JPH0953183A - セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法 - Google Patents
セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法Info
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- JPH0953183A JPH0953183A JP23197095A JP23197095A JPH0953183A JP H0953183 A JPH0953183 A JP H0953183A JP 23197095 A JP23197095 A JP 23197095A JP 23197095 A JP23197095 A JP 23197095A JP H0953183 A JPH0953183 A JP H0953183A
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- ceramic
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 メッキ膜の密着強度及びQの双方を大きくで
きる、セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法を
提供する。 【解決手段】 セラミック製部品の電極用メッキ膜の本
形成方法は、無電解メッキ法を用いてセラミック製の被
加工体に電極用メッキ膜を形成する際に、被加工物にエ
ッチングを施して表面を粗化する表面粗化工程(3)に
引き続いて、被加工物に触媒を付与するキャタライジン
グ工程工程(5)、被加工物に付与した触媒を活性化す
るアクセレーティング工程(7)及び酸洗浄工程(9)
からなる一連の工程を少なくとも一回実施し、次いで、
被加工物に触媒を付与するキャタライジング工程工程、
被加工物に付与した触媒を活性化するアクセレーティン
グ工程及び無電解メッキ法を用いて被加工物に電極用の
メッキ膜を形成するメッキ膜形成工程を実施する。
きる、セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法を
提供する。 【解決手段】 セラミック製部品の電極用メッキ膜の本
形成方法は、無電解メッキ法を用いてセラミック製の被
加工体に電極用メッキ膜を形成する際に、被加工物にエ
ッチングを施して表面を粗化する表面粗化工程(3)に
引き続いて、被加工物に触媒を付与するキャタライジン
グ工程工程(5)、被加工物に付与した触媒を活性化す
るアクセレーティング工程(7)及び酸洗浄工程(9)
からなる一連の工程を少なくとも一回実施し、次いで、
被加工物に触媒を付与するキャタライジング工程工程、
被加工物に付与した触媒を活性化するアクセレーティン
グ工程及び無電解メッキ法を用いて被加工物に電極用の
メッキ膜を形成するメッキ膜形成工程を実施する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック製部品
の電極用メッキ膜の形成方法に関し、更に詳細には高い
Qと密着強度とを備えた電極用メッキ膜をセラミック製
の被加工物に形成できるようにしたセラミック製部品の
電極用メッキ膜の形成方法に関するものである。
の電極用メッキ膜の形成方法に関し、更に詳細には高い
Qと密着強度とを備えた電極用メッキ膜をセラミック製
の被加工物に形成できるようにしたセラミック製部品の
電極用メッキ膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】誘電体セラミック或いは圧電体セラミッ
ク等のセラミック応用部品は、現在、盛んに使用されて
いる。例えば、チタン酸バリウム等の誘電体セラミック
は、誘電体フィルタの主要部品を、或いはチタン酸ジル
コン酸鉛(PZT)等の圧電体セラミックは、圧電アク
チュエータの主要部品をそれぞれ構成している。ところ
で、セラミック応用部品の外部電極は、スクリーン印刷
等による焼付法に代わって、量産性に富み、かつコスト
面でも有利な無電解メッキ法が近年一般的になってい
る。
ク等のセラミック応用部品は、現在、盛んに使用されて
いる。例えば、チタン酸バリウム等の誘電体セラミック
は、誘電体フィルタの主要部品を、或いはチタン酸ジル
コン酸鉛(PZT)等の圧電体セラミックは、圧電アク
チュエータの主要部品をそれぞれ構成している。ところ
で、セラミック応用部品の外部電極は、スクリーン印刷
等による焼付法に代わって、量産性に富み、かつコスト
面でも有利な無電解メッキ法が近年一般的になってい
る。
