JPH09506471A - 無定形パーマロイ膜及びその製法 - Google Patents

無定形パーマロイ膜及びその製法

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Abstract

(57)【要約】 実質的に無定形のパーマロイ膜から成る磁気透過性材料を開示する。この実質的に無定形のパーマロイ膜は、イオンビームス・スパッタリングによって形成される。この実質的に無定形のパーマロイ膜では、出力振幅特性とノイズ特性とが改善される。

Description

【発明の詳細な説明】 無定形パーマロイ膜及びその製法 発明の背景 本発明は、パーマロイ(permalloy)膜に関し、一層詳しくは、磁気記録システ ムに使用し得る無定形パーマロイ(permalloy)膜に関する。 磁気記憶装置の設計における最近の傾向は、磁気記憶デバイス中の磁気記憶媒 体からのデータを読み取るための磁気抵抗(MR)ヘッドの使用である。誘導セ ンサーヘッドの代わりにMRヘッドを使用すれば、製造者は磁気記憶装置の記録 密度を増やすことができる。種々の物質、及びこれら物質から薄膜を造るための 種々の方法は、MRヘッドを造るのに使用されている。MRヘッドは、未来の磁 気記憶装置において必要とされるであろう、一層高い記録密度の要求事項を満た すために使用し得る。 パーマロイは、ニッケルと鉄との組合わせを含む、磁気透過性の高いあらゆる 多くの合金に対する名称である。パーマロイは、その磁気透過性が高く、周波数 特性が優れているため、しばしば薄膜MRヘッド等の適用のための磁気回路材料 として使用される。パーマロイは特に、MRヘッド中の薄膜の磁気抵抗要素(M RE)として使用されてきた。薄膜MRヘッド中のMREは、磁気記憶媒体から 出る磁界を通過するときの抵抗の変化、及び他の好都合な磁気的・電気的諸特性 を示す部分である。 多くの磁気膜(磁気フィルム)は一般的に、パーマロイから造られるが、他の 種類の材料もしばしば使用される。例えば、無定形材料には好都合な、特に磁気 的特性に関する諸特性があるため、無定形材料は磁気薄膜を造るのに使用されて きた。これらの無定形材料は通常、自然に存在する無定形又は無定形に近い結晶 構造を有する。薄膜磁気ヘッドに使用され、自然に存在する無定形の例は、Co Zr、CoZrRh及びCoZrNbを含む。これらの本質的に無定形の材料は 、その磁気透過性が高く、他の好都合な磁気的・電気的諸特性を有するため、し ばしば薄膜磁気ヘッドに使用される。 イオンビーム・スパッタリングは、薄膜の付着、特にMRヘッド磁気記憶装置 用のMREs(諸磁気抵抗要素)の付着にますます使用されている技術である。 イオンビーム・スパッタリング付着技術では、イオン発生源から遠くにあり、2 4インチ以下のターゲット上に向けられ焦点を合せられている単一に近いエネル ギーイオンの平行ビームが使用される。ターゲットと、イオン又はプラズマ発生 領域との間の間隔距離が大きいために、イオンビーム・スパッタリングは、rf −ダイオード・スパッタリング技術等、他の標準的スパッタリング技術よりかな り低い圧力で行うことができる。圧力が一層低いためにイオンビーム中のイオン とガス分子との間の衝突は一層少なくなり、次いで、かかるイオンがターゲット と衝突する。このために、エネルギーの一層高い膜が生じる。ターゲットからの イオン及びニュートラル(neutrals)の反射は、イオンビーム・スパッタリング技 術を用いて造られる薄膜のエネルギーレベルが増大するのに役立つ。従って、イ オンビーム・スパッタリング済み薄膜では、rf−ダイオード・スパッタリング 技術等の標準的技術によってスパッタリングされた膜と比較して、密度は一層大 きくなり、耐食性は改善され、不純物レベルは低減され、またひずみは改善され る。 イオンビーム・スパッタリングは、光学的コーティング、磁気光学媒体の製造 、MRヘッド等、種々の薄膜応用に使用されてきた。イオンビーム・スパッタリ ングMREsは、rf−ダイオード・スパッタリングMREsと比べ、出力が大 きく、耐食性が大きい。 イオンビーム・スパッタリング技術は、種々の多数の薄膜材料を付着させるの に使用されてきた。例えば、CoZr、CoZrRh、CoZrNb等の透過性 の高い無定形材料は、イオンビーム・スパッタリング技術によってうまく付着し てきた。また、パーマロイ、即ちNiXFe1-Xのイオンビーム・スパッタリング は、種々の特性が改善されたパーマロイ膜を得るのに使用されてきた。幾つかの 論文が、イオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜の諸特性に関し書かれ てきた。 ジェリ・ロー(Jerry Lo)等による第1の論文は、『高速度二重イオンビーム・ スパッタリング済みNiFe膜の磁気的・構造的諸特性』(ジャーナル・オブ・ アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),第61巻,No.8 ,15,1987年4月)と題する。この論文で著者等は、基体表面に関するタ ーゲット角を変えることによって、Ni−Fe膜の磁気的諸特性は改善し得るこ とに注目している。また、著者等は、200〜2,000Vのビーム電圧(ビー ムエネルギー 200〜2,000電子ボルト)で付着させた膜では、磁気的・ 電気的諸特性の有意な変化は全く観察されないことを見出だした。この論文では 更に、スパッタリング工程に窒素を添加するとX線回折の〈111〉ピークが減 少することが検討された。著者等は結局、窒素を添加しないでスパッタリングす る場合、X線回折の〈111〉ピーク強度は、45°未満の回折角に対しては比 較的一定であり、また、このことは45°未満の回折角を有するNi−Fe膜は 類似の〈111〉組織(textures)を有することを意味すると結論付けている。 クリストファ V.ヤーネス(Christopher V.Jahnes)等による第2の論文は 、『イオンビーム・スパッタリング付着済みパーマロイ薄膜(Ion Beam Sputter Deposited Permalloy Thin Films)』(磁気に関するIEEE会報,第28巻, No.4,1992年7月)と題する。この論文で著者等は、彼等の研究で使用 するイオンビーム・スパッタリング手順について述べ、次いで、得られるイオン ビーム・スパッタリング付着済みパーマロイ膜について検討している。その論文 の著者等は、イオンビームス・スパッタリングは、ある条件下で、薄膜ヘッドに 使用するのに適した諸特性を有するパーマロイ膜を付着するのに使用することが できることに注目した。この論文で著者等は、イオンビーム・スパッタリング済 みパーマロイ膜について多くの観察報告を行っている。一つの重要な観察は、膜 の付着速度(この速度はイオンビームのエネルギーレベルに依存する。)の関数 としてのイオンビーム付着済み膜の磁気的特性はほとんど変化しないということ である。 記録密度の要求事項が増大し続けるとき、これらの増大する密度の要求事項を 満たし得るMRヘッドを造るためには、磁気的・電気的諸特性の改善された磁気 薄膜を見出す必要がある。 発明の要約 本発明は、パーマロイ膜の望ましい磁気的・電気的特性と、デジタル及びアナ ログの増大した出力振幅とを有する磁気薄膜は、将来必要とされる高い密度の要 求事項を満たし得る磁気記憶装置及び磁気記録装置の設計における重要なツール (tool)を提供するという認識に基づいている。無定形パーマロイ膜の磁気的・電 気的諸特性に類似した磁気的・電気的諸特性を有するものの出力振幅及びノイズ 特性の改善された、無定形又は実質的に無定形のパーマロイ膜は、望ましい増大 した記録密度を達成するのに使用し得る磁気材料を提供する。 