JPH09504843A - 抄紙機の乾燥部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 乾燥部はそれぞれ、多数の加熱可能な乾燥シリンダ（１４，１１）と、乾燥すべき走行リボン（８）を乾燥シリンダに押圧するエンドレス押圧べルト（９，９′）とを有する複数の乾燥グループ（２−４）を有する。少なくとも１つの単列乾燥グループ（“高乾燥グループ”４）において、エンドルス押圧べルト（９′）の縦方向張力は少なくとも１０ｋＮ／ｍであり、乾燥シリンダ（１１）の径は１ｍ以下である。更に、方向変更ロール（１２）は吸引ロールとして構成され、吸引ロールの負圧は１−４ｍ水柱である。

Description

【発明の詳細な説明】 抄紙機の乾燥部技術分野 本発明は、請求の範囲第１項のプレアンブルに開示の特徴を有する抄紙機の乾 燥部に関する。背景技術 この種の乾燥部は、ドイツ特許公開第４３２８５５４号から公知である。この 公知の構造の乾燥部は、高い作業速度で運転され、例えば、グラフィック紙を製 造するための抄紙機に特に好適である。この公知の乾燥部の特徴は、少なくとも １つの単列乾燥グループが設けてあるという点である。このような単列乾燥グル ープは、唯一つのシリンダ列と、それぞれ２つのシリンダの間に設けてあって吸 引ロールであってよい方向変更ロールとを有する。乾燥すべき紙リボンは、この ような単列乾燥グループにおいて、エンドレス押圧ベルト（例えば、乾燥スクリ ーン）によって連続的に案内される。上記エンドレス押圧ベルトは、一方では、 紙リボンを乾燥シリンダに押圧し、他方では、１つの乾燥シリンダから後続の方 向変更ロールを介して次の乾燥シリンダに案内される。かくして、紙リボンが遊 離状態で、即ち、支持されずに各シリンダ間を走行することになるのが避けられ る。かくして、紙リボンの引裂の危険性が明らかに減少される。発明の開示 さて、本発明は、主として、比較的厚い紙リボンまたはボール紙リボンの製造 に適し、従来の乾燥部に比して、上記種類のリボンについて、完成リボンに大き い強度を達成できる乾燥部を提示する問題に関する。 この問題は、本発明にもとづき、請求の範囲第１項の特徴記載部分に開示の特 徴によって解決される。即ち、単列乾燥グループ（いわゆる、“高圧縮グループ ”）で押圧ベルトの極端に高い縦方向張力（少なくとも１０ｋＮ／ｍ）を使用す ることによって、即ち、シリンダに対してリボンを特に強く押圧するという特徴 と、シリンダ間のリボン張力の欠如を避けるという特徴との組合せによって、紙 リボンを可成り圧縮できるということは公知である。このような圧縮によって、 完成した紙の強度が可成り増大される。このような強度増は、例えば、いわゆる 、リング・クラッシュ試験から明らかである。（比較：従来、乾燥スクリーンの 縦方向張力は、通常、３−５ｋＮ／ｍである；Ｌｅｈｒｂｕｃｈ ｄｅｒ Ｐａ ｐｉｅｒ−ｕｎｄ Ｋａｒｔｏｎｅｒｚｅｕｇｕｎｇ／Ａｕｔｏｒｅｎｋｏｌｌ ｅｋｔｉｖ，２版、ＶＥＢ出版、１９８７，ｐ２８６，２８７参照）。 １０−１００ｋＮ／ｍの押圧ベルト縦方向張力を使用すれば、上記の説明の意 味において特に良い結果が期待される。（従来に比して）比較的小さい、例えば 、１ｍ以下のシリンダ径を選択すれば、更に高い圧縮度を達成できる。更に、“ 高圧縮グループ”の方向変更ロールを吸引ロールとして構成し、吸引ロールの負 圧値を少なくとも０，５ｍ水柱（好ましくは、１−４ｍ水柱）に設定すれば、更 に改善が達成される。 グラフィック紙のための冒頭に述べた公知の乾燥部の単列乾燥グループとは異 なり、高圧縮乾燥グループを単列乾燥グループとして構成する目的は、第１に、 リボン引裂の回避ではなく、既述の如く、高い押圧ベルト縦方向張力と共働して リボンの強い圧縮を達成することにある。