなどの気体担体(この場合には、混合
噴射することができる)などを挙げることができる。
【0029】本剤の動植物への付着,吸収の向上,薬剤
の分散,乳化,展着などの性能を向上させるために使用
できる界面活性剤や分散剤としては、例えば、アルコー
ル硫酸エステル類,アルキルスルホン酸塩,リグニンス
ルホン酸塩,ポリオキシエチレングリコールエーテルな
どを挙げることができる。そして、その製剤の性状を改
善するためには、例えば、カルボキシメチルセルロー
ス,ポリエチレングリコール,アラビアゴムなどを補助
剤として用いることができる。本剤の製造では、前記の
担体,界面活性剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的
に応じて、各々単独で又は適当に組み合わせて使用する
ことができる。本発明の化合物(1)を製剤化した場合
の有効成分濃度は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤
では通常0.3〜25重量%,水和剤では通常1〜90
重量%,粒剤では通常0.5〜5重量%,油剤では通常
0.5〜5重量%,エアゾールでは通常0.1〜5重量
%である。これらの製剤を適当な濃度に希釈して、それ
ぞれの目的に応じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散
布するか、又は直接施用することによって各種の用途に
供することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定す
るものではない。 実施例1〔化合物(1)の合成〕 (1) N−(4−メトキシ)フェニルシクロプロパンカル
ボックスチオアミド(化合物20)の合成 合成法1に記載の方法によって、化合物(1)を合成し
た。N−(4−メトキシ)フェニルシクロプロパンカル
ボキサミド(276g、1.45mol)をトルエン
(5L)に加熱溶解し、ローソン試薬(195g、0.
48mol)を加え、4時間加熱還流した。この反応液
を室温まで戻し、MS−Gel D−150−60A
(200g)を加えて2時間攪拌した。得られた反応液
を、トルエンに馴染ませたMS−Gel D−150−
60A(200g)を載せたグラスフィルター(G2メ
ッシュ)を通し、温トルエン(3L)でシリカゲルを2
回洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて減圧留去して、結
晶が析出し始めたところで留去を止め、ヘキサン(1
L)を加えて結晶を析出させた。この結晶を濾取し、ヘ
キサンで洗浄した後に乾燥することによって、淡黄色針
状である目的化合物を255g得た。
【0031】(2) N−(4−エトキシ)フェニルシクロ
プロパンカルボックスチオアミド(化合物16)の合成 合成法1に記載の方法によって、化合物(1)を合成し
た。N−(4−エトキシ)フェニルシクロプロパンカル
ボキサミド(80g、0.39mol)をトルエン(1
L)に加熱溶解し、粉状の五硫化リン(34.7g、
0.078mol)を徐々に加え、4時間加熱還流し
た。この反応液を室温まで戻して2時間静置した後、油
状の残渣が混入しないように反応溶液をデカンテーショ
ンし、トルエンに馴染ませたMS−Gel D−150
−60A(80g)を載せたグラスフィルター(G2メ
ッシュ)を通し、温トルエン(1L)でシリカゲルを2
回洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて減圧留去して、結
晶が析出し始めたところで留去を止め、ヘキサン(0.
2L)を加えて結晶を析出させた。この結晶を濾取し、
ヘキサンで洗浄した後に乾燥することによって、淡黄色
針状である目的化合物を42g得た。
【0032】(3) 表1〜3中のその他の化合物(1)の
合成 前記(1) 〜(2) に記載の方法に準じて、表1〜3中のそ
の他の化合物(1)を合成した。以上のようにした合成
した化合物とその物性を表1〜6に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】実施例2〔製剤の調製〕 (1) 粒剤の調製 化合物1を5重量部,ベントナイト35重量部,タルク
57重量部,ネオペレックスパウダー(商品名;花王株
式会社製)1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ2重
量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混練し
た後、造粒、乾燥して粒剤を得た。
【0040】(2) 水和剤の調製 化合物1を10重量部,カオリン70重量部,ホワイト
カーボン18重量部,ネオペレックスパウダー(商品
名;花王株式会社製)1.5重量部及びデモール(商品
名;花王株式会社製)0.5重量部とを均一に混合し、
次いで粉砕して水和剤を得た。
【0041】(3) 乳剤の調製 化合物1を20重量部及びキシレン70重量部に、トキ
サノン(商品名;三洋化成工業製)10重量部を加えて
均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0042】(4) 粉剤の調製 化合物1を5重量部,タルク50重量部及びカオリン4