本発明は、無定形又は実質的に無定形の結晶膜構造を有するパーマロイ膜であ る。パーマロイ膜(この膜はニッケルと鉄とから成る原子組成を有する。)は、 面心立方〈111〉平面の実質的に無定形である。この面心立方〈111〉平面 は基体表面に実質的に平行である。本発明の好ましい具体例において、無定形パ ーマロイ膜は、ニッケル30〜86%を含有する組成を有する。 本発明の幾つかの好ましい具体例において、実質的に無定形のパーマロイ膜は 、イオンビーム・スパッタリングによって形成される。イオンビーム・スパッタ リングは、好ましい具体例においては、500電子ボルト以下のイオンビーム・ エネルギーを用いて行う。少なくとも一つの好ましい具体例では、実質的に無定 形のパーマロイ膜は、約300電子ボルトのイオンビーム・エネルギーを用いた イオンビーム・スパッタリングによって形成する。他の好ましい具体例では、実 質的に無定形のパーマロイ膜は、イオンビームとパーマロイ・ターゲットとの間 の入射角約30°のイオンビーム・スパッタリングによって形成する。 幾つかの好ましい具体例において、本発明の実質的に無定形のパーマロイ膜は 、磁気抵抗ヘッド中の磁気抵抗要素として使用される。これらの好ましい具体例 において、無定形パーマロイ膜から成る磁気抵抗要素は、出力振幅及びノイズの 諸特性が改善される。 図面の簡単な説明 図1は、磁気抵抗要素を有する磁気抵抗ヘッドの断面図であり、この磁気抵抗 要素は本発明の実質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ膜が組み込める。 図2は、本発明に従って使用し得るイオンビーム・スパッタリング装置の概略 図である。 図3は、面心立方単位格子の概略図である。 図4及び図5は、本発明による実質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ 膜の出力振幅特性対ノイズ特性を示すグラフである。 図6は、rf−ダイオード・スパッタリング済みパーマロイ膜の出力振幅特性 対ノイズ特性を示すグラフである。 図7は、多くのイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜の抵抗率対粒 子サイズを示すグラフである。 図8は、実質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ膜の面心立方〈111 〉X線回折ピークを示すグラフであり、2種の非無定形パーマロイ膜の面心立方 〈111〉のX線回折ピークを示す。 好ましい具体例の詳細な説明 A.磁気抵抗ヘッドの概要 図1は、磁気記憶装置内で使用される読取り書込みヘッド20の断面図である 。ヘッド20には、誘導書込みデバイス22及び磁気抵抗(MR)読取りデバイ ス24が含まれる。誘導書込みデバイス22には、コイル28及び磁極片26が 含まれる。電流はコイル28を通過して磁界を発生させる。コイル28によって 発生した磁界は、磁極片26によって、表面23に隣接する磁気記憶媒体(示し ていない。)の方へ導かれ、その磁気媒体の上に情報が書込まれる。 MR読取りデバイス24には、磁気抵抗要素(MRE)30、導電通路32及 びシールド(shields,遮蔽物)34が含まれる。MRE30は典型的には、磁気 抵抗薄膜である。MR読取りデバイス24が、隣接する磁気記憶媒体から出る磁 界を通過するとき、MRE30の抵抗は変化する。換言すれば、MRE30の抵 抗はほとんど磁界に依存する。 予め決めた電流が、導電通路32及びMRE30を通して供給される。図1に 十分には示していないが、導電通路32は、MRE30へ流れる電流のための通 路と、MRE30から流れる電流のための通路とを与える。MR読取りデバイス 24が可変磁界を通過する間、MRE30の抵抗は変化するので、導電通路32 を横切る電圧の変化は同様に検知される。従って、導電通路32を横切る電圧の 変化をモニターすることによって、磁気記憶媒体に記憶されるデータを読取るこ とができる。代替的には、導電通路32及びMRE30を通して予め決めた電流 を通過させる代わりに、通路32を横切って一定電圧をかけることができる。そ うすると、MRE30の抵抗の変化によって、通路32を通って流れる電流の変 化が生じる。この場合、データは、通路32及びMRE30を通って流れる電流 の変化をモニターすることによって読取ることができる。 MRE30は、磁気抵抗特性を示す多くの材料で造れる。MRE30の製造に 使用される一般的な材料はパーマロイである。パーマロイは、ニッケルと鉄との 組合わせから成る合金である。従って、パーマロイは、NiXFe1-Xの原子組成 を有する。ニッケル81%と鉄19%とを有するパーマロイ(Ni81Fe19)は 、ごく一般的に磁気薄膜に使用される。しかし、パーマロイには、ニッケルと鉄 とのかなり多くの組合わせが含まれる。実際、ニッケル−鉄の多数の合金が知ら れており、大抵はNiを30%〜86%含有する。本発明は、特定割合のニッケ ルを含有するパーマロイには全く限定されないが、むしろ一般的なパーマロイの 膜を適用する意図である。 B.パーマロイ膜のイオンビーム付着 図2は、本発明による、基体上に磁気薄膜を造るためのイオンビーム・スパッ タリング付着装置の概略図である。イオンビーム・スパッタリング付着装置50 には、付着ガン(deposition gun)52、ターゲット54及び基体56が含まれる 。付着ガン52には、静電レンズ又は加速格子58及びプラズマ発生領域60が 含まれる。プラズマ発生領域60で、本質的に正に帯電したアルゴンイオンの雲 であるプラズマが放出される。本発明の好ましい具体例で、正に帯電したイオン はアルゴンイオンである。負の電圧を加速格子58にかけてアルゴンイオンを加 速させ、ターゲット54の方にアルゴンイオンのビーム62を向ける。加速格子 58にかけられる電圧によって、ビーム62をつくるアルゴンイオンのエネルギ ーは制御される。結果的に、ビーム62のイオンエネルギーは非常に均一である 。 本発明の好ましい具体例と関連して使用するイオンビーム・スパッタリング付 着装置50で、ターゲット54は、付着ガン52から約18インチの位置に設置 される。しかし、他の具体例では、ターゲット54と付着ガン52との間の距離 は、変えてもよい。 本発明の好ましい具体例で、ターゲット54はパーマロイで構成される。本発 明の好ましい具体例で、ターゲット54用としては、大体、ニッケル81%と鉄 19%との原子組成を有するパーマロイを使用する場合もあり、ニッケルと鉄と の可変比を有するパーマロイを使用する場合もある。 イオンビーム62からのアルゴンは、ターゲット54の表面と衝突する。その 結果、1個以上のニッケル及び(又は)鉄の原子が、イオンビーム62中の各々 アルゴンイオンによって、ターゲット54から打ち落とされる。次いで、ターゲ ット54から打ち落とされたニッケル及び鉄の原子は、基体56の表面に集まり 濃縮され、パーマロイ膜を形成する。 イオンビーム・スパッタリングでは、rf−ダイオード・スパッタリングと比 べて一層低い圧力を使用するので、イオンビーム62中のアルゴンイオンは、タ ーゲット54と衝突する前、少ないガス分子と衝突する。その結果、ターゲット 54の表面と衝突するアルゴンイオンは、一層大きなエネルギーを有する。従っ て、ターゲット54からスパッタリングされ、集められ濃縮されて、基体56の 表面にパーマロイ膜を形成するニッケル及び鉄の原子もまた、一層大きなエネル ギーを有する。