リボンのこのような圧縮操作は、乾燥 部の全長にわたって行う必要はなく、スペース節減の理由から、いわゆる、主収 縮ゾーンに制限できる。即ち、乾燥部の残余の部分を従来の態様で、完全に２列 にまたは単列および２列の混成として構成できる。 換言すれば下記の如く云える： 本発明の好ましい実施例の場合、上述の“高圧縮グループ”の前段には、少な くとも１つの従来の２列乾燥グループを設ける。その主な役割は、乾燥部に流入 するリボンを加熱することにある。しかしながら、比較的敏感な紙リボンを乾燥 する場合、２列乾燥グループの前に、更に、従来の単列乾燥グループを設け、こ のグループにおいて、比較的低い押圧ベルト縦方向張力を加えるのが合目的的で ある。即ち、この従来の単列乾燥グループによって、プレス部から直接に来る比 較的湿った（比較的低強度の）紙リボンを引裂の危険性なく加熱できる。 本発明の別の構成にもとづき、“高圧縮グループ”に続いて、従来の２列乾燥 グループを設けることができる。かくして、比較的僅かなスペースを使用して、 紙リボンを完全に所望の最終乾燥状態とすることができる。 本発明は、特に、比較的厚い種類の紙、例えば、包装紙、段ボール素材、各種 の工業用紙（例えば、エメリペーパ素材）の製造に使用できる。 全乾燥操作中、唯一つの“高圧縮グループ”において紙リボンの本発明に係る 圧縮を行うことができる。この場合、“高圧縮グループ”のすべての乾燥シリン ダについて、リボン下面のみがシリンダ胴と接触するよう、好ましくは、シリン ダ胴の上部範囲を介して走行する唯一つのエンドレス押圧ベルトが設けてある。 しかしながら、すべての“高圧縮グループ”の乾燥シリンダがリボン下面との み接触するよう、２つまたはより多数のこの種の“高圧縮グループ”を順次に設 置することもできる。これは、完成した紙リボンの１つの側（即ち、下面）が別 の側よりも高い平滑度を有するのが望ましい場合に、有利である。 他方、リボン両面にほぼ同一の平滑度が望ましい場合は、２つの異なる“高圧 縮グループ”、即ち、第１押圧ベルトがシリンダ上部範囲（または逆に下部範囲 ）を介して走行する１つの高圧縮グループと、第２押圧ベルトがシリンダ下部範 囲（または逆に上部範囲）を介して走行する次の高圧縮グループとを順次に設置 するのがより良い。この方策によって、同時に、圧縮度の増大も期待できる。 例えば、シリンダ（またはシリンダ部分）を蒸気ではなく加熱ガスの燃焼によ って加熱することにより、極端に高いシリンダ温度によって、紙リボンを更に圧 縮することができる。更に、それ自体は公知の如く、好ましくは、リボンが押圧 ベルトとともに方向変更ロールを介して走行するゾーンに、“熱風ブローボック ス”を設けることもできる。 本発明の別の実施例にもとづき、加熱される乾燥シリンダの径は、吸引ロール として構成された方向変更ロールの径とほぼ同一に構成することができる。換言 すれば、比較的小さいシリンダ径を比較的大きい吸引ロール径と組合わせること ができる。 かくして、一方では、リボンは、乾燥シリンダに特に大きく巻掛けられ、即ち 、乾燥シリンダからリボンへより多量の熱が伝達される。他方では、同時に、よ く知られているように、吸引ロール胴に穿孔したにも拘わらず、吸引ロール胴の 比 較的大きい剛性が得られる。即ち、吸引ロールは、本発明にもとづき極度に高い 押圧ベルト縦方向張力により良く耐えることができる。 図面を参照して、以下に、本発明の若干の実施例を説明する。図面の簡単な説明 第１−４図は、乾燥部の略側面図である。発明を実施するための最良の形態 第１図に示した乾燥部の構造を以下に説明する： プレス部１の後段には、公知の単列乾燥グループ２、同じく公知の２列乾燥グ ループ３、および本発明に係る高圧縮グループ４が設けてある。