【0003】図3を参照して、従来の無電解メッキ法に
よるセラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法の工
程を説明する。図3はセラミック製部品の無電解メッキ
法による従来の電極形成方法の工程フローチャートであ
る。セラミック製の被加工物は、図3に示すように、
(1)アルカリ洗浄を施して、被加工物の表面から油脂
等の汚染物を取り除くアルカリ脱脂工程、(2)アルカ
リ脱脂工程で使用したアルカリを被加工物の表面から水
洗除去する第1次水洗工程、(3)エッチング液により
被加工物のセラミック表面をエッチングして表面を粗く
粗化し、アンカー効果によりメッキ膜の密着性を高める
エッチング工程、(4)被加工物に超音波を作用させつ
つエッチング工程で使用したエッチング液をセラミック
表面から水洗除去し、残留エッチング液によるメッキ膜
の腐食を防止する第2次水洗工程、(5)被加工物を触
媒液に接触させてメッキの核となる触媒をセラミック表
面に付与するキャタライジング工程、(6)セラミック
表面から過剰の触媒を水洗除去する第3次水洗工程、
(7)被加工物を触媒活性化液に接触させてキャタライ
ジング工程で付与した触媒を活性化するアクセレーティ
ング工程、(8)セラミック表面から触媒活性化液を水
洗除去する水洗工程を、順次、実施し、最後に無電解メ
ッキ法により電極用メッキ膜を形成している(10)。
尚、水洗工程は、被加工物を洗浄して薬剤を除去し、各
工程間で薬剤同士が汚染するのを防止するためにも、実
施されている。
よるセラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法の工
程を説明する。図3はセラミック製部品の無電解メッキ
法による従来の電極形成方法の工程フローチャートであ
る。セラミック製の被加工物は、図3に示すように、
(1)アルカリ洗浄を施して、被加工物の表面から油脂
等の汚染物を取り除くアルカリ脱脂工程、(2)アルカ
リ脱脂工程で使用したアルカリを被加工物の表面から水
洗除去する第1次水洗工程、(3)エッチング液により
被加工物のセラミック表面をエッチングして表面を粗く
粗化し、アンカー効果によりメッキ膜の密着性を高める
エッチング工程、(4)被加工物に超音波を作用させつ
つエッチング工程で使用したエッチング液をセラミック
表面から水洗除去し、残留エッチング液によるメッキ膜
の腐食を防止する第2次水洗工程、(5)被加工物を触
媒液に接触させてメッキの核となる触媒をセラミック表
面に付与するキャタライジング工程、(6)セラミック
表面から過剰の触媒を水洗除去する第3次水洗工程、
(7)被加工物を触媒活性化液に接触させてキャタライ
ジング工程で付与した触媒を活性化するアクセレーティ
ング工程、(8)セラミック表面から触媒活性化液を水
洗除去する水洗工程を、順次、実施し、最後に無電解メ
ッキ法により電極用メッキ膜を形成している(10)。
尚、水洗工程は、被加工物を洗浄して薬剤を除去し、各
工程間で薬剤同士が汚染するのを防止するためにも、実
施されている。
【0004】セラミック表面に形成したメッキ膜の良否
を評価する因子として、 (1)メッキ膜の密着強度 (2)メッキ膜のQ(=1/導体損失) の二つが挙げられ、メッキ膜の密着強度及びQが大きい
程、成膜されたメッキ膜が良好であると評価できる。
を評価する因子として、 (1)メッキ膜の密着強度 (2)メッキ膜のQ(=1/導体損失) の二つが挙げられ、メッキ膜の密着強度及びQが大きい
程、成膜されたメッキ膜が良好であると評価できる。
【0005】密着強度を大きくするには、セラミック表
面をより深くエッチングすること、即ちエッチングの度
合いを大きくすることが必要で、エッチング工程におい
て、(1)エッチング液の濃度を高くすること、(2)
エッチング液の温度を上げること、(3)エッチング時
間を長くすること等によりエッチングの度合いを大きく
することが可能である。図4に示すエッチング時間と密
着強度との関係に基づき、通常は、エッチング時間を長
くすることにより、エッチングの度合いを大きくして所
望の密着強度を得ている。
面をより深くエッチングすること、即ちエッチングの度
合いを大きくすることが必要で、エッチング工程におい
て、(1)エッチング液の濃度を高くすること、(2)
エッチング液の温度を上げること、(3)エッチング時
間を長くすること等によりエッチングの度合いを大きく
することが可能である。図4に示すエッチング時間と密
着強度との関係に基づき、通常は、エッチング時間を長
くすることにより、エッチングの度合いを大きくして所
望の密着強度を得ている。