5重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0043】実施例3〔効力試験〕 (1) ナミハダニ卵に対する効力試験 実施例2に準じて調製した表1〜3に示す化合物(1)
の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で30
0ppmに希釈し、これらの各薬液中に5頭のナミハダ
ニ雌成虫を24時間寄生産卵させた後に成虫を除去した
各インゲン葉片(直径20mm)を15秒間づつ浸漬し
た。次に、これらの各葉片を25℃の定温室に放置し、
6日後に各葉片における孵化幼虫数を数えて殺卵率を求
めた。殺卵効果の評価は、殺卵率の範囲によって、4段
階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80
未満〜60%,D:60%未満)で示した。なお、特開
昭62−294660号公報に記載された次式(A):
【0044】
【化9】
【0045】で示される比較化合物Aを、化合物(1)
の場合と同様に検討し、これを比較例とした。これらの
結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
【0047】(2) サツマイモネコブセンチュウに対する
効力試験 実施例2に準じて調製した表1〜3に示す化合物(1)
の各水和剤を水で30ppmに希釈した。試験管にこの
薬液を0.5ml入れ、さらにサツマイモネコブセンチ
ュウの2期幼虫(孵化24時間以内)を30〜40頭含
む液を0.5ml入れた。次に、25℃の定温室に放置
し、2日後に顕微鏡(40倍視野)で生死虫数を数えて
殺センチュウ率を求めた。殺センチュウ効果の評価の結
果は、殺センチュウ率の範囲によって、4段階(A:1
00%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60
%,D:60%未満)で示した。これらの結果を表8に
示す。
【0048】
【表8】
【0049】(3) キュウリ立枯病菌に対する抗菌試験 表1〜3に示す化合物(1)のアセトン溶液を調製し
た。この溶液をポテトデキストロース寒天培地(溶解し
た日水製薬製のPDA培地)に20μg/mlとなるよ
うに混和してシャーレ(直径9cm)に流し込むことに
よって平板培地を作成した。この平板培地の表面に、P
DA培地で前培養したキュウリ立枯病菌(ピシウム)の
菌叢周辺部分から小切片を調製し置床し、25℃の培養
器で4日間培養した。培養後、成育した菌叢の直径と,
対照として化合物(1)を添加しなかった培地での菌叢
の直径を計測し、次の数式を用いて化合物(1)の菌叢
成育阻害率を求めた。
【0050】
【数1】
【0051】薬剤効果の評価は、前記の菌叢成育阻害率
から、6段階(5:阻害率が100%、4:阻害率が9
9%未満〜95、3:阻害率が95%未満〜81、2:
阻害率が81%未満〜60、1:阻害率が60%未満〜
30、0:防除率が30%未満)で示した。なお、前記
の(1) に示した比較化合物Aを、化合物(1)の場合と
同様に検討し、比較例とした。その結果を表9に示す。
【0052】
【表9】
【0053】(4) キュウリ菌核病菌に対する抗菌試験 薬剤効果の評価は、前記の(3) と同様にして、キュウリ
立枯病菌の代わりにキュウリ菌核病菌を用いて、その菌
叢成育阻害率を求めることによって調査した。その結果
を表10に示す。
【0054】
【表10】
【0055】(5) キュウリ苗立枯病菌に対する抗菌試験 薬剤効果の評価は、前記の(3) と同様にして、キュウリ
立枯病菌の代わりにキュウリ苗立枯病菌(リゾクトニ
ア)を用いて、その菌叢成育阻害率を求めることによっ
て調査した。その結果を表11に示す。
【0056】
【表11】
【0057】(6) イネ紋枯病菌に対する抗菌試験 薬剤効果の評価は、前記の(3) と同様にして、キュウリ
立枯病菌の代わりにイネ紋枯病菌を用いて、その菌叢成
育阻害率を求めることによって調査した。その結果を表
12に示す。
【0058】
【表12】
【0059】(7) キュウリべと病に対する防除効力試験 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり1本のキ
ュウリ(品種:相模半白)を育成し、1.5葉期の幼植
物体に、表1〜3に示した目的化合物(1)のアセトン
溶液又は実施例2に準じて調製した水和剤を、界面活性
剤(0.01%)を含む水で200ppmに希釈して、
1鉢あたり20mlで散布した。散布後、2日間ガラス
温室で栽培し、次いで、キュウリべと病菌(Pseudopero
nospora cubensis)の遊走子嚢を罹病葉から調製し、こ
れを植物葉の裏面にまんべんなく噴霧接種した。接種
後、1日間20℃で暗黒下に保った後、5日間ガラス温
室内で育成し、第一葉に現れたキュウリべと病病斑の程
度を調査した。薬剤効果の評価は、無処理区の病斑の程
度と比較して、6段階(0:全体が罹病、1:病斑面積
が60%程度、2:病斑面積が40%程度、3:病斑面
積が20%程度、4:病斑面積が10%以下、5:病斑
無し)で示した。なお、前記の(1) に示した比較化合物
Aを、化合物(1)の場合と同様に検討し、これを比較
例とした。その結果を表13に示す。