更に、イオンビーム62からの高エネルギーアルゴンイオンの幾 つかはターゲット54に当たって跳ね返り、成長している膜64に衝撃を与え、 かくして、膜64が形成されるとき、膜64に追加エネルギーを与える。 加速格子58にかける電圧はしばしば、ビームエネルギー又はビーム電圧と呼 ばれる。ビームエネルギーを増大又は減少させて、膜の付着速度を変える。ビー ムエネルギーを増大させると、膜の付着速度は増大する。同様に、ビームエネル ギーを減少させると、膜の付着速度は減少する。また、ビームエネルギーを増大 又は減少させることによって、パーマロイ膜64の磁気的・電気的特性は改善し 得る。 イオンビーム62とターゲット54との間の角度(ここでは、入射角ΘIと呼 ぶ。)が変わるように、ターゲット54を回転させることができる又はターゲッ ト54に旋回心軸をつけることができる。入射角ΘIを変えることによって、基 体56(これは、イオンビーム62の方向に実質的に平行に保持される。)の上 のパーマロイ膜64の磁気的特性は改善し得る。また、付着速度は、ΘIが減少 するにつれて減少し得る。 C.FCC〈111〉の平面での結晶成長 図3は、面心立方(FCC)の単位格子(unit cell)100の透視図である。 FCCの単位格子100は、薄膜の一般的分子構造である。完全な結晶格子では 、各々FCC単位格子100なら、立方体の各角に原子101を、立方体の6つ のサイド即ち面の各々の平面中の中心に置かれた原子102を有する。結晶成長 の平面又は方向は、FCC単位格子100の軸に沿って定義し得る。例えば、線 分(line segment)はFCC〈111〉の平面を示す。ニッケル膜は、FCC〈1 11〉平面の方向に、結晶学的に成長する傾向があり、FCC〈111〉平面は 基体(その上にニッケル膜が成長する。)の表面に平行に存在する。 一般に、FCC〈111〉平面に沿う結晶度が高い程、膜の原子配列の距離は 長い。FCC〈111〉平面の任意の膜の結晶度は、幾つかの方法によって測定 し得る。FCC〈111〉平面の膜の結晶度を測定するための、非常に一般的な 方法は、X線回折分析を行うことである。FCC〈111〉の得られるX線回折 ピークの強度又は大きさは、個々の粒子内のFCC〈111〉平面の結晶度と、 粒子サイズと、膜厚とに依存する。任意の膜厚で、結晶度が大きければ大きい程 又はFCC〈111〉平面の膜の原子配列の距離が長ければ長い程、X線回折ピ ークの強度は大きい。同様に、結晶度が小さければ小さい程又はFCC〈111 〉平面に沿う原子配列の距離が短ければ短い程、X線回折ピークの強度は小さい 。 膜が成長する条件に基づくと、膜の特性、特に磁気的特性は、かなり改善し得 る。典型的には、rf−ダイオード・スパッタリング済みパーマロイ膜も、イオ ンビームス・スパッタリング済みパーマロイ膜も、多結晶構造を有する。多くの 例で、従来技術のパーマロイ薄膜は、それらの磁気的・電気的諸特性を変えるべ く、加熱して結晶度の一層大きいものにした。 D.粒子サイズ 粒子サイズは、膜の配列因子である。たとえ、膜中に結晶の原子配列がある程 度存在していたとしても、粒子サイズが減少するとき、長距離の原子配列も正に 減少し得る。もし、パーマロイ膜の粒子が非常に小さければ、抵抗率は非常に高 くなり得る。この因子は、後で詳細に検討する。多くの状況下での膜の最適特性 には、大きい出力振幅及び小さい抵抗率が含まれる。端的に言えば、出力振幅は 典型的には、膜のデルタ・ロー(Delta-Rho)の関数と考えられる。 E.無定形膜 無定形は、分子の不規則的集合による、固体物質の非結晶状態と定義される。 FCC〈111〉平面での完全に無定形な膜については、FCC〈111〉平面 に沿った結晶度は全く見られず、その膜のFCC〈111〉のX線回折ピークは 全く存在しない。換言すれば、そのFCC〈111〉X線回折ピークはゼロに等 しい。 しかし、FCC〈111〉平面で完全に無定形であり、それゆえにFCC〈1 11〉のX線回折ピークを全く示さない物質は、めったに見出だし得ない。しか し、多くの材料は無定形材料であると見なされる。磁気薄膜の用語では、非常に 低いFCC〈111〉X線回折ピークを有する薄膜材料は、無定形又は無定形に 近い、又は本質的に無定形であると見なされる。膜のFCC〈111〉X線回折 ピークが無定形又は無定形に近いと見なされる膜として十分低いかどうかは、そ の膜のピークの大きさを、類似の厚さと組成とを有する無定形膜のFCC〈11 1〉X線回折ピークと比較することによって決定し得る。薄膜の無定形の程度を 決定する代替的方法は、電子顕微鏡技術を使用して膜の長距離原子配列を決定す ることである。しかし、この技術は非常に高価であり、特殊な装置を要する。 F.試験条件と結果 本発明が少なくとも部分的に基礎となる試験のために、イオンビーム・スパッ タリングを使用して、直径3インチのシリコンウェーハ上に薄膜パーマロイMR Esを付着させた。各々ウェーハは、多くの特有のMREsを保持する。二重ガ ン・イオンビーム・スパッタリング装置を使用して、それらウェーハ上に、Ni81 Fe19(81/19パーマロイ)の原子組成を有するパーマロイMREsを付 着させた。そのイオンビーム・スパッタリング装置を用い、81/19パーマロ イから成るターゲットに、正に帯電したアルゴンイオンのビームを向けた。イオ ンビームのエネルギーレベルも、ターゲットについてのイオンビームの入射角ΘI も変化させた。入射角は二つの位置、30°と90°(即ち標準)との間で変 化させた。イオンビームのエネルギーレベルは、エネルギーレベル300、50 0及び1,000電子ボルトの間で変化させた。 上述の通り、イオンビーム・エネルギーレベル又はビーム電圧が高ければ高い ほど、付着速度は速くなり、かつ、スパッタリングのターゲットから反射される ニュートラル及びアルゴンイオンによる付着済み膜のエネルギー衝突は激しかっ た。上記のイオンビーム・スパッタリング条件を使用してMREを付着させた後 、標準ゼブラ・ビルド法(standard zebra build process)に従って、ウェーハを 仕上げた。次いで、試験を行って、ビームエネルギーと入射角を変えることによ って仕上げた複数のイオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハを互いに 比較し、かつ、標準rf−ダイオード・スパッタリング付着済みウェーハの2種 、硬質ディスク及びゼブラと比較した。 表Iは、前記イオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハ上、及び前記 rf−ダイオード・スパッタリング済みウェーハ上のMRE膜の、測定済み電気 的・磁気的諸特性を要約する。表Iから分かる通り、入射角90°(標準入射角 )でスパッタリングしたイオンビーム・スパッタリング済みMRE膜は、500 電子ボルト又は1,000電子ボルトのビームエネルギーを有した。入射角30 °でスパッタリングしたイオンビーム・スパッタリング済みMRE膜は、300 ,500及び1,000電子ボルトのビームエネルギーを有した。種々のMRE sの厚さ(Å)も表Iに示す。 MREとしてのパーマロイ薄膜の品質の一つの尺度は、その膜のデルタ・ロー である。デルタ・ローは、磁界が存在しないときの膜の抵抗と比較した、磁界に 置かれた膜によって示される抵抗の変化である。表Iから、イオンビーム・スパ ッタリング済みパーマロイのMRE膜は全体的に、標準的rf−ダイオード・ス パッタリング済みパーマロイのMRE膜よりも低いデルタ・ローを有することが 分かる。