【発明の詳細な説明】
α‐2‐アドレノセプター作動剤として有用な
7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン化合物
技術分野
本発明はある置換された7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン化合物に
関する。その化合物はα‐アドレノセプター作動剤であることがわかり、1種以
上の呼吸器障害、特に鼻うっ血;眼障害、特に緑内障;胃腸障害、特に下痢の治
療に有用である。
発明の背景
一般的にα‐アドレナリンレセプター、作動剤及び拮抗剤と、本発明の場合と
構造上関連した化合物に関する情報は、下記参考文献で開示されている:
Timmermans,P.B.M.W.M.,A.T.Chiu & M.J.M.C.Thooen,″12.1 α-Adrenergic Rec
eptors″(12.1 α‐アドレナリンレセプター),Comprehensive Medicinal
Chemisiry,Vol.3,Membranes & Receptors,P.G.Sammes & J.B,Taylor,eds.,Perg
amon Press(1990),pp.133-185 ;Timmermans.P.B.M.W.M.& P.A.van Zwieten,″
α-Adrenoceptor Agonists and Antagonists″(α‐アドレノセプター作動剤及
び拮抗剤),Drugs of the Future,Vol.9,No.1,(January,1984),pp.41-55;Megen
s,A.A.H.P.,J.E.Leysen,F.H.L.Awouters & C.J.E.Niemegeers,″Further Valida
tion of in vivo and in vitro Pharmacological Procedures for Assessing th
e α1 and α2-Selectivity of Test Compounds: (2)α-Adrenoceptor Agonists
″(試験化合物:(2)α‐アドレノセプター作動剤のα1及びα2‐選択性を
評価するためのインビボ及びインビトロ薬理操作の追加確認),European Journa
l of Pharmacology,Vol,129(1986),pp.57-64;
Timmermans,P.B.M.W.M.,A.de Jonge,M.J.M.C.Thoolen,B.Wilffert,H.Batink & P
.A.van Zwieten,″Quantitative Relationships between α-Adrenergic Activ
ity and Binding Affinity of α-Adrenoceptor Agonists and Antagonists″
(α‐アドレノセプター作動剤及び拮抗剤のα‐アドレナリン活性及び結合アフ
ィニティ間の量的関係),Journal of Medicinal Chemistry,Vol.27(1984)pp.495
-503;van Meel,J.C.A.A.de Jonge,P.B.M.W.M.Timmermans & P.A.van Zwieten,
″Selectivity of Some Alpha Adrenoceptor Agonists for Peripheral Alpha-1
and Alpha-2 Adrenoceptors in the Normotensive Rat″(正常血圧ラットで末
梢α1及びα2‐アドレノセプターに対する一部α‐アドレノセプター作動剤の
選択性),The Journal of Pharmacology and Experlmental Therapeutics,Vol.21
9,No.3(1981),pp.760-767;Chapleo,C.B.,J.C.Doxey,P.L.Myers,M.Myers,C.F.C.
Smith & M.R.Stillings,″Effect of 1,4-Dioxanyl Substitution on the Adren
ergic Activity of Some Standard α-Adrenorecetor Agents″(一部標準α‐
アドレノセプター剤のアドレナリン活性に関する1,4‐ジオキサニル置換の効
果),European Journal Medicinal Chemistry,Vol.24(1989),pp.619-622;Chapl
eo,C.B.,R.C.M.Butler,D.C.England,P.L.Myers,A.G.Roach,C.F.C.Smith,M.R.Sti
llings & I.F.Tulloch,″Heieroaromatic Analogues of the α2-Adrenorecept
or Partial Agonist Clondine″(α2‐アドレノセプター部分作動剤クロンジ
ンのヘテロ芳香族アナログ),J.Med.Chem.,Vol.32(1989),pp.1627-1630;Clare.