【0006】ところで、エッチング時間を長くしてセラ
ミック表面をより深く粗化し、密着強度を上げようとす
ると、導体損失が増加するために、通常、メッキ膜のQ
が低下する。図5は、エッチングとQとの関係を示すグ
ラフである。従って、大きなQを得るためにはエッチン
グ時間を短くすることが必要であり、一方、密着強度を
大きくするためにはエッチング時間を長くすることが必
要であるから、密着強度を大きくすることと、Qを大き
くすることとは二律背反の関係にある。図6を参照して
説明すると、理論的に最短のエッチング時間は、所要密
着強度(図6でP1点)を得ることが出来るエッチング
時間であって、図6で言えばT1点である。図6は、エ
ッチング時間と密着強度及びQを合わせて表示したグラ
フである。
ミック表面をより深く粗化し、密着強度を上げようとす
ると、導体損失が増加するために、通常、メッキ膜のQ
が低下する。図5は、エッチングとQとの関係を示すグ
ラフである。従って、大きなQを得るためにはエッチン
グ時間を短くすることが必要であり、一方、密着強度を
大きくするためにはエッチング時間を長くすることが必
要であるから、密着強度を大きくすることと、Qを大き
くすることとは二律背反の関係にある。図6を参照して
説明すると、理論的に最短のエッチング時間は、所要密
着強度(図6でP1点)を得ることが出来るエッチング
時間であって、図6で言えばT1点である。図6は、エ
ッチング時間と密着強度及びQを合わせて表示したグラ
フである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際のエッチ
ング工程では、被加工物のセラミック結晶粒径や表面粗
さの違いによりエッチングの度合いが異なり、またエッ
チング液の濃度及び温度が時々変動し、またエッチング
液の性状が経時的に劣化することもあって、エッチング
特性が変動する。そのため、理論的な最短エッチング時
間では、所望の密着強度を得ることができないことが多
い。ところで、メッキ膜が経時的な劣化によって剥離す
るようなことが生じると、セラミック応用部品の信頼性
が著しく損なわれる。そこで、実際のメッキ膜形成作業
では、メッキ膜の剥離を防止するために密着強度を重視
し、密着強度がエッチング液、セラミック表面性状等の
変動により低下するのを回避するために、図6において
密着強度を所要密着強度P1より高いP2点に設定し、
エッチング時間を理論的エッチング時間T1より長くし
ている(図6でT2点)。そのために、Qは、本来得ら
れるQ(図6でQ1)より小さいQ(図6でQ2)に低
下すると言う問題があった。
ング工程では、被加工物のセラミック結晶粒径や表面粗
さの違いによりエッチングの度合いが異なり、またエッ
チング液の濃度及び温度が時々変動し、またエッチング
液の性状が経時的に劣化することもあって、エッチング
特性が変動する。そのため、理論的な最短エッチング時
間では、所望の密着強度を得ることができないことが多
い。ところで、メッキ膜が経時的な劣化によって剥離す
るようなことが生じると、セラミック応用部品の信頼性
が著しく損なわれる。そこで、実際のメッキ膜形成作業
では、メッキ膜の剥離を防止するために密着強度を重視
し、密着強度がエッチング液、セラミック表面性状等の
変動により低下するのを回避するために、図6において
密着強度を所要密着強度P1より高いP2点に設定し、
エッチング時間を理論的エッチング時間T1より長くし
ている(図6でT2点)。そのために、Qは、本来得ら
れるQ(図6でQ1)より小さいQ(図6でQ2)に低
下すると言う問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、メッキ膜の密着
強度及びQの双方を大きくできる、セラミック製部品の
電極用メッキ膜の形成方法を提供することである。
強度及びQの双方を大きくできる、セラミック製部品の
電極用メッキ膜の形成方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、研究の過程
で、キャタライジング工程及びアクセレーティング工程
において、処理時間を長くすることにより、又は処理温
度を上げることにより、触媒をより多く付与し、活性化
を促進させる試みを行ったが、(1)触媒活性化液に触
媒液が溶出し、触媒活性化液の液寿命が短くなると言う
問題、及び(2)無電解メッキの実施時にメッキ膜の析
出速度が速くなり、緻密な膜質のメッキ膜を形成するこ
とができないために、Qが低くなると言う問題が生じる
ことが判った。そこで、従来のアクセレーティング工程
の後で、酸洗浄、例えば60%硝酸の50%水溶液で酸
洗浄を施して過剰な触媒を除去した後に、再度キャタラ