この点で、初めは、rf−ダイオード・スパッタリング済みパーマロイ のMREsは、イオンビーム・スパッタリング済みパーマロイのMREsよりも 優れているように見えるかも知れない。従って、当業における従来の見識は、大 抵の場合、膜のデルタ・ローが大きければ大きい程、MREの出力振幅の変化は 大きいと言う事である。 繰り返すと、従来のMRE薄膜の設計理論では、デルタ・ローが大きければ大 きい程、薄膜のMRE材料は良好である。かかる従来の考えの下では、表Iに示 す結果は、入射角ΘI90°及びビームエネルギー1,000電子ボルトでスパ ッタリングしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイのMRE膜は、最 良のイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイのMRE膜材料である。しか し、全体的には、硬質ディスクのrf−ダイオード・パーマロイのMRE膜は最 良のパーマロイMRE膜材料であると見なされよう。 種々のMREsの保磁力Hcも表Iに示す。磁気材料の保磁力は、磁気材料が いかに容易に磁化されるかを決定する上で重要な因子である。保磁力Hcは時々 、膜が磁化された後、磁束密度がゼロまで減少するために必要な磁界強度として 定義される。しかし、保磁力Hcには他の定義も認識されていることに注目すべ きである。表Iから分かる通り、全てのMREsは保磁力が非常に小さく、最高 で約1.7エルステッドである。最低の保磁力は1.3エルステッドであり、入 射角ΘI30°及びビームエネルギー300又は1,000電子ボルトで造った イオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜を有するMREsに見られる。 表II及び表IIIに、7個の試料のMREウェーハからのMREsに関する振幅 及びノイズの試験の結果を要約する。表IIは、これらMREsについてのディジ タル試験ウェーハレベルの結果を説明する。ディジタルとアナログの試験でのバ イアス電流は、第2高調波(harmonics,ハーモニックス)を最小にするレベルに 設定した。 表II及び表IIIに示すデータを得るために試験した、全てのイオンビーム・ス パッタリング済みMREウェーハは、入射角ΘI30°でスパッタリングした。 ウェーハ1及び2は、イオンビーム・エネルギー500電子ボルトでスパッタリ ングしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイMREウェーハである。 ウェーハ3及び4は、イオンビーム・エネルギー1,000電子ボルトでスパッ タリングしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイMREウェーハであ る。ウェーハ5及び6は、イオンビーム・エネルギー300電子ボルトでスパッ タリングしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイMREウェーハであ る。ウェーハ7は、単一ウェーハではなく、100個のrf−ダイオード・スパ ッタ リング済みゼブラ・ヘッドMREウェーハからの試験結果の平均値を表わす。 表IIから分かる通り、イオンビーム・スパッタリング済みウェーハ1〜4から のMREsは、rf−ダイオード・スパッタリング済みウェーハ7からのMRE sに類似したディジタル出力振幅を有する。ウェーハ1〜4からのMREsのデ ィジタル出力振幅は、776μV〜872μVの範囲であった。この結果は、表 Iに示す通りの、ウェーハ1〜4からのMREsによって示される類似のデルタ ・ロー値とほぼ一致する。イオンビーム・エネルギー500電子ボルトでスパッ タリングしたウェーハ1及び2は、イオンビーム・エネルギー1,000電子ボ ルトでスパッタリングしたウェーハ3及び4よりも、概して僅かに小さいディジ タル出力振幅を示した。 表IIは、イオンビーム・エネルギー300電子ボルトでスパッタリングしたパ ーマロイ膜に対応する、ウェーハ5及び6からのMREsは、標準rf−ダイオ ード・スパッタリング済みMREウェーハ7からのMREs又はイオンビーム・ スパッタリング済みMREウェーハ1〜4からの他のMREsよりも、かなり大 きなディジタル出力振幅を有することを示す。ウェーハ5上のMREsは105 4μVのディジタル出力振幅を有し、一方、ウェーハ56のMREsは1164 μVのディジタル出力振幅を有した。これらの結果は、試験した全MREウェー ハの内で最低出力を有した、ウェーハ2からのMREsのディジタル出力振幅と 比較して36〜50%の改善を示す。これらの結果は、残存するイオンビーム・ スパッタリング済みMREウェーハの内で最大出力を有した、ウェーハ4からの MREsのディジタル出力振幅と比較して21〜33%の改善を示す。結局、こ れらの結果は、rf−ダイオード・スパッタリング済みMREウェーハ7からの MREsのディジタル出力振幅と比較して29〜42%の改善を示す。 アナログ振幅試験に対する類似結果を表IIIに示す。ウェーハ5及び6のアナ ログ出力振幅3,663μV及び4,146μVは、ウェーハ1〜4及び7から のMREsの出力を繰り返し大幅に越えた。ウェーハ5及び6からのMREsの アナログ出力振幅は、試験したMREウェーハの内で最も小さい出力を有したウ ェーハ4からのMREsのアナログ出力振幅1,990μVよりも84〜108 %大きかった。ウェーハ5及び6からのMREsのアナログ出力振幅は、残存す るイオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハの出力振幅の内で最も大き か ったウェーハ1からのMREsのアナログ出力振幅2,447μVよりも50〜 69%大きかった。結局、ウェーハ5及び6の出力は、rf−ダイオード・スパ ッタリング済みウェーハ7からのMREsのアナログ出力振幅3,119μVよ りも17〜33%大きかった。 検討した通り、表II及びIIIは、ウェーハ5及び6からのMREsは、標準r f−ダイオード・スパッタリング済みMREウェーハ7からのMREsの出力又 はイオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハ1〜4からのMREsの出 力よりもかなり大きいアナログ及びディジタル出力振幅を有するというあまり期 待されなかった結果を示す。また、表II及びIIIは、ウェーハ5及び6からのM REsは、ウェーハ1〜4及び7からのMREsと比べ、第2高調波及びノイズ 特性が大幅に改善されることも示す。繰り返すと、かかる結果は、ウェーハ1〜 7からのMREsは全て、幾つか他の非常に類似する磁気的・電気的特性を示す という事実を考慮したとき、驚愕すべきことである。ウェーハ5及び6(これら は、非常に小さいデルタ・ローを生じた、イオンビーム・エネルギーレベル(3 00eV)で付着したMREsに対応する。)は、通常、最大の出力振幅を有す るMREsを含むようには期待されまい。ウェーハ5及び6の試験は、性能に関 し観察によって認められる改善を説明し得る、他の諸ウェーハに適用されるビル ド仕様書(build specification,組立て仕様書)からの工程上の意味ある相違 は全く示さなかった。 図4〜6は種々のウェーハのノイズ対アナログ出力振幅を説明する。図4はウ ェーハ5のアナログ出力振幅対ノイズ特性を説明する。繰り返すと、ウェーハ5 は、イオンビーム・エネルギー300電子ボルト及び入射角ΘI30°を使用し て造ったイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜を有するMREsを含 む。