【0060】
【表13】
【0061】(8) イネいもち病に対する防除効力試験
(予防効果) 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本の
イネ(品種:日本晴)を育成し、2.5葉期の幼植物体
に、表1〜3で示した目的化合物(1)のアセトン溶液
又は実施例2に準じて調製した各水和剤を、界面活性剤
(0.01%)を含む水で40ppmに希釈して、1鉢
あたり20mlづつ散布した。散布後、2日間ガラス温
室で栽培し、次いで、罹病葉から調製したイネいもち病
菌(Pyricularia oryzae)の分生胞子懸濁液を植物葉に
均一に噴霧接種した。接種後、4日間25℃湿室内で育
成し、葉に現れたイネいもち病病斑の程度を調査した。
その結果を、前記の(7) に記載した6段階の評価方法
で、表14で示す。
【0062】
【表14】
【0063】(9) オオムギうどんこ病に対する防除効力
試験(予防効果) 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本づ
つオオムギ(品種:黒ムギ)を育成し、1.5葉期の幼
植物体に、表1〜3で示した目的化合物(1)のアセト
ン溶液又は実施例2に準じて調製した各水和剤を、界面
活性剤(0.01%)を含む水で各々500ppmに希
釈して、これらの各薬液を1鉢あたり20mlづつ散布
した。これらを2日間ガラス温室で栽培し、次いで、オ
オムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis )の分生胞子
を罹病葉から集め、これを各植物体の上からまんべんな
く振りかけて接種した。次に、これらを1週間ガラス温
室内で育成し、各第一葉に現れたオオムギうどんこ病病
斑の程度を調査した。その結果を、前記の(7) に記載し
た6段階の評価方法で、表15で示す。
【0064】
【表15】
【0065】(10)コムギ赤さび病に対する防除効力試験
(予防効果) 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本づ
つコムギ(品種:コブシコムギ)を育成し、1.5葉期
の幼植物体に、表1〜3で示した目的化合物(1)の1
%アセトン溶液又は実施例2に準じて調製した水和剤
を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppm
に希釈して、1鉢あたり20mlで散布した。散布後、
2日間ガラス温室で栽培し、次いで、コムギ赤さび病菌
(Puccinia recondita)の胞子懸濁液(7×104 胞子
/ml)を植物体に均一に噴霧接種した。接種後、1週
間ガラス温室内で育成し、第一葉に現れたコムギ赤さび
病病斑の程度を調査した。その結果を、前記の(7) に記
載した6段階の評価方法で、表16で示す。
【0066】
【表16】
【0067】
【発明の効果】本発明の新規なチオアミド化合物は、殺
ダニ,殺線虫,殺菌などの優れた効果を有するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅山 英明 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(1): 【化1】 (式中、R1 は炭素数1〜4個のアルキル基を有してい
    てもよい炭素数3〜8個のシクロアルキル基を表す。R
    2 は水素原子、炭素数1〜5個のアルコキシ基、炭素数
    1〜4個のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜4個
    のアルキルチオ基、炭素数1〜4個のハロアルキル基、
    アリルオキシ基を表す。nは1〜5の整数を表す。)で
    示されるチオアミド化合物。
  2. 【請求項2】 次式(2): 【化2】 (式中、R1 ,R2 及びnは、請求項1の記載と同義で
    ある。)で示される化合物と硫黄化試薬とを、溶媒中で
    反応させることを特徴とする請求項1の式(1)で示さ
    れるチオアミド化合物の製法。
  3. 【請求項3】 次式(3): 【化3】 (式中、R1 ,R2 及びnは、請求項1の記載と同義で
    ある。)で示される化合物と無機水硫化物塩とを、溶媒
    中で反応させることを特徴とする請求項1の式(1)で
    示されるチオアミド化合物の製法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の式(1)で示されるチオ
    アミド化合物を有効成分とする農園芸用の有害生物防除
    剤。
JP21776995A 1995-08-25 1995-08-25 チオアミド化合物及び農園芸用の有害生物防除剤 Pending JPH0959110A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6221862B1 (en) 1997-10-14 2001-04-24 Bayer Aktiengesellschaft Microbicide 1,4,2-dioxazine derivatives

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