イジング工程、アクセレーティング工程を実施して、触
媒付与を均一に行い、かつ触媒活性化の効率を高めるこ
とにより、エッチング時間を長くすることなく、メッキ
膜の密着強度及びQを高めることができることを見い出
し、本発明方法を完成するに至った。
で、キャタライジング工程及びアクセレーティング工程
において、処理時間を長くすることにより、又は処理温
度を上げることにより、触媒をより多く付与し、活性化
を促進させる試みを行ったが、(1)触媒活性化液に触
媒液が溶出し、触媒活性化液の液寿命が短くなると言う
問題、及び(2)無電解メッキの実施時にメッキ膜の析
出速度が速くなり、緻密な膜質のメッキ膜を形成するこ
とができないために、Qが低くなると言う問題が生じる
ことが判った。そこで、従来のアクセレーティング工程
の後で、酸洗浄、例えば60%硝酸の50%水溶液で酸
洗浄を施して過剰な触媒を除去した後に、再度キャタラ
イジング工程、アクセレーティング工程を実施して、触
媒付与を均一に行い、かつ触媒活性化の効率を高めるこ
とにより、エッチング時間を長くすることなく、メッキ
膜の密着強度及びQを高めることができることを見い出
し、本発明方法を完成するに至った。
【0010】上記目的を達成するために、本発明に係る
セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法は、無電
解メッキ法を用いてセラミック製の被加工体に電極用メ
ッキ膜を形成する方法において、被加工物にエッチング
を施してセラミック表面を粗化する表面粗化工程に引き
続いて、被加工物に触媒を付与するキャタライジング工
程工程、被加工物に付与した触媒を活性化するアクセレ
ーティング工程及び酸洗浄工程からなる一連の工程を少
なくとも一回実施し、次いで、被加工物に触媒を付与す
るキャタライジング工程工程、被加工物に付与した触媒
を活性化するアクセレーティング工程及び無電解メッキ
法を用いて被加工物に電極用のメッキ膜を形成するメッ
キ膜形成工程を実施することを特徴としている。
セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法は、無電
解メッキ法を用いてセラミック製の被加工体に電極用メ
ッキ膜を形成する方法において、被加工物にエッチング
を施してセラミック表面を粗化する表面粗化工程に引き
続いて、被加工物に触媒を付与するキャタライジング工
程工程、被加工物に付与した触媒を活性化するアクセレ
ーティング工程及び酸洗浄工程からなる一連の工程を少
なくとも一回実施し、次いで、被加工物に触媒を付与す
るキャタライジング工程工程、被加工物に付与した触媒
を活性化するアクセレーティング工程及び無電解メッキ
法を用いて被加工物に電極用のメッキ膜を形成するメッ
キ膜形成工程を実施することを特徴としている。
【0011】また、本発明方法の好適な実施態様は、キ
ャタライジング工程、アクセレーティング工程、酸洗浄
工程及びメッキ膜形成工程の前にそれぞれ水洗工程を設
けることを特徴としている。水洗工程は、被加工物を洗
浄して薬剤を除去し、被加工物を清浄にすると共に各工
程間で薬剤同士が汚染するのを防止するために実施され
る。
ャタライジング工程、アクセレーティング工程、酸洗浄
工程及びメッキ膜形成工程の前にそれぞれ水洗工程を設
けることを特徴としている。水洗工程は、被加工物を洗
浄して薬剤を除去し、被加工物を清浄にすると共に各工
程間で薬剤同士が汚染するのを防止するために実施され
る。
【0012】本発明方法で実施する表面粗化工程、キャ
タライジング工程、アクセレーティング工程及び水洗工
程で使用するエッチング液、触媒液、触媒活性化液、洗
浄液等の薬剤並びに処理条件は、従来の方法と同じであ
る。酸洗浄工程で使用する洗浄液は、通常の酸洗浄液
で、例えば60%硝酸の50%水溶液を使用できる。
タライジング工程、アクセレーティング工程及び水洗工
程で使用するエッチング液、触媒液、触媒活性化液、洗
浄液等の薬剤並びに処理条件は、従来の方法と同じであ
る。酸洗浄工程で使用する洗浄液は、通常の酸洗浄液
で、例えば60%硝酸の50%水溶液を使用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明
する。図1は本発明に係るセラミック製部品の電極用メ
ッキ膜の形成方法の工程を示すフローチャートである。実施例1 BaO−Nd2 O3 −TiO2 系の誘電体セラミックか
らなる被加工物試料に本発明方法を適用して電極用メッ
キ膜の形成を行った。試料は、3.5mmの正方形断面を
有する長さ7.5mmの角棒状の形状を有し、1.2mm内