図5はウェーハ6のアナログ出力振幅対ノイズ特性を説明する。繰り返すと 、ウェーハ6は、イオンビーム・エネルギー300電子ボルト及び入射角ΘI3 0°を使用して造ったイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜を有する MREsを含む。図6は、標準rf−ダイオード・スパッタリング工程を使用し て造り無作為に選んだウェーハの、アナログ出力振幅対ノイズ特性を説明する。 図4〜6から分かる通り、各々ウェーハは、E又はOで表される各MR Eのノイズ対振幅データを有する、非常に多くのMREsを含む。最大の振幅と ノイズとのデータ点は、試験中の試験センサーが恐らく短絡したためであろう。 図4及び5から分かる通り、イオンビーム・スパッタリング済みウェーハ5及 び6は、図6に示す標準rf−ダイオード・スパッタリング済みウェーハからの MREsと比べて振幅対ノイズの優れた特性を有するMREsを含む。また、ウ ェーハ5及び6からのMREsによって示される振幅対ノイズ特性は、図6に示 す標準rf−ダイオード・スパッタリング済みウェーハからのMREsの振幅対 ノイズ特性と比べて遥かに均一であることが、図4〜6から分かる。このことは 恐らく、rf−ダイオード・スパッタリングとは異なるイオンビーム・スパッタ リングは、基体の位置近辺に高密度のプラズマを提供しないという事実のためで ある。このことが今度は、プラズマとアライニング(aligning)磁界との相互作用 を制限し、この効果によって厚さのばらつきは最小になる。イオンビーム・スパ ッタリング済みMREsによって示される分布は、rf−ダイオード・スパッタ リング済みMREsによる分布よりも一層均一であることは、イオンビーム・ス パッタリングの他の利点である。rf−ダイオード・スパッタリング済みMRE sは不均一であるために、通常、過大な製造コストとなり過剰の廃物が生じ、多 数のウェーハを廃棄する必要がある。 表Iに示す通りの、ウェーハ1〜7の他の幾分類似した磁気的・電気的諸特性 を考慮すると、ウェーハ5及び6からの300電子ボルトでのイオンビーム・ス パッタリング済みMREsの、改善された振幅、ノイズ、第2高調波(second ha rmonics)及び均一性は、興味ある結果である。努力して、ウェーハ5及び6の改 善済み諸特性を説明すべく、ウェーハ1〜7についてX線回折分析を行った。X 線回折分析の結果(これは表IVに示す。)によって、かかるウェーハの改善済み 諸特性の背後にある原因が洞察される。 表IVから分かる通り、rf−ダイオード・スパッタリング済みMREウェーハ 7からのMREsは、FCC〈111〉のX線回折ピーク5,425カウント/ 秒を示した。これは、試験済みウェーハの内で最大である。このことは、ウェー ハ7の上のrf−ダイオード・スパッタリング済みパーマロイの薄膜は、最大の 結晶度と最も長い距離の原子配列とを有することを示す。500電子ボルトのイ オンビーム・エネルギーを有する、イオンビーム・スパッタリング済みウェーハ 1及び2からのMREsは、二番目に高いFCC〈111〉X線回折ピークを示 した。かかるウェーハの1,631カウント/秒のピークの強度は、減少してい るが依然として明確に存在する、FCC〈111〉平面中の長距離原子配列と結 晶度とを示す。1,000電子ボルトのイオンビーム・エネルギーを有する、イ オンビーム・スパッタリング済みウェーハ3及び4からのMREsは、863カ ウント/秒のFCC〈111〉X線回折ピークを示した。これは、イオンビーム ・スパッタリング済みウェーハ1及び2によって示される値の半分である。しか し、ウェーハ5及び6のX線回折ピークと比較すると、ウェーハ3及び4のMR E膜は、構造が依然として本質的に結晶質であると考えられよう。全てのX線回 折ピークは、銅のアルファ放射に対して約44°の回折角で生じる。 イオンビーム・スパッタリング済みウェーハ3及び4からのMREsは、他の ウェーハからのMREsよりもかなり薄かったことに注目すべきである。前述し た、FCC〈111〉X線回折ピークの強度は、一部には膜厚に基づくと言う事 実と考え合わせると、もし、かかる膜が他の試験済み膜と同じ厚さならば、ウェ ーハ3及び4からのMREsによって示されるFCC〈111〉X線回折ピーク 強度863は一層大きかっただろうと思われる。更に、このことによって、ウェ ーハ5及び6からのMREsの結晶度が減少したことが説明される。 最も意義ある試験結果は、イオンビーム・スパッタリング済みウェーハ5及び 6からのMREsのFCC〈111〉X線回折ピークである。MREsを300 電子ボルトのイオンビーム・エネルギーでスパッタリングしたかかるMREウェ ーハは、わずか26カウント/秒の強度のFCC〈111〉X線回折ピークを示 した。このFCC〈111〉X線回折ピークは、ウェーハ3及び4のピークの3 3分の1未満である。これらのウェーハは、二番目に小さいピーク強度を有する 。もし、ウェーハ3及び4がウェーハ5及び6と同じ厚さならば、対応するFC C〈111〉X線回折ピークは、ウェーハ3及び4のピークの33分の1未満で あろう。この結果は、rf−ダイオード・スパッタリング済みウェーハ7のそれ の208分の1未満でもある。 ウェーハ5及び6の上のMREsの26カウント/秒のFCC〈111〉X線 回折ピーク強度は、基体平面に配列した、無定形の、実質的に無定形の、ほぼ無 定形の又は本質的に無定形のパーマロイ結晶膜構造を示す。ウェーハ1〜7の全 ては、同じような厚さを有するという事実を考え合わせると、この結果は、イオ ンビーム・エネルギー300電子ボルトと入射角ΘI30°で造ったイオンビー ム・スパッタリング済みMREsの、FCC〈111〉平面に沿った結晶度はす こぶる小さく、実際の立場からは皆無であるという結論に通じる。代替的には、 かかるパーマロイ膜中には、その〈111〉平面に非常に短い距離の原子配列の みが存在するとも結論付けられる。この代替的結論は、以下に一層詳細に検討す る。パーマロイのMRE膜を分析するのに電子顕微鏡技術は全く使用しなかった が、減少した原子配列が見出だされるものと推定される。 ウェーハ5及び6上のパーマロイ膜の粒子サイズは、ウェーハ1〜4及び7の 上のパーマロイ膜の粒子サイズよりも有意に小さい事も、表IVに示される。ウェ ーハ5及び6からの実質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ膜は、126 Åの粒子サイズを有した。ウェーハ3及び4からのパーマロイ膜は、169Åの 粒子サイズを有した。ウェーハ1及び2からのパーマロイ膜は、196Åの粒子 サイズを有した。最終的に、ウェーハ7からのパーマロイ膜(これらの膜は、こ れらが5,425カウント/秒という大きいFCC〈111〉X線回折ピーク強 度を有することによって証明されるような膜の内で結晶性が最大のものであった 。)は、226Åの粒子サイズを有した。 ウェーハ5及び6によって示される減少済み粒子サイズは、これらウェーハ中 に見出だされ大幅に減少した結晶度に実質的に寄与する。粒子サイズは、長距離 原子配列に影響を及ぼす。粒子サイズが減少するとき、長距離原子配列も減少す る。粒子サイズと長距離原子配列との関係は、個々の粒子内で、結晶性と見なせ る原子配列が存在し、一方、同時に、減少済み粒子サイズが膜の長距離原子配列 を減少させる効果を有し得るようなものである。従って、粒子サイズが減少する 結果としての減少済み長距離原子配列もまた、膜の減少済み全結晶構造に変わる 。