公知の２列乾燥 グループ３は端末をなす。グループ２の始端において、プレス部１から乾燥部に 繊維材料リボン８（例えば、紙リボン）が受容される。この乾燥グループ２は上 面に“フェルト張り”されており、即ち、押圧ベルト９（例えば、乾燥スクリー ンまたは乾燥フェルト）は、乾燥シリンダ１４の上部に巻かれ、乾燥シリンダ１ ４の間に且つ下方に設置された方向変更ロール１３（例えば、乾燥スクリーン付 吸引ロール）に巻かれる。 乾燥スクリーン９には、矢印１６で象徴的に示した通常の正規のベルト張力の みが与えられる。次の２列乾燥グループにおいて、上部シリンダ１４′は上面に “フェルト張り”されており、下部乾燥シリンダ１４′′は下面に“フェルト張 り”されている。この場合も、乾燥スクリーンの張力（矢印１６）は、従来慣用 の数値に対応する。次いで、本発明に係る高圧縮グループ４が続いている。この 高圧縮グループは、構造的に、上面に“フェルト張り”した単列乾燥グループ２ に対応し、即ち、乾燥シリンダ１１は上部に配置され、一方、乾燥スクリーン吸 引ロール１２は下部に設置されている。従来の単列乾燥グループ２とは異なり、 グループ４の乾燥シリンダ１１は、比較的小さい、例えば、１ｍ以下、の径を有 する。他方、乾燥スクリーン吸引ロール１２の径は、従来の単列乾燥グループの 場合よりも本質的に大きい。その径は、ほぼ乾燥シリンダ１１の径に対応する。 この高圧縮グループの別の本質的特徴は、押圧ベルト９の、大きい矢印１７で象 徴的に 示した、極めて大きい縦方向張力である。 押圧ベルト９′も乾燥スクリーンであってよい。大きいベルト張力にもとづき より大きい力が乾燥スクリーン案内ロール７に作用するので、この案内ロールの 径は、別の乾燥グループ２，３，３′の案内ロール１０の径よりも本質的に大き い。 上記乾燥部に続いて、再び、紙の最終乾燥を行う通常の２列乾燥グループ３′ が設けてある。この場合、リボン張力（矢印１６）は、同じく、公知の大きさで ある。この場合、紙リボン８は乾燥グループ３において最終乾燥状態に達する。 第２図に、乾燥グループの別の構造を示した。この構造は、重い紙およびボー ル紙に適する。プレス部１から来る繊維材料リボン８は、従来の乾燥スクリーン 張力１６を受けて、まず２列乾燥グループ３に入る。次いで、上面にフェルトを 張った第１高圧縮グループ４が続いている。乾燥スクリーン９には、大きいベル ト張力１７が加えられる。この乾燥グループの後段には、もちろん下面にフェル トを張った第２高圧縮グループ５が続いている。上記乾燥部の末端として、繊維 材料リボンを最終乾燥状態とする従来の２列乾燥グループ３が続いている。 第３図に、高圧縮グループ４を含む乾燥部の別の実施例を示した。プレス部１ の後ろにおいて、繊維材料リボン８は、上面にフェルトを張った少なくとも２つ の単列乾燥グループ２，２′において乾燥される。次いでリボンは、少なくとも １つの高圧縮グループ４で乾燥される。この高圧縮グループには、第１，２図の 場合と同様、従来の２列乾燥グループ（図示してない）が続いている。 第４図に、別の実施例を示した。繊維材料リボンは、まず、上面にフェルトを 張った単列乾燥グループ２によって乾燥される。入口におけるこの穏やかな乾燥 に続いて、２列乾燥グループ３によって強い乾燥が行われる。上記乾燥グループ には、いわゆる主収縮ゾーンの少なくとも１つの同じく２列の乾燥グループ６が 続いており、この乾燥グループの上下の乾燥スクリーンは、本発明にもとづき、 強く引張される（太い矢印１７）。従って、乾燥スクリーン案内ロール７のより 大きい径が必要である（請求の範囲第１５項参照）。乾燥部の末端は、同じく、 従来の２列乾燥グループ（図示してない）によって形成される。