径の貫通孔が長手方向中心線に沿って設けてある。図1
に示す工程に従って試料に、順次、次のように処理を施
した。アルカリ、エッチング液、触媒液、触媒活性化液
等の処理に使用する薬剤及び温度、時間等の処理条件
は、図3に示す従来の方法と同じ薬剤及び同じ処理条件
である。
例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明
する。図1は本発明に係るセラミック製部品の電極用メ
ッキ膜の形成方法の工程を示すフローチャートである。実施例1 BaO−Nd2 O3 −TiO2 系の誘電体セラミックか
らなる被加工物試料に本発明方法を適用して電極用メッ
キ膜の形成を行った。試料は、3.5mmの正方形断面を
有する長さ7.5mmの角棒状の形状を有し、1.2mm内
径の貫通孔が長手方向中心線に沿って設けてある。図1
に示す工程に従って試料に、順次、次のように処理を施
した。アルカリ、エッチング液、触媒液、触媒活性化液
等の処理に使用する薬剤及び温度、時間等の処理条件
は、図3に示す従来の方法と同じ薬剤及び同じ処理条件
である。
【0014】(1)アルカリ洗浄を施して、被加工物の
表面から油脂等の汚染物を取り除くアルカリ脱脂工程、
(2)アルカリ脱脂工程で使用したアルカリを被加工物
の表面から水洗除去する第1次水洗工程、(3)エッチ
ング液により被加工物のセラミック表面をエッチングし
て表面を粗く粗化し、アンカー効果によりメッキ膜の密
着性を高めるエッチング工程、(4)被加工物に超音波
を作用させつつエッチング工程で使用したエッチング液
をセラミック表面から水洗除去し、残留エッチング液に
よるメッキ膜の腐食を防止する第2次水洗工程、(5)
被加工物を触媒液に接触させてメッキの核となる触媒を
セラミック表面に付与するキャタライジング工程、
(6)セラミック表面から過剰の触媒を水洗除去する第
3次水洗工程、(7)被加工物を触媒活性化液に接触さ
せてキャタライジング工程で付与した触媒を活性化する
アクセレーティング工程、(8)セラミック表面から触
媒活性化液を水洗除去する水洗工程。
表面から油脂等の汚染物を取り除くアルカリ脱脂工程、
(2)アルカリ脱脂工程で使用したアルカリを被加工物
の表面から水洗除去する第1次水洗工程、(3)エッチ
ング液により被加工物のセラミック表面をエッチングし
て表面を粗く粗化し、アンカー効果によりメッキ膜の密
着性を高めるエッチング工程、(4)被加工物に超音波
を作用させつつエッチング工程で使用したエッチング液
をセラミック表面から水洗除去し、残留エッチング液に
よるメッキ膜の腐食を防止する第2次水洗工程、(5)
被加工物を触媒液に接触させてメッキの核となる触媒を
セラミック表面に付与するキャタライジング工程、
(6)セラミック表面から過剰の触媒を水洗除去する第
3次水洗工程、(7)被加工物を触媒活性化液に接触さ
せてキャタライジング工程で付与した触媒を活性化する
アクセレーティング工程、(8)セラミック表面から触
媒活性化液を水洗除去する水洗工程。
【0015】次いで、(8)水洗工程を経た試料から過
剰な触媒を除去するために酸洗浄工程(9)を実施し
た。酸洗浄は、洗浄液として60%硝酸の50水溶液を
使用し、室温で約5分間行った。続いて、酸洗浄した試
料について(1)から(8)の工程を最初の実施と同じ
薬剤を使い同じ処理条件で実施した。次に、再度の
(1)から(8)の工程を得た試料に無電解メッキ法に
よりメッキ膜を形成し(10)、実施例品1とした。
剰な触媒を除去するために酸洗浄工程(9)を実施し
た。酸洗浄は、洗浄液として60%硝酸の50水溶液を
使用し、室温で約5分間行った。続いて、酸洗浄した試
料について(1)から(8)の工程を最初の実施と同じ
薬剤を使い同じ処理条件で実施した。次に、再度の
(1)から(8)の工程を得た試料に無電解メッキ法に
よりメッキ膜を形成し(10)、実施例品1とした。
【0016】実施例2 実施例1と同様にして試料に再度の(1)から(8)の
工程を実施し、次いで実施例1と同様の酸洗浄工程
(9)を施し、次いで再び(1)から(8)の工程をそ
の前の工程と同じ薬剤を使い同じ処理条件で実施した。
次に、3回の(1)から(8)の工程を得た試料に無電
解メッキ法によりメッキ膜を形成し(10)、実施例品
2とした。
工程を実施し、次いで実施例1と同様の酸洗浄工程
(9)を施し、次いで再び(1)から(8)の工程をそ
の前の工程と同じ薬剤を使い同じ処理条件で実施した。
次に、3回の(1)から(8)の工程を得た試料に無電
解メッキ法によりメッキ膜を形成し(10)、実施例品
2とした。
【0017】従来の方法と同じ電極形成方法で試料に無
電解メッキ法によりメッキ膜を形成したものを比較例品