このことは、ウェーハ1〜7上のパーマロイ膜について、粒子サイズが増大す るとき、FCC〈111〉X線回折ピークは増大するという事実の更なる証拠で ある。従って、ウェーハ5及び6の上のパーマロイ膜は、かかる膜の実質的に無 定形の結晶構造に寄与する減少済み粒子サイズを有すると言う事ができる。 粒子サイズは、パーマロイ膜の結晶性に大きな影響を及ぼすように見えるが、 膜の結晶度が膜の粒子サイズに必ずしも正比例していないことは、表IVのデータ の非線形性から明らかである。例えば、実質的に無定形のウェーハ5及び6のF CC〈111〉X線回折ピークは、ウェーハ3及び4のピークの33分の1未満 であるが、ウェーハ5及び6の粒子サイズは、ウェーハ3及び4の粒子サイズよ りも約25%小さいだけである。従って、本発明の実質的に無定形のパーマロイ 膜のような、実質的に無定形の結晶構造を示すパーマロイ膜で生じる固有の粒子 サイズを決定することは困難である。しかし、表IVのデータから、169Å未満 の粒子サイズが必要であるように思える。 前述した通り、MRE膜によって示され得る最適特性は、高い出力振幅である 。従来の理論の下では、出力振幅を増大させるためには、膜のデルタ・ローをも 増大させる必要があった。減少済み粒子サイズと、その結果得られる無定形の又 は実質的に無定形の結晶構造とを有する本発明の膜において、かかる膜は、デル タ ・ローは増大しないで、実質的に一層高い出力振幅を示した。繰り返すと、この ことは、部分的には、ウェーハ5及び6の上の実質的に無定形のMRE膜の減少 済み粒子サイズに起因するものと推定される。 しかし、減少済み粒子サイズのみが、得られた改善済み結果の全てを説明する 訳ではないようである。本発明の膜は、抵抗率において有意な増大は示さなかっ た。図7は、パーマロイ膜の抵抗率対粒子サイズを示すグラフである。図7に示 すデータは、300電子ボルトのビームエネルギーでスパッタリングされた、多 くのイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜から取った。これらの膜は 、300〜400Åの厚さであった。図7から分かる通り、粒子サイズが160 Å以下から100Å以上に減少するにつれて、膜の抵抗率はごくわずか変化した 。しかし、粒子サイズは約100Åよりずっと小さくなるにつれて、抵抗率はす こぶる急速に増大した。検出される最小粒子サイズに対応する抵抗率は、非常に 大きくなるであろう。 上記で検討した通り、粒子サイズが小さい事だけでは、得られた結果を説明し 得ない。rf−ダイオード・スパッタリング技術等の他の技術は、理論的には非 常に厳しい製造条件下で、上記で得られたような小さい粒子サイズを得るのに使 用し得る。必要な非常に厳しい製造条件には、基体を液体冷却剤で冷却するスパ ッタリングが含まれる。かかる過度に難儀なrf−ダイオード・スパッタリング 条件では、恐らく減少済み粒子サイズを得ることができよう。しかし、本発明の 実質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ膜中に発見されるような、増大済 み出力振幅と、低い又は標準的な抵抗率との望ましい組合わせは得られない。実 質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ膜中で観察される増大済み出力振幅 は、部分的には、ある条件下でのイオンビーム・スパッタリング工程の結果であ る粒子の高密度パッキング(dense packing)による。もし、膜の粒子が高度にパ ッキングされないならば、膜中の単位体積当りに存在する活性センサー材料を造 る一層少ないシグナルの結果として、出力振幅は減少し、かつ抵抗率は恐らく増 大するであろう。 図8は、選定した3つのMREウェーハからのMREsのFCC〈111〉X 線回折ピークを示すグラフである。この3つのウェーハは、表I〜IVに示す結果 を確認すべく試験を行った。曲線150(この曲線は、約11,000カウント /秒のFCC〈111〉X線回折ピーク152を有する。)は、標準rf−ダイ オード・スパッタリング済みMREウェーハに対応する。曲線154(この曲線 は、約5,400カウント/秒のFCC〈111〉X線回折ピーク156を有す る。)は、500電子ボルトのイオンビーム・エネルギーと30°の入射角ΘI とでスパッタリングしたイオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハに対 応する。対照的に、曲線158(この曲線は、300電子ボルトのイオンビーム ・エネルギーと30°の入射角ΘIとでスパッタリングしたイオンビーム・スパ ッタリング済みMREウェーハに対応する。)は、約100カウント/秒のピー ク強度160を有する。曲線158のピーク160は、表IVに示すウェーハ5及 び6のピーク強度26カウント/秒よりも幾分大きいが、それでもそのピークは 、他の試験済みウェーハのピークと比べて、ほぼ無定形の膜構造を示す。 従って、X線回折分析によって証明される通り、高密度のパックされた(packe d)減少済み粒子サイズのパーマロイ膜を造るための本発明の技術によって、無定 形の又は実質的に無定形の結晶構造を示す膜が得られる。 1単位容積当りの一層活性なセンサー材料を造ることに加えて、ウェーハ5及 び6からの無定形又はほぼ無定形のMRE膜がなぜ、優れた出力振幅とノイズ特 性とを示すかの他の可能な説明は、一層大きなパッキング密度では、標準rf− ダイオード付着技術の一層小さいパッキング密度よりも一層強い酸化が制限され ると言う事である。また、磁気光学媒体を有する場合のように、無定形膜の構造 もまた、結晶粒界領域の壁ピニング(wall pinning)等の本質的なノイズ機構を制 限し得る。かかる因子は、発見した無定形パーマロイ膜によって示される改善済 み特性を説明するのに役立つかも知れない。 本発明は、好ましい具体例に言及しつつ説明してきたが、当業者は本発明の精 神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において変形し得ることを認識しよ う。例えば、本発明は一般的な無定形パーマロイ膜に適用させる意図であり、ニ ッケルと鉄との特定比を有する無定形パーマロイ膜に限定させる意図はない。ま た、実施試験では、300電子ボルトのビームエネルギー・レベルと30°の入 射角ΘIのイオンビーム・スパッタリング条件で、最適結果が得られたが、本発 明は、かかる厳密な条件下でスパッタリング化た、無定形の又はほぼ無定形のパ ーマロイ膜に限定させる意図ではない。例えば、イオンビーム・スパッタリング 済みパーマロイ膜の結晶度を低減する上で、イオンビーム・エネルギーレベルは 、入射角ΘIよりも一層重要な役割を果たすように思える。また、無定形パーマ ロイ膜は、かかるスパッタリング条件下で付着させた膜に独特のものではない。 当業者は、本発明の実質的に無定形の膜を造るための最適なビームエネルギー及 び入射角は、ターゲット間隔に対する基体のような、装置設計の特徴に依存して 変化することを認識しよう。結局、無定形パーマロイ膜はMRヘッドの要素とし て用途において示してきたが、かかる膜は、他の用途にも使用し得る。例えば、 無定形パーマロイ膜は、磁界を検出するための磁力計等の装置にも使用し得る。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1995年12月14日 【補正内容】 イオンビーム・スパッタリングは、薄膜の付着、特にMRヘッド磁気記憶装置 用のMREs(諸磁気抵抗要素)の付着にますます使用されている技術である。 