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ａ）それぞれが、多数の加熱可能な乾燥シリンダ（１４，１１）と、乾燥す べき走行リボン（８）を該乾燥シリンダに押圧するエンドレス押圧ベルト（９， ９′）とを有する複数の乾燥グループ（２−４）を有し； ｂ）少なくとも１つの乾燥グループ（４）が単列である（即ち、上記乾燥グ ループが、１つのシリンダ列と１つの方向変更ロール列とを有する）抄紙機の乾 燥部において； ｃ）少なくとも１つの単列乾燥グループ（“高圧縮グループ”４）において 、該エンドレス押圧ベルト（９′）の縦方向張力が少なくとも１０ｋＮ／ｍであ ること、 を特徴とする、上記の乾燥部。 ２．エンドレス押圧ベルト（９′）の縦方向張力が１５−１０ｋＮ／ｍであるこ とを特徴とする、請求の範囲第１項記載の乾燥部。 ３．上記の“高圧縮グループ”（４）において、乾燥シリンダ（１１）の径が１ ｍ以下であることを特徴とする、請求の範囲第１および２項記載の乾燥部。 ４．上記の“高圧縮グループ”（４）において、方向変更ロール（１２）が吸引 ロールとして構成され、該吸引ロールの負圧が少なくとも０,５ｍ水柱であるこ とを特徴とする、請求の範囲第１ないし３項のいずれか１項に記載の乾燥部。 ５．上記の吸引ロールの負圧が１−４ｍ水柱であることを特徴とする、請求の範 囲第４項記載の乾燥部。 ６．上記の“高圧縮グループ”（４）の前段には、少なくとも１つの従来の２列 乾燥グループ（３）が設けてあることを特徴とする、請求の範囲第１ないし５項 のいずれか１項に記載の乾燥部。 ７．上記の２列乾燥グループ（３）の前段には、プレス部（１）に直接に続く（ 従来の）単列乾燥グループ（２）が設けてあることを特徴とする、請求の範囲第 ６項記載の乾燥部。 ８．上記の“高圧縮グループ”（４）の後段には、少なくとも１つの従来の２列 乾燥グループ（３′）が設けてあることを特徴とする、請求の範囲第１ないし７ 項のいずれか１項に記載の乾燥部。 ９．上記の“高圧縮グループ”（４）が、すべての乾燥シリンダ（１１）のため に唯一つのエンドレス押圧ベルト（９′）を有することを特徴とする、請求の範 囲第１ないし８項のいずれか１項に記載の乾燥部。 １０．上記の“高圧縮グループ”（４）または複数の“高圧縮グループ”におい て、押圧ベルト（９′）または複数の押圧ベルトがシリンダ胴の上部範囲を介し て走行すること（即ち、シリンダがリボン下面に接触すること）を特徴とする、 請求のは第１ないし９項のいずれか１項に記載の乾燥部。 １１．請求の範囲第１ないし９項のいずれか１項に記載の乾燥部であって、少な くとも２つの“高圧縮グループ”を有する形式のものにおいて、１つの“高圧縮 グループ”（４）の押圧ベルト（９′）がシリンダ胴の上部範囲を介して走行し 、別の高圧縮グループの押圧ベルト（９′）がシリンダ胴の下部範囲を介して走 行することを特徴とする、上記の乾燥部。 １２．上記の“高圧縮グループ”（４）において、シリンダ径が方向変更ロール の径にほぼ等しいことを特徴とする、請求の範囲第１ないし１１項のいずれか１ 項に記載の乾燥部。 １３．上記の“高圧縮グループ”（４）において、シリンダ外面温度が少なくと も１３０℃であることを特徴とする、請求の範囲第１ないし１２項のいずれか１ 項に記載の乾燥部。 １４．シリンダ外面温度が少なくとも１５０℃であることを特徴とする、請求の 範囲第１３項記載の乾燥部。 １５．ａ）それぞれが、多数の加熱可能な乾燥シリンダ（１４）と、乾燥すべき 走行リボンを乾燥シリンダに押圧するエンドレス押圧ベルト（９，９′）とを有 する複数の乾燥グループ（２，３，６）を有する、抄紙機の乾燥部において； ｂ）単列または２列に構成された乾燥グループの少なくとも１つにおいて 、エンドレス押圧ベルトの縦方向張力が少なくとも１０ｋＮ／ｍであること、 を特徴とする、上記の乾燥部。