とし、多数の実施例品1、実施例品2及び比較例品を作
製し、その密着強度及びQを測定し、その結果を図2に
示した。図2で再処理回数は(1)から(8)までの工
程の繰り返し回数を示し、0は比較品を、1は実施例品
1を、2は実施例品2をそれぞれ示す。
電解メッキ法によりメッキ膜を形成したものを比較例品
とし、多数の実施例品1、実施例品2及び比較例品を作
製し、その密着強度及びQを測定し、その結果を図2に
示した。図2で再処理回数は(1)から(8)までの工
程の繰り返し回数を示し、0は比較品を、1は実施例品
1を、2は実施例品2をそれぞれ示す。
【0018】図2から判るように、密着強度及びQのば
らつきの範囲は、再処理回数が増えるにつれて、縮小し
ている。これは、再処理回数が増えるにつれて、触媒付
与が均一に行われ、かつ触媒活性化の効率も高められ、
その結果、セラミック製造時のセラミックの結晶粒径や
表面粗さの変動及び各工程の処理条件の変動が密着強度
及びQに与える影響を著しく小さくしていることを示し
ている。また、再処理回数が増えるに連れて、密着強度
及びQ自体の数値も大きくなっている。これは、触媒が
より均一に付与され、かつ触媒活性化率が向上するから
であると思われる。よって、図6を参照して言えば、従
来のようにエッチング時間をT2に設定し、Qを犠牲に
して密着強度を大きくする必要がなくなり、例えばエッ
チング時間を理論的時間T1に設定することより、所定
の密着強度とより大きなQ、即ちQ1を得ることができ
る。
らつきの範囲は、再処理回数が増えるにつれて、縮小し
ている。これは、再処理回数が増えるにつれて、触媒付
与が均一に行われ、かつ触媒活性化の効率も高められ、
その結果、セラミック製造時のセラミックの結晶粒径や
表面粗さの変動及び各工程の処理条件の変動が密着強度
及びQに与える影響を著しく小さくしていることを示し
ている。また、再処理回数が増えるに連れて、密着強度
及びQ自体の数値も大きくなっている。これは、触媒が
より均一に付与され、かつ触媒活性化率が向上するから
であると思われる。よって、図6を参照して言えば、従
来のようにエッチング時間をT2に設定し、Qを犠牲に
して密着強度を大きくする必要がなくなり、例えばエッ
チング時間を理論的時間T1に設定することより、所定
の密着強度とより大きなQ、即ちQ1を得ることができ
る。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、無電解メッキ法を用い
てセラミック製の被加工体に電極用メッキ膜を形成する
方法において、被加工物にエッチングを施して表面を粗
化する表面粗化工程に引き続いて、被加工物に触媒を付
与するキャタライジング工程工程、被加工物に付与した
触媒を活性化するアクセレーティング工程及び酸洗浄工
程からなる一連の工程を複数回繰り返すことにより、得
た電極用メッキ膜の密着強度とQのばらつきを小さくす
ることができる。これにより、エッチング時間を理論的
時間に近く設定できるので、密着強度とQの双方が高い
電極用メッキ膜をセラミック製の被加工物に形成するこ
とができる。また、本発明方法を適用すれば、均質性が
高くかつ電気特性の良好な電極用メッキ膜を形成でき、
しかもエッチング液の性状及びセラミック製の被加工物
の表面性状のばらつきの許容範囲が広くなるので、全体
として製品歩留りが向上する。更に、製造ロット内及び
ロット間の製品特性のばらつきも非常に小さくなるの
で、低コストで安定した電極用メッキ膜を形成できる。
てセラミック製の被加工体に電極用メッキ膜を形成する
方法において、被加工物にエッチングを施して表面を粗
化する表面粗化工程に引き続いて、被加工物に触媒を付
与するキャタライジング工程工程、被加工物に付与した
触媒を活性化するアクセレーティング工程及び酸洗浄工
程からなる一連の工程を複数回繰り返すことにより、得
た電極用メッキ膜の密着強度とQのばらつきを小さくす
ることができる。これにより、エッチング時間を理論的
時間に近く設定できるので、密着強度とQの双方が高い
電極用メッキ膜をセラミック製の被加工物に形成するこ
とができる。また、本発明方法を適用すれば、均質性が
高くかつ電気特性の良好な電極用メッキ膜を形成でき、
しかもエッチング液の性状及びセラミック製の被加工物
の表面性状のばらつきの許容範囲が広くなるので、全体
として製品歩留りが向上する。更に、製造ロット内及び
ロット間の製品特性のばらつきも非常に小さくなるの
で、低コストで安定した電極用メッキ膜を形成できる。
【図1】本発明に係るセラミック製部品の電極用メッキ
膜の形成方法の工程を示すフローチャートである。
膜の形成方法の工程を示すフローチャートである。