K.A.,M.C.Scrutton & N.T.Thompson,″Effects of α2-Adrenoceptor Agonists
and of Related Compounds on Aggregation of,and on Adenylate Cyclase Act
ivity in,Human Platelets″(ヒト血小板の凝集及びそのアデニル酸シクラーゼ
活性に関するα2‐アドレノセプター作動剤及び関連化合物の効果),Br.J.Phar
mac.,Vol.82(1984),pp.467-476;1975年6月17日付で発行されたDanielew
icz,Snarey
& Thomas の米国特許第3,890,319号;1992年2月25日付で発行
されたGluchowskiの米国特許第5,091,528号明細書。しかしながら、本
発明の場合と構造上関連した多くの化合物は、呼吸器、眼又は胃腸障害を治療す
るときに望ましい活性及び特異性を示さない。
特に本発明との関連で、有効な鼻うっ血除去剤であるとわかった化合物は、特
に全身投与したときに、高血圧及び不眠症を起こすような望ましくない副作用を
有することがしばしばわかった。これらの望ましくない副作用を起こさずに鼻う
っ血を軽減させる新規薬物の必要性がある。
本発明の目的は、鼻うっ血を予防又は治療する上で実質的活性を有した化合物
を提供することである。
本発明の別の目的は、特に全身投与したときに、低血圧、眠気、高血圧、不眠
症又は他の望ましくない副作用を起こさないこのような化合物を提供することで
ある。
本発明のもう1つの目的は、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び/又は喘
息を治療するための化合物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、緑内障及び/又は下痢を治療するための化合物を
提供することである。
本発明の更にもう1つの目的は、経口及び/又は局所投与で良好な活性を有す
るこのような化合物を提供することである。
発明の要旨
本発明は、下記構造を有する化合物の安全有効量を治療の必要なヒト又はそれ
より下等の動物に投与することからなる、鼻うっ血の治療方法に関する:
上記式中:
(a)Rは非置換C1‐C3アルカニル又はアルケニルである;及び
(b)R′は水素、非置換C1‐C3アルカニル又はアルケニル、非置換C1‐C3
アルキルチオ又はアルコキシ、ヒドロキシ、チオール、シアノとハロから選択さ
れる。
本発明は他の呼吸器、眼及び/又は胃腸障害を予防又は治療するためのこのよう
な化合物の用途にも関する。本発明はR′が水素又はシアノである上記構造を有
する新規化合物にも関する。
発明の具体的な説明
本明細書で用いられる“アルカニル”とは、直鎖又は分岐鎖で非置換又は置換
の飽和炭化水素置換基を意味する。
本明細書で用いられる“アルケニル”とは、1つの二重結合(他は飽和)、直
鎖又は分岐鎖で非置換又は置換の炭化水素置換基を意味する。
本明細書で用いられる“アルキルチオ”とは、Qがアルカニル又はアルケニル
である構造Q‐S‐を有する置換基を意味する。化合物
本明細書で用いられる“アルコキシ”とは、Qがアルカニル又はアルケニルで
ある構造Q‐O‐を有する置換基を意味する。
本発明は下記構造を有する化合物に関する:
上記構造において、Rは1〜約3の炭素原子を有する非置換アルカニル又はア
ルケニルである。Rは好ましくはアルカニルである。Rは更に好ましくはメチル
又はエチル、最も好ましくはメチルである。
上記構造において、R′は水素、1〜約3の炭素原子を有する非置換アルカニ
ル又はアルケニル、1〜約3の炭素原子を有する非置換アルキルチオ又はアルコ
キシ、ヒドロキシ、チオール、シアノとハロから選択される。R′は好ましくは
水素である。R′はシアノも好ましい。R′は好ましくはアルカニル、更に好ま
しくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルである。アルキルチオ又はアル
コキシであるR′は好ましくは飽和、しかも好ましくはC1又はC2、更に好まし
くはメチルチオ又はメトキシである。ハロであるR′は、好ましくはフルオロ、
クロロ又はブロモ、更に好ましくはクロロ又は特にフルオロである。
本発明の好ましい化合物は下記構造を有する化合物である:
上記式中R及びR′は下記表で示されたとおりである:
本発明の化合物は、アレルギー、かぜ及び関連鼻うっ血のある他の鼻障害に伴
う鼻うっ血とそれらの続発症(例えば、副鼻腔炎及び耳炎)の治療に特に有用で
ある。同時に、低血圧、眠気、高血圧又は不眠症のような望ましくない副作用も
しばしば避けられることがわかった。特定の作用メカニズムに限定されないと、
本化合物は、α‐2‐アドレノセプターと相互作用するそれらの能力により、関
連化合物よりも鼻うっ血除去の治療で利点を与えると考えられる。本化合物は鼻
甲介で末梢血管床の収縮を起こすα‐2‐アドレノセプター作動剤であることが
わかった。
特定の本化合物は、弱いα1作動活性を有するだけか又は全く有さず、全身投
与されたときであっても中枢神経系で作用をほとんど又は全く有しない。
本発明の化合物は、緑内障のような眼内圧増加を伴う眼障害の治療にも有用で
ある。化合物は経口的に、あるいは滴剤、ゲル又はクリームとして哺乳動物目の
表面に直接局所投与される。
本発明の化合物は、胃腸管で抗運動及び抗分泌作用により、下痢のような胃腸
運動障害をコントロールする上でも有用である。
本化合物の薬理活性及び選択性は、公表された試験操作を用いて調べることが
できる。化合物のα‐2選択性は、α‐2及び/又はα‐1レセプターを有する
ことが知られた様々な組織でレセプター結合親和性及びインビトロ機能力を測定
することにより調べられる(例えば、The Alpha-2 Adrenergic Receptors,L.E.L
imbird,ed.,Humana Press,Clifton,NJ 参照)。下記インビボアッセイは、典型