イオンビーム・スパッタリング付着技術では、イオン発生源から遠くにあり、6 0cm(24インチ)以下のターゲット上に向けられ焦点を合せられている単一 に近いエネルギーイオンの平行ビームが使用される。ターゲットと、イオン又は プラズマ発生領域との間の間隔距離が大きいために、イオンビーム・スパッタリ ングは、rf−ダイオード・スパッタリング技術等、他の標準的スパッタリング 技術よりかなり低い圧力で行うことができる。圧力が一層低いためにイオンビー ム中のイオンとガス分子との間の衝突は一層少なくなり、次いで、かかるイオン がターゲットと衝突する。このために、エネルギーの一層高い膜が生じる。ター ゲットからのイオン及びニュートラル(neutrals)の反射は、イオンビーム・スパ ッタリング技術を用いて造られる薄膜のエネルギーレベルが増大するのに役立つ 。従って、イオンビーム・スパッタリング済み薄膜では、rf−ダイオードスパ ッタリング技術等の標準的技術によってスパッタリングされた膜と比較して、密 度は一層大きくなり、耐食性は改善され、不純物レベルは低減され、またひずみ は改善される。 イオンビーム・スパッタリングは、光学的コーティング、磁気光学媒体の製造 、MRヘッド等、種々の薄膜応用に使用されてきた。イオンビーム・スパッタリ ングMREsは、rf−ダイオード・スパッタリングMREsと比べ、出力が大 きく、耐食性が大きい。 イオンビーム・スパッタリング技術は、種々の多数の薄膜材料を付着させるの に使用されてきた。例えば、CoZr、CoZrRh、CoZrNb等の透過性 の高い無定形材料は、イオンビーム・スパッタリング技術によってうまく付着し てきた。また、パーマロイ、即ちNiXFe1-Xのイオンビーム・スパッタリング は、種々の特性が改善されたパーマロイ膜を得るのに使用されてきた。幾つかの 論文が、イオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜の諸特性に関し書かれ てきた。 第3の論文は「G.C.チー(Chi)らの主題『RFスパッタリング済み及びE −ビーム蒸着済みNiFe膜の磁気抵抗、構造及び磁気異方性(The magnetoresi stiity,structure,and magnetic anisotropy of RF sputtered and E-beam ev aporated NiFe Films)』,ジャーナル・オブ・フィズィクス,第52巻,No. 3,1981年3月」である。この論文で著者らはRFスパッタリング及びE− ビーム蒸着によって形成されたNiFe膜の種々の構造的・磁気的諸特性を述べ ている。バブル検出器としてのパーロイ膜の使用が述べられている。 第4の論文は「タカハシ(Takahashi)らの主題『SAWによって励起された基 体上にスパッタリングされた薄膜の製造及び磁気特性(Fabrication and Magneti c Properties of Thin Films Sputtered on the Substrate Excited by SAW)』 ,IEEE トランスレーション・ジャーナル・オン・マグネチックス・イン・ ジャパン(IEEE Translation Journal on Magnetics in Japan),第6巻,No. 2,1991年2月」である。この論文で著者らは、表面音波によって励起され た基体上に、直流マグネトロン・スパッタリングによりNiFe膜を付着するこ とを述べている。著者は、表面音波の励起振幅の関数として膜の物理的構造を著 しく変化させ得ること、並びにかかる構造的変化は膜の磁気特性を部分的に変化 させることを発見した。 B.パーマロイ膜のイオンビーム付着 図2は、本発明による、基体上に磁気薄膜を造るためのイオンビーム・スパッ タリング付着装置の概略図である。イオンビーム・スパッタリング付着装置50 には、付着ガン(deposition gun)52、ターゲット54及び基体56が含まれる 。付着ガン52には、静電レンズ又は加速格子58及びプラズマ発生領域60が 含まれる。プラズマ発生領域60で、本質的に正に帯電したアルゴンイオンの雲 であるプラズマが放出される。本発明の好ましい具体例で、正に帯電したイオン はアルゴンイオンである。負の電圧を加速格子58にかけてアルゴンイオンを加 速させ、ターゲット54の方にアルゴンイオンのビーム62を向ける。加速格子 58にかけられる電圧によって、ビーム62をつくるアルゴンイオンのエネルギ ーは制御される。結果的に、ビーム62のイオンエネルギーは非常に均一である 。 本発明の好ましい具体例と関連して使用するイオンビーム・スパッタリング付 着装置50で、ターゲット54は、付着ガン52から約45cm(18インチ) の位置に設置される。しかし、他の具体例では、ターゲット54と付着ガン52 との間の距離は、変えてもよい。 上述の通り、イオンビーム・エネルギーレベル又はビーム電圧が高ければ高い ほど、付着速度は速くなり、かつ、スパッタリングのターゲットから反射される ニュートラル及びアルゴンイオンによる付着済み膜のエネルギー衝突は激しかっ た。上記のイオンビーム・スパッタリング条件を使用してMREを付着させた後 、標準ゼブラ・ビルド法(standard zebra build process)に従って、ウェーハを 仕上げた。次いで、試験を行って、ビームエネルギーと入射角を変えることによ って仕上げた複数のイオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハを互いに 比較し、かつ、標準rf−ダイオード・スパッタリング付着済みウェーハの2種 、硬質ディスク及び第2のデザインと比較した。 表Iは、前記イオンビーム・スパッタリング済みMREウェーハ上、及び前記 rf−ダイオード・スパッタリング済みウェーハ上のMRE膜の、測定済み電気 的・磁気的諸特性を要約する。表Iから分かる通り、入射角90°(標準入射角 )でスパッタリングしたイオンビーム・スパッタリング済みMRE膜は、500 電子ボルト又は1,000電子ボルトのビームエネルギーを有した。入射角30 °でスパッタリングしたイオンビーム・スパッタリング済みMRE膜は、300 ,500及び1,000電子ボルトのビームエネルギーを有した。種々のMRE sの厚さ(A)も表Iに示す。 種々のMREsの保磁力Hcも表Iに示す。磁気材料の保磁力は、磁気材料が いかに容易に磁化されるかを決定する上で重要な因子である。保磁力Hcは時々 、膜が磁化された後、磁束密度がゼロまで減少するために必要な磁界強度として 定義される。しかし、保磁力Hcには他の定義も認識されていることに注目すべ きである。表Iから分かる通り、全てのMREsは保磁力が非常に小さく、最高 で約135Am-1(1.7エルステッド)である。最低の保磁力は103Am-1 (1.3エルステッド)であり、入射角ΘI30°及びビームエネルギー300 又は1,000電子ボルトで造ったイオンビーム・スパッタリング済みパーマロ イ膜を有するMREsに見られる。 表II及び表IIIに、7個の試料のMREウェーハからのMREsに関する振幅 及びノイズの試験の結果を要約する。表IIは、これらMREsについてのディジ タル試験ウェーハレベルの結果を説明する。ディジタルとアナログの試験でのバ イアス電流は、第2高調波を最小にするレベルに設定した。 表II及び表IIIに示すデータを得るために試験した、全てのイオンビーム・ス パッタリング済みMREウェーハは、入射角ΘI30°でスパッタリングした。 