【図2】再処理回数と密着強度及びQとの関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図3】従来のセラミック製部品の電極用メッキ膜の形
成方法の工程を示すフローチャートである。
成方法の工程を示すフローチャートである。
【図4】エッチング時間と密着強度との関係を示すグラ
フである。
フである。
【図5】エッチング時間とQとの関係を示すグラフであ
る。
る。
【図6】エッチング時間と密着強度及びQとの関係を示
すグラフである。
すグラフである。
T1、T2 エッチング時間 P1、P2 密着強度 Q1、Q2 Q
Claims (2)
- 【請求項1】 無電解メッキ法を用いてセラミック製の
被加工体に電極用メッキ膜を形成する方法において、 被加工物にエッチングを施してセラミック表面を粗化す
る表面粗化工程に引き続いて、 被加工物に触媒を付与するキャタライジング工程工程、
被加工物に付与した触媒を活性化するアクセレーティン
グ工程及び酸洗浄工程からなる一連の工程を少なくとも
一回実施し、 次いで、被加工物に触媒を付与するキャタライジング工
程工程、被加工物に付与した触媒を活性化するアクセレ
ーティング工程及び無電解メッキ法を用いて被加工物に
電極用のメッキ膜を形成するメッキ膜形成工程を実施す
ることを特徴とするセラミック製部品の電極用メッキ膜
の形成方法。 - 【請求項2】 キャタライジング工程、アクセレーティ
ング工程、酸洗浄工程及びメッキ膜形成工程の前にそれ
ぞれ水洗工程を設けることを特徴とする請求項1に記載
のセラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23197095A JPH0953183A (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23197095A JPH0953183A (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0953183A true JPH0953183A (ja) | 1997-02-25 |
Family
ID=16931910
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23197095A Pending JPH0953183A (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | セラミック製部品の電極用メッキ膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0953183A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100453913B1 (ko) * | 2000-12-22 | 2004-10-20 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 납계 세라믹스의 무전해 니켈 도금 방법 |
CN100362607C (zh) * | 2005-02-06 | 2008-01-16 | 史宝林 | 一种用化学沉积法制造圆片形高压瓷介电容器的贱金属全电极的工艺 |
JP2014172178A (ja) * | 2013-03-05 | 2014-09-22 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子及びその製造方法 |
-
1995
- 1995-08-17 JP JP23197095A patent/JPH0953183A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100453913B1 (ko) * | 2000-12-22 | 2004-10-20 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 납계 세라믹스의 무전해 니켈 도금 방법 |
CN100362607C (zh) * | 2005-02-06 | 2008-01-16 | 史宝林 | 一种用化学沉积法制造圆片形高压瓷介电容器的贱金属全电极的工艺 |
JP2014172178A (ja) * | 2013-03-05 | 2014-09-22 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子及びその製造方法 |
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