的にはげっ歯動物又は他の種で行われる。中枢神経系活性は鎮静のインデックス
として運動活性を測定することにより調べられる〔例えば、Spyraki,C.& H.Fibi
ger,″Clonidine-induced Sedation in Rats: Evidence for Mediation by Post
synaptic Alpha-2 Adrenoreceptors″(ラットのクロニジン誘導性鎮静:シナプ
ス後部α‐2アドレノレセプターによる媒介の証拠),J.Neural.Trans.,Vol.54(
1982),pp.153-163参照〕。鼻うっ血除去活性は鼻気道抵抗性の評価として鼻気圧
測定法を用いて調べられる〔例えば、Salem,S.& E.Clemente,″A New Experimen
tal Method for Evaluating Drugs in the Nasal Cavity″(鼻腔で薬物を評価す
る新たな実験方法),Arch.Otolarynng,Vol.96(1972),pp.524-529参照〕。抗緑内
障活性は眼内圧を測定することにより調べられる〔例えば、Potter,D.,″Adrene
rgic Pharmacology of Aqueous Human Dynamics″(水性ヒト動力学のアドレナリ
ン作動性薬理),Pharmacol.Rev.,Vol.13(1981),pp.133-153参照〕。抗下痢活性は
プロスタグランジン誘導性下痢を抑制する化合物の能力を測定することにより調
べられる〔例えば、Thollander,M.,P.Hellstrom & T.Svensson,″Suppression o
f Castor Oil-Induced Diarrhea by Alpha-2 Adrenoceptor Agonists″(α‐2
‐アドレノセプター作動剤によるヒマシ油誘導性下痢の抑制),Aliment.Pharmac
ol.Therap.,Vol.5(1991),pp.255-262 参照〕。抗喘息活性は吸入抗原のような肺
攻撃に伴う気管支収縮に対する化合物の効果を測定することにより調べられる〔
例えば、Chang,J.J.Musser & J.Hind,″Effects of a Novel Leukotriene D4 A
ntagonist with 5-Lipoxygenase and Cyclooxygenase Inhibitory Activity,Wy-
45,911,on Leukotriene-D4- and Antigen-Induced Bronchoconstriction in Gui
nea Pig″(モルモットでロイコトリエン‐D4‐及び抗原誘導性気管支収縮に
関する5‐リポキシゲナーゼ及びシクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する新規ロ
イコトリエンD4拮抗剤、Wy‐45,911の効果),Int.Arch.Allergy Appl
.Immun.,Vol.86(1988),pp.48-54;Delehunt,J.,A.
Perruchound,L.Yerger,B.Marchette,J.Stevenson & W.Abraham,″The Role of S
low-Reacting Substance of Anaphylaxis in the Late Bronchial Response Aft
er Antigen Challenge in Allergic Sheep″(アレルギー性ヒツジで抗原攻撃後
の遅発性気管支反応におけるアナフィラキシーの遅発反応物質の役割),Am.Rev.
Respir.Dis.,Vol.130(1984),pp.748-754)。咳での活性は吸入クエン酸のような
呼吸器攻撃に対する咳応答の回数及び潜在性を測定することにより調べられる〔
例えば、Callaway,J.& R.King,″Ellects of Inhaled Alpha-2-Adrenoceptor an
d GABAB Receptor Agonists on Citric Acid-Induced Cough and Tidal Volume
Changes in Guinea Pigs″(モルモットにおけるクエン酸誘導咳及び1回呼吸気
量変化に関する吸入α‐2‐アドレノセプター及びGABABレセプター作動剤
の効果),Eur.J.Pharmacol.,Vol.220(1992),pp.187-195参照〕。
本発明の化合物は下記一般操作を用いて合成される:
上記スキームにおいて、R′はアルコキシ又はアルキルチオであり、対応する
ヒドロキシ又はチオール化合物は標準脱アルキル化操作を用いることで最終化合
物から誘導される〔Bhatt ら,″Cleavage of Ethers″(エーテルの開裂),Synthe
s is,1983,pp.249-281〕。合成例
下記非制限例は、本発明の7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン化合物
の合成について詳細に記載している。
例1 8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン二塩酸塩の合成
8‐メチル‐7‐ニトロキノリン 2‐メチル‐3‐ニトロアニリン(10g
)、グリセリン(20.57g)及びAs2O5・xH2O(ベーカー(Baker)、8
8%As2O5、8.5g)の混合物を開放丸底フラスコ中で150℃までゆっく
り加熱し、その後150℃で6時間撹拌する。得られた混合物を室温まで冷却し
、水(200ml)で希釈し、その後水酸化アンモニウム(28〜30%、10
0ml)で塩基性化にする。約10分間後、溶液を氷酢酸でpH=5に酸性化し
、CH2Cl2(3×200ml)で抽出する。合わせた抽出液をH2O(200
ml)、飽和NaHCO3(200ml)で洗浄し、その後MgSO4で乾燥させ