ウェーハ1及び2は、イオンビームエネルギー500電子ボルトでスパッタリン グしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイMREウェーハである。ウ ェーハ3及び4は、イオンビームエネルギー1,000電子ボルトでスパッタリ ングしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイMREウェーハである。 ウェーハ5及び6は、イオンビーム・エネルギー300電子ボルトでスパッタリ ングしたイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイMREウェーハである。 ウェーハ7は、単一ウェーハではなく、100個のrf−ダイオード・スパッタ リング済みゼブラ・ヘッドMREウェーハからの試験結果の平均値を表わす。 ウェーハ5及び6上のパーマロイ膜の粒子サイズは、ウェーハ1〜4及び7の 上のパーマロイ膜の粒子サイズよりも有意に小さい事も、表IVに示される。ウェ ーハ5及び6からの実質的に無定形の結晶構造を有するパーマロイ膜は、126 ×10-10m(A)の粒子サイズを有した。ウェーハ3及び4からのパーマロイ 膜は、169×10-10m(A)の粒子サイズを有した。ウェーハ1及び2から のパーマロイ膜は、196×10-10m(A)の粒子サイズを有した。最終的に 、ウェーハ7からのパーマロイ膜(これらの膜は、これらが5,425カウント /秒という大きいFCC〈111〉X線回折ピーク強度を有することによって証 明されるような膜の内で結晶性が最大のものであった。)は、226×10-10 m(A)の粒子サイズを有した。 ウェーハ5及び6によって示される減少済み粒子サイズは、これらウェーハ中 に見出だされ大幅に減少した結晶度に実質的に寄与する。粒子サイズは、長距離 原子配列に影響を及ぼす。粒子サイズが減少するとき、長距離原子配列も減少す る。粒子サイズと長距離原子配列との関係は、個々の粒子内で、結晶性と見なせ る原子配列が存在し、一方、同時に、減少済み粒子サイズが膜の長距離原子配列 を減少させる効果を有し得るようなものである。従って、粒子サイズが減少する 結果としての減少済み長距離原子配列もまた、膜の減少済み全結晶構造に変わる 。このことは、ウェーハ1〜7上のパーマロイ膜について、粒子サイズが増大す るとき、FCC〈111〉X線回折ピークは増大するという事実の更なる証拠で ある。従って、ウェーハ5及び6の上のパーマロイ膜は、かかる膜の実質的に無 定形の結晶構造に寄与する減少済み粒子サイズを有すると言う事ができる。 粒子サイズは、パーマロイ膜の結晶性に大きな影響を及ぼすように見えるが、 膜の結晶度が膜の粒子サイズに必ずしも正比例していないことは、表IVのデータ の非線形性から明らかである。例えば、実質的に無定形のウェーハ5及び6のF CC〈111〉X線回折ピークは、ウェーハ3及び4のピークの33分の1未満 であるが、ウェーハ5及び6の粒子サイズは、ウェーハ3及び4の粒子サイズよ りも約25%小さいだけである。従って、本発明の実質的に無定形のパーマロイ 膜のような、実質的に無定形の結晶構造を示すパーマロイ膜で生じる固有の粒子 サイズを決定することは困難である。しかし、表IVのデータから、169× 10-10m(A)未満の粒子サイズが必要であるように思える。 前述した通り、MRE膜によって示され得る最適特性は、高い出力振幅である 。従来の理論の下では、出力振幅を増大させるためには、膜のデルタ・ローをも 増大させる必要があった。減少済み粒子サイズと、その結果得られる無定形の又 は実質的に無定形の結晶構造とを有する本発明の膜において、かかる膜は、デル タ・ローは増大しないで、実質的に一層高い出力振幅を示した。繰り返すと、こ のことは、部分的には、ウェーハ5及び6の上の実質的に無定形のMRE膜の減 少済み粒子サイズに起因するものと推定される。 しかし、減少済み粒子サイズのみが、得られた改善済み結果の全てを説明する 訳ではないようである。本発明の膜は、抵抗率において有意な増大は示さなかっ た。図7は、パーマロイ膜の抵抗率対粒子サイズを示すグラフである。図7に示 すデータは、300電子ボルトのビームエネルギーでスパッタリングされた、多 くのイオンビーム・スパッタリング済みパーマロイ膜から取った。これらの膜は 、300〜400×10-10m(A)の厚さであった。図7から分かる通り、粒 子サイズが160×10-10m(A)以下から100×10-10m(A)以上に減 少するにつれて、膜の抵抗率はごくわずか変化した。しかし、粒子サイズは約1 00×10-10m(A)よりずっと小さくなるにつれて、抵抗率はすこぶる急速 に増大した。検出される最小粒子サイズに対応する抵抗率は、非常に大きくなる であろう。 請求の範囲 1.実質的に無定形のパーマロイ膜から成る、磁気透過性材料。 2.実質的に無定形のパーマロイ膜が、ニッケル30〜86%を含有する、請 求項1に記載の磁気透過性材料。 3.実質的に無定形のパーマロイ膜が、イオンビーム・スパッタリングによっ て形成される、請求項1に記載の磁気透過性材料。 4.イオンビーム・スパッタリングが500電子ボルト以下のイオンビーム・ エネルギーを用いて行われる、請求項3に記載の磁気透過性材料。 5.実質的に無定形のパーマロイ膜が169×10-10m未満の結晶粒度を有 する、請求項1に記載の磁気透過性材料。 6.基体上に形成された実質的に無定形のパーマロイ膜から成る磁気抵抗要素 。 7.実質的に無定形のパーマロイ膜がイオンビーム・スパッタリングによって 形成される、請求項6に記載の磁気抵抗要素。 8.実質的に無定形のパーマロイ膜が面心立方の〈111〉方向に、実質的に 無定形の膜構造を有する、請求項6に記載の磁気抵抗要素。 9.実質的に無定形のパーマロイ膜が169×10-10m未満の粒子サイズを 有する、請求項1に記載の磁気抵抗要素。 10.磁界を感知するための、実質的に無定形の結晶膜構造を有するパーマロ イ膜から成る磁気抵抗センサーと、 前記磁気抵抗センサーを外部回路に接続するための、前記磁気抵抗センサーに 接続された導体パスと から成る、磁気抵抗ヘッド。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.実質的に無定形のパーマロイ膜から成る、磁気透過性材料。 2.実質的に無定形のパーマロイ膜が、ニッケル30〜86%を含有する、請 求項1に記載の磁気透過性材料。 3.実質的に無定形のパーマロイ膜が、イオンビームス・スパッタリングによ って形成される、請求項1に記載の磁気透過性材料。 4.イオンビームス・スパッタリングが500電子ボルト以下のイオンビーム ・エネルギーを用いて行われる、請求項3に記載の磁気透過性材料。 5.実質的に無定形のパーマロイ膜が169Å未満の結晶粒度を有する、請求 項1に記載の磁気透過性材料。 6.基体上に形成された実質的に無定形のパーマロイ膜から成る磁気抵抗要素 。 7.実質的に無定形のパーマロイ膜がイオンビームス・スパッタリングによっ て形成される、請求項6に記載の磁気抵抗要素。 8.実質的に無定形のパーマロイ膜が面心立方の〈111〉方向に、実質的に 無定形の膜構造を有する、請求項6に記載の磁気抵抗要素。 9.実質的に無定形のパーマロイ膜が169Å未満の粒子サイズを有する、請 求項1に記載の磁気抵抗要素。 10.磁界を感知するための、実質的に無定形の結晶膜構造を有するパーマロ イ膜から成る磁気抵抗センサーと、 前記磁気抵抗センサーを外部回路に接続するための、前記磁気抵抗センサーに 接続された導体パスと から成る、磁気抵抗ヘッド。
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