、ロータリー蒸発させる。粗製キノリンをシリカゲルの短いパッドで溶媒として
CH2Cl2を用いてロ過する。ロ液をロータリー蒸発させ、残渣をヘキサン/C
H2Cl2から再結晶化して、黄褐色固体物として8‐メチル‐7‐ニトロキノリ
ンを得る。
7‐アミノ‐8‐メチルキノリン メタノール(20ml)中8‐メチル‐7
‐ニトロキノリン(1.8g)の溶液にPd/C(10%、0.45g)及びギ
酸アンモニウム(2.77g)を加える。混合液を室温で30分間撹拌し、その
後セライトでロ過して、固体物をメタノール洗浄する。ロ液をロータリー蒸発さ
せ、残渣をH2OとCH2Cl2に分配する。有機層を炭酸カリウムで乾燥させ、
ロ過し、ロータリー蒸発させて、黄色固体物として7‐アミノ‐8‐メチルキノ
リンを得る。
8‐メチル‐7‐キノリニルイソチオシアネート CH2Cl2(50ml)中
ジ‐2‐ピリジルチオノカーボネート(DPT)(2.29g)〔アルドリッチ
(Aldrich)〕及び4‐ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.02g)の溶
液にCH2Cl2(50ml)中7‐アミノ‐8‐メチルキノリン(1.3g)の
溶液を滴下する。混合液を室温で5時間撹拌し、その後ロータリー蒸発させる。
残渣をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより25%酢酸エチル/ヘ
キサンで溶出させて精製し、淡黄色固体物として8‐メチル‐7‐キノリニルイ
ソチオシアネートを得る。
N‐(8‐メチル‐7‐キノリニル)‐N′‐2‐アミノエチルチオ尿素
CH2Cl2(50ml)中8‐メチル‐7‐キノリニルイソチオシアネート(
1.36g)の溶液をCH2Cl2(50ml)中エチレンジアミン(2.26m
l)の溶液に滴下する。混合液を室温で30分間撹拌し、その後ロータリー蒸発
させる。残渣をCH2Cl2(50ml)及びエーテル(50ml)に懸濁し、ロ
過する。沈殿物を真空下で乾燥させ、白色粉末としてN‐(8‐メチル‐7‐キ
ノリニル)‐N′‐2‐アミノエチルチオ尿素を得る。
8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン二塩酸塩 メタノー
ル(30ml)中N‐(8‐メチル‐7‐キノリニル)‐N′‐2‐アミノエチ
ルチオ尿素(0.94g)及び酢酸水銀(1.18g)の混合液を室温で4時間
撹拌する。得られた黒色混合液をセライトでロ過し、ロ液を濃縮する。残渣をC
H2Cl2(50ml)及び飽和NaHCO3(20ml)で希釈し、水層を50
%水酸化ナトリウムでpH10にする。各層を分離し、有機層を(K2CO3)乾
燥し、ロータリー蒸発させる。残渣をシリカゲルの短いパッドでフラッシュクロ
マトグラフィーにより1%水酸化アンモニウム含有10%メタノール/クロロホ
ルムを用いて精製する。生成物含有画分を集め、ロータリー蒸発させ、黄色固体
物として8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリンを得る。二塩
酸塩はメタノール(20ml)中キノリンの冷溶液にHClを吹込むことにより
生成させる。メタノールを残渣になるまでロータリー蒸発させ、これをメタノー
ル/エーテルから再結晶化して、8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ
)キノリン二塩酸塩を得る。
例2 5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン一酒石酸 塩の合成
4‐シアノ‐2,6‐ジニトロトルエン テトラメチレンスルホン(65ml
)中4‐シアノトルエン(10.3g)の溶液をテトラメチレンスルホン(13
0ml)中テトラフルオロホウ酸ニトロニウム(14.6g)の溶液に滴下する
。反応液を95℃で1時間撹拌する。テトラフルオロホウ酸ニトロニウム(15
.58g)を反応混合液にゆっくり追加し、その後更に2時間撹拌する。混合液
を氷中に注ぎ、水(500ml)で更に希釈する。生成物を酢酸エチル(4×5
00ml)で抽出する。合わせた抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリ
ー蒸発させる。粗製橙色油状物をシリカゲルの短いパッドで溶媒として10%酢
酸エチル/ヘキサンを用いてロ過する。ロ液をロータリー蒸発させ、残渣を加温
塩化メチレンから再結晶化して、白色固体物として4‐シアノ‐2,6‐ジニト
ロトルエンを得る。
4‐シアノ‐2,6‐ジアミノトルエン 濃塩酸(70ml)及び氷酢酸(1
0ml)中4‐シアノ‐2,6‐ジニトロトルエン(8.55g)の溶液をスズ
金属(顆粒、14.66g)で処理するが、これは温度が50℃を超えないよう
にゆっくり加える。反応液を50℃で2.5時間撹拌し、その後氷中に注ぎ、濃
水酸化アンモニウムでpH=11に塩基性化する。生成物を酢酸エチル(5×
300ml)で抽出する。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリ
ー蒸発させる。残渣をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより50%
酢酸エチル/ヘキサンで溶出させて精製し、黄色固体物として4‐シアノ‐2,
6‐ジアミノトルエンを得る。
7‐アミノ‐5‐シアノ‐8‐メチルキノリン エタノール(600ml)中
4‐シアノ‐2,6‐ジアミノトルエン(3.56g)、塩化第二鉄六水和物(
11.63g)及び塩化亜鉛(0.499g)の混合液を65℃に加温する。エ
タノール(90ml)中1,1,3‐トリメトキシプロパン(5.23g)の溶
液をシリンジポンプで90分間かけて滴下する。次いで反応液を2.5時間加熱
還流する。反応液を室温まで冷却し、溶媒をロータリー蒸発させる。残渣を水3
00mlと混合し、濃水酸化アンモニウムでpH=11に塩基性化する。生成物
を酢酸エチル(4×300ml)で抽出し、合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで
乾燥し、ロータリー蒸発させる。残渣をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフ
ィーにより50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出させて精製し、黄色固体物として
7‐アミノ‐5‐シアノ‐8‐メチルキノリンを得る。
5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐キノリニルイソチオシアネート 塩化メチレン
(60ml)中ジ‐2‐ピリジルチオノカーボネート(1.22g)及び4‐ジ
メチルアミノピリジン(0.08g)の溶液に塩化メチレン(80ml)中7‐
アミノ‐5‐シアノ‐8‐メチルキノリン(1.22g)の溶液を滴下する。混
合液を室温で4時間撹拌し、その後ロータリー蒸発させる。残渣をシリカゲルで
フラッシュクロマトグラフィーにより25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出させて
精製し、黄色固体物として5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐キノリニルイソチオシ
アネートを得る。
N‐(5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐キノリニル)‐N′‐2‐アミノエチル チオ尿素
トルエン(100ml)中5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐キノリニル
イソチオシアネート(0.85g)の溶液をトルエン(100ml)中1,2‐
エチレンジアミン(1.94g)の溶液に滴下する。反応液を室温で10分間撹
拌した後、黄白色沈殿物が観察される。沈殿物をロ過し、真空下で乾燥させ、黄
白色固体物としてN‐(5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐キノリニル)‐N′‐2
‐アミノエチルチオ尿素を得る。
5‐シアノ‐8‐メチル-7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリン一酒石 酸塩
エタノール(70ml)中N‐(5‐シアノ‐8‐メチル‐7‐キノリニ
ル)‐N′‐2‐アミノエチルチオ尿素(1.01g)及び酢酸水銀(1.61
g)の混合液を室温で10分間撹拌する。得られた黒色混合液をセライトでロ過
し、ロ液をロータリー蒸発させる。残渣を水(20ml)で希釈し、飽和炭酸カ
リウムでpH=10にし、塩化メチレン(5×100ml)で抽出する。抽出液
を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリー蒸発させる。残渣をシリカゲルでフラッ
シュクロマトグラフィーにより1%水酸化アンモニウム含有10%メタノール/
クロロホルムで溶出させて精製し、黄色固体物として5‐シアノ‐8‐メチル‐
7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリンを得る。固体物をメタノール(25
ml)に溶解し、メタノール(25ml)中L‐酒石酸(0.096g)の溶液
で処理する。溶液を残渣になるまでロータリー蒸発させ、これをメタノール/エ
ーテルから再結晶化して、5‐シアノ‐8‐メチル−7‐(2‐イミダゾリニル
アミノ)キノリン一酒石酸塩を得る。
例3 5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリンセスキ 塩酸塩の合成
2,6‐ジニトロ‐4‐フルオロトルエン 発煙硫酸(180ml)をアルゴ
ン雰囲気下で4‐フルオロ‐2‐ニトロトルエン(50.21g)に滴下する。
混合液の内部温度は氷/塩化ナトリウム浴を用いて0〜5℃に維持する。発煙硝
酸(30ml)及び発煙硫酸(90ml)の前形成(氷浴)混合液を3時間かけ
て先の溶液に滴下する。次いで反応液を室温まで加温する。室温で2時間撹拌し
た後、混合液を氷上にゆっくり注ぎ、生成物を塩化メチレン(4×500ml)
で抽出する。合わせた抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロ過し、ロータリー
蒸発させる。粗製混合物をシリカゲルの短いパッドで溶媒として10%酢酸エチ
ル/ヘキサンを用いてロ過し、その後酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化して、
淡黄色固体物として2,6‐ジニトロ‐4‐フルオロトルエンを得る。
2‐アミノ‐4‐フルオロ‐6‐ニトロトルエン エタノール(130ml)
中2,6‐ジニトロ‐4‐フルオロトルエン(8.1g)の溶液を水(90ml
)中硫化ナトリウム九水和物(16.39g)の溶液で滴下処理する。混合液を
室温で2.5時間撹拌し、その後水(500ml)で希釈し、酢酸エチル(4×
500ml)で抽出する。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリ
ー蒸発させる。残渣をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより15%
酢酸エチル/ヘキサンで溶出させて精製し、固体物として2‐アミノ‐4‐フル
オロ‐6‐ニトロトルエンを得る。
7‐アミノ‐5‐フルオロ‐8‐メチルキノリン 2‐アミノ‐4‐フルオロ
‐6‐ニトロトルエン(4.4g)、グリセリン(7.5g)、酸化ヒ素(V)
水和物(アルドリッチ、ヒ素中54%、5.0g)及び濃硫酸(35ml)の混
合液を4時間かけて140℃に加熱する。反応液を室温まで冷却し、水(300
ml)で希釈する。混合液を濃水酸化アンモニウムでpH=10に塩基性化し、
酢酸エチル(6×300ml)で抽出する。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで
乾燥し、ロータリー蒸発させる。粗製生成物をシリカゲルでフラッシュクロマト
グラフィーにより25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出させて精製し、固体物とし
て7‐アミノ‐5‐フルオロ‐8‐メチルキノリンを得る。
5‐フルオロ‐8‐メチル−7‐キノリニルイソチオシアネート 水(5ml
)及び1N塩酸(5ml)中7‐アミノ‐5‐フルオロ‐8‐メチルキノリン(
0.39g)及びチオホスゲン(0.2ml)の混合液を室温で1.5時間撹拌
する。追加量のチオホスゲン(0.1ml)を加え、混合液を更に1時間撹拌す
る。混合液を1N水酸化ナトリウム(25ml)で処理し、塩化メチレン(4×
50ml)で抽出する。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリー
蒸発させる。残渣をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより15%酢
酸エチル/ヘキサンで溶出させて精製し、黄褐色固体物として5‐フルオロ‐8
‐メチル‐7‐キノリニルイソチオシアネートを得る。
N‐(5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐キノリニル)‐N′‐2‐アミノエチ ルチオ尿素
トルエン(40ml)中5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐キノリニ
ルイソチオシアネート(0.38g)の溶液をトルエン(40ml)中1,2‐
エチレンジアミン(0.78g)の溶液に滴下する。反応液を室温で10分間撹
拌した後、白色沈殿物が観察される。沈殿物をロ過し、真空下で乾燥させ、白色
固体物としてN‐(5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐キノリニル)‐N′‐2‐
アミノエチルチオ尿素を得る。
5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルアミノ)キノリンセス キ塩酸塩
エタノール(25ml)中N‐(5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐キ
ノリニル)‐N′‐2‐アミノエチルチオ尿素(0.38g)及び酢酸水銀(0
.70g)の混合液を室温で10分間撹拌する。得られた黒色混合液をセライト
でロ過し、ロ液をロータリー蒸発させる。残渣を水(20ml)で希釈し、濃水
酸化アンモニウムでpH=10にする。生成物を塩化メチレン(4×20ml)
で抽出する。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリー蒸発させる。残渣を
シリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーにより1%水酸化アンモニウム含有
10%メタノール/クロロホルムで溶出させて精製する。生成物含有画分を集め
、ロータリー蒸発させて、黄色固体物として5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐(
2‐イミダゾリニルアミノ)キノリンを得る。固体物をメタノール(10ml)
に溶解し、氷浴で冷却する。ガス状塩化水素を溶液中に5分間吹込む。溶液を残
渣になるまでロータリー蒸発させ、これをメタノール/エーテルから再結晶化し
て、黄色固体物として5‐フルオロ‐8‐メチル‐7‐(2‐イミダゾリニルア
ミノ)キノリンセスキ塩酸塩を得る。組成物
本発明は、安全有効量の本化合物又はその薬学上許容される塩と製薬上許容さ
れるキャリアを含んでなる組成物の用途に関する。本明細書で用いられる“安全
有効量”とは、健全な医学的判断の範囲内で(妥当な利益/危険比で)治療され
る症状に有意の改善を誘導する上で十分だが、重篤な副作用を避ける上で十分低
い本化合物の量を意味する。本化合物の安全有効量は、治療される患者の年齢及
び身体条件、症状の重篤度、治療期間、併用療法の性質、利用される具体的な製
薬上許容されるキャリアと、担当医の知識及び熟練内の類似ファクターに応じて
変わる。
本発明の組成物は、好ましくは約0.0001〜約99重量%、更に好ましく
は約0.01〜約90%、しかも好ましくは約10〜約50%、しかも好ましく
は約5〜約10%、しかも好ましくは約1〜約5%、しかも好ましくは約0.1
〜約1%の本化合物を含有する。
本化合物に加えて、本発明の組成物は製薬上許容されるキャリアを含有してい
る。本明細書で用いられる“製薬上許容されるキャリア”という用語は、ヒト又
はそれより下等の動物への投与に適した1種以上の適合性固体又は液体フィラー
希釈剤又は封入物質を意味する。本明細書で用いられる“適合性”という用語は
、通常の使用状況下で組成物の薬学的効力を実質上減少させる相互作用がないよ
うに、組成物の諸成分が本化合物と、更には互いに混合されうることを意味する
。製薬上許容されるキャリアは、勿論、治療されるヒト又はそれより下等の動物
への投与にそれらを適させるほど十分高純度で、しかも十分低毒性でなければな
らない。
製薬上許容されるキャリア又はその成分として使える物質の一部例は、ラクト
ース、グルコース及びスクロースのような糖;コーンスターチ及びポテトスター
チのようなデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばナトリウムカルボキシ
メチルセルロース、エチルセルロース及びメチルセルロース;粉末トラガカント
;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムのよう
な固体滑沢剤;硫酸カルシウム;ピーナツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コ
ーン油及びテオブロマ油のような植物油;プロピレングリコール、グリセリン、
ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール;
ア
うな湿潤剤;着色剤;香味剤;造粒剤;安定剤;酸化防止剤;保存剤;無発熱物
質水;等張塩水;及びリン酸緩衝液である。
本化合物と併用される製薬上許容されるキャリアの選択は、基本的には化合物
が投与される方法により決定される。
本化合物が注射されるならば、好ましい製薬上許容されるキャリアは、pHが
約7.4に調整された血液適合性懸濁剤入りの無菌生理塩水である。
本化合物を投与する好ましい方式は経口である。したがって、好ましい単位剤
形は錠剤、カプセル、ロゼンジ、咀嚼錠等である。このような単位剤形は、好ま
しくは約0.01〜約200mg、更に好ましくは約0.1〜約50mg、更に
一層好ましくは約0.5〜約25mg、しかも好ましくは約1〜約10mgで、
安全有効量の本化合物を含有する。経口投与用単位剤形の製造に適した製薬上許
容されるキャリアは、当業界で周知である。錠剤は、典型的には、炭酸カルシウ
ム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロースのような不活性
希釈剤;デンプン、ゼラチン及びスクロースのような結合剤;デンプン、アルギ
ン酸及びクロスカルメロースのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸及びタルクのような滑沢剤として、慣用的な製薬上適合したアジュバン
トを含有する。二酸化ケイ素のような滑剤も粉末混合物の流動性を改善するため
に使用できる。FD&C色素のような着色剤も外観のために添加できる。アスパ
ルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント及びフルーツフレーバーのよ
うな甘味剤及び香味剤は咀嚼錠に有用なアジュバントである。カプセルは典型的
には前記された1種以上の固体希釈剤を含有している。キャリア成分の選択は本
発明の目的にとり重要でない味、コスト及び貯蔵安定性のような二次的考慮事項
に依存しており、当業者により容易に行える。
経口組成物には液体溶液、エマルジョン、懸濁液等もある。このような組成物
の製造に適した製薬上許容されるキャリアは当業界で周知である。このような液
体経口組成物は、好ましくは約0.001〜約5%、更に好ましくは約0.01
〜約0.5%の本化合物を含有する。シロップ、エリキシル、エマルジョン及び
懸濁液用に典型的なキャリア成分には、エタノール、グリセロール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が
ある。懸濁液の場合、典型的懸濁剤にはメチルセルロース、ナトリウムカルボキ
ルギン酸ナトリウムがあり、典型的湿潤剤にはレシチン及びポリソルベート80
があり、典型的保存剤にはメチルパラベン及び安息香酸ナトリウムがある。経口
液体組成物は前記された甘味剤、香味剤及び着色剤のような1種以上の成分も含
有していてよい。
本化合物の全身デリバリーを行う上で有用な他の組成物には、舌下及び経口腔
剤形がある。このような組成物は、典型的には、スクロース、ソルビトール及び
マンニトールのような1種以上の可溶性フィラー物質;アラビアガム、微結晶セ
ルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロー
スのような結合剤を含有する。前記の滑剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、酸化防止
剤及び香味剤も含有してよい。
本化合物を投与する好ましい方式は活性が望まれる部位に局所的なものであり
、鼻うっ血除去の場合には鼻内剤、喘息の場合には吸入剤、眼障害の場合には点
眼剤、ゲル及びクリーム、胃腸障害の場合には経口剤である。
本発明の好ましい組成物には、局所鼻内投与向けに安全有効量の本化合物を含
有した水性溶液がある。このような組成物は、好ましくは約0.001〜約5%
、更に好ましくは約0.01〜約0.5%の本化合物を含有する。このような組
成物は、典型的には、塩化ベンザルコニウム及びチメロサールのような保存剤;
リン酸塩及び酢酸塩のような緩衝剤;塩化ナトリウムのような張度剤;アルコル
ビン酸のような酸化防止剤;芳香剤;必要に応じてこれらの水性組成物のpHを
調整するための酸及び塩基も安全有効量で含有する。
本発明の好ましい組成物には、噴霧及び局所吸入投与向けに安全有効量の本化
合物を含有した水性溶液、懸濁液及び乾燥粉末がある。このような組成物は、好
ましくは約0.1〜約50%、更に好ましくは約1〜約20%の本化合物を含有
する。このような組成物は、典型的には噴霧手段を装備した容器に含有される。
このような組成物は、典型的には、クロロフルオロカーボン12/11及び12
/114のような噴射剤;水、グリセロール及びエタノールのような溶媒;アス
コルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウムのような安定剤;塩化セチルピリジニウム
及び塩化ベンザルコニウムのような保存剤;塩化ナトリウムのような張度調節剤
;サッカリンナトリウムのような香味剤も含有している。
本発明の好ましい組成物には、局所眼内投与向けに安全有効量の本化合物を含
有した水性溶液がある。このような組成物は、好ましくは約0.0001〜約5
%、更に好ましくは約0.01〜約0.5%の本化合物を含有する。このような
組成物は、典型的には塩化ベンザルコニウム、チメロサール、酢酸フェニル水銀
のような保存剤;ポロキサマー、改質セルロース、ポビドン及び精製水のような
ビヒクル;塩化ナトリウム、マンニトール及びグリセリンのような張度調節剤;
酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩及びホウ酸塩のような緩衝剤;メタ重亜硫酸ナト
リウム、ブチル化ヒドロキシトルエン及びアセチルシステインのような酸化防止
剤;必要に応じてこれらの処方剤のpHを調整するために用いられる酸及び塩基
も1種以上含有する。
本発明の好ましい組成物には、経口投与による胃腸管への局所投与向けに安全
有効量の本化合物を含有した、錠剤及びカプセルのような固体と、溶液、懸濁液
及びエマルジョン(好ましくは、軟ゼラチンカプセル中)のような液体がある。
このような組成物は、好ましくは約0.01〜約100mg/回、更に好ましく
は約0.1〜約5mg/回を含有する。このような組成物は、本化合物が望まし
い局所適用部位近くの胃腸管で又は望ましい作用を伸ばす上で様々な時間に放出
されるように、典型的にはpH又は時間依存性コーティングで、常法によりコー
トすることができる。このような剤形は、典型的には1種以上のセルロースアセ
テートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチ
ーティング、ワックス及びシェラックを含有するが、それらに制限されない。
本発明の組成物は、場合により他の薬物活性剤も含有している。本組成物中に
配合してよい薬物活性剤の非制限例とそれらの典型的投与量は以下のとおりであ
る:呼吸器系薬物活性剤:伝統的抗ヒスタミン剤、例えばクロルフェニラミン約
1〜約4mg/回及びジフェンヒドラミン約10〜約50mg/回;非鎮静抗ヒ
スタミン剤、例えばテルフェナジン約30〜約60mg/回、ロラタジン約5〜
約10mg/回及びセチリジン約5〜約10mg/回;去痰剤、例えばグアイフ
ェネシン約100〜約200mg/回;鎮咳剤、例えばデキストロメトルファン
約5〜約30mg/回;鎮痛剤、例えばイブプロフェン約100〜約800mg
/回及びアセトアミノフェン約80〜約1000mg/回;眼用薬物活性剤:ア
セチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば局所溶液中約0.03〜約0.25%
エコチオフェート;胃腸活性剤:止瀉剤、例えばロペラミド約0.1〜約1.0
mg/回及び次サリチル酸ビスマス約25〜約300mg/回方法
本発明は、鼻うっ血にかかった又はかかるリスクのあるヒト又はそれより下等
の動物に安全有効量の本化合物を投与することにより鼻うっ血を予防又は治療す
る方法に関する。このような鼻うっ血は、限定されないが、季節的アレルギー性
鼻炎、急性上部呼吸器ウイルス感染、副鼻腔炎、四季的鼻炎及び血管神経性鼻炎
を含めたヒト疾患又は障害に伴う。本化合物の各投与量は、好ましくは化合物約
0.001〜約10mg/kg、更に好ましくは約0.01〜約5mg/kg、更に一層好
ましくは約0.1〜約1mg/kg範囲内の用量である。このような用量の経口投与
が好ましい。本発明による本化合物の投与頻度は、好ましくは1日約1〜約6
回、更に好ましくは1日約2〜約4回である。このような用量及び頻度は、中耳
炎、咳、COPD及び喘息のような他の呼吸器症状を治療する上でも好ましい。
本発明のもう1つの面には、緑内障にかかった又はかかるリスクのあるヒト又
はそれより下等の動物に安全有効量の本化合物を投与することにより緑内障を予
防又は治療する方法がある。本化合物の各投与量は、好ましくは化合物約0.0
1μg/kg〜約10mg/kg、更に好ましくは約0.001〜約1mg/kg、更に一層好
ましくは約0.01〜約0.1mg/kg範囲内の用量である。このような用量の眼
内投与が好ましい。本発明による本化合物の投与頻度は、好ましくは1日約1〜
約6回、更に好ましくは1日約2〜約4回である。
本発明のもう1つの面には、下痢にかかった又はかかるリスクのあるヒト又は
それより下等の動物に安全有効量の本化合物を投与することにより、下痢のよう
な機能性腸障害を予防又は治療する方法がある。本化合物の各投与量は、好まし
くは化合物約0.001〜約10mg/kg、更に好ましくは約0.01〜約5mg/kg
、更に一層好ましくは約0.1〜約1mg/kg範囲内の用量である。このような用
量の経口投与が好ましい。本発明による本化合物の投与頻度は、好ましくは1日
約1〜約6回、更に好ましくは1日約2〜約4回である。組成物及び方法例
下記非制限例では本発明の組成物及び使用方法について説明している。
例A
経口錠剤組成物
例B
咀嚼錠組成物
例C
舌下錠組成物
例D
鼻内溶液組成物
例E
鼻内ゲル組成物
例F
吸入エアゾール組成物
例G
局所眼用組成物
例H
経口液体組成物
例J
経口液体組成物
新規化合物
本発明のもう1つの面は下記構造を有する新規化合物に関する:
上記構造において、Rは1〜約3の炭素原子を有する非置換アルカニル又はア
ルケニルである。Rは好ましくはアルカニル、更に好ましくはメチル又はエチル
、最も好ましくはメチルである。上記構造において、R′は水素、シアノ又はフ
ルオロである。
好ましい新規化合物は(1)Rがメチルで、R′が水素、(2)Rがメチルで
、R′がシアノ、(3)Rがメチルで、R′がフルオロである、上記構造の化合
物である。
本発明の特定の態様が記載されてきたが、本発明の様々な変更及び修正が本発
明の精神及び範囲から逸脱せずに加えうることは当業者にとり明らかであろう。
本発明の範囲内に属するすべてのこのような修正を添付された請求の範囲ではカ
バーしていると考えられる。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 31/47 AED 9454−4C A61K 31/47 AED
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,JP,KG,KP,KR
,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MN,
NO,NZ,PL,RO,RU,SI,SK,TJ,T
